説明

照明ユニット、照明装置、及び表示装置

【課題】導光板の光偏向要素を視認できなくするとともに、正面輝度を向上させる。
【解決手段】光源と、上記光源と対向する端面と光を観察者側に射出する射出面と入射した光を上記射出面に導く光偏向面とを備えた導光板と、導光板の射出面とは反対側の面かに配置された反射シートとを備えた面光源装置と、面光源装置の光射出面側に配置された集光シートと、を備えた照明ユニットである。上記光偏向面に、光偏向要素が2次元配置され、上記導光板の上記射出面側に導光板の端面から離れる方向に向けて延在する単位レンズが複数列形成され、上記集光シートの光射出面側に2次元的に配列された微細凹凸構造が形成され、集光シートの光入射面側から、ランバート光を入射したときの射出光の上記導光板の上記端面と垂直な方向に広がる光の角度分布の半値幅が、上記導光板の上記端面と平行な方向に広がる光の角度分布の半値幅よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に照明光路制御に使用される導光板と集光シートを備えた照明ユニット、照明装置並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の大型液晶テレビやフラットディスプレイパネル等においては主に、直下型方式の照明装置と、エッジライト方式の照明装置とが採用されている。直下型方式の照明装置は、光源として複数の冷陰極管やLED(Light Emitting Diode)が、パネルの背面に規則的に配置される。液晶パネル等の画像表示素子と光源との間には、光散乱性の強い拡散板が用いられ、拡散板によって光源としての冷陰極管やLEDが視認されないようにしている。
【0003】
一方、エッジライト方式の照明装置は、複数の冷陰極管やLED等の光源が、導光板と呼ばれる透光性の板の端面に配置される。一般的に、導光板の射出面(画像表示素子と対向する面)とは反対側の面には、該導光板の端面から入射する入射光を効率良く射出面へと導く光偏向面が形成され、その光偏向面に形成される光偏向要素としては、例えば白色のドットパターンが印刷されたもの、あるいは、レンズ形状が付与されたもの等、効率よく射出面へと導くために様々な光偏向要素が提案されている。
【0004】
しかしながら、エッジライト方式は、導光板と呼ばれる透光性の板の端面にのみ光源が配置される構造のため、光源設置数に限界がある。従って液晶表示装置が大型になるにつれ、ディスプレイ全体を明るくすることは難しくなり、輝度を向上させる光学シートの役割が重要となる。
液晶表示画面の輝度を向上させる手段として、米国3M社の登録商標である輝度向上フィルム(Brightness Enhancement Film:以下、BEFと呼ぶ)がレンズシートとして広く使用されている。
【0005】
特許文献1、2には、輝度向上フィルムとしてBEFをした例が記載されている。図6、及び図7は、特許文献1、2に記載された輝度向上フィルムを示すものである。図6には、概略で面光源182と、面光源182から出射した光を入射させる輝度向上フィルムとしてのBEF185と、液晶パネル184とが配設されている。図7に示すように、BEF185は、透明基材186上に断面三角形状の単位プリズム187が一方向に周期的に配列されてなる光学フィルムである。この単位プリズム187は、光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)に構成されている。
【0006】
BEF185は、“軸外(off-axis)”からの光を集光し、この光を観察者に向けて“軸上(on-axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”させることができる。すなわちBEF185は、液晶表示装置の使用時(観察時)に、軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させることができる。ここで言う「軸上」とは、図6において観察者の視覚方向Fに一致する方向であり、一般的には液晶パネル184の表示画面に対する法線方向側(液晶パネル184の厚さ方向)である。
【0007】
また、図5に示すように、BEFに代表されるレンズシート191を用いる際に、透明基材上に拡散フィラーが塗布された拡散フィルム190を、導光板100と上記レンズシート191との間に配置することによって、導光板100から出射される光の輝度ムラを抑えることができる。
ところで、エッジライト方式において使用される導光板100は、上述したとおり、射出面と対向する位置に光偏向面100bを備え、光偏向面100bには白色のドットパターンやマイクロレンズ(凹型、凸型)、その他レンズ形状の光偏向要素102が形成される。或いは、一次元方向、もしくは二次元方向に配列された溝、もしくは突起によって微小反射要素を形成し、これら微小反射要素の全反射によって光射出面側へ光を反射させて視覚方向F側へ光を射出させる構成など、様々なバリエーションの導光板100が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平1−37801号公報
