説明

照明器具

【課題】使用者が外観の変更を容易に行うことができる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10では、上ろくろ13及び下ろくろ15が各上小骨14、親骨17及び下小骨14を介して互いに接続し、それらの各接続部が回動可能である。また、下ろくろ15と重り19が、上ろくろ13において摺動可能に折り返して両者を連結するワイヤによってバランスが取れるように設定されている。これにより、使用者が下ろくろ15又は重り19を上下させることにより下ろくろ15の位置(高さ)を変化させると、親骨17と下小骨16の間の角度が変化し、シェードの外観が変化する。また、使用者は下ろくろ15を任意の高さで静止させることができるため、変化したシェードの形状は、使用者が下ろくろ15や重り19から手を離してもそのまま維持される。これにより、使用者はシェードの形状を簡単に変化させて楽しむことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内等を照明する照明器具に関し、特にその傘(シェード)の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、室内の照明器具に関して、ペンダント型やフロアスタンド型の照明器具のシェードを折り畳み可能な構造とすることで収納や取り扱いを容易にしようとする考案は、すでに種々なされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、リング状をした上下ろくろのそれぞれに複数の支骨を放射状かつ開閉自在に取り付け、各支骨を主骨の適宜な位置に回転自在に枢着し、主骨の外側に布地を被着して成る折り畳み自在なランプシェードが開示されている。また、特許文献2には、外被の張設支杆を中央の支持体を中心に集束および散開可能に構成したことを特徴とする折り畳み自在なシェードが開示されている。
【0004】
また、本願発明者は、長年和傘の製造に携わってきた経験に基づき、和傘構造を用いた照明器具を提案している(特許文献3参照)。この照明器具はろくろの中心軸に対して回転対称に放射状に設けられた多数の小骨と、各小骨の先端に枢着された親骨とを備えており、全親骨の周囲に、その周囲長が、小骨がろくろ中心軸に対して垂直になった時の全小骨の先端の周囲長よりも小さい和紙等から成るシェード部材が張設されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59-28904号公報
【特許文献2】実開昭48-17986号公報
【特許文献3】特許第4392012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
照明器具は室内を明るくする機能性だけでなくデザイン性も要求されるものであり、また、そのときの状況に応じて使用者により外観が変更されることもある。例えば光源を覆うシェードを、季節等に応じて適したものに取り換えたり、パーティやイベント等の場面に応じて周囲の雰囲気に応じたものに取り換えたりという使い方がされることもある。
【0007】
しかし、上記従来の照明器具はいずれも、外観を変更するためにはシェードを取り外して別のシェードに取り換える必要があり、その作業に手間が掛かる。そのため、使用者がその時々の状況に応じて外観を簡単に変更して楽しむような使い方には適さない。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用者が外観の変更を容易に行うことができる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係る照明器具は、
a)所定の支持具に支持された上ろくろと、
b)前記上ろくろの中心軸に対して回転対称に設けられた多数の小骨であって、一端が該上ろくろに固定され、他端が該上ろくろから放射状に広がる上小骨と、
c)前記上ろくろからワイヤで所定の複数の位置又は任意の位置で停止可能なように吊り下げられた下ろくろと、
d)前記下ろくろの中心軸に対して回転対称に、各上小骨に対して1:1に設けられた多数の小骨であって、各小骨の一端は該下ろくろに回動可能に固定され、他端は該下ろくろ中心軸を含む面内で回動可能である下小骨と、
e)各上小骨及び下小骨に対して1:1に設けられた多数の親骨であって、上側において上小骨の前記他端に枢着され、下側において下小骨の前記他端に枢着された親骨と
