説明

照明装置および照明器具

【課題】簡単な構成でLED光源の配光の偏りをなくす照明装置および照明器具を提供する。
【解決手段】基板31に実装される複数のLED光源32のうち少なくとも1対の隣り合うLED光源32の配置を、各々のLED光源32のアノード323とカソード322の位置が交互に入れ替わる向きに配置したため、各々のLED光源32の配光ずれを打ち消し合うことができ、照明装置30および照明器具10の配光が偏ることを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)を光源として用い、主に天井面に取り付けられて下方を照明する照明装置および照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LED光源を有する照明装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
図13に示すように、特許文献1に記載の照明装置100は、ケーシング103、照明ユニット101およびカバー102を有する。
照明ユニット101は、基板104、複数のLED光源105および反射部材106を有し、複数のLED光源105は、基板104上に列状に実装されている。反射部材106は、基板104上に設けられており、複数のLED光源105を囲んでいる。
カバー102は透光性を有していて、照明ユニット101の照射方向前方に設けられており、ケーシング103に固定されている。カバー102は、起伏のある表面性状の端部102Aを有しており、LED光源105から放射された光を散乱させる。
このように、複数のLED光源105を列状に実装した場合、カバー102の端部102Aに起伏を設けることにより、照明装置100の端部における照度のむらを改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-56045号公報(第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の照明装置100では、端部の光は散乱されるが、端部の輝度は中央部に比べて明らかに低下しており、配光に関する問題が根本解決されていない。
また、LED光源105を基板104の上に列状に配置した場合、各々のLED光源105の配光ばらつきが考えられるという問題がある。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、簡単な構成でLED光源の配光の偏りをなくす照明装置および照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明装置は、基板と、前記基板に実装される複数のLED光源とを有し、少なくとも一対の隣り合う前記LED光源の配置を、各々の前記LED光源のアノードの位置とカソードの位置とが交互に入れ替わる向きに配置したものである。
【0007】
また、本発明の照明装置は、前記複数のLED光源を同一線上に配置し、前記同一線に沿って前記LED光源のアノードの位置とカソードの位置とが前記同一線に対して左右交互に入れ替わる向きに配置したものである。
【0008】
また、本発明の照明装置は、前記複数のLED光源を同一円上に配置し、前記同一円に沿って前記LED光源のアノードの位置とカソードの位置とが前記同一円に対して左右交互に入れ替わる向きに配置したものである。
【0009】
また、本発明の照明装置は、電気配線が接続されて電力の供給を受ける電気接続部を有し、前記電気接続部を、前記基板の端部から見て前記LED光源より内側に配置したものである。
【0010】
さらに、本発明の照明器具は、前述した照明装置を用いたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、少なくとも一対の隣り合うLED光源の配置を、各々のLED光源のアノードとカソードの位置が交互に入れ替わる向きに配置したため、各々のLED光源の配光ずれを打ち消し合うことができ、照明装置の配光が偏ることを防ぐことができるという効果を有する照明装置および照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の照明器具を下方から見た全体斜視図
【図2】第1実施形態の照明器具を下方から見た分解斜視図
【図3】第1実施形態の照明器具の中心を通る断面図
【図4】第1実施形態の照明器具を上方から見た平面図
【図5】第1実施形態のLEDユニットを示す平面図
【図6】第1実施形態のLEDユニットの配線を示す平面図
【図7】図6中A部分の拡大平面図
【図8】単一のLED光源を備えるLEDユニットの配置を示す図7相当の平面図
【図9】第1実施形態のLEDユニットを連結接続した場合を示す部分平面図
【図10】第2実施形態のLEDユニットを示す平面図
【図11】図10中B部分の拡大平面図であり、異なる2種類のLED光源を備えるLEDユニットの配置
【図12】単一のLED光源を備えるLEDユニットの配置を示す図11相当の平面図平面図
【図13】従来の照明装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、以下の説明においては、照明器具を被取付面である天井面に取り付けて下方を照明する場合について説明する。従って、特に示す場合を除き、上(上方、上側等)は天井面側を意味し、下(下方,下側等)は床面側を意味する。
【0014】
図1に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、被取付面である天井面11等に取り付けられて主に下方を照明するのに適する。
図2および図3に示すように、照明器具10は、天井面11に取り付けられている引っ掛けシーリング12に取り付けるための取付金具21を中央に有する例えば正方形の板状の器具本体20を有する。
【0015】