【特許文献2】特開平6−102506号公報
【特許文献3】特開2004−295080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、どのような光偏向要素102であっても、規則的に、または規則性を有する擬似不規則的に配列された反射層や構造物で形成されるため、上述のBEFに代表されるレンズシートとの干渉(モアレ干渉縞)の問題や、光偏向面100bのムラが視認されるといった問題がある。そして、その解決手段としては、導光板100とレンズシート191との間に、特許文献3に示されるような拡散フィルム190を使用する方法が一般的である。
【0010】
しかし、拡散フィルム190を使用した場合、光偏向面100bのムラを効果的に抑えることが可能になるが、拡散フィルム190には集光特性がないため、拡散フィルム190とBEF185を組み合わせて使用するのが一般的であり、シート枚数の削減が難しく、コスト低減の障害となっている。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、導光板の光偏向面に形成される光偏向要素を隠蔽すると共に正面輝度を向上させることのできる導光板と集光シートを備えた照明ユニット、照明装置及びこの照明装置を用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、光源と、上記光源と対向する端面と該端面から入射した光を観察者側に射出する射出面と上記入射した光を上記射出面に導く光偏向面とを備えた導光板と、上記導光板における射出面とは反対側の面から射出する光を反射して上記導光板へ導く反射シートと、を少なくとも備えた面光源装置と、上記面光源装置の光射出面側に配置された集光シートと、を備えた照明ユニットであって、
上記光偏向面に、上記導光板に入射された光を上記射出面側へと導く光偏向要素が形成され、その光偏向要素は2次元配置されてなり、上記導光板の上記射出面側には、上記光源と対向する上記導光板の端面から離れる方向に向けて延在する単位レンズが複数列形成され、上記集光シートの光射出面側には、2次元的に配列された微細凹凸構造が形成されてなり、
上記集光シートの光入射面側から、ランバート光を入射したときの射出光の上記導光板の上記端面と垂直な方向に広がる光の角度分布の半値幅が、上記導光板の上記端面と平行な方向に広がる光の角度分布の半値幅よりも小さいことを特徴とする。
本発明による照明ユニットによれば、観察側から照明ユニットを目視した際に、導光板の光偏向面に形成される光偏向要素の像が視認できない上に、正面輝度を向上させることができる。
【0012】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記光偏向要素は、導光板の中央部側に比べて、導光板の端面側の方が疎に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、導光板の中央部へ光が伝搬し易くなる。この結果、輝度ムラを解消可能となる。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記光偏向要素は、白色インキにより2次元的に形成された反射パターンであることを特徴とする。
本発明による照明ユニットによれば、観察側から照明ユニットを目視した際に、導光板の光偏向面に形成される光偏向要素の像が視認できない上に、正面輝度を向上させることができる。
【0013】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した構成に対し、上記光偏向要素は、2次元的に配列された凹構造、もしくは凸構造であることを特徴とする。
本発明による照明ユニットによれば、観察側から照明ユニットを目視した際に、導光板の光偏向面に形成される光偏向要素の像が視認できない上に、正面輝度を向上させることができる。
【0014】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した構成に対し、上記集光シートの光射出面側に形成された微細凹凸構造は、回転楕円体の一部からなることを特徴とする。
本発明による集光シートを備えた照明ユニットによれば、観察側から照明ユニットを目視した際に、導光板の光偏向面に形成される光偏向要素の像が視認できない上に、正面輝度を向上させることができる。
【0015】
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した構成に対し、上記集光シートの光射出面側に形成された微細凹凸構造は、クロスレンチキュラーレンズであることを特徴とする。
