説明

照明器具

【課題】発光ダイオードを発光体として用いる照明器具において、照明器具の取付対象への伝熱を抑制すること。
【解決手段】照明器具1は、発光体4が筐体10の内部に格納される。筐体10は、発光体取付用筐体13と、これに設けられる一対の対向する第2側部12、12とを有する。発光体取付用筐体13には、発光体4を支持する発光体支持部16が設けられる。また、発光体取付用筐体13は、発光体4の光を通過させる開口面OPp、及び対向して配置される第2側部12、12を有する。第2側部12、12は、その外表面に段部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを発光体として用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を基板に実装し、これを発光体として用いた照明器具が種々実用化されている。このような照明器具としては、例えば、特許文献1に、発光体を内部に組み込んだ照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−272213号公報[0012]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光ダイオードのように発熱量の大きい発光体を用いる照明器具は、発光体からの熱が照明器具の取付対象へ伝わり、取付対象の変色等を招くおそれがある。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発光ダイオードを発光体として用いる照明器具において、照明器具の取付対象への伝熱を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る照明器具は、発光体と、前記発光体を格納するとともに、前記発光体を支持する発光体支持部、及び前記発光体の光を通過させる開口面、及び断面視して前記開口面と交差する複数の側部を有し、前記複数の側部は、その外表面に段部を有する筐体と、を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の望ましい態様として、前記複数の側部のうち、最も面積の大きい側部が前記段部を有することが好ましい。
【0007】
本発明の望ましい態様として、前記筐体は、前記発光体支持部から前記段部を有する側部への熱の経路を有することが好ましい。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記段部を有する側部は、前記段部が形成される側面の裏面には、段部が形成されないことが好ましい。
【0009】
本発明の望ましい態様として、前記段部は、前記段部の凹み位置に対応する凹部が前記開口面と平行な面側に向くことが好ましい。
【0010】
本発明の望ましい態様として、前記段部は複数設けられており、断面視して前記段部の前記開口面に沿った方向における一辺の長さは、前記発光体へ近づくにしたがって大きくなることが好ましい。
【0011】
本発明の望ましい態様として、前記段部は複数であり、前記段部の配列間隔は、前記発光体へ近づくにしたがって密になることが好ましい。
【0012】
本発明の望ましい態様として、前記複数の側部のうち、対向する一対の側部は、前記筐体を取付対象に固定するための装置取付部を有し、前記装置取付部と前記装置取付部を有する側部とが接続されることが好ましい。
【0013】
本発明の望ましい態様として、前記装置取付部は、対向して配置されて、一端部が前記取付対象と接する一対の板状部材と、前記一対の板状部材を連結する連結部材とで構成され、前記装置取付部を有する側部は、一方の前記板状部材と接続されることが好ましい。
【0014】
本発明の望ましい態様として、前記連結部材から前記板状部材の他端部までの距離は、前記一端部から前記連結部材までの距離よりも大きいことが好ましい。
【0015】
本発明の望ましい態様として、前記段部を有する側部が前記装置取付部を有することが好ましい。
【0016】
本発明の望ましい態様として、前記段部を有する側部は、前記開口面に対して0度よりも大きく90度よりも小さい角度で配置されることが好ましい。
【0017】
本発明の望ましい態様として、前記筐体は、前記発光体支持部が設けられる発光体取付用筐体を有し、前記段部を有する側部は、前記発光体取付用筐体に設けられるとともに、前記発光体取付用筐体の側面に対して傾斜していることが好ましい。
【0018】
本発明の望ましい態様として、前記発光体は、前記発光体支持部に片持ち支持で取り付けられる基板に取り付けられることが好ましい。
【0019】
