説明

照明器具

【課題】複数台を近接して配置し、リモコンや人感センサからの信号に基づいて照明をする場合に、個々の照明器具を制御して、省エネを図ることができる照明器具を提供する。
【解決手段】商用電源51に接続された電源端子21を介して供給された電力によって発光部22を駆動させる際に、受信部24が受けた器具本体20の外部からの非接触信号31の信号強度、および近接して設けられている他の照明器具53から信号線54を介して送られてくる信号の信号強度を記憶部25に記憶する。そして、信号処理部26が、信号強度に基づいて発光部22に供給すべき電力値を決定し、決定された電力値を信号端子23に接続された信号線54を介して他の照明器具53に送信するとともに、他の照明器具53からの電力値を受信する。電源制御部27は、決定された電力値に基づいて発光部22に電力を供給して発光部22を駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコンやセンサを用いて調光する照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、リモコンやセンサを用いて調光できる照明器具がある(例えば特許文献1参照)。
図6に基づいて、特許文献1に記載されている従来の照明器具について説明する。
図6に示すように、特許文献1に記載の照明器具100は、例えば天井に取り付けられ光源を有する発光部101と、照度センサ102と、ワイヤレスリモコン104と、発光部101を制御するコントローラ103を有している。
【0003】
コントローラ103は、自動制御モードにおいては、照度センサ102からのセンサ信号に基づいて、発光部101に調光制御信号を送ることで照射空間の照度が一定となるように制御する。すなわち、コントローラ103は、照度センサ102からのセンサ信号と、メモリにあらかじめ設定された目標レベルとを比較し、その比較結果に基づいてセンサ信号が少ない場合は、照明器具100を明るくするために、制御信号のレベルを明るくする。また、逆に比較結果からセンサ信号が大きい場合は、照明器具100を暗くするために、制御信号のレベルを暗くする。
【0004】
また、コントローラ103は、マニュアルモードにおいては、ワイヤレスリモコン104からの信号に基づいて、発光部101を制御する。すなわち、コントローラ103と照度計にて計測される照度データを送信する機能を設けたワイヤレスリモコン104を使用して、コントローラ103のゲイン調整時に、ワイヤレスリモコン104から照度データをコントローラ103に送信し、照度センサ102の出力電圧と対応させて照度の補正を行い目標照度となるように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−214179号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したような従来の照明器具100においては、リモコン104からの信号がある程度の照射角で照射されるため、近傍に複数の器具が設置されている場合、複数の照明器具100が同時に信号を受信してしまい、リモコン104を用いて個々の照明器具を制御するのが困難であるという問題があった。
また、人感センサを有する照明器具を複数台連結して、人感センサと連動させて連携して照明する場合、人の所在に関係なく複数台の照明器具が同じ明るさで点灯するため、電力を無駄に消費するという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、複数台を近接して配置し、リモコンや人感センサからの信号に基づいて照明をする場合に、個々の照明器具を制御して、省エネを図ることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明器具は、器具本体と、電力線が接続可能な電源端子と、電源端子から供給される電力により駆動される発光部と、他の照明器具の信号線が接続可能な信号端子と、器具本体の外部から非接触信号を受け入れる受信部と、受信部が受け入れた非接触信号の信号強度を記憶するとともに、他の照明器具から受信した他の信号強度を記憶する記憶部と、信号強度に基づいて、発光部に供給する電力値を決定するとともに、信号線を介して電力値を他の照明器具に送信し、かつ、他の照明器具の電力値を受信する信号処理部と、電力値に基づいて電源端子から発光部に供給される電力を制御する電源制御部と、を備えた構成を有している。
【0009】
また、本発明の照明器具は、信号処理部が、最新の信号強度と記憶部に記憶された信号強度と比較し、最新の信号強度が強いときに、非接触信号が器具本体に向けられていると判定する構成を有している。
【0010】
