説明

照明器具

【課題】器具本体の被取付部(取付面や吊り金具等)への取付時の作業性を向上させるとともに、電源線の接続作業の作業性も向上させることができる照明器具を提供する。
【解決手段】天井面(被取付部)に取り付けられる誘導灯装置100(照明器具)において、天井面に対向する部分の少なくとも一部が開放された上部開口部38(開放部)を有する器具枠板31を周囲に備え、照明用の電気部品を装着する装着部(点灯装置装着部36、バッテリ装着部39,端子台装着部40)を内部に備える器具本体30と、上部開口部38を塞ぐように器具枠板31に取り付けられるとともに、天井面に取り付けられる取付部材50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面等の被取付部に取り付けられる照明器具に関するものであり、例えば、誘導灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の誘導灯は、誘導灯の器具本体が器具本体の周囲に連続した枠部を有し、天井面への取付作業は開口している前面から行われる。また、端子台への電源線接続の作業も開口している前面から行われる。そして、従来の誘導灯では、器具本体の後面は閉塞されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−77800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の誘導灯では、天井面への取付作業は、開口されている前面から作業者により行なわれるため、天井面に誘導灯を取り付ける際の作業性が悪いという課題がある。また、端子台への電源線接続等の作業についても、開口されている前面から狭いスペースで行なうため、作業性が悪いという課題がある。C級のような小さな照明器具では、作業性の悪さが顕著に現れてしまう。
【0005】
また、誘導灯が両面灯の場合、開口面側の表示ユニットは、器具本体内部による空気の対流によって放熱効果が得られるが、背面板側の表示ユニットは、背面板により器具本体が閉塞されているため、開口面側の表示ユニットのような効果が得られない。そのため、背面板側の表示ユニット部分では、熱がこもり、光源点灯時は温度が上昇してしまう。光源がLEDの場合は寿命が熱(ジャンクション温度)に影響されるため、光源の寿命が短くなってしまう虞があるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、器具本体の被取付部(天井面、吊り金具等)への取付時の作業性を向上させるとともに、電源線の接続作業の作業性も向上させることができる照明器具を提供することを目的とする。さらに、誘導灯が両面等の場合にも、熱がこもらないようにすることのできる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明器具は、被取付部に取り付けられる照明器具において、
前記被取付部に対向する部分の少なくとも前記被取付部側の一部が開放された開放部を有する器具枠板を周囲に備え、照明用の電気部品を装着する装着部を内部に備える器具本体と、
前記開放部を塞ぐように前記器具枠板に取り付けられるとともに、前記被取付部に取り付けられる取付部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る照明器具によれば、器具本体は、被取付部に対向する部分の少なくとも前記被取付部側の一部が開放された開放部を有する器具枠板を周囲に備え、照明用の電気部品を装着する装着部を内部に備え、取付部材は、前記開放部を塞ぐように前記器具枠板に取り付けられるとともに、前記被取付部に取り付けられているので、器具本体を取付面(天井面、壁面等)や吊り金具等の被取付部に取り付ける際の作業性を向上させることができるとともに、電源線の接続作業の作業性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る誘導灯装置100の分解斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る誘導灯装置100であり、(a)内部正面図、(b)背面図、(c)側面断面図、(d)平面図である。
【図3】実施の形態1に係る誘導灯装置100の斜視図である。
【図4】実施の形態1において、(a)取付部材50を器具本体30と天井面600とに取り付ける取付手順を示す図、(b)ナット522を下方から視た図である。
【図5】実施の形態1において、取付部材50が取り付けられた状態の誘導灯装置100を示す図であり、(a)内部正面図、(b)背面図、(c)側面断面図、(d)平面図である。
