説明

照明制御装置

【課題】ペアリングの設定を確実にできる照明制御装置を提供する。
【解決手段】 照明制御装置10は、特定の電波リモコン20により、特定の照明器具30にIDを設定してペアリングを行い、周囲の不特定な電波リモコン20によりIDが設定されないように、受信感度を低くするとともに、ランプ31の点灯に伴うノイズの影響を低減するためにランプ31を消灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDにより識別される電波受信機能を有する複数の照明器具と、電波送信機能を有する電波リモコンとにより、IDを設定して交信相手を特定するペアリングの設定を行う照明制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、受信装置の作動時に、受信装置の受信感度を通常使用時の受信感度よりも低い状態に切り換え、その後に、受信装置に外部からIDコードを供給し、その供給されたIDコードを登録IDコードとして受信装置のメモリに登録する照明制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−180718号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5に示すように、前述した特許文献1に記載された照明制御装置は、受信装置の感度において、照明器具に直近の電波リモコンの信号レベルS11を、周囲の照明器具の電波リモコンの信号レベルS12よりも低くして、周囲の電波リモコンからの信号を無視し、直近のペアリングさせるべき電波リモコンからの信号を受信してIDを設定することによりIDの登録を間違いなく行うことができる。
【0005】
ところで、図6に示すように、照明器具はノイズ源となるランプを点灯させるために、受信装置の感度において、照明器具に直近の電波リモコンの信号レベルS11を、周囲の照明器具の電波リモコンの信号レベルS12よりも低くしたとしても、自ら発生する高い電磁(電波)ノイズN11により、電波リモコンからの信号とノイズレベルとのS/N比が小さくなってノイズN11の影響を受けてしまう。
従って、前述した特許文献1に記載された照明制御装置は、外来の高いノイズ等によりIDが受信装置に確実に設定されない場合にペアリングを成立できない。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ペアリングの設定を確実にできる照明制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明制御装置は、ランプと、電波リモコンからの電波リモコン信号を受信する受信部と、前記受信部の受信感度を高くしたり低くしたりする受信感度調整部と、受信された信号に基づいて点灯回路部へ制御信号を与えたり、記憶部に記憶させたりする制御部と、IDや制御情報を記憶する前記記憶部と、前記制御部からの信号に基づいて前記ランプの調光および点滅を制御する前記点灯回路部とを備える照明器具と、前記制御情報を電波で発信する送信部と、スイッチにより指定された制御情報を前記送信部に送る制御部と、IDおよび前記制御情報を記憶する記憶部とを備える電波リモコンとから構成され、特定の前記電波リモコンにより、特定の前記照明器具にIDを設定してペアリングを行い、周囲の不特定な前記電波リモコンによりIDが設定されないように、前記受信感度を低くするとともに、前記ランプの点灯に伴うノイズの影響を低減するために前記ランプを消灯させる。
【0008】
本発明に係る照明制御装置は、前記ペアリングを行うために、前記受信感度を低くするとともに前記ランプを消灯させるためのトリガーとして、前記照明器具にスイッチを設ける。
【0009】
本発明に係る照明制御装置は、前記ペアリングを行うために、前記受信感度を低くするとともに前記ランプを消灯させるためのトリガーとして、前記照明器具の電源投入時にIDが設定されていないことを適用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る照明制御装置によれば、ペアリングの設定を確実にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明制御装置の回路構成図
【図2】本発明に係る第1実施形態の照明制御装置における受信感度図
【図3】本発明に係る第1実施形態の照明制御装置の制御動作を説明するフローチャート
【図4】本発明に係る第2実施形態の照明制御装置の制御動作を説明するフローチャート
【図5】従来の照明制御装置のノイズのない状態での受信感度図