本発明の望ましい態様として、前記発光体は、基板を介して前記発光体支持部に取り付けられるとともに、前記基板の前記発光体とは反対側かつ前記発光体に対応する部分に、前記側部へ熱を伝えるための伝熱部材が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、発光ダイオードを発光体として用いる照明器具において、照明器具の取付対象への伝熱を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本実施形態に係る照明器具の平面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、発光体の構造を示す斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る照明器具の筐体の側部を示す拡大図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る照明器具の筐体の側部が有する段部の説明図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る照明器具の筐体の側部が有する段部の説明図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る照明器具の筐体の側部が有する段部の説明図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る照明器具の筐体の側部が有する段部の説明図である。
【図9】図9は、本実施形態に係る照明器具の取付構造の変形例を示す拡大図である。
【図10】図10は、本実施形態に係る照明器具の取付構造の変形例を示す拡大図である。
【図11】図11は、発光体の熱を筐体へ伝える構造の変形例を示す一部断面図である。
【図12】図12は、照明器具の内部に冷却用の空気を導く導風孔を備える例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記の実施形態で開示した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
【0023】
図1は、本実施形態に係る照明器具の平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。照明器具1は、光源である発光体4と筐体10とで構成される。筐体10は、内部に発光体4を格納する発光体取付用筐体13と、これに設けられる複数の側部12、12、11、11を有している。側部12、12、11、11は、図2に示す筐体10の開口部OPの開口面OPpと断面視して交差している。これらのうち、一対の側部12、12が対向して配置され、また、一対の側部11、11が対向して配置されている。以下においては、必要に応じて側部11、11を第1側部といい、側部12、12を第2側部という。
【0024】
図2に示すように、筐体10は、内部に複数の発光体4を備えている。それぞれの発光体4は、リフレクタ3内に配置されており、リフレクタ3によって発光体4から出射される光が反射される。発光体4及びリフレクタ3の数は限定されるものではない。本実施形態において、発光体4は、LEDである。複数の発光体4は、直列に配列されて発光体列を形成する。発光体列の数は限定されるものではないが、本実施形態では、2列である。
【0025】
図3は、発光体の構造を示す斜視図である。図3に示すように、発光体4は、基体4aと、基体4a上に設けられたフレーム部材4bと、基体4a上に実装された発光素子4cと、フレーム部材4bの内側に設けられた封入部材4dと、フレーム部材4bの上端部に設けられた波長変換部材4eとを有している。
【0026】
基体4a及びフレーム部材4bはセラミックス等から構成されている。発光素子4cは、例えば、LED素子やLEDチップ等であり、配線を通して電源に接続され、電源から供給される電力に応じて第1次光を放射する。封入部材4dは、発光素子4cの上端及び側面を囲むものであり、透光性材料を含んでいる。封入部材4dの透光性とは、発光素子4cから放射される光の少なくとも一部の波長が透過できることをいう。封入部材4dの透光性材料は例えばシリコーン樹脂である。
【0027】
波長変換部材4eは、透光性材料からなるマトリクス部材と、蛍光材料からなる複数の蛍光粒子を含んでいる。マトリクス部材の透光性とは、発光素子4cから放射された光の少なくとも一部の波長と、複数の蛍光粒子から放射された光の少なくとも一部の波長とが透過できることをいう。透光性材料は、例えばシリコーン樹脂である。複数の蛍光粒子は、発光素子4cから放射された第1次光によって励起されて、波長が第1次光と異なる波長の第2次光を放射する。
【0028】