【図6】実施の形態2に係る誘導灯装置200の分解斜視図である。
【図7】実施の形態2に係る誘導灯装置200であり、(a)内部正面図、(b)背面図、(c)側面断面図、(d)平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態では、天井面600等の被取付部に取り付けられる誘導灯装置100の構造について説明する。本実施の形態の誘導灯装置100は、器具本体の片面に表示ユニットを備える片面灯である。
【0011】
図1は、実施の形態1に係る誘導灯装置100の分解斜視図である。図2は、実施の形態1に係る誘導灯装置100であり、(a)内部正面図、(b)背面図、(c)側面断面図、(d)平面図である。図3は、実施の形態1に係る誘導灯装置100の斜視図である。
【0012】
図1から図3を用いて、本実施の形態の誘導灯装置100(照明器具)の構造について説明する。誘導灯装置100は、天井面600等の被取付部に取り付けられて使用される照明器具である。本実施の形態では、被取付部として天井面600を想定しているが、これに限られない。本実施の形態の誘導灯装置100が取り付けられる被取付部としては、例えば、壁面等の取付面、あるいは天井から吊り下げられた吊り金具等でもよい。図1に示すように、誘導灯装置100は、器具本体30と、表示ユニット70と、取付部材50と、背面板41とから構成される。
【0013】
まず、器具本体30の形状について説明する。
【0014】
器具本体30は、天井面600に対向する部分の少なくとも一部に、開放された上面開口部38(開放部)を有する器具枠板31を周囲に備えている。器具本体30は、前面と、後面と、前面と後面との間に側面とを有し、器具枠板31を側面に配置した平箱形であり、側面のうち天井面600に対向する面である枠上面部310の略中央に上面開口部38(開放部)を有する。器具本体30の枠上面部310の両端部には、上面開口部38を形成する非開口部分があり、これらは後述する取付部材50を取り付けるための1対の取付部材取付部340を構成している。
【0015】
図2(d)は、器具本体30を天井面600側から視た平面図である。1対の取付部材取付部340には、ボルト挿通孔312を備える。ボルト挿通孔312は、取付部材50が器具本体30に取り付けに用いられるボルト部材を挿通させる孔である。ボルト挿通孔312は、取付部材50と器具本体30とを挿通するボルト部材を挿通させる孔であり、だるま形の孔である。図2ではボルト部材は図示していない。取付部材50を器具本体30に取り付ける取付手順の詳細については後述する。
【0016】
図1に示すように、器具枠板31は、上述した上面開口部38と取付部材取付部340とからなる枠上面部310と、枠上面部310の両端部(すなわち、1対の取付部材取付部340)から各々連続する側面である1対の枠側面部320と、1対の枠側面部320と両端が連続する枠底面部330とから構成される。
【0017】
器具枠板31の正面視図(A方向からの図)は、図2(a)に示すように、上辺の一部が開放された(寸断された)略長方形状となる。すなわち、器具枠板31は、正面視図(A方向からの図)が略U字状、略V字状、開口が上部にあるC字状でもかまわない。
【0018】
本実施の形態では、器具本体30(器具枠板31)は、正面視図が上辺の一部(被取付部である天井面600に対向する面の少なくとも一部)が開放された略長方形となる平箱形であるが、その他の形状でも構わない。例えば、器具本体30の正面から視た形(正面視図)が、上辺の一部が開放された三角形、円形、だるま形、多角形等となる平箱形でも本実施の形態は適用可能である。
【0019】
器具本体30は、前面側に開口された前面開口部37を有する。前面開口部37は、後述する表示ユニット70が器具本体30に取り付けられることにより塞がれる。
【0020】
本実施の形態の誘導灯装置100は片面灯であるため、背面側には、背面板41が取り付けられる。背面板41は、誘導灯装置100が片面灯の場合は、器具本体30の背面全面を塞ぐように取り付けられる。図2(b)は、器具本体30を背面側から視たときの背面板41である。背面板41は、器具本体30とは、別部品としてもよいし、あるいは器具本体30と一体成形されていてもよい。つまり、器具本体30は、前面と後面とのうち少なくとも一方の面(本実施の形態では前面)が開口している。
【0021】