器具本体20の上側(すなわち、天井面11側)には、照明装置30(以下、LEDユニット30と呼ぶ)であるアッパーユニット30A、上枠23および上パネル22が設けられている。また、器具本体20の下側(すなわち、照明方向側)には、LEDユニット30であるロアーユニット30B、反射部材である反射板24が設けられており、反射板24の下方には、受けた光を拡散する透光性のパネル25が取り付けられる。
パネル25は、例えば正方形状をしており、対向する端部には、光を透過しないパネルカバー251が設けられている。
【0016】
次に、アッパーユニット30Aおよびロアーユニット30Bに用いられるLEDユニット30について説明する。
なお、以下においては、特にアッパーユニット30Aおよびロアーユニット30Bを区別する場合を除き、LEDユニット30として説明する。
図4に示すように、アッパーユニット30Aは、器具本体20の上側において、四方外向きに設けられている。また、ロアーユニット30Bは、器具本体20の下側において、2カ所に設けられており、内側へ光を照射するようになっている。
【0017】
図3に示すように、上述したLEDユニット30を用いた照明器具10では、器具本体20の下側に設けられているロアーユニット30Bから照明器具10の内部に向かって発せられた光L1は、反射板24で下方に反射してパネル25に入射して拡散する。これにより、パネル25全体が光源となって下方を照明する。
一方、器具本体20の上側に設けられているアッパーユニット30Aから照明器具10の外側へ発せられた光L2は、天井面11へ照射される。
【0018】
図5および図6に示すように、LEDユニット30は、例えば細長い矩形状の基板31を有しており、その実装面311には、種類が異なる複数の第1のLED光源32Aと複数の第2のLED光源32Bが実装されている。なお、2種類のLED光源32A、32Bを総称する際には、「LED光源32」と表示する。
また、実装面311において、長手方向の基板両端から見て端部のLED光源32より内側の位置に、電気配線が接続されて電力の供給を受ける電気接続部としてのコネクタ33が取り付けられる。
複数の第1のLED光源32Aは、第1の回路34Aにより直列に接続されており、複数の第2のLED光源32Bは、第1のLED光源32Aとは別系統で、第2の回路34Bにより直列に接続されている。
【0019】
従って、第1のLED光源32Aと第2のLED光源32Bは、個別に制御可能となっている。
また、第1の回路34Aと第2の回路34Bとは別個であり、例えば、クランク状に配線することができる。このとき、第1の回路34Aおよび第2の回路34Bのクランク形状が、平行となるように配線する。
【0020】
第1のLED光源32Aと第2のLED光源32Bは、一部を除き各々偶数個(ここでは、例えば2個)をひとかたまりとして、交互に配置されている。そして、端部においては、その隣(内側)に配設されたLED光源32とは異なる種類のLED光源32が配設される。
例えば、図5中、下端部では、端部に第1のLED光源32Aが配設されているので、その隣には、異なる種類の第2のLED光源32Bが配設される。
【0021】
ここで、図5中のA部および図6中A部を拡大した図7に示すように、LED光源32は、シリコン樹脂からなるレンズ321を有する。このレンズ321は、製造時のばらつきによりある一方向へずれて取り付けられている場合がある。例えば、図7に示すように、レンズ321がカソードマーク322A側(図7において右側)へずれている場合、LED光源32の配光はカソード322側へずれる。
このため、図7に示すように、LEDユニット30では、各々のLED光源32を同一線ST上に配置し、かつ同一線STに対して隣り合う少なくとも一対のLED光源32のアノード323の位置とカソード322の位置とが、左右(図7において左右)に交互に入れ替わる向きに配置して接続する。これにより、各々のLED光源32の配光ずれを打ち消し合う。
【0022】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明装置30によれば、基板31に実装される複数のLED光源32のうち少なくとも一対の隣り合うLED光源32の配置を、各々のLED光源32のアノード323の位置とカソード322の位置とが交互に入れ替わる向きに配置した。
このため、各々のLED光源32の配光ずれを打ち消し合うことができ、LEDユニット30の配光が偏ることを防ぐことができる。
【0023】
複数のLED光源32を同一線ST上に配置して、この同一線STに沿ってLED光源32のアノード323の位置とカソード322の位置とが同一線STに対して左右交互に入れ替わる向きに配置した。このため、各々のLED光源32の配光ずれを打ち消し合うことができ、LEDユニット30の配光が偏ることを防ぐことができる。
【0024】
コネクタ33の配置を、基板31の端部から見てLED光源32より内側にしたため、LEDユニット30を連結した場合、繋ぎ目の輝度低減を防ぐことができ、輝度ムラが更に軽減され、配光の偏りを防ぐことができる。
【0025】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明器具10によれば、前述したLEDユニット30を用いた。すなわち、基板31に実装される複数のLED光源32のうち少なくとも一対の隣り合うLED光源32の配置を、各々のLED光源32のアノード323の位置とカソード322の位置とが交互に入れ替わる向きに配置した。このため、各々のLED光源32の配光ずれを打ち消し合うことができ、LEDユニット30の配光が偏ることを防ぐことができる。
【0026】
また、偶数の第1のLED光源32Aと偶数の前記第2のLED光源32Bとを交互に配置したので、LEDユニット30におけるパターン配線を短くして接続できる。
さらに、チップジャンパー抵抗等の部品も削減できるので、コストアップを回避できるとともに、LEDユニット30として基板31の表裏両面をパターン印刷に用いる必要がないので、LEDユニット30の実装面311と反対側の面を放熱に利用できる。
