説明

照明器具

【課題】
大きな強風や振動等が加わっても、ラッチ装置が外れることなく蓋体の開放を防止する開閉式の照明器具を提供する。
【解決手段】
照明器具1は、蓋体9と投光開口12を有する器具本体10とを有する灯具2と、投光開口12に設けられた透光性カバー3と、灯具2の通孔17に対向する位置にネジ孔18を有する固定部材4と、灯具2に収納された光源4と、蓋体9または器具本体10を回動自在に軸支する枢着部材6と、灯具2の係止部16に引掛係止する開閉金具21および係止部16に引掛係止した状態の開閉金具1の通孔17に対向する位置に形成された貫通孔23を有し、蓋体9により器具本体10の開口部を閉じた状態に保持するラッチ装置7と、開閉金具21が灯具2の係止部16に引掛係止した状態で、開閉金具21の貫通孔23および灯具2の通孔17を貫通して固定部材4のネジ孔18に螺着されたネジ8とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、街路灯やトンネル照明などの屋外で使用される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
街路灯やトンネル照明器具など、高所や交通量の多い場所に設置される照明器具は、ランプ交換や清掃などのメンテナンス作業を容易かつ迅速に行えるようにするために、例えば蓋体および器具本体の二重構造であり、ラッチ装置を用いた開閉式のものが使用されている。
【0003】
また、当該照明器具は、そのラッチ装置が強風や振動等によりロック(引掛係止)が解除される場合があるので、ラッチ装置との二重ロック構造を有するように形成されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。すなわち、ラッチ装置を蓋体(シャーシ)に固定するネジを設け、蓋体を閉じた状態で当該ネジを締め付けることにより、ラッチ装置の開閉金具が蓋体に対して動かないように固定されている。これにより、強風や振動等によってラッチ装置の開閉金具が外れることが抑制され、蓋体および器具本体の開き(開放)が防止されるというものである。なお、ネジを器具本体に対して締め付けるようにした構造の照明器具も提案されている(特許文献2参照。)
【特許文献1】特許第4123413号公報(第4頁、第2図)
【特許文献2】特許第4151349号公報(第2頁、第9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の照明器具は、蓋体が閉じた状態では、ラッチ装置がネジにより蓋体に固定されている。したがって、ラッチ装置は、照明器具に対してより大きい強風や振動等が加わると、ネジにより強固に蓋体に固定されているので外れないが、蓋体とともに蓋体の開き方向に引っ張られることがある。これにより、ラッチ装置の強度が低いと、開閉金具を回転伸縮させるクランプ金具やクランプ金具を開閉金具に取り付ける取付金具などが変形して、ラッチ装置が器具本体から外れることがあり、蓋体がラッチ装置ごと器具本体から開放することがあった。
【0005】
そして、ラッチ装置が器具本体から外れないようにするためには、ラッチ装置を大きくしたり、ラッチ装置の取付金具の肉厚を厚くして強固にする必要があった。これにより、照明器具は、その重量が大きくなるとともに、コスト上昇するという問題があった。
本発明は、大きな強風や振動等が加わっても、ラッチ装置が外れることなく蓋体の開放を防止する開閉式の照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の照明器具の発明は、蓋体と、この蓋体によって開閉される開口部を有する器具本体とを有してなり、前記蓋体および前記器具本体のいずれか一方の一端側に係止部が設けられ、かつ前記係止部よりも前記開口部側の位置に通孔が設けられた灯具と;前記蓋体および前記器具本体のいずれか一方に形成された投光開口に設けられた透光性カバーと;前記灯具の通孔に対向する位置にネジ孔が配設されるように前記蓋体および前記器具本体の他方の一端側に固定された固定部材と;前記灯具に収納され、前記投光開口より放射光を出射する光源と;前記灯具の他端側に設けられて前記蓋体または前記器具本体を回動自在に軸支する枢着部材と;前記灯具の係止部に引掛係止する開閉金具および前記係止部に引掛係止した状態の前記開閉金具の前記通孔に対向する位置に形成された貫通孔を有し、前記蓋体および前記器具本体の他方の一端側に取り付けられて、前記蓋体により前記器具本体の開口部を閉じた状態に保持するラッチ装置と;このラッチ装置の開閉金具が前記灯具の係止部に引掛係止した状態で、前記開閉金具の貫通孔および前記灯具の通孔をそれぞれ貫通して前記固定部材のネジ孔に螺着されたネジと;を具備していることを特徴とする。