また、誘導灯装置100の設置場所の変更等により、背面板41を通して電源線を接続したり、背面板41を壁面等の被取付部に直接ネジ止めしたりする場合がある。このような場合のために、背面板41には、簡単に電源線のための電線穴410aやネジ止めのための取付用ネジ穴410b,410cを形成することができるように、切り込み410を形成していてもよい(図2(b)参照)。あるいは、背面板41は、予め、電線穴410a、壁取付用ネジ穴410b,410c等を形成してあってもよい。本実施の形態における誘導灯装置100の器具本体30は、天井面600に取り付ける場合だけでなく、壁面に直付する場合にも適用することができ、天井取付形および壁面直付形に共用が可能となる。
【0022】
次に、図1及び図2を用いて、器具本体30の内部の構成について説明する。
【0023】
器具本体30の内部には、光源を点灯させるための照明用の電気部品を装着する装着部が備わっている。電気部品とは、例えば、点灯装置90(図2参照)、バッテリ91(図2参照)、端子台92(図2参照)等である。また、器具本体30は、器具本体30の内部を上面開口部38側(開放部側)の部分と上面開口部38側(開放部側)ではない部分とに仕切る仕切り板42を備える。
【0024】
仕切り板42は、器具本体30の内部を、上部(上面開口部38側(開放部側)の部分)と下部(上面開口部38側(開放部側)ではない部分)とに仕切っている。仕切り板42の上面には、端子台92を装着するための端子台装着部40が設けられる。すなわち、端子台92は、仕切り板42の上面に装着される。端子台92は、仕切り板42の上面に装着され、電源から端子台92に接続される電線は、後述する取付部材50に設けられた電線穴51を介して接続される。すなわち、仕切り板42の上部は電源線の接続スペース350となる。
【0025】
仕切り板42の下部は、点灯装置90、バッテリ91等を収納する部品収納部34となる。器具本体30の部品収納部34には、点灯装置90を装着する点灯装置装着部36と、バッテリ91を装着するバッテリ装着部39とが設けられる。
【0026】
図2(a)は、電気部品である点灯装置90,バッテリ91、端子台92が器具本体30の内部に装着された状態を示している。点灯装置90は、部品収納部34の点灯装置装着部36に装着され、バッテリ91は、バッテリ装着部39に装着されている。また、端子台92は、仕切り板42の上部の接続スペース350の端子台装着部40に装着されている。
【0027】
仕切り板42により、仕切り板42の上部が電源線の接続スペース350として確保されるとともに、接続スペース350には上面開口部38があるため電源線の接続作業の作業性が向上する。
【0028】
次に表示ユニット70について説明する。本実施の形態における誘導灯装置100では、表示ユニット70は従来技術のものを適用する。表示ユニット70は、表示パネル、光源73、導光体74(図2(c)参照)、表示ユニット取付部72とから構成される。光源73は、導光体74の少なくとも1辺に沿って設けられる。本実施の形態では、光源73は、導光体74の上部の1辺に設けられ、導光体74の上部から光を照射する。表示パネル71は、光源73及び導光体74の全面に配置される。表示パネル71には、表示したい文字や図形(誘導灯装置の場合は、例えば、非常口を示すイラスト等)が記載されており、導光体74からの光の照射により記載されている文字や図形やイラスト等が明るく表示される。
【0029】
表示ユニット70は、器具本体30の前面開口部37を塞ぐように取り付けられる。図3は、実施の形態1において、表示ユニット70と取付部材50とを取り付けた誘導灯装置100の斜視図である。表示ユニット70は、図1に示すように、両側の側面の上部と下部とに表示ユニット取付部72を備えている。表示ユニット取付部72は、器具本体30の方向に突出した突出片である。例えば、表示ユニット取付部72は、係止孔を備え、器具本体30の側面の内側には係止孔に対応する位置に係止突起(図示なし)を備える。表示ユニット取付部72は、器具本体30の側面の内側に挿入され、係止突起が係止孔に嵌ることにより、器具本体30に取り付けられるとしてもよい。あるいは、例えば、表示ユニット取付部72は、係止突起を外側に備え、器具本体30の側面の内側には係止突起に対応する位置に係止溝(図示なし)を備える。表示ユニット取付部72は、器具本体30の側面の内側に挿入され、係止突起が係止溝に嵌ることにより、器具本体30に取り付けられるとしてもよい。
【0030】
次に取付部材50について説明する。
【0031】
取付部材50は、器具本体30の上面を覆って、上面開口部38を塞ぐように器具本体30に取り付けられる。取付部材50は、断面逆U字状(下側に開口する向きの断面略コ字状)であり、器具本体30の上面に被せるように取り付けられる。取付部材50の取付部材上面54は、器具本体30の上面よりもやや小さい。取付部材50は、金属製の金具である。なお、取付部材50は、器具本体30を被取付部である天井面600に固定できればよく、例えば、樹脂製等であってもよい。
