説明

照明器具

【課題】ランプから放射される光を効率的に目的とする方向に向けて放射させることが可能な照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、正面側および側面周囲に発光部11b1、11b2を有するランプ11を具備し、器具本体はランプにおける側面周囲の発光部11b2から背面側に放射される光の延長線a−a上に略沿って傾斜する反射面を側面12aに有する箱体からなる。ソケット13は、器具本体内に設けられランプが装着される。カバー部材14は、ランプを覆うように器具本体に設けられランプから放射される光をランプの略中心を通る直線x−x上に沿って対向する両方向に向けて放射する開口部14cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、部屋の壁面等に設置される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照明器具は、部屋の壁面や階段に沿う壁面等に設置され、壁面の上方と下方に向けて光を照射することによって、間接照明による演出効果をもたせるために使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−22315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の照明器具は、光源の前面側を非透光性のカバーで覆い、光を上下方向に放射させるように構成されている。また光源としては、前面側および周囲方向に向けて光を放射する白熱電球が用いられているのが一般的で、前面側に放射される光は、覆われたカバーによって遮られるために上下方向へ光を向かせることが難しくなる。また周囲方向に向けて放射される光もカバーの両側面で遮られるために上下方向に向かわせることが難しくなる。
【0005】
このため、上下方向に向かう光が不足し、明るさ感や間接照明による演出効果が減少する問題が生じる。特に、光源としてGX53形の口金を有する薄型のコンパクト形蛍光ランプや発光ダイオードを光源としたフラット形のランプを光源とした場合には、その光が水平方向に集中し、明るさ感や演出効果が一層減少する問題が生じる。このため、この種の壁面に設置される照明器具においては、光を如何に効率的に上下方向に向けて放射させるかが重要な課題となっている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、ランプから放射される光を効率的に目的とする方向に向けて放射させることが可能な照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態における照明器具は、正面側および側面周囲に発光部を有するランプを具備し、器具本体はランプにおける側面周囲の発光部から背面側に放射される光の延長線上に略沿って傾斜する反射面を側面に有する箱体からなる。ソケットは、器具本体内に設けられランプが装着される。カバー部材は、ランプを覆うように器具本体に設けられランプから放射される光をランプの略中心を通る直線上に沿って対向する両方向に向けて放射する開口部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、ランプから放射される光を効率的に目的とする方向に向けて放射させることが可能な照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態である照明器具を示し、(a)は上面図、(b)は下面図。
【図2】同じく照明器具に使用されるランプを示し、(a)は左側面視の斜視図、(b)は右側面視の斜視図。
【図3】同じく照明器具を示し、(a)は分解して示す斜視図、(b)は端子板を拡大して示す斜視図。
【図4】同じく照明器具の器具本体を示し、(a)は支持板およびソケットを外した状態を示す斜視図、(b)は支持板を取り付けた状態を示す斜視図、(c)はソケットを取り付けた状態を示す斜視図。
【図5】同じくカバー部材を器具本体に挿入する状態を示す斜視図。
【図6】同じく照明器具を示し、(a)は壁面に設置した器具本体にカバー部材を挿入する状態を示す斜視図、(b)は照明器具を階段に沿う壁面に設置した状態を概略的に示す側面図。
【図7】同じくランプ正面とカバー部材内面との間隔寸法と、口金のソケットに対する係合代の関係を、一部を切断して示す側面図。
【図8】同じく照明器具の変形例を示し、(a)は第1の変形例を示す下面図、(b)は第2の変形例を示す下面図。