上述した第2側部12、12は、発光体4の配列方向と平行に配置され、第1側部11、11は、発光体4の配列方向と直交して配置される。筐体10の両方の第2側部12には、装置取付部20が設けられる。装置取付部20は、複数の長孔21を有しており、この長孔21に締結手段(例えば、図2に示すねじ8)を貫通させて、筐体10が取付対象(本実施形態では図2に示す天井40)に固定される。これによって、照明器具1は、取付対象に固定される。ねじ8を貫通させる孔を長孔とすることにより、筐体10を天井40へ取り付ける際の位置調整をすることができる。
【0029】
図2に示すように、発光体取付用筐体13は、内部に発光体4を支持して格納する筐体である。発光体取付用筐体13は、底面14と、底面14につながって設けられる発光体取付用筐体側面15と、開口部OPとを有している。底面14及び発光体取付用筐体側面15は、いずれも板状の部材である。リフレクタ3の開口部は、発光体取付用筐体13の開口部OPに向けて配置されるとともに、リフレクタ3内の発光体4は開口部OPと対向して配置される。開口部OPは、断面コの字形状の透光板取付部19を有しており、この透光板取付部19に透明な材料で構成される透光板7が嵌め込まれて、取り付けられている。このような構造により、発光体4から出射し、リフレクタ3で反射された光は、開口部OPの透光板7を通過して、照明器具1の外部へ照射する。
【0030】
上述した第2側部12、12は、発光体取付用筐体13に設けられる。第2側部12、12は、板状の部材である。第2側部12、12は、発光体取付用筐体13の開口部OP側における発光体取付用筐体側面15の端部とつながっている。そして、第2側部12、12と発光体取付用筐体13とは、熱が伝わるように接続される。例えば、第2側部12、12と発光体取付用筐体13とを同一材料で一つの構造体として構成したり、両者を別の構造体として溶接等の接合手段によって接合したりする。また、第2側部12、12と発光体取付用筐体13とを別部材として、伝熱性の高い材料を両者の間に介在させて、両者をボルト等の締結手段で結合してもよい。
【0031】
第2側部12、12は、発光体取付用筐体13の側面、すなわち、発光体取付用筐体側面15に対して傾斜しており、その傾斜角度はθである。本実施形態において、第2側部12、12及び発光体取付用筐体13は、いずれも金属材料で構成される(本実施形態ではアルミニウム合金)。これらは、発光体4の熱を放熱させるために、熱の良導体であることが好ましいが、熱の良導体であれば、第2側部12、12及び発光体取付用筐体13を金属材料以外の材料で構成してもよい。
【0032】
発光体取付用筐体13は、発光体支持部16と仕切り部17とを内部に有している。仕切り部17は、発光体取付用筐体13内を二つの空間に仕切り、それぞれの空間に発光体列が一列ずつ配置される。発光体4が取り付けられる基板5は、図2に示すように、基板5は、一端部が発光体支持部16にねじ6で締結され、他端部が仕切り部17に設けられる当接部18に接する。これによって、発光体4は、発光体支持部16に取り付けられて、これに支持される。このように、発光体4は、基板5及び発光体支持部16を介して、発光体取付用筐体13に取り付けられる。
【0033】
本実施形態において、基板5は、発光体支持部16に対して片持ち支持で取り付けられる。すなわち、基板5の一端部は、発光体支持部16にねじ6で固定されて固定端となり、他端部は当接部18に接するのみの自由端となる。これによって、基板5が発光体支持部16から当接部18に向かって膨張するのを妨げない構造になる。
【0034】
基板5の一端部と他端部とが発光体取付用筐体13に固定されていると、発光体4から発生した熱によって基板5が膨張した場合には、基板5が撓んでしまう。しかし、本実施形態では、基板5は、片持ち支持で発光体支持部16に取り付けられるので、発光体4の発熱に起因する基板5の膨張は妨げられず、基板5の撓みを回避できる。これにより、発光体支持部16及び当接部18に対する基板5の傾きが抑制され、基板5に実装された発光体4の垂直方向における位置の変化を抑制できる。
【0035】
その結果、発光体4から出射される光の出射方向が傾くことを抑制できるので、発光体4から出射される光の光軸の変化を抑制することができる。そして、照明器具1は、発光体4から出射した光を筐体10の外部に向けて照射することができる。さらに、基板の他端部は、当接部18に接触した状態で配置されるので、当接部18によって基板5の板面に垂直な方向への移動を規制できる。これによって、熱膨張や経時変化によって基板5が前記垂直な方向に向かって変形するおそれを低減できる。
【0036】
