説明

照明器具

【課題】配光ムラを改善できる照明器具を提供する。
【解決手段】光源であるLED31が発した光は、光学レンズ33により集光したり拡散したりする。このとき、光学レンズ33の出射面36側に複数の略球面の凹レンズである微小レンズ37を設けたので、均等に発光していない光源31からの光の配光ムラを改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源であるLED(Light Emitting Diode)の前方に光学レンズを備えた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源であるLEDの前方に光学レンズを設けた照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図11に示すように、特許文献1に記載の照明器具100は、X方向に延び下方に開口した矩形箱状の器具本体101と、X方向に並設された複数の光源であるLED102を有する。各LED102の前方には、光学レンズである第1レンズ103および第2レンズ104を有し、第1レンズ103と第2レンズ104との間には拡散レンズ105が設けられている。また、LED102の前方には、各LED102の光を下方に向かって反射する反射シート106が設けられている。
【0003】
第1レンズ103および第2レンズ104は各LED102の光を、集光位置L1に直線状に集光する。
拡散レンズ105は、シート状の基板(図示省略)を有しており、基板の上面に並ぶように複数のレンズ部(図示省略)を有する。各レンズ部は、基板の上面に形成されるとともに、Y方向に長い略楕円形状に形成された凸レンズまたは凹レンズから成る。
【0004】
これにより、各LED102の光は、第1レンズ103、拡散レンズ105および第2レンズ104を通過して、集光位置L1に集光される。
このとき、拡散レンズ105は、各LED102の光をX方向に不規則に拡散するので、X方向への光の拡散が効果的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−225591号公報(第1図、段落0033)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の照明器具においては、直線状に集光する光において光のムラを減少させるものであり、平面的に照射される光におけるムラの減少は考えられていないという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、配光ムラをさらに改善できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明器具は、光源であるLEDと、前記LEDの照射方向前方に設けられた光学レンズと、を有し、前記光学レンズの出射面側に複数の微小レンズを設け、前記微小レンズが略球面の凹レンズであるものである。
【0009】
また、本発明の照明器具は、前記微小レンズの直径をD1とし、表面の曲率をrとすると、Sin(臨界角)>D1/rであり、かつ、前記微小レンズの直径D1が、前記LEDの配光制御部の直径D2に対して、D2/4>D1であるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、光源であるLEDが発した光は、光学レンズにより集光したり拡散したりする。このとき、光学レンズの出射面側に複数の略球面の凹レンズである微小レンズを設けたので、均等に発光していない光源からの光の配光ムラを改善することができるという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施形態の照明器具の斜視図
【図2】LEDパッケージの構成を示す断面図
【図3】光学レンズの並びを示す斜視図
【図4】(A)は図3中IV方向から見た平面図であり、(B)は光学レンズの配列を示す平面図
【図5】(A)は微小レンズを凹レンズとした時の光の屈折を示す説明図であり、(B)は微小レンズを凸レンズとした時の光の屈折を示す説明図
【図6】(A)は微小レンズを凹レンズとした時の光の経路を示す側面図であり、(B)は微小レンズを凸レンズとした時の光の経路を示す側面図
【図7】光源と微小レンズの焦点との関係を示す説明図
【図8】(A)は微小レンズを凹レンズとして微小レンズの曲率が臨界角以内の場合の光の様子を示す断面図であり、(B)は微小レンズを凹レンズとして微小レンズの曲率が臨界角以上の場合の光の様子を示す断面図であり、(C)は微小レンズを凸レンズとした場合の光の様子を示す断面図
【図9】(A)は微小レンズを三角形としたときの配列を示す平面図であり、(B)は微小レンズを正方形としたときの配列を示す平面図
【図10】(A)はLEDパッケージの変形例を示す断面図であり、(B)はさらに別の変形例を示す断面図
【図11】従来の照明器具の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、例えば、天井等に取り付けて、下方を照明するスポットライトとすることができる。
この照明器具10では、天井等に移動可能に取り付けられる矩形箱状の電源部11を有し、電源部11には、灯具20が設けられている。灯具20は、コ字状の支持部材12の下端部に回動可能に設けられており、支持部材12は電源部11に回動可能に設けられている。
従って、灯具20は、上下方向(図1中矢印A参照)および水平方向(図1中矢印B参照)に回動可能となっており、照射方向の調整が可能となっている。
【0013】
灯具20は、複数個のLEDパッケージ30(図2参照)を収容する円柱状の灯具本体21を有しており、灯具本体21には、LEDパッケージ30が発した熱を放出するための薄板状の複数の放熱フィン22が一体的に設けられている。
【0014】
図2に示すように、LEDパッケージ30では、光源であるLED31(以後、LEDチップ31という。)が基板32に実装されており、LEDチップ31の照射方向前方(図2において上方)には光学レンズ33が設けられている。ここで、光学レンズ33の配光制御部である出射面36の直径をD2とする。
なお、光学レンズ33は、灯具本体21に取り付けられており(図3参照)、光学レンズ33は、隙間34を介してLEDチップ31に対向している。光学レンズ33において、LEDチップ31からの光を一括して入射させる入射面35は、凸レンズ状に形成されている。
