照明装置および照明器具
【課題】スイッチ素子をオフとした際に、少ない低インピーダンス素子でLEDの微発光を防止できる照明装置および照明器具を提供する。
【解決手段】商用電源14から電力の供給を受けて点灯回路13が、直列接続された光源である複数のLED40を点灯させる。そして、商用電源14と点灯回路13との間に設けられたスイッチ素子15をオフとしてLED40を消灯させる。このとき、直列接続された複数個のLED40に対して、両端に低インピーダンス素子50を並列接続したので、低インピーダンス素子50の数を半分以下に減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された筐体20を介して漏れ電流が流れるのを防止する。これにより、省スペースで部品を実装できるほか、部材費や加工費の低減を実現することができる。
【解決手段】商用電源14から電力の供給を受けて点灯回路13が、直列接続された光源である複数のLED40を点灯させる。そして、商用電源14と点灯回路13との間に設けられたスイッチ素子15をオフとしてLED40を消灯させる。このとき、直列接続された複数個のLED40に対して、両端に低インピーダンス素子50を並列接続したので、低インピーダンス素子50の数を半分以下に減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された筐体20を介して漏れ電流が流れるのを防止する。これにより、省スペースで部品を実装できるほか、部材費や加工費の低減を実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDなどの半導体発光素子を光源とした照明装置およびこの照明装置を搭載した照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フィラメントを有する電球や蛍光灯に代わって、寿命が長く、また消費電力の少ない発光ダイオード(以下LEDと称する)が、照明装置の光源として採用されるようになってきている。しかし、LEDは素子1個あたりの光束が小さいため、蛍光灯の代わりに主照明として利用するには、多数のLEDを使用しなければならない。従って、LEDを点灯させる点灯装置は、商用電源から変換された数100Vの直流電圧を、直列接続された複数のLEDへ印加して点灯させる方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
図11に示すように、特許文献1に記載の照明器具100は、例えば、非常口への誘導を行う誘導灯であり、箱状の器具本体の前面部には、非常口に案内する図柄が描かれた表示板が設けられる。また、器具本体の内部には、複数個のLED101が実装されたLED基板102が収納されており、LED基板102は、コネクタ103を介して点灯回路104に接続される。
【0003】
LED基板102は、直線状に配列された複数個のLED101を交互に直列接続して複数系列のLED配列を有する。そして、LED基板102のLED101からの光は、導光板を介して導光板の出射面に設けられた表示板を照明し、非常口に案内する図柄を表示する。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような照明装置では、高電圧の直流をLEDへ印加するため、漏れ電流の問題が無視できない。
すなわち、図12に示すように、接地された筐体106とLEDユニット107の間に生じる浮遊容量Cを介して漏れ電流が流れ、この漏れ電流がLED101に流れてしまうことで、消灯スイッチ108でLED101を消灯制御してもLED101が消灯しきれずに微発光してしまうという問題がある。
【0005】
消灯スイッチ108は、LED101を消灯制御するものであり、点灯回路104への電源供給を遮断する位置に挿入されている。しかし、この消灯スイッチ108が商用電源105の低圧側に挿入された場合は、消灯スイッチ108をOFFにしてもループR1で点灯回路104の高圧側から漏れ電流が流れ、LED101に微少電流が流れることで微発光してしまう。
消灯スイッチ108は、一般の家庭やオフィスにおける壁スイッチに相当するものであり、商用電源105の高圧側へ挿入されるのが一般的であるが、特に一般家庭ではこの極性を固定することが困難である。また、一般家庭用の照明器具で広く普及しているリモコン制御についても、点灯回路104内で消灯制御する場合においては、商用電源105の高圧側からの通電状態はそのまま維持されるため同様の問題が生じてしまう。
【0006】
このような問題を解決するために、浮遊容量Cを介した漏れ電流が流れても、LED101が微発光しないように改善した回路が提案されている。
すなわち、図13に示すように、LED101の各素子と並列にコンデンサ109を接続し、そのインピーダンスを浮遊容量Cよりも小さく設定する。このような構成とすることで、消灯スイッチ108が商用電源105の低圧側に挿入された場合でも、消灯スイッチ108がOFFになると、漏れ電流はインピーダンスの低いコンデンサ109側を流れようとする。最も低圧側に接続されたLED101では、カソード側と筐体106との間の浮遊容量Cを介して漏れ電流が流れることになるが、LED101には流れない。つまり、LED101に漏れ電流が流れることは無いので、消灯制御時にLED101が微発光するという問題を解決することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−258033号公報(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した方法では、LED101の数と同数のコンデンサ109が必要となるため、部品点数が非常に多くなり、部材費や組立加工費が高価になるとともに、コンデンサ109を実装するためのスペース確保も必要である。また、LED101が実装されたLEDユニット110の検査を実施する際にも、コンデンサ109への充電時間を見越した分が余計に必要となってしまうので、検査時間も長くなり、生産性も低下してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、主に、スイッチ素子をオフとした際に、少ない低インピーダンス素子でLEDの微発光を防止できる照明装置および照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の照明装置は、光源となる複数のLEDと、商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、接地された筐体と、を有し、複数の前記LEDは直列接続されるとともに、直列接続された複数個の前記LEDに対して、その両端に低インピーダンス素子を並列接続したものである。
