説明

照明装置および照明方法

【課題】照明時の意匠性に優れた照明装置および照明方法の提供を目的とする。
【解決手段】透光性材料により形成され、傾斜平面部1を備えた突起2が表面3に密に一体成形されたカバー体4と、
該カバー体3の表面3に照明光を照射する点状光源5とを有して照明装置を構成する。
また、傾斜平面部1の多数が表面3に所定パターンで成形された透光体6の前記表面3に対して点状光源5の照明光を照射し、透光体6に屈折により幾何学的な光模様をつくって照明方法を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置および照明方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透光体に照明光を照射する照明装置としては、従来、特許文献1に記載されたものが知られている。この従来例はランプを半透光性樹脂製のグローブで覆った照明器具であり、グローブの外表面には半透光性の印刷模様が施されるとともに、グローブの内面には、上記外表面の印刷模様に対向してより小さい大きさで半透光性の蓄光印刷模様が施される。上記外表面の印刷模様は太陽と太陽光線であり、内面の印刷模様は月と星であるため、ランプ点灯時には太陽等の模様が見え、夜間のランプ消灯時には、ランプの光が蓄光印刷模様に蓄えられて月等の模様が見える。
【特許文献1】特開2004-31103
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例は、照明時において、半透光性の印刷模様を透過光で照らすに過ぎず、見ることができる模様はグローブに印刷され、ランプに照らされた一定のものに限られてしまい、多彩性に乏しく、意匠性が低いという欠点がある。
【0004】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、照明時の意匠性に優れた照明装置および照明方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、試行錯誤の結果、傾斜平面部1を備えた突起2を表面3に密に一体成形した透光性材料からなるカバー体4の前記表面3に対して、点状光源5から照明することにより、図2や図4に示すような幻想的なダイヤモンドダストのような光模様をカバー体4の照明される側から光源側に向かって見ることができることを探求した。表面3に対して傾斜する傾斜平面部1を備えた突起2を表面3に密に一体成形することによって、カバー体4が擬似的多面体として作用して屈折によって光の進行方向を変えることができ、これを発光体としての大きさが小さい点状光源5と組み合わせることにより、点状光源5の照射光がいわゆる太陽のような平行光ではなく放射状に進む放射光としてカバー体4、傾斜平面部1に有効に作用し、入射角の違いにより生じる屈折の変化と、点状光源5自体の光強度と関連づけられた大きさ等により、本来の点状およびそこから放射状に出射する発光光からなる点状光源5の外観を変化させることができるものと考えられる。
【0006】
上記カバー体4は、透光性材料で、適宜の屈折率を備えたものであればよいものと考えられ、例えばガラスや合成樹脂などの適宜の材料により製作することが可能である。カバー体4に形成される突起2は、傾斜平面部1によってカバー体4内部を通る光の移動経路長を変更できるように上記カバー体4の材料により内部を中空ではなく中実に充填して形成され、カバー体4の製造過程において一体成形されてカバー体4と別体にして取り付けたときの接触界面での予期せぬ屈折、反射等が防止される。
【0007】
また、点状光源5は、カバー体4の突起2、2・・に対して照射光を有効に放射状に出射できるもの、より厳密には、カバー体4に放射状に光の束を入射させることができ、屈折によってカバー体4からそれを見る人の方向、すなわち所定方向に出射される上記光の束の一部を視認可能な光強度にすることができるものであればよいものと考えられ、例えば、豆電球などの微小なフィラメントを備えた電球やLEDなどを使用することが可能である。
【0008】
また、カバー体4を介して点状光源5を見る人によって見える光は、上述したように屈折によってカバー体4から見る位置に向かうようになった光であり、したがって見る人が動いて視点が変われば、その人に見える光を変化させることができる。この変化は、光源からの放射状の光の出射方向とカバー体4における屈折との組み合わせによって、視点の移動により本来的に生じる見え方の変化とはやや異ならせることが可能で、したがって見る人の感覚的には光が独立して移動もしくは変形し、あるいは立体的であるような錯覚を生じさせ、光が模様を構成している場合には模様が変化したような幻想的なイメージを感じさせることができる。このような光の変化は、点状光源5や、カバー体4、すなわち上述の傾斜平面部1を相対移動させ、カバー体4への入射光の角度を変えることによっても同様に生じさせることができ、この場合には見る人の移動を伴わないためにより幻想的なイメージを感じさせることができる。また、突起2がカバー体4の表面3に密に配置されることにより、上述した見る方向の変更による光模様の変化をよりスムーズにするなど光模様の表現性をより向上させることができる。
