説明

照明器具および照明装置

【課題】器具本体の小形化とランプ交換の作業性の向上とを共に図ることができる照明器具および照明装置を提供する。
【解決手段】セラミックメタルハライドランプ11が収容される光源収容部、投光開口部、取付部材5が配設される取付端部2bおよび取付端部側に配設された点灯装置7を有し、取付端部から先端部側に向けて先細形状に形成された本体ケース2と;本体ケースの先端部2a側に揺動可能に取り付けられて投光開口部を覆うとともに、少なくとも一部に投光部を有するカバー4と;本体ケース内の先端部側に配設された光源のランプソケット10と;を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、街路灯や道路灯等に適用される照明器具および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明器具の本体ケース内に、ランプとその点灯装置を内蔵した照明器具および照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−111284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の照明器具および照明装置では、照明器具の本体ケースである器具本体を先細形状に形成しているにも拘らず、その先細方向に直交する幅方向に光軸が平行をなすように両口金のランプを配設するために左右一対の側壁面に、ランプソケットをそれぞれ配設している。
【0004】
このために、器具本体の幅方向の寸法を小形化することができず、大形化を招いているという課題がある。
【0005】
また、このために、器具本体の先細形状の先細方向前方に投光する前方配光タイプにしか構成できない、という課題もある。
【0006】
さらに、ランプ交換の際は、ガラスパネルを有する枠をまず器具本体から取外して器具本体の開口を開口させ、次に、この開口からランプを器具本体外へ引き出し、その後、再び交換用ランプを枠の開口から挿入しなければならず、ランプ交換の作業性が悪いという課題がある。特に、この照明器具がポールの上部や高所に取り付けられる場合には、そのランプ交換の作業性が一層悪化するうえに、作業が煩雑となる。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、器具本体の小形化とランプ交換の作業性の向上とを共に図ることができる照明器具および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の照明器具は、光源が収容される光源収容部、投光開口部、取付部材が配設される取付端部および取付端部側に配設された点灯装置を有し、取付端部から先端部側に向けて先細形状に形成された本体ケースと;本体ケースの先端部側に揺動可能に取り付けられて投光開口部を覆うとともに、少なくとも一部に投光部を有するカバーと;本体ケース内の先端部側に配設された光源のランプソケットと;を具備していることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の照明器具は、本体ケースは、ランプソケットが本体ケースの側面に変更可能に取り付けられるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の照明器具は、本体ケースは、光源からの光を本体ケースの先細方向前方へ反射させる前方配光用反射部材と、その側方へ反射させる左右配光用反射部材を、変更可能に配設することができるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の照明装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の照明器具と;この照明器具が取り付けられるポールと;を具備することを特徴とする。
【0012】
上記発明において、光源としては、例えばセラミックメタルハライドランプやLED(発光ダイオード)ランプでもよく、光源に限定されない。
【0013】
また、本発明は、市街地街路や道路、オフィス街などのエリア景観照明用等の街路灯等に適用される。街路灯としてはアームタイプとポールヘッドタイプのいずれにも適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、先細形状の本体ケースの狭隘な先細先端部側の空間にランプソケットを設けることにより、光源を配置しているので、本体ケースの狭隘な先細先端部側空間を有効に活用することができ、その分、本体ケースの小形化を図ることができる。
【0015】
また、ポールやアーム等の取付部材に取り付けられて支持され、その支持強度の高い本体ケースの取付端部側に比較的質量の大きい点灯装置を配設する一方、その支持部から離反している先端部側に、比較的軽量なランプソケットと光源を配置するので、照明器具全体の支持強度のバランスを安定させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、ランプソケットと光源とを、必要に応じて本体ケースの先細先端部から側面側へ変更して配設することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、前方配光用反射部材を必要に応じて左右配光用反射部材に変更して配設することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3記載の発明のいずれか一つを具備しているので、これら発明と同様の作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。複数の添付図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0020】
