説明

照明器具

【課題】部品点数や寸法の増加を招くことなく内部空間への虫の進入を防ぐ。
【解決手段】枠6の内周面においては第一の段部61と第二の段部62とが連続して設けられている。故に、枠6並びにカバー5を器具本体1に取り付けた状態では、図1(b)に示すように第一の段部61に圧接された防虫パッキン7の端部が第二の段部62の方にはみ出してカバー5の周縁上端にも圧接されることになる。その結果、枠6と器具本体1(外鍔部12)との隙間だけでなく、枠6とカバー5との隙間も防虫パッキン7で塞ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ランプソケットを保持して造営面に固定される器具本体と、外周を囲うように器具本体に着脱自在に取り付けられる枠と、透光性を有し枠に固定されてランプソケットに装着されたランプを覆うカバーと、弾性材料製であって器具本体と枠の隙間を塞ぐ防虫パッキンとを備えた照明器具が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された従来例は天井直付け形の照明器具であって、図4に示すように略方形の器具本体100に、この器具本体100の下面開口部を覆うセード(カバー)102を取付枠(枠)103で取り付けている。器具本体100内には、対向する両縁内側に沿って複数のセード取付ばね104が設けられるとともに、蛍光ランプ105がランプソケット106に装着されている。そして、取付枠103上部の断面L型を為す各縁部103a,103bには、弾性変形自在な防虫パッキン107,108がそれぞれ取り付けられている。この従来例では、取付枠103上部の縁部103a,103bに取り付けられた防虫パッキン107,108に器具本体100の左右両縁100aが圧接されることで器具本体100と枠103との隙間が塞がれるので、かかる隙間から器具本体100、枠103、カバー102で囲まれた内部空間に虫が進入するのを防止することができる。
【特許文献1】実開昭60−156610号公報(第2頁乃至第3頁並びに第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では枠103とカバー102との間に生じる隙間については何ら考慮されておらず、かかる隙間を塞いで虫の侵入を防ぐためには別途防虫パッキンを追加する必要があり、部品点数が増加するとともに防虫パッキンを追加することで器具全体の寸法も増してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、部品点数や寸法の増加を招くことなく内部空間への虫の進入を防ぐことができる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、ランプソケットを保持して造営面に固定される器具本体と、外周を囲うように器具本体に着脱自在に取り付けられる枠と、透光性を有し枠に固定されてランプソケットに装着されたランプを覆うカバーと、弾性材料製であって器具本体と枠並びにカバーとの隙間を塞ぐ防虫パッキンとを備え、枠は、器具本体の周縁が係止される第一の段部と、第一の段部から連続しカバーの周縁が係止される第二の段部とが内周面に設けられ、防虫パッキンは、第一の段部に圧接されるとともに第二の段部に係止されたカバーの周縁にも圧接されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、器具本体は、周縁から外側に突出し且つ先端が鈎形に曲げられてなる外鍔部を有し、外鍔部の先端部内側に防虫パッキンが配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、枠の内周面に設けられた第一の段部と第二の段部にそれぞれ器具本体とカバーが係止された取付状態においては、弾性材料製の防虫パッキンが第一の段部並びにカバーの周縁の双方に圧接されるため、器具本体と枠の間の隙間と枠とカバーの間の隙間の両方が共通の防虫パッキンで塞がれることとなり、部品点数や寸法の増加を招くことなく内部空間への虫の進入を防ぐことができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、周縁から外側に突出し且つ先端が鈎形に曲げられてなる外鍔部を器具本体に有し、外鍔部の先端部内側に防虫パッキンが配設されているので、外鍔部を枠の内周面に当接させて位置決めすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図3を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、環形の二重管形蛍光ランプ(以下、蛍光ランプと略す。)Laを光源とする天井直付け形の照明器具であって、後述する固定金具9を用いて天井に取り付けられる器具本体1と、器具本体1に保持されるランプソケット2と、蛍光ランプLaを支持する支持ばね3と、ランプソケット2を介して蛍光ランプLaに高周波電力を供給して点灯させる蛍光灯電子安定器4と、器具本体1の下面側に取り付けられるカバー5と、カバー5の周縁を覆う枠6とを備えている。