を備えることを特徴とする。
【0010】
上記支持具としては、天井から吊り下げるペンダント型のものであってもよいし、床上に置くフロアスタンド型のものであってもよい。
上ろくろに関して述べた「放射状に」とは、必ずしも上ろくろの中心軸に対して90゜に(水平に)広がる場合ばかりではなく、鋭角/鈍角で(上方/下方に)放射状に広がる場合も含む。
【0011】
下ろくろを上ろくろからワイヤで所定の複数の位置又は任意の位置で停止可能なように吊り下げる方法としては、いくつか考えることができる。
一つは、上ろくろにおいて摺動可能に折り返すワイヤで下ろくろと重りを連結し、重りの重量を下ろくろとバランスを取るように調整しておくという方法である。この方法による照明器具は、
a)所定の支持具に支持された上ろくろと、
b)前記上ろくろの中心軸に対して回転対称に設けられた多数の小骨であって、一端が該上ろくろに固定され、他端が該上ろくろから放射状に広がる上小骨と、
c)前記上ろくろの下方に配置された下ろくろと、
d)前記下ろくろの中心軸に対して回転対称に、各上小骨に対して1:1に設けられた多数の小骨であって、各小骨の一端は該下ろくろに回動可能に固定され、他端は該下ろくろ中心軸を含む面内で回動可能である下小骨と、
e)各上小骨及び下小骨に対して1:1に設けられた多数の親骨であって、上側において上小骨の前記他端に枢着され、下側において下小骨の前記他端に枢着された親骨と、
f)前記上ろくろの下方に配置され、前記上ろくろにおいて摺動可能に折り返すワイヤにより前記下ろくろと連結され、前記下ろくろとバランスを取るように重量が調整された重りと
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、ワイヤと下ろくろの間の摩擦を利用することもできる。具体的には、下ろくろにワイヤを通す挿通孔を設け、挿通孔とワイヤの間に下ろくろ(及びそれに接続された下小骨等の一部の荷重)を保持する程度の摩擦が生じるようにする。この方法による照明器具は、
a)所定の支持具に支持された上ろくろと、
b)前記上ろくろの中心軸に対して回転対称に設けられた多数の小骨であって、一端が該上ろくろに固定され、他端が該上ろくろから放射状に広がる上小骨と、
c)前記上ろくろから吊り下げられたワイヤが挿通される挿通孔を有する下ろくろであって、該ワイヤと該挿通孔の間に該下ろくろを保持する程度の摩擦が生じるように設定されている下ろくろと、
d)前記下ろくろの中心軸に対して回転対称に、各上小骨に対して1:1に設けられた多数の小骨であって、各小骨の一端は該下ろくろに回動可能に固定され、他端は該下ろくろ中心軸を含む面内で回動可能である下小骨と、
e)各上小骨及び下小骨に対して1:1に設けられた多数の親骨であって、上側において上小骨の前記他端に枢着され、下側において下小骨の前記他端に枢着された親骨と
を備えることを特徴とする。
【0013】
更に別の方法として、下ろくろにワイヤストッパを設けるという方法がある。この方法による照明器具は、
a)所定の支持具に支持された上ろくろと、
b)前記上ろくろの中心軸に対して回転対称に設けられた多数の小骨であって、一端が該上ろくろに固定され、他端が該上ろくろから放射状に広がる上小骨と、
c)前記上ろくろから吊り下げられたワイヤが挿通される挿通孔と、該挿通孔において該ワイヤを保持するワイヤストッパを備える下ろくろと、
d)前記下ろくろの中心軸に対して回転対称に、各上小骨に対して1:1に設けられた多数の小骨であって、各小骨の一端は該下ろくろに回動可能に固定され、他端は該下ろくろ中心軸を含む面内で回動可能である下小骨と、
e)各上小骨及び下小骨に対して1:1に設けられた多数の親骨であって、上側において上小骨の前記他端に枢着され、下側において下小骨の前記他端に枢着された親骨と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る照明器具では、上ろくろ及び下ろくろが各上小骨、親骨及び下小骨を介して互いに接続している。また、親骨と上下小骨の各接続部及び下小骨と下ろくろの接続部が回動可能である。これらにより、使用者が下ろくろを上下させてその位置(高さ)を変化させると、親骨と下小骨の間の角度が変化し、シェードの外観が変化する。また、上ろくろからワイヤで吊り下げられた下ろくろは複数の位置(高さ)又は任意の位置(高さ)で停止可能であるため、変化したシェードの形状は、使用者が下ろくろから手を離してもそのまま維持される。