説明

照明器具

【課題】内部に浸入した雨水が器具本体に取り付けられた電子部品およびソケットに対してかからないようにして品質を向上できる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、器具本体11と、器具本体11に取り付けられる直管形ランプ16と、直管形ランプ16の両端部に電気的および機械的に接続されるソケット18と、少なくともソケット18の一方の外側に設けられる水切板19と、器具本体11の前面において直管形ランプ16の軸線上につまみねじ21により取り付けられるカバー22と、つまみねじ21を通じて浸入してきた雨水を所定方向へ誘導するための溝部23とを備え、水切板19は、雨水を溝部23へ誘導可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水等がかかる屋外に設置される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源を覆う枠体の下方を覆って傾斜面を有する底板の壁面側に水抜き部を設けた照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の照明器具は、底板に沿って流れてきた水を、水抜き部から枠体の外部に排水できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−129757号公報(図2、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に記載された照明器具は、遮水板やパッキン等の防水部材を必要とせずに防水することにより、部品点数を減少させてコストダウンを図ることができる。
ところで、前述した特許文献1に記載された照明器具と同様に、器具本体に取り付けられる雨水に弱い電子部品の取付面を絞ることにより電子部品の取付面と器具本体の他の面との間に段部を設けて、電子部品の取付面を器具本体の他の面よりも高くして雨水がかからないようにした照明器具が提案されている。
しかし、このような従来の照明器具は、器具本体の取付面上の電子部品に対しては雨水がかからなくできるものの、ランプの口金が接続されるソケットについては雨水がかからなくするようにできない。
従って、このような従来の照明器具は、器具本体に取り付けられた電子部品およびソケットに対して雨水がかからないようにできない。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、内部に浸入した雨水が器具本体に取り付けられた電子部品およびソケットに対してかからないようにして品質を向上できる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照明器具は、器具本体と、前記器具本体に取り付けられる直管形ランプと、前記直管形ランプの両端部に電気的および機械的に接続されるソケットと、少なくとも前記ソケットの一方の外側に設けられる水切板と、前記器具本体の前面において前記直管形ランプの軸線上につまみねじにより取り付けられるカバーと、前記つまみねじを通じて浸入してきた雨水を所定方向へ誘導するための溝部とを備え、前記水切板は、前記雨水を前記溝部へ誘導可能である。
【0007】
本発明に係る照明器具は、前記水切板が、前記器具本体に対して傾斜されている。
【0008】
本発明に係る照明器具は、前記水切板が、両側に立壁を有する。
【0009】
本発明に係る照明器具は、前記溝部が、前記つまみねじから離れる方向に下方に向けて傾斜する傾斜溝部である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る照明器具によれば、内部に浸入した雨水が器具本体に取り付けられた電子部品およびソケットに対してかからないようにして品質を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具の壁面への取付状態の垂直断面図
【図2】本発明に係る第1実施形態の照明器具のカバーを取り外した正面図
【図3】本発明に係る第1実施形態の照明器具のソケット周りの正面図
【図4】本発明に係る第2実施形態の照明器具のソケット周りの正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る複数の実施形態の照明器具について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明器具10は、器具本体11と、器具本体11の中央部に配置された電子部品取付部12に取り付けられる電子部品である安定器13およびグロー管14が装着されたグローソケット15と、器具本体11の前面に取り付けられる直管形ランプ16と、直管形ランプ16の両端部に有する一対の口金17に電気的および機械的に接続される一対のソケット18と、設置時に上方に配置されるソケット18の上方の外側に取り付けられる水切板19と、器具本体11の前面においてソケット18の外側に取り付けられた一対のブラケット20と、ブラケット20にねじ込まれるつまみねじ21により器具本体11の前面において直管形ランプ16の軸線上に取り付けられる乳白色等の樹脂製のカバー22と、電子部品取付部12の周囲に配置されてつまみねじ21を介して浸入してきた雨水を所定方向へ誘導するための溝部23とを備え、壁面1の上下に長さを有する縦方向取付により壁面1に設置される。
