説明

照明器具

【課題】照明器具1台により複数箇所の照明を容易に行なうことを可能にする。
【解決手段】照明器具100は、ランタン又は非常用照明器具として使用される器具であって、前方に光を照射可能な懐中電灯である合計5本のライト10a〜10eと、ライト10a〜10eを取り外し可能に収容する半透光性を有したハウジング20と、ハウジング20内に設けられ且つライト10a〜10eから出力された光をハウジング20外の側方に向けて反射させるリフレクター30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はランタン又は非常用照明器具として利用可能な照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の照明器具の従来例として懐中電灯としても使用可能なランタンの提案がある。同ランタンは、プルトップ式の蓋体と、ランプが収容された本体とを備え、蓋体をプルタブを用いて本体から外すと、ランプが本体外に出て点灯する基本構成になっている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−255501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例による場合、あくまでランタン兼懐中電灯である以上、ランタンを持ち運んで懐中電灯として使用するときには、最初のランタン設置箇所の照明を行なうことができず使い勝手が悪い。ただ、ランタンを複数台用意しておけばこのような問題は回避されるものの、コストの面で問題となる。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みて創作されたものであり、その目的とするところは、器具1台により複数箇所の照明を容易に行なうことが可能な照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照明器具は、光源及び光源用の電池を内蔵するとともに光源の光を照射可能な複数のライトと、ライトを取り外し可能に収容する収容部を有したハウジングと、ハウジング内に設けられ且つライトから出力された光をハウジング外に向けて反射させる反射手段とを具備している。
【0007】
上記した照明器具による場合、ライトがハウジングから取り外し可能であるため当該ライトを懐中電灯として使用可能である一方、ハウジングに残されたライトにより周辺を照明可能な構成となっているので、従来とは異なり器具1台でもって複数箇所の照明を容易に行なうことができる。しかもコストの問題を招来することなく使い勝手も良好である。
【0008】
ライトについては、光源の点灯をオンオフするための点灯スイッチを有した構成のものを使用することが好ましい。
【0009】
上記した照明器具による場合、各ライトの点灯スイッチの操作を通じて照明の明るさ調整を行なうことが可能な構成となっているので、特別な明るさ調整回路等が不要となり、この点で低コスト化を図ることが可能となる。
【0010】
上記したライトを備えるときは、ハウジングの上面に収容部の開口を形成するようにし、ライトについては、点灯スイッチが後側に配置され且つ少なくとも点灯スイッチが露出した状態でハウジングに収納可能にする構成が好ましい。
【0011】
上記した照明器具による場合、ライトがハウジングに収容された状態でその点灯スイッチが露出していることから、点灯スイッチの操作が容易となる。
【0012】
ハウジングが軸状体であり且つ上記したライトが前方に照射可能であるときには、反射手段については、略円錐状をなした反射部材とし、その頂点を上向きにハウジングの内底部位に同軸上に配置し、収容部がハウジングの軸心を中心とした等ピッチ間隔に配置した構成が好ましい。
【0013】
上記した照明器具による場合、各ライトの光がハウジングの軸心周りに均等に出力され、高品位な照明を行なうことが可能になる。
【0014】
上記した構成であるときには、ハウジングについては、光拡散性を有した構成のものを使用することが好ましい。
【0015】
上記した照明器具による場合、各ライトの光がハウジングを通過する過程で拡散され、その結果、暖かみを帯びた灯りとなり、この点で高品位な照明を行なうことが可能になる。
【0016】
更に、ハウジングに収納されたライトが下向きに出力される場合であるときには、反射手段がハウジングの下方に吊り下げられた構成にすることが好ましい。
【0017】
上記した照明器具による場合、各ライトの光がハウジングを通過することなくハウジング外に出る構成となっているので、照明領域が広がるとともに照明が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の照明器具の実施例を説明するための図であって、照明器具の斜視図である。