【0032】
1対の取付部材取付部340には、それぞれに凹部(1対の枠正面凹部311)が形成されている。取付部材50の長辺方向の両端付近を1対の枠上面凹部311に嵌めて固定することにより、枠上面部310の上面開口部38が塞がれる。取付部材50の取付(固定)方法については後述する。
【0033】
取付部材50は、電源線を挿通させる電線穴51を取付部材上面54の略中央に備える。また、取付部材50は、1対の取付部材取付部340への固定時(取付時)に使用されるボルト部材を挿入するための(取り付けるための)1対のボルト取付孔52を備える。1対のボルト取付孔52は、器具本体30の上面に設けられた1対のボルト挿通孔312に対応する位置に設けられる。
【0034】
また、取付部材50は、天井面600に固定するためのネジ部材を器具本体30側から挿入させるネジ穴53(ネジ部材挿通孔)を電線穴51の両側に1つずつ(合計2つ)備える。取付部材50の天井面600への取付を安定させるためには、ネジ穴53は、電線穴51と、両端部近傍の1対のボルト取付孔52の各ボルト取付孔52との間の略中央部に、それぞれ1つずつ(合計2つ)設けられるのが好ましい。
【0035】
図4は、実施の形態1において、取付部材50を器具本体30と天井面600とに取り付ける取付手順を示す図である。図5は、実施の形態1において、取付部材50が取り付けられた状態の誘導灯装置100を示す図であり、(a)内部正面図、(b)背面図、(c)側面断面図、(d)平面図である。図4と図5とを用いて、誘導灯装置100において、取付部材50を器具本体30と天井面600とに取り付ける取付手順について説明する。
【0036】
図4に示すように、取付部材50は、ネジ60(60a,60b)を用いて天井面600(図示せず)に固定される。ネジ60(60a,60b)は、ネジ部材である。
【0037】
また、図4に示すように、取付部材50は、ボルト521とナット522とを用いて、器具本体30に固定される。ボルト521は、ボルト部材であり、ナット522は、ナット部材である。ナット522としては、例えば、作業者が手で締め付けることのできるローレットナットが好ましい。
【0038】
以下に、取付部材50を、天井面600と器具本体30とに固定する取付手順の一例について説明する。
【0039】
(1)<電源線接続手順>
(1−1)作業者は、電源線を取付部材50の電線穴51に通して器具本体30に装着されている端子台92に接続する。このとき、端子台92は、器具本体30の上面開口部38側の接続スペース350に装着されているので、電源線接続の作業が容易となる。
【0040】
(2)<取付部材50の天井面600への固定手順>
(2−1)取付部材50には、予め、ボルト521がボルト取付孔52に通されており、そのボルト521の先端にはナット522が軽く螺号されているものとする。ボルト521は、取付部材50とは別部品でもよいし、取付部材50に予め固定されていてもよい。また、ナット522は、予めボルト521の先端に螺号されていなくても構わない。ナット522としては、例えば、作業者の手で締め付けやすいローレットナットを使用する。
(2−2)作業者は、まず、ネジ60aを、器具本体30側から取付部材50のネジ穴53aを通して天井面600にねじ込む。図5(d)は、取付部材50の平面図であり上方から視た図である。図5(d)及び図4に示すように、ネジ穴53aは、取付部材50の長辺方向に長いだるま形である。あるいは、ネジ穴53aは、長辺方向の径が短辺方向の径よりも長い長円形でもよい。したがって、作業者は、ネジ60aをネジ穴53aを通して天井面600に取付部材50を軽く固定してから、取付部材50を長辺方向に微調整することができる。作業者は、取付部材50の位置を長辺方向に微調整した後、ネジ60bをネジ穴53b(ネジ穴53bのうちのいずれか適当な方)に通してねじ込み、ネジ穴53b側で取付部材50を固定するとともに、ネジ穴53a側のネジ60aもしっかりとねじ込んで取付部材50を固定する。
【0041】
(3)<器具本体30の取付部材50への固定手順>