対向する一対の第2側部12、12は、発光体取付用筐体側面15の端部と接続している側とは反対側の端部に、それぞれ装置取付部20を有している。対向する一対の第2側部12、12が装置取付部20を有することにより、一対の装置取付部20及び一対の第2側部12の間に発光体取付用筐体13が配置されることになる。これによって、筐体10を天井40に取り付けた場合には、装置取付部20から吊り下げられるようになるので、筐体10は、バランスよく天井40に取り付けられる。ねじ8を装置取付部20の長孔に貫通させ、天井40に装置取付部20を締結した後、装置取付部20の開口部に化粧板22を取り付ける。これによって、ねじ8の頭を覆い隠すことができるので、照明器具1の美観が向上する。
【0037】
発光体取付用筐体13の対向する一対の発光体取付用筐体側面15、15には、それぞれ金属製の吊り具30が取り付けられる。吊り具30は、天井40の背面空間BAに設けられた梁41に引っ掛けられて、照明器具1を梁41に吊り下げる。照明器具1を天井40に取り付ける場合、天井40の開口40Hに吊り具30を差し入れ、梁41に吊り具30を引っ掛けることにより、照明器具1の支えは不要になる。これによって、装置取付部20をねじ8で天井40に締結する際の作業効率及び安全性が大幅に向上する。また、照明装置1の吊り具30は、吊り具30を梁41に吊り下げた状態では、照明器具1の落下防止の引っ掛け手段としても機能する。これによって、照明器具1を使用する際の安全性も大幅に向上する。
【0038】
また、発光体取付用筐体13に伝わった発光体4の熱は、吊り具30に伝わってここで放熱される。また、吊り具30に伝わった熱は、梁41に伝わり、ここでも放熱される。このように、照明器具1が吊り具30を備えることにより、吊り具30及び梁41を発光体4の熱の放熱手段としても利用できるので、発光体4の発熱に起因する照明器具1の昇温や発光体4自体の過度の昇温を抑制できる。
【0039】
また、天井41に開けた開口40Hに発光体取付用筐体13の部分を挿入して背面空間へ開放するように照明器具1を取り付けることが好ましい。これにより、発光体4から発生する熱は、発光体取付用筐体13を介しても背面空間BAに放熱され、発光体4が過度に昇温することを抑制できる。次に、側部12についてより詳細に説明する。
【0040】
図4は、本実施形態に係る照明器具の筐体の側部を示す拡大図である。筐体10の第2側部12は、その外表面12SOに段部12Dを有する。外表面12SOは、筐体10の一目にさらされる方の表面であり、図2に示す照明器具1を天井40に取り付けた場合に、天井40よりも室内側における表面である。本実施形態において、段部12Dは5個であるが、段部12Dの数は限定されるものではなく、第2側部12は少なくとも一つの段部12Dを有していればよい。
【0041】
また、本実施形態においては、対向して配置される一対の第2側部12は、それぞれ段部12Dを有するが、段部12Dを有する側部の数や段部12Dを有する側部の位置はこれに限定されるものではない。すなわち、図1に示す筐体10が有する複数の側部12、12、11、11のうち少なくとも一つが、外表面に少なくとも一つの段部12Dを有していればよい。例えば、一方の第2側部12のみが段部12Dを有していてもよいし、対向する一対の第1側部11、11が段部12Dを有していてもよいし、すべての側部12、12、11、11が段部12Dを有していてもよい。
【0042】
発光体4の熱は、基板5、発光体支持部16、発光体取付用筐体側面15を通って第2側部12へ伝わる。このように、筐体10は、発光体支持部16から段部12Dを有する側部(本実施形態では第2側部12)への熱の経路HPを有する。これによって、筐体10は、発光体4の熱を、段部12Dを有する第2側部12に伝えることができる。なお、図2に示すリフレクタ3を発光体取付用筐体側面15に取り付けた場合、発光体4の熱は、リフレクタ3からも発光体取付用筐体側面15に伝わる。
【0043】
本実施形態では、筐体10の第2側部12がその外表面12SOに段部12Dを有するので、第2側部12の表面積が増加する。これによって、発光体4の熱を第2側部12の外表面12SOから大気中へ効率的に放熱させることができるので、装置取付部20へ伝わる熱を低減できる。その結果、装置取付部20から取付対象(例えば、図2の天井40)への伝熱を抑制できるので、取付対象の変色を抑制できる。また、基板5に伝わった発光体4の熱は、筐体10の第2側部12から効率的に放熱されるので、基板5の昇温も抑制される。その結果、基板5の熱膨張に起因する発光体4の光軸の変化が抑制される。
【0044】
