説明

照光部構造とそれを使用した携帯用電子機器

【課題】 導光部の厚みだけを厚くすることができる照光部構造を提供する。
【解決手段】 回路基板5上に設置されたLEDなどの光源4が発光すると、その光は導光部2に側面から入射し、入射光はこの導光部2内を拡散して照光部3を照光する。本照光部構造1では回路基板5に孔7を設け、その中に導光部2の照光部の下の位置する部分を埋め込んでいる。導光部2に入射した光は、導光部2の厚みによって従来以上に拡散するので光の拡散効率が高められ、照光部3への光量も従来より増大する。また、照光部のプッシュに伴い導光部2の側方のスイッチ部9が操作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯用電子機器等の発光部に用いられる照光部構造と携帯用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの携帯電子機器は、LED(発光ダイオード)などの光源からレンズ、ボタン、液晶などを照光させる照光部構造を有している。この携帯電子機器は近年、薄型軽量化の傾向にある。そこで、レンズ、ボタン、液晶などを照光するために用いられる照光部構造も小型化が必要である。例えば、導光部の厚みを薄くして、LEDから光を均一に導光させるなどの対策がなされている。図4は、従来の照光部構造の一例を示す断面図である。
【0003】
図4に示すような形状の照光部構造101では、通常、照光部103を上方から押すことによって導光部102がたわみ、導光部102の下方中央の突起部によって回路基板105上のスイッチ部108が押される。これによって、光源104が給電されて発光する。また、光源104はスイッチ部108が押される時だけではなく、発着信時や充電時にも発光する。光源104が発光することによって、導光部102に光が入射し、入射光が導光部102内で拡散した後にケース106から露出している照光部103を照光させる。また、回路基板105等が照光部103を通して外から見えないようにするために、シート材107で回路基板105及びスイッチ部108を覆っている。シート材107には、通常は光の反射や拡散ができる素材のものが用いられ、導光部102内における光の拡散等を補助させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、導光部の厚みが薄いと光源104からの入射光が導光部102内で十分に拡散せず、照光部103を均一に照光することができない。例えば、光源104近傍の照光部103表面だけが局部的に明るくなってしまい、光源104からの離れた面が暗くなってしまう。この傾向は照光部103の面積を大きくした場合、よりいっそう強くなる。
【0005】
このような問題をシート材107を付加するだけで解決することは難しく、より多くの光を照光部103に導光させるためには、LEDなどの光源を増設する必要がある。しかし、光源を増設した場合、電子機器の消費電流が増大する等の問題が発生する。また、単に導光部の厚みを厚くしただけでは、照光部構造全体の厚みを増大させ、最終的に携帯電子機器の厚みまで増大させてしまい、薄型軽量化の流れに逆行する。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は導光部の厚みだけを厚くすることができる照光部構造とそれを使用した携帯用電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の照光部構造は、ケース内部の回路基板上に収容された照光部構造において、光源と、前記ケースに形成された孔内に配置され、前記光源からの光をケース外部へ放射する照光部と、前記照光部の下に位置する部分が前記回路基板の孔内に挿入配置され、側面から入射される前記光源からの光を前記孔内に挿入された部分を介し前記照光部へ導く導光部と、前記導光部の側方の回路基板上に配置され、前記照光部が外部からプッシュされることに連動して動作するスイッチ部とを含む。
【0008】
前記導光部は回路基板上に延びる延長部を有し、照光部が外部からプッシュされた時、前記延長部が前記スイッチ部を操作するようにしてもよい。
【0009】
前記導光部に文字または図形を印刷し、または、刻印してもよい。
【0010】
また、本発明の携帯用電子機器は、ケースと、前記ケース内部の回路基板と、前記回路基板上に収容された照光部構造とを含む。そして、前記照光部構造は、光源と、前記ケースに形成された孔内に配置され、前記光源からの光をケース外部へ放射する照光部と、前記照光部の下に位置する部分が前記回路基板の孔内に挿入配置され、側面から入射される前記光源からの光を前記孔内に挿入された部分を介し前記照光部へ導く導光部と、前記導光部の側方の回路基板上に配置され、前記照光部が外部からプッシュされることに連動して動作するスイッチ部とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、導光部直下の回路基板に孔を設けることによって導光部の厚みを厚くしたので、光源からの光の導光・拡散効率を高めることができる。これにより、照光部を均一に照光することが可能となる利点が得られる。また、照光部の面積が広くなっても、光源を増設する必要がないので消費電流の増大を抑えることができる。さらに、反射シートなどのシート材を必要としないので、照光部構造を構成する部品数を少なくし、コストの軽減を図ることも可能である。以上のように、この発明は、より薄い照光部構造を要求するといった厳しい条件に対して有効であり、携帯電子機器の作動スイッチ部などに用いて好適である。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、照光部3に設けられた延長部を大きくすることによって、スイッチ部9が横に移動してもスイッチをプッシュすることができる。