【図9】同じく照明器具の変形例を示し、(a)は第3の変形例を示す斜視図、(b)は第4の変形例を示す斜視図。
【図10】同じく照明器具の変形例を示し、(a)は第5の変形例を示す斜視図、(b)は第6の変形例を示す斜視図。
【図11】同じく照明器具の第7の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る照明器具の実施形態について説明する。
【実施形態1】
【0011】
本実施形態の照明器具は、壁面設置形の照明器具10を構成するもので、図1に示すように、正面側および側面周囲に発光部11b1、11b2を有するランプ11、ランプにおける側面周囲の発光部11b2から背面側に放射される光の延長線a−a上に略沿って傾斜する反射面を側面12aに有する箱体からなる器具本体12、器具本体内に設けられランプが装着されるソケット13、ランプを覆うように器具本体に設けられ、ランプから放射される光をランプの略中心oを通る直線x−x上(図6(a))に沿って対向する両方向に向けて放射する開口部14cを有するカバー部材14で構成する。
【0012】
ランプ11は、図2に示すように、GX53形の口金を有する円形のフラット形のランプで、円形のランプ本体11aと発光部を構成する円形のグローブ11bで構成されている。ランプ本体11a内には、発光ダイオードを光源とした光源部(図示せず)が設けられ、底面にGX53形の口金11cが設けられている。GX53形の口金は、周知の構成で、導電性を有する金属からなり、円柱状をなす軸部11c1と円板状のプラグ部11c2を有するピン形の一対の口金ピンで構成する。
【0013】
グローブ11bは、透光性を有する透明または光拡散性を有する半透明の部材、本実施形態では乳白色のガラスで正面側が曲面形状に、側面周囲は円筒状をなすように浅い椀状をなす形状に構成され、光源部を覆うようにしてランプ本体11aに設けられ、グローブ正面が正面側の発光部11b1となり、グローブ側面(外周面)が側面周囲の発光部11b2となるように構成される。なお、図2中の縦縞3層の構成体の内、左方の1層が側面周囲の発光部11b2であり、残り2層は発光しないランプ本体11aである。
【0014】
器具本体12は、図1に示すように、耐熱性を有する合成樹脂、本実施形態では、白色のPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂により、横断面形状が略正方形の正四角錐をなす箱体に構成され、傾斜する各側面12aは反射面となるように構成される。この反射面を構成する各側面(4面)12aは、ランプ11を器具本体12に装着した場合に、ランプ11における側面周囲の発光部11b2から背面側に放射される光の延長線a−a上に略沿って傾斜するように形成される。反射面を構成する各側面12aは、例えば、表面を白色に塗装しても、アルミニウムや銀等の金属を蒸着、若しくはメッキなどを施して鏡面または半鏡面に加工したものであってもよい。
【0015】
また、器具本体12は、図4(a)に示すように、内部に円形の凹嵌部からなる支持凹部12bが一体に形成され、支持凹部の底面には、器具本体を壁面等に木ネジを用いて固定するための一対の取付孔12b1を形成する。この一対の取付孔は、長孔からなり円形の支持凹部における直径方向に対向した外周部に形成され、それぞれの長孔の向きが略直交するように形成される。
【0016】
上記のように、壁面等への設置のための取付孔12b1を器具本体12の支持凹部12bに形成することにより、従来からこの種の壁面設置形の照明器具に用いられていた取付金具が不要となる。取付金具を使用した場合、部品点数が多くなることは勿論、器具の設置に際しても器具本体と取付金具との間で位置ずれが生じ、照明器具が傾いてしまうため設置作業に手間がかかる。しかし、本実施形態のように、取付孔12b1を器具本体12に形成することにより、設置作業を容易にすることが可能になる。
【0017】
また、支持凹部12bの底面には、4本の支持ボスが一体に形成される。この支持ボスは取付孔12b1と略直交する直径方向に対向する2本の支持ボス12b2と、この支持ボスから回転方向にそれぞれ約45°の角度分ずれた位置に2本の支持ボス12b3が一体に形成されている。この支持ボス12b3の頂部にはネジ孔が一体に形成されている。
【0018】
図中12b5は、支持凹部12bにおける底面の中央部に形成された電線引込孔で、屋内配線から引き出された電線を支持凹部12b内に引き込むための貫通された孔である。また、図3(a)中の12b6は、器具本体の対向する外底面の角の稜線に沿って形成れた段部からなるガイド溝で、後述するカバー部材14がスライドされて嵌め込まれる。