【0011】
本発明の照明装置は、光源となる複数のLEDと、商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、接地された筐体と、を有し、複数の前記LEDは直列接続されるとともに、直列接続された前記LEDの少なくとも前記点灯回路の高圧側に接続された前記LEDの両端に低インピーダンス素子を並列接続したものである。
【0012】
また、本発明の照明装置は、光源となる複数のLEDと、商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、接地された筐体と、を有し、複数の前記LEDは直列接続されるとともに、前記点灯回路の出力両端間に低インピーダンス素子を接続し、前記低インピーダンス素子のインピーダンスは、消灯制御時で各々の前記LEDの両端電圧が1.5V以下となるような値とするものである。
【0013】
また、本発明の照明装置は、前記低インピーダンス素子はコンデンサであるものである。
【0014】
さらに、本発明の照明器具は、前述した照明装置を組み込んだものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、直列接続された複数個のLEDに対して、両端に低インピーダンス素子を並列接続したので、低インピーダンス素子の数を半分以下に減少させて、点灯回路の高圧側から接地された筐体を介して漏れ電流が流れるのを防止する。これにより、スイッチ素子をオフとした際に、少ない低インピーダンス素子でLEDの微発光を防止できるという効果を有する照明装置および照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の照明器具を下方から見た全体斜視図
【図2】第1実施形態の照明器具を下方から見た分解斜視図
【図3】第1実施形態の照明器具の中心を通る断面図
【図4】第1実施形態の照明器具を上方から見た平面図
【図5】第1実施形態のLEDユニットのLED基板に実装されている異なる2種類のLED光源の配置を示す平面図
【図6】図5中VI部分の拡大図
【図7】第1実施形態の照明器具の回路図
【図8】第2実施形態の照明器具の回路図
【図9】第3実施形態の照明器具の回路図
【図10】白色LEDの順電圧(VF)−順電流(IF)特性を示すグラフ
【図11】従来の照明装置におけるLEDの配置を示す平面図
【図12】従来の照明装置における問題点を説明する回路図
【図13】従来の照明装置における問題点を説明する別の回路図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の照明装置および照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、以下の説明においては、照明器具を被取付面である天井面に取り付けて下方を照明する場合について説明する。従って、特に示す場合を除き、上(上方、上側等)は天井面側を意味し、下(下方,下側等)は床面側を意味する。
【0018】
図1に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、被取付面である天井面11等に取り付けられて主に下方を照明するのに適する。
図2および図3に示すように、照明器具10は、天井面11に取り付けられている引っ掛けシーリング12に取り付けるための取付金具21を中央に有する例えば正方形の板状の器具本体(筐体)20を有する。
【0019】
器具本体20の上側(すなわち、天井面11側)には、照明装置であるLEDユニット30を構成するアッパーユニット30A、上枠23および上パネル22が設けられている。また、器具本体20の下側(すなわち、照明方向側)には、LEDユニット30を構成するロアーユニット30B、反射部材である反射板24が設けられており、反射板24の下方には、受けた光を拡散する透光性のパネル25が取り付けられる。
【0020】
図7にも示すように、商用電源14から電力の供給を受けて、LEDユニット30を点灯させる点灯回路13が、照明器具10内に内蔵されており、各々アッパーユニット30Aおよびロアーユニット30Bと電気的に接続されている。
なお、商用電源14と点灯回路13との間にはスイッチ素子15が設けられており、LEDユニット30を消灯させる。
【0021】
次に、本発明に係る実施形態の照明装置であるLEDユニット30を構成するアッパーユニット30Aおよびロアーユニット30Bについて説明する。
なお、以下においては、特にアッパーユニット30Aおよびロアーユニット30Bを区別する場合を除き、LEDユニット30として説明する。
【0022】
図4に示すように、アッパーユニット30Aは、器具本体20の上側において、四方外向きに設けられている。また、ロアーユニット30Bは、器具本体20の下側において、2カ所に設けられており、内側へ光を照射するようになっている。
図3に示すように、上述したLEDユニット30を用いた照明器具10では、器具本体20の下側に設けられているロアーユニット30Bから照明器具10の内部に向かって発せられた光L1は、反射板24で下方に反射してパネル25に入射して拡散する。これにより、パネル25全体が光源となって下方を照明する。
一方、器具本体20の上側に設けられているアッパーユニット30Aから照明器具10の外側へ発せられた光L2は、天井面11へ照射されて、天井面11および壁面(図示省略)を照明する。
【0023】
図5に示すように、LEDユニット30では、LED基板31の実装面311に、種類が異なる複数の第1のLED光源40Aと複数の第2のLED光源40Bが実装されている。
なお、以下の説明において、2種類のLED光源40A、40Bを総称する際には、「LED光源40」と表示する。
第1のLED光源40Aおよび第2のLED光源40Bは、一部(端部)を除き各々偶数個(ここでは、例えば2個)をひとかたまりとして、交互に配置されている。そして、端部には、その隣(内側)に配設されたLED光源40とは異なる種類のLED光源40が配設されるようにする。
【0024】