さらに、本発明の照明器具は、信号処理部が、最新の信号強度と記憶部に記憶された信号強度と比較し、最新の信号強度が強いときに、あらかじめ設定された動作を行う構成を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、近接して設けられている他の照明器具の明るさを考慮した明るさに設定でき、個々の照明器具を制御して、省エネを図ることができるという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具の構成を示すブロック図
【図2】(A)は本照明器具および他の照明器具の連携を示す概略構成図、(B)はDC電源を用いた場合を示す概略構成図
【図3】本照明器具の動作を示すフローチャート
【図4】本発明に係る第2実施形態の照明器具の構成を示すブロック図
【図5】本照明器具および他の照明器具の連携を示す概略構成図
【図6】従来の照明器具の使用状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明器具10はリモコン30によって操作できるものであり、例えば被取付部である天井等(図示省略)に取り付けられる器具本体20を有している。器具本体20の内部には、電源端子21、発光部22、信号端子23、受信部24、記憶部25、信号処理部26、電源制御部27等を有する。図2に示すように、照明器具10は、連携して駆動(点灯)するように他の照明器具53(ここでは、例えば2個の照明器具11、12)とともに設けられている。
【0014】
図1に示すように、電源端子21は、商用電源51の電力線52が接続されて電力の供給を受け、この電力を電源制御部27に供給する。交流(AC)の商用電源51が一般的であるが、直流(DC)の商用電源を用いてもよい。
発光部22は、電源制御部27から供給される電力により駆動される光源を有する。光源は、例えば蛍光灯やLED等を用いることができる。
【0015】
信号端子23は、連携して駆動するように設けられている他の照明器具53の信号線54が接続され、受けた信号を信号処理部26に伝達したり、信号処理部26からの信号を信号線54を介して他の照明器具53に送信する。なお、信号線54として、新たに配線したものを用いることができるが、既に配線されている電力線を用いたPLC(Power Line Communication)を採用することもできる。また、DC電源を用いた場合、図2(B)に示すように、電力と後述する信号をおなじ配線で送ることができる。
【0016】
受信部24は、器具本体20の外部にあるリモコン30から、非接触信号である赤外線信号31を受け入れて、信号処理部26に信号を伝達する。なお、非接触信号としては、この他、電波や超音波等を用いるものであってもよい。
記憶部25は、受信部24が受け入れた赤外線信号31の信号強度や、他の照明器具53から受信した他の信号強度を記憶する。また、照明器具10の設定内容を予め記憶しておく。記憶されているデータ等は、適宜信号処理部26に読み込まれる。
【0017】
信号処理部26は、受信した信号の強度(最新の信号強度)を求めて記憶部25に記憶するとともに、受信部24が受信した信号に基づいて記憶部25に記憶されている設定の処理を行い、発光部22に送るべき電力値を決定して、電源制御部27に送る。また、信号端子23に接続されている信号線54を介して、最新の信号強度および電力値を他の照明器具53へ送信する。また、信号処理部26は、最新の信号強度と記憶部に記憶された他の照明器具53の信号強度とを比較して、最新の信号強度が強いときは、リモコン30からの赤外線信号31がこの照明器具10に向けられていると判定する。
電源制御部27は、信号処理部26から送られてくる電力値に基づき、電源端子21から発光部22に供給される電力を制御して発光部22に所定の電力を供給する。
【0018】
次に、リモコン30による操作について説明する。
図2(A)に示すように、3台の照明器具10、11、12が連携して駆動するように設けられた場合を例として説明する。各照明器具10、11、12は、各々独自に前述した機能を有しており、親子の関係なく、同等に動作するので、ここでは照明器具10の動作について説明する。
【0019】
リモコン30により直接操作しようとする照明器具10がリモコン30に最も近く、照明器具11および照明器具12は順に遠くなる。従って、受信されるリモコン30からの赤外線信号31の信号強度は、照明器具10がもっとも強く、照明器具11および照明器具12は順に弱くなり、照明器具12が最も弱い。
【0020】