【0027】
なお、本発明のLEDユニット30は、種類が異なる複数の第1のLED光源32Aと複数の第2のLED光源32Bが実装されている場合に限らず、図8に示すように、単一の複数の第1のLED光源32Aだけで構成されている場合でも適用可能である。
さらに、図9に示すように、コネクタ33を基板31の長手方向の両端から見てLED光源32より内側の位置に配置した。このため、ロアーユニット30Bを器具本体20の下側において、2カ所に連結して設けた場合、繋ぎ目の輝度低減を防ぐことができ、輝度ムラが更に軽減され、配光の偏りを防ぐ効果がある。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
なお、前述した第1実施形態に係る照明装置(LEDユニット)30および照明器具10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図10に示すように、LEDユニット35は略円形状であり、実装面311には、種類が異なる複数の第1のLED光源32Aと複数の第2のLED光源32Bが実装されている。なお、2種類のLED光源32A、32Bを総称する際には、「LED光源32」と表示する。
【0029】
また、実装面311には、電気配線が接続されて電力の供給を受ける一対のコネクタ33が取り付けられる。
複数の第1のLED光源32Aは、第1の回路34A(図11参照)により直列に接続されており、複数の第2のLED光源32Bは、第1のLED光源32Aとは別系統で、第2の回路34B(図11参照)により直列に接続されている。
従って、第1のLED光源32Aと第2のLED光源32Bは、個別に制御可能となっている。
【0030】
第1のLED光源32Aと第2のLED光源32Bは、一部を除き各々偶数個(ここでは、例えば2個)をひとかたまりとして、交互に配置されている。
図10中におけるB部を拡大した図11に示すように、LED光源32がシリコン樹脂からなるレンズ321を備えており、レンズ321が製造時のばらつきによりある一方向へずれて取り付けられている場合がある。
例えば、図11に示すように、レンズ321がカソードマーク322A側へずれていた場合、LED光源32の配光はカソード322側へずれる。
【0031】
そこで、種類が異なる第1のLED光源32Aと第2のLED光源32Bとを有するLEDユニット35において、複数の第1のLED光源32Aを直列に接続するとともに複数の第2のLED光源32Bを第1のLED光源32Aとは別系統で直列に接続する。
そして、各々のLED光源32を同一円R1上に配置し、かつ同一円R1に対して隣り合う少なくとも一対のLED光源32のアノード323の位置とカソード322の位置とが、左右交互に入れ替わる向きに配置して接続する。これにより、各々のLED光源32の配光ずれを打ち消し合う。
なお、LEDユニット35は、種類が異なる複数の第1のLED光源32Aと複数の第2のLED光源32Bが実装されている場合に限らず、図12に示すように、単一の複数の第1のLED光源32Aだけで構成されている場合にも適用可能である。
【0032】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態の照明装置35および照明器具10によれば、複数のLED光源32を同一円R1上に配置して、この同一円R1に沿ってLED光源32のアノード323の位置とカソード322の位置とが同一円R1に対して左右交互に入れ替わる向きに配置した。
このため、各々のLED光源32の配光ずれを打ち消し合うことができ、照明装置35の配光が偏ることを防ぐことができる。
【0033】
なお、本発明の照明装置および照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 照明器具
30,35 LEDユニット(照明装置)
31 基板
32 LED光源
322 カソード
323 アノード
33 コネクタ(電気接続部)
ST 同一線
R1 同一円

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に実装される複数のLED光源とを有し、
少なくとも一対の隣り合う前記LED光源の配置を、各々の前記LED光源のアノードの位置とカソードの位置とが交互に入れ替わる向きに配置した照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記複数のLED光源を同一線上に配置し、前記同一線に沿って前記LED光源のアノードの位置とカソードの位置とが前記同一線に対して左右交互に入れ替わる向きに配置した照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の照明装置において、
前記複数のLED光源を同一円上に配置し、前記同一円に沿って前記LED光源のアノードの位置とカソードの位置とが前記同一円に対して左右交互に入れ替わる向きに配置した照明装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の照明装置において、
電気配線が接続されて電力の供給を受ける電気接続部を有し、
前記電気接続部を、前記基板の端部から見て前記LED光源より内側に配置した照明装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の照明装置を用いた照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−8503(P2013−8503A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139316(P2011−139316)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】