本発明による集光シートを備えた照明ユニットによれば、観察側から照明ユニットを目視した際に、導光板の光偏向面に形成される光偏向要素の像が視認できない上に、正面輝度を向上させることができる。
【0016】
次に、請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した構成に対し、上記集光シートの光射出面側に形成された微細凹凸構造は、一次元的に配列されたプリズムと、2次元的に配列されたマイクロレンズの組み合わせからなることを特徴とする。
本発明による集光シートを備えた照明ユニットによれば、観察側から照明ユニットを目視した際に、導光板の光偏向面に形成される光偏向要素の像が視認できない上に、正面輝度を向上させることができる。
【0017】
次に、請求項8に記載した発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の照明ユニットと、その照明ユニットの光射出面側に配置された反射型偏光分離シートとを備えることを特徴とする照明装置を提供するものである。
反射型偏光分離シートを備えた場合、照明ユニットから出射した光を偏光させることができる。
【0018】
次に、請求項9に記載した発明は、請求項8に記載の照明装置と、その照明装置の光射出面側に配置されて表示画像を規定する画像表示素子と、を備えることを特徴とする表示装置を提供するものである。
本発明による表示装置によれば、観察側から目視した際に、面光源装置から出射した光を、集光シートによって導光板の光偏向面に形成される光偏向要素を視認できないように隠蔽すると共に正面輝度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による導光板と集光シートを用いることで、照明ユニット、照明装置並びに該照明装置を用いた表示装置の正面輝度が上昇し、かつ、観察側から目視した際に導光板の光偏向面に形成される光偏向要素が視認されなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る照明ユニット及び照明装置を含む液晶表示装置である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る照明ユニットにおける導光板の一例を表す斜視図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係る導光板と集光シートの一例を表す図であり、(a)は斜視図、(b)は視覚方向Fから眺めた図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係る集光シートを示す斜視図であり、(a)は、集光シートがクロスレンチキュラーシートの場合の斜視図、(b)は、集光シートがマイクロレンズとプリズムの組み合わせからなる場合の斜視図である。
【図5】従来技術によるBEFを含む液晶表示装置の配置構成を示す要部断面図である。
【図6】面光源とBEF、液晶表示装置を表す概略図である。
【図7】BEFの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態による表示装置としての液晶表示装置1を示す要部縦断面図である。図1に示す装置は、画像表示素子が液晶表示素子の場合の例である。
この液晶表示装置1は、面光源装置2及び集光シートを備える照明ユニット、その観察者側に配置される反射型偏光分離シート5、画像表示素子6が、光の進行方向に向けて順次配置されている。画像表示素子6の更に光の進行方向前方側が視覚方向Fとされる。
【0022】
上記画像表示素子6は、例えば液晶画像を表示する液晶表示素子からなる。
ここで、上記照明ユニット7と反射型偏光分離シート5とで照明装置8を構成する。なお、図1は、模式図であり、各構成の縮図は実際のものとは一致しない。
面光源装置2は、光源11,導光板10、及び反射板9を備える。例えば、平板形状をなす導光板10の厚み方向と直交する方向を向く端面10aに、光源11が配設され、その導光板10の背面側に反射板9が設けられている。このように、本実施形態の照明ユニット7には、エッジライト方式が採用されている。
【0023】
光源11として例えば点状光源が用いられる。点状光源としては、例えばLEDが用いられ、LEDとしては白色LEDやRGB−LEDや、有機EL光源等を採用できる。或いは、光源11はCCFLに代表される蛍光管であっても良い。図1では、導光板10の一辺を構成する端面10aにだけ配置された例を示しているが、これに限定しない。2辺以上の端面10aに対向して光源を配置してもよい。また導光板10の形状は、平板形状に代えて楔形状等であっても良い。
【0024】
