説明

照明制御装置

【課題】照明エリアを区分した区分領域が人間の滞在する滞在領域かそうでない非滞在領域かを判定でき、判定した領域毎に異なる照明制御を行える照明制御装置を提供する。
【解決手段】複数の照明器具16の光源によって照明される照明エリアの画像データを取り込む撮像装置11を有する。人体情報検知手段13は、撮像装置11で得られた画像データに基づき照明エリアの人間の存否及び人間の動作速度を検知する。滞在領域判定手段14は、人体情報検知手段13で検知した照明エリアの人間の動作速度に基づいて、照明エリアを予め複数に区分した各々の区分領域が人間の滞在する滞在領域かそうでない非滞在領域かを判定する。そして、照明制御手段15は、滞在領域判定手段14の判定結果である滞在領域と非滞在領域とで照明器具に対し異なる照明制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の照明器具の光源によって照明される照明エリアの人の存否に応じて複数の照明器具を照明制御する照明制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
居室の天井などに設置された撮像装置によって室内における画像データを取得し、撮像装置で得られた画像データに基づき、複数の照明器具の光源によって照明される照明エリアの人間の存否を判定し、その判定結果に応じて照明器具の点滅および調光を制御するようにした照明制御装置がある。
【0003】
撮像装置による人間の存否の検出は、例えば、一定時間間隔をおいて撮像した2つ以上の画像を比較して変化のある部分を特定することによって行われる。また、照明器具の点滅や調光の制御は、例えば、人間の存在を検出すると予め定めた点灯保持時間だけ照明器具の点灯を保持し、点灯保持時間の経過後に調光制御により予め定めたフェード時間で徐々に減光して所定の暗点灯で保持したり、照明器具を消灯したりしている。
【0004】
ここで、点灯保持時間とは、人間の存在を検出してから照明器具の点灯状態を保持する時間をいう。従って、その点灯保持時間内に新たに人間の存在を検出すると、その時点から点灯保持時間がカウントされ、人間の存在が継続して検出されているときは、照明器具は連続点灯となる。また、フェードとは、照明器具の照度を徐々に変化させることをいい、フェード時間とは、照明器具の通常の点灯状態から所定の暗点灯になるまであるいは消灯するまでの時間をいう。従来においては、同じ照明エリアにおいては、一律に点灯保持時間やフェード時間を設定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−266501号公報
【特許文献2】特開2009−266532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、同じ照明エリアにおいて、一律に点灯保持時間やフェード時間を設定していると、人間が常時存在する領域、あるいは一時的に人間が存在する領域であっても、同じ点灯保持時間やフェード時間で照明制御が行われることになるので、省エネルギーの観点からは好ましくない。
【0007】
そこで、照明エリアを区分領域毎に分割して点灯保持時間やフェード時間を手動で設定することが考えられるが、そうすると、設定作業に多大な時間を費やすことになる。
【0008】
本発明の目的は、照明エリアを区分した区分領域が人間の滞在する滞在領域かそうでない非滞在領域かを判定でき、判定した領域毎に異なる照明制御を行える照明制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る照明制御システムは、複数の照明器具の光源によって照明される照明エリアの画像データを取り込む撮像装置を有する。人体情報検知手段は、撮像装置で得られた画像データに基づき照明エリアの人間の存否及び人間の動作速度を検知する。滞在領域判定手段は、人体情報検知手段で検知した照明エリアの人間の動作速度に基づいて、照明エリアを予め複数に区分した各々の区分領域が人間の滞在する滞在領域かそうでない非滞在領域かを判定する。そして、照明制御手段は、滞在領域判定手段の判定結果である滞在領域と非滞在領域とで照明器具に対し異なる照明制御を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、照明エリアを人間が滞在する滞在領域か、そうでない非滞在領域かを判定でき、判定した領域毎に異なる照明制御を行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る照明制御装置の実施例1の構成図。
【図2】本発明の実施形態に係る照明制御装置が適用される照明エリアの説明図。
【図3】照明エリアの時系列画像データの一例を示す平面図。
【図4】図3に示した時系列画像データの続きの時系列画像データを示す平面図。
【図5】本発明の実施形態における照明制御手段による照明制御内容の説明図。