図1は本発明の第1の実施形態に係る照明器具1をほぼ平面から見たときの概略平面図、図2は図1のII−II線断面図、図3は同概略外観側面図である。
【0021】
図1〜図3に示すように照明器具1は、左右配光タイプであり、先細形状の本体ケース2と、この本体ケース2の先端部2aの底面(図2,図3では下面)に、例えば2個のヒンジ3,3により揺動可能に取り付けられたカバー4と、を具備している。
【0022】
本体ケース2は、その底面形状が矩形であり、その長手方向一端部(図1〜図3では右端部)2bを、ほぼ垂直に所定長立ち上がる垂直壁に形成し、この垂直壁の外面に取付部材の一例である取付金具5を固定して取付端部に形成している。この取付金具5は、図示しない地面上に立設されるポールの上部やアーム等に図2に示すようにカバー4を下に向けた状態で取り付けられる。
【0023】
本体ケース2は、その上面2cを、取付端部2bから先方(図1〜図3では左方向)へ向けて若干外方へ膨出してから漸次細くなる湾曲面により先細形状に形成している。
【0024】
本体ケース2は、その内部にランプ収容室6を形成する一方、その図2中右側の取付端部2b側に、点灯装置7を収容する点灯装置収容室8を形成している。
【0025】
ランプ収容室6は、その内部に、左右配光用反射部材の一例である左右配光用ミラー9を配設している。左右配光用ミラー9は、アルミニウム製平板の内面をエンボス加工により、反射面に形成すると共に、ケース本体2の幅方向、すなわち左右方向へ配光するように形成しており、そのカバー4側の矩形底面9aを投光開口として開口させる一方、先端部側にほぼ垂直に立ち上がる前端壁9bを形成している。
【0026】
前端壁9bは、その幅方向と高さ方向のほぼ中間部にてランプソケット10の軸方向中間部を貫通させた状態で固定している。ランプソケット10は、その図中左端部を図示省略した給電用リード線を介して点灯装置7の出力端に接続している。また、ランプソケット10には、光源の一例であるセラミックメタルハライドランプ11を、その口金のねじ込み等により着脱可能に装着している。
【0027】
そして、カバー4は、ケース本体2の底面よりも若干小さい矩形平板状に形成され、そのほぼ中央部に、左右配光用ミラー9の投光開口9aに適合した大きさと形状の開口にガラス等の透光性プレート4aを嵌合して、投光部を形成している。また、カバー4は、その内面外周部にパッキンを貼着し、このパッキンを介して本体ケース2の底面に密着させている。さらに、カバー4は、そのヒンジ3の枢着端部と反対側端部(図1〜図3では右端部)の中間部、または、その両端部を止めねじ12により固定している。
【0028】
したがって、この止めねじ12をカバー4から取り外すことにより、カバー4をヒンジ3,3を軸にして、その取付端部2b側(後方)を大きく開放させることができる。
【0029】
このために、照明器具1が取付金具5により図示省略のポール等の取付部材に取り付けられる取付端部2b側(後方)からカバー4の止めねじ12を外してこのカバー4を取付端部2b側の後方へ容易に開放させることができる。
【0030】
そして、この照明器具1によれば、先細形状の本体ケース2の狭隘な先端部2a側の空間にランプソケットを設けることにより、セラミックメタルハライドランプ11を配置しているので、本体ケース2の狭隘な先端部2a側の空間を有効に活用することができ、その分、本体ケース2の小形化を図ることができる。
【0031】
また、ポールやアーム等の取付部材に取り付けられて支持され、その支持力の大きい本体ケース2の取付端部2b側に質量の大きい点灯装置7を配設する一方、その支持部から若干遠いために支持力が取付端部2b側よりも若干弱い先端部2a側に、軽量のランプソケット10とセラミックメタルハライドランプ11を配置するので、照明器具1全体の支持強度のバランスを安定させることができる。
【0032】
そして、照明器具1によれば、左右配光用ミラー9により左右配光を行うことができる。
【0033】
また、本体ケース2の先端部2a側にランプソケット10とセラミックメタルハライドランプ11が配設され、カバー4が本体ケース2の取付端部2b側、つまり後方へ開放されるので、照明器具1の後方側で作業する作業員にとって、カバー4の止めねじ12を外してカバー4を開放し、セラミックメタルハライドランプ11をランプソケット10から取り外して、開扉中のカバー4から外部へ取り出し、その後、再び交換用ランプ11をランプソケット10へ装着するランプ交換作業の作業性を向上させることができる。
【0034】
図4は本発明の第2の実施形態に係る照明器具1Aの概略平面図、図5はそのV−V線断面図である。
【0035】
図4,図5に示すように、この照明器具1Aは、図1,図2で示す実施形態に係る照明器具1において、ランプソケット10の配置を本体ケース2の先端部2a側から側面側に変更すると共に、左右配光用反射ミラー9を前方配光用ミラー91に変更した点に特徴があり、これ以外の構成は照明器具1と同一である。
【0036】