【0019】
上記に構成された器具本体12の支持凹部12b内には、ソケット13が設けられる。ソケット13は、図3(a)に示すように、ランプ11が着脱可能になるように装着されるもので、電気絶縁性を有する合成樹脂、本実施形態ではPBT樹脂で構成された円板状をなすソケット本体13aで構成される。ソケット本体は、中央部に貫通した嵌合孔13bが形成されたリング状をなし、嵌合孔にはランプ本体11aの背面側に設けられた突出部11a1が嵌合される。
【0020】
また、ソケット本体13aには、図3(b)に示すように、ランプ11の一対の口金11cが電気的に接続される一対の端子板13cと、この端子板を収納するとともに、口金11cと端子板13cとの電気接続時に、ランプ10とソケット本体とを機械的に結合する一対の係合孔13dを形成する。係合孔は、円弧状をなす長孔からなる係止孔13d1と、この係止孔の一端に連続して形成された円形の孔からなる挿入孔13d2とで構成されたダルマ孔からなる。この挿入孔13d2の直径寸法は、口金11cのプラグ部11c2の直径寸法より大きく形成し、係止孔13d1の長孔の幅寸法は、プラグ部11c2の直径寸法より小さく形成する。これにより、口金のプラグ部11c2が挿入孔13d2から挿入され、長孔からなる係止孔13d1に回動移動させることによって、プラグ部11c2が係合孔13d内に収納された端子板13cに接触して電気的な接続がなされると共に、プラグ部11c2が係止孔13d1の裏面側に係止してプラグ部の係合孔からの抜け止めがなされて機械的に保持される。また、ソケット本体13aには、上記の一対の係合孔13dを避ける位置に、支持用のボス孔13eを一体に4本形成する。
【0021】
上記に構成されたソケット本体13aは、支持板15を介して器具本体の支持凹部12b内に固定される。支持板15は、図3(a)に示すように、薄い円板状をなす塗装鋼板で構成され、円の直径は支持凹部12b内に挿入できる大きさに形成する。そして、支持板15の外周部分にダルマ孔からなる一対の固定孔15aが形成され、この固定孔は支持凹部12bのネジ孔を有する2本の支持ボス12b3に対応した位置に形成され、固定孔15aからタッピンネジ15bを挿入して支持ボス12b3のネジ孔にねじ込むことにより、支持板15が支持凹部12bの底面に固定される。なお図中16は端子台で、支持板15の裏面側にネジ止めによって固定されている。
【0022】
また、支持板15には、固定孔15aを避ける位置に一対のネジ孔15cが形成されている。このネジ孔は、ソケット本体13aの直径方向に対向する2本のボス孔13eに対応して形成され、ボス孔13eからネジ13fを挿入してネジ孔15cにねじ込むことによって、ソケット本体13aが支持板15に固定され一体化される。これにより、ソケット13が器具本体の支持凹部12bの底面に支持板15を介して固定され、同時に、支持板15の裏面に固定された端子台16が支持凹部12b内に収納される(図4(b))。
【0023】
この際、支持板15は、直径方向に対向する2本の支持ボス12b2と、この支持ボスから約45°の角度分だけ回転方向にずれた2本の支持ボス12b3との4本の支持ボスによって安定して固定されるため、傾くことがなくまた左右にグラつくことなく固定され、支持板15に固定されたソケット13は、器具本体12に対して、傾くことがなくまた強固に固定される。これにより、壁面等への設置のための従来の取付金具を不要とした構成と相まって、強固でかつ確実に設置するための施工性を向上させることが可能となる。
【0024】
また、同時に、図4(a)に示すように、端子台16を4本の支持ボス12b2、12b3を避けた位置に配置することが可能になり、支持凹部12b内の狭い空間を有効に活用して、端子台16を収納することができ、器具本体12の小形化に寄与することが可能となった。換言すれば、ネジ孔を有する2本の支持ボス12b3は、端子台16の位置を回避し、さらに支持凹部12bの一対の取付孔12b1の位置を回避した適正な位置に形成される。
【0025】
上記により、器具本体12の支持凹部12b内に設けられたソケット13は、その一対の端子板13cがリード線(図示せず)によって端子台16に接続され、端子台16と電線引込孔12b5から引き込まれた屋内配線の電線(図示せず)が接続されることにより、ソケット13に商用電源が供給され、ソケットにランプ11の口金11cが装着されることによって、ランプが点灯される。