【0013】
請求項5記載の発明によれば、電子機器の照光部に単に明るくさせるだけでなく、文字や模様等がボタン等が明るくなったときに浮かび上がって見えるようになる。これによってバラエティの富んだ商品の製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の第1の実施形態における照光部構造を示した断面図である。図1において、1は照光部構造全体を示す。2は照光部構造1における導光部、3は照光部である。また、4はLED等の光源、9は電子機器の作動スイッチなどに用いられるスイッチ部である。5は照光部構造の回路基板、6は本照光部構造1を内包する電子機器類のケースである。
【0015】
7は回路基板5に設けられた孔であり、本照光部構造1における独特のものである。回路基板5上には光源4、スイッチ部9が設置されており、それらを導光部2から突出した延長部が覆っている。導光部2は樹脂若しくはゴム等で成形され、乳白色をしている。また、導光部2は照光部3の下方を回路基板5内に設けた孔7まで厚みを増大させている。したがって、スイッチ部9は従来のように導光部2下に位置せずに、導光部2及び照光部3の側方の回路基板5上に設置されている。また、導光部2は、従来と同様にスイッチ部と接触する部分に凸状の突起を有する。
【0016】
照光部3は、上面が滑らかな凸面状になった直方体をしており、導光部2の平らな上面と接合した底面側には板状のストッパ部が付加されている。この照光部3は、樹脂若しくはゴム等で成形されて導光部2からの入射光を透過することができる。照光部3の例としては、電子機器表面に露出しているレンズやボタンなどがある。また、8は導光部2の底面であり、照光部3と接している面と反対に位置する。
【0017】
次に、図1を用いて実施の形態1における照光部構造1の動作について説明する。電子機器の使用者が、ケース6外に露出している照光部3の上面を押すことによって、照光部3は図1の下方に移動する。照光部3は導光部2の上面を押すことによって、回路基板5上で橋架け状態になっている導光部2を図1の下方に押す。このとき、導光部2の両縁は回路基板5で固定されているので、照光部3のストッパ部と接触している部分がたわむ。これによって、スイッチ部9の正面の導光部2の突起がスイッチ部9に触れ、電子機器が動作することによって光源4に給電する。また、光源104はスイッチ部108が押される時だけではなく、発着信時や充電時にも発光する。
【0018】
回路基板5上に設置されたLEDなどの光源4が発光すると、その光は導光部2に入射し、次いで導光部2内を導波・拡散して照光部3に入射する。この光の伝送は、照光部3の発光によって確認することができる。導光部2は上に述べたように乳白色をしており、入射した光が導光部2内で拡散する効率を高めることができる。さらに、本照光部構造1では回路基板5における孔7に導光部2の一部を埋め込んでいる。これによって、照光部3本体と接した導光部2を電子機器全体の厚みを増大させることなく、厚くすることが可能である。したがって、導光部2に入射した光は、導光部2の厚みによって従来以上に拡散するので、照光部3へ入射する光量も従来より増大する。これによって、照光部3の面積が広くなっても、光源を増設することなく一定の光源で照光部3を均一に照光することができる。
【0019】
尚、照光部3への反射効率を高めるために、導光部2の底面8に白色の印刷をしたり、あるいは白色テープを導光部2の底面8、または回路基板5の裏面に貼ることによってより高い効果を得ることができる。この場合、導光部2に何も付加しない場合と比べて、さらに広い範囲に対して光源4からの光を拡散することができる。
また、従来の照光部構造101では、照光部103の直下に作動スイッチなどのスイッチ部108が位置していたが、本照光部構造1では回路基板5に孔7を設けている。このため、スイッチ部9は導光部2の横に位置している。これに合わせて、導光部2のスイッチ部9を押すための突起も移動させている。
【0020】
<実施の形態2>
図2には、本発明の第2の実施形態である照光部構造の断面図を示している。図1では導光部2の上面だけに照光部3が設置されていたのに対して、図2における実施形態では、導光部2を挟んでその上下両方に照光部3が接して設けられている。さらに、これに伴ってケース6も上下両面に備えられる。
