説明

照明器具

【課題】複数個のLEDを備えた発光体を備えカバーの周壁と端壁との輝度差を抑制した照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具1は、矩形箱状の本体2と、本体2の一面に沿って固定され可視光を放射する細長形状の発光体3と、筒状に形成され発光体3を覆う透光性のカバー4とを備える。カバー4は、軸線に沿う周壁41と、軸線の沿う方向の両端にそれぞれ軸線と直交する端壁42とを一体に備える。発光体3は、カバー4の周壁41に沿う主配置面311と、カバー4の端壁42に臨む副配置面313とを備える取付台31と、主配置面311および副配置面313に配置される複数個のLED(発光ダイオード)32と備える。副配置面313に配置されたLED32は、カバー4の端壁42および周壁41に跨る領域に光を放射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を放射する発光体を筒状の外郭内に備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、直管形蛍光ランプを備える照明器具が提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された照明器具の蛍光ランプは、一対の口金が、外郭である円筒状ガラス管の端面ではなく、円筒状ガラス管の側面に設けられている。このように、特許文献1に記載された照明器具は、口金を円筒状ガラス管の側面部分に備えることにより、円筒状ガラス管の端面方向へも光を放射することが可能になっている。
【0003】
一方、複数のLED(発光ダイオード)を備える発光体を外郭である筒状のカバー内に配置した照明器具が提供されている。この種の照明器具10として、図6に示すように、矩形箱状の本体2と、本体2に取り付けられ光を放射する板状の発光体30と、円筒状に形成され発光体30を覆う透光性のカバー4とを備えるものが提案されている。
【0004】
発光体30は、矩形板状の取付台33と、取付台33に配置される複数個の板状のLED32とにより構成される。LED32は、取付台33の厚み方向に交差する一面(配置面331)に、取付台33の長手方向に沿って並べて配置されている。
【0005】
取付台33は、長手方向を本体20の長手方向と合わせて、配置面331の反対面である固定面332を本体2の厚み方向に直交する一面である発光体取付面211に密着させて取り付けられている。
【0006】
また、カバー4は、軸線に沿う周壁41と、軸線に沿う方向において周壁41の両端にそれぞれ設けた端壁42とを一体に備える。端壁42はカバー4の軸線に直交する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−115627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6に示した照明器具10にあっては、LED32は、一面を発光面として当該発光面の法線方向に指向性を有している。したがって、LED32は、本体2の発光体取付面211と直交する方向に向って光を放射していることになる。そのため、この照明器具10を用いた場合、カバー4の両端壁42に向っては光があまり照射されない。また、端壁42に向かう光であってもLED32や取付台33に遮られ、両端壁42には影が生じる。その結果、端壁42は、周壁41に比べて輝度が小さくなる。そのため、図7に示すように、照明器具10をカバー4の端壁42を当接させて設置した場合、周壁41において端壁42の付近が他の箇所に比べて輝度が小さくなる。すなわち、照明器具10を複数台並べて設置した場合、照明器具10はカバー4の端壁42の方向へ光をほとんど放射しないため、カバー4の端壁42の当接箇所付近(端壁42の付近のカバー周壁41)が他の箇所に比べて配光72の範囲が狭くなっている。
【0009】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであって、複数個のLEDを備えた発光体を備えカバーの周壁と端壁との輝度差を抑制した照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の照明器具は、細長形状の発光体と、発光体を固定する本体と、筒状に形成され発光体を覆う透光性のカバーとを備え、発光体は、本体の一面に沿って固定される取付台と、取付台の表面に配置される複数個のLEDとを備え、カバーは、軸線に沿う周壁と、軸線に沿う方向の両端にそれぞれ軸線と直交する端壁とを一体に備え、取付台は、カバーの軸線に沿って延長された主配置面と、カバーの軸線を含み本体の前記一面に直交する面内において主配置面の両端に位置するとともに主配置面に交差する方向に延長された副配置面とを備え、一部のLEDは主配置面に配置され、残りのLEDは副配置面に配置されることを特徴とする。
【0011】
この照明器具において、副配置面は、本体から離れるに従ってカバーの端壁との距離を広げる向きに傾斜し、副配置面に配置されたLEDが、カバーの端壁と周壁とに跨る領域に光を放射することが望ましい。
【0012】
この照明器具において、取付台の主配置面は、カバーの軸線に直交する断面において、本体から離れる向きに凸となるように配置された複数の分割配置面を備え、分割配置面それぞれに複数個ずつのLEDが配置されることがより望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、カバーの周壁と端壁との輝度差を抑制することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1を示す一部破断した断面図である。
【図2】同上の一部省略した斜視図である。
【図3】同上の使用例における配光を示す図である。