(3−1)作業者は、先端にナット522が取り付けられたボルト521を、だるま形のボルト挿通孔312に挿通させるように器具本体30を天井面600方向に押し上げる。ボルト挿通孔312は、図2(d)に示すようなだるま形である。ボルト挿通孔321は、大きい方の孔の径がナット522が挿通できる長さの径となっており、小さい方の孔の径はナット522が挿通できない長さの径となっている。したがって、作業者は、まず、ボルト挿通孔321の大きい方の孔にボルト521の先端に螺号されているナット522から挿入させ、ナット522が完全にボルト挿通孔321を通過するまで器具本体30を押し上げる。作業者は、ナット522部分が完全にボルト挿通孔321を通過した後、ボルト521がボルト挿通孔312の小さい方の孔を挿通するように、器具本体30の位置をスライドさせる。ボルト521が小さい方の径に挿通している状態では、先端に固定されたナット522は、ボルト挿通孔312を挿通することはできないので、器具本体30が取付部材50から外れることはない。また、ボルト挿入孔312のだるま孔の中間近傍に、外れ防止のための突起を設けてもよい。例えば、ボルト挿入孔312のだるま孔の中間近傍の両側に、一対の突起を設ける。一対の突起の突起間の間隔は、ナット522の径の長さと略等しい間隔とする。ナット522を締め付けたときに、一対の突起の突起間にナット522が挟まれるようにすることで、外れを防止することができる。
(3−2)作業者は、取付部材50の両端近傍を、器具本体30の上面の1対の枠上面凹部311に嵌めた状態で、両側のナット522を手で締め付ける。その後、作業者は、工具を用いてナット522を締め付け、器具本体30を取付部材50に固定する。図4(b)に示すように、ナット522の下部には工具での締め付けを可能とする溝が設けられている。
【0042】
以上のような手順で、本実施の形態の誘導灯装置100の取付部材50及び器具本体30は、天井面600に取り付けられる。図5(a)、図5(c)に示すように、取付部材50は、器具本体30の1対の取付部材取付部340を介してナット522により締め付けられ固定される。
【0043】
上述した取付手順は、一例であり、その他の手順で取り付けることもできる。例えば、取付部材50を器具本体30に取り付けた後に、天井面600に固定することも可能である。このような手順の場合でも、電源線接続等の作業の際には、器具本体30の上部に開放した部分(上面開口部38)を有したまま作業することができるので、作業性がよい。
【0044】
また、取付部材50を天井面600に取り付ける際に用いるネジ部材は、ネジだけでなく、例えば、釘、リベット、ナット及びボルト等、天井面に固定可能な固定部材であればネジに限られない。
【0045】
また、取付部材50を器具本体30に取り付ける際に用いるボルト部材及びナット部材は、ボルトとナットだけでなく、取付部材50と器具本体30の取付部材取付部340とを固定することができる固定部材であれば、例えば、固定溝付き固定棒とその固定溝に嵌合して固定される固定具等、他の固定部材でも適用可能である。
【0046】
本実施の形態では、以下のような特徴を備える誘導灯装置100について説明した。
【0047】
取付部材50が別部品として設けられた取付用枠部と一辺が開口された枠を周囲に有し、その枠内部に電気接続用端子部(端子台92等)が設けられ、前面に開口部(前面開口部37)が形成されていて、内部に電気接続部とその接続スペース350を除いた電気部品収納部(部品収納部34)が形成された器具本体30と、
導光体74および導光体74の少なくとも1辺に沿って設けられ導光体74の側部(上部)から光を照射する光源73を有し、取付部材50と器具本体30とを取付けることにより電気接続部の接続スペース350が確保され、その接続スペース350と開口部のほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示ユニット70と、
器具本体30の電気部品収納部に収納され光源73を点灯させる電気的部品を有する点灯手段とを具備したことを特徴とする。
【0048】
器具本体30の電気接続空間部(接続スペース350)の背面側に形成され電源線を挿通する電線穴410aと取付用ネジ穴410b,410cとを備えたことを特徴とする。
【0049】
本実施の形態の誘導灯装置100によれば、器具本体30の上部が開放された状態で電源線接続等の作業ができるので、作業性が向上する。
【0050】
本実施の形態の誘導灯装置100によれば、器具本体30と取付部材50とが別部品として設けられているので、天井面600に取り付ける際の取付作業が容易となる。
【0051】
本実施の形態に係る誘導灯装置100によれば、仕切り板42により端子台92を器具本体30の部品収納部34から分離することができるので、今までの限られたスペースでの作業から開放され、電源線接続の作業が容易となる。
【0052】