【0026】
次にカバー部材14の構成につき説明する。カバー部材14は、図3(a)に示すように、本実施形態では器具本体12と同様に、非透光性の白色のPBT樹脂で構成され、断面がコ字状をなす箱体として構成され、正面および両側面に閉塞されたカバー部14aが形成され、後面に開放された取付部14bが形成され、両端部(設置時における上下の両端部)に開口部14cが形成される。開口部14cは、ランプ11から放射される光を、ランプの略中心Oを通る直線x−x上に沿って対向する両方向(設置時における上下方向)に向けて放射する(図6(a))。
【0027】
上記に構成されたカバー部材14は、ランプ11を覆うようにして器具本体12に取り付けられる。カバー部材は、その両側面の下辺部に沿って、互いに対向する方向に凸条部14dを一体に形成する。凸条部は、図5、図6に示すように、器具本体12の対向する外底面の角の稜線に沿って形成されたガイド溝12b6に対して、一方の開口部14cが嵌め込まれ、ガイド溝12b6に沿ってスライドさせることにより、カバー部材14が器具本体12に対して着脱が可能になるように取り付けられる。
【0028】
これにより、カバー部材14の閉塞された正面および両側面からなるカバー部14aによって、器具本体に装着されたフラット形のランプ11の正面側の発光部11b1と、側面周囲の発光部11b2における両側面側(設置における左右の両側面側)が覆われる。同時に、ランプ11の両側面側と直交する方向の両端部側(設置時における上下の両端部側)が、カバー部材14の上下の開口部14c、14cに面するように位置して取り付けられる。
【0029】
上記にようにカバー部材14が器具本体12に取り付けられた状態でランプ11を点灯すると、ランプから放射される光は、カバー部材の両端部側(設置時における上下の両端部側)の開口部14c、14cから効率的に放射される。すなわち、ランプ11の正面側の発光部11b1から放射された光は、閉塞されたカバー部14aの内面によって反射され、さらに器具本体12の反射面をなす側面12aで反射され、この反射が繰り返されることにより上下の開口部14c、14cに向かって十分に放射される。
【0030】
また、ランプ11の側面周囲の発光部11b2から放射される光は、上下の開口部14c、14cに向かう光と、閉塞された左右のカバー部14aに向かう光に分かれる。上下の開口部14c、14cに向かう光は何ら遮光されることなく、開口部から上下方向に向かって放射される。また、閉塞された左右のカバー部14aに向かう光は、カバー部14aの内面で反射し、さらに器具本体12の反射面をなす側面12aで反射される。この反射が繰り返されることにより、これらの光は上下の開口部14c、14cに向かって十分に放射される。
【0031】
特に、器具本体側面12aの反射面は、ランプにおける側面周囲の発光部11b2から背面側に放射される光の延長線a−a上に略沿って傾斜していることにより、上記反射の繰り返しが効果的に行えることで、本来、カバー部14aによって遮光され有効に活用され難いランプ正面側の発光部11b1からの光と、側面周囲の発光部11b2から左右のカバー部14aに向かう光を共に効果的に反射させ、カバー部材の上下の開口部14c、14cから効率的に放射させて壁面を照射することができる。これにより、明るさ感や間接照明による演出効果を十分に発揮することができ、従来生じていた明るさ感や演出効果が減少する問題を解消することが可能となった。
【0032】
また、上記のように、カバー部材14を器具本体12に取り付けた状態で、図7に示すように、ランプ正面Aとカバー部材14正面の内面Bとの間隔寸法aは、口金11cのソケット13に対する係合代の寸法bより小(a<b)となるように構成して、ランプ11の落下を防止するようにしている。なお、ランプの口金11cは、上述したように、口金のプラグ部11c2が係止孔13d1の裏面側に係止して、プラグ部11c2の係合孔13dからの抜け止めがなされて機械的に保持される。この保持された状態におけるプラグ部11c2の頂部と係合孔13dの表面側までの寸法bが、口金11cのソケット13に対する係合代となる。
【0033】
これは、GX53形の口金11cは、端子板13cを「く」の字状に形成し(図3(b))、口金の軸部11c1が、この「く」の字状の入口部分を乗り越えて電気接続がなされ、口金がソケットの端子板に対して確実に接続されるようにしている。しかし、使用者は、ランプを回動させて装着する際に、口金の軸部11c1が端子板13cの「く」の字状の入口部分に当たると、ランプがソケットに装着されたと誤解し、回動操作を止めてしまうことがあり、ランプ11がソケット13に対して半掛かり状態となる虞がある。半掛かり状態となった場合には、器具本体12に振動等が加わった場合、ランプ11がソケット13から外れ落下する虞がある。