【図4】同上の設置例を示す断面図である。
【図5】(a)(b)はそれぞれ実施形態2の照明器具を示す要部断面図である。
【図6】従来例の照明器具の要部断面図である。
【図7】同上の使用例における配光を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
本実施形態の照明器具1は、図1および図2に示すように、四角筒状の本体2と、本体2の一面に沿って固定され可視光を放射する細長形状の発光体3と、発光体3を覆う透光性のカバー4とを備える。
【0016】
図2に示すように、本体2は、本体2の軸線に沿う方向が他方向よりも長い本体ベース部21と、軸線に直交する本体端壁22とを備える。本体ベース部21の一つの外側面には、発光体3が取り付けられる。以下では、本体ベース部21において発光体3を取り付けた一面を発光体取付面211という。本体2において、発光体取付面211と対向する面は開口していてもよい。
【0017】
発光体3は、矩形板状の取付台31と、取付台31の表面に配置される複数個のLED32とにより構成される。LED(発光ダイオード)32は、取付台31の長手方向に沿って並べて配置される。本実施形態で用いるLED32は、板状であって、厚み方向の一面を発光面とする。発光面の法線方向に指向性を有する。以下、LED32の発光面をLED32の「正面」とする。
【0018】
図2に示すように、カバー4は、円筒状に形成され、軸線に沿う周壁41と、軸線の沿う方向の両端にそれぞれ軸線と直交する端壁42とを一体に備える。本実施形態においては、拡散透過性を有しかつ内部が見えない乳白色のカバー4を用いる。
【0019】
取付台31は、図1に示すように、長手方向の両端部を除いて一定の厚みを有している。取付台31において、厚み方向の一面は、本体ベース21の発光体取付面211に密着して取り付けられる固定面312になる。また、取付部31における厚み方向の他面は、長手方向の中間部に主配置面311を有し、長手方向の両端部に副配置面313を有する。副配置面313は、主配置面311から、固定面312に向かって取付台31の長手方向へ広がる向きに傾斜する。
【0020】
取付台31の主配置面311には、複数個のLED32が背面を密着させて配置される。以下、主配置面311に配置されるLED32を「第1のLED321」という。第1のLED321は、正面が主配置面311に沿うことになる。取付台31においては、複数個の第1のLED321は、主配置面311に取付台31の長手方向に間隔を空けて配置される(図1参照)。
【0021】
また、副配置面313には、1個のLED32が背面を密着させて配置される。以下、副配置面313に配置されるLED32を「第2のLED322」という。第2のLED322の正面は、副配置面313に沿うことになる。
【0022】
本体2に取付台31を取り付けた状態では、第1のLED321は、本体2の発光体取付面211に直交する方向(図1においては、上方向)に光を放射する。また、第2のLED322は、第1のLED321の正面に対して本体2の長手方向において外向きに光を放射する。すなわち、第2のLED322は、カバー4の端壁42と周壁41とに跨る領域に光を放射する。これにより、本実施形態の照明器具1は、カバー4の端壁42の輝度を高めることができる。
【0023】
本実施形態においては、本体2の長手方向の長さとカバー4の軸線に沿う方向の長さとは略等しく、本体2の本体端壁22とカバー4の端壁42とは略面一になっている(図2参照)。そのため、図3に示すように、カバー4の端壁42を当接させて照明器具1を複数台並べて設置することが可能である。
【0024】
図3は、本実施形態の照明器具1の取付台3を含む断面であって、2個の照明器具1の端壁42を互いに当接させて並べて設置したときに照明器具1から放射される光の光度分布(配光71)を示している。本実施形態の照明器具1においては、第2のLED322からの光により、カバー4の端壁42の当接箇所付近(端壁42の付近の周壁41)とその他の箇所とにおいて配光71の幅はほとんど変わらない。そのため、照明器具1を複数台並べて設置した場合であっても、ムラの少ない配光71を得ることが可能となる。このような照明器具1をカバー4の端壁42を当接させて複数台並べて廊下の天井面などに設置した場合、光の切れ目のない連続した照明が可能である。また、部屋などのある縁に沿って照明器具1を複数台並べて設置し、切れ目なく全体を光らせることが可能である。
【0025】
なお、本実施形態において副配置面313に第2のLED322をは1個ずつ配置しているが、第2のLED322の光出力や指向性、副配置面313の長さや傾きなどに応じて、複数個の第2のLED322を配置してもよい。
【0026】
また、カバー4の軸線に沿う方向の長さは、照明器具1を並べて設置できればよく、本体2よりもカバー4が長くてもよい。カバー4は、拡散透過性を有するものに限らず、透光性を有していれば、透明や色付きのものでもよく、プリズムを形成したものでもよい。また、第1のLED321は、発光体取付面211の反対方向に均一な光を放射することができれば、図1のように取付台31の長手方向に等間隔にしなくてもよく、どのような配置であってもよい。
(実施形態2)
実施形態1の照明器具1は、複数個の第1のLED321が、本体2の発光体取付面211に直交する方向に正面を向けて配置されている。つまり、全ての第1のLED321の正面が、取付台31の長手方向と直交する断面において一方向を向いている。本実施形態の照明器具1は、第1のLED321の正面が、取付台31の長手方向と直交する断面において複数の方向を向くように配置される点が、実施形態1と相違する。以下、取付台31の長手方向と直交する断面を「照明器具1の断面」とする。
【0027】