複数の第1のLED光源40Aは、第1の回路32Aにより直列に接続されている。また、複数の第2のLED光源40Bは、第1のLED光源40Aとは別系統で、第2の回路32Bにより直列に接続されている。
第1の回路32Aと第2の回路32Bとは別個であり、例えば、クランク状に配線することができる。このとき、第1の回路32Aおよび第2の回路32Bのクランク形状が、略平行となるように配線する。
【0025】
実装面311において、長手方向の基板両端部312、313から見て端部のLED光源40より内側の位置に、コネクタ33が取り付けられる。コネクタ33は、商用電源14からの電気配線が接続されて電力の供給を受け、点灯回路13により第1の回路32Aを介して第1のLED光源40Aを点灯させるとともに、第2の回路32Bを介して第2のLED光源40Bを点灯させる。
従って、第1のLED光源40Aと第2のLED光源40Bは、個別に制御可能となっている。
【0026】
図6に示すように、第1の回路32Aにより直列に接続されている偶数個(ここでは、例えば2個)の第1のLED光源40A(401A、402A)をひとかたまり(群41A)として、低インピーダンス素子であるコンデンサ50Aを接続している。
例えば、第1の回路32Aの場合では、LED光源401Aのアノード端子と直列に接続しているLED光源402Aのカソード間にコンデンサ50Aを接続している。
第2の回路32Bについても同様であり、LED光源401Bのアノード端子と直列に接続しているLED光源402Bのカソード間にコンデンサ50Bを接続している。
【0027】
図7には、照明器具10の回路が示されている。なお、ここでは、例えば第1の回路32Aについてのみ示してあるが、第2の回路32Bについても同様である。
この照明器具10では、コンデンサ50のインピーダンスを、LEDユニット30と接地された器具本体20との間に生じる浮遊容量Cよりも小さく設定することにより、浮遊容量Cを介して流れる漏れ電流がLED光源40(401A、401B)に流れないようにしている。
【0028】
ここで、照明用として用いられる白色LEDの順方向電圧(VF)は、3V程度であるので、図6および図7で示したように、2個直列接続した場合の両端電圧は6V程度である。この電圧であれば、コンデンサ50の耐電圧は16V以上あれば良いので、チップセラミックコンデンサで対応できる。例えば、1608サイズ・DC16V・0.1μFなどが使用可能である。
【0029】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明装置30および照明器具10によれば、商用電源14から電力の供給を受けて点灯回路13が、直列接続された光源である複数のLED光源40を点灯させる。そして、商用電源14と点灯回路13との間に設けられたスイッチ素子15をオフとしてLED光源40を消灯させる。
このとき、直列接続された複数個のLED光源40に対して、両端に低インピーダンス素子としてコンデンサ50を並列接続した。このため、コンデンサ50の数を半分以下に減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された器具本体20を介して漏れ電流が流れるのを防止する。
これにより、省スペースで部品を実装できるほか、部材費や加工費の低減を実現することができる。また、LEDユニット30の検査を実施する際にも、例えばインサーキット検査では、コンデンサ50への充電時間を見越した検査時間を設定する必要があるが、この時間を短くすることができるので、生産性の向上にも効果的である。
【0030】
また、本発明の第1実施形態のLEDユニット30によれば、低インピーダンス素子としてコンデンサ50を用いて、LEDの微発光を防止することができる。
【0031】
さらに、本発明の照明器具10によれば、直列接続されたLED光源40に対して、点灯回路13の高圧側に接続されたLED光源40の両端にコンデンサ50を並列接続した。このため、コンデンサ50の数を減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された器具本体20を介して漏れ電流が流れるのを防止することができ、スイッチ素子15をオフとした際に、少ないコンデンサ50でLED光源40の微発光を防止できる。
【0032】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る第2実施形態の照明装置および照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態にかかる照明装置および照明器具と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図8に示すように、本発明に係る第2実施形態のLEDユニット(照明装置)302Bおよび照明装置10Bでは、漏れ電流の影響が大きい部位、すなわち、直列接続されたLED光源40のうち点灯回路13の高圧側に接続されたLED光源40の両端に重点的にコンデンサ50を設けた。
【0033】
直列接続されたLED光源40は、点灯回路13から出力される直流電圧によって点灯し、点灯時の出力電圧は、各々のLED光源40のVF(順方向電圧)が積み上がったものである。仮に、VFを3V、直列数を60個とすると、出力電圧は約180Vとなる。
LEDユニット302Bから器具本体20への漏れ電流は、浮遊容量Cと電位差によって決まる。従って、浮遊容量Cが一定と仮定すると、漏れ電流は電位差の大きな部位ほど大きく、電位差の小さな部位は小さくなる。つまり、電位差の大きな部位からの漏れ電流がLED光源40へ流れないよう重点的に対策することによって、消灯制御時にLED光源40が微発光することを防ぐことができる。
【0034】
図8では、LED光源401Aがn個直列接続されたLEDユニット302Bにおいて、高圧側の3個に対して、各々のLED光源401Aへコンデンサ50を挿入する。高圧側3個のLED光源401Aは、挿入したコンデンサ側へ漏れ電流が流れることによって、微発光はしない。
これよりも低圧側のLED光源401Bは、浮遊容量Cによる漏れ電流が流れるが、LED光源401Bが微発光しなければ、漏れ電流を必ずしもゼロにする必要はない。つまり、コンデンサ50を追加した最も低圧側のダイオードのカソード側電位(=V1)が、微発光しない程度に十分低い電圧であれば、これより低圧側のLEDにはコンデンサの追加が不要であり、部材費や加工費の低減が可能である。
