説明

照明器具及び大型面発光照明器具

【課題】照明器具を隙間なく配列し、光のむらを防止する。
【解決手段】面状光源としての有機EL発光素子10の端面と支持部材としての基板12の端面が実質的に同一面上に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状光源を利用した照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL表示装置のような面状光源を利用した照明器具においても大型化が要請されている。発光面の大型化のため、基板を大型化する場合、製造工程におけるTFT(薄膜トランジスタ)の製造ライン等、製造装置の規模が必然的に大型化する。また、基板を大型化することにより、歩留まりが低下等が懸念される。そこで、比較的生産効率の高い大きさの基板に基づいて製作される面状光源を、複数平面上に配置することによって、隙間なく発光させることを目的とした照明器具が存在する。
【0003】
図3の照明器具100は、このような照明器具の一例であり、支持部材としての基板120上に複数の有機EL発光素子(面状光源)110が配置されている。そして基板120から電流を有機EL発光素子110に供給するための給電部130が基板120の上面で、かつ有機EL発光素子110の側面に設けられている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−266285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の照明器具では、図4に示すように、複数の照明器具100を平面状に配列し、より大きな発光面をもつ大型面発光照明器具200を得ている。ところが、照明器具100の面状光源の周囲にも部材、図3の例では基板120の外縁部が存在するため、照明器具内の光源間距離(図4ではa)と隣接する照明器具の最近接した光源間の距離(図4ではbまたはc)に差が生ずることとなる(図4ではa<b、a<c)。したがって、大型面発光照明器具の発光面内に隙間が生ずることとなる。この隙間からは光が出射しないため、光のむらが生ずることとなる。
【0006】
上記問題を解決するためには、照明器具1個あたりの面状光源数(有機EL発光素子110の枚数)を増やすことが考えられるが、このような照明器具の大型化は、施工性、生産性、メンテナンス性等の悪化をまねくこととなる。
【0007】
そこで、本発明は、複数配列しても隙間を生じさせにくい照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明器具は、面状光源と、前記面状光源を支持する支持部材とを備える照明器具であって、前記面状光源の少なくとも一つの端面と、前記支持部材の少なくとも一つの端面が実質的に同一面上に位置する。
【0009】
上記構成によれば、複数の照明器具を配列しても照明器具間に隙間を生じさせにくくなり、光のむらの少ない大型面発光照明器具などの製造が容易となる。
【0010】
上記照明器具において、前記面状光源の前記支持部材側の面に給電部を配置することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、面状光源の少なくとも一つの端面と、支持部材の少なくとも一つの端面を実質的に同一面上に位置させることを容易に行うことができる。
【0012】
また、複数の面状光源を前記支持部材上に設けることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、大型面発光照明器具をより簡易に製造することが可能となる。
【0014】
また、前記複数の面状光源を覆うように当該面状光源の発光面側に配置された光拡散パネルを更に設け、当該光拡散パネルの端面が、前記面状光源及び前記支持部材の端面と実質的に同一面上に位置する様に構成することが好ましい。
【0015】
前記面状光源の一例は有機EL発光素子である。また、上記照明器具を複数平面上に配列することにより、光のむらのない大型面発光照明器具を構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、照明器具を複数配列した場合であっても、隙間が生じるのを防止することができる。したがって、光のむらが生じにくい大型面発光照明器具の製造が容易なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による照明器具、大型面発光照明器具を示す図である。照明器具10は、面状光源としての複数の有機EL(Electroluminescense)発光素子11と、有機EL発光素子11を支持する支持部材としての基板12とを備えている。
【0019】
有機EL発光素子11は、図示せぬ複数の画素がマトリックス状に配置されて形成され、各画素にはスイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)が形成されている。尚、本発明では面状光源として有機EL発光素子を例示したが、光源の種類は特に限定はされない。
【0020】
本実施形態では、単一の基板12上に、複数枚の有機EL発光素子11が配置され、基板12は有機EL発光素子11を支持する支持部材として機能する。図1(b)に示すように、基板12には電極12aが埋め込まれており、有機EL発光素子11の電極11aと組み合わされ、有機EL発光素子11に電流を供給する給電部が構成される。すなわち、給電部は、有機EL発光素子11の基板12側の面に配置されている。
【0021】
そして、本実施形態では、点線Lで示すように、有機EL発光素子11の端面と基板12の端面が実質的に同一面上に位置している。本実施形態では、図3の照明器具とは異なり、給電部を有機EL発光素子11の基板12側の面(有機EL発光素子の裏面)に配置させたため、有機EL発光素子11の端面と基板12の端面を実質的に同一面上に位置させることが可能となった。ここで、「端面が実質的に同一面上に位置する」とは、照明器具10を隣接させて並べたとき、光のむらが生ずるような隙間が生じない程度に、有機EL発光素子11の端面と基板12の端面が同一面上に位置していることを意味する。
【0022】