【0034】
しかし、上記のように、ランプ正面Aとカバー部材の内面Bとの間隔寸法aを、口金11cのソケット13に対する係合代の寸法bより小となるように構成することにより、ランプの設置時における水平方向への移動が、カバー部材14正面の内面Bによって阻止され、口金のプラグ部11c2が係合孔13dに係合した状態を保持することができ、ランプの落下が防止される。同時に、ランプ正面Aとカバー部材の内面Bとの間は、間隔寸法aによってランプ正面Aとカバー部材内面Bが近接することがなく、ランプとカバー部材が近すぎて配光が適正とならない問題を解消し、適正な配光にすることが可能になる。さらに、ランプ11の光源体を構成する発光ダイオードは、比較的に輝度が高くランプ11とカバー部材14が近接すると発光ダイオードの粒粒感が出やすくなるが、間隔寸法aによってランプとカバー部材が近接することがなく、粒粒感が明確とならない適正な配光にすることが可能になる。
【0035】
また、上記のように、カバー部材14は、その両側面の下辺部に沿って、互いに対向する方向に凸条部14dを一体に形成し、器具本体12のガイド溝12b6に沿ってスライドさせることにより、器具本体12に対して着脱が可能になるように取り付けられる。このため、カバー部材14の器具本体12への取り付けを簡単に行うことができ、設置のための施工性を一層向上させることができる。同時に、カバー部材14の器具本体12への取付部分には隙間が形成されることがない。このため、上述したように、器具本体側面12aの反射板によって光の反射が繰り返されても、反射光の回り込みによる光漏れを防ぐことが可能になる。特に、本実施形態のように、凸条部14dとガイド溝12b6が切れ目なく配置されることから、光漏れを一層確実に防ぐことが可能になる。また、本実施形態のように、非透光性のカバー部材14で構成した場合には、壁面への光漏れ(設置時における左右方向への不要な光漏れ)を確実に防ぐことができ特に有効である。
【0036】
また、図1(a)に示すように、ランプ11からカバー部材14の開口部14c、14cに向けて両方向に放射される光は、一方(設置時の上方)が遮光部材によって部分的に遮光される。これは、特に、図6(b)に示すように、階段に沿う壁面Hに照明器具10を設置した場合に、階段を上がる場合には階段を見ながら上がるが、下りる場合にはランプの光が目に入り眩しくなり階段を踏み外す虞がある。このために、遮光部材を設けることによってその危険性を回避するための対応を図っている。
【0037】
遮光部材は、本実施形態においては遮光板17で構成する。遮光板は、図1(a)に示すように器具本体12と同様に、白色のPBT樹脂で構成され、その形状は、上方から見た形状が円弧状をなし、円弧の頂点部分Pをランプの側面周囲の発光部11b2からやや突出させて大きく形成し、突出した頂点部分Pから両側に向けてランプ長より徐々に小さくなる形状に形成する。また、ランプ正面から見た形状は、側面周囲の発光部11b2の形状に沿った円弧状をなすように形成する。
【0038】
これにより、特に、側面周囲の発光部11b2からカバー部材14の上方の開口部14cに向けて放射される光は、遮光板17によって部分的に遮光され、階段を下りる際にランプの光が直接目に入ることが防止される。同時に、遮光板17は、突出した頂点部分Pから両側に向けてランプ長より徐々に小さくなる形状に形成したので、上方に向かう光を全て遮光することがなく、壁面への光を確保することができる。これにより、上下の開口部14c、14cによって壁面へ投影される光形が略同形状となり、所定の演出効果を発揮させ、壁面上下を略同程度の明るさに確保することが可能になる。
【0039】
図3(a)中、17aは、遮光板17を取り付けるための支持凸起で、遮光板の裏面に一体に4個が形成される。この支持凸起17aは、器具本体12の支持凹部12bに形成された係合孔12cに、樹脂の弾性を利用して遮光板を撓ませながら嵌め込み係合させて固定する。また、樹脂の弾性を利用して撓ませることによって簡単に取り外すことができる。これにより、遮光板17は階段等で必要な場合に設置すればよく、別売りの部品とすることも可能となる。
【0040】
