説明

照明器具用取付部材

【課題】線状光源近辺の反射板の難燃性を確保するとともに、製造が容易で軽量な照明器
具用取付部材を提供する。
【解決手段】線状光源を有する照明器具に取り付ける照明器具用取付部材1であって、線
状光源A3を覆い、線状光源A3からの光を反射させる反射板2と、照明器具Aを覆うカ
バー部材3とを有し、反射板2は、内部に微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂シ
ート4と、熱可塑性樹脂シート4の裏面に積層された金属層5とを有し、カバー部材3は
、線状光源A3に対応する位置に開口部6を有しており、反射板2は、開口部6に取り付
けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に取り付ける照明器具用取付部材に係り、特に既設の線状光源を有
する天井照明装置に取り付ける照明器具用取付部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
店舗、オフィス、工場等においては、直管型蛍光灯を2本並設した照明器具がよく用い
られる。近年、2本の蛍光灯のうちの一灯のみ対し、照明器具の反射面と蛍光灯との間に
、反射板を後付けし、蛍光灯光の反射効率を向上させ、他の一灯を外すことで、電力コス
トを削減させることが行われている(例えば、特許文献1)。その場合、不要となる蛍光
灯部分を目隠しするために照明器具を覆うカバー部材を、蛍光灯周辺に取り付けられる反
射板と同じ素材で形成した照明器具用取付部材が用いられることがある。
【0003】
ところで、上記反射板として、内部に微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂シー
トを用いることが知られている(例えば、特許文献2)。この熱可塑性樹脂シートは、反
射率は高いが、難燃性能が金属反射板に劣る。そこで、内部に微細な気泡または気孔を有
する熱可塑性樹脂シートに薄い金属板を貼合した反射板が用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−263911号公報
【特許文献2】特開2008−123715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記照明器具を覆うカバー部材を反射板と一体的に形成する場合、光源
からの光を反射させる部分とカバー部材となる部分との境界を折り曲げなければならない
が、熱可塑性樹脂シートに金属板を貼合したものでは、加工が困難であるという問題があ
った。また、カバー部材となる部分にも熱可塑性樹脂シートに金属板を貼合したものを用
いることになり、重量が重くなるため、取り付け後に製品が落下する危険性も高くなる。
【0006】
そこで、本発明は、線状光源からの光を反射させる反射板と照明器具を覆うカバー部材
とを有し、照明器具に取り付ける照明器具用取付部材であって、線状光源近辺の反射板の
難燃性を確保するとともに、製造が容易で軽量な照明器具用取付部材を提供することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明に係る照明器具用取付部材は、線状光源を有する
照明器具に取り付ける照明器具用取付部材であって、前記線状光源を覆い、前記線状光源
からの光を反射させる反射板と、前記照明器具を覆うカバー部材とを有し、前記反射板は
、内部に微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂シートと、前記熱可塑性樹脂シート
の裏面に積層された金属層とを有し、前記カバー部材は、前記線状光源に対応する位置に
開口部を有しており、前記反射板は、前記開口部に取り付けられていることを特徴とする

【0008】
上述の照明器具用取付部材において、前記カバー部材は、内部に微細な気泡または気孔
を有する熱可塑性樹脂シートにより構成するとよい。
【0009】
また、上述の照明器具用取付部材において、前記カバー部材に、前記線状光源の長手方
向に沿って前記開口部の端部が折り曲げられた折曲げ部を設け、前記折曲げ部と前記反射
板の端部とを貼合することにより、前記反射板を前記カバー部材の前記開口部に取り付け
るようにしてもよい。
【0010】
さらに、上述の照明器具用取付部材において、前記金属層は、アルミニウム薄板を前記