このような構成により、複数の照明器具10をいずれの方向に並べても、有機EL発光素子11の配列間隔(配列ピッチ)は等しくなるとともに、有機EL発光素子11間に隙間が生ずることを防止することができる。図1(c)は、照明器具10を複数毎(図では4枚)、平面上に配列することにより構成された大型面発光照明器具20を示す。この図からわかるように、有機EL発光素子11の配列間隔(配列ピッチ)は、マトリックスの縦、横いずれの方向においても常にaとなり、発光面上に隙間が生じなくなる。したがって、図4の大型面発光照明器具とは異なり、複数の照明器具10を並べても光のむらが生ずることを防止することが可能となり、複数の基板12から構成される大型面発光照明器具の製造が容易なものとなる。
【0023】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態による照明器具を示す図である。本実施形態の照明器具100においては、各有機EL発光素子11の角部において、角部をカットすることによりテーパー面11bが形成されている。更に光拡散パネル14が複数の有機EL発光素子11を覆うように、当該発光素子の上側に、空間Sを隔てて設けられている。光拡散パネル14は、例えばアクリル樹脂などの透明樹脂中に光拡散作用を持つ別の樹脂を混ぜ合わせて製造されるが、光拡散作用を持つものであるならば、特に限定はされない。
【0024】
テーパー面11bは有機EL発光素子11の4つの角部に設けられ、光拡散パネル14の脚部14aを基板12上に配置する空間を作り出す切り欠き部として機能する。脚部14aのような光拡散パネル14の支持部を基板12上に配置する空間を作り出せるものであれば、切り欠き部の形状は図示のようなテーパー面11bには限定されない。
【0025】
光拡散パネル14は、各有機EL発光素子11、照明器具10、ひいては大型面発光照明器具20の発光面側に配置されている。すなわち、本例では有機EL発光素子11はトップエミッション型のものを採用している。そして、点線Lで示すように、光拡散パネル14の端面も、有機EL発光素子11及び基板12の端面と実質的に同一面上に位置している。
【0026】
本実施形態においては、光拡散パネル14の作用により、より均一な面状の光を得ることが可能となる。テーパ−面11bが存在する部分においては光が出射しないが、空間S、光拡散パネル14の存在により光のむらが緩和され、実用上問題ないレベルとなる。
【0027】
本実施形態においては、光拡散パネル14は単一の照明器具10を覆うものである。しかしながら、光拡散パネル14をさらに大型化し、図1(c)に示すような複数の照明器具10から構成される大型面発光照明器具を覆うように構成しても良い。
【0028】
また、上述した総ての実施形態において、複数の有機EL発光素子11が基板12上に設けられている。しかしながら、単一の有機EL発光素子11を基板12上に設けても、本発明の効果は達成される。
【0029】
上記構成によれば、大型面発光照明器具をより簡易に製造することが可能となる。
【0030】
また、上述した総ての実施形態において、有機EL発光素子11の総ての端面が、基板12の総ての端面と実質的に同一面上に位置している。しかしながら、有機EL発光素子11の少なくとも一つの端面が、基板12の少なくとも一つの端面と実質的に同一面上に位置していても、本発明の効果は達成される。また、照明器具、大型面発光照明器具とは直接照明光を発する器具のみならず、所定の情報を光(可視光、非可視光の双方を含む)によって伝えるディスプレイやその一部のようなものも含む。例えば、液晶表示装置のバックライトには本発明の照明器具、大型面発光照明器具が用いられるが、この場合も同様に上述した効果を得ることができる。
【0031】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、光のむらのない大型面発光照明器具を容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態の照明器具、大型面発光照明器具を示す図であり、(a)は照明器具を前方から見た図であり、(b)は照明器具の断面図であり、(c)は大型面発光照明器具の斜視図。
【図2】本発明の第2の実施形態の照明器具を示す図であり、(a)は照明器具を前方から見た図であり、(b)は照明器具の断面図であり、(c)は照明器具の斜視図。
【図3】従来の照明器具を示す図であり、(a)は照明器具を前方から見た図であり、(b)は照明器具の断面図。
【図4】他の従来の照明器具を示す図であり、(a)は照明器具を前方から見た図であり、(b)は照明器具の断面図。
【符号の説明】
【0034】
10 照明器具
11 有機EL発光素子
12 基板
14 光拡散カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状光源と、前記面状光源を支持する支持部材とを備える照明器具であって、前記面状光源の少なくとも一つの端面と、前記支持部材の少なくとも一つの端面が実質的に同一面上に位置する照明器具。
【請求項2】
請求項1記載の照明器具であって、
前記面状光源の前記支持部材側の面に給電部が配置された照明器具。
【請求項3】
請求項1または2記載の照明器具であって、
複数の面状光源が前記支持部材上に設けられた照明器具。
【請求項4】
請求項3記載の照明器具であって、
前記複数の面状光源を覆うように当該面状光源の発光面側に配置された光拡散パネルを更に備え、当該光拡散パネルの端面が、前記面状光源及び前記支持部材の端面と実質的に同一面上に位置する照明器具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の照明器具であって、
前記面状光源は有機EL発光素子である照明器具。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の照明器具を、複数平面上に配列することにより構成される大型面発光照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−152137(P2009−152137A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330721(P2007−330721)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】