本発明および以下の発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0007】
蓋体および器具本体は、器具本体に対して蓋体が開閉されてもよく、蓋体に対して器具本体が開閉されるようにしてもよい。また、ラッチ装置は、蓋体および器具本体のどちらに設けられてもよい。
【0008】
「蓋体および器具本体の他方」とは、蓋体および器具本体のいずれか一方に対する他方である。すなわち、一方が蓋体であるときには、他方は器具本体であり、一方が器具本体であるときには、他方は蓋体である。
光源は、蓋体および器具本体のどちらに配設されてもよい。
枢着部材は、蓋体および器具本体の一方を他方に回動自在に支持するものであり、例えば蝶番である。
【0009】
本発明によれば、ネジがラッチ装置の開閉金具の貫通孔および灯具の通孔を貫通して固定部材のネジ孔に螺着されることにより、ラッチ装置が固定部材を介して灯具に固定されるので、灯具に強風や振動等が加わって、例えラッチ装置の開閉金具が灯具の係止部に引掛係止する機能が損なわれても、蓋体が器具本体から開放することが防止される。
【0010】
また、ネジが固定部材のネジ孔に螺着されることにより、ラッチ装置は、ラッチ装置を取り付けている蓋体または器具本体に固定部材を介して固定されて、蓋体または器具本体に2重に固定されるので、灯具により大きな強風や振動等が加わって蓋体をラッチ装置ごと器具本体から開放しようとする力が作用しても、ラッチ装置のクランプ金具や取付金具などに加わる力が低減されて、ラッチ装置がラッチ装置を取り付けている蓋体または器具本体から外れにくくなる。
【0011】
請求項2に記載の照明器具の発明は、請求項1記載の照明器具において、固定部材は、ラッチ装置の取付基板とともにねじ止めされて固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、固定部材をラッチ装置の取付基板とともにねじ止めにより固定することにより、固定部材の配設スペースが容易に確保される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、ラッチ装置は、ラッチ装置を取り付けている蓋体または器具本体に固定部材を介して固定されて、蓋体または器具本体から外れにくくなっているので、灯具により大きな強風や振動等が加わっても、蓋体の開放を防止することができ、品質の向上した開閉式の照明器具を提供することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、固定部材は、ラッチ装置の取付基板とともにねじ止めされて固定されるので、固定部材を蓋体または器具本体に容易に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図3は、本発明の一実施の形態を示し、図1は照明器具の概略外観図、図2は照明器具の概略側面図、図3はラッチ装置の組付における照明器具の概略要部側面断面図である。
【0016】
照明器具1は、直線形ポール用の道路灯であり、灯具2、透光性カバー3、固定部材4、光源としての高圧放電ランプ5、枢着部材6、ラッチ装置7およびネジ8を有して構成されている。
【0017】
灯具2は、図1に示すように、それぞれアルミダイキャストで形成された蓋体9および器具本体10を有して形成されている。蓋体9は、下端側9Aに開口端9Cを有し、上端側9Bが閉塞されて、概略さじ状に形成されている。そして、蓋体9には、図2に示すように、高圧放電ランプ5に対向し、高圧放電ランプ5からの放射光を反射する反射鏡11が配設されている。
【0018】
器具本体10は、図1に示すように、上端側10Aに蓋体9によって開閉される開口部(図示しない。)を有している。また、器具本体10は、下端側10Bに蓋体9と対向するように投光開口12が形成されている。この投光開口12を閉塞するようにして透光性カバー3が配設されている。透光性カバー3は、例えば強化ガラスからなっている。灯具2は、蓋体9および器具本体10により内部空間が形成されている。
【0019】
また、器具本体10は、図2に示すように、その他端側10Eにポール受け部13が設けられており、このポール受け部13において直線形ポール14に固定されている。さらに、器具本体10は、その他端側10Eの内部にランプソケット15を配設している。ランプソケット15は、高圧放電ランプ5が前記内部空間に露出するようにして、高圧放電ランプ5を装着している。
