説明

照明器具

【課題】
斬新な形態であって、外観上の美観や面白さを備え、点灯時には従来に無い形態で光を放射し、幻想的な雰囲気を醸し出す照明器具およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
中心に空間1を有し、前記空間1の外縁には光透過性を有する複数の板状の部材2を放射状に配置し、前記空間1には光源3を備え、前記板状の部材2は、その端面を含む内部が板面13より光透過性が高くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内照明、特に装飾照明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、室内の装飾照明に対する関心や需要が高まっている。装飾照明は、様々なものが存在するが、スタンド型の光源にガラス製またはプラスチック製等のシェード(傘)を被せたものが一般的であり、シェードに装飾や細工を施すことにより、照明自体を装飾するものや、シェードを透過する光を装飾するものがある。
しかしながら、このような装飾照明は、その形状や点灯時の装飾性等においてありふれたものが多く、際立った特徴がない。
【0003】
このような問題を解決するため、特許文献1または特許文献2等の発明がある。これらの発明はシェードを工夫することにより、点灯時の装飾性を高めようとするものであるが、装飾性については顕著な特徴はなく、インテリアとしても価値が高いものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−139811号公報
【0005】
【特許文献2】特開2005−205855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、斬新な形態であって、外観上の美観や面白さを備え、点灯時には従来に無い形態で光を放射して幻想的な雰囲気を醸し出す照明器具およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の照明器具は、中心に空間を有し、前記空間の外縁には光透過性を有する複数の板状の部材を放射状に配置し、前記空間には光源を備え、前記板状の部材は、その端面を含む内部が板面より光透過性が高いことを特徴としている。
【0008】
これによると、板状の部材はその端面を含む内部が板面よりも光透過性が高いので、照明器具を点灯した際には、光源周辺における板状の部材の板面は、あたかも光を内包したようなぼんやりとした輝きを放ち、また、放射状に配置した各板状の部材の先端面からは、基端面から内部を透過した光源の光が放射される。
しかも、板状の部材の板面より放出される光は光源より離れるにつれ弱まるので、光源周辺の板面および先端面より放射される光は、非常に際立って見えることとなる。そのため、本発明による照明は、点灯時には幻想的な雰囲気を醸し出す。
また、従来に無い斬新な形態であり、外観上の美感や面白さといった装飾性も兼ね備えているので、インテリアとしての価値も非常に高い。
【0009】
ここで、空間の形成については、中心に空間を確保しつつ、放射状に配置した板状の部材において隣り合う部材の基端部を接合し環状空間を形成するといった方法や、中空の立体形状の部材を中心部に配置して空間を設けるといった方法により空間を形成することができる。また、板状の部材の形状は、特に限定されるものではなく、デザインに応じて好適に決定することができる。
なお、文中において、先端部および先端面とは、板状の部材のうち外部に露出している端部およびその面を指し、基端部および基端面とは、前記空間に接する端部およびその面を指す。
【0010】
前記板状の部材については、その内部が板面より光透過性が高いという性質を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば請求項2記載の照明器具のように、前記板状の部材を、板面の一部または全部に研磨処理を施した板ガラスとすることができる。
【0011】
これによると、点灯時には、光源周辺の板面より放射される光と、先端面から放射される光がより強調されることとなり、幻想的な雰囲気をより一層高めることができる。また、外観の装飾性やインテリアとしての価値もさらに向上する。
なお、研磨処理を施す前の板ガラスは透明のものでもよいし、模様や色彩等の装飾を施してあるものでもよい。
【0012】
