説明

照明付き密閉容器を有するグローブ・ボックス

【解決手段】本発明は少なくとも部分的に壁により区切られた密閉容器を有するグローブ・ボックスに関する。前記壁はポリカーボネート仕切り(6)と前記ポリカーボネート仕切り(6)から間隔をあけてより外側に配置された生物学的保護仕切り(8)とを有し、前記グローブ・ボックスは前記容器の照明手段をも備え、前記照明手段は光源(20)を有する。本発明によれば、前記光源(20)は前記ポリカーボネート仕切り(6)と前記生物学的保護仕切り(8)との間に格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概述すると、照明付き密閉容器を有するグローブ・ボックスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、容器内に一つ又は複数の光源を配置することによる解決方法が知られている。この方法は得られる発光量の観点から満足することが判る。しかし、照明装置が密閉容器内に内蔵されるように構成されるとき、大きな照明装置を設けることがしばしば必要とされ、このような照明装置を収容することができる十分な自由空間を有しない前記グローブボックスの特定の部位に使用されることができない。更に、このような場合において、前記照明装置のメンテナンスは極めて困難であるので、廃棄物の処理が面倒であり且高価であることが一般に証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術から、前記容器の外部に一つ又は複数の光源を配置することによる解決方法も知られている。この解決方法はメンテナンスが容易であることと、廃棄物処理の視点からして制約が低いことだけの利点を有する。しかし、光源が前記容器の外部、すなわち、一般にポリカーボネートの仕切り及びそこから間隔をあけた生物学的な保護仕切りを組み入れた壁の後方に配置されたとき、グローブボックス内で得られる光の質はあまり良くない。確かに、これはポリカーボネートの仕切り及び生物学的保護仕切り上にて作り出される反射により説明することができ、これにより、前記照明は特に効果が薄い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このようにして、上述の問題に少なくとも部分的に対処するために、本発明は少なくとも壁により部分的に区切られた密閉容器を有するグローブ・ボックスを提案する。前記壁はポリカーボネート仕切りと前記ポリカーボネート仕切りから間隔をあけて前記密閉容器のより外側に配置された生物学的保護仕切りとを有し、前記グローブ・ボックスはまた前記容器の照明手段を備える。前記照明手段は前記ポリカーボネート仕切り及び前記生物学的保護仕切りとの間に格納された光源を備える。
【0005】
この独自の解決方法により、前記従来技術に係る前記容器内に前記照明手段が配置されている解決方法において、前記グローブ・ボックス内で得られる光量と実質的に同一の光量を得ることができることが観察された。これは前記ポリカーボネート仕切りと前記生物学的仕切りとの間に前記光源が具体的に配置されるという事実から前記ポリカーボネート仕切り上への光の反射が前記仕切りと前記光源との非常に密接な関係から制限され、そして、前記光の前記生物学的保護仕切り上への反射が可能性として事実上存在しなくなるからである。
【0006】
加えて、前記ポリカーボネート壁により区切られた前記密閉容器の外部に配置された前記光源は好ましくはレクサン製であり、容易なメンテナンスを誇り、また、それに係る廃棄物処理は比較的簡単であり、そのため比較的に安価である。
【0007】
前記ポリカーボネート仕切りと前記生物学的保護仕切りとの間に前記光源を設置することは、前記密閉容器のすべての壁に実質的に実施され得ることで有利であることをここに記す。これにより、大いにそこに生じる影部分を制限することができる。なお、影部分は特に従来技術に係るグローブボックスの場合、一定の部分で生じる。
【0008】
最後に、以下に詳述するように、前記照明手段は有利的には簡単でしかも比較的廉価な要素から容易に作製されることができる。これは製造コストの視点からして大いに最適化された前記手段を提供する。
【0009】
好ましくは、前記光源は蛍光性の管体、すなわち、低圧水銀灯である。この光の内、比較的最も大きな部分は放電の紫外線放射により励起した蛍光物質の一つ又は複数の層によって放出される。蛍光管を好ましく選択して適用する理由は、ストロボ効果がなく、提供される色の非常に良い光覚のためで、また、そこの比較的低い温度のためである。これらの利点は前記照明手段が前記光源を供給する電子安定器を備えるときいっそう優れていると証明されている。このような管体の作動温度は有利的にはほぼ一般の発光ダイオードに見られる程度のものにすることができる。
【0010】
前記生物学保護仕切りは好ましくはガンマ放射及び/又は中性子を低減させることを可能とする仕切りである。好ましくは、前記生物学的保護仕切りは例えば鉛ガラスのような中性子吸収材料及び/又は密度の高い吸収材料をドープされたガラス仕切りか、又は「Kyowaglass−XA(R)」のようなメタクリル樹脂製の仕切りのどちらか一方である。
【0011】
前記ポリカーボネート樹脂と前記生物学的保護仕切りとの間の間隔の寸法が前記両仕切り間の間隔内に前記光源を格納するのに十分であることが通常に想定され、前記寸法は例えばほぼ40mm程度、もしくはそれ以下であることができる。
【0012】
好ましくは、前記生物学的保護壁及び前記ポリカーボネート壁上の光反射を実質的に皆無まで低減させるために、前記照明手段は前記光源を固定するように支承する支持体を備え、また、前記支持体は前記ポリカーボネート仕切りにより密閉された光拡散開口を有する。この構成において、前記光源と完全に隔離された前記生物学的保護仕切り上において生ずる光の反射は有利的には皆無であり、また、前記光源支持体の開口を密閉する前記ポリカーボネート仕切り上の光の反射は前記光源と前記ポリカーボネート仕切りとの間の近接関係により実質的に皆無である。
【0013】
さらに、前記照明手段は前記支持体と一体化してその中に位置する光偏向手段をも好ましくは備える。前記光偏向手段は前記光源から出射した光を前記ポリカーボネート仕切りの方向に向ける。
【0014】
一実施例として、前記支持体はU形の断面を持つ金属要素であることができ、この場合、好ましくは前記U形の両自由端は前記ポリカーボネート仕切りと当接している。情報として、容易な製造のために好ましくは前記U形が適用されることに言及する。
【0015】
最後に、可能な限り十分な熱分散を得るために、前記支持体はアルミニュウムで作られる。確かに、前記照明の作動温度は有利には50℃以下に維持されることができ、又は前記生物学的保護仕切りの製造に「Kyowaglass−XA(R)」を用いた場合、40℃以下でも維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の好ましい実施形態に係るグローブ・ボックスの一部分の断面図である。
【図2】図2は図1に示すグローブ・ボックスに嵌合された照明手段の側面図である。
【図3】図3は図2中のIII―III線に沿う断面図である。
【図4】図4は図2中のIV―IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の他の特徴また実施例は以下の詳細な説明において述べるが、これらに限定されない。
(実施例)
【0018】
以下に添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0019】
最初に、図1を参照して、本発明の一好ましい実施例に係る発光グローブ・ボックス1の一部分を観察することができる。このグローブ・ボックスは複数の壁4により区切られた密閉容器2を有し、その内一つだけをこれ以下詳述する。しかし、詳述されない他の壁は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で同一又は類似した構成を有することができる。
【0020】
前記壁4は第一にポリカーボネート仕切り6を備える。この仕切り6はより具体的にはLexan(R)製であり、その内面により前記密閉容器2を区切っている。前記仕切り6から間隔をあけて、鉛ガラス又は「kyowaglas−XA(R)」製の種類の生物学的保護仕切り8が設けられ、この仕切り8は前記仕切り6に対して外側に位置するように配置され、その間にほぼ40mm程度、もしくはそれ以下の25mmに至るまでの縮小値を持つ間隔10をあけている。
【0021】
上記構成は当業者間で周知であり、既存のグローブ・ボックスで頻繁に見られるものに相応している。
【0022】
本発明の具体的な特徴の一つは前記密閉容器2の照明手段の構成と位置配置にある。前記照明手段12は図1に部分的にそして概略的に示されている。具体的には、光源は前記仕切り6及び仕切り8により定義される仕切り間の間隔16中に格納される。前記照明手段12の照明モジュール14はその全体が前記仕切り間の前記間隔16中に格納される。図2及び図4に詳細に示す前記モジュール14を以下に説明する。
【0023】
確かに、前記照明手段12は前記照明モジュール14と電子安定器18とを備える。前記電子安定器18は前記モジュールの前記光源20を適切な配線22を通して供給する。また、これに相関して、前記安定器18は同様に配線24を通して図示しない電源に接続されている。
【0024】
このため、前記照明モジュール14は好ましくは蛍光管の形を取る光源20を備える。前記光源は1m以下の長さと、好ましくは5から20mm間の直径、例えば16mmの直径とを有する。
【0025】
前記仕切り間の前記間隔16中に前記管体20を取り付けることを実施するために、前記モジュール14はU形の断面を好ましくは持つ支持体28を備える。前記支持体28はそこに配置される前記管体20より多少大きい長さを有し、これは図2乃至図4を参照すれば明白である。
【0026】
より具体的には、前記支持体28は前記間隔10と実質的に同一の厚さを有する。つまり、U形支持体28の両アーム30の高さは実質的に前記仕切り6及び仕切り8との間の前記間隔10に実質的に等しい。そのため、前記仕切り6と仕切り8との間に挿入されることにより、前記支持体28は前記U形のアーム30の二つの自由端を前記ポリカーボネート仕切り6と接触させることができる。これにより、前記光源20を完全に前記生物学的保護仕切り8から分離されることを可能とする。言い換えると、好ましくはアルミニウム製で、2から4mmの厚さを有する前記支持体28の前記両アーム30の間に画定される光拡散開口32は前記ポリカーボネート仕切り6により密閉され、ここでは前記光源20から出射した光は実質的に反射されない。このような構成において、前記光源20と前記仕切り6との間の最短距離34は好ましくは10mm以下又は5mm以下に固定される。
【0027】
加えて、前記モジュール14の前記支持体28が前記仕切り6及び8との間に組み立て時の遊びだけを備えて挿入されるように想定されている一方で、にもかかわらず前記仕切り6及び8上への前記支持体28の強固な係着を確保するために、追加の手段が別設される場合がある。好ましくは、係着つまみが例えば、汚染が無いことを確認するために前記生物学的保護仕切りを開いたときに前記照明装置の如何なる動きをも防止する。
【0028】
図2に最も明確に示されるように、前記U形の支持体28の前記端縁は端部継ぎ手36により密閉される。これは光を出射することのできる唯一の開口が上述の開口32であることを意味する。前記開口は実質的に前記支持体28の全長に亘って延伸する。
【0029】
加えて、図4は前記光源20が支持部材38(一つだけが可視である)により前記支持体28上に取り付けられ、この内、一端は前記蛍光管20のスナップ係着を可能とし、他端は例えば螺着により前記U形のベースに固着されている。通常では、前記支持部材38は、これを支持する前記支持体20の方向に相互に間隔をあけている。
【0030】
最後に、前記光源20から出射した光を前記拡散開口32の方向へ、つまり、前記仕切り6に向けるために、偏向手段40も前記U形支持体28の前記ベース上に固着されている。前記偏向手段40も前記U形支持体28の前記両アーム30の間に画定される空間内に位置して、好ましくは鏡面状研磨がされたスチールシート形態を取り、前記拡散開口32に向けられた、すなわち、そのため、前記ポリカーボネート仕切り6に向けられた開口(参照記号を有しない)を有するように形成された端縁を持つ。
【符号の説明】
【0031】
1・・・グローブボックス
2・・・密閉容器
4・・・壁
6・・・ポリカーボネート仕切り
8・・・生物学的保護仕切り
12・・・照明手段
18・・・電子安定器
20・・・光源
28・・・支持体
32・・・光拡散開口
30・・・自由端
40・・・光偏向手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート仕切り(6)と生物学的保護仕切り(8)とを有する壁(4)により少なくとも部分的に区切られた密閉容器(2)を備え、
前記生物学的保護仕切り(8)は前記ポリカーボネート仕切り(6)から間隔をあけてより外側に配置され、
前記グローブボックス(1)は前記容器の照明手段(12)を備え、
前記照明手段(12)は光源(20)を備え、
前記光源(20)は前記ポリカーボネート仕切り(6)と前記生物学的保護仕切り(8)との間に格納されていることを特徴とするグローブ・ボックス(1)。
【請求項2】
前記光源(20)が蛍光管であることを特徴とする請求項1に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項3】
前記照明手段(12)が前記光源(20)を供給するための電子安定器(18)をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項4】
前記生物学的保護仕切り(8)はガンマ放射及び/又は中性子を低減させることを可能とする仕切りであることを特徴とする上記いずれか一項に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項5】
前記生物学的保護仕切り(8)は中性子吸収材料及び/又は密度の高い吸収材料をドープされたガラス仕切りであることを特徴とする請求項4に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項6】
前記生物学的保護仕切り(8)は鉛ガラス仕切りであることを特徴とする請求項5に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項7】
前記生物学的保護仕切り(8)はメタクリル樹脂仕切りであることを特徴とする請求項4に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項8】
前記照明手段(12)は前記光源(20)を固定するように支承する支持体(28)を備え、
前記支持体(28)は前記ポリカーボネート仕切り(6)により密閉された光拡散開口(32)を有することを特徴とする上記いずれか一項に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項9】
前記照明手段(12)はまた前記支持体(28)と一体化され、その中に位置する光偏向手段(40)を備え、
前記偏向手段(40)は前記光源(20)から出射される光を前記ポリカーボネート仕切り(6)に向けることを特徴とする請求項8に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項10】
前記支持体(28)がU形の断面を持つ金属要素であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項11】
前記U形の両自由端(30)が前記ポリカーボネート仕切り(6)と接触していることを特徴とする請求項10に記載のグローブ・ボックス(1)。
【請求項12】
前記支持体(28)がアルミニウム製であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載のグローブ・ボックス(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−510508(P2010−510508A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537621(P2009−537621)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062585
【国際公開番号】WO2008/061986
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(508313895)アレヴァ・エヌセー (32)
【氏名又は名称原語表記】AREVA NC
【住所又は居所原語表記】33, rue La Fayette, 75009 Paris, France
【Fターム(参考)】