【0013】
図2に示すように、器具本体11は、厚みの薄い金属製板部材を用いて長方形に形成されており、電子部品取付部12に、図2中の上方から下方に向けて、一方のブラケット20と、水切板19と、一方のソケット18と、一方の壁面取付用ねじ孔24と、グローソケット15と、安定器13と、他方の壁面取付用ねじ孔24と、他方のソケット18と、他方のブラケット20とが順次に配置されている。
【0014】
一方のソケット18の上方に配置される水切板19は、一方のソケット18の上部にひさし状に形成されている。水切板19は、器具本体11の短手方向の幅寸法(図3参照)L1よりも小さい幅寸法(図3参照)L2の板形状を有する本体25を有し、本体25の基部に器具本体11にねじ止めされた器具本体取付板部26を有する。水切板19は、本体25が水平方向に対して器具本体11側から斜め上方に向けて所定の角度(図1参照)θ1で傾斜されている。
従って、水切板19が器具本体11に対して所定の角度θ1で傾斜されているために、水切板19に滴下した雨水の進行方向を傾斜の下方である溝部23に向けて誘導できる。
【0015】
水切板19は、器具本体11の短手方向における本体25の両側に一対の立壁27を有する。一対の立壁27は、器具本体11の上方に向けて突出されている。
従って、水切板19が両側に立壁27を有するために、水切板19の本体25上に滴下した雨水が水切板19の両側から落下しないようにして雨水を溝部23に積極的に誘導できる。
なお、水切板19は、一方のソケット18の上方に配置されるのに加えて、他方のソケット18の下方に配置されてもよい。
【0016】
溝部23は、器具本体11における電子部品取付部12の周囲に、壁面1に向けて所定の深さ寸法および幅寸法を有する。溝部23は、その上端部において水切板19の本体25に平行に配置される上部溝部28と、上部溝部28の両端部に接続された一対の側部溝部29と、その下端部において一対の側部溝部29の下端部に接続された下部溝部30とから、器具本体11の正面視形状に相似する四角形の無端状に形成されている。
【0017】
上部溝部28は、側部溝部29同士の内側の長さ寸法L3が水切板19の一対の立壁27が有する幅寸法L2よりもわずかに小さく、側部溝部29同士の外側の長さ寸法L4が水切板19の一対の立壁27が有する幅寸法L2よりもわずかに大きい。そのため、溝部23は、水切板19の一対の立壁27に対応した位置に配置されている。
【0018】
図1に戻り、照明器具10は、壁面1への取り付けにあたり、一方の壁面取付用ねじ孔24と他方の壁面取付用ねじ孔24とに挿通されたねじ31が壁面1にねじ込まれることにより器具本体11が壁面1の所定の位置に取り付けられる。次に、カバー22を器具本体11に被せ、カバー22に有するねじ孔32からブラケット20に有するねじ孔33につまみねじ21がねじ込まれることによりカバー22が器具本体11の前面に取り付けられる。
【0019】
次に、照明器具10の作用について説明する。
図3に示すように、壁面1の上下に長さを有するように縦方向取付により屋外の壁面1に設置された照明器具10に雨水がかかり、その雨水が、万が一に、つまみねじ21を通じて内部に浸入した場合、雨水は器具本体11の最上部側において水切板19の本体25上に滴下する。照明器具10にかかった雨水のうち、カバー22と器具本体11の最上部との間から内部に浸入してきた雨水は、器具本体11の最上部から溝部23の上部溝部28に流れる。
【0020】
水切板19の本体25上に滴下された雨水は、水切板19の本体25が器具本体11に対して角度θ1で傾斜されているために、進行方向が傾斜の下方である溝部23の上部溝部28に向けられる。そして、雨水は、溝部23の上部溝部28に誘導されていき、電子部品取付部12の外周部において溝部23の側部溝部29をつたって下部溝部30に流れ、下部溝部30から器具本体11の下方の外部へ放出される。このとき、雨水は、水切板19が両側に立壁27を有するために、水切板19の本体25上に滴下した後に水切板19の両側から落下されずに本体25上に集合されて溝部23に積極的に誘導される。
【0021】
一方、カバー22と器具本体11の最上部との間から内部に浸入してきた雨水は、器具本体11の最上部から溝部23の上部溝部28に流れ、上部溝部28から電子部品取付部12の外周部において溝部23の側部溝部29をつたって下部溝部30に流れ、下部溝部30から器具本体11の下方の外部へ放出される。
従って、つまみねじ21を通じて浸入してきた雨水は、一方のソケット18の上方に配置されている水切板19の本体25上に滴下した後に、水切板19により溝部23に誘導されて器具本体11の下方の外部へと誘導されるために、ソケット18に滴下することがないとともに電子部品取付部12に取り付けられている安定器13およびグローソケット15等の電子部品にかからないように確実に制御される。