すなわち、この照明器具1Aは、本体ケース2内に左右配光用ミラー9と前方配光用ミラー91の両者の一方を収容し、これら両者9,91をねじ止め等によりそれぞれ固定し得る構造を予め具備しているので、左右配光用ミラー9に代えて前方配光用ミラー91を本体ケース内に収容してねじ止め等により固定することができる。
【0037】
図5に示すように前方配光用ミラー91は、その底面を開口91aさせる一方、ミラー本体91cを本体ケース2の取付端部2b側から先端部2a側へ向けて漸次細くなる湾曲面により先細形状に形成する一方、その幅方向で対向する一対の側面91b,91bを平面により形成している。
【0038】
これら両側面91b,91bの一方には、その後部にてランプソケット10の軸方向中間部を板厚方向に貫通させた状態で固着している。ランプソケット10の内端部にはセラミックメタルハライドランプ11をその口金のねじ込み等により装着し、ランプソケット10の外端部には図示省略のリード線を介して点灯装置7の出力端に電気的に接続されている。このために、セラミックメタルハライドランプ11の光軸は前方配光用ミラー91の幅方向にほぼ平行に配設されている。
【0039】
したがって、この照明器具1Aによれば、図1,図2等で示す左右配光用の照明器具1を、非常に簡単かつ迅速に前方配光用の照明器具に変更することができる。すなわち、前方配光用の照明器具1と左右配光用の照明器具1Aとの部品共通化を大幅に増加させることができる。
【0040】
図6は本発明の第3の実施形態に係るポールタイプの街路灯の側面図である。この街路灯21は、図1〜図3で示す照明器具1または図4,図5で示す照明器具1Aを、その取付金具5によりポール22の上部の取付部22aに取り付けられた点に特徴がある。このポール22は、所要の地面23上に所要高さに立設された金属製の中空の円筒または角筒により構成されている。
【0041】
図7は本発明の第4の実施形態に係るブラケットタイプの照明装置24の側面図である。この照明装置24は、上記照明器具1または1Aを、その取付金具5により建屋の所要の壁面25の取付部25aに取り付けられた点に特徴がある。
【0042】
これらポールタイプの街路灯21やブラケットタイプの照明装置24は、上記照明器具1または1Aを具備しているので、上述した照明器具1,1Aの作用効果と同一の作用効果を奏することができる。
【0043】
なお、これら街路灯21と照明器具24の取付金具5と、ポール22の取付部22aおよび壁面25の取付部25aはその取付に適した構成に適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明器具の概略平面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1,図2で示す照明器具の概略外観側面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る照明器具の概略平面図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るポールタイプの街路灯の側面図。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るブラケットタイプの照明装置の側面図。
【符号の説明】
【0045】
1,1A…照明器具、2…本体ケース、2a…本体ケースの先端部、2b…本体ケースの取付端部、4…カバー、4a…投光部、5…取付金具、6…ランプ収容室、7…点灯装置、9…左右配光用ミラー(反射部材)、10…ランプソケット、11…セラミックメタルハライドランプ(光源)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が収容される光源収容部、投光開口部、取付部材が配設される取付端部および取付端部側に配設された点灯装置を有し、取付端部から先端部側に向けて先細形状に形成された本体ケースと;
本体ケースの先端部側に揺動可能に取り付けられて投光開口部を覆うとともに、少なくとも一部に投光部を有するカバーと;
本体ケース内の先端部側に配設された光源のランプソケットと;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
本体ケースは、ランプソケットが本体ケースの側面に変更可能に取り付けられるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
本体ケースは、光源からの光を本体ケースの先細方向前方へ反射させる前方配光用反射部材と、その側方へ反射させる左右配光用反射部材を、変更可能に配設することができるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の照明器具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一記載の照明器具と;
この照明器具が取り付けられるポールと;
を具備することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−73644(P2010−73644A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242919(P2008−242919)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】