説明

照明器具

【課題】可撓性を備えた光拡散用のバルーンで照明用の光源を覆って周りを広範囲にわたって照らすことができるとともに、バルーン自体に自立性を持たせることができ、たとえ照明器具が傾倒しても、バルーンの姿勢を安定良く維持することが可能な照明器具。
【解決手段】接地部1とその接地部1に連設された照明用の光源3を備え、接地部1を下方に光源3を上方にして接地した状態で傾倒しても、接地部1の重心に作用する重力によって傾倒姿勢から自ずと元の接地姿勢に復帰する照明器具で、光源3が、可撓性を備えた袋状の光拡散用のバルーン13で覆われていて、バルーン拡張用のファン7によりバルーン13内に空気を吹き込むことによって、バルーン13が側面視においてほぼ逆円錐形状に拡張する照明器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地部とその接地部に連設された照明用の光源を備え、前記接地部を下方に前記光源を上方にして接地した状態で傾倒しても、前記接地部の重心に作用する重力によって傾倒姿勢から自ずと元の接地姿勢に復帰する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような照明器具は、いわゆる「起上り小法師」のように、他物の当接により傾倒しても、完全に倒伏せずに自ずと元の接地姿勢に復帰するので、他物が当接する機会の多い建築現場などで使用するのに好都合であり、従来、照明用の光源が透明なドーム状の樹脂製カバーで覆われたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】アメリカ特許第5,490,051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に記載の照明器具では、光源が透明な樹脂製のカバーで覆われているので、周囲を照らす光そのものは比較的強いものの、光源からの光があまり周囲に拡散せず、光源の周りを広範囲にわたって照らすことができないばかりか、光源の近くで作業する者にとっては、光源が眩し過ぎて作業がし難いという欠点があった。
その上、カバーが樹脂製であるため、他物の当接により破損する可能性があり、また、カバーが嵩張るので運搬や収納に不便であり、この点に改良の余地があった。
【0005】
このような欠点を解消するには、例えば、図2に示すように、可撓性を備えた球状の光拡散用のバルーン13Aにより光源3を覆って、そのバルーン13A内に空気を継続的に吹き込むことによって、バルーン13Aを球状に拡張させて使用することが考えられる。
しかし、光源3を覆う可撓性のバルーン13Aが球状であると、照明器具が傾倒した際、バルーン13A自体にあまり自立性がないので、図2において仮想線で示すように、バルーン13Aが取り付けられた部材2Aに対して、バルーン13Aが大きく傾くことになり、バルーン13Aの姿勢が安定しなくなる可能性がある。
【0006】
本発明は、このような改良を経て完成したもので、その目的は、可撓性を備えた光拡散用のバルーンで照明用の光源を覆って周りを広範囲にわたって照らすことができるとともに、バルーン自体に自立性を持たせることができ、たとえ照明器具が傾倒しても、バルーンの姿勢を安定良く維持することが可能な照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴構成は、接地部とその接地部に連設された照明用の光源を備え、前記接地部を下方に前記光源を上方にして接地した状態で傾倒しても、前記接地部の重心に作用する重力によって傾倒姿勢から自ずと元の接地姿勢に復帰する照明器具であって、前記光源が、可撓性を備えた袋状の光拡散用のバルーンで覆われていて、バルーン拡張用のファンにより前記バルーン内に空気を吹き込むことによって、前記バルーンが側面視においてほぼ逆円錐形状に拡張するにある。
【0008】
本発明の第1の特徴構成によれば、照明用の光源が、可撓性を備えた袋状の光拡散用のバルーンで覆われているので、照明器具の不使用時には、バルーンを小さく折り畳むことができ、照明器具の使用時には、バルーン拡張用のファンによりバルーン内に空気を吹き込んで拡張させることによって、光源からの光はバルーンにより周囲に拡散され、そのため、光源の周りが広範囲にわたって照らされるとともに、たとえ光源の近くであっても、光源からの光が眩しく感じられることもなく、また、他物が当接しても、樹脂製のカバーなどに比べて破損する可能性は少ない。