【0011】
器具本体1は、矩形平板状の金属板からなる本体10と、アクリル樹脂のような透光性を有する合成樹脂材料により角錐台筒状に形成された上カバー11とで構成されている。上カバー11の上底面には内向きに突出する内鍔部11aが設けられ、上底面の開口を塞ぐようにして本体10が内鍔部11aにねじ止めされる。本体10の中央には円形の貫通孔10aが設けられ、貫通孔10aの周囲には一対の円弧状のだるま孔10b,10bが貫通孔10の中心と同心円上に且つ互いに貫通孔10aを挟んで対向する位置に設けられている。蛍光灯電子安定器4はプリント配線板(図示せず)に電子部品を実装したものを金属製のケースに収納して構成されており、本体10の下面にねじ止めして固定されている。また、ランプソケット2と支持ばね3とは、貫通孔10aの中心と同心円上且つ互いに貫通孔10aを挟んで対向する位置にねじ止めされており、ランプソケット2には蛍光灯電子安定器4から導出された複数の出力線40が接続されている。また、蛍光灯電子安定器4には一対の電源線41が導入されており、かかる電源線41の先端には天井に配設されている引掛シーリングボディ200と接続される引掛シーリングキャップ42が付設されている。
【0012】
上カバー11の下端縁には外側に突出し且つ先端が下方へ折曲されて鈎形となった外鍔部12が全周に渡って形成され、かかる外鍔部12の下面内側に防虫パッキン7が接着固定されている。この防虫パッキン7は、スポンジのような弾性材料で角柱状に形成され、合計4本が上カバー11の外鍔部12の各辺に互いに隙間無く固定されている。なお、防虫パッキン7の下部が外鍔部12より下方へ突出させてある。
【0013】
カバー5は、アクリル樹脂のような透光性を有する合成樹脂材料により、周縁から中央に向かって下方に膨出した角皿状に形成され、その周縁には外側に突出するフランジ部50が全周に渡って一体に形成されている。
【0014】
枠6は木製であって、両端がほぼ45度に切断された長尺の4本の角材60を互いの端面同士を突き合わせ且つ結合することで正方形状に形成されている。また、枠6の内周面には上から下に向かって内側に突出する連続した2つの段部が設けられており、上側の段部(以下、第一の段部と呼ぶ。)61に器具本体1(実際は防虫パッキン7)が係止され、下側の段部(以下、第二の段部と呼ぶ。)62にカバー5のフランジ部50が係止される。ここで、第一の段部61には上下方向で第二の段部62に重なる複数(3つ)の外れ防止金具63がねじ止めされており、かかる外れ防止金具63によって第二の段部62とフランジ部50の係止が外れるのを防ぎ、さらに枠6からカバー5が脱落するのを防止している。なお、外れ防止金具63の一つには紐64の一端がねじ止めされ、かかる紐64の先端には略S字状の引掛金具65が結び付けられている。
【0015】
また、枠6の各辺(角材60)の中央には、第一の段部61に係止された外鍔部12の上面に当接して器具本体1に枠6を取り付ける合計4つの取付金具8が回動自在に設けられている。取付金具8は金属板を加工してなり、ねじ8bによって一端部が枠6上面に回動自在に固定され、片側の周縁から立ち上げられた摘み片8aが指で摘まれて回動操作される。
【0016】
次に、本実施形態の照明器具を天井に取り付けるための施工手順について説明する。
【0017】
まず、天井に配設されている引掛シーリングボディ200を内側に配置する形で略円環状の固定金具9を木ねじで天井に固定する。固定金具9には一対の耳片9aが天井と平行するように外向きに突設されており、これら一対の耳片9aに形成されたねじ孔(図示せず)に固定ねじ9cを螺合し、本体10のだるま孔10bに固定ねじ9cを挿通して締め付けることよって器具本体1を固定金具9に固定する。そして、本体10中央の貫通孔10aに挿通された引掛シーリングボディ200に引掛シーリングキャップ42を接続し、さらにランプソケット2に蛍光ランプLaの口金を接続するとともに支持ばね3に蛍光ランプLaを支持させる。
