説明

照光式押ボタンスイッチおよび表示装置

【課題】照光領域に対応した仕切壁を設けることなく分割照光ができる照光式押ボタンスイッチおよび表示装置を提供する。
【解決手段】天面に照光面1a,11aを有するボタン1,11と、このボタン1,11の底部に配置されるレンズ3,13と、異なる二つの波長の光を発光する一つ乃至二つの発光素子6,16および接触機構を具備したケース5,15と、前記発光素子6,16と照光面1a,11aの間に異なる二つの波長の光を分割する仕切壁のないプランジャ4,14と、前記ボタン1,11と前記レンズ3,13の間に配設され前記発光素子6,16の第1波長の発光色のみを透過する第1領域2a,12aと第2波長の発光色のみを透過する第2領域2b,12bを有するフィルム2,12とからなり、前記発光素子6,16の発光色に応じて照光面1a,11aを分割して照光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照光式押ボタンスイッチおよび表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2色の異なる表示が可能な照光式押ボタンスイッチとしては、透明ボタンの表示色を決定するカラーフィルターを、その一部に切欠部をもつ第1のカラーフィルターと、切欠部に接合する第2のカラーフィルターとに2分割し、プランジャー内を第2のカラーフィルターの形状に対応した光漏れのない壁で仕切ると共に、壁外に第1のカラーフィルターを介して透明ボタンを照光させる第1の光源を位置させ、壁内に第2のカラーフィルターを介して透明ボタンを照光させる第2の光源を設けた照光式押ボタンスイッチ(下記特許文献1参照)や、操作体の遮光壁とケーシングの仕切り壁によってケーシング内に隔壁部が形成され、操作体の天板部に設けられた複数の照光領域にそれぞれ光源の光が小空間を介して個別に投射されるようになっている照光式スイッチ装置(下記特許文献2参照)や、操作釦にLCD素子を配設し、LCD素子の下方に発光体を配設して操作釦の上面の照光の色彩を分割された領域に異なった照光の色彩を行うようにした表示装置付き押釦スイッチ(下記特許文献3参照)などがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−41034号
【特許文献2】特開2009−117038号
【特許文献3】特開平6−20570号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1の照光式押ボタンスイッチおよび特許文献2の照光式スイッチ装置は、照光領域に対応した仕切壁を設け、分割された空間の間で光が漏れない構造としなければならず、仕切壁によって照光領域を分割しているため、照光領域を変更するにはスイッチの構造を変更しなければならないといった問題があった。また、上記特許文献3の表示装置付き押釦スイッチは、照光領域を分割する仕切壁を設ける必要はないが、LCD素子が高価であるため、コストが高くなるといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記状況に鑑みて、照光領域に対応した仕切壁を設けることなく照光面を分割して照光することができる照光式押ボタンスイッチおよび表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕天面に照光面(1a)を有するボタン(1)と、このボタン(1)の底部に配置されるレンズ(3)と、異なる二つの波長の光を発光する一つ乃至二つの発光素子(6)および接触機構を具備したケース(5)と、前記発光素子(6)と前記ボタン(1)の照光面(1a)の間に異なる二つの波長の光を分割する仕切壁のないプランジャ(4)と、前記ボタン(1)と前記レンズ(3)の間に配設され前記発光素子(6)の第1波長の発光色のみを透過する第1領域(2a)と第2波長の発光色のみを透過する第2領域(2b)を有するフィルム(2)とからなり、前記ボタン(1)と前記レンズ(3)が嵌合されて前記フィルム(2)が挟着され、前記レンズ(3)が前記プランジャ(4)に嵌合され、このプランジャ(4)が上下動可能に前記ケース(5)内に配設され、前記ボタン(1)の押圧操作に伴って前記プランジャ(4)が上下動し、このプランジャ(4)の動作に伴って前記接触機構が動作して電路が開閉され、前記発光素子(6)は前記接触機構の動作に連動または電力供給に応じて発光色が切換えられ、この発光素子(6)の発光色に応じて前記ボタン(1)の照光面(1a)を分割して照光することを特徴とする。
〔2〕天面に照光面(11a)を有するボタン(11)と、このボタン(11)の底部に配置されるレンズ(13)と、異なる二つの波長の光を発光する一つ乃至二つの発光素子(16)を具備したケース(15)と、前記発光素子(16)と前記ボタン(11)の照光面(11a)の間に異なる二つの波長の光を分割する仕切壁のないプランジャ(14)と、前記ボタン(11)と前記レンズ(13)の間に配設され前記発光素子(16)の第1波長の発光色のみを透過する第1領域(12a)と第2波長の発光色のみを透過する第2領域(12b)を有するフィルム(12)とからなり、前記ボタン(11)と前記レンズ(13)が嵌合されて前記フィルム(12)が挟着され、前記レンズ(13)が前記プランジャ(14)に嵌合され、このプランジャ(14)が前記ケース(15)内に固着され、前記発光素子(16)は電力供給に応じて発光色が切換えられ、この発光素子(16)の発光色に応じて前記ボタン(11)の照光面(11a)を分割して照光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)ケースやプランジャに仕切壁を設けることなく、フィルムを配設するだけで、ボタンの照光面を分割して照光することができる。