【図2】同照明器具の平面図である。
【図3】図2中A−A線の断面図である。
【図4】同照明器具のライトの斜視図である。
【図5】同ライトの回路図である。
【図6】(A)は同照明器具の部品であるハウジングの正面図、(B)は同ハウジングの右及び左側面図である。
【図7】(A)は同ハウジングの平面図、(B)は同ハウジングの底面図、(C)は図7(A)中B−B線の断面図である。
【図8】(A)は同ハウジングの参考的斜視図、(B)は同ハウジングの把手を上げた状態を示す参考的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図8を参照して説明する。ここに例として挙げる照明器具100は、主としてアウトドア用として使用されるランタンであって、前方に光を照射可能な懐中電灯である合計5本のライト10a,10b,10c,10d及び10eと、ライト10a〜10eを取り外し可能に収容する光拡散性を有したハウジング20と、ライト10a〜10eから出力された光をハウジング20外の側方に向けて反射させるリフレクター( 反射手段) 30(図3参照)とを備えている。
【0020】
ライト10aについては、図3に示すようにLED13a(光源)及び光源用の電池17aを内蔵しており、LED13の点灯をオンオフするためのプッシュスイッチ19a(点灯スイッチ)が後側に配置されている。具体的には、電池17a等を収容する円筒状の本体11aと、本体11aの先端側に取り付けられたレンズ12aと、LED13の側方光を前方に反射して照射させるためにレンズ12aに対向して設けられた略半球殻状の反射板12aと、LED13が表面に実装された基板13aと、基板13aの裏面に取り付けられ且つLED13と電池17a7とを電気接続するためのバネ15aと、本体11aの後端側に着脱自在になっており且つ中央部位にプッシュスイッチ19aが設けられた輪状の蓋部18aとを有している。ライト10aの回路図は図3に示す通りである。なお、ライト10b〜10eはライト10aと同一構成であるので、その説明を省略することにする。
【0021】
ハウジング20については、半透光性を有した樹脂製の円筒状体であって、その内部にはライト10a〜10eを収容するための有底円筒状をなした収容部21a,21b,21c,21d及び21eが設けられている。ハウジング20の上面には収容部21a〜21eの開口211a〜211eが形成されている。収容部21a〜21eは、ハウジング20の軸心Oを中心とした等ピッチ間隔(本案例では72°)に配置されている。
【0022】
ライト10aは、開口211aを通じて収容部21aに入れられるとともに、その先端面が収容部21aの底に引っ掛かり、その結果、後側部分を除いて、収容部21aに収容されるようになっている。図3はライト10aの収容状態を示している。この状態でプッシュスイッチ19aは露出しており、オンオフの操作が可能になっている。また、ライト10aから出力される光を収容部21a外に出るようにハウジング20の収容部21aの底には開口212aが形成されている。この点は、ライト10b〜10e及び収容部21b〜21eについても全く同様である。
【0023】
なお、ハウジング20の外面には、金属製の把手23,23の軸部22が合計4つ形成されている。この把手23,23は、図8(A)に示す状態(器具載置状態)から図8(B)に示す状態(器具持ち運び又は器具吊り下げ状態)にかけて任意に動かすことが可能になっている。
【0024】
リフレクター30については、略円錐状をなした樹脂製の反射板であり、その頂点を上向きにしてハウジング20の金属製の蓋部24上に置かれている。ライト10a〜10eは、ハウジング20に収容された状態でリフレクター30の斜面の真上位置に配置される。その結果、ライト10aから出力された光は、図3中矢印で示すようにリフレクター30で反射され、ハウジング20外に向けられる。この点は、ライト10b〜10eについても全く同様である。
【0025】
上記した構成の照明器具100による場合、ライト10a〜10eがハウジング10から取り外し可能であるためライト10a等を懐中電灯として使用可能となる。このとき、ハウジング10に残されたライト10a等により周辺の照明が行なわれる結果、ランタンとしての機能が依然として維持される。このように従来とは異なり器具一台でもって複数箇所(本案例で最大5カ所)の照明を容易に行なうことが可能となる。
【0026】