そして、そのバルーンは、空気を吹き込むことで側面視においてほぼ逆円錐形状に拡張するので、側面視において左右に位置する縁部がほぼ直線状となって突っ張り作用を発揮し、その結果、図2に示した球状のバルーンに比べて、自立性も確実なものとなり、たとえ照明器具が傾倒しても、バルーンの姿勢は安定良く維持される。
【0009】
本発明の第2の特徴構成は、前記光源が、筒状体を介して前記接地部に連設され、前記ファンが、前記接地部に配設されていて、そのファンからの空気が、前記筒状体の内部空間を通って前記バルーン内に吹き込まれるところにある。
【0010】
本発明の第2の特徴構成によれば、照明用の光源が、筒状体を介して接地部に連設され、バルーン拡張用のファンが、その接地部に配設されているので、比較的重量のあるファンを接地部に配設することにより接地部の据わりが安定し、筒状体による光源の保持も確実となる。
そして、接地部に配設されたファンからの空気が、筒状体の内部空間を通ってバルーン内に吹き込まれるので、ファンからの空気は、主として筒状体の長手方向に沿ってほぼ逆円錐形状の円形底部に向けて吹き込まれ、その円形底部が風圧により上方へ押し上げられるので、上述した突っ張り作用が顕著となり、たとえ照明器具が傾倒しても、バルーンの姿勢はより一層安定良く維持される。
【0011】
本発明の第3の特徴構成は、前記筒状体が、その長手方向に伸縮および固定自在であるところにある。
【0012】
本発明の第3の特徴構成によれば、筒状体が、その長手方向に伸縮および固定自在であるから、照明器具の使用時には、光源の高さを自由に調整することができ、また、照明器具の不使用時には、筒状体を短く縮めることによって、運搬や収納に便利なようにコンパクトにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明による照明器具の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この照明器具は、主として各種の建築現場、工事現場、工場、あるいは、作業場などで使用されるもので、図1に示すように、接地部としての接地台1とその接地台1に円筒状の筒状体2を介して連設された照明用の光源3などを備えている。
接地台1は、金属や合成樹脂などの各種の材料から形成可能であり、被接地面の一例である地面G上に接地される側がほぼ半球状に形成されて、その内部には、適切な重量を有する重り4を下方にして、光源3用の安定器5と電動モータ6付きのバルーン拡張用のファン7などが配設され、先端にコンセント8を有する電源供給用の電線9aが接地台1から延出されている。
【0014】
前記筒状体2は、接地台1に対して取り外し可能に固定された下部筒体2aと下部筒体2aに内嵌された上部筒体2bからなり、下部筒体2aに対して上部筒体2bをスライドさせて、下部筒体2aに設けられた環状の締め付け具10で上下の筒体2a,2bを締め付け固定することにより、上下の筒体2a,2bからなる筒状体2が、その長手方向に伸縮および固定自在なように構成されている。
照明用の光源3としては、水銀灯やメタルハライドランプなどの各種のランプが使用可能であり、筒状体2の上端、つまり、上部筒体2bの上端に固着されたソケット11に取り付けられ、ソケット11と安定器5が、筒状体2の内部空間内に配設された電線9bによって電気的に接続されている。
【0015】
そのソケット11には、光源3の周囲を覆う金属性のガードフレーム12が取り外し可能に取り付けられ、さらに、光源3とガードフレーム12の周囲を覆う袋状の光拡散用のバルーン13が、上部筒体2bの上端に取り外し可能に取り付けられている。
光拡散用のバルーン13は、布などの可撓性を有する材料で形成され、バルーン拡張用のファン7によりバルーン13内に空気を継続的に吹き込むことによって、側面視においてほぼ逆円錐形状に拡張して、その逆円錐形状を維持するように構成されている。