器具本体30は、天井面取付形および壁直付形に共用が可能となる。壁直付形として取り付ける場合には、器具本体30の電気接続空間部(接続スペース350)の背面側に取り付けられた背面板41に形成された電源線を挿通する電線穴410aと取付用ネジ穴410b,410cとを用いて(図2(b)参照)、器具本体30を壁面に取り付ける。この場合は、作業者は、まず、ネジを、器具本体30の内部から取付用ネジ穴410cを通して壁面にねじ込む。図2(a)(b)に示すように、取付用ネジ穴410cは、長辺方向に長いだるま形である。したがって、作業者は、ネジを取付用ネジ穴410cを通して壁面に器具本体30(背面板41)を軽く固定してから、器具本体30を長辺方向に微調整することができる。作業者は、器具本体30の位置を長辺方向に微調整した後、別のネジを取付用ネジ穴410b(取付用ネジ穴410bのうちのいずれか適当な方)に通してねじ込み、取付用ネジ穴410b側で固定するとともに、取付用ネジ穴410c側のネジもしっかりとねじ込んで器具本体30を固定する。
【0053】
実施の形態2.
本実施の形態では、器具本体30の前面側と背面側との両面に表示ユニット70を取り付けた両面灯の誘導灯装置200について説明する。
【0054】
図6は、実施の形態2に係る誘導灯装置200の分解斜視図である。図6は、実施の形態1の図1に対応する図であり、図1において説明したものと同一の構成部分については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図7は、実施の形態2に係る誘導灯装置200であり、(a)内部正面図、(b)背面図、(c)側面断面図、(d)平面図である。図7は、実施の形態1の図2に対応する図であり、図2において説明したものと同一の構成部分については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図6に示すように、誘導灯装置200は、器具本体30の背面側にも表示ユニット(背面側)70aを備える。表示ユニット(背面側)70aの構成は、前面側の表示ユニット70の構成と同一である。
【0056】
図6に示すように、誘導灯装置200は、器具本体30の背面に背面板61を備える。背面板61は、器具本体30の背面の仕切り板42部分から上方の領域を開放するように取り付けられる。つまり、背面板61は、仕切り板42から下方を閉塞させるように形成されている。背面板61を取り付けることにより、器具本体30の背面の仕切り板42から下方が閉塞され、上方には背面開口部62が形成される。
【0057】
本実施の形態の誘導灯装置200の器具本体30は、このような背面板61を備えることにより、仕切り板42から上方の範囲に前面から後面に貫通する開口部(背面開口部62)を有することになる。
【0058】
つまり、本実施の形態の誘導灯装置200は、器具本体30の背面の表示手段(表示ユニット(背面側)70a)の光源73aおよび点灯手段(電気部品)を電気的に接続する接続手段と、器具本体30の電気接続空間部(接続スペース350)の背面側が開口した背面開口部62を備えることを特徴とする。
【0059】
また、背面板61は、背面側の表示ユニット(背面側)70aの表示ユニット取付部72aを取り付けるための表示ユニット取付孔63を備える。背面板61は、表示ユニット(背面側)70aが取り付けられる際に、表示ユニット取付部72aに対応する位置(両側側部の上下)4箇所に表示ユニット取付孔63を備える。表示ユニット取付孔63に挿入された表示ユニット取付部72aの器具本体30への係止方法は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0060】
図7(c)に示すように、両面灯の場合、前面開口部37側の表示ユニット70は、器具本体30の対向する面が開口しているので器具本体30内部による空気の対流によって放熱効果が得られる。背面板側の表示ユニット(背面側)70aは、通常は図2(c)の背面板41のように背面全体が閉塞されているため、空気の対流による効果が得られない。そのため、熱がこもり、光源点灯時は温度が上昇してしまう。また、光源73がLEDの場合は、LEDの寿命が熱(ジャンクション温度)に影響されるため閉塞されているのは好ましくない。
【0061】
本実施の形態に係る誘導灯装置200によれば、図7(c)に示すように、表示ユニット(背面側)70aに対向する器具本体30の背面にも、背面開口部62を有するので、空気の対流による放熱効果が得られるという効果を奏する。特に、前面側と背面側との光源73,73aに近い場所に背面開口部62を有するので、放熱効果が高い。
【0062】
本実施の形態では、器具本体30の仕切り板42から上部を開放するように背面板61を設置したが、例えば、仕切り板42の下方にも一部開口を備えていてもよい。あるいは、仕切り板42の上方は全面開口でなくてもよく、仕切り板42の上方の一部が開口するような開口部でもよい。あるいは、器具枠板31と仕切り板42のみで電気部品を装着することができれば、背面板を備えていなくても構わない。
