説明

照明器具

【課題】LEDを光源とする光源部から放射される光の光色を補正して、光色のばらつきを低減できる照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ケース本体2と、このケース本体2内に収容されたLED8を光源とする光源部3と、この光源部3と対向するように配設された有彩色の反射面4とを備え、光色を補正するため、前記光源部3と反射面4との相対的距離、相対的角度を光源部3、反射面4を操作することにより変更可能とする照明器具1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてLED(発光ダイオード)を用いる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、室内又は室外の一般照明用の光源としてLEDが用いられるようになってきている。しかし、LEDには個体差があり、LEDチップの波長のばらつき、LEDチップを封止する蛍光体層に含有される蛍光体の量のばらつき等に起因して個々の発光色のばらつきが大きい。このようなLEDを基板上に複数個配置して照明用の光源として用いる場合、その光色のばらつきから、光源全体としても光色のばらつきが生じてしまうという問題が発生する。
【0003】
従来、複数のLEDを備えた照明装置において、光色のばらつきを緩和するため、LEDが発する光を直接照射せず、反射板にて反射させて間接照射する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−287994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されたものは、単体としての照明装置において個々のLEDの光色のばらつきを緩和するもので、照明装置全体としての光色のばらつきを積極的に補正するものではない。
【0006】
例えば、図9に示すように、同一照明空間内に同種の照明器具が複数台設置される場合がある。図9は、壁面に照明器具としてブラケットBを複数台設置した例であり、このブラケットBには、光源としてLEDが用いられており、このLEDからの出射光で主として壁面の上方を照らして間接照明によって所望の照明効果を得ようとするものである。
【0007】
このような場合、特許文献1に示されたような照明装置を複数台設置すると、各照明装置の光色の違いが視覚的に分かる程度で発生することがある。特に、発光色として電球色等を用いる照明用途ではこの問題は大きい。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたもので、LEDを光源とする光源部から放射される光の光色を補正して、光色のばらつきを低減できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の照明器具は、ケース本体と、このケース本体内に収容されたLEDを光源とする光源部と、この光源部と対向するように配設された有彩色の反射面とを備え、 前記光源部と反射面との相対的距離が変更可能であることを特徴とする。
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の技術的意味及び解釈は次による。
【0010】
LEDは、表面実装型のLEDパッケージやLEDチップを直接基板に実装するものが適用できる。また、砲弾型のLEDを用いてもよく、実装方式や形式は、格別限定されるものではない。さらに、LEDの個数には特段制限はない。
【0011】
光源部には、例えば、既存の直管形蛍光ランプと同様な寸法及び外形を有するものが適用できるが、これに限定されるものではない。基板にLEDを実装した各種形態のものが適用できる。
反射面には、例えば、赤色系や黄色系の有色彩が適用できる。しかし、光色を補正し得れば、勿論、他の色彩の適用が可能である。
【0012】
光源部と反射面との相対的距離の変更は、光源部及び反射面のいずれを操作して移動させるようにしてもよい。また、双方を操作して移動させるようにすることを妨げるものではない。
【0013】
照明器具は、ブラケットや間接照明の照明器具に適用するのが好適であるが、これに限定されず、屋内又は屋外で使用されるLEDを光源とする各種照明器具に適用することが可能である。
【0014】
請求項2に記載の照明器具は、ケース本体と、このケース本体内に収容されたLEDを光源とする光源部と、この光源部と対向するように配設された有彩色の反射面とを備え、前記光源部と反射面との相対的角度が変更可能であることを特徴とする。
【0015】
光源部と反射面との相対的角度の変更は、光源部及び反射面のいずれを操作して変更させるようにしてもよい。また、双方を操作して変更させるようにすることを妨げるものではない。
【0016】
請求項3に記載の照明器具は、請求項1又は請求項2に記載の照明器具において、前記相対的距離又は相対的角度の変更は、光源部を操作することにより行われることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の照明器具は、請求項1又は請求項2に記載の照明器具において、前記相対的距離又は相対的角度の変更は、反射面を操作することにより行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、LEDを光源とする光源部から放射される光の光色を補正して、光色のばらつきを低減できる照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明器具においてカバー部材を取外して上側から見て示す斜視図である。
【図2】同照明器具において下側から見て示す斜視図である。
【図3】同光源部の一部を示す斜視図である。