【0015】
また、図2、図4(A)および図4(B)に示すように、光学レンズ33の出射面36には、複数の微小レンズ37が設けられている。微小レンズ37は、略球面の一部で構成される凹レンズである。
図5(A)に示すように、出射面36に凹レンズの微小レンズ37を有する光学レンズ33を透過した光L1は、平行にならずに拡がる。このため、図6(A)に示すように、光L1は光ムラの発生が抑えて拡がる。
【0016】
これは、光学レンズ33の基本カーブと、微小レンズ37のカーブで構成される仮想レンズの焦点位置との関係に基づく。
すなわち、図7に示すように、微小レンズ37の基本カーブC1の焦点位置S1に対して、微小レンズ37を凹レンズにした場合の基本カーブC1と微小レンズ37で構成される仮想レンズの焦点S2は、LEDチップ31から遠い位置になる。このため、光ムラが発生しにくい。
【0017】
一方、図5(B)に示すように、凸レンズの微小レンズ37Bを有する光学レンズ38を透過した光L2は平行となる。このため、図6(B)に示すように、光ムラが生じる。すなわち、図6(B)中丸印で示す位置では、光が平行となって集中しているため明るく、その周囲は暗くなるので、光りムラが生じる。
これは、図7に示すように、基本カーブC1の焦点位置S1に対して、微小レンズ37Bを凸レンズで構成した場合の基本カーブC1と微小レンズ37Bで構成される仮想レンズの焦点S3は、LEDチップ31に近い位置になる。このため、光ムラが発生しやすくなる。
【0018】
ここで、図2に示すように、微小レンズ37の出射面36における直径をD1、微小レンズ37の曲率をr、光学レンズ33の出射面36側の直径をD2とすると、Sin(臨界角)>D1/r、かつ、D2/4>D1 となるように設定する。
これにより、確実に配光ムラが少なくなる。
【0019】
図8(A)には、上述した式を満足する微小レンズ37を用いた場合の光の様子が示されており、図8(B)には、上述した式を満足しない微小レンズ37を用いた場合の光の様子が示されている。また、図8(C)には、微小レンズ37Bを凸レンズとした場合の光の様子が示されている。
【0020】
すなわち、図8(B)に示すように、微小レンズ37の曲率rが上式を満足しない場合には、ムラ消しの効果はあるが、効率が低下しすぎるという問題がある。
また、図8(C)に示すように、微小レンズ37Bを凸レンズとした場合には、効率は維持できるが、光ムラが発生するという問題がある。
本件の照明器具10によれば、図8(A)に示すように、光ムラを押えながら、効率も維持できる。
【0021】
次に、微小レンズ37の配列について説明する。
図4(B)に示すように、出射面36は、例えば六角形に形成することにより、6個の光学レンズ33が隙間なく配置することができる。
このとき、図4(A)に示すように、微小レンズ37の外形を六角形とすることにより、光学レンズ33の出射面36に、微小レンズ37をハニカム構造のように隙間なく、かつ、均一に設けることができる。
【0022】
また、図9(A)に示すように、微小レンズ37Cの直径を三角形に形成することによっても、隙間なく、かつ、均一に設けることができる。
さらに、図9(B)に示すように、微小レンズ37Dの直径を正方形に形成することによっても、隙間なく、かつ、均一に設けることができる。
【0023】
以上、説明した本発明に係る実施形態の照明器具10によれば、LEDチップ31が発した光は、光学レンズ33により集光したり拡散したりする。
このとき、光学レンズ33の出射面36側に複数の略球面の凹レンズである微小レンズ37を設けたので、均等に発光していないLEDチップ31からの光の配光ムラを改善することができる。
【0024】
また、微小レンズ37の直径をD1とし、表面の曲率をrとしたときに、Sin(臨界角)>D1/rであり、かつ、微小レンズ37の直径D1が、光学レンズ33の出射面36の直径D2に対して、D2/4>D1となるようにした。
このため、LEDパッケージ30からの光の配光ムラを改善することができる。
【0025】
なお、本発明の照明器具は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
すなわち、前述した実施形態においては、LEDチップ31の直前に対向する凸状の入射面35を設けたLEDパッケージ30について説明した。
このほか、図10(A)に示すように、LEDチップ31から離れて平板状の光学レンズ33Bを設け、入射面35Bの中央部に凸部を設ける。そして、LEDチップ31と光学レンズ33Bとの間に、反射板39を設けたLEDパッケージ30Bを用いることもできる。なお、前述したLEDパッケージ30と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
さらに、図10(B)に示すように、LEDチップ31から離れて平板状の光学レンズ33Cを設け、入射面35C全体にわたる凸部を設けたLEDパッケージ30Cを用いることもできる。
【符号の説明】
【0026】
10 照明器具
31 LEDチップ(LED)
33、33B 光学レンズ
36 出射面(配光制御部)
37 微小レンズ
D1 微小レンズの直径
D2 光学レンズの直径
r 曲率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源であるLEDと、
前記LEDの照射方向前方に設けられた光学レンズと、を有し、
前記光学レンズの出射面側に複数の微小レンズを設け、
前記微小レンズが略球面の凹レンズである照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記微小レンズの直径をD1とし、表面の曲率をrとすると、
Sin(臨界角)>D1/r
であり、
かつ、前記微小レンズの直径D1が、前記LEDの配光制御部の直径D2に対して、
D2/4>D1
である照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−45707(P2013−45707A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183883(P2011−183883)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】