また、ライト10a〜10eがハウジング10に収納された状態でプッシュスイッチ19a〜19eが露出していることから、オンにするライト10a〜10eの個数により、ランタン照明の明るさ及び方向を容易に調節することが可能となる。この点、特別な明るさ調整回路等が存在しないことから、回路構成が簡単となる。しかもライト10a〜10eの後端部分がハウジング10の上面から出ているので、ライト10a〜10eのハウジング10への抜き差しが容易であり、この点でも使い勝手が良い。
【0027】
更に、ライト10a〜10eの光がハウジング10の軸心周りに均等(本案例では72°ピッチ間隔)に出力され、ハウジング10を透過して拡散され、暖かみを帯びた灯りとなり、この点で高品位な照明を行なうことが可能になる。
【0028】
よって、上記した照明器具100は、簡単な構成であり、低価格でありながら使い勝手が良く、高品位な照明を行なうことが可能となる。
【0029】
上記した構成の照明器具100は、吊り下げ式、載置式等の形式に関係なく使用することが可能である。特に吊り下げ式であるときには、図3中破線で示すようにリフレクター30’をスプリング40等を用いてハウジング10の下方に吊り下げる構成にすると良い。この場合、ライト10a〜10eの各光がリフレクター30’で反射し、ハウジング10を通過することなく、そのまま出力され、その結果、照明領域が広がるとともに照明が高くなる。加えて、蓋部24を取り外したり又は蓋部24として透明なものを用いることを前提に、半透過性を有するリフレクター30’を使用すれば、新たに真下位置も照明することが可能になり、照明領域が一層広がる。
【0030】
上記実施形態においてはランタンとしての使用例であったが、非常用照明器具としても当然に使用可能である。この場合、ハウジング10に充電器を組み合わせて、ハウジング10にライト10a〜10eを収納した状態でライト10a〜10eに内蔵された電池17a等を充電器により充電可能にする等の設計変更を加えても良い。
【0031】
なお、本発明に係る照明器具は上記実施形態に限定されず、次のように設計変更してもかまわない。ライトについては、光源の光を側方に照射したり又は点灯スイッチを側面に取り付ける形態でもかまわない。ハウジングについては、ライトの収納数、収納方式(ライトの全ての部分を収納する形態を含む)、照明範囲(正面、下方又は上方のみを照明する形態を含む)が任意であり適宜設計変更すれば良い。反射手段については、ライトやハウジングに応じたものを使用すれば良く、ライトから出力された光をハウジング外に向けて多少なりとも反射させる機能を有する限り、例えば,ハウジング内のライトの周りの仕切り壁等であってもかまわない。
【符号の説明】
【0032】
100 照明器具
10a〜10e ライト
20 ハウジング
21a〜21e 収容部
211a〜211e 開口
30 リフレクター( 反射手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランタン又は非常用照明器具として使用可能な照明器具であって、光源及び光源用の電池を内蔵するとともに当該光源の光を照射可能な複数のライトと、前記ライトを取り外し可能に収容する収容部を有したハウジングと、前記ハウジング内に設けられ且つ当該ライトから出力された光を前記ハウジング外に向けて反射させる反射手段とを具備したことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
請求項1記載の照明器具において、前記ライトは、前記光源の点灯をオンオフするための点灯スイッチを有した構成となっていることを特徴とする照明器具。
【請求項3】
請求項2記載の照明器具において、前記ハウジングの上面に前記収容部の開口が形成されており、前記ライトは点灯スイッチが後側に配置され且つ少なくとも当該点灯スイッチが露出した状態で前記ハウジングに収納可能になっていることを特徴とする照明器具。
【請求項4】
前記ハウジングが軸状体であり且つ前記ライトが前方に照射可能である場合の請求項3記載の照明器具において、前記反射手段が略円錐状をなした反射部材であり、その頂点を上向きに前記ハウジングの内底部位に同軸上に配置され、前記収容部が前記ハウジングの軸心を中心とした等ピッチ間隔に配置されていることを特徴とする照明器具。
【請求項5】
請求項1記載の照明器具において、前記ハウジングが光拡散性を有していることを特徴とする照明器具。
【請求項6】
前記ハウジングに収納された前記ライトが下向きに出力される場合の吊り下げ形式の請求項4記載の照明器具において、前記反射手段が当該ハウジングの下方に吊り下げられた構成になっていることを特徴とする照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate