説明

照明付きの透明材料から成る流出口を有する衛生器具

衛生器具は、給水路と、少なくとも1つの操作要素と、流出口(13、23)とを有し、流出口は透明材料(14、24、34、44)から少なくとも部分的に成る。さらに、光を透明材料(14、24、34、44)内へ組入れる照明装置(12、22、32、42)が設けられる。このようにして、簡単な技術的手段によって、使用者用の衛生器具の魅力を高める多くの新しい設計可能性が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水路と、少なくとも1つの操作要素と、流出口とを有する衛生器具であって、流出口が透明材料から少なくとも部分的に成る衛生器具に関する。
【背景技術】
【0002】
給水路と、水量及び水温を調整するために使用される操作要素と、流出口とを備える例えば片腕レバー混合器のような衛生器具が知られている。通常、このような衛生器具の流出口は金属製である。しかし、特により高価な器具では、ガラスのような透明材料も使用される。このように、例えば、流出口がガラス製の流出口ディスクとして形成される衛生器具が公知であり、給水路は流出口ディスクのディスク面に配置された孔を通過して流出口に通じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、冒頭に述べた種類の衛生器具を発展することである。特に、追加のディスプレイ機能が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、これは、光を透明材料内へ組入れる照明装置が設けられることによって達成される。
【0005】
光が透明材料内へ組入れられることによって、透明材料は光ファイバとして作用し、その結果、光の一部は透明材料の内部で案内されて、対向する前面で流出し、一方、光の他の部分は、光路に沿って透明材料の表面を通過して流出して、透明材料にこのように効果的な照明効果を付与する。このようにして、簡単な技術的手段によって、使用者用の衛生器具の魅力を高める多くの新しい設計可能性が開示される。さらに、特に暗い状態において、使用者は流出口をより良く見ることができる。
【0006】
光は、透明材料の前面を介して有効に組入れることができる。このような構造は簡単に製造でき、かつ保守が簡単である。
【0007】
また、照明装置を透明材料内に埋設することができる。これによって、照明装置を水分の浸入から特に良く保護することができる。
【0008】
照明装置は少なくとも1つの発光ダイオードを含むことが好ましい。発光ダイオードは、著しく寿命が長く、寿命がつきるまでは、発光ダイオードは非常に強い光の仕様で利用可能である。
【0009】
第1の実施形態では、流出口は上方に開いた溝として形成され、この溝には透明材料が少なくとも部分的に内張りされる。
【0010】
また、溝の底部も、透明材料から完全に作ることができる。
【0011】
第2の実施形態では、流出口は、公知の方法で流出口ディスクとして形成され、給水路は、流出口ディスクのディスク面に配置された孔を通過して流出口に通じる。流出口ディスクは、透明材料から成り、照明装置は孔の内側に取付けられる。
【0012】
操作要素の操作状態に応じて照明装置を制御する制御装置が設けられることが好ましい。操作要素を介して水流が作動されたとき、制御装置は照明装置のスイッチを入れることができる。さらに、有利な実施形態では、制御装置は、操作要素を介して設定された水温に基づき、組入れられる光の色を制御することができる。これによって、温度が使用者に簡単に表示される。
【0013】
例えば彫り込みにより透明材料の表面内に光出口面を導入することによって、魅力的な効果が達成される。このことにより、書体その他の形状を表示することが可能になる。
【0014】
透明材料の表面に被覆された発光性のフィルムによって、特に効果的な効果を達成することができる。このようなフィルムを用いて、強く光るオブジェクト(目的物)を示すことができ、このオブジェクトは、透明材料からなる流出口に比較して明るいため自由に浮かぶオブジェクトの幻影を与える。
【0015】
透明材料が長手方向にテーパになっている場合、別の利点が達成される。その場合、より多くの光が、水が流れる透明材料の表面を通過して流出し、これにより、さらに印象的な光の効果がもたらされる。
【0016】
さらに、表面は一部が鏡面であることができる。これによって、透明材料内部の光の伝達が改良され、表面を通過して流出する光の部分は、流出口の全長にわたってより良く分布することができる。
【0017】
さらに、透明材料は下側で鏡面とすることができる。これによって、観測者と反対側の透明材料の下側を通過して光が流出することが防止され、したがって光が「失われる」ことが防止される。
【0018】
さらなる実施形態では、鏡が透明材料の下に規定間隔で取り付けられ、また照明装置は、鏡と透明材料との間の多重反射を介して光が長手方向に透明材料内に組入れられるように配置される。同様に、このようにして、印象的な効果を達成でき、透明材料の表面を通過して長手方向に流出する光の量が最適化される。
【0019】
以下に、図面を参照して本発明の様々な実施例について詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1aに概略的に示した第1の実施例では、衛生器具10は器具本体11を有し、この器具本体はそれに対し直角に延びる流出口13を有する。流出口13は、上方に開いた溝として形成され、溝の内側には、透明の内張り14が設けられる。器具本体11内に、透明の内張り14の前面の内部へ光を組入れられる発光ダイオード対12が配置される。さらに、衛生器具10は、水流の体積流量及び温度を調整するための公知の種類の操作要素と、建物側の温水及び冷水供給部に接続されるそれぞれ1つの温水及び冷水供給部とを有する。操作要素及び水供給部は、ここでは重要でないので図示していない。
【0021】
操作要素を介して水流が作動されると、水は、器具本体11を通過して、溝として形成された流出口13に流入し、溝の端部で水流15として流出する。
【0022】
図1bに、衛生器具10の平面図が示されている。図1cは、流出口13の断面を示している。透明の内張り14は、第1の実施例ではU字形状として形成され、溝の内面全体を覆う。しかし、代わりに、溝の底面又は側面のみに、透明材料からなる「舌部」を設けて設計することもできる。透明材料としては、ガラス又はアクリルガラスならびに他の透明のプラスチックが適している。
【0023】
操作要素により水流が作動されたとき、図示していない制御装置を介して発光ダイオード12にスイッチが入れられる。発光ダイオード12は、貼付けられたそれぞれ1つのレンズ12’を有し、このレンズは発光ダイオード12の光をビーム化して、透明の内張り14の前面の内部へ組入れる。光りの一部は、溝に沿って透明の内張り14内で案内され、水流15と共に流出口13の端部で流出する。光の他の部分は、透明の内張り14の表面を通過して光路に沿って流出し、このように、溝内で流れる水流に快い微光を付与する。
【0024】
外側から透明の内張り14の前面に光を組入れる代わりに、発光ダイオード12を透明の内張り14内に埋設して、内張りを内側から照らすことができる。特に、透明のプラスチックを内張り14として使用する場合、発光ダイオード12を透明のプラスチックに一体成形することが可能である。同様に、発光ダイオード12を透明の内張り14内の側方のくぼみに収容することができる。
【0025】
別の変形例では、溝は、図に示したよりも幾分広く形成され、また透明の内張り14の代わりに、透明材料から完全に成る溝底部を備えることができる。同様に、溝13全体も透明材料から製造することができる。
【0026】
本発明の発展形態では、2つの発光ダイオード12では、複数色の発光ダイオードが対象とされ、これらの発光ダイオードは、放射光の色構成が温度と共に変更されるように、水流15の設定水温に応じて図示していない制御装置によって制御される。
【0027】
図2には、流出口ディスク24を備える衛生器具用の流出口23が示されている。流出口ディスク24は、より良く表示するために、直径に沿って切り開いて示され、また切断面にハッチ線を付けて示されている。しかし、実際は、流出口ディスク24は丸い。流出口ディスク24それ自体はガラスから成り、中央孔26を有する。リング状の保持部22’が中央孔26内に挿入され、一列の発光ダイオード22を収容する。バッフルプレート27が孔26の中央に取り付けられる。衛生器具が使用されるとき、水は、水供給管(ここでは図示せず)から、バッフルプレート27と保持部22との間の中間空間25を通過して流れて、流出口ディスク24を充填することができる。流出口ディスク24は、水平に対し傾斜して器具本体に取り付けられ、その結果、衛生器具が使用されるとき、水流は、流出口ディスク24の下方に傾く縁部を越えてカーテンのように流れる。バッフルプレート27には、ここに図示していない操作要素も取り付けることができる。
【0028】
保持部22’にはめ込まれ発光ダイオード22は、前面を通過して、孔26に沿って流出口ディスク24内へ光を組入れる。光の一部は、ガラス製の流出口ディスク24内に案内され、外側に向けられた前面24’で流出する。光りの他の部分はガラス内で散乱させられ、光路に沿って流出口ディスク24の表面を通過して流出し、これによって、流出口ディスクに快い微光を付与する。
【0029】
前の実施例と同様に、発光ダイオード22は、図示しない制御装置によって制御される。
【0030】
流出口ディスク24は内部から発光ダイオード22で照明されるので、流出口ディスク自体がディスプレイ要素として機能する。例えば、レーザを用いて材料を切り込むことによって、光出口面を流出口ディスク24に設けることができる。この場合、例えば同心のリングのような多くの図形及び図案が考えられる。また、流出口ディスク24は、強く光るオブジェクトを表示できる特別な発光性のポリエステルフィルムで被覆することもできる。流出口ディスクの透明性及びオブジェクトの明るさにより、空間で自由に浮かぶオブジェクトの幻影を創ることができる。こうして、例えば、製造業者の書体又はホテルの名前を提供できる。
【0031】
第1の実施例のように、制御装置を介して、混合水温度に応じて発光ダイオード22の色を変更することができる。
【0032】
図3には、流出口用のくさび形の透明要素34が示され、この透明要素は、図1aのように溝として形成された流出口の底部を内張りするために、例えば透明の「舌部」として使用することができる。光源32、例えば発光ダイオードが図3の左前面に取り付けられ、光を透明要素34内に組入れる。
【0033】
くさび形の経路により、透明要素34の表面34’、34”の間で多重反射が行われる。各々の反射の際に、表面34’を通過して光39の一部が流出し、一方、残りの部分は反射して要素内に戻される。このことにより、表面34’を通過して流出する部分の光39の効果が高められる。平行な平面を持つ表面では、光は本質的に散乱する。水が表面34を流れると、興味深い光効果が示され、観測者には、「素早く運動する」水流の印象が与えられる。
【0034】
この効果は、表面34’の一部が鏡面にされることによって、なお高めることが可能である。ガラス体では、表面34’を磨き上げることでさらに十分である。その理由は、ガラス体の表面は、高鏡面仕上げを有しており、ガラスと空気又は水との間の磨き上げた界面において、すでに十分な反射が生じるからである。
【0035】
下側34”に鏡面を備えることによって、さらなる改良が達成される。これにより、下側34”において光が流出できず、代わりに光が完全に反射して要素34内に戻される。
【0036】
変形例では、鏡48は、透明要素44から規定の間隔に配置され、この場合、間隔は、要素44の長手方向に低減できる。透明要素44は、ここでは簡単なガラスプレートである。透明要素の下側は高鏡面に磨かれる。光源42は、透明要素44と鏡48との間の空隙に光を放出し、この結果、透明要素44と鏡48との間に多重反射が生じる。光の一部49は、各々の反射の際に透明要素44を通過し、観測者によって認識される。