【図6】本発明の実施形態に係る照明制御装置の実施例2の構成図。
【図7】本発明の実施形態に係る照明制御装置の実施例3の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る照明制御装置の実施例1の構成図である。撮像装置11は、複数の照明器具の光源によって照明される照明エリアの画像データを所定周期で時系列的に得るように構成されている。撮像装置11は、CCD(Charge Coupled Device )やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )等の固体撮像素子と光学レンズを有し、さらに信号処理回路を含んで一体的に構成される。例えば、室内の天井や壁面等に設置されて室内を時系列に順次撮像して時系列の画像データを取得し、制御装置12に送出する。
【0013】
撮像装置11に用いられる光学レンズは、例えば、広角レンズや魚眼レンズであり、広角レンズや魚眼レンズを使用することによって、室内の広い範囲を撮像できるようにしている。また、固体撮像素子は、カラー用あるいは白黒用いずれであってもよく、赤外域までの感度を有するものが望ましい。照明器具の、照明消灯時においても人間の動きを判別できるようにするためである。
【0014】
制御装置は、例えば、マイコン(マイクロコンピュータ)等のコンピュータを用いて構成される。図1では、制御装置の演算処理機能をブロックで示している。撮像装置11からの時系列の画像データは、制御装置12の人体情報検知手段13に入力される。人体情報検知手段13は、撮像装置11で得られた時系列の画像データに基づき照明エリアの人間の存否及び人間の動作速度を検知する。
【0015】
例えば、1周期前に取得した画像データと、現在周期で取得した画像データとを比較し、画像データ中の変化のある部分を特定し、その画像データ変化部分を人体情報としている。すなわち、画像データ変化部分の動線(軌跡)や移動距離により人間の存否を判断する。さらに、その画像データ変化部分の動作速度により人間の動作速度を検知する。
【0016】
滞在領域判定手段14は、人体情報検知手段13で検知した照明エリアの人間の動作速度に基づいて、照明エリアを予め複数に区分した各々の区分領域が人間の滞在する滞在領域かそうでない非滞在領域かを判定する。滞在領域判定手段14の判定結果は、照明制御手段15に出力される。例えば、一つの区分領域で人間の存在を検知し続けている場合は、人間がその区分領域内に滞在していると判断し滞在領域と判定し、画像データの変化部分が複数の区分領域に跨って所定の方向へ移動している場合には人体が移動していると判断し、非滞在領域と判定する。
【0017】
照明制御手段15は、人体情報検知手段13で人間の存在を検知すると、人間を検知した区分領域の照明制御を行う。その際に、滞在領域判定手段14の判定結果に基づき、滞在領域と判定された区分領域と、非滞在領域と判定された区分領域とで、その区分領域に配置された照明器具16に対し異なる照明制御を行う。例えば、滞在領域に対しては、照明器具16の点灯保持時間を長くしたり、照明器具16の照度を高くしたりする。一方、非滞在領域に対しては、照明器具16の点灯保持時間を短くしたり、照明器具の照度を低くしたりする。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る照明制御装置が適用される照明エリアの説明図である。図2では、通路と執務室とを含んだ照明エリア17を示している。照明エリア17の天井には、複数個の照明器具16及び撮像装置11が配置されている。複数個の照明器具16は照明エリア17を照明し、撮像装置11は、複数の照明器具16の光源によって照明される照明エリア17の画像データを取り込む。
【0019】
照明エリア17は、便宜上、予め複数に区分されて区分領域が定められている。この区分領域は、滞在領域判定手段14が滞在領域か非滞在領域かを判定する単位領域である。図2では、6行(A〜F)、10列(1〜10)の60個の区分領域に区分された場合を示している。
【0020】
図3及び図4は、照明エリアの時系列画像データの一例を示す平面図であり、図3(a)〜(c)、図4(c)〜(f)の順に時間が経過した場合を示している。簡単のため、黒の塗り潰し部分が人間に相当する物体であると仮定して以下説明を行う。照明エリア17は通路と執務室とを含んだエリアであり、執務室は人間が常時滞在する確率が高い領域であり、通路は一時的に人が滞在する確率が高い領域である。図3(a)は、1回目の周期で得られた照明エリア17の画像データであり、区分領域(A,4)、(B,1)、(B,6)、(B,7)、(C,3)、(C,4)、(C,6)、(C,9)、(D,5)〜(D,8)、(D,10)、(E,1)、(E,3)、(E,6)、(F,2)、(F,6)には、人間と推定できる物体が存在しないこととする。
【0021】
図3(b)は2回目の周期で得られた照明エリア17の画像データである。今回の周期で得られた図3(b)の画像データと1回前の周期で得られた図3(a)の画像データとを比較すると、区分領域(A,6)から人間と推定できる物体がなくなり、区分領域(B,6)に新たに人間と推定できる物体が存在することが分かる。その他の区分領域においては、人間と推定できる物体の増減はない。また、人間と推定できる物体が存在した区分領域のうち、区分領域(A,1)、(A,5)、(A,8)、(B,2)、(B,4)、(B,5)、(B,9)、(B,10)、(C,1)、(C,7)、(C,8)、(E,2)〜(E,4)、(E,9)、(F,3)、(F,4)、(F,7)〜(F,10)については、人間と推定できる物体の動きに変化がなく、人間と推定できる物体が存在した区分領域の残りの区分領域については人間と推定できる物体の動きがある。
【0022】
図3(c)は3回目の周期で得られた照明エリア17の画像データである。今回の周期で得られた図3(c)の画像データと1回前の周期で得られた図3(b)の画像データとを比較すると、区分領域(A,6)に新たに人間と推定できる物体が存在し、区分領域(B,6)から人間と推定できる物体がなくなり、区分領域(C,6)に新たに人間と推定できる物体が存在することが分かる。その他の区分領域においては、人間と推定できる物体の増減はない。また、人間と推定できる物体の動きがなかった区分領域のうち、区分領域(A、1)、(B,5)、(B,10)においては、3回目の周期で得られた照明エリア17の画像データにおいても動きがない。
【0023】
図4(d)は4回目の周期で得られた照明エリア17の画像データである。今回の周期で得られた図4(d)の画像データと1回前の周期で得られた図3(c)の画像データとを比較すると、区分領域(A,6)、(C,6)から人間と推定できる物体がなくなり、区分領域(B,6)、(D,6)に新たに人間と推定できる物体が存在することが分かる。その他の区分領域においては、人間と推定できる物体の増減はない。また、人間と推定できる物体の動きがなかった区分領域のうち、区分領域(A、1)においては、4回目の周期で得られた照明エリア17の画像データにおいても動きがない。
【0024】
図4(e)は5回目の周期で得られた照明エリア17の画像データである。今回の周期で得られた図4(e)の画像データと1回前の周期で得られた図4(d)の画像データとを比較すると、区分領域(B,6)、(D,6)から人間と推定できる物体がなくなり、区分領域(B,7)、(E,6)に新たに人間と推定できる物体が存在することが分かる。その他の区分領域においては、人間と推定できる物体の増減はない。また、人間と推定できる物体の動きがなかった区分領域のうち、区分領域(A、1)においては、5回目の周期で得られた照明エリア17の画像データにおいても動きがない。
【0025】
図4(f)は6回目の周期で得られた照明エリア17の画像データである。今回の周期で得られた図4(f)の画像データと1回前の周期で得られた図4(e)の画像データとを比較すると、区分領域(E,6)、から人間と推定できる物体がなくなり、区分領域(F,6)に新たに人間と推定できる物体が存在することが分かる。その他の区分領域においては、人間と推定できる物体の増減はない。また、人間と推定できる物体の動きがなかった区分領域のうち、区分領域(A、1)においては、6回目の周期で得られた照明エリア17の画像データにおいても動きがない。
【0026】
人体情報検知手段13は、このような照明エリア17の時系列の画像データに基づき、画像データ変化部分の動線(軌跡)や移動距離により人間の存否を判断する。いま、図3(a)〜図4(f)の画像データの区分領域A2に着目する。区分領域(A,2)には、人間と推定できる物体が常時存在する。そして、例えば、図3(a)の画像データと図3(b)の画像データとを比較すると、人間と推定できる物体の動きがあることがわかる。従って、区分領域(A,2)の物体は人間であると判定する。
【0027】
また、図3(a)〜図4(f)の画像データの区分領域(A,6)〜(F,6)に着目すると、図3(a)の画像データでは、区分領域(A,6)に人間と推定できる物体が存在し、区分領域(B,6)には人間と推定できる物体が存在しないが、図3(b)の画像データでは、区分領域(B,6)に人間と推定できる物体が存在し、区分領域(A,6)には人間と推定できる物体が存在しない。このことから、人間と推定できる物体は区分領域(A,6)から区分領域(B,6)に移動したと考えられ、しかも、図3(a)の画像データの区分領域(A,6)と、図3(b)の画像データの区分領域(B,6)とを比較すると、人間と推定できる物体に動きがあることが分かる。そこで、区分領域(A,6)から区分領域(B,6)に移動した物体は人間であると判断する。
【0028】