以上により、使用者はシェードの形状を簡単に変化させて楽しむことができる。更に、シェードの形状を変化させることにより、光源から発せられる光により室内の床面や壁面に投影されるシェードの陰影の形態も変化するため、これにより室内の雰囲気を変えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る照明器具を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【図2】上ろくろを説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図、(c)は(a)のC−C矢視断面図、(d)は(a)のD−D矢視断面図である。
【図3】実施例1に係る照明器具の外観を変化させた状態を示す断面図。
【図4】実施例1に係る照明器具の下ろくろを上ろくろに近づけた状態を示す断面図。
【図5】本発明の実施例2に係る照明器具を説明する図であり、(a)はシェードを開いたときの断面図であり、(b)はシェードを閉じたときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例である照明器具について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
本実施例の照明器具10は、図1に示すように、室内の天井等から吊り下げられるペンダント型のものであり、電球11が取り付けられるソケット部12の周囲にシェードが設けられている。シェードは、ソケット部12に固定された上ろくろ13と、上ろくろ13の中心軸に対して回転対称に設けられた多数の上小骨14と、上ろくろ13の下方に配置された下ろくろ15と、下ろくろ15の中心軸に対して回転対称に、各上小骨14と同じ位置に、各上小骨に対して1:1に設けられた多数の下小骨16と、対応する各上小骨14と下小骨16を接続する親骨17とを有する。
【0018】
上小骨14は一端が上ろくろ13に回動可能に固定されており、他端が親骨17の上側に枢着されている。下小骨16は一端が下ろくろ15に回動可能に固定されており、他端が親骨17の下側に枢着されている。上小骨14及び下小骨16の上記各他端は、上下ろくろの中心軸を含む面内で回動可能である。上小骨14、下小骨16、親骨17は、スチール等の金属製のものの他、樹脂製や竹製、木製等のものであってもよい。
【0019】
図2に示すように、上ろくろ13の上面の周縁には上小骨14の回動を許す溝131が設けられており、上小骨14の端部が溝131の中で回動可能に固定されている。上小骨14の下方向への回動は溝131の底面によって規制される。
【0020】
本実施例では、上小骨14の端部を溝131の中で回動可能に固定するために、各上小骨14の端部に設けられた貫通孔に順に通された1本のワイヤと、各溝の間に挟まれた壁部132に設けられた、上ろくろ13の外周側から中心側に向かって凹む凹部133(図2(c)参照)を用いる。固定の際には、まず上記ワイヤにより繋がった各上小骨14の端部を各溝131に嵌め、次にワイヤの両端を引いてワイヤが形成する輪の径を小さくする。これにより、ワイヤが各凹部133に嵌まり、上小骨14の端部が溝131の中で回動可能に固定される。ワイヤの両端はかしめ金具や捻って縛ること等により固定する。
【0021】
下ろくろ15についても上ろくろ13と同様に、その下面の周縁に下小骨16の回動を許す溝が設けられており、下小骨16の端部が溝の中で回動可能に固定されている。なお、上ろくろ13と下ろくろ15を全く同じ形状にし、上ろくろ13では溝を上に向け、下ろくろ15では溝を下に向けて使用してもよい。上ろくろ13及び下ろくろ15は、樹脂製の他、木製や金属製等であってもよい。
【0022】
下ろくろ15の下方には、重り19が配置されている。重り19は、上ろくろ13において摺動可能に折り返すワイヤ20により下ろくろ15と連結されている。ワイヤ20は本実施例では3本であるが、本発明においてはその本数は任意であり、1本でもよい。ただし、下ろくろ15の姿勢を安定させ、操作をスムーズにするためには2本以上とすることが望ましく、重り19の姿勢も安定させるためには3本以上が望ましい。図2に示すように、上ろくろ13には上下に貫く貫通孔134が対になってワイヤの本数と同じ対の数だけ設けられており、ワイヤ20は、重り19から、上ろくろ13の一つの貫通孔134を通って上ろくろ13の上面側へ抜け、そこからそれと対になる貫通孔134を通って上ろくろ13の下面側へ抜けて下ろくろ15に達する。上ろくろ13の上面の、対となっている貫通孔134の間の部分には、凸状のまくら135が設けられている。このまくら135により、ワイヤ20は上ろくろ13の上面側において貫通孔134の縁で小さな曲率半径(大きな曲率)で屈曲することなく、大きく湾曲して折り返すことができるため、ワイヤ20が滑らかに移動することができる。