導光板10の視覚方向Fの射出面10bとは反対側の面には光偏向面10cが形成されている。その光偏向面10cには、光源11から導光板10へ入射する光を射出面10b側へ偏向する光偏向要素13が形成される。導光板10の上記光偏向要素13は、例えば図2に示すように、二次元的に配列する。また光偏向要素13は、例えば、断面が円(立体形状では球)、もしくは楕円(立体形状で回転楕円体)の一部からなる凹構造、もしくは凸構造を2次元的に配列する。或いは、断面が三角形(立体形状で円錐、三角錐、四角錐等)、断面が双曲線、放物線、多項式関数で記述される曲線からなる立体形状や、断面が台形形状(立体形状で円錐台、角錐台)、或いは断面が変形を加えた三角形状(例えば、扇形、或いは頂点が丸みを帯びた三角形状)からなる立体形状としても良い。或いは、白色インキを印刷、もしくはインクジェット法等によってドット状の白色反射パターンを2次元的に形成しても良い。
【0025】
導光板10に形成される光偏向要素13は、導光板10の端面10a近傍ではピッチが大きくなるように、つまり疎に配列し、且つ端面10aから離れた位置のピッチが小さくなるように、つまり密に配列するのが望ましい。すなわち、光偏向要素13は、導光板10の中央部側に対し、当該の光源が対向する端面10aの近傍では、疎となるように配置する。このように、光源11の近傍では光偏向要素13を疎に形成することで、導光板の中央部へ光が伝播しやすくなり、導光板10の中央部付近の正面輝度を高め、輝度ムラを解消することが可能になる。光偏向要素の配列ピッチは、光源11からの距離の関数、例えば4次以上の多項式関数とすることで、光源11からの距離にかかわらず正面輝度が一定となるような導光板10を得ることが可能になる。
導光板10の射出面10bには、単位レンズ14が、導光板10の第二の方向に延在するように複数形成される。ここで、以後の説明では、端面10aの長手方向と平行な方向を第一の方向、その第一の方向と交差する方向、例えば直交する方向を第二の方向と記述する。
【0026】
単位レンズ14は、導光板10の光偏向要素13で反射した光を、視覚方向Fへ集光して射出することにより、導光板10の正面輝度を高めることができる。光偏向要素13で反射した光が単位レンズ14に入射すると、単位レンズ14の屈折作用により第一の方向に広がった光が視覚方向Fへ集光されて射出される。一方、第二の方向に広がった光は、第二の方向には凹凸構造が無いため、集光されずに導光板10から射出される。単位レンズ14の形状は、例えば第二の方向に延在するプリズムとする。或いは曲面形状であってもよい。単位レンズ14をプリズムとする場合、その頂角は、あまり小さすぎても大きすぎても好ましくない。頂角が小さすぎると、斜面から斜めへ漏れる光が増大し、光のロスにつながる。一方、頂角が大きすぎると、プリズムでうまく視覚方向Fへ光が立ち上げられず、正面輝度が低下する。正面輝度を向上させるために、プリズムの頂角は例えば90°とするのが好ましい。
【0027】
導光板10の射出面10b側には、図3に示すように、当該射出面10b側と対向するように、集光シート4が配置される。集光シート4の光射出面側には、2次元的に配列された微細凹凸構造4aが形成される。集光シート4は、入射面側に仮想的なランバート光源を置いて、ランバート光を入射したとき、第一の方向に広がる光よりも、第二の方向に広がる光を相対的に強く視覚方向Fへ集光することを特徴とする。つまり、集光シート4の射出光の第二の方向への広がりの半値幅が、第一の方向への広がりの半値幅よりも小さくなる。ここで、半値幅とは、集光シート4の鉛直方向に射出する光量を基準としたときに、光量が半減する角度を表す。
【0028】
集光シート4に形成される微細凹凸構造4aは、例えば図3(a)に示すように、底面が楕円形状の楕円半球からなるマイクロレンズを互いに重ならないようにして多数形成したものとする。微細凹凸構造4aは、楕円半球に限らず、例えば断面が放物線や双曲線、多項式関数で記述される曲線からなる立体形状としても良い。微細凹凸構造4aの底面は、楕円形状に限らず、例えば長方形としても良い。底面の長軸、もしくは長辺方向は、第一の方向と平行になるように配列する。図3(b)は集光シート4に形成される微細凹凸構造4aが楕円マイクロレンズの場合において、視覚方向Fから眺めたときの図である。
【0029】
或いは、図4(a)に示すように、微細凹凸構造4aを一軸方向に延在するシリンドリカルレンズを交差させたクロスシリンドリカルレンズとしても良い。この場合、導光板10の第一の方向に延在するシリンドリカルレンズ41は、集光性の強いシリンドリカルレンズとし、第二の方向に延在するシリンドリカルレンズ42は、集光性の弱いシリンドリカルレンズとする。集光性の強いシリンドリカルレンズとは、例えば、傾斜角が急峻で、アスペクト比の高いレンズである。一方、集光性の弱いシリンドリカルレンズとは、例えば、傾斜角の緩やかで、アスペクト比の低いレンズである。第一の方向に延在するシリンドリカルレンズは、集光性をさらに上げるためにプリズムとしても良い。