この場合、照明エリア17の区分領域(A,6)から区分領域(B,6)に移動した時間は1周期分の時間であり、移動距離は1区分領域であるので、これから、そのときの人間の動作速度を検知する。
【0029】
滞在領域判定手段14は、人体情報検知手段13で検知した照明エリア17の人間の動作速度に基づいて、照明エリア17を予め複数に区分した各々の区分領域が人間の滞在する滞在領域か、または、そうでない非滞在領域かを判定する。すなわち、区分領域(A,6)〜(F,6)は人間の動作速度が大きいので、非滞在領域(通路)であると判定する。一方、区分領域(A,6)〜(F,6)以外の領域、例えば、区分領域(A,2)は、人間の動きはあるが、移動距離や動作速度が大きくないので、滞在領域(執務室)であると判定する。
【0030】
照明制御手段15は、滞在領域に対しては照明器具16の点灯保持時間を長くし、非滞在領域に対しては照明器具16の点灯保持時間を短くした照明制御を行う。非滞在領域は一時的に人間が通過するだけであるから、照明器具16の点灯保持時間を短くして省エネルギー化を図るためである。
【0031】
図5は、照明制御手段15による照明制御内容の説明図である。図5(a)は滞在領域判定手段14にて滞在領域であると判定された区分領域に配置された照明器具の照明制御内容の説明図である。時点t0で人間を検知したとすると、照明制御手段15は、滞在領域である区分領域の照明器具16を点灯する。この場合、設定された点灯保持時間T1だけ点灯状態を継続し、点灯保持時間T1となった時点t1において、人間の検知がないときは、予め定めたフェード時間T2で徐々に減光し時点t2で不在調光度となると、時点t2以降はその不在調光度で暗点灯を保持する。なお、不在調光度に代えて照明器具16を消灯するようにしてもよい。
【0032】
図5(b)は、図5(a)の点灯保持時間T1の継続中に、人間を検知した場合の照明制御内容の説明図である。時点t0で人間を検知したとすると、照明制御手段15は、その滞在領域に対応する区分領域の照明器具16を点灯する。時点t01、t02、t03で、人間の検知があると、照明制御手段15は、新たに人間を検知した時点t01、t02、t03から新たに点灯保持時間T1をカウント開始する。ここで、時点t0、t01、t02、t03、t04同士の時間間隔は点灯保持時間T1よりも短い。従って、点灯保持時間T1の継続中に新たに人間を検知したときに照明器具は点灯を継続する。そして、時点t04で点灯保持時間T1をカウント開始してから、点灯保持時間T1の間に、人間の検知がないときは、予め定めたフェード時間T2で徐々に減光し時点t2で不在調光度となると、時点t2以降は、その不在調光度で暗点灯を保持する。なお、この場合も、不在調光度に代えて照明器具16を消灯するようにしてもよい。
【0033】
次に、図5(c)は滞在領域判定手段14にて非滞在領域であると判定された区分領域に配置された照明器具の照明制御内容の説明図である。時点t0で人間が検知されたとすると、照明制御手段15は、その非滞在領域であると判定された区分領域の照明器具16を点灯する。この場合、T1よりも短く設定された点灯保持時間T3だけ点灯状態を継続し、点灯保持時間T3となった時点t1において、人間の検知がないときは、T2よりも短く設定されたフェード時間T4で徐々に減光し時点t2で不在調光度となると、時点t2以降はその不在調光度で暗点灯を保持する。なお、不在調光度に代えて照明器具16を消灯するようにしてもよい。
【0034】
図5(d)は、図5(c)の点灯保持時間T3の継続中に、人間を検知した場合の照明制御内容の説明図である。時点t0で人間を検知したとすると、照明制御手段15は、その非滞在領域に対応する区分領域の照明器具16を点灯する。さらに、時点t01、t02で、人間の検知があると、照明制御手段15は、その時点t01、t02から点灯保持時間T3をカウント開始し、照明器具の点灯を継続する。そして、時点t03で点灯保持時間T3をカウント開始してから、点灯保持時間T3の間に、人間の検知がないときは、予め定めたフェード時間T4で徐々に減光し時点t2で不在調光度となると、時点t2以降は、その不在調光度で暗点灯を保持する。なお、この場合も、不在調光度に代えて照明器具16を消灯するようにしてもよい。
【0035】
以上の説明では、滞在領域に対して照明器具の点灯保持時間を長くし、非滞在領域に対して照明器具の点灯保持時間を短くするようにしたが、滞在領域に対して照明器具の照度を高くし、非滞在領域に対して照明器具の照度を低くするようにしてもよいし、点灯保持時間の長短と照度高低を組み合わせてもよい。
【0036】
本発明の実施形態に係る実施例1によれば、照明エリアの画像データから人間を検出するとともに、検出する人間の動作速度に基づいて、執務室などの人間が滞在する滞在領域か、通路などの非滞在領域かをその都度判定するので、執務室の配置換えを行った場合にも滞在領域と非滞在領域とを適切に判別できる。また、人間を検知したときは滞在領域または非滞在領域に応じて、照明器具の点灯保持時間や不在調光度までのフェード時間を調整するので、無駄な点灯保持時間を低減でき省エネルギー化を図れる。