【0023】
重り19の重量は、ワイヤ20により上ろくろ13を介して下ろくろ15と接続された状態で、下ろくろ15の重量(実際には、下ろくろ15とそれに接続された下小骨等の周辺を含むシステムの重量)とバランスを取るように調整されている。ここで、ワイヤ20と上ろくろ13の貫通孔134及びまくら135の間には摩擦があるため、その摩擦力により、重り19と下ろくろ15の重量バランスには或る程度の許容範囲が存在し、両者の重量差がその許容範囲内であれば、両者(特に下ろくろ15)は任意の位置(高さ)で静止させることができる。
【0024】
以上の構成により本実施例の照明器具10では、使用者が重り19又は下ろくろ15を上下させることにより、下ろくろ15の位置(高さ)が変化し、それにより下小骨16と親骨17の間の角度が変化して、シェードの外観が変化する。例えば、下ろくろ15が図1(b)に示す高さにあるときには下小骨16は中心軸からほぼ90°に近い角度で下ろくろ15から広がり、シェードは下部が広がった形状を成すが、使用者が重り19を図3に示す高さまで引き下げて下ろくろ15を上方に移動させると、下小骨16は下方にすぼまり、シェードは下部が狭まった形状を成す。
【0025】
ここで、下ろくろ15は任意の高さで静止させることができるため、変化したシェードの形状は、使用者が重り19や下ろくろ15から手を離してもそのまま維持される。例えば、下ろくろ15が図1、3に示す高さにあっても、それらの中間の高さにあっても、シェードの形状は維持される。
【0026】
以上により、使用者はシェードの形状を簡単に変化させて楽しむことができる。また、シェードの形状を変化させることにより、光源から発せられる光により室内の床面や壁面に投影されるシェードの陰影の形態も変化するため、これにより室内の雰囲気を変えることもできる。
【0027】
図3に示す状態から更に下ろくろ15を上ろくろ13に近づけると、図4に示すように上小骨14が上方に回動し、親骨17が上下のろくろに近接する。また、親骨17をすぼめても同様である。これにより、シェードを細い筒状にすることができる。このようにコンパクトにすることにより、本実施例に係る照明器具10は、保管や輸送に便利なものとなり、それら(保管・輸送)のコストを抑えることができる。
【0028】
本実施例の照明器具10では、各親骨17には親骨カバー18を取り付けている。このような構成であれば、異なる形状や色の親骨カバー18を親骨17に取り付けることができ、照明器具10の外観デザインを大きく変更することがでる。また、多種多様の親骨カバー18を用意しておくことにより、照明器具10のバリエーションを増やすことができる。また、各小骨の枢着部を隠すことができるため、デザイン性が向上する。なお、親骨カバー18の形状や親骨17への固定方法としては様々なものを用いることができるが、本実施例では断面がコの字型のプラスチック製のカバーを用い、その弾性により内溝の中に親骨17を嵌め込んで固定している。その他にも例えば、上下両端の親骨17側に係合爪を有するカバーを用い、各係合爪を親骨17の端部に係合させて固定してもよい。
【0029】
上記実施例では、下ろくろ15の下面に各下小骨16に対応する溝が下方に開口するように設けられており、この溝の底面(天井面)がストッパとして作用することにより下小骨16の上方への回動が制限されているが、下ろくろ15の構成をこのようなストッパを設けないものにしてもよい。ストッパがない場合、下小骨16が図1(b)に示す状態よりも下ろくろ15に対して上方に回動すると、下ろくろ15が図1(b)に示す位置よりも下方に移動し、親骨18により構成されるシェードの下に、下小骨16により構成される逆円錐台状の第2のシェードが形成される。これにより、照明器具10の外観を図1、3に示したものとは異なるものにすることができる。なおこの場合、重り19を下ろくろ15中央の開口を通過可能なものにしておけば、照明器具10の外観を、図3に示したものから上記第2のシェードが形成されたものまで連続的に変化させることができ、シェードの取り得る形態の幅が広がる。