さらに、本実施形態において発光体4として用いるLEDは、発熱により昇温して、出射する光の波長が変化する。その結果、照明器具1から照射される光の色合いが変化するおそれがある。本実施形態では、筐体10の第2側部12が有する段部12Dにより、発光体4の熱を効率的に放熱させることができるので、発光体4の過度の昇温を抑制し、照明器具1から照射される光の色合いの変化を抑制できる。このように、本実施形態では、発光ダイオードを光源として用いる照明器具1において、放熱に適した構造を提供できる。また、段部12Dにより、筐体10の美観が向上するという利点もある。
【0045】
筐体10が有する複数の側部12、12、11、11のうち、少なくとも最も面積の大きい側部が段部12Dを有することが好ましい。このようにすれば、面積の小さい側部に段部12Dを設ける場合と比較して、側部の表面積を大きくしやすくなるので好ましい。その結果、段部12Dを有する側部からの放熱効率が向上する。本実施形態では、4個の側部12、12、11、11のうち、第2側部12、12の面積が、第1側部11、11の面積よりも大きいので、筐体10が有する複数の側部12、12、11、11のうち、最も面積の大きい側部は第2側部12、12に該当する。
【0046】
図4に示すように、本実施形態では、段部12Dを有する側面、すなわち第2側部12の、段部12Dが形成される側面の裏面12Siには、段部12Dが形成されない。すなわち、裏面12Siは平面となる。なお、第2側部12が曲がった板で形成される場合、裏面12Siは曲面となる。このようにすると、裏面12Siの表面積は、段部12Dが形成される側よりも小さくなるので、発光体4の熱は、裏面12Siよりも段部12Dが形成される側から放熱されやすくなる。これによって、第2側部12からは、発光体取付用筐体13側よりも筐体10の外表面側により多く放熱されるので、裏面12Siから発光体取付用筐体13への伝熱が抑制される。その結果、発光体取付用筐体13から発光体4へ伝わる熱を抑制できるので、発光体4の過度の昇温を効果的に抑制できる。
【0047】
本実施形態では、段部12Dを有する側部、すなわち、第2側部12が、開口面OPpに対して0度よりも大きく90度よりも小さい角度で配置される。すなわち、第2側部12と開口面OPpとのなす角度αは、0度よりも大きく90度よりも小さくなる。このようにすることで、第2側部12は発光体取付用筐体側面15に対して傾斜して配置されるので、第2側部12と発光体取付用筐体側面15との間に空間SPが形成される。この空間SPが断熱層になり、裏面12Siから発光体取付用筐体13への伝熱が抑制される。その結果、発光体取付用筐体13から発光体4へ伝わる熱できるので、発光体4の過度の昇温をより効果的に抑制できる。なお、角度αは0度よりも大きく90度よりも小さければよいが、角度αを大きくし過ぎると空間SPが小さくなり、空間SPによる断熱効果が低減してしまう。また、角度αを小さくし過ぎると、対向する一対の第2側部12、12が広がる結果、筐体10の寸法が増加する。したがって、αは、20度以上70度以下が好ましく、30度以上60度以下が望ましい。これによって、筐体10の寸法増加を抑制しつつ、空間SPに断熱効果を発揮させることができる。
【0048】
第2側部12は、装置取付部20を有する。装置取付部20は、一端部23AT1、23BT1が取付対象と接する一対の板状部材23A、23Bと、これらを連結する連結部材24とで構成される。装置取付部20を有する第2側部12は、一方の板状部材(本実施形態では板状部材23B)と接続される。装置取付部20を取付対象にねじ8で取り付けると、一端部23AT1、23BT1の端面は、取付対象の取付面40Pと接することになる。このように、板状部材23A、23Bの一端部が取付対象に接し、線接触に近い状態になるので、装置取付部20と取付対象との接触面積を低減することができる。その結果、装置取付部20から取付対象への伝熱量を抑制できるので、取付対象の変色等を効果的に抑制できる。
【0049】
装置取付部20を有する側部は、第2側部12に限定されるものではないが、段部を有する側部、すなわち第2側部12が装置取付部20を有するようにすることが好ましい。これによって、表面積の大きい第2側部12から発光体4の熱が効率的に放熱されるので、装置取付部20への伝熱を抑制することができる。その結果、装置取付部20から取付対象への伝熱が抑制されるので、取付対象の変色等を抑制できる。
【0050】
本実施形態において、第2側部12と装置取付部20とは、同一の構造体として同一の材料で一体に構成されるが、このような構造に限定されるものではない。例えば、第2側部12と装置取付部20との間に断熱材料を介してボルト等の締結手段によって両者を固定してもよい。このようにすれば、第2側部12から装置取付部20への伝熱量を抑制できるので、装置取付部20が昇温することによる取付対象の変色等をより効果的に抑制できる。
【0051】