【図4】同光源部を示す断面図である。
【図5】同照明器具を示す側面図である。
【図6】同照明器具を示す側断面図である。
【図7】同作用を説明するために模式的に示すxy色度図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る照明器具を示す側断面図である。
【図9】照明器具の設置状態の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施形態に係る照明器具について図1乃至図7を参照して説明する。なお、各図において、同一又は相当部分には、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
図1及び図2に示すように、照明器具1は前述の図9において説明したブラケットであり、壁面に設置されて主として壁面の上方を照らし、間接照明によって照明効果を得るものである。
照明器具1は、ケース本体2と、このケース本体2内に収容された光源部3と、この光源部3と対向する反射面4を有する反射体5とを備えている。
【0022】
ケース本体2は、冷間圧延鋼板で形成されており、略横長の直方体形状をなしている。上面側には、横長の長方形状の主照射開口部21が形成されており、下面側には、副照射開口22が形成されている。また、主照射開口部21に対応するケース本体2内の両側にはソケットを有するソケット台7が設けられている。なお、上面側には、主照射開口部21を覆う透光性を有する乳白色のアクリル材料で形成されたカバー部材9が取付けられるようになっている。
【0023】
図3及び図4に示すように、光源部3は、LEDを光源とし、既存の直管形蛍光ランプと同様な寸法及び外形を有している。具体的には、40Wの直管形蛍光ランプと同様な寸法及び外形を有している。そして、この光源部3は、後述するように反射体5の反射面4に対して移動できるようになっている(図5及び図6参照)。
【0024】
光源部3は、細長円筒状をなし、両端には口金31が設けられていて、口金31の部分には、前記ソケット台7のソケットに接続される端子ピン32が突出して取付けられている。そして、光源部3は、その外郭が断面半円筒状の上下のカバー部材33、34によって形成されている。
【0025】
下側のカバー部材の内側には、半円筒状の放熱部材35が配設されている。放熱部材35は、アルミニウム等の金属製であり、半円筒状の開口部側には、複数個のLED8が実装された長尺の長方形状の基板36の裏面が密着するように載置され取付けられている。
【0026】
基板36は、絶縁材であるガラスエポキシ樹脂の平板からなり、表面側には銅箔で形成された配線パターンが施されている。また、適宜レジスト層が施されるようになっている。なお、基板36には、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたべース板の一面に絶縁層が積層された金属製のべース基板を適用することができる。
【0027】
LED8は、本実施形態では、表面実装型のLEDパッケージを用いており、概略的にはセラミックスで形成された本体に配設されたLEDチップと、このLEDチップを封止するエポキシ系樹脂やシリコーン樹脂等のモールド用の透光性樹脂とから構成されている。
【0028】
LEDチップは、青色光を発光する青色のLEDチップである。透光性樹脂には、蛍光体が混入されており、白色光を出射できるようにするために、青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。
【0029】
なお、LEDは、LEDチップを直接基板36に実装するようにしてもよく、また、砲弾型のLEDを実装するようにしてもよく、実装方式や形式は、格別限定されるものではない。ここで、LED8は、基板36の長手方向に沿って直線状に複数個実装されている。
【0030】
さらに、基板36の背面側、すなわち、放熱部材35の半円筒状の内側には、点灯回路37が設けられている。点灯回路37は、LED8を点灯制御するものであり、回路基板には、コンデンサやスイッチング素子としてのトランジスタ等の部品が実装されている。また、この点灯回路37からは、図示しないリード線が導出されており、LED8が実装された基板36や口金31の端子ピン32と電気的に接続されている。なお、この点灯回路37は、照明器具1のケース本体2内に設けるようにしてもよい。
【0031】
上側のカバー部材33は、透光性を有する材料で形成されており、半円筒状の開口部が下側のカバー部材34の開口部に取付けられて、LED8が実装された基板36の表面側を覆うようになっている。
【0032】
図1、図5及び図6に示すように、反射体5は、細長の長方形状であり、ケース本体2における光源部3と対向する内側壁に、長手方向に沿って設けられている。反射体5は、合成樹脂製であり、反射面4を形成する表面には、有彩色である赤色系の樹脂製のテープが接着されている。したがって、光源部3に対向して長手方向に赤色系の反射面4が配設されていることとなる。
【0033】
なお、反射面4の形成は、反射体5の表面に有彩色の塗装を施したり、また、素材としての反射体5を有彩色のものを用いたりしてもよい。さらに、反射面4の色は、赤色系に限らず、例えば、黄色系等にしてもよい。
【0034】
図5及び図6を参照して光源部3の移動機構について説明する。ケース本体2の両側に設けられたソケット台7は、ケース本体2の底壁に取付けられたレール部材71に横方向にスライド可能(図6、矢印で示す)に摩擦係合して嵌合している。また、ソケット台7の背面側には、操作摘み72が設けられている。一方、図5に示すように、ケース本体2の側壁には、操作摘み72がスライド操作可能なように横方向にスライド孔73が形成されている。したがって、光源部3をソケットに装着した状態で操作摘み72をスライド操作することにより、光源部3を反射面4に対して移動し、所定の位置に配置することができる。