【実施例2】
【0030】
本発明に係る照明器具の第2の実施例を図5に示す。本実施例の照明器具30はシェードの骨格構造は実施例1の照明器具10と同じであるが、ワイヤ31に関する構造に違いがある。本実施例のワイヤ31は上ろくろ33から3本吊り下げられており、各中間部が下ろくろ35に設けられた挿通孔351を通り、各下端が碇部材39に固定されている。本実施例のワイヤ31や碇部材39は実施例1のワイヤ20や重り19とは異なり、上下するものではない。なお、ワイヤ31は2本又は4本以上でもよい。
【0031】
挿通孔351は、図5(b)に示すように、下ろくろ35がワイヤ31の中間位置にあるときに、ワイヤ31の両端の固定点P、Qを結ぶ直線上からずれた位置にある。これにより、下ろくろ35がワイヤ31の中間位置にあるときには、ワイヤ31が下ろくろ35の位置で屈曲し、ワイヤ31と挿通孔351の間に摩擦が生じる。このとき、挿通孔351の径やその開口の形状等を変更したり、ワイヤ31の両端の固定点や挿通孔351の位置、ワイヤ31の長さ等によって上記屈曲の程度を変更したりして、下ろくろ35がワイヤ31の中間位置で静止するように上記摩擦を設定する。
【0032】
本実施例の照明器具30は実施例1の照明器具10と同様に、使用者が下ろくろ35を上下させることにより、下小骨36と親骨37の間の角度が変化して、シェードの外観が変化する。また、下ろくろ35は、ワイヤ31と挿通孔351の間に生じる摩擦により任意の高さで静止させることができ、使用者が下ろくろ35から手を離してもシェードの形状を維持することができる。
【0033】
挿通孔351に環状のゴム部材を挿入し、その中にワイヤ31を通してもよい。これにより、ワイヤ31と挿通孔351の間に大きな摩擦を生じさせることができる。このとき、ゴム部材の径や材質等を適切に設定して、下ろくろ35をワイヤ31の中間位置で静止させる程度の摩擦を生じさせてもよい。これにより、碇部材39がなくても下ろくろ35を任意の位置(高さ)で静止させることができる。なお、この場合にはワイヤ31は1本でもよいが、下ろくろ35の姿勢を安定させるためには複数本とすることが望ましい。
【0034】
また、下ろくろ35にクリップ等のワイヤストッパを設けてもよい。これにより、所定の複数の位置(高さ)又は任意の位置(高さ)でワイヤ31を挟持することができ、下ろくろ35を任意の位置(高さ)で静止させることができる。なお、ワイヤストッパは各ワイヤ31に取り付けてもよいが、使い勝手を考慮すると、複数のワイヤ31のうちの1本のみに取り付けることが望ましい。
【0035】
上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜変形や修正を行えることは明らかである。例えば、上小骨と上ろくろの間にも摩擦を付与し、上小骨も(上ろくろの溝の底面に接するときの角度よりも上方の)任意の角度位置で静止できるようにしてもよい。また、上小骨と上ろくろの接続部にクリックストップ機構を用い、これにより上小骨を所定の複数の角度位置で静止できるようにしてもよい。これらにより、シェード上部をすぼめた状態で上記のように下ろくろ35を上下させ、シェードの形状を様々に変化させることができる。
【0036】
上記実施例では各親骨の周囲には何も張設していないが、そこに透明又は半透明のシェード部材を張設してもよい。また、モータ等を用いて、下ろくろに固定されたワイヤを巻き取ることにより、下ろくろを上下させてもよい。本発明に係る照明器具をフロアスタンド型等の他の照明器具に適用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10、30…照明器具
11…電球
12…ソケット部
13…上ろくろ
131…溝
132…壁部
133…凹部
134…貫通孔
135…湾曲部
14…上小骨
15…下ろくろ
16、36…下小骨
17、37…親骨
18…親骨カバー
20、31…ワイヤ
351…挿通孔
39…碇部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)所定の支持具に支持された上ろくろと、
b)前記上ろくろの中心軸に対して回転対称に設けられた多数の小骨であって、一端が該上ろくろに固定され、他端が該上ろくろから放射状に広がる上小骨と、
c)前記上ろくろからワイヤで所定の複数の位置又は任意の位置で停止可能なように吊り下げられた下ろくろと、