【0037】
次に、本発明の実施形態に係る照明制御装置の他の実施例を説明する。図6は、本発明の実施形態に係る照明制御装置の実施例2の構成図である。この実施例2は、図1に示した実施例1に対し、記憶装置18に滞在領域設定値記憶部19及び非滞在領域設定値記憶部20を設け、滞在領域判定手段14で判定された判定結果に基づき各々の区分領域が滞在領域か非滞在領域かを示す設定値を記憶装置18に記憶しておき、照明制御手段15は記憶装置18に記憶された設定値に基づき照明器具16の照明制御を行うようにしたものである。
【0038】
すなわち、図1に示した実施例1では、滞在領域判定手段14で判定結果が得られる度に、滞在領域と非滞在領域とで照明器具16に対し異なる照明制御を行うようにしたが、この実施例2では、記憶装置18に記憶された滞在領域設定値及び非滞在領域設定値により、執務室などの人間が滞在する滞在領域か、または通路などの非滞在領域かを判別するようにしたものである。図1と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0039】
滞在領域判定手段14は、実施例1の場合と同様に、人体情報検知手段13で検知した照明エリアの人間の動作速度に基づいて、照明エリアを予め複数に区分した各々の区分領域が人間の滞在する滞在領域かそうでない非滞在領域かを判定し、その判定結果を設定値として記憶装置18に記憶する。すなわち、滞在領域判定手段14は、滞在領域と判定した区分領域を滞在領域設定値記憶部19に記憶し、非滞在領域と判定した区分領域を非滞在領域設定値記憶部20に記憶する。そして、滞在領域か非滞在領域かを最初に判定し、設定値として記憶した判定結果を初期値とする。なお、判定結果を利用することなく予め設定値を初期値として設定しておいてもよい。
【0040】
照明制御手段15は、人体情報検知手段13で人間が検知されると、記憶装置18の滞在領域設定値記憶部19に記憶された滞在領域設定値及び非滞在領域設定値記憶部20に記憶された非滞在領域設定値を参照し、人間が検知された区分領域が滞在領域か非滞在領域かを判定する。そして、滞在領域と判定された区分領域と、非滞在領域と判定された区分領域とで、照明器具16に対し異なる照明制御を行う。例えば、滞在領域に対しては、照明器具16の点灯保持時間を長くしたり、照明器具16の照度を高くしたりする。一方、非滞在領域に対しては、照明器具16の点灯保持時間を短くしたり、照明器具の照度を低くしたりする。なお、滞在領域か非滞在領域かの判定はある程度のデータを蓄積した上で適宜滞在領域設定値及び非滞在領域設定値の更新を行ってもよい。例えば、滞在領域として記憶されている区分領域について、非滞在領域であると所定時間あるいは所定回数判定された場合には非滞在領域として記憶する。あるいは、非滞在領域として記憶されている区分領域について、滞在領域であると所定時間あるいは所定回数判定された場合には滞在領域として記憶する。
【0041】
本発明の実施形態に係る実施例2によれば、滞在領域か非滞在領域かを記憶装置18に記憶した滞在領域設定値及び非滞在領域設定値を参照して判定するので、滞在領域か非滞在領域かの判定が容易に行えるとともに、作業者の突発的な動きによらず安定した制御を行うことができる。
【0042】
図7は、本発明の実施形態に係る照明制御装置の実施例3の構成図である。この実施例3は、図2に示した実施例1に対し、記憶装置18には、滞在領域判定手段14で判定された判定結果設定値に代えて、初期設定値として照明エリアのすべての区分領域を予め滞在領域として記憶しておき、滞在領域設定手段21により、非滞在領域であると判定された区分領域については滞在領域に代えて非滞在領域として設定するようにしたものである。図6と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0043】
記憶装置18には、滞在領域記憶部22及び非滞在領域記憶部23が設けられている。滞在領域記憶部22には滞在領域の区分領域が記憶され、非滞在領域記憶部23には非滞在領域の区分領域が記憶される。滞在領域記憶部22には、初期値として、照明エリアのすべての区分領域が予め記憶されている。また、滞在領域設定手段21は、滞在領域判定手段14の判定結果が非滞在領域であると判定された区分領域に対して、非滞在領域として設定するものである。
【0044】
すなわち、滞在領域設定手段21は、滞在領域判定手段14の判定結果が非滞在領域であると判定された区分領域に対して、所定時間内に非滞在領域であると判定された回数が所定回数以上であるか否かを判定し、所定回数以上であるときはその区分領域を非滞在領域として記憶装置18の非滞在領域記憶部23に更新記憶する。