さらに、請求項3記載の照明器具のように、前記板ガラスの先端部を鋭角状に形成して光の放出面積を小さくすると共に、先端部に微小の凹凸および欠損を備えると、先端部に光が集中し、先端部がその周辺より際立って光るようになる。しかも、先端部に微小の凹凸および欠損を備えることにより、先端面より放射される光が、キラキラと輝いて見えるようになる。
【0013】
一方、本発明に係る照明器具の製造方法に関して、請求項4記載の照明器具の製造方法は、端面を含む内部が板面より光透過性が高い板状の部材を好適な形状に切断する第一工程と、中心に空間を確保しつつ、隣り合う部材同士を有意な角度に保たせ、かつ、それぞれの部材を前記空間の外縁から放射状に配置して、隣り合う部材の基端部同士を接合する第二工程と、前記空間に光源を取り付ける第三工程とからなることを特徴としている。
【0014】
これにより、本発明に係る照明器具を確実かつ経済的に製造することができる。また、板状の部材を外観上好適な形状とすることにより、美感や面白さを備えた照明器具を提供することができる。
【0015】
また、請求項5記載の照明器具の製造方法は、板ガラスを好適な形状に切断する第一工程と、板ガラスの板面の一部または全部を研磨する第二工程と、中心に空間を確保しつつ、隣り合う板ガラス同士を有意な角度に保たせ、かつ、それぞれの板ガラスを前記空間の外縁から放射状に配置して、隣り合う板ガラスの基端部同士を接合する第三工程と、前記空間に光源を取り付ける第四工程とからなることを特徴としている。
【0016】
これによると、研磨を調整することによりガラスの板面の光透過率を設定できるので、板面全体の透過率を状況に応じて設定することができる。もちろん、板面において場所的に異なる透過率を設定することもできる。
【0017】
さらに、請求項6記載の照明器具の製造方法は、板ガラスを好適な形状に切断する第一工程と、板ガラスの板面の一部または全部を研磨する第二工程と、板ガラスの先端部に微小の凹凸および欠損を設けつつ先端部を鋭角状に削り出す第三工程と、中心に空間を確保しつつ、隣り合う板ガラス同士を有意な角度に保たせ、かつ、それぞれの板ガラスを前記空間の外縁から放射状に配置して、隣り合う板ガラスの基端部同士を接合する第四工程と、前記空間に光源を取り付ける第五工程とからなることを特徴としている。
【0018】
これによると、確実に板ガラスの先端部を鋭角に削りだすことができると共に、先端部に微小の凹凸または欠損を好適に設けることができる。
【発明の効果】
【0019】
以下に、本発明による効果について説明する。
本発明のうち、請求項1記載の照明器具によると、点灯時には従来に無い形態で光を照射するものであり、非常に幻想的な雰囲気を醸し出す。また、外観的にも斬新な形態であり、美感や面白さといった装飾性も兼ね備えているので、インテリアとしての価値も非常に高い。
【0020】
次いで、請求項2記載の照明器具によると、点灯時における幻想的な雰囲気をより高めることができ、しかも、外観の装飾性やインテリアとしての価値も一層向上する。
【0021】
さらに、請求項3記載の照明器具によると、板ガラスの先端部がその周辺より際立って光るようになる。しかも、先端部に微小の凹凸および欠損を備えることにより、先端部から放射される光は、キラキラと輝いて見える。
【0022】
本発明のうち、請求項4記載の照明器具の製造方法によると、本発明に係る照明器具を確実かつ経済的に製造することができる。また、板状の部材を外観上好適な形状とすることにより、美感や面白さを備えた照明器具を提供することができる。
【0023】
また、請求項5記載の照明器具の製造方法によると、研磨を調整することによりガラスの板面の光透過率を設定できるので、板面全体の透過率を状況に応じて設定することが可能となる。もちろん、板面において場所的に異なる透過率を設定することもできる。
【0024】
さらに、請求項6記載の照明器具の製造方法によると、確実に板ガラスの先端部を鋭角に削りだすことができると共に、先端部に微小の凹凸または欠損を好適に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る照明器具の実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明に係る照明器具の実施形態における概略分解の様子を示す斜視図。
【図3】本発明に係る照明器具の実施形態における概略分解の様子を示す断面図。
【図4】本発明に係る照明器具の実施形態のうち板ガラスを示す斜視図。
【図5】本発明に係る照明器具の点灯した状態を示す写真。
【図6】本発明に係る照明器具の実施形態のうち、板ガラスの接合方法を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態およびその製造方法について添付図面を参照して説明する。