また、第2側部12と装置取付部20とは、同一の構造体として同一の材料で一体に構成する場合、筐体10は、例えば、押出成型によって製造される。このようにすれば、筐体10の製造や組み立てが容易になるとともに、部品点数を削減することができる。装置取付部20をこのように構成する場合、連結部材24から板状部材23Aの他端部23AT2までの距離t1は、一端部23AT1から連結部材24までの距離t2よりも大きくすることが好ましい。このようにすると、装置取付部20の熱源(すなわち発光体4)に近い方の面積がより大きくなり、この部分での放熱を促進させることができる。その結果、取付対象側、すなわち、板状部材23A、23Bの一端部23AT1、23BT1側の温度をより低くすることができるので、温度による取付対象の変色等をより抑制しやすくなる。
【0052】
装置取付部20に伝わった熱は、ねじ8に伝わる。図2に示すように、ねじ8が天井40の背面空間BAに突き出していると、その突き出した部分から装置取付部20に伝わった熱が背面空間BAへ放熱される。このように、ねじ8を利用して、背面空間BAへ発光体4の熱を逃がすこともできる。
【0053】
装置取付部20を構成する板状部材23A、23Bの一端部23AT1、23BT1とは反対側には、それぞれ突起部25が設けられる。それぞれの突起部25は対向して配置される。この突起部25に、図2に示す化粧板22が取り付けられて、長孔21を貫通し、取付対象にねじ込まれたねじ8の頭を覆い隠す。化粧板22に金属のような熱の良導体を用いて、突起部25との間で熱が伝わるように、化粧板22を突起部25に取り付ける。例えば、突起部25と化粧板22との間に金属ペーストを介在させたり、突起部25と化粧板22とをハンダ付けにより接合したりする。これによって、装置取付部20に伝わった発光体4の熱を化粧板22からも放熱できるので、発光体4の過度の昇温をより効果的に抑制できる。次に、第2側部12が有する段部12Dについて、より詳細に説明する。
【0054】
図5から図8は、本実施形態に係る照明器具の筐体の側部が有する段部の説明図である。図5、図6に示すGは、重力の作用する方向である。図5に示すように、段部12Dは、段部12Dの凹み位置に対応する凹部12DUと、段部12Dの突き出し位置に対応する凸部12DTとで構成される。例えば、図6に示すように、段部12Dの凹部12DUを開口面OPpと平行な面OPpv側を向かないようにすると、凹部12DUに埃等が溜まって筐体10の美観を損ねるおそれがある。特に、照明器具1は、天井に取り付けられるため、筐体10の掃除がしにくい。
【0055】
そこで、図5に示すように、段部12Dは、凹部12DUが開口面OPpと平行な面OPpv側に向くようにすると、重力の作用によって凹部12DUの埃等は下方に落下する。その結果、凹部12DUに埃等が溜まるおそれが低減されるので、筐体10の美観を損ねるおそれは少なくなる。このように、筐体10は、埃等で汚れにくい構造であるので、比較的簡単に掃除ができ、また、掃除の間隔も長くすることができる。このため、段部12Dは、凹部12DUが開口面OPpと平行な面OPpv側に向くようにすると、照明器具1が天井に取り付けられて、掃除がしにくい場合に好適である。
【0056】
図7に示す第2側部12は、複数の段部12D1〜12D5を有する。この場合、断面視して段部12D1〜12D5の、開口面OPpに沿った方向の一辺の長さ、すなわち、段部12D1〜12D5の深さh1〜h5は、発光体4へ近づくにしたがって大きくすることが好ましい(h1<h2<h3<h4<h5)。このようにすると、第2側部12のより発光体4に近い方の表面積を大きくできるので、熱源となる発光体4に近く温度が高い部分で効率的に放熱させることができる。
【0057】
また、図8に示すように、段部12D1〜12D5の配列間隔P1〜P4は、発光体4へ近づくにしたがって密にすることが好ましい(P1>P2>P3>P4)。このようにしても、第2側部12のより発光体4に近い方の表面積を大きくできるので、熱源となる発光体4に近く温度が高い部分で効率的に放熱させることができる。
【0058】
図9、図10は、本実施形態に係る照明器具の取付構造の変形例を示す拡大図である。図9に示す取付構造は、取付対象である天井40の背面空間BAに支持梁42を設け、これにねじ8をねじ込んで装置取付部20を支持梁42に締結する。これによって、図2に示す照明器具1の筐体10を天井40に取り付ける。
【0059】
この取付構造では、装置取付部20からねじ8に伝わった熱が支持梁42へ伝わり、支持梁42から放熱される。これによって、支持梁42を発光体4の熱の放熱手段としても利用できるので、発光体4の発熱に起因する照明器具1の昇温や発光体4自体の過度の昇温をより効果的に抑制できる。この取付構造の場合、支持梁42は、金属のような熱の良導体であることが好ましい。このようにすれば、支持梁42へ熱が効率的に伝わって背面空間BAへ放熱されるので、照明器具1や発光体4の昇温を抑制するのにより効果的である。