そのため、ファン7の吐出口は、筒状体2を構成する下部筒体2aの下端開口部に連通され、上部筒体2bの上端には、バルーン13の内部に連通する吐出口14がソケット11の周囲に設けられ、接地台1の周囲には、フィルタ15付きの空気吸引口16が設けられていて、電動モータ6によるファン7の駆動によって、空気吸引口16から吸引された空気が、筒状体2の内部空間を通って吐出口14からバルーン13内に吹き込まれるように構成されている。
【0016】
つぎに、この照明器具の使用方法について説明する。
例えば、建築現場で使用する場合であれば、接地台1を下方に光源3を上方にして、接地台1を地面Gや建築物の床面などの適当な場所に接地し、締め付け具10を緩めて上下の筒体2a,2bからなる筒状体2の高さを調整し、締め付け具10を締め付けて光源3の高さを適切に設定する。
そして、コンセント8を一般家庭用の電源に差し込んで、図外のスイッチを入れることにより、光源3が点灯するとともに、電動モータ6の駆動に伴ってファン7が作動し、フィルタ15を通って空気吸引口16から吸引された空気が、筒状体2の内部空間を通って吐出口14からバルーン13内に吹き込まれ、布製のバルーン13から少しずつ外部へと放出される。
【0017】
バルーン13内に吹き込まれる空気は、主として筒状体2の長手方向に沿ってほぼ逆円錐形状の円形底部に向けて吹き込まれるので、バルーン13は、その円形底部が風圧により上方へ押し上げられ、側面視において左右に位置するバルーン13の縁部がほぼ直線状となって突っ張り作用を発揮し、バルーン13の自立性は確実となり、図1において仮想線で示すように、照明器具が傾倒しても、バルーン13の姿勢は安定良く維持される。
そして、照明器具の接地状態において、下方に位置する接地台1内に重り4をはじめとして安定器5や電動モータ6付きのファン7などの重量物が収納され、かつ、接地台1の下面側がほぼ半球状に形成されているので、たとえ筒状体2などに他物が当接しても、照明器具は傾倒するだけで倒伏することはなく、いわゆる「起上り小法師」のように、接地部1の重心に作用する重力によって傾倒姿勢から自ずと元の接地姿勢に復帰する。
【0018】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、筒状体2を上下2本の筒体2a,2bで構成した例を示したが、3本以上の筒体で構成して、長手方向に伸縮および固定自在にすることもできる。
また、筒状体2を1本の筒体で伸縮できないように構成することもでき、さらに、筒状体2に代えて、例えば、中実の棒状体を使用して光源3を接地台1に連設することもでき、その場合には、棒状体の上端近くにファン7を配設することになる。
【0019】
(2)先の実施形態では、布製のバルーン13を例示したが、折り畳みできる程度の可撓性を備えていれば、布以外の材料によりバルーン13を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による照明器具の正面図
【図2】従来の改良案による照明器具の正面図
【符号の説明】
【0021】
1 接地部
2 筒状体
3 光源
7 ファン
13 バルーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地部とその接地部に連設された照明用の光源を備え、前記接地部を下方に前記光源を上方にして接地した状態で傾倒しても、前記接地部の重心に作用する重力によって傾倒姿勢から自ずと元の接地姿勢に復帰する照明器具であって、
前記光源が、可撓性を備えた袋状の光拡散用のバルーンで覆われていて、バルーン拡張用のファンにより前記バルーン内に空気を吹き込むことによって、前記バルーンが側面視においてほぼ逆円錐形状に拡張する照明器具。
【請求項2】
前記光源が、筒状体を介して前記接地部に連設され、前記ファンが、前記接地部に配設されていて、そのファンからの空気が、前記筒状体の内部空間を通って前記バルーン内に吹き込まれる請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記筒状体が、その長手方向に伸縮および固定自在である請求項2に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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