【0030】
或いは、図4(b)に示すように、略半球状、略楕円半球状のマイクロレンズ43を規則的に、若しくはランダムに、互い重ならないようにして敷き詰め、マイクロレンズの詰まっていない平坦部分にプリズム44を、第一の方向に延在するように配列しても良い。
導光板10は単位レンズ14によって第一の方向に広がった光を集光して射出し、第二の方向に広がった光は集光せずに射出する。集光シート4は、単位レンズ14で集光されない第二の方向に広がった光を選択的に集光し、効果的に正面輝度を上昇させることができる。一方、第一の方向に広がった光は、第二の方向に広がった光と比べて相対的に弱く集光される。第一の方向に広がった光は、導光板10に形成された単位レンズ14によって既に集光されているため、集光シート4によって必要以上に強く集光すると、第一の方向への光の角度分布が狭くなり、照明ユニットの品位を損ねてしまうからである。
【0031】
また、集光シート4は、光偏向要素13の隠蔽効果も優れる。導光板10の光偏向要素13は、端面10aからの距離に応じて粗密配置される。このため、光偏向要素13が疎に配置される領域において、導光板10を光射出面側から見たときに、光偏向要素13が視認されやすくなる。集光シート4は、導光板10から射出した光が、二次元方向に屈折させることで、視覚方向F側から集光シート4を通して導光板10の光偏向要素13を眺めたときに、光偏向要素13の像が2次元的に広がって視認できなくすることができる。
【0032】
本実施形態による照明ユニット7に含まれる導光板10は、透明性の高いアクリル系の材料を用いるのが良く、特にPMMA(ポリメチルメタクリレート)は透明性が高いため好ましい。但し、透明性の高い材料であれば、これに限定されることはない。導光板10は、この技術分野では良く知られている押出成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって成型する。導光板10の光偏向面10cに形成される光偏向要素13は、これらの方法で一体成型することができる。光偏向要素13は、凹凸構造を機械切削等で形成した金型の版を用いて成型する方法、もしくは、UV硬化樹脂や放射線硬化樹脂等を用いて凹凸構造を成形した樹脂版の型を使用して、成型する樹脂材料と樹脂版の型を圧着させて成型する方法でも良い。
【0033】
集光シート4は、UV硬化樹脂や放射線硬化樹脂等を用いて成形されるか、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PAN(ポリアクリロニトリル共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)等を用いて、この技術分野では良く知られている押出成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって一体で形成することができる。あるいは、UV硬化樹脂や放射線硬化樹脂等を用いてレンズ形状を成形した樹脂版の型を使用して、成型する樹脂材料と樹脂版の型を圧着させて押し出すことにより成型しても良い。
【0034】
さらに、照明ユニット7の光射出面側に反射型偏光分離シートを載せて、照明装置8が構成される。
反射型偏光分離シートとしては、例えばDBEF(3M社登録商標)に代表されるような反射型偏光分離シートを使用する。反射型偏光分離シートは、液晶パネルの偏光板で吸収される偏光成分を持つ光を反射し、偏光板を透過する偏光成分を持つ光のみを透過させることができるため、液晶ディスプレイの輝度を効率的に高めることができる。
【0035】
また、画像表示素子6は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する素子であることが好ましい。画素単位で光を透過/遮光して画像を表示するものであれば、本実施形態による照明ユニット7により、画像表示素子6を透過する画像の視覚方向Fへの輝度が向上し、さらに、光偏向要素13が視認できなくなり、画像品位の高い画像を表示させることができる。
なお、画像表示素子6は液晶表示素子であることが好ましいが、他の画像表示素子で有っても良い。
【0036】
液晶表示素子を画像表示素子6と同一の符号を用いて説明すると、図1に示すように、液晶表示素子6は液晶パネル22の前後に偏光板23,23が積層して構成されている。液晶表示素子6は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する代表的な素子であり、他の表示素子に比べて画像品位を高くすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