【0035】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態のLEDユニット302Bおよび照明器具10Bによれば、商用電源14から電力の供給を受けて点灯回路13が、直列接続された光源である複数のLED光源40を点灯させる。そして、商用電源14と点灯回路13との間に設けられたスイッチ素子15をオフとしてLEDを消灯させる。
このとき、直列接続されたLED光源40のうち点灯回路13の高圧側に接続されたLED光源401Aの両端にのみコンデンサ50を並列接続した。このため、コンデンサ50の数を減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された器具本体20に流れるによってLED光源40が微発光するのを防止することができる。
【0036】
(第3実施形態)
以下、本発明に係る第3実施形態の照明装置および照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態または第2実施形態にかかる照明装置および照明器具と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図9に示すように、本発明に係る第3実施形態のLEDユニット(照明装置)302Cおよび照明装置10Cでは、点灯回路13の高圧側出力と低圧側出力との間にコンデンサ50を設けた。
【0037】
照明用として用いられる白色LED光源40の点灯時の順電圧VFは、3V程度である。一例として、白色LEDの順電圧(VF)−順電流(IF)特性を図10に示す。
図10に示すように、順電流10μAにおける順電圧は、約2.3Vとなっている。実験の結果、10μA程度の順電流であっても、周囲の照度が低い場合は、LED光源40が微発光していることを目視確認できることが分かった。
従って、目視確認できないレベルの順電流に抑えるには、順電圧を点灯時の約半分である1.5V以下に抑える必要がある。
【0038】
LED点灯時は、点灯回路13から直流電圧Voutが出力されるため、コンデンサ50の両端電圧Vcpは直流電圧となり、漏れ電流は流れない。一方、LED消灯制御時は、点灯回路13の高圧側出力端に交流である商用電源電圧が発生するため、コンデンサ50には漏れ電流が流れる。同時に、浮遊容量Cの最も低圧側となるCsnにも漏れ電流が流れる。漏れ電流によってコンデンサ50とCsnに発生する電圧は、各々の容量に反比例した分圧となる。従って、Csnに対してコンデンサ50の容量を大きくし、各々のLED光源40のVFが1.5V以下となるようにコンデンサ50の容量を設定すれば、LED光源40の微発光を抑制することができる。
【0039】
以上、説明した本発明に係る第3実施形態の照明装置302Cおよび照明器具10Cによれば、商用電源14から電力の供給を受けて点灯回路13が、直列接続された複数のLED光源40を点灯させる。そして、商用電源14と点灯回路13との間に設けられたスイッチ素子15をオフとしてLED光源40を消灯させる。
このとき、直列接続されたLED光源40のうち点灯回路13の高圧側に接続されたLED光源40の両端にコンデンサ50を並列接続したので、コンデンサ50の数を減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された器具本体20を介して漏れ電流が流れるのを防止する。
これにより、スイッチ素子15をオフとした際に、少ないコンデンサ50でLED光源40の微発光を防止できる。
また、1個のコンデンサ50で効果的にLED光源40の微発光を抑制することが可能となり、一層少ないコンデンサ50でLED光源40の微発光を防止できる。
【0040】
なお、本発明の照明装置および照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態において、LED光源40と並列に低インピーダンス素子としてコンデンサ50を挿入する例で説明したが、挿入する素子はコンデンサ50に限定されるものではない。商用電源14の周波数に対して、LED光源40や浮遊容量Cよりも低インピーダンスであれば、抵抗など他の素子でも同様の効果を得ることができる。
また、スイッチ素子15はその形態を限定されるものではなく、壁スイッチであっても、リモコン消灯制御時のスイッチ素子(半導体など)であっても良い。
また、コンデンサ50が接続されるLED光源40の直列数も、2個以上であれば特に限定されるものではない。コスト面を考慮すると、DC50V定格以下のチップセラミックコンデンサで対応することが望ましい。従って、VFが25V以下となるよう、概ね8個以下の直列数にすることで、本実施例の効果を最大限に引き出すことができる。
【符号の説明】
【0041】
10、10B、10C 照明器具
13 点灯回路
14 商用電源
15 スイッチ素子
20 器具本体(筐体)
30、302B、302C LEDユニット(照明装置)
40 LED光源(光源)
50 コンデンサ(低インピーダンス素子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDなどの半導体発光素子を光源とした照明装置およびこの照明装置を搭載した照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フィラメントを有する電球や蛍光灯に代わって、寿命が長く、また消費電力の少ない発光ダイオード(以下LEDと称する)が、照明装置の光源として採用されるようになってきている。しかし、LEDは素子1個あたりの光束が小さいため、蛍光灯の代わりに主照明として利用するには、多数のLEDを使用しなければならない。従って、LEDを点灯させる点灯装置は、商用電源から変換された数100Vの直流電圧を、直列接続された複数のLEDへ印加して点灯させる方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
図11に示すように、特許文献1に記載の照明器具100は、例えば、非常口への誘導を行う誘導灯であり、箱状の器具本体の前面部には、非常口に案内する図柄が描かれた表示板が設けられる。また、器具本体の内部には、複数個のLED101が実装されたLED基板102が収納されており、LED基板102は、コネクタ103を介して点灯回路104に接続される。
【0003】
LED基板102は、直線状に配列された複数個のLED101を交互に直列接続して複数系列のLED配列を有する。そして、LED基板102のLED101からの光は、導光板を介して導光板の出射面に設けられた表示板を照明し、非常口に案内する図柄を表示する。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような照明装置では、高電圧の直流をLEDへ印加するため、漏れ電流の問題が無視できない。
すなわち、図12に示すように、接地された筐体106とLEDユニット107の間に生じる浮遊容量Cを介して漏れ電流が流れ、この漏れ電流がLED101に流れてしまうことで、消灯スイッチ108でLED101を消灯制御してもLED101が消灯しきれずに微発光してしまうという問題がある。
【0005】
消灯スイッチ108は、LED101を消灯制御するものであり、点灯回路104への電源供給を遮断する位置に挿入されている。しかし、この消灯スイッチ108が商用電源105の低圧側に挿入された場合は、消灯スイッチ108をOFFにしてもループR1で点灯回路104の高圧側から漏れ電流が流れ、LED101に微少電流が流れることで微発光してしまう。
消灯スイッチ108は、一般の家庭やオフィスにおける壁スイッチに相当するものであり、商用電源105の高圧側へ挿入されるのが一般的であるが、特に一般家庭ではこの極性を固定することが困難である。また、一般家庭用の照明器具で広く普及しているリモコン制御についても、点灯回路104内で消灯制御する場合においては、商用電源105の高圧側からの通電状態はそのまま維持されるため同様の問題が生じてしまう。
【0006】
このような問題を解決するために、浮遊容量Cを介した漏れ電流が流れても、LED101が微発光しないように改善した回路が提案されている。
すなわち、図13に示すように、LED101の各素子と並列にコンデンサ109を接続し、そのインピーダンスを浮遊容量Cよりも小さく設定する。このような構成とすることで、消灯スイッチ108が商用電源105の低圧側に挿入された場合でも、消灯スイッチ108がOFFになると、漏れ電流はインピーダンスの低いコンデンサ109側を流れようとする。最も低圧側に接続されたLED101では、カソード側と筐体106との間の浮遊容量Cを介して漏れ電流が流れることになるが、LED101には流れない。つまり、LED101に漏れ電流が流れることは無いので、消灯制御時にLED101が微発光するという問題を解決することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−258033号公報(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した方法では、LED101の数と同数のコンデンサ109が必要となるため、部品点数が非常に多くなり、部材費や組立加工費が高価になるとともに、コンデンサ109を実装するためのスペース確保も必要である。また、LED101が実装されたLEDユニット110の検査を実施する際にも、コンデンサ109への充電時間を見越した分が余計に必要となってしまうので、検査時間も長くなり、生産性も低下してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、主に、スイッチ素子をオフとした際に、少ない低インピーダンス素子でLEDの微発光を防止できる照明装置および照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の照明装置は、光源となる複数のLEDと、商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、接地された筐体と、を有し、複数の前記LEDは直列接続されるとともに、直列接続された複数個の前記LEDに対して、その両端に低インピーダンス素子を並列接続したものである。
【0011】
本発明の照明装置は、光源となる複数のLEDと、商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、接地された筐体と、を有し、複数の前記LEDは直列接続されるとともに、直列接続された前記LEDの少なくとも前記点灯回路の高圧側に接続された前記LEDの両端に低インピーダンス素子を並列接続したものである。
【0012】
また、本発明の照明装置は、光源となる複数のLEDと、商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、接地された筐体と、を有し、複数の前記LEDは直列接続されるとともに、前記点灯回路の出力両端間に低インピーダンス素子を接続し、前記低インピーダンス素子のインピーダンスは、消灯制御時で各々の前記LEDの両端電圧が1.5V以下となるような値とするものである。
【0013】
また、本発明の照明装置は、前記低インピーダンス素子はコンデンサであるものである。
【0014】
さらに、本発明の照明器具は、前述した照明装置を組み込んだものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、直列接続された複数個のLEDに対して、両端に低インピーダンス素子を並列接続したので、低インピーダンス素子の数を半分以下に減少させて、点灯回路の高圧側から接地された筐体を介して漏れ電流が流れるのを防止する。これにより、スイッチ素子をオフとした際に、少ない低インピーダンス素子でLEDの微発光を防止できるという効果を有する照明装置および照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の照明器具を下方から見た全体斜視図
【図2】第1実施形態の照明器具を下方から見た分解斜視図
【図3】第1実施形態の照明器具の中心を通る断面図
【図4】第1実施形態の照明器具を上方から見た平面図
【図5】第1実施形態のLEDユニットのLED基板に実装されている異なる2種類のLED光源の配置を示す平面図
【図6】図5中VI部分の拡大図
【図7】第1実施形態の照明器具の回路図
【図8】第2実施形態の照明器具の回路図
【図9】第3実施形態の照明器具の回路図
【図10】白色LEDの順電圧(VF)−順電流(IF)特性を示すグラフ
【図11】従来の照明装置におけるLEDの配置を示す平面図
【図12】従来の照明装置における問題点を説明する回路図
【図13】従来の照明装置における問題点を説明する別の回路図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の照明装置および照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、以下の説明においては、照明器具を被取付面である天井面に取り付けて下方を照明する場合について説明する。従って、特に示す場合を除き、上(上方、上側等)は天井面側を意味し、下(下方,下側等)は床面側を意味する。
【0018】
図1に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、被取付面である天井面11等に取り付けられて主に下方を照明するのに適する。
図2および図3に示すように、照明器具10は、天井面11に取り付けられている引っ掛けシーリング12に取り付けるための取付金具21を中央に有する例えば正方形の板状の器具本体(筐体)20を有する。
【0019】
器具本体20の上側(すなわち、天井面11側)には、照明装置であるLEDユニット30を構成するアッパーユニット30A、上枠23および上パネル22が設けられている。また、器具本体20の下側(すなわち、照明方向側)には、LEDユニット30を構成するロアーユニット30B、反射部材である反射板24が設けられており、反射板24の下方には、受けた光を拡散する透光性のパネル25が取り付けられる。
【0020】
図7にも示すように、商用電源14から電力の供給を受けて、LEDユニット30を点灯させる点灯回路13が、照明器具10内に内蔵されており、各々アッパーユニット30Aおよびロアーユニット30Bと電気的に接続されている。
なお、商用電源14と点灯回路13との間にはスイッチ素子15が設けられており、LEDユニット30を消灯させる。
【0021】
次に、本発明に係る実施形態の照明装置であるLEDユニット30を構成するアッパーユニット30Aおよびロアーユニット30Bについて説明する。
なお、以下においては、特にアッパーユニット30Aおよびロアーユニット30Bを区別する場合を除き、LEDユニット30として説明する。
【0022】
図4に示すように、アッパーユニット30Aは、器具本体20の上側において、四方外向きに設けられている。また、ロアーユニット30Bは、器具本体20の下側において、2カ所に設けられており、内側へ光を照射するようになっている。
図3に示すように、上述したLEDユニット30を用いた照明器具10では、器具本体20の下側に設けられているロアーユニット30Bから照明器具10の内部に向かって発せられた光L1は、反射板24で下方に反射してパネル25に入射して拡散する。これにより、パネル25全体が光源となって下方を照明する。
一方、器具本体20の上側に設けられているアッパーユニット30Aから照明器具10の外側へ発せられた光L2は、天井面11へ照射されて、天井面11および壁面(図示省略)を照明する。
【0023】
図5に示すように、LEDユニット30では、LED基板31の実装面311に、種類が異なる複数の第1のLED光源40Aと複数の第2のLED光源40Bが実装されている。
なお、以下の説明において、2種類のLED光源40A、40Bを総称する際には、「LED光源40」と表示する。
第1のLED光源40Aおよび第2のLED光源40Bは、一部(端部)を除き各々偶数個(ここでは、例えば2個)をひとかたまりとして、交互に配置されている。そして、端部には、その隣(内側)に配設されたLED光源40とは異なる種類のLED光源40が配設されるようにする。
【0024】
複数の第1のLED光源40Aは、第1の回路32Aにより直列に接続されている。また、複数の第2のLED光源40Bは、第1のLED光源40Aとは別系統で、第2の回路32Bにより直列に接続されている。
第1の回路32Aと第2の回路32Bとは別個であり、例えば、クランク状に配線することができる。このとき、第1の回路32Aおよび第2の回路32Bのクランク形状が、略平行となるように配線する。
【0025】
実装面311において、長手方向の基板両端部312、313から見て端部のLED光源40より内側の位置に、コネクタ33が取り付けられる。コネクタ33は、商用電源14からの電気配線が接続されて電力の供給を受け、点灯回路13により第1の回路32Aを介して第1のLED光源40Aを点灯させるとともに、第2の回路32Bを介して第2のLED光源40Bを点灯させる。
従って、第1のLED光源40Aと第2のLED光源40Bは、個別に制御可能となっている。
【0026】
図6に示すように、第1の回路32Aにより直列に接続されている偶数個(ここでは、例えば2個)の第1のLED光源40A(401A、402A)をひとかたまり(群41A)として、低インピーダンス素子であるコンデンサ50Aを接続している。
例えば、第1の回路32Aの場合では、LED光源401Aのアノード端子と直列に接続しているLED光源402Aのカソード間にコンデンサ50Aを接続している。
第2の回路32Bについても同様であり、LED光源401Bのアノード端子と直列に接続しているLED光源402Bのカソード間にコンデンサ50Bを接続している。
【0027】
図7には、照明器具10の回路が示されている。なお、ここでは、例えば第1の回路32Aについてのみ示してあるが、第2の回路32Bについても同様である。
この照明器具10では、コンデンサ50のインピーダンスを、LEDユニット30と接地された器具本体20との間に生じる浮遊容量Cよりも小さく設定することにより、浮遊容量Cを介して流れる漏れ電流がLED光源40(401A、401B)に流れないようにしている。
【0028】
ここで、照明用として用いられる白色LEDの順方向電圧(VF)は、3V程度であるので、図6および図7で示したように、2個直列接続した場合の両端電圧は6V程度である。この電圧であれば、コンデンサ50の耐電圧は16V以上あれば良いので、チップセラミックコンデンサで対応できる。例えば、1608サイズ・DC16V・0.1μFなどが使用可能である。
【0029】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明装置30および照明器具10によれば、商用電源14から電力の供給を受けて点灯回路13が、直列接続された光源である複数のLED光源40を点灯させる。そして、商用電源14と点灯回路13との間に設けられたスイッチ素子15をオフとしてLED光源40を消灯させる。