図3に示すように、受信部24がリモコン30からの赤外線信号31を受信する(ステップSA1)と、信号を信号処理部26に伝達する。信号処理部26では、送られてきた信号の強度(最新の信号強度)を求め(ステップSA2)、記憶部25に記憶する(ステップSA3)。得られた最新の信号強度は、信号線54を介して他の照明器具11、12に送信され、他の照明器具53において得られた信号強度は、信号線54を介して本照明器具10に伝達されて記憶部25に記憶される(ステップSA4)。
【0021】
信号処理部26は、得られた最新の信号強度と記憶部25に記憶された他の照明器具53の信号強度と比較し(ステップSA5)、最新の信号強度が強いときには、赤外線信号31がこの照明器具10に向けられていると判定して(ステップSA6)、記憶部25に記憶されている本照明器具10に対する設定に基づいて電力値を決定する(ステップSA7)。例えば、赤外線信号31が向けられていると判定された照明器具10の電力値を所定の最高値とし、2番目に信号強度が強い照明器具11の電力値を50%、最も信号強度が弱い照明器具12の電力値を25%に設定する。
【0022】
一方、ステップSA5において赤外線信号31がこの照明器具10に向けられていないと判定された場合(ステップSA8)には、予め設定されて記憶部25に記憶されているプログラムに従って、リモコン30の対象ではない照明器具としての電力値を決定する(ステップSA9)。例えば、照明器具11に赤外線信号31が向けられていると判定された場合、照明器具10の電力値を所定の最高値50%とし、照明器具11の電力値を100%、最も信号強度が弱い照明器具12の電力値を25%に設定する。
【0023】
以上、説明した第1実施形態の照明器具10によれば、商用電源51に接続された電源端子21を介して供給された電力によって発光部22を駆動させる際に、受信部24が受けた器具本体20の外部からの赤外線信号31の信号強度、および近接して設けられている他の照明器具11、12から信号線54を介して送られてくる信号の信号強度を記憶部25に記憶する。そして、信号処理部26が、信号強度に基づいて発光部22に供給すべき電力値を決定し、決定された電力値を電源制御部27に送るとともに信号端子23に接続された信号線54を介して他の照明器具11、12に送信する。また、他の照明器具11、12からの電力値を受信する。電源制御部27は、決定された電力値に基づいて発光部22に電力を供給して発光部22を駆動させるので、近接して設けられている他の照明器具11、12の明るさ考慮した明るさに設定することができ、個々の照明器具10、11、12を制御して、省エネを図ることができる。
【0024】
また、信号処理部26は、最新の信号強度と記憶部25に記憶された他の照明器具11、12の信号強度と比較し、最新の信号強度が強いときに、赤外線信号31がこの照明器具10に向けられていると判定するので、近接して複数の照明器具11、12が設けられている場合でも、動作させたい照明器具10をリモコンで容易に操作できる。
【0025】
さらに、信号処理部26が、最新の信号強度と記憶部25に記憶された他の照明器具11、12の信号強度と比較して、最新の信号強度が強いときに、あらかじめ設定された動作を行う。
【0026】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具10Bを図4に示す。なお、前述した第1実施形態にかかる照明器具10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図4に示すように、本発明に係る第2実施形態の照明器具10Bは、人感センサ40が人Mを検知することにより、所定の動作を行うものである。図5に示すように、照明器具10Bは、連携して駆動(点灯)するように他の照明器具53B(ここでは、例えば2個の照明器具11B、12B)とともに設けられている。
【0027】
人感センサ40は、器具本体20の下面に下向きに取り付けられており、受信部24Bに接続されている。すなわち、人Mが発する赤外線信号41を人感センサ40が検知して、受信部24Bに人Mの存在を伝達する。受信部24Bは、非接触信号である赤外線信号41を受け入れて、信号処理部26に信号を伝達する。
【0028】
記憶部25は、受信部24Bが人感センサ40から受け入れた赤外線信号41の信号強度や、他の照明器具53B(11B、12B)から受信した他の信号強度を記憶する。また、照明器具10Bの設定内容を予め記憶しておく。記憶されているデータ等は、適宜信号処理部26に読み込まれる。
【0029】
信号処理部26は、受信した信号の強度(最新の信号強度)を求めて記憶部25に記憶するとともに、発光部22に送るべき電力値を決定して、電源制御部27に送る。また、信号端子23に接続されている信号線54を介して、最新の信号強度および電力値を他の照明器具53へ送信する。さらに、信号処理部26は、最新の信号強度と記憶部に記憶された他の照明器具53の信号強度とを比較して、最新の信号強度が強いときは、本照明器具10Bが人Mに最も近い位置にあると判定する。