【0020】
そして、蓋体9は、図3に示すように、その一端側9Dに係止部16が設けられているとともに、この係止部16よりも灯具2の投光開口12側の位置にネジ8が挿通される通孔17が設けられている。そして、器具本体10は、その一端側10Dに固定部材4を取り付けている。
【0021】
固定部材4は、所定幅を有する板状の例えば鋼板からなり、L形に折曲されている。そして、その一端側4aには、ネジ8が螺着されるネジ孔18が設けられている。固定部材4は、その他端側4bがラッチ装置7の取付基板22とともに、ねじ19により器具本体10にねじ止めされて固定されている。そして、蓋体9が器具本体10の開口部を閉じた状態で、蓋体9に設けられた通孔17と、固定部材4のネジ孔18とが対向(正対)するように、ネジ孔18の形成位置および固定部材4の配設位置がそれぞれ設定されている。
【0022】
高圧放電ランプ5は、例えばメタルハライドランプや高圧ナトリウムランプであり、図2に示すように、ランプソケット15に装着されて灯具2に収納されている。そして、点灯により発光した放射光は、直接光および反射鏡11で反射された反射光となって、器具本体10の投光開口12より外部空間に出射される。
【0023】
枢着部材6およびラッチ装置7は、蓋体9を直線形ポール14に固定されている器具本体10に開閉自在に固定するものである。そして、ラッチ装置7は、灯具2の一端側2Aに設けられ、枢着部材6は、灯具2の他端側2Bに設けられている。
【0024】
枢着部材6は、蝶番等を有して構成され、蓋体9および器具本体10を連結するとともに、支持軸20を支点として蓋体9を器具本体10に回動自在に軸支している。
【0025】
ラッチ装置7は、図3に示すように、開閉金具21、取付基板22および開閉金具21に形成された貫通孔23を有している。ラッチ装置7は、さらに、開閉金具21を回転伸縮させるクランプ金具24やクランプ金具24を開閉金具21に取り付ける略L形の取付金具25などを有して構成されている。クランプ金具24は、取付基板22の側板22aに回動自在に固定されている。
【0026】
開閉金具21は、先端側21aが略L字状の被係止部26に形成され、その被係止部26が蓋体9(灯具2)の係止部16に引掛係止するように形成されている。取付基板22は、ねじ19により固定部材4とともに器具本体10に固定される。
【0027】
貫通孔23は、開閉金具21の被係止部26が蓋体9の係止部16に引掛係止した状態において、蓋体9に設けられた通孔17に対向(正対)する位置に形成されている。そして、貫通孔23は、その直径をネジ8が貫通できる大きさとしている。
【0028】
ラッチ装置7は、蓋体9で器具本体10の開口部が閉塞されているときに、すなわち蓋体9を器具本体10に閉じているときに、開閉金具21の被係止部26を蓋体9の係止部16に引掛係止することにより、蓋体9を器具本体10に固定して、蓋体9により器具本体10の開口部を閉じた状態に保持する。そして、前記引掛係止を解除することにより、蓋体9を器具本体10から開放する(開く)ことが可能となっている。このように、ラッチ装置7は、蓋体9および器具本体10を開閉自在に組み付けるものである。
【0029】
ネジ8は、蝶ネジからなり、ラッチ装置7の開閉金具21の被係止部26が蓋体9(灯具2)の係止部16に引掛係止した状態で、開閉金具21に形成された貫通孔23および蓋体9に設けられた通孔17をそれぞれ貫通して固定部材4に設けられたネジ孔18に螺着されるものである。この螺着が完全に行われることにより、開閉金具21を灯具2(器具本体10)に固定する。
次に、本発明の一実施の形態の作用について述べる。
【0030】
蓋体9により器具本体10の開口部を閉じた状態で、ラッチ装置7の開閉金具21を回転移動させ、開閉金具21の被係止部26を蓋体9の係止部16に引っ掛けて係止する。この開閉金具21の引掛係止により、灯具2の蓋体9および器具本体10が固定される。このとき、開閉金具21に形成された貫通孔23、蓋体9に設けられた通孔17および固定部材4に設けられたネジ孔18は、それぞれ同一直線上に位置し、それぞれ正対している。
【0031】
そして、ネジ8を貫通孔23に挿入して貫通させ、さらに通孔17に挿入して貫通させて、さらにネジ孔18に螺着させる。ネジ8は、ネジ孔18に螺着されるときには、その先端が固定部材4を押圧し、固定部材4の一端側3aが若干変位(移動)して、ネジ孔18にねじ込まれる。ネジ8は、蝶ネジであるので、工具を使用することなく、手動でネジ孔18にねじ込むことができる。
【0032】
そして、ネジ8は、その頭部が開閉金具21に当接するまでネジ孔18にねじ込まれる。これにより、ラッチ装置7の開閉金具21が蓋体9の係止部16に引掛係止した状態で、開閉金具21は、固定部材4を介して灯具2に固定される。したがって、灯具2に強風や振動等が加わっても、開閉金具21の蓋体9の係止部16における引掛係止が外れにくくなる。また、当該引掛係止が機能しなくなっても、開閉金具21は、ネジ8により灯具2に固定されているので、蓋体9が器具本体10から開放することが防止される。
【0033】
そして、ラッチ装置7は、その取付基板22が器具本体10に取り付けられ、その開閉金具21がネジ8および固定部材4を介して器具本体10に取り付けられているので、2重に器具本体10に固定されている。すなわち、ラッチ装置7は、器具本体10に強固に取り付けられている。これにより、灯具2により大きな強風や振動等が加わって、蓋体9をラッチ装置7ごと器具本体10から開放しようとする力が作用しても、ラッチ装置7のクランプ金具24や取付金具25などに加わる力が低減され、クランプ金具24や取付金具25などに変形が発生せず、ラッチ装置7が器具本体10から外れにくい。この結果、ラッチ装置7を大きくしたり、ラッチ装置7の取付金具25の肉厚を大きくするなど、ラッチ装置7を強固に構成することを要しなくすることができて、灯具2のコスト上昇を抑制することができる。そして、灯具2により大きな強風や振動等が加わっても、蓋体9がラッチ装置7ごと器具本体10から開放することを防止することができ、品質の向上した開閉式の照明器具1を提供することができる。
【0034】
また、固定部材4は、ラッチ装置7の取付基板22とともに器具本体10にねじ19によりねじ止めされて固定されているので、灯具2の一端側2Aでの固定部材4の配設スペースが容易に確保されて、固定部材4を器具本体10に容易に取り付けることができる。これにより、省力化を図ることができ、灯具2のコスト上昇を抑制することができる。
【0035】
なお、本発明の照明器具は、ラッチ装置7および固定部材4が蓋体9側に取り付けられ、灯具2の係止部16が器具本体10側に設けられてもよい。また、透光性カバー3が蓋体9側に設けられた照明器具であってもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態を示す照明器具の概略外観図。
【図2】同じく、照明器具の概略側面図。
【図3】同じく、ラッチ装置の組付における照明器具の概略要部側面断面図。
【符号の説明】
【0037】
1…照明器具
2…灯具
3…透光性カバー
4…固定部材
5…光源としての高圧放電ランプ
6…枢着部材
7…ラッチ装置
8…ネジ
9…蓋体
10…器具本体
16…係止部
17…通孔
18…ネジ孔
21…開閉金具
23…貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体と、この蓋体によって開閉される開口部を有する器具本体とを有してなり、前記蓋体および前記器具本体のいずれか一方の一端側に係止部が設けられ、かつ前記係止部よりも前記開口部側の位置に通孔が設けられた灯具と;
前記蓋体および前記器具本体のいずれか一方に形成された投光開口に設けられた透光性カバーと;
前記灯具の通孔に対向する位置にネジ孔が配設されるように前記蓋体および前記器具本体の他方の一端側に固定された固定部材と;
前記灯具に収納され、前記投光開口より放射光を出射する光源と;
前記灯具の他端側に設けられて前記蓋体または前記器具本体を回動自在に軸支する枢着部材と;
前記灯具の係止部に引掛係止する開閉金具および前記係止部に引掛係止した状態の前記開閉金具の前記通孔に対向する位置に形成された貫通孔を有し、前記蓋体および前記器具本体の他方の一端側に取り付けられて、前記蓋体により前記器具本体の開口部を閉じた状態に保持するラッチ装置と;
このラッチ装置の開閉金具が前記灯具の係止部に引掛係止した状態で、前記開閉金具の貫通孔および前記灯具の通孔をそれぞれ貫通して前記固定部材のネジ孔に螺着されたネジと;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
固定部材は、ラッチ装置の取付基板とともにねじ止めされて固定されていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate