説明

照明器具

【課題】明るさ一定制御を高精度にできる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、光色の異なる複数の光源11,12と、光源11,12を光色毎に調光することにより調光および調色させる調光点灯回路13,14と、光源11,12からの被照射面の明るさを検出する明るさセンサ15と、明るさセンサ15からの信号により被照射面の明るさが一定となるように自動で調光制御する自動調光制御回路16とを備え、自動調光時の照度目標値を設定するため、ある一つの光源11を点灯させて反射率を測定し、計算により求めた調光および調色時の照度目標値を用いて調光制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明からの光と窓から入る外光等との照度を検出して、自動で明るさを制御する照明器具に関し、特に複数の光色の光源を調光して調色した際に室内の明るさを自動制御する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源を点灯させる点灯装置と、光源による被照射面の照度を検出する照度検出部とを備えて、照度検出部による照度検出値に基づいて光源の光出力を制御する照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、被照射面の照度を所定値に設定するための照度目標値に合わせて、照度検出値が一定になるように明るさを制御する照度一定制御機能を有する制御部を備える。
【0003】
特許文献1は、制御部が、標準的な被照射面の状態で調光レベルを変化させた各調光レベルに対応する照度基準値である基準カーブと、実際の被照射面の反射率に基づいて算出した補正係数とを用いて、照度一定制御時の照度目標値を算出設定する。
特許文献1は、基準カーブと補正係数とを用いて照度一定制御時の照度目標値を算出設定することにより室内の照度を一定に保つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−49834号公報(図2、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、窓から入る外光等を利用して室内の照度を一定に保つように自動で調光でき、照度一定制御においてランプ出力が出過ぎることを防止でき、省エネルギーを図れる。
【0006】
ところで、近年、LEDのような高効率で小型の光源を複数並べて点灯させる高効率の照明器具が提案されている。
さらに、光色の違う光源を使って調光しながら光色の違う光源を切り替えて使うことにより、調色と調光とを自在に制御できる照明器具が提案されている。
このような従来の照明器具は、昼光色と電球色との光源を備え、各々の光源の調光比率を変えることにより調色し、各色の調光比率を保ったまま調光することにより、調色比率を保ったまま調光できる。
【0007】
しかし、このような調色機能付の照明器具と明るさセンサとを組み合わせて、調色しながら室内照度を一定に保つ制御を行うと、正しく制御できないことがある。
これは、照度検出部のセンサの分光感度が光色の違いにより異なることによる。特に、LEDのような特定の波長に鋭いピークを持つ光源と組み合わせた場合に生ずる。
【0008】
図5に示すように、このような従来の照明器具100は、明るさセンサの分光感度と光色の違うLEDの分光感度とにおいて、電球色のLEDは、620nm付近にピークを持つ発光が主である。
これに対し、このような従来の照明器具100は、昼光色のLEDでは、460nm付近と、560nm付近とにピークを持つ2つの発光が主となっている。
【0009】
一方、このような従来の照明器具100は、明るさセンサが、380〜630nm付近の発光を検出する。
そのため、このような従来の照明器具100は、同じ明るさで発光している昼光色と電球色のLEDの光を検出しても、昼光色のLEDの方が電球色のLEDよりも検出値が大きくなる。
従って、このような従来の照明器具100は、照度一定制御を行っていても、調色を行うと、センサの照度検出値が変化して、一定制御できなくなる。
【0010】
さらに、このような従来の照明器具100は、昼光色のみで100%点灯した時と、電球色のみで100%点灯した時とで、照度が異なるような場合、照度一定制御する照度目標値がそれぞれの光色で異なってくる。
加えて、このような従来の照明器具100は、昼光色と電球色とを混色して調色すると、調色比率により照度目標値が変わってしまい、正しく照度一定制御できない。
【0011】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、明るさ一定制御を高精度にできる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る照明器具は、光色の異なる複数の光源と、前記光源を光色毎に調光することにより調光および調色させる調光点灯回路と、前記光源からの被照射面の明るさを検出する明るさセンサと、前記明るさセンサからの信号により前記被照射面の明るさが一定となるように自動で調光制御する自動調光制御回路とを備え、自動調光時の照度目標値を設定するため、ある一つの光源を点灯させて反射率を測定し、計算により求めた調光および調色時の照度目標値を用いて調光制御を行う。
【0013】
本発明に係る照明器具は、調光および調色時の前記照度目標値を、前記光源の全点灯時の照度比と、前記光源に対する前記明るさセンサの感度比と、点灯時の前記光源の調光比と、前記反射率の測定値とから求める。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る照明器具によれば、明るさ一定制御を高精度にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る一実施形態の照明器具のブロック構成図
【図2】本発明に係る一実施形態の照明器具における複数の光源の照度を直線的に増減する場合の照度と調色比率との関係図
【図3】本発明に係る一実施形態の照明器具における外光がない場合に標準的な被照射面の状態での調色のセンサ電圧と調色比率との関係図
【図4】本発明に係る一実施形態の照明器具における複数の光源の調光比率を一定にしたままで調光した場合のセンサ電圧と調光比率との関係図
【図5】従来の照明器具の明るさセンサの分光感度と光色の違う光源の分光感度との関係図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る一実施形態の照明器具について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態の照明器具10は、昼光色の第1光色を発光するLEDである第1光源11と、第1光色とは異なる電球色の第2光色を発光するLEDである第2光源12とを備える。
また、照明器具10は、第1光源11の第1光色を調光することにより調光および調色させる調光点灯回路である第1点灯回路13と、第2光源12の第2光色を調光することにより調光および調色させる調光点灯回路である第2点灯回路14とを備える。
【0017】
そして、照明器具10は、第1光源11および第2光源12からの被照射面の明るさを検出する明るさセンサ15と、明るさセンサ15からの信号により被照射面の明るさが一定となるように自動で調光制御する自動調光制御回路16とを備える。
さらに、照明器具10は、自動調光制御回路16による自動調光時の照度目標値を設定するため、第1光源11を点灯させて反射率を測定し、計算により求めた調光および調色時の照度目標値を用いて調光制御を行う調光制御回路17を備える。
加えて、照明器具10は、調光制御回路17が、調光および調色時の照度目標値を、第1光源11の全点灯時の照度比と、第1光源11に対する明るさセンサ15の感度比と、点灯時の第1光源11の調光比と、反射率の測定値とから求める。
【0018】
照明器具10は、第1光源11および第2光源12が連続調光可能であり、第1光源11および第2光源12をそれぞれ調光して調色比率を変えることにより、調色・調光ができる。
照明器具10は、明るさセンサ15を備えるために、室内の照度を一定に制御できる。
照明器具10は、室内環境での明るさセンサ15の感度補正のために、設置時に第1光源11を100%点灯し、そのときのセンサ電圧でその補正値を設定する。
照明器具10は、調光・調色時に照度目標値を計算により求める。
【0019】
照明器具10の調色制御の方法は、昼光色の第1光源11が最大出力点灯、第2光源12が最小出力点灯(あるいは消灯)から、電球色の第2光源12側に調色する場合、第1光源11の出力を減少させると同時に第2光源12の出力を増加させる。
【0020】
次に、第1光源11と第2光源12との照度を例えば直線的に増減させる場合について説明する。
図2に示すように、第1光源11の照度をLとし、第2光源12の照度をLとして、第1光源11の最大照度をLmaxとし、第2光源12の最大照度をLmaxとする。
混色された出力は、第1光源11と第2光源12との和となり、照度Lは、直線的に変化する。
つまり、調色比率aを第1光源11のみ点灯する時に0と定義し、第2光源12のみを点灯する時に1と定義して、調光比率aが0から1まで変化するときに、第1光源11の照度Lは、以下の数式1により得られる。
【0021】
【数1】