【0037】
水が、鏡により下から照らされる透明要素44の近くを流れるか又は通過すると、運動する水を通過して追加の光の屈折が生じる。これによって、以前の安定した光源の像が水の運動を受取る。これが、観測者に流水の印象を強める。
【0038】
図4に示した構成では、鏡48と透明要素44との間の間隔は、必ずしも低減する必要はない。同様に、鏡及び透明要素の両方は平行に配置できるか、あるいはそれらの間隔は、長手方向にわずかに拡大できるが、この理由は、この場合も、なお同様に対応する多重反射が生じることができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1a】第1の実施例の部分的に切断した本発明による衛生器具の側面図である。
【図1b】図1aの衛生器具の平面図である。
【図1c】図1aの線I−Iに沿った図1aの衛生器具の流出口の断面図である。
【図2】第2の実施例の衛生器具用のガラスディスクの形態の切り開いた流出口の等角投影図である。
【図3】流出口のくさび形に形成された透明要素内の光伝達の図面である。
【図4】透明要素から離間した鏡における多重反射を介した流出口の透明要素の長手方向の光の組入れの図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路と、少なくとも1つの操作要素と、流出口(13、23)とを有する衛生器具であって、前記流出口(13、23)が透明材料(14、24、34、44)から少なくとも部分的に成る衛生器具において、
光を前記透明材料(14、24、34、44)内へ組入れる照明装置(12、22、32、42)を特徴とする衛生器具。
【請求項2】
前記照明装置(12、22、32、42)が、光を前記透明材料(14、24、34、44)の前面内へ組入れることを特徴とする請求項1に記載の衛生器具。
【請求項3】
前記照明装置(12、22、32、42)が、前記透明材料(14、24、34、44)内に埋設されることを特徴とする請求項1に記載の衛生器具。
【請求項4】
前記照明装置(12、22、32、42)が、1つ又は複数の発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項5】
前記流出口(13)が、上方に開いた溝として形成され、該溝が少なくとも部分的に透明材料(14)で内張りされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項6】
前記流出口(13)が、上方に開いた溝として形成され、該溝の底部が前記透明材料(14)から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項7】
前記流出口(23)が、前記透明材料から成る流出口ディスク(24)を備え、前記給水路が、前記流出口ディスクのディスク面に配置された孔(26)を通過して、前記照明装置(22)が前記孔(26)の内側に取付けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項8】
前記操作要素の操作状態に応じて前記照明装置(12、22、32、42)の特性を制御する制御装置が設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項9】
前記操作要素を介して水流が作動されたとき、前記制御装置が前記照明装置(12、22、32、42)のスイッチを入れることを特徴とする請求項8に記載の衛生器具。
【請求項10】
前記制御装置が、前記操作要素を介して設定された水温に基づき、組入れられる光の色を制御することを特徴とする請求項8又は9に記載の衛生器具。
【請求項11】
前記透明材料(14、24、34、44)の表面が、光出口面を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項12】
前記透明材料(14、24、34、44)の表面に、1つ又は複数の発光性フィルムが被覆されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項13】
前記透明材料(14、34)が長手方向にテーパになっていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項14】
前記透明材料(14、24、34、44)が一部に鏡面(34’)を備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項15】
前記透明材料(14、34)が下側鏡面(34”)を備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の衛生器具。
【請求項16】
前記透明材料(44)の下に規定間隔で鏡(48)が備えられ、また前記鏡(48)と前記透明材料(44)との間の多重反射を介して光が長手方向に前記透明材料(44)内に組入れられるように、前記照明装置(42)が配置されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の衛生器具。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−531895(P2008−531895A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500090(P2008−500090)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001848
【国際公開番号】WO2006/094684
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(591136469)ハンザ メタルベルケ アクチェンゲゼルシャフト (7)
【Fターム(参考)】