【図6】従来の照明制御装置のノイズが高い状態での受信感度図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る複数の実施形態の照明制御装置について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明制御装置10は、電波リモコン20と、照明器具30とから構成される。
電波リモコン20は、スイッチ21と、第1CPU(制御部)22と、第1メモリ(記憶部)23と、信号出力回路24と、送信部25と、送信アンテナ26とを備える。
照明器具30は、ランプ31と、インバータ安定器(点灯回路部)32と、第2CPU(制御部)33と、第2メモリ(記憶部)34と、信号入力回路35と、受信部36と、受信アンテナ37と、受信感度調整回路部(受信感度調整部)38と、ペアリングスイッチ39とを備える。
【0013】
電波リモコン20は、第1メモリ23にIDが格納されている。電波リモコン20は、スイッチ21が押下されることにより、ペアリングを設定するためのIDコードが第1CPU22から出力され、IDコードは信号出力回路24を介して送信部25から送信される。電波リモコン20は、通常の制御時に、スイッチ21の押下に応じて制御コードが出力される。
【0014】
照明器具30は、ペアリングスイッチ39が押下されることによりペアリングの準備の状態になる。照明器具30は、ペアリングスイッチ39が押下されることにより、第2CPU33からの指令信号により受信感度調整回路部38が一定の時間において受信感度を低下させる。このとき、第2CPU33からの指令信号によりインバータ安定器32がランプ31を消灯させ、ランプ31の消灯状態が維持される。照明器具30は、電波リモコン20からのIDコードが受信された場合、IDコードが第2メモリ34に記憶される。以降、記憶されたIDコード以外の電波リモコン20からの制御コマンドは受け付けない。
【0015】
図2に示すように、ランプ31が消灯されることにより、ノイズレベルN1が下がるために、照明器具30に直近の電波リモコン20の信号レベルS1を、周囲の照明器具30の電波リモコン20の信号レベルS2よりも低くしたとしても、ノイズN1の影響を受けずに、電波リモコン20からの電波リモコン信号を確実に認識できる。
従って、ランプ31が消灯されることによりランプ31の点灯に伴うノイズN1の影響を低減されて、より微弱な電波を送受信できるために、受信感度調整回路部38により受信部36の受信感度が低く設定されて電波リモコン20の出力を下げることにより、隣接する照明器具30に対する誤ペアリングを防止できる。
【0016】
次に、照明制御装置10の制御動作について説明する。
図3に示すように、制御が開始され、電波リモコン20のスイッチ21の押下によりペアリングの設定の通信データが電波リモコン20の送信部25から送信されて、通信データが照明器具30の受信部36により受信されると、IDコードが抽出されて、登録コードが読み取られ、受信されたIDコードが登録コードに一致する場合、指令情報が抽出されて制御信号が出力される(ST100→ST110→ST120→ST130→ST140)。
このとき、受信されたIDコードが登録コードに一致しない場合、これらのルーチンが繰り返される(ST100→ST110→ST120→ST130→ST100)。
【0017】
ペアリングスイッチ39が押下されると、第2CPU33からの指令信号により受信感度調整回路部38が一定の時間において受信感度を低下させ、第2CPU33からの指令信号によりインバータ安定器32がランプ31を消灯させ、電波リモコン20からのIDコードの受信を待ち、電波リモコン20からのIDコードが受信された場合、IDコードを抽出してIDコードが第2メモリ34に記憶される(ST100→ST110→ST150→ST160→ST170→ST180→ST190)。
【0018】
このように、照明制御装置10は、IDを設定する際に、照明器具30における受信感度を強制的に低下させ、かつ、電波リモコン20からの電波リモコン信号とノイズレベルとのS/N比が小さくなるように改善することにより、所望の電波リモコン20からの電波リモコン信号によりペアリングを行うべき照明器具30のペアリングを確実にできる。
【0019】
以上、説明したように第1実施形態の照明制御装置10によれば、ランプ31が消灯されることによりランプ31の点灯に伴うノイズN1の影響を低減されて、より微弱な電波を送受信できるために、受信感度調整回路部38により受信部36の受信感度が低く設定されて電波リモコン20の出力を下げることにより、隣接する照明器具30に対する誤ペアリングを防止して、ペアリングの設定を確実にできる。
【0020】