熱可塑性樹脂シートに貼合することにより形成するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、線状光源近辺の反射板の難燃性を確保することができるとともに、容
易に製造することができ、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る照明器具用取付部材の一実施形態の構成を模式的に示した断面図である。
【図2】図1の照明器具用取付部材に備わる反射板の構成を模式的に示した斜視図である。
【図3】図1の照明器具用取付部材に備わるカバー部材の構成を模式的に示した上面図である。
【図4】図1の照明器具用取付部材の反射板のカバー部材への取り付けを模式的に説明する説明図である。
【図5】本発明に係る他の照明器具用取付部材の構成を模式的に示した断面図である。
【図6】本発明に係る他の照明器具用取付部材の構成を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図1から図4を参照して説明する。
【0014】
本実施形態に係る照明器具用取付部材1は、既設の直管型蛍光灯等の線状光源を有する
照明器具に取り付けるものである。照明器具Aは、例えば、天井に埋め込まれ一面が開口
された筐体A1を有し、この筐体A1内には線状光源が2本収容されるようになっている
。なお、照明器具Aは、本実施の形態に係る照明器具用取付材を取り付けることにより、
線状光源を1本抜き、代わりに通電用の模擬管A2(いわゆるダミー管)を取り付けるか
、インバーターを1灯用に変更することにより、省エネルギー化を図ることができる。
【0015】
照明器具用取付部材1は、線状光源A3を覆い、線状光源A3からの光を反射させる反
射板2と、照明器具Aを覆うカバー部材3とを有している。
【0016】
反射板2は、熱可塑性樹脂シート4を有しており、この熱可塑性樹脂シート4は、平均
気泡径が50nm以上で50μm以下の微細な気泡または気孔を内部に有する。この気泡
または気孔は円形でなくてもよく、扁平していても針状になっていてもよい。このような
熱可塑性樹脂シート4としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートの押出シートに炭
酸ガスを高圧下で含浸させた後、加熱し発泡させたシートで、内部の気泡径が50μm以
下である発泡プラスチック製光反射シートがある(例えば古河電気工業製のMCPET(
登録商標)等)。また、前記熱可塑性樹脂シート4の好ましい他の例として、フィラーを
含有する熱可塑性樹脂シートであって、フィラーを核として多数のボイドが成形されてい
るシートが挙げられる。この場合、上記フィラーを含有する熱可塑性樹脂シートは、フィ
ラーを含有する未延伸シートを成形し、この未廷伸シートを延伸することにより、フィラ
ーを核として多数のボイドを成形した多孔性延伸シートであることが好ましい。熱可塑性
樹脂シート4の材質としては、種々のものを挙げることができるが、耐熱性、耐衝撃性な
どが良好であることから、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン
、シクロポリオレフィンが好ましい。なお、前記熱可塑性樹脂シート4に用いられる樹脂
中には、酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、顔料、強化剤などの添加剤を適宜添加するこ
とができる。また、これら添加剤を含有する塗布層を熱可塑性樹脂シート4上に成形して
もよい。特に、線状光源A3が冷陰極管である場合、紫外線防止剤を添加またはコーティ
ングする必要がある。熱可塑性樹脂シート4の厚さは適宜の設計事項であるが、0.5m
m〜3.0mmであることが好ましい。厚すぎると重量が嵩み、薄すぎると曲がりやすく
形状保持性の点で実用性を損なう。
【0017】
熱可塑性樹脂シート4の反射面となる面とは逆側である裏面には、金属層5が積層され
ている。金属層5の形成方法は、特に限定はされないが、好ましくは、金属薄板を貼合す
ることにより熱可塑性樹脂シート4に積層させるとよい。金属薄板は、特に限定されない
が、例えば、アルミニウム板、鋼板、銅板等が挙げられ、軽量であって、コストも比較的
安価であることから、アルミニウム薄板を用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂シート4へ
の金属薄板の貼合は、接着剤で接着することにより行ってもよいし、接着剤を用いずに熱
融着してもよい。上記接着剤としては、エポキシ化合物系またはウレタン化合物(イソシ
アネート)系の接着剤等を使用することができるが、これらに限られるものではない。金
属層5の厚さは適宜の設計事項であるが、0.08〜1.5mmであることが好ましい。
厚すぎると重量が増すことにより取り付け時の作業が煩雑になり、薄すぎると難燃性の効
果が十分でない。
【0018】
反射板2は、長方形状の金属層5が積層された熱可塑性樹脂シート4をアーチ状に成形
してなり、凹面が反射面とされている。この成形方法に限定はなく、例えばプレス成形、
折り曲げ加工等によって成形することができる。より詳細には、例えば、図2に示すよう
に、金属層5が積層された熱可塑性樹脂シート4の長手方向両辺と平行に形成された折曲
線10に沿って、金属層5が積層された熱可塑性樹脂シート4を折り曲げることによりア
ーチ形状に成形することができる。なお、折曲線10として、反射板2の反射面または裏
面に凹溝を設けると、折り曲げ加工性がよい。折曲線10の間隔は、等間隔であってもよ
いし適宜異なる間隔としてもよい。折曲線10の本数も特に限定されない。
【0019】
また、カバー部材3は、図1及び図3に示すように、例えば長方形状の熱可塑性樹脂シ
ートからなり、熱可塑性樹脂シートの線状光源A3に対応する位置には開口部6が設けら
れている。カバー部材3の材質は、熱可塑性樹脂シートに限定されるものではないが、反
射板2を構成する内部に微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂シート4と同じもの
を用いることにより、軽量化を図ることができる上、天井に取り付けられたときに下から
見た場合に反射板2の反射面との連続性があり見た目がよい。開口部6は、線状光源A3
からの光や、線状光源A3からの光が反射板2で反射された反射光が、室内に向けて十分
に出射される程度に開口していればよい。
【0020】
カバー部材3の模擬管A2に対応する位置には、開口部6と隣接して、模擬管A2を覆
って見えなくするための目隠し部7が設けられている。目隠し部7は、熱可塑性樹脂シー
ト4に、開口部6を設けない領域を所定範囲設けることにより形成されている。
【0021】
カバー部材3は、開口部6の長手方向側の端部が長手方向に沿って折り曲げられること
により形成された折曲げ部8を有している。折曲げ部8は、開口部6の長手方向と直行す
る方向側の辺の延長線上に折曲げ部8を折り返すための切り込み9を設けるとともに、折
り返したい箇所に折曲線11を設けておき、この折曲線11に沿って折り曲げることによ
り、容易に成形することができる。
【0022】
照明器具用取付部材1は、図4に示すように、カバー部材3の折曲げ部8に反射板2の
長手方向側の端部が取り付けられることにより構成されている。折曲げ部8に反射板2の
端部を取り付ける方法の限定はないが、両面粘着テープを用いて接着させるとよい。両面
粘着テープ以外にも、接着剤、粘着剤、接着テープ、メカニカルファスナー、磁石等によ
り、折曲げ部8に反射板2の端部を取り付けてもよい。
【0023】
なお、図1では、反射板2端部の反射面側がカバー部材3の折曲げ部8に接するように
取り付けた例を示したが、逆に裏面側すなわち金属層5側が折曲げ部8に接するように取
り付けてもよい。反射面側がカバー部材3の折曲げ部8に接するように取り付けた方が、
照明器具Aに取り付けられたときに、反射板2がカバー部材3により、下方からしっかり
支持された状態になるため好ましいが、裏面側が折曲げ部8に接するように取り付けても
、反射板2はアーチ形状が開く方向へ曲げ戻ろうとし、折曲げ部8は折り返された方向と
逆側に曲げ戻ろうとするから、反射板2と折曲げ部8とが互いに押し付け合っているため
、しっかりと固定される。
【0024】
照明器具用取付部材1は、カバー部材3の周縁部が照明器具Aの筐体A1に固定される
ことにより照明器具Aに取り付けられる。カバー部材3を照明器具Aの筐体A1に固定す
る方法には限定はなく、例えばねじ止めしてもよいし、カバー部材3に取り付けた爪状の
係止片を照明器具Aの筐体A1の縁部に係止させてもよいし、カバー部材3にマグネット
シートを粘着テープで接着し、磁力によって照明器具の筐体に固定してもよい。
【0025】
本実施の形態では、線状光源を2本並設した照明器具Aに取り付けられる照明器具用取
付部材について説明したが、これに限定されず、図5に示すように、線状光源を3本並設
した照明器具Bに取り付けられる照明器具用取付部材20であってもよい。図5では、3
本の線状光源のうち、真ん中に位置する1本を模擬管B2に代える例を示している。この
場合、カバー部材23の線状光源B3に対応する両端2箇所に開口部26が設けられてお
り、両開口部26に挟まれた真ん中の領域が目隠し部27となっている。開口部26には
、前述と同様に折曲げ部28が設けられており、この折曲げ部28には、前述と同様の反
射板2がそれぞれ取り付けられている。なお、3本の線状光源のうち、一方の端部に位置
する1本を模擬管に代えてもよいし、両端部に位置する2本を模擬管に代えてもよい。こ
の場合、カバー部材の線状光源を配置する位置に対応する部分に開口部を設け、この開口
部に反射板を取り付ければよい。
【0026】
また、本実施の形態では、天井に埋め込まれた照明器具に適用される照明器具用取付部
材について説明したが、天井から突設された照明器具にも適用可能である。この場合、図
6に示すように、カバー部材33を、照明器具のとりつけられたときに天井側に位置する
面が開口された箱状に形成し、開口面と対向する面の線状光源C3に対応する位置に開口
部36を設けるとよい。また、カバー部材33の開口面側の周縁を内側に折り曲げて係止
部39を形成し、照明器具の基台(図示しない)と天井との間に差し込んで、基台に係止
させることにより、照明器具用取付部材30を照明器具に取り付けるとよい。
【0027】
以上では、複数本の線状光源を並設した照明器具に取り付けられる照明器具用取付部材
について説明したが、本発明は、1本の線状光源が配置された照明器具にも適用可能であ
る。このような照明器具用取付部材を1本の線状光源が配置された照明器具に取り付けた
場合、反射効率が向上するため、同じ部屋内の他の照明器具の光源を外すことができ、全
体として省電力化を図ることができる。
【符号の説明】
【0028】
1、20、30 照明器具用取付部材
A、B 照明器具
A1 筐体
A2、B2 模擬管
A3、B3、C3 線状光源
2 反射板
3、23、33 カバー部材
4 熱可塑性樹脂シート
5 金属層
6、26、36 開口部
7 目隠し部
8、28 折曲げ部
9 切り込み
39 係止部
10 折曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状光源を有する照明器具に取り付ける照明器具用取付部材であって、
前記線状光源を覆い、前記線状光源からの光を反射させる反射板と、
前記照明器具を覆うカバー部材とを有し、
前記反射板は、内部に微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂シートと、前記熱可
塑性樹脂シートの裏面に積層された金属層とを有し、
前記カバー部材は、前記線状光源に対応する位置に開口部を有しており、
前記反射板は、前記開口部に取り付けられていることを特徴とする照明器具用取付部材

【請求項2】
前記カバー部材は、内部に微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂シートからなる
ことを特徴とする請求項1に記載の照明器具用取付部材。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記線状光源の長手方向に沿って前記開口部の端部が折り曲げられ
た折曲げ部を有しており、前記折曲げ部と前記反射板の端部とが貼合されることにより、
前記反射板が前記カバー部材の前記開口部に取り付けられていることを特徴とする請求項
1または請求項2に記載の照明器具用取付部材。
【請求項4】
前記金属層は、アルミニウム薄板が前記熱可塑性樹脂シートに貼合されることにより形
成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の照明器具用
取付部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−29017(P2011−29017A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174221(P2009−174221)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】