次に、上記に構成された照明器具10を壁面に設置するための施工手順を説明する。先ず、器具本体12の支持凹部12bに形成された取付孔12b1に木ネジを挿入し壁面にねじ込んで固定する(図4(a))。この際、従来のように取付金具を使用することなく固定することができる。
【0041】
次に、支持板15の固定孔15aを器具本体の支持凹部12bに設けられた2本の支持ボス12b3に載置し、固定孔15aからタッピンネジ15bを挿入して支持ボス12b3のネジ孔にねじ込み固定する。この際、支持板は4本の支持ボス12b2、12b3によって支持されるので、傾くことがなく、またグラつくことなく固定される(図4(b))。
【0042】
次に、器具本体12に固定された支持板15のネジ孔15cに対し、ソケット13のボス孔13eを対向させて載置し、ボス孔にネジ13fを挿入し、支持板15のネジ孔15cにねじ込んで固定する。この際、支持板15が器具本体12に傾くことがなく、またグラつくことなく固定されているので、ソケット13も傾くことがなく強固に固定される(図4(c))。
【0043】
次に、器具本体12に固定されたソケット13に対して、ランプ11を装着する。これは、ランプの口金11cをソケット13の挿入孔13d2に挿入し、さらに、所定の角度だけ回動させて口金11cを係止孔13d1に係止させることにより、ランプ11が機械的にソケット13に装着されると同時に、口金11cが端子板13cに接続されて電気的な接続がなされる。
【0044】
次に、カバー部材14の一方の開口部14cを器具本体12のガイド溝12b6の入口に合致させ、凸条部14dをガイド溝に嵌合させながらそのままスライドさせ、他方の開口部14cがガイド溝12b6の出口に達した時点で止める。これにより、カバー部材14によりランプ11および器具本体12が覆われるとともに、カバー部材の開口部14c、14cが上下方向に位置して設置される。そして、ランプ11を点灯することにより、照明器具10の上下方向の壁面が照射された間接照明による演出効果をもった照明が行われる。なお、上記とは逆にスライドさせてカバー部材14を器具本体12から取り外すことにより、ランプ11の交換を簡単に行うことができる。なお、カバー部材14は、器具本体12の下方からでも上方からでも、ガイド溝12b6に対してスライドさせて取り付けることができる。
【0045】
また、階段等で遮光板17を取り付ける場合には、ランプ11を器具本体12に装着した後、換言すれば、カバー部材14を取り付ける前に、遮光板17の支持凸起17aを樹脂の弾性を利用して撓ませながら器具本体12の係合孔12cに嵌め込み係合させて固定する。
【0046】
以上、本実施形態によれば、ランプ11における側面周囲の発光部11b2から背面側に放射される光の延長線a−a上に略沿って傾斜する反射面を側面12aに有する箱体からなる器具本体12により、カバー部材14の両端部(設置時における上下両端部)の開口部14c、14cから光を効率的に放射させて壁面を照射することができ、明るさ感や間接照明による演出効果を十分に発揮することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態によれば、上記作用効果を奏するととともに、次のような作用効果を奏することができる。すなわち、ランプにおける側面周囲の発光部11b2からカバー部材14の開口部14c、14cに向けて両方向(設置時における上下方向)に放射される光は、一方が遮光部材17によって部分的に遮光されることにより、例えば、階段を下りる際に、ランプの光が目に入ることが防止され、同時に、遮光部材17は突出した頂点部分Pから両側に向けてランプ長より徐々に小さくなる形状に形成したので、上下の開口部14c、14cによって壁面へ投影される光形が略同形状となるようにすることができ、所定の演出効果を発揮させ、壁面上下を略同程度の明るさに確保することが可能になる。
【0048】
また、ランプはGX53形の口金11cを有し、ランプ正面Aとカバー部材14内面Bとの間隔寸法aを、口金11cのソケット13に対する係合代の寸法bより小となしたことにより、ランプ11の落下が防止され、同時に、ランプ11とカバー部材14が近すぎて配光が適正とならない問題を解消し、適正な配光を得ることが可能になる。
【0049】
以上、本実施形態において、照明器具10は、壁面や階段に沿う壁面等に設置され、上下方向に光を放射させた間接照明による演出効果を発揮させることが好ましいが、例えば、廊下の足元灯、さらには、天井面や棚下等に設置し、光を左右方向に放射させるようにしてもよい。