なお、本発明における集光シート4は、液晶表示装置1としてのテレビ以外にも、例えば、室内や屋外の照明用途としても利用できる。特に、集光シート4を組み込んだ照明ユニット7は、明るさのムラがなく正面輝度の高い光を発光できるので、屋内や屋外の特定空間を均一に明るく照明することができる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明の実施例として、導光板10、集光シート4を用いた照明ユニット7を製作して、正面輝度の評価と、光偏向要素13の視認性の評価を行った。
PMMA樹脂の押し出し成型により、以下に示す導光板A、導光板Bを作製した。板厚は全て3mm厚とし、形状は、長辺が540mm、短辺が310mmの長方形形状の板形状とした。
【0038】
<導光板A>
導光板Aの光偏向面10cに対し、半球の一部からなり、直径70μm、アスペクト比が0.2の凹部からなる光偏向要素13を正方配列した。ここで、アスペクト比=(高さ/底面の直径)とする。
光偏向要素13の配列ピッチは、長辺と平行な方向のピッチは70μmで一定とし、短辺と平行な方向のピッチは、LED側の端面付近で70μm、LEDと逆側の端面で600μmとした。導光板の射出面10bには、ピッチ50μmで頂角90°のプリズムを延在方向が短辺と平行になるように配列した。
【0039】
<導光板B>
押し出し成型により作製した導光板Bの光偏向面10cに対し、円形パターンの白色ドットを粗密配置した。白色ドットは、光反射性白色インキをスクリーン印刷することで作製した。白色ドットは六方配列し、最近接ドット同士の間隔は1.1mmに固定した。一方、ドットの直径はLED側から遠ざかるにつれて徐々に増大させた。ドットの直径は、LED側の端面近傍で0.3mm、LEDと逆側の端面近傍で0.8mmとした。導光板の射出面10bには、ピッチ50μmで頂角90°のプリズムを延在方向が短辺と平行になるように配列した。
また、ポリカーボネート樹脂の押し出し成型により、以下の集光シートA、集光シートBを作製した。
【0040】
<集光シートA>
微細凹凸構造4aとして、楕円球の一部からなるマイクロレンズを最密充填した集光シート4を作製した。マイクロレンズの底面の長軸は70μm、短軸は50μmとし、長軸が導光板10の長辺と平行になるように揃えて配列した。
<集光シートB>
微細凹凸構造4aとして、半球の一部からなるマイクロレンズを、充填率70%でランダムに配列し、マイクロレンズの形成されない平坦部分に頂角90°のプリズムを、延在方向が導光板10の長辺と平行になるように配列した。マイクロレンズは直径120μm、アスペクト比0.5とし、プリズムは底辺の幅を50μmとした。
照明ユニット7を次のように作製した。
【0041】
<照明ユニット7の作製>
導光板10の一方の長辺側の端面と対向するようにLEDを複数配列した。さらに、導光板10の光偏向面10cと対向するように、白色反射シートを配置した。導光板10の光射出面10bと対向するように、集光シート4を配置した。
(実施例1)
導光板10として、導光板Aを配置した。また、集光シート4として集光シートAを配置した。
(実施例2)
導光板10として、導光板Aを配置した。また、集光シート4として集光シートBを配置した。
(実施例3)
導光板10として、導光板Bを配置した。また、集光シート4として集光シートAを配置した。
(実施例4)
導光板10として、導光板Bを配置した。また、集光シート4として集光シートBを配置した。
【0042】
(比較例1)
導光板10として、光射出面10bが平坦面である導光板10を配置した。光偏向要素13は、導光板Bで作製したものと同様の白色ドットを形成した。また、集光シート4として、半球の一部からなるマイクロレンズ(アスペクト比0.5)が充填率87%でランダムに配列するマイクロレンズシートを作製し、導光板10の光射出面10bと対向する位置に配置した。
【0043】
(比較例2)
導光板10として、光射出面10bが平坦面である導光板10を配置した。光偏向要素13は、導光板Bで作製したものと同様の白色ドットを形成した。また、集光シート4として、プリズムの延在方向が導光板10の長辺と平行になるように配列したプリズムシートを、導光板10の光射出面10bと対向する位置に配置した。
【0044】
<正面輝度の評価>
実施例1〜4、比較例1〜2による照明ユニット7の正面輝度の測定と外観評価を行った。その結果を表1に記す。
【0045】
【表1】

【0046】
正面輝度の測定に際して、輝度測定器としてTOPCON製分光放射輝度計SR3を使用した。評価に際して、正面輝度は、比較例1を用いた照明ユニット7の正面輝度の測定値を1に規格化している。
外観評価では、照明ユニット7を視覚方向Fから眺めたときに、光偏向要素13の像が視認された場合は×、視認されない場合は○とした。
【0047】