また、カバー22と器具本体11の最上部との間から内部に浸入してきた雨水は、器具本体11の最上部から溝部23の上部溝部28に流れ、上部溝部28から電子部品取付部12の外周部において溝部23の側部溝部29をつたって下部溝部30に流れ、下部溝部30から器具本体11の下方の外部へ放出されるために、ソケット18に滴下することがないとともに電子部品取付部12に取り付けられている安定器13およびグローソケット15等の電子部品にかからないように確実に制御される。
【0022】
以上、説明したように第1実施形態の照明器具10によれば、つまみねじ21を通じて浸入してきた雨水が、一方のソケット18の上方に配置されている水切板19の本体25上に滴下した後に、水切板19により溝部23に誘導されて器具本体11の下方の外部へと誘導されるために、ソケット18にかからないようにできるとともに電子部品取付部12に取り付けられている安定器13およびグローソケット15等の電子部品にかからないようにして品質を向上できる。
【0023】
また、第1実施形態の照明器具10によれば、水切板19の本体25が器具本体11に対して所定の角度θ1で傾斜されているために、水切板19の本体25上に滴下した雨水の進行方向を傾斜の下方である溝部23に向けて誘導できる。
【0024】
そして、第1実施形態の照明器具10によれば、水切板19が本体25の両側に立壁27を有するために、水切板19の本体25上に滴下した雨水が水切板19の両側から漏れて落ちないようにして雨水を溝部23に積極的に誘導できる。
【0025】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具について説明する。
なお、以下の第2実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0026】
図4に示すように、本発明に係る第2実施形態の照明器具50は、溝部51の上端部に、つまみねじ21から離れる方向に下方に向けて傾斜する傾斜溝部52を有する。
照明器具50は、壁面1の上下に長さを有するように縦方向取付により屋外の壁面1に設置された後に雨水がかかり、その雨水が、万が一に、内部に浸入した場合、雨水は器具本体11の最上部に滴下する。
【0027】
器具本体11の最上部に滴下された雨水は、器具本体11の最上部の真下に配置されている傾斜溝部52に向けて進行されていき、傾斜溝部52から電子部品取付部12の外周部において側部溝部29をつたって下部溝部30に流れ、下部溝部30から器具本体11の下方の外部へ放出される。
従って、内部に浸入してきた雨水が、傾斜溝部52によりつまみねじ21から離れる方向に下方に向けた動的なエネルギーを付与されるために、傾斜溝部52から電子部品取付部12の外周部において側部溝部29をつたって下部溝部30に流れ、下部溝部30から器具本体11の下方の外部へ放出される。
【0028】
第2実施形態の照明器具50によれば、内部に浸入してきた雨水が、傾斜溝部52によりつまみねじ21から離れる方向に下方に向けた動的なエネルギーを付与されるために、雨水の進行方向を誘導できる。
【0029】
なお、本発明の照明器具において安定器,グローソケット,グロー管,直管形ランプ等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0030】
10,50 照明器具
11 器具本体
16 直管形ランプ
18 ソケット
19 水切板
21 つまみねじ
22 カバー
23,51 溝部
27 立壁
52 傾斜溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、
前記器具本体に取り付けられる直管形ランプと、
前記直管形ランプの両端部に電気的および機械的に接続されるソケットと、
少なくとも前記ソケットの一方の外側に設けられる水切板と、
前記器具本体の前面において前記直管形ランプの軸線上につまみねじにより取り付けられるカバーと、
前記つまみねじを通じて浸入してきた雨水を所定方向へ誘導するための溝部とを備え、
前記水切板は、前記雨水を前記溝部へ誘導可能である照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記水切板が、前記器具本体に対して傾斜されている照明器具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明器具において、
前記水切板が、両側に立壁を有する照明器具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の照明器具において、
前記溝部が、前記つまみねじから離れる方向に下方に向けて傾斜する傾斜溝部である照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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