また、第1実施形態の照明制御装置10によれば、ペアリングを行うために、受信感度を低くするとともにランプ31を消灯させるためのトリガーとして照明器具30にペアリングスイッチ39を設けるために、ペアリングの設定を簡単にできる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明制御装置について説明する。
本発明に係る第2実施形態の照明制御装置50は、工場出荷時に、IDコードが設定されておらず、ペアリングが設定されていない。そのため、使用者が電源を始めて投入した状態ではペアリングの設定がされていない。ペアリングが設定されていない状態において照明器具30の受信感度が下げられ、ランプ31が消灯される。そして、電波リモコン20からの通信データが照明器具30に受信された際に、ペアリングが設定される。
【0022】
図4に示すように、照明制御装置50は、制御が開始され、IDが設定されていないために、受信感度を低下させ、第2CPU33からの指令信号によりインバータ安定器32がランプ31を消灯させ、電波リモコン20からのIDコードの受信を待ち、電波リモコン20からのIDコードが受信された場合、IDコードを抽出してIDコードが第2メモリ34に記憶される(ST200→ST210→ST220→ST230→ST240→S250)。
【0023】
その後に、電波リモコン20からの通信データが受信されると、IDコードが抽出されて、登録コードが読み取られ、受信されたIDコードが登録コードに一致する場合、指令情報が抽出されて制御信号が出力される(S200→S210→S260→S270→S280→S290)。
このとき、受信されたIDコードが登録コードに一致しない場合、これらのルーチンが繰り返される(S260→S270→S280→S290→S260)。
【0024】
第2実施形態の照明制御装置50によれば、ペアリングを行うために、受信感度を低くするとともにランプ31を消灯させるためのトリガーとして照明器具30の電源投入時にIDが設定されていないことを適用させたために、工場出荷時にIDが設定されていなければ、IDが設定されるまで受信感度を下げるとともにS/N比を改善させておくことにより、使用者に意識させることなく、所望の電波リモコン20からの電波リモコン信号によりIDの設定を確実にでき、ペアリングを設定できる。
【0025】
なお、本発明の照明制御装置においてスイッチ,信号出力回路,ランプ,インバータ安定器,信号入力回路等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0026】
10,50 照明制御装置
20 電波リモコン
21 スイッチ
22 第1CPU(制御部)
23 第1メモリ(記憶部)
25 送信部
30 照明器具
31 ランプ
32 インバータ安定器(点灯回路部)
33 第2CPU(制御部)
34 第2メモリ(記憶部)
36 受信部
38 受信感度調整回路部(受信感度調整部)
39 ペアリングスイッチ(スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプと、
電波リモコンからの電波リモコン信号を受信する受信部と、
前記受信部の受信感度を高くしたり低くしたりする受信感度調整部と、
受信された信号に基づいて点灯回路部へ制御信号を与えたり、記憶部に記憶させたりする制御部と、
IDや制御情報を記憶する前記記憶部と、
前記制御部からの信号に基づいて前記ランプの調光および点滅を制御する前記点灯回路部とを備える照明器具と、
前記制御情報を電波で発信する送信部と、
スイッチにより指定された制御情報を前記送信部に送る制御部と、
IDおよび前記制御情報を記憶する記憶部とを備える電波リモコンとから構成され、
特定の前記電波リモコンにより、特定の前記照明器具にIDを設定してペアリングを行い、
周囲の不特定な前記電波リモコンによりIDが設定されないように、前記受信感度を低くするとともに、前記ランプの点灯に伴うノイズの影響を低減するために前記ランプを消灯させる照明制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明制御装置において、
前記ペアリングを行うために、前記受信感度を低くするとともに前記ランプを消灯させるためのトリガーとして、前記照明器具にスイッチを設ける照明制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の照明制御装置において、
前記ペアリングを行うために、前記受信感度を低くするとともに前記ランプを消灯させるためのトリガーとして、前記照明器具の電源投入時にIDが設定されていないことを適用する照明制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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