【0035】
なお、ソケット台7をレール部材71に対し、スライドして移動するに際し、スナップアクションによって、複数の所定の位置に停止し、配置できるように構成してもよい。
【0036】
次に、本実施形態の作用を主として図5乃至図7を参照して説明する。前述したように、LEDは、その光色にばらつきが生じ、特に、同一照明空間内に同種の照明器具が複数台設置された場合、光色の違いが目立つという不具合が発生する。例えば、図7に示すxy色度図において、四角形の範囲Sの色度値を目標に照明器具を設計したとしても、a点〜f点に示すように各照明器具の色度値にばらつきが生じ、つまり、光色の違いが視覚的に分かるレベルでばらつきが生じてしまうという現象が発生する。
したがって、この問題を解消するため、目標範囲Sの領域から外れたc点〜f点の照明器具の色度値を目標範囲Sに入るように補正する必要がある。
そこで、この補正を光源部3を動かし、反射面5との相対的距離を調整して変更することによって行うものである。
【0037】
図5及び図6において、操作摘み72をスライド操作し、光源部3を移動操作して、反射面5との距離を調整する。つまり、光源部3から放射される光は、主として主照射開口部21からカバー部材9を透過して外部へ照射される上方向きの光である。この光は、光源部4からの白色系の直接光と、反射面4によって反射される赤みを帯びた白色系の反射光となる。これら光が混光された光色の状態で、例えば、壁面に照射される。
【0038】
したがって、照射光のうちの反射光の割合を変えることにより光色を調整して補正することが可能となる。光源部3を反射面4に近づけることにより、反射光の割合が増加し、光源部3を反射面4から遠ざけることにより、反射光の割合が減少する。
【0039】
この光源部3と反射面4との距離を調整することにより、光色の微妙な補正が可能となり、例えば、前記の目標範囲Sの領域から外れたc点〜f点の照明器具の色度値を目標範囲Sに入るように補正することができる。
なお、反射面4は、ケース本体2内に収容され、外観上、見え難くなっているので赤色系の色を帯びていても違和感を与えることはない。
さらに、以上のような光色の補正は、同一照明空間内に同種の照明器具が複数台設置された場合のみならず、必要に応じ適用できるものである。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、LED8を光源とする光源部3から放射される光の光色を補正して、光色のばらつきを低減できる照明器具1を提供することができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施形態に係る照明器具について図8を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0042】
本実施形態は、光源部3に対し、角度を変更するように反射面4を操作して調整するものである。反射体5は、一端側(上側)がケース本体2に軸支され回動可能となっている。また、所定の角度で停止できる機構を備えている。
したがって、反射体5(反射面4)を回動操作して、光源部3との角度を調整でき、これによって、反射光の割合を調整して光色の補正が可能となる。
以上のように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0043】
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。光源部と反射面との相対的距離又は相対的角度の変更は、光源部及び反射面のいずれを操作して変更してもよく、また、双方を操作して変更できるようにしてもよい。例えば、光源部を回動して反射面に対する照射角度を変更するようにしてもよい。要は、反射光の割合を調整して光色を補正できる構成であればよい。さらに、光源部に電力を供給してLEDを点灯制御する点灯回路は、照明器具のケース本体内に収容されるようにしてもよい。
【0044】
本発明の照明器具は、上記実施形態で説明したブラケットに適用するのが好適であるが、これに限定されることなく、屋内又は屋外で使用されるLEDを光源とする各種照明器具に適用することができる。さらに、配光の向きも格別限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
1・・・照明器具(ブラケット)、2・・・ケース本体、3・・・光源部、
4・・・反射面、5・・・反射体、8・・・LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と、
このケース本体内に収容されたLEDを光源とする光源部と、
この光源部と対向するように配設された有彩色の反射面とを備え、
前記光源部と反射面との相対的距離が変更可能であることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
ケース本体と、
このケース本体内に収容されたLEDを光源とする光源部と、
この光源部と対向するように配設された有彩色の反射面とを備え、
前記光源部と反射面との相対的角度が変更可能であることを特徴とする照明器具。
【請求項3】
前記相対的距離又は相対的角度の変更は、光源部を操作することにより行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記相対的距離又は相対的角度の変更は、反射面を操作することにより行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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