【0022】
また、第2光源12の照度Lは、以下の数式2により得られる。
【0023】
【数2】

【0024】
この時の混色の照度Lは、以下の数式3により得られる。
【0025】
【数3】

【0026】
また、第1光源11の最大照度Lmaxに対して第2光源12の最大照度Lmaxが少ない場合、この倍率をm倍(m<1)とすると、第2光源12の最大照度Lmaxは、以下の数式4により得られる。
【0027】
【数4】

【0028】
この時の混色の照度Lは、以下の数式5により得られる。
【0029】
【数5】

【0030】
次に、外光がない時に標準的な被照射面の状態で調色する場合について説明する。
図3に示すように、第1光源11の照度Lと第2光源12の照度Lとが同じ場合である。
このとき、第2光源12の照射時のセンサ電圧Vは、第1光源11の照射時のセンサ電圧Vのn倍(n<1)となる場合、第1光源11の最大出力でのセンサ電圧Vmaxと第2光源12のセンサ電圧Vmaxは、以下の数式6により得られる。
【0031】
【数6】

【0032】
ここで、第1光源11の最大出力でのセンサ電圧Vmaxから第2光源12のセンサ電圧Vmaxに向けて調色時のセンサ電圧Vは、センサ電圧Vmaxからセンサ電圧Vmaxの間を直線的に変化する。
つまり、調色比率aを第1光源11のみを点灯する時に0と定義し、第2光源12のみを点灯する時に1と定義して、調色比率aが0から1まで変化するときに、センサ電圧Vは、以下の数式7により得られる。
【0033】
【数7】

【0034】
そして、センサ電圧Vは、以下の数式8により得られる。
【0035】
【数8】

【0036】
そのため、標準的な被照射面に、この混色を照射したときのセンサ電圧Vは、以下の数式9により得られる。
【0037】
【数9】

【0038】
次に、第1光源11と第2光源12との調光比率を一定としたまま調光をする場合について説明する。
図4に示すように、このときのセンサ電圧Vは、調光比率b(0が消灯であり、1が100%点灯である。)に対して直線的に変化する。
100%点灯時の調色時のセンサ電圧Vより、センサ電圧Vは、以下の数式10により得られる。
【0039】
【数10】

【0040】
このとき、センサ電圧Vは、標準的な被照射面の状態での反射に基づくセンサ電圧であるため、実際の照明器具10の設置環境での被照射面の反射率を測定し、その差を補正係数kとする。
例えば、照明器具10を部屋に設置したときに、環境設定として外光がない状態において第1光源11で100%点灯したときのセンサ電圧を測定し、標準環境での第1光源11でのセンサ電圧Vと比較して補正値kを求める。
実環境での外光がない場合のセンサ電圧Vは、以下の数式11により得られる。
【0041】
【数11】

【0042】
このとき、パラメータa,パラメータbは第1光源11と第2光源12との制御パラメータであり、mは照明器具10として事前に設定される固定値である。
また、nは照明器具10に設定される第1光源11および第2光源12と明るさセンサ15との仕様によりあらかじめ決まる値である。
つまり、実使用環境において補正値kを求めれば、調色・調光しても、その照明器具10からの光によるセンサ電圧は分かることになる。
従って、任意の調色・調光状態で、正しく照度目標値が設定でき、外光が入ってきても照度一定で自動調光できる。
【0043】
以上、説明した本発明に係る一実施形態の照明器具10によれば、室内環境での明るさセンサ15の感度補正のために、設置時に第1光源11を100%点灯し、そのときのセンサ電圧でその補正値kを設定する。
そして、照明器具10によれば、調光・調色時に照度目標値を計算により求める。
従って、照明器具10によれば、第1光源11の点灯により設置環境の反射率測定をすることにより明るさ一定制御を精度良くできる。
【0044】
また、本発明に係る一実施形態の照明器具10によれば、調光および調色時の照度目標値を、第1光源11の点灯時の照度比と、第1光源11に対する明るさセンサ15の感度比と、点灯時の第1光源11の調光比と、反射率の測定値とから求める。
従って、調光および調色時の照度目標値を高精度に取得できる。
【0045】
なお、本発明の照明器具において明るさセンサ,自動調光制御回路等は、前述した一実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 照明器具
11 第1光源(光源)
12 第2光源(光源)
13 第1点灯回路(調光点灯回路)
14 第2点灯回路(調光点灯回路)
15 明るさセンサ
16 自動調光制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光色の異なる複数の光源と、
前記光源を光色毎に調光することにより調光および調色させる調光点灯回路と、
前記光源からの被照射面の明るさを検出する明るさセンサと、
前記明るさセンサからの信号により前記被照射面の明るさが一定となるように自動で調光制御する自動調光制御回路とを備え、
自動調光時の照度目標値を設定するため、ある一つの光源を点灯させて反射率を測定し、計算により求めた調光および調色時の照度目標値を用いて調光制御を行う照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
調光および調色時の前記照度目標値を、前記光源の全点灯時の照度比と、前記光源に対する前記明るさセンサの感度比と、点灯時の前記光源の調光比と、前記反射率の測定値とから求める照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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