【0060】
図10に示す取付構造は、図9に示した取付構造と略同様であるが、天井40にねじ8が貫通するねじ孔43を設けて、背面空間BAの支持梁42にねじ8をねじ込んで、装置取付部20を支持梁42に締結する。このとき、ねじ孔43の内径は、ねじ8の外径よりも大きくしておく。これによって、ねじ8から天井40への伝熱を抑制できるので、天井40の昇温を抑制できる。その結果、天井40の変色等を効果的に抑制できる。
【0061】
図11は、発光体の熱を筐体へ伝える構造の変形例を示す一部断面図である。図11に示すように、発光体4は、基板5を介して発光体支持部16に取り付けられる。そして、基板5の発光体4とは反対側(反発光体側)であって、発光体4に対応する部分に、第2側部12へ熱を伝えるための伝熱部材50が設けられる。この例において、伝熱部材50は、基板接触部50Cと、基板接触部50Cと発光体取付用筐体側面15とを接続する伝熱部50Tとで構成される。伝熱部材50の基板接触部50Cは、発光体実装面5Aの背面、すなわち、反発光体側の面(反発光体面)5Bにおける発光体4と対向する位置、及び前記位置の近傍の領域に接触した状態で配置される。
【0062】
伝熱部材50は、金属のような熱の良導体で構成されており、伝熱部材50と発光体取付用筐体側面15との間で熱が伝わるように接続される。伝熱部材50は、例えば、アルミニウム合金、銅又はステンレス鋼等で構成されることが好ましい。なお、伝熱部材50の熱伝導率は、例えば10W/m・K以上500W/m・K以下に設定される。
【0063】
基板接触部50Cは、少なくとも基板5の反発光体面5Bに接触していればよく、必ずしも固定される必要はない、しかし、基板5が基板接触部50Cから離れる方向に変形した場合に、基板接触部50Cが基板5から離れることを回避することが好ましい。このため、例えば、金属製のねじで基板接触部50Cと基板5とを固定することが好ましい。
【0064】
図11に示す構造は、基板5、発光体支持部16、発光体取付用筐体側面15を通って第2側部12へ熱が伝わる第1の熱の経路HP1と、基板5、伝熱部材50、発光体取付用筐体側面15を通って第2側部12へ熱が伝わる第2の熱の経路HP2とを有する。これによって、発光体4の熱を効率的に第2側部12へ伝えることができるので、発光体4の過度の昇温を抑制できる。
【0065】
図12は、照明器具の内部に冷却用の空気を導く導風孔を備える例を示す図である。図12に示す照明器具1aは、第1側部11に導風孔11Hを有する。この導風孔11Hから照明器具1aの内部に冷却用の空気を導き、内部の発光体4や発光体取付用筐体13を冷却する。第1側部11は、一対の第1側部11が対向して配置されるが、両方の第1側部11が導風孔11Hを有することが好ましい。これによって、照明器具1aの内部に冷却用の空気の流れを作りやすくなるので、発光体4等をより効果的に冷却することができる。
【0066】
以上、本実施形態に係る照明器具は、発光体を格納し、かつ発光体を支持する発光体支持部と、発光体の光を通過させる開口面と、前記開口面と交差する複数の側部と、を有する筐体を備え、複数の側部のうち少なくとも一つは、その外表面に少なくとも一つの段部を有する。これによって、段部を有する側部へ発光体の熱を伝え、当該側部の外表面から大気中へ効率的に放熱させることができるので、装置取付部へ伝わる熱を低減できる。その結果、装置取付部から取付対象への伝熱を抑制できるので、取付対象の変色を抑制できる。
【0067】
また、基板に伝わった発光体の熱は、段部を有する側部から効率的に放熱されるので、基板の昇温も抑制される。その結果、基板の熱膨張に起因する発光体の光軸の変化が抑制される。さらに、LEDは発熱により昇温して、出射する光の波長が変化する。その結果、照明器具から照射される光の色合いが変化するおそれがある。本実施形態では、側部に段部を設けて側部の表面積を大きくすることにより、段部を有する側部から発光体の熱を効率的に放熱させることができる。その結果、発光体の過度の昇温を抑制し、照明器具から照射される光の色合いの変化を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明に係る照明器具は、発熱量の大きい発光体を用いる照明器具に有用であり、特に、発光体にLEDを用いる場合に適している。
【符号の説明】
【0069】
1、1a 照明器具
3 リフレクタ
4 発光体
5 基板
7 透光板
8 ボルト
10 筐体
11 第1側部(側部)
12 第2側部(側部)