【0045】
所定時間は、例えば、1週間あるいは1ヶ月程度の時間とする。また、所定回数としては、滞在領域判定手段14により、滞在領域と判定された回数と非滞在領域と判定された回数との比率に応じて、異なる所定回数とするようにしてもよい。例えば、滞在領域と判定された回数と非滞在領域と判定された回数との比率が100%であるときは、所定回数として10回、その比率が90%であるときは20回、その比率が80%であるときは40回とする。このように、比率が小さくなるほど所定回数を大きくする。そして、その比率が50%以下であるときは、非滞在領域に設定しないようにする。すなわち、所定時間内の滞在領域判定手段の判定回数に対し、非滞在領域であると判定された回数が、所定回数以上であるか否かを判定し、所定回数以上であるときはその区分領域を非滞在領域として記憶装置に設定値を更新記憶することができる。
【0046】
また、一旦、非滞在領域に設定された場合であっても、その比率が50%以下となったときは、非滞在領域記憶部23から非滞在領域の設定を削除し、滞在領域記憶部22に滞在領域として更新記憶し、元の状態に戻すようにする。
【0047】
本発明の実施形態に係る実施例3によれば、初期設定値としてすべての区分領域を滞在領域として記憶しておき、滞在領域設定手段21により、非滞在領域を設定するので、執務室の配置換えを行った場合でも、実情にあった滞在領域及び非滞在領域を設定できる。
【0048】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
11…撮像装置、12…制御装置、13…人体情報検知手段、14…滞在領域判定手段、15…照明制御手段、16…照明器具、17…照明エリア、18…記憶装置、19…滞在領域記憶部、20…非滞在領域記憶部、21…非滞在領域設定手段、22…滞在領域記憶部、23…非滞在領域記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明器具の光源によって照明される照明エリアの画像データを得る撮像装置と;
前記撮像装置で得られた画像データに基づき前記照明エリアの人間の存否及び人間の動作速度を検知する人体情報検知手段と;
前記人体情報検知手段で検知した前記照明エリアの人間の動作速度に基づいて、前記照明エリアを予め複数に区分した各々の区分領域が人間の滞在する滞在領域かそうでない非滞在領域かを判定する滞在領域判定手段と;
前記滞在領域判定手段の判定結果に基づき滞在領域と非滞在領域とで照明器具に対し異なる照明制御を行う照明制御手段と;
を備えたことを特徴とする照明制御装置。
【請求項2】
前記滞在領域判定手段で判定された判定結果に基づき各々の区分領域が滞在領域か非滞在領域かを示す設定値を記憶する記憶装置を備え、
前記照明制御手段は前記記憶装置に記憶された設定値に基づき照明器具の照明制御を行うことを特徴とする請求項1記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記記憶装置には、初期設定値として照明エリアのすべての区分領域を予め滞在領域として記憶しておき、
所定時間内の前記滞在領域判定手段の判定回数に対し、非滞在領域であると判定された回数が、所定回数以上であるか否かを判定し、所定回数以上であるときはその区分領域を非滞在領域として前記記憶装置に設定値を更新記憶する滞在領域設定手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記照明制御手段は、前記人体情報検知手段で人間の存在を検知したときに前記滞在領域判定手段で前記区分領域が滞在領域か非滞在領域かを判定し、得られた判定結果に基づき照明器具に対し滞在領域と非滞在領域とで異なる照明制御を行うことを特徴とする請求項1記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記照明制御手段は、滞在領域に対しては照明器具の点灯保持時間を長くし、非滞在領域に対しては照明器具の点灯保持時間を短くすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一記載の照明制御装置。
【請求項6】
前記照明制御手段は、滞在領域に対しては照明器具の照度を高くし、非滞在領域に対しては照明器具の照度を低くすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一記載の照明制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−109876(P2013−109876A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252328(P2011−252328)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】