【0050】
ランプは、発光ダイオードを光源体としたフラット形のランプで構成したが、薄型のコンパクト形蛍光ランプであってもよい。さらには、LEDランプや白熱電球等であってもよく、要は、正面側および側面周囲に発光部を有している全てのランプが許容される。
【0051】
ランプにおける側面周囲の発光部11b2から背面側に放射される光の延長線a−a上に略沿って傾斜する反射面を側面12aに有する器具本体12は、側面12aの4面全てを光の延長線a−a上に略沿って傾斜する反射面に形成したが、上下方向の側面のみ、または、左右方向の側面のみを、光の延長線a−a上に略沿って傾斜する反射面に形成したものであってもよい。また、傾斜する反射面が、光の延長線a−a上に合致していることが好ましいが、厳密に合致している必要はなく、例えば、図8(a)に示すように、延長線a−a上から若干ずれた略平行な線b−bまたは図8(b)に示すように多少傾斜した線c−c上に位置させてもよく、要は、光の反射を効果的に繰り返すことができるように、光の延長線上に略沿って傾斜する反射面を側面12aに有していればよい。また、箱体の形状は、正四角錐に限らず、例えば、図9(a)に示すように、横断面形状が長方形をなす四角錐であっても、図9(b)に示すように、円形や楕円形をなす円錐形状であってもよい。
【0052】
また、カバー部材14は、開口部14cが広く開放されていることが好ましいが、図10(a)に示すように、開口部14cの一部を閉塞させるようにしてもよく、さらには、図10(b)に示すように、ルーバー14c1を設けたものであってもよい。本実施形態において、非透光性のカバー部材を用いたが、透明または半透明、さらには、一部を非透光性とし、他の部分を透明または半透明に構成したものであってもよい。また、断面が「コ」の字の形状に限らず、例えば、半円形や三角形をなすように形成してもよい。カバー部材は、合成樹脂に限らず、例えば、木製やガラス製であってもよい。
【0053】
また、凸条部14dをカバー部材に形成し、ガイド溝12b6を器具本体12に形成したが、逆に、凸条部を器具本体に形成し、ガイド溝をカバー部材に形成してもよい。さらに、凸条部とガイド溝に限らず、図11に示すように、凸起14d1を凹部12b7に係合させて取り付けるようにしてもよい。この場合、カバー部材14と器具本体12との間に、切れ目なく合わせ部分を設けることによって光漏れを防ぐようにする。また、凸起と凹部であれば、カバー部材を上下方向にスライドさせることなく、ランプの正面側から着脱することも可能になる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
10 照明器具
11 ランプ
11c 口金
11b1 正面側の発光部
11b2 側面周囲の発光部
12 器具本体
12a 側面
13 ソケット
14 カバー部材
14c 開口部
17 遮光部材
a−a 光の延長線
a 間隔寸法
b 係合代の寸法


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側および側面周囲に発光部を有するランプと;
ランプにおける側面周囲の発光部から背面側に放射される光の延長線上に略沿って傾斜する反射面を側面に有する箱体からなる器具本体と;
器具本体内に設けられ、ランプが装着されるソケットと;
ランプを覆うように器具本体に設けられ、ランプから放射される光をランプの略中心を通る直線上に沿って対向する両方向に向けて放射する開口部を有するカバー部材と;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記ランプにおける側面周囲の発光部からカバー部材の開口部に向けて両方向に放射される光は、一方が遮光部材によって部分的に遮光されることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記ランプはGX53形の口金を有し、ランプ正面とカバー部材内面との間隔寸法を、口金のソケットに対する係合代の寸法より小となしたことを特徴とする請求項1または2記載の照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−43687(P2012−43687A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184900(P2010−184900)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】