表1から分かるように、実施例1〜4における導光板10と集光シート4を組み込んだ照明ユニット7の正面輝度は、比較例1を組み込んだものと比べて、正面輝度が上昇し、なおかつ光偏向要素13が視認されなかった。一方、比較例2は、正面輝度は高いが、光偏向要素13が視認された。
以上の結果のように、本発明の導光板10と集光シート4を組み合わせた照明ユニット7の正面輝度は、比較例1のような一般的な導光板とマイクロレンズシートを組み合わせた場合よりも正面輝度が上昇することが確認された。また、集光シート4に二次元微細構造が形成されるため、導光板10の光偏向要素13が視認されないことを確認した。
【符号の説明】
【0048】
1 液晶表示装置
2 面光源装置
4 集光シート
4a 微細凹凸構造
5 反射型偏光分離反射シート
6 液晶表示素子
7 照明ユニット、
8 照明装置
9 反射板
10 導光板
10a 端面
10b 光射出面
10c 光偏向面
11 光源
13 光偏向要素
14 単位レンズ
22 液晶パネル
23 偏光板
41 集光性の強いシリンドリカルレンズ
42 集光性の弱いシリンドリカルレンズ
43 マイクロレンズ
44 プリズム
100 導光板
100a 射出面
100b 光偏向面
101 光源
102 光偏向要素
182 光源
184 液晶パネル
185 BEF
186 基材
187 プリズム
190 拡散シート
191 レンズシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、上記光源と対向する端面と該端面から入射した光を観察者側に射出する射出面と上記入射した光を上記射出面に導く光偏向面とを備えた導光板と、上記導光板における射出面とは反対側の面から射出する光を反射して上記導光板へ導く反射シートと、を少なくとも備えた面光源装置と、
上記面光源装置の光射出面側に配置された集光シートと、を備えた照明ユニットであって、
上記光偏向面に、上記導光板に入射された光を上記射出面側へと導く光偏向要素が形成され、その光偏向要素は2次元配置されてなり、
上記導光板の上記射出面側には、上記光源と対向する上記導光板の端面から離れる方向に向けて延在する単位レンズが複数列形成され、
上記集光シートの光射出面側には、2次元的に配列された微細凹凸構造が形成されてなり、
上記集光シートの光入射面側から、ランバート光を入射したときの射出光の上記導光板の上記端面と垂直な方向に広がる光の角度分布の半値幅が、上記導光板の上記端面と平行な方向に広がる光の角度分布の半値幅よりも小さいことを特徴とする照明ユニット。
【請求項2】
上記光偏向要素は、導光板の中央部側に比べて、導光板の端面側の方が疎に配置されていることを特徴とする請求項1に記載した照明ユニット。
【請求項3】
上記光偏向要素は、白色インキにより2次元的に形成された反射パターンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した照明ユニット。
【請求項4】
上記光偏向要素は、2次元的に配列された凹構造、もしくは凸構造であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した照明ユニット。
【請求項5】
上記集光シートの光射出面側に形成された微細凹凸構造は、回転楕円体の一部からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した照明ユニット。
【請求項6】
上記集光シートの光射出面側に形成された微細凹凸構造は、クロスレンチキュラーレンズであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した照明ユニット。
【請求項7】
上記集光シートの光射出面側に形成された微細凹凸構造は、一次元的に配列されたプリズムと、2次元的に配列されたマイクロレンズの組み合わせからなることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した照明ユニット。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の照明ユニットと、その照明ユニットの光射出面側に配置された反射型偏光分離シートとを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項8に記載の照明装置と、その照明装置の光射出面側に配置されて表示画像を規定する画像表示素子と、を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−221892(P2012−221892A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89427(P2011−89427)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】