まず、本発明の実施の形態について、図1〜図4を参照し説明する。図1は本発明に係る照明器具の実施形態を示す斜視図であり、図2および図3は、それぞれ本発明に係る照明器具の実施形態における概略分解の様子を示す斜視図と断面図である。また、図4は板ガラスを表す斜視図である。
図面に示すように、本発明の実施の形態は、大きくは、照明器具のシェード21と光源22とからなる。
【0027】
シェード21を構成する個々の板ガラス2の形状は、図4に示すように基端部12は直線状とする。また、基端部12以外にあたる先端部11は、例えば曲線状とする等、外観上の美感等を考慮して好適な形状に形成する。また、その板ガラス2の両板面13には全面的に研磨処理を施して、その板面13を磨りガラス状に形成している。さらに、板ガラス2の先端部11は、微小な凹凸および欠損を設けつつ鋭角状に形成している
【0028】
シェード21は、中心に略円筒状の空間1を有し、その空間1の側縁に複数の板ガラス2を放射状に配置している。ここで、前記空間1は、隣り合う板ガラス2の基端部12同士を、空間1を確保しつつ環状に接合して形成している。
【0029】
光源3については、ペン型のLEDライト22を用いる。LEDライト22は電池等の電源を内蔵し、その一端にLED3を備え、他端に電源スイッチ4を備えている。また、LEDライト22はその胴部7に、シェードの空間1を塞ぐためのガラス製の第一蓋5を備えている。なお、電源は内蔵型でなくてもよく、プラグ等を備えることにより外部から電気を供給する形態のものであってもよい。また、光源3については、LED3に特に限定されるものではなく、例えば、蛍光灯やブラックライトとしてもよく、ライトの形状についてもペン型以外の形状であってもかまわない。
【0030】
最終的に、シェード21の空間1の一端から、LEDライト22を第一蓋5がシェード21に当接するまで挿入し、第一蓋5をシェード21に接合させる。さらに、空間1の他端にガラス製の第二蓋6を被せて接合すると、本発明の実施の形態となる。ここで、LEDライト22の電源スイッチ4は、シェード21の外部に位置している。なお、空間内における光源の位置は、特に限定されるものではなく好適な位置に配置することができる。
【0031】
この実施の形態の使用について、図面を参照しつつ説明する。図5は、照明器具の点灯した状態を示す写真である。
【0032】
この照明器具は、通常は室内等で好みの場所に設置して使用する。なお、照明器具の設置は、床等に直に設置してもよいし、専用の台を設けて台上に設置してもよい。また、照明器具の点灯・消灯はシェード21の外部に位置する電源スイッチ4の切り替えにより行う。
【0033】
照明器具を点灯すると、図5に示すように、LED3周辺における板ガラス2の板面13はあたかも光を内包したようにぼんやりと輝き、放射状に配置した各板ガラス2の先端部11からは、板ガラスの内部を透過してきた光が放射される。また、LED3より離れるに従って板ガラス2の板面13より放出される光は弱まるので、LED3周辺の板ガラス2の板面13と先端部11より放射される光は、非常に際立って見えることとなる。しかも、先端部11から放射される光は、板ガラス2の先端部11を鋭角等に処理したことにより、キラキラと輝いて見える。このように本発明による照明器具は、従来に無い形態で照明を照射するものであり、とても幻想的な雰囲気を醸し出す。
【0034】
なお、以上の実施形態はあくまでも例示であり、これらの構成に特に限定されるものではなく、本発明の概念の範囲内において自由に変更することができる。
【0035】
次に、本発明の照明器具の製造方法について説明する。
まず、第一工程として、板ガラス2の切断を行う。切断においては、板ガラス2の基端部12は直線形状とし、基端部12以外にあたる先端部11は曲線状等、外観的に美感や面白さを表現できるように好適な形状に加工する。
【0036】
次いで、第二工程として、切断した板ガラス2の板面13の全部を、ダイヤモンドホイールにより研磨し、磨りガラス状にする。なお、研磨については他の手法であってもよく、例えばショット・ブラスト等の手法を用いてもよい。
【0037】
そして、第三工程では、板ガラス2の先端部11を鋭角状に削りだす。この際、粗めに削りだすことにより、鋭角面や鋭角頂部に微小な凹凸や欠損を設ける。削りだしは、例えば、第二工程と同様にダイヤモンドホイール等により行う。
【0038】