この照光部構造1を外部から見た場合、図2の構造では照光部3の表面がケース6の両面から見ることができる構造になっている。光源4は実施の形態1と同様に回路基板5の片側だけに実装されている。
【0021】
次に実施の形態2の動作について説明する。光源4が発光すると、上述した実施の形態1と同様に導光部2に入射し、導光部2内を拡散しながら導光する。導光部2内の光は導光部2の片面だけでなく両面に導光するので、上下面に設置されている2つの照光部3に伝送されて同時に照光する。
【0022】
<実施の形態3>
図3は、本発明の第3の実施形態である照光部構造を示した斜視図である。図3の照光部構造は、図1における導光部2の上面あるいは下面に「A」という文字のエッジを凹あるいは凸になるように彫り込みを設けたものである。その他については図1の照光部構造1の場合と同様である。
【0023】
次に本実施形態の動作について図1及び図3を用いて説明する。
図1における光源4が発光すると、その光は導光部2に入射する。ここで、図3における導光部2の底面8には「A」という文字があらかじめ刻印、あるいは印刷されている。このため、導光部2に入射した光が照光部3で照光される場合、照光部3においては「A」という文字が明るく照光された照光部表面に浮かび上がって表示されるようになる。また、導光部2に彫るものは文字だけに限らず、図形などの模様でもよい。これによって、照光部3を単に照光させるだけでなく、文字や模様などを照光部3の照光時に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の第1の実施形態を説明するための照光部構造の断面図である。
【図2】この発明の第2の実施形態を説明するための照光部構造の断面図である。
【図3】この発明の第3の実施形態を説明するための照光部構造の斜視図である。
【図4】従来の照光部構造を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 照光部構造
2 導光部
3 照光部
4 光源
5 回路基板
6 ケース
7 孔
8 導光部底面
9 スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内部の回路基板上に収容された照光部構造において、
光源と、
前記ケースに形成された孔内に配置され、前記光源からの光をケース外部へ放射する照光部と、
前記照光部の下に位置する部分が前記回路基板の孔内に挿入配置され、側面から入射される前記光源からの光を前記孔内に挿入された部分を介し前記照光部へ導く導光部と、
前記導光部の側方の回路基板上に配置され、前記照光部が外部からプッシュされることに連動して動作するスイッチ部と、
を含む照光部構造。
【請求項2】
前記導光部は前記回路基板上に延びる延長部を有し、前記照光部が外部からプッシュされた時、前記延長部が前記スイッチ部を操作することを特徴とする請求項1に記載の照光部構造。
【請求項3】
前記導光部の延長部は、前記照光部が外部からプッシュされた時、前記スイッチ部を押して操作する突起を有することを特徴とする請求項2に記載の照光部構造
【請求項4】
前記照光部は前記導光部の上面に密着することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の照光部構造。
【請求項5】
前記導光部に文字または図形を印刷し、または、刻印したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の照光部構造。
【請求項6】
ケースと、前記ケース内部の回路基板と、前記回路基板上に収容された照光部構造とを含む携帯用電子機器において、
前記照光部構造は、
光源と、
前記ケースに形成された孔内に配置され、前記光源からの光をケース外部へ放射する照光部と、
前記照光部の下に位置する部分が前記回路基板の孔内に挿入配置され、側面から入射される前記光源からの光を前記孔内に挿入された部分を介し前記照光部へ導く導光部と、
前記導光部の側方の回路基板上に配置され、前記照光部が外部からプッシュされることに連動して動作するスイッチ部と、
を含むことを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項7】
前記導光部は前記回路基板上に延びる延長部を有し、前記照光部が外部からプッシュされた時、前記延長部が変形し前記スイッチ部を操作することを特徴とする請求項6に記載の携帯用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−24577(P2006−24577A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251295(P2005−251295)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【分割の表示】特願2000−283990(P2000−283990)の分割
【原出願日】平成12年9月19日(2000.9.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】