【0030】
次に、人Mを感知した際の照明器具10Bの動作について説明する。
図5に示すように、3台の照明器具10B、11B、12Bが連携して駆動するように設けられた場合を例として説明する。
この場合、照明器具10Bが最も人Mに近く、照明器具11Bおよび照明器具12Bは順に遠くなる。従って、受信される人Mからの赤外線信号41の信号強度は、照明器具10Bがもっとも強く、照明器具11Bおよび照明器具12Bは順に弱くなり、照明器具12Bが最も弱い。
【0031】
この結果に基づき、例えば、人Mに最も近い照明器具10Bを100%の電力値で点灯させて人Mの周囲を明るくし、他の照明器具11B、12Bを30%の電力値で点灯させるようにする。このとき、照明器具11B、12Bはまだ人Mを検知していなくても点灯させて、人Mの移動を容易にすることもできる。また、他の照明器具11B、12Bを、信号強度の大きさによって変えて点灯させることもできる。
なお、人Mの動きによって最も近い照明器具が移動し、この移動に伴って各照明器具の明るさも移動するので、常に人Mの周りを明るくすることができる。
【0032】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態の照明器具10Bによれば、人感センサ40が受けた赤外線信号41の信号強度(最新の信号強度)、および近接して設けられている他の照明器具11B、12Bから信号線54を介して送られてくる信号の信号強度を記憶部25に記憶する。そして、信号処理部26が、信号強度に基づいて発光部22に供給すべき電力値を決定し、決定された電力値を電源制御部27に送るとともに信号端子23に接続された信号線54を介して他の照明器具11B、12Bに送信する。また、他の照明器具11B、12Bからの電力値を受信する。電源制御部27は、決定された電力値に基づいて発光部22に電力を供給して発光部22を駆動させるので、近接して設けられている他の照明器具11B、12Bの明るさ考慮した明るさに設定することができ、個々の照明器具10B、11B、12Bを制御して、省エネを図ることができる。
【0033】
さらに、信号処理部26が、最新の信号強度と記憶部25に記憶された他の照明器具11B、12Bの信号強度と比較して、最新の信号強度が強いときに、あらかじめ設定された動作を行う。
【0034】
なお、本発明の照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 照明器具
11、12 他の照明器具
20 器具本体
21 電源端子
22 発光部
23 信号端子
24 受信部
25 記憶部
26 信号処理部
27 電源制御部
31、41 赤外線信号(非接触信号)
52 電力線
53 他の照明器具
54 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、
電力線が接続可能な電源端子と、
前記電源端子から供給される電力により駆動される発光部と、
他の照明器具の信号線が接続可能な信号端子と、
前記器具本体の外部から非接触信号を受け入れる受信部と、
前記受信部が受け入れた前記非接触信号の信号強度を記憶するとともに、前記他の照明器具から受信した他の信号強度を記憶する記憶部と、
前記信号強度に基づいて、前記発光部に供給する電力値を決定するとともに、前記信号線を介して前記電力値を前記他の照明器具に送信し、かつ、前記他の照明器具の電力値を受信する信号処理部と、
前記電力値に基づいて前記電源端子から前記発光部に供給される電力を制御する電源制御部と、を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具であって、
前記信号処理部が、最新の信号強度と前記記憶部に記憶された信号強度と比較し、
前記最新の信号強度が強いときに、前記非接触信号が前記器具本体に向けられていると判定する照明器具。
【請求項3】
請求項1に記載の照明器具であって、
前記信号処理部が、最新の信号強度と前記記憶部に記憶された信号強度と比較し、
前記最新の信号強度が強いときに、あらかじめ設定された動作を行う照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175782(P2011−175782A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37755(P2010−37755)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】