さらに、第四工程では、中心に空間1を設けつつ、隣り合う板ガラス2同士を有意な角度に保たせ、かつ、それぞれの板ガラス2を空間1の側縁から放射状に配置して隣り合う板ガラスの基端部12同士を接合する。具体的には、図6に示すように、所定の角度を保って板ガラス2を結合させるためV字状の凹部14を備えた固定台23を用い、その凹部14に二枚の板ガラス2を凹部14の角度に合わせて設置し、お互いの基端部12を接し合わせた部分にシーリング材(例えば、商品名:シーラント45、信越化学工業株式会社)を充填し接合する。最初は、一対の板ガラス2を接合していき、次いで接合された一対の板ガラス2同士をさらに接合していく。最終的には、中心部に略円筒状の空間1を有した形で板ガラスの基端部12が環状に結合する。
【0039】
最後に第五工程では、シェード21の空間1の一端より、前述のペンライト型のLEDライト22を挿入し、LEDライト22に取付けられたガラス製の第一蓋5をシェード21に接合させる。さらに、空間1の反対側の端部にはガラス製の第二蓋6を被せて接合する。
以上の製造方法により、本発明による照明器具を製造することができる。
【0040】
なお、上記製造方法は本発明の例示である。したがって、上記製造方法に特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 空間
2 板ガラス(板状の部材)
3 LED(光源)
4 電源スイッチ
5 第一蓋
6 第二蓋
7 胴部
11 先端部
12 基端部
13 板面
14 凹部
21 シェード
22 LEDライト
23 固定台


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に空間(1)を有し、前記空間(1)の外縁には光透過性を有する複数の板状の部材(2)を放射状に配置し、前記空間(1)には光源(3)を備え、前記板状の部材(2)は、その端面を含む内部が板面(13)より光透過性が高いことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記板状の部材(2)は、板面(13)の一部または全部に研磨処理を施した板ガラスであることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記板ガラス(2)の先端部(11)を鋭角状に形成して光の放出面積を小さくすると共に、前記先端部(11)には微小の凹凸および欠損を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の照明器具。
【請求項4】
端面を含む内部が板面(13)より光透過性が高い板状の部材(2)を好適な形状に切断する第一工程と、
中心に空間(1)を確保しつつ、隣り合う板状の部材(2)同士を有意な角度に保たせ、かつ、それぞれの部材(2)を前記空間(1)の外縁から放射状に配置して、隣り合う板状の部材(2)の基端部(12)同士を接合する第二工程と、
前記空間(1)に光源(3)を配置する第三工程とからなる照明器具の製造方法。
【請求項5】
板ガラス(2)を好適な形状に切断する第一工程と、
板ガラス(2)の板面(13)の一部または全部を研磨する第二工程と、
中心に空間(1)を確保しつつ、隣り合う板ガラス(2)同士を有意な角度に保たせ、かつ、それぞれの板ガラス(2)を前記空間(1)の外縁から放射状に配置して、隣り合う板ガラス(2)の基端部(12)同士を接合する第三工程と、
前記空間(1)に光源(3)を配置する第四工程とからなる照明器具の製造方法。
【請求項6】
板ガラス(2)を好適な形状に切断する第一工程と、
板ガラス(2)の板面(13)の一部または全部を研磨する第二工程と、
板ガラス(2)の先端部(11)に微小の凹凸および欠損を設けつつ先端部(11)を鋭角状に削り出す第三工程と
中心に空間(1)を確保しつつ、隣り合う板ガラス(2)同士を有意な角度に保たせ、かつ、それぞれの板ガラス(2)を前記空間(1)の外縁から放射状に配置して、隣り合う板ガラス(2)の基端部(12)同士を接合する第四工程と、
前記空間(1)に光源(3)を配置する第五工程とからなる照明器具の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−177170(P2010−177170A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21543(P2009−21543)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(509033480)
【Fターム(参考)】