このとき、直列接続された複数個のLED光源40に対して、両端に低インピーダンス素子としてコンデンサ50を並列接続した。このため、コンデンサ50の数を半分以下に減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された器具本体20を介して漏れ電流が流れるのを防止する。
これにより、省スペースで部品を実装できるほか、部材費や加工費の低減を実現することができる。また、LEDユニット30の検査を実施する際にも、例えばインサーキット検査では、コンデンサ50への充電時間を見越した検査時間を設定する必要があるが、この時間を短くすることができるので、生産性の向上にも効果的である。
【0030】
また、本発明の第1実施形態のLEDユニット30によれば、低インピーダンス素子としてコンデンサ50を用いて、LEDの微発光を防止することができる。
【0031】
さらに、本発明の照明器具10によれば、直列接続されたLED光源40に対して、点灯回路13の高圧側に接続されたLED光源40の両端にコンデンサ50を並列接続した。このため、コンデンサ50の数を減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された器具本体20を介して漏れ電流が流れるのを防止することができ、スイッチ素子15をオフとした際に、少ないコンデンサ50でLED光源40の微発光を防止できる。
【0032】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る第2実施形態の照明装置および照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態にかかる照明装置および照明器具と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図8に示すように、本発明に係る第2実施形態のLEDユニット(照明装置)302Bおよび照明装置10Bでは、漏れ電流の影響が大きい部位、すなわち、直列接続されたLED光源40のうち点灯回路13の高圧側に接続されたLED光源40の両端に重点的にコンデンサ50を設けた。
【0033】
直列接続されたLED光源40は、点灯回路13から出力される直流電圧によって点灯し、点灯時の出力電圧は、各々のLED光源40のVF(順方向電圧)が積み上がったものである。仮に、VFを3V、直列数を60個とすると、出力電圧は約180Vとなる。
LEDユニット302Bから器具本体20への漏れ電流は、浮遊容量Cと電位差によって決まる。従って、浮遊容量Cが一定と仮定すると、漏れ電流は電位差の大きな部位ほど大きく、電位差の小さな部位は小さくなる。つまり、電位差の大きな部位からの漏れ電流がLED光源40へ流れないよう重点的に対策することによって、消灯制御時にLED光源40が微発光することを防ぐことができる。
【0034】
図8では、LED光源401Aがn個直列接続されたLEDユニット302Bにおいて、高圧側の3個に対して、各々のLED光源401Aへコンデンサ50を挿入する。高圧側3個のLED光源401Aは、挿入したコンデンサ側へ漏れ電流が流れることによって、微発光はしない。
これよりも低圧側のLED光源401Bは、浮遊容量Cによる漏れ電流が流れるが、LED光源401Bが微発光しなければ、漏れ電流を必ずしもゼロにする必要はない。つまり、コンデンサ50を追加した最も低圧側のダイオードのカソード側電位(=V1)が、微発光しない程度に十分低い電圧であれば、これより低圧側のLEDにはコンデンサの追加が不要であり、部材費や加工費の低減が可能である。
【0035】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態のLEDユニット302Bおよび照明器具10Bによれば、商用電源14から電力の供給を受けて点灯回路13が、直列接続された光源である複数のLED光源40を点灯させる。そして、商用電源14と点灯回路13との間に設けられたスイッチ素子15をオフとしてLEDを消灯させる。
このとき、直列接続されたLED光源40のうち点灯回路13の高圧側に接続されたLED光源401Aの両端にのみコンデンサ50を並列接続した。このため、コンデンサ50の数を減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された器具本体20に流れるによってLED光源40が微発光するのを防止することができる。
【0036】
(第3実施形態)
以下、本発明に係る第3実施形態の照明装置および照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態または第2実施形態にかかる照明装置および照明器具と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図9に示すように、本発明に係る第3実施形態のLEDユニット(照明装置)302Cおよび照明装置10Cでは、点灯回路13の高圧側出力と低圧側出力との間にコンデンサ50を設けた。
【0037】
照明用として用いられる白色LED光源40の点灯時の順電圧VFは、3V程度である。一例として、白色LEDの順電圧(VF)−順電流(IF)特性を図10に示す。
図10に示すように、順電流10μAにおける順電圧は、約2.3Vとなっている。実験の結果、10μA程度の順電流であっても、周囲の照度が低い場合は、LED光源40が微発光していることを目視確認できることが分かった。
従って、目視確認できないレベルの順電流に抑えるには、順電圧を点灯時の約半分である1.5V以下に抑える必要がある。
【0038】
LED点灯時は、点灯回路13から直流電圧Voutが出力されるため、コンデンサ50の両端電圧Vcpは直流電圧となり、漏れ電流は流れない。一方、LED消灯制御時は、点灯回路13の高圧側出力端に交流である商用電源電圧が発生するため、コンデンサ50には漏れ電流が流れる。同時に、浮遊容量Cの最も低圧側となるCsnにも漏れ電流が流れる。漏れ電流によってコンデンサ50とCsnに発生する電圧は、各々の容量に反比例した分圧となる。従って、Csnに対してコンデンサ50の容量を大きくし、各々のLED光源40のVFが1.5V以下となるようにコンデンサ50の容量を設定すれば、LED光源40の微発光を抑制することができる。
【0039】
以上、説明した本発明に係る第3実施形態の照明装置302Cおよび照明器具10Cによれば、商用電源14から電力の供給を受けて点灯回路13が、直列接続された複数のLED光源40を点灯させる。そして、商用電源14と点灯回路13との間に設けられたスイッチ素子15をオフとしてLED光源40を消灯させる。