【0018】
続いて、カバー5が取り付けられた枠6を器具本体1に取り付けるのであるが、その際、紐64を介して枠6と結合されている引掛金具65を本体10に設けられている引掛孔13に引っ掛けることで施工中の枠6の落下を防止する(図2(a)参照)。そして、枠6の一つの角材60における第一の段部61側壁に器具本体1の外鍔部12端縁を当接し(図1(a)参照)、かかる当接部位を支点として枠6並びにカバー5を上方へ回転させることで第一の段部61に防虫パッキン7を容易に係止させることができる。最後に、枠6並びにカバー5を手で支持した状態で摘み片8aを指で押して取付金具8を回動操作すれば、器具本体1に枠6並びにカバー5を取り付けることができる。なお、蛍光ランプLaを交換する場合、取付金具8を反対向きに回動操作し、枠6並びにカバー5を器具本体1から外せばよい。
【0019】
ここで、枠6の内周面においては第一の段部61と第二の段部62とが連続して設けられているため、枠6並びにカバー5を器具本体1に取り付けた状態では、図1(b)に示すように第一の段部61に圧接された防虫パッキン7の端部が第二の段部62の方にはみ出してカバー5の周縁上端にも圧接されることになる。その結果、枠6と器具本体1(外鍔部12)との隙間だけでなく、枠6とカバー5との隙間も防虫パッキン7で塞ぐことができる。
【0020】
このように本実施形態では、枠6の内周面に設けられた第一の段部61と第二の段部62にそれぞれ器具本体1とカバー5が係止された取付状態においては、弾性材料製の防虫パッキン7が第一の段部61並びにカバー5の周縁の双方に圧接されるため、器具本体1と枠6の間の隙間と枠6とカバー5の間の隙間の両方が共通の防虫パッキン7で塞がれることとなり、従来例のように枠6とカバー5の間の隙間を塞ぐために別の防虫パッキンを追加する必要が無いから、部品点数や寸法の増加を招くことなく内部空間への虫の進入を防ぐことができる。また上述の施工手順で説明したように、外鍔部12を枠6の内周面に当接させて器具本体1を水平方向(図1における左右方向)に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1を示し、(a)は器具本体に枠を取り付ける途中の要部断面図、(b)は器具本体に枠を取り付けた状態の要部断面図である。
【図2】同上における器具本体を示し、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。
【図3】同上における枠並びにカバーを示し、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。
【図4】従来例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 器具本体
2 ランプソケット
5 カバー
6 枠
7 防虫パッキン
10 本体
11 上カバー
12 外鍔部
61 第一の段部
62 第二の段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプソケットを保持して造営面に固定される器具本体と、外周を囲うように器具本体に着脱自在に取り付けられる枠と、透光性を有し枠に固定されてランプソケットに装着されたランプを覆うカバーと、弾性材料製であって器具本体と枠並びにカバーとの隙間を塞ぐ防虫パッキンとを備え、
枠は、器具本体の周縁が係止される第一の段部と、第一の段部から連続しカバーの周縁が係止される第二の段部とが内周面に設けられ、
防虫パッキンは、第一の段部に圧接されるとともに第二の段部に係止されたカバーの周縁にも圧接されることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
器具本体は、周縁から外側に突出し且つ先端が鈎形に曲げられてなる外鍔部を有し、外鍔部の先端部内側に防虫パッキンが配設されたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−112668(P2008−112668A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295633(P2006−295633)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000001074)クロイ電機株式会社 (49)
【Fターム(参考)】