LED32(第1のLED321および第2のLED322)は、正面の法線方向に向かって光を放射する。そのため、第1のLED321が正面を同じ方向に向けて配置された場合、照明器具1の断面において、照明器具1の1/2ビーム角は180°以下になる。ここでいう、照明器具1の1/2ビーム角とは、当該断面の配光曲線において、照明器具1の位置を中心として、最大の光度の半分になる範囲が、中心に対して広がっている角度をいう。つまり、1/2ビーム角が120°の場合、中心より120°開いた範囲までは中心の半分の光度とすることが可能であることを示す。
【0028】
複数個の第1のLED321を本体2の発光体取付面211に直交する方向に正面を向けて取付台31の長手方向に配置した照明器具1においては、本体2の反対方向へ光が放射され、本体2の方向へはほとんど光は放射されない。このような照明装置1を天井面5や一面が開口したケース6の内部に設置した場合、天井面5やケース6の内部の方向にほとんど放射されないため、その設置箇所付近(天井面5やケース6の内部)に暗がりが生じる(図4参照)。
【0029】
本実施形態の照明器具1は、照明器具1の断面において第1のLED321の正面が複数の方向を向くように、第1のLED321を配置する。これにより、照明器具1の1/2ビーム角を180°以上にして、照明器具1の設置箇所付近に暗がりが生じることを抑制する。
【0030】
図5(a)に示すように、本実施形態の主配置面315の両長手辺からは取付台31の幅方向に広がりながら固定面312との距離を狭める方向に延びる面である第1の傾斜配置面316および第2の傾斜配置面317が形成される。つまり、照明器具1の断面において、主配置面315、第1の傾斜配置面316および第2の傾斜配置面317は本体2から離れる向きに凸になる(図5(a)参照)。
【0031】
複数個の第1のLED321が、取付台31の主配置面315、第1の傾斜配置面316、および第2の傾斜配置面317に、取付台31の長手方向に沿ってそれぞれ配置される。第1の傾斜配置面316および第2の傾斜配置面317に配置された第1のLED321の正面は、主配置面315の正面に対して取付台31の幅方向(図5(a)において左右方向)に広がる向きにそれぞれ傾いている。そのため、照明器具1の断面において、第1のLED321は3方向を中心として光を放射する。これにより、照明器具1の1/2ビーム角を180°以上にすることが可能となる。
【0032】
照明器具1の1/2ビーム角を180°以上にするには、取付台31の主配置面315のない形状であってもよい。この場合、取付台31の幅方向の中央から互いに離れながら固定面312に近づく向きに延びる2つの面である第1の傾斜配置面318および第2の傾斜配置面319が形成される。つまり、照明器具1の断面において、第1の傾斜配置面318および第2の傾斜配置面319は、本体2から離れる向きに凸になる(図5(b)参照)。
【0033】
取付台31の第1の傾斜配置面318および第2の傾斜配置面319には、複数個の第1のLED321が取付台31の長手方向に沿ってそれぞれ配置される。取付台31の長手方向と直交する断面において、第1のLED321の正面は、固定面312に直交する方向を中心として対象な方向を向いている。これにより、照明器具1の断面において、第1のLED321は2方向を中心として光を放射し、照明器具1の1/2ビーム角を180°以上にすることが可能となる。
【0034】
上記のように、照明器具1の断面において、照明器具1の1/2ビーム角を180°以上にすることにより、照明器具1を設置した天井面5やケース6の内部に暗がりが生じることを抑制できる(図4参照)。
【0035】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【符号の説明】
【0036】
1 照明器具
2 本体
3 発光体
31 取付台
311 主配置面
313 副配置面
32 LED
4 カバー
41 周壁
42 端壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長形状の発光体と、前記発光体を固定する本体と、筒状に形成され前記発光体を覆う透光性のカバーとを備え、前記発光体は、前記本体の一面に沿って固定される取付台と、前記取付台の表面に配置される複数個のLEDとを備え、前記カバーは、軸線に沿う周壁と、軸線に沿う方向の両端にそれぞれ軸線と直交する端壁とを一体に備え、前記取付台は、前記カバーの軸線に沿って延長された主配置面と、前記カバーの軸線を含み前記本体の前記一面に直交する面内において前記主配置面の両端に位置するとともに前記主配置面に交差する方向に延長された副配置面とを備え、一部の前記LEDは前記主配置面に配置され、残りの前記LEDは前記副配置面に配置されることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記副配置面は、前記本体から離れるに従って前記カバーの前記端壁との距離を広げる向きに傾斜し、前記副配置面に配置された前記LEDが、前記カバーの前記端壁と前記周壁とに跨る領域に光を放射することを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記取付台の前記主配置面は、前記カバーの軸線に直交する断面において、前記本体から離れる向きに凸となるように配置された複数の分割配置面を備え、前記分割配置面それぞれに複数個ずつの前記LEDが配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−174547(P2012−174547A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36358(P2011−36358)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】