d)前記下ろくろの中心軸に対して回転対称に、各上小骨に対して1:1に設けられた多数の小骨であって、各小骨の一端は該下ろくろに回動可能に固定され、他端は該下ろくろ中心軸を含む面内で回動可能である下小骨と、
e)各上小骨及び下小骨に対して1:1に設けられた多数の親骨であって、上側において上小骨の前記他端に枢着され、下側において下小骨の前記他端に枢着された親骨と
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
a)所定の支持具に支持された上ろくろと、
b)前記上ろくろの中心軸に対して回転対称に設けられた多数の小骨であって、一端が該上ろくろに固定され、他端が該上ろくろから放射状に広がる上小骨と、
c)前記上ろくろの下方に配置された下ろくろと、
d)前記下ろくろの中心軸に対して回転対称に、各上小骨に対して1:1に設けられた多数の小骨であって、各小骨の一端は該下ろくろに回動可能に固定され、他端は該下ろくろ中心軸を含む面内で回動可能である下小骨と、
e)各上小骨及び下小骨に対して1:1に設けられた多数の親骨であって、上側において上小骨の前記他端に枢着され、下側において下小骨の前記他端に枢着された親骨と、
f)前記上ろくろの下方に配置され、前記上ろくろにおいて摺動可能に折り返すワイヤにより前記下ろくろと連結され、前記下ろくろとバランスを取るように重量が調整された重りと
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項3】
前記上ろくろが、前記ワイヤの折り返し部にまくらを有するものであることを特徴とする請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
a)所定の支持具に支持された上ろくろと、
b)前記上ろくろの中心軸に対して回転対称に設けられた多数の小骨であって、一端が該上ろくろに固定され、他端が該上ろくろから放射状に広がる上小骨と、
c)前記上ろくろから吊り下げられたワイヤが挿通される挿通孔を有する下ろくろであって、該ワイヤと該挿通孔の間に該下ろくろを保持する程度の摩擦が生じるように設定されている下ろくろと、
d)前記下ろくろの中心軸に対して回転対称に、各上小骨に対して1:1に設けられた多数の小骨であって、各小骨の一端は該下ろくろに回動可能に固定され、他端は該下ろくろ中心軸を含む面内で回動可能である下小骨と、
e)各上小骨及び下小骨に対して1:1に設けられた多数の親骨であって、上側において上小骨の前記他端に枢着され、下側において下小骨の前記他端に枢着された親骨と
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項5】
前記ワイヤが複数であり、
各ワイヤの下部に固定された碇部材を備え、
各ワイヤを挿通する前記挿通孔が、前記下ろくろが各ワイヤの中間位置にあるときに、各ワイヤの上下の固定点を結ぶ直線上からずれた位置にあることを特徴とする請求項4に記載の照明器具。
【請求項6】
a)所定の支持具に支持された上ろくろと、
b)前記上ろくろの中心軸に対して回転対称に設けられた多数の小骨であって、一端が該上ろくろに固定され、他端が該上ろくろから放射状に広がる上小骨と、
c)前記上ろくろから吊り下げられたワイヤが挿通される挿通孔と、該挿通孔において該ワイヤを保持するワイヤストッパを備える下ろくろと、
d)前記下ろくろの中心軸に対して回転対称に、各上小骨に対して1:1に設けられた多数の小骨であって、各小骨の一端は該下ろくろに回動可能に固定され、他端は該下ろくろ中心軸を含む面内で回動可能である下小骨と、
e)各上小骨及び下小骨に対して1:1に設けられた多数の親骨であって、上側において上小骨の前記他端に枢着され、下側において下小骨の前記他端に枢着された親骨と
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項7】
前記上小骨が前記上ろくろの中心軸を含む面内で回動可能であり、所定の角度又は任意の角度で停止するようになっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−216191(P2011−216191A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80232(P2010−80232)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(506289169)株式会社日吉屋 (2)