【0063】
以上、実施の形態1〜2について説明したが、これらのうち、2つの実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つの実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【符号の説明】
【0064】
30 器具本体、31 器具枠板、34 部品収納部、36 点灯装置装着部、38 上面開口部、39 バッテリ装着部、40 端子台装着部、41 背面板、42 仕切り板、50 取付部材、51 電線穴、52 ボルト取付孔、53,53a,53b ネジ穴、54 取付部材上面、60,60a,60b ネジ、61 背面板、62 背面開口部、63 表示ユニット取付孔、70 表示ユニット、70a 表示ユニット(背面側)、71,71a 表示パネル、72,72a 表示ユニット取付部、73,73a 光源、74 導光体、90 点灯装置、91 バッテリ、92 端子台、100 誘導灯装置、200 誘導灯装置、310 枠上面部、311 枠上面凹部、312 ボルト挿通孔、320 枠側面部、330 枠底面部、340 取付部材取付部、350 接続スペース、410 切り込み、410a 電線穴、410b,410c 取付用ネジ穴、521 ボルト、522 ナット、600 天井面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取り付けられる照明器具において、
前記被取付部に対向する部分の少なくとも一部が開放された開放部を有する器具枠板を周囲に備え、照明用の電気部品を装着する装着部を内部に備える器具本体と、
前記開放部を塞ぐように前記器具枠板に取り付けられるとともに、前記被取付部に取り付けられる取付部材と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記取付部材は、前記取付部材を前記被取付部に固定するネジ部材を挿通させるネジ部材挿通孔を備えることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具本体は、前面と、後面と、前記前面と前記後面との間に側面とを有し、前記器具枠板を前記側面に配置した平箱形であり、前記側面のうち前記被取付部に対向する面の略中央に前記開放部を有するとともに、前記被取付部に対向する面の両端部に前記取付部材を取り付ける1対の取付部材取付部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記取付部材は、前記取付部材を前記取付部材取付部に固定するナット部材と、前記ナット部材と螺合するボルトであって、前記器具本体側に延びたボルトとを備え、
前記取付部材取付部は、前記ボルトを挿通させるボルト挿通孔を備えることを特徴とする請求項3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記取付部材は、略長方形をなし、長手方向の両端部近傍に前記ボルトを備え、前記ボルトが前記取付部材取付部の備える前記ボルト挿入孔に挿入されて前記ナット部材により固定されることにより、前記取付部材取付部と連結されることを特徴とする請求項4に記載の照明器具。
【請求項6】
前記器具本体は、
内部を前記開放部側の部分と前記開放部側ではない部分とに仕切る仕切り板を備え、
前記仕切り板は、前記装着部として前記開放部側に端子台を装着する端子台装着部を備えることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の照明器具。
【請求項7】
前記器具本体は、
前記前面と前記後面とのうち少なくとも一方の面が開口していることを特徴とする請求項6に記載の照明器具。
【請求項8】
前記器具本体は、
前記前面と前記後面とのうちの他方の面に取り付けられる背面板であって、前記他方の面の領域であって前記仕切り板から前記開放部側の領域の少なくとも一部が開口するように取り付けられる背面板を備えることを特徴とする請求項7に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−257879(P2010−257879A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109306(P2009−109306)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】