このとき、直列接続されたLED光源40のうち点灯回路13の高圧側に接続されたLED光源40の両端にコンデンサ50を並列接続したので、コンデンサ50の数を減少させて、点灯回路13の高圧側から接地された器具本体20を介して漏れ電流が流れるのを防止する。
これにより、スイッチ素子15をオフとした際に、少ないコンデンサ50でLED光源40の微発光を防止できる。
また、1個のコンデンサ50で効果的にLED光源40の微発光を抑制することが可能となり、一層少ないコンデンサ50でLED光源40の微発光を防止できる。
【0040】
なお、本発明の照明装置および照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態において、LED光源40と並列に低インピーダンス素子としてコンデンサ50を挿入する例で説明したが、挿入する素子はコンデンサ50に限定されるものではない。商用電源14の周波数に対して、LED光源40や浮遊容量Cよりも低インピーダンスであれば、抵抗など他の素子でも同様の効果を得ることができる。
また、スイッチ素子15はその形態を限定されるものではなく、壁スイッチであっても、リモコン消灯制御時のスイッチ素子(半導体など)であっても良い。
また、コンデンサ50が接続されるLED光源40の直列数も、2個以上であれば特に限定されるものではない。コスト面を考慮すると、DC50V定格以下のチップセラミックコンデンサで対応することが望ましい。従って、VFが25V以下となるよう、概ね8個以下の直列数にすることで、本実施例の効果を最大限に引き出すことができる。
【符号の説明】
【0041】
10、10B、10C 照明器具
13 点灯回路
14 商用電源
15 スイッチ素子
20 器具本体(筐体)
30、302B、302C LEDユニット(照明装置)
40 LED光源(光源)
50 コンデンサ(低インピーダンス素子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源となる複数のLEDと、
商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、
商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、
接地された筐体と、を有し、
複数の前記LEDは直列接続されるとともに、直列接続された複数個の前記LEDに対して、その両端に低インピーダンス素子を並列接続する照明装置。
【請求項2】
光源となる複数のLEDと、
商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、
商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、
接地された筐体と、を有し、
複数の前記LEDは直列接続されるとともに、直列接続された前記LEDの少なくとも前記点灯回路の高圧側に接続された前記LEDの両端に低インピーダンス素子を並列接続する照明装置。
【請求項3】
光源となる複数のLEDと、
商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、
商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、
接地された筐体と、を有し、
複数の前記LEDは直列接続されるとともに、前記点灯回路の出力両端間に低インピーダンス素子を接続し、前記低インピーダンス素子のインピーダンスは、消灯制御時で各々の前記LEDの両端電圧が1.5V以下となるような値とする照明装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記低インピーダンス素子はコンデンサである照明装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の照明装置を組み込んだ照明器具。
【請求項1】
光源となる複数のLEDと、
商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、
商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、
接地された筐体と、を有し、
複数の前記LEDは直列接続されるとともに、直列接続された複数個の前記LEDに対して、その両端に低インピーダンス素子を並列接続する照明装置。
【請求項2】
光源となる複数のLEDと、
商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、
商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、
接地された筐体と、を有し、
複数の前記LEDは直列接続されるとともに、直列接続された前記LEDの少なくとも前記点灯回路の高圧側に接続された前記LEDの両端に低インピーダンス素子を並列接続する照明装置。
【請求項3】
光源となる複数のLEDと、
商用電源により動作して前記LEDを点灯させる点灯回路と、
商用電源と前記点灯回路との間に挿入され前記点灯回路の動作を消灯制御するスイッチ素子と、
接地された筐体と、を有し、
複数の前記LEDは直列接続されるとともに、前記点灯回路の出力両端間に低インピーダンス素子を接続し、前記低インピーダンス素子のインピーダンスは、消灯制御時で各々の前記LEDの両端電圧が1.5V以下となるような値とする照明装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記低インピーダンス素子はコンデンサである照明装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の照明装置を組み込んだ照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−243479(P2012−243479A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110829(P2011−110829)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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