12D、12D1、12D2、12D3、12D4、12D5 段部
12DU 凹部
12DT 凸部
12Si 裏面
12SO 外表面
13 発光体取付用筐体
14 底面
15 発光体取付用筐体側面
16 発光体支持部
20 装置取付部
23AT1、23BT1 一端部
23AT2 他端部
23A、23B 板状部材
24 連結部材
30 吊り具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体と、
前記発光体を格納するとともに、前記発光体を支持する発光体支持部、及び前記発光体の光を通過させる開口面、及び断面視して前記開口面と交差する複数の側部を有し、前記複数の側部は、その外表面に段部を有する筐体と、
を含むことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記複数の側部のうち、最も面積の大きい側部が前記段部を有する請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記筐体は、前記発光体支持部から前記段部を有する側部への熱の経路を有する請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記段部を有する側部は、前記段部が形成される側面の裏面には、段部が形成されない請求項1から3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記段部は、前記段部の凹み位置に対応する凹部が前記開口面と平行な面側に向く請求項1から4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記段部は複数設けられており、断面視して前記段部の前記開口面に沿った方向における一辺の長さは、前記発光体へ近づくにしたがって大きくなる請求項1から5のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記段部は複数であり、前記段部の配列間隔は、前記発光体へ近づくにしたがって密になる請求項1から6のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項8】
前記複数の側部のうち、対向する一対の側部は、前記筐体を取付対象に固定するための装置取付部を有し、前記装置取付部と前記装置取付部を有する側部とが接続される請求項1から7のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項9】
前記装置取付部は、対向して配置されて、一端部が前記取付対象と接する一対の板状部材と、前記一対の板状部材を連結する連結部材とで構成され、前記装置取付部を有する側部は、一方の前記板状部材と接続される請求項8に記載の照明器具。
【請求項10】
前記連結部材から前記板状部材の他端部までの距離は、前記一端部から前記連結部材までの距離よりも大きい請求項8又は9に記載の照明器具。
【請求項11】
前記段部を有する側部が前記装置取付部を有する請求項8から10のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項12】
前記段部を有する側部は、前記開口面に対して0度よりも大きく90度よりも小さい角度で配置される請求項1から11のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項13】
前記筐体は、前記発光体支持部が設けられる発光体取付用筐体を有し、前記段部を有する側部は、前記発光体取付用筐体に設けられるとともに、前記発光体取付用筐体の側面に対して傾斜している請求項12に記載の照明器具。
【請求項14】
前記発光体は、前記発光体支持部に片持ち支持で取り付けられる基板に取り付けられる請求項1から13のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項15】
前記発光体は、基板を介して前記発光体支持部に取り付けられるとともに、前記基板の前記発光体とは反対側かつ前記発光体に対応する部分に、前記側部へ熱を伝えるための伝熱部材が設けられる請求項1から14のいずれか1項に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−150987(P2011−150987A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13533(P2010−13533)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【出願人】(594135737)株式会社キルトプランニングオフィス (11)
【Fターム(参考)】