(2)構造を変更することなく、フィルムを入れ替えるだけで分割する領域を容易に変更することができる。
(3)フィルムを配設するだけなので、従来の照光式押ボタンスイッチや表示装置に容易に適用することができる。
(4)仕切壁などの構造での実現が困難な照光領域の形状も容易に実現することができる。
(5)分割する領域を3つ以上にする場合にも発光素子を増設する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例を表す照光式押ボタンスイッチの分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を表す照光式押ボタンスイッチの断面図である。
【図3】本発明の第1実施例を表す照光式押ボタンスイッチの原理を示す図である。
【図4】本発明の第1実施例を表す照光式押ボタンスイッチの応用例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例を表す表示装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例を表す表示装置の断面図である。
【図7】本発明の第2実施例を表す表示装置の原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の照光式押ボタンスイッチおよび表示装置は、天面に照光面を有するボタンと、このボタンの底部に配置されるレンズと、異なる二つの波長の光を発光する一つ乃至二つの発光素子および接触機構を具備したケースと、前記発光素子と前記ボタンの照光面の間に異なる二つの波長の光を分割する仕切壁のないプランジャと、前記ボタンと前記レンズの間に配設され前記発光素子の第1波長の発光色のみを透過する第1領域と第2波長の発光色のみを透過する第2領域を有するフィルムとからなり、前記ボタンと前記レンズが嵌合されて前記フィルムが挟着され、前記レンズが前記プランジャに嵌合され、このプランジャが前記ケース内に配設され、前記発光素子の発光色に応じて前記ボタンの照光面を分割して照光する。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の第1実施例を表す照光式押ボタンスイッチの分解斜視図、図2は本発明の第1実施例を表す照光式押ボタンスイッチの断面図、図3は本発明の第1実施例を表す照光式押ボタンスイッチの原理を示す図であり、図3(a)は第1波長の発光色の発光時を、図3(b)は第2波長の発光色の発光時を示している。図4は本発明の第1実施例を表す照光式押ボタンスイッチの応用例を示す図であり、図4(a)は照光面を上下に分割して照光する場合を、図4(b)は照光面を斜めに分割して照光する場合を示している。
【0012】
これらの図において、1はボタン、2はフィルム、3はレンズ、4はプランジャ、5はケース、6はケース5に配設される発光素子、7はプランジャ4を上方に付勢するコイルバネである。ボタン1は、天面に照光面1aを有する四角形状で、一方の対向する側面に嵌合孔1bが形成されている。フィルム2は、透光性フィルムからなり、透光性フィルムに複数のフィルタが形成され、第1波長の発光色のみを透過し他の波長の発光色を遮光するフィルタによって第1領域2aが形成され、第2波長の発光色のみを透過し他の波長の発光色を遮光するフィルタによって第2領域2bが形成されている。レンズ3は、略四角形状で、一方の対向する側面に嵌合孔1bと嵌合する嵌合凸部3aが形成され、他方の対向する側面にプランジャ4と嵌合する嵌合孔3bが形成されている。プランジャ4は、内部に仕切壁のない略筒形状で、一方の対向する側面上端部に嵌合孔3bと嵌合する嵌合突起4aが形成されている。ケース5は、内部に発光素子6および接触機構(図示なし)が配設されている。
【0013】
レンズ3の天面にフィルタ2が配置され、ボタン1の嵌合孔1bとレンズ3の嵌合凸部3aが嵌合されることでフィルタ2がボタン1とレンズ3に挟着される。そして、レンズ3の嵌合孔3bとプランジャ4の嵌合突起4aが嵌合され、コイルバネ7を介してプランジャ4を上下動可能にケース5に配設されることで、照光式押ボタンスイッチが完成される。
【0014】
以上のように構成された本発明の照光式押ボタンスイッチは、図3に示すように、発光素子6から第1波長の光が発光されたときは第1領域2aのみを透過して照光面1aの左側半分のみを照光し、発光素子6から第2波長の光が発光されたときは第2領域2bのみを透過して照光面1aの右側半分のみを照光するため、照光面1aを照光領域に応じて分割して照光することができる。また、分割照光するための仕切壁を設けないため、フィルタ2を変更するだけで、図4に示すように、分割照光する領域を容易に変更することができる。さらに、フィルタ2で照光領域を自由に形成できるので、仕切壁などの構造で形成することが困難な形状の照光領域も容易に実現することができ、分割領域を3つ以上に増加した場合にも、発光素子を増設する必要がない。
【0015】
このように、本実施例に照光式押ボタンスイッチは、照光領域に対応した仕切壁を設けることなく照光面1aを分割して照光することができるという特徴を有している。
【0016】
本実施例では、発光素子を一つとしているが、発光色の異なる二つの発光素子を設けてもよい。また、ボタンは丸形状などとしてもよく、種々の方法が考えられる。
【0017】
図5は本発明の第2実施例を表す表示装置の分解斜視図、図6は本発明の第2実施例を表す表示装置の断面図、図7は本発明の第2実施例を表す表示装置の原理を示す図であり、図7(a)は第1波長の発光色の発光時を、図7(b)は第2波長の発光色の発光時を示している。
【0018】
これらの図において、11はボタン、12はフィルム、13はレンズ、14はプランジャ、15はケース、16はケース15に配設される発光素子、18はプランジャ14の上下動を抑制するストッパである。ボタン11は、天面に照光面11aを有し、一方の対向する側面に嵌合孔11bが形成されている。フィルム12は、透光性フィルムからなり、透光性フィルムに複数のフィルタが形成され、第1波長の発光色のみを透過し他の波長の発光色を遮光するフィルタによって第1領域12aが形成され、第2波長の発光色のみを透過し他の波長の発光色を遮光するフィルタによって第2領域12bが形成されている。レンズ13は、一方の対向する側面に嵌合孔11bと嵌合する嵌合凸部13aが形成され、他方の対向する側面にプランジャ14と嵌合する嵌合孔13bが形成されている。プランジャ14は、内部に仕切壁のない略筒形状で、一方の対向する側面端部に嵌合孔13bと嵌合する嵌合突起14aが形成されている。ケース15は、内部に発光素子16が配設されている。
【0019】
レンズ13の天面にフィルタ12が配置され、ボタン11の嵌合孔11bとレンズ13の嵌合凸部13aが嵌合されることでフィルタ12がボタン11とレンズ13に挟着される。そして、レンズ13の嵌合孔13bとプランジャ14の嵌合突起14aが嵌合され、ストッパ18を介してプランジャ14がケース15に固着されることで、表示装置が完成される。
【0020】
以上のように構成された本発明の表示装置は、図7に示すように、発光素子16から第1波長の光が発光されたときは第1領域12aのみを透過して照光面11aの左側半分のみを照光し、発光素子16から第2波長の光が発光されたときは第2領域12bのみを透過して照光面11aの右側半分のみを照光するため、照光面11aを照光領域に応じて分割して照光することができる。また、第1実施例と同様に、分割照光するための仕切壁を設けないため、フィルタ12を変更するだけで、分割照光する領域を容易に変更することができる。さらに、フィルタ12で照光領域を自由に形成できるので、仕切壁などの構造で形成することが困難な形状の照光領域も容易に実現することができ、分割領域を3つ以上に増加した場合にも、発光素子を増設する必要がない。
【0021】
このように、本実施例に表示装置は、照光領域に対応した仕切壁を設けることなく照光面11aを分割照光ができるという特徴を有している。
【0022】
本実施例では、発光素子を一つとしているが、発光色の異なる二つの発光素子を設けてもよい。また、ボタンは丸形状などとしてもよく、ストッパはプランジャと一体的に形成してもよく、種々の方法が考えられる。
【0023】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の照光式押ボタンスイッチおよび表示装置は、照光面を分割して照光することができる照光式押ボタンスイッチおよび表示装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1,11 ボタン
1a,11a 照光面
1b,11b,3b,13b 嵌合孔
2,12 フィルタ
2a,12a,22a,32a,42a,52a 第1領域
2b,12b,22b,32b,42b,52b 第2領域
3,13 レンズ
3a,13a 嵌合凸部
4,14 プランジャ
4a,14a 嵌合突起
5,15 ケース
6,16 発光素子
7 コイルバネ
18 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面に照光面を有するボタンと、該ボタンの底部に配置されるレンズと、異なる二つの波長の光を発光する一つ乃至二つの発光素子および接触機構を具備したケースと、前記発光素子と前記ボタンの照光面の間に異なる二つの波長の光を分割する仕切壁のないプランジャと、前記ボタンと前記レンズの間に配設され前記発光素子の第1波長の発光色のみを透過する第1領域と第2波長の発光色のみを透過する第2領域を有するフィルムとからなり、前記ボタンと前記レンズが嵌合されて前記フィルムが挟着され、前記レンズが前記プランジャに嵌合され、該プランジャが上下動可能に前記ケース内に配設され、前記ボタンの押圧操作に伴って前記プランジャが上下動し、該プランジャの動作に伴って前記接触機構が動作して電路が開閉され、前記発光素子は前記接触機構の動作に連動または電力供給に応じて発光色が切換えられ、該発光素子の発光色に応じて前記ボタンの照光面を分割して照光することを特徴とする照光式押ボタンスイッチ。
【請求項2】
天面に照光面を有するボタンと、該ボタンの底部に配置されるレンズと、異なる二つの波長の光を発光する一つ乃至二つの発光素子を具備したケースと、前記発光素子と前記ボタンの照光面の間に異なる二つの波長の光を分割する仕切壁のないプランジャと、前記ボタンと前記レンズの間に配設され前記発光素子の第1波長の発光色のみを透過する第1領域と第2波長の発光色のみを透過する第2領域を有するフィルムとからなり、前記ボタンと前記レンズが嵌合されて前記フィルムが挟着され、前記レンズが前記プランジャに嵌合され、該プランジャが前記ケース内に固着され、前記発光素子は電力供給に応じて発光色が切換えられ、該発光素子の発光色に応じて前記ボタンの照光面を分割して照光することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−80572(P2013−80572A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218881(P2011−218881)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】