【0009】
突起2の傾斜平面部1は、上述したようにカバー体4中の光の移動経路長を変更できるものであれば足り、このためカバー体4の表面3に対する傾斜角度については、模様の見え方や、上述した模様の変化の仕方を考慮して、任意に設定することが可能である。したがって突起2は、カバー体4内で光の移動経路長を変更できる上記傾斜平面部1を備えていればよく、例えば、錐体や、球面と傾斜平面部1を組み合わせたものなど多様な形状で構成することが可能である。この場合、球面は上記傾斜平面部1のような平面とは屈折の条件が異なるため、これを利用してさらに模様の創作性を高めることも可能である。また、突起2の配置パターンについても同様で、模様の見え方を考慮して創作的に決定することができる。さらに、上述同様に突起2は、点状光源5の照明光が照射される、すなわち照明光によるカバー体4の透過光の移動経路上にあればよく、カバー体4の点状光源5側、あるいは見る人の側のいずれかの表面3に突出していれば足りる。
【0010】
上述したように点状光源5の外観を規則的な光模様、例えば図2に示すような幾何学模様にするには、上述した突起2をパターン状に配置すればよいものと考えられ、例えば突起2について、その底面が平面充填形である正六角形からなる六角錐体形状にすれば、傾斜平面部1は六角錐体において相互に規則的に傾斜する6つの錐面により構成され、カバー体4に突起12を密に突設させたときには、それぞれの突起2の傾斜平面部1が複合され、カバー体4の表面3は、6つの方向性を備えた傾斜平面部1群を備えることになる。この6つの方向性、パターン性の反映によってパターン模様自体が発光する幻想的な光模様を生み出すことができるものと考えられる。
【0011】
さらに、点状光源5を所定パターン状に配置すれば、複数の光模様によってより審美的な模様を構成することが可能となり、また各点状光源5により形成される複数の模様に重なりを生じさせることも可能になって、より意匠性を高めることができる。この場合、上述した突起2の配置のパターン性と組み合わせれば、模様の規則性を維持して幻想的な美観を生じさせることができる。また、点状光源5の複数をカバー体4からの距離を異ならせて配置すれば、模様の多様化を図ることができ、上述したようにカバー体4に対して点状光源5を相対移動させた際により意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、照明時の意匠性に優れた照明装置および照明方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1および図2に本発明の実施の形態を示す。図1(a)は本発明の照明装置Aの構成を概念的に示したもので、照明装置Aは、カバー体4(透光体6)と、点状光源5とを有する。点状光源5の光がカバー体4を透過して照明する方向に照射され、これにより照明される。点状光源5はカバー体4の内表面(表面3’)に対し、適宜の光強度の照射光が適宜の広さの面積に対して放射状に拡散して入射できるように、例えばカバー体4の内表面3’から15cm程度の適宜の間隔D1隔てて配置される。この実施の形態において上記点状光源5としては豆電球が使用され、図示しない適宜の電源からの給電により発光するフィラメントからなる発光部は小指の先程度のほぼ点状をなす。図1(a)において11は照明される側にいる人の視点を模式的に示したものである。
【0014】
カバー体4は、この実施の形態においてはドイツのGLASFABRIC LAMBERTS社により遮光ガラスとして販売されている商品名「PRISMASOLAR」が使用される。このカバー体4は、ほぼ無色透明で溝型、平板状などなど適宜の板状かならるガラスであり、光を出射する側である外表面(表面3)には、図1(b)および(c)に示すように、突起2が全面にほぼ隙間なく敷き詰められる。この突起2は、対角線寸法が1ミリ程度の正六角形を底部とする略錐体形状で、高さ寸法は0.5ミリ程度であり、先端は角取りされて球面12にされる。このように略六角錐形状の突起2で外表面(表面3)を埋め尽くすことにより、外表面3が同一平面上にあれば、その外表面3上の各突起2の各錐面はいずれも同一方向を向き、規則的に配置されることとなる。
【0015】
以上の照明装置Aを図1(a)におけるようにカバー体4の豆電球5が配置される反対側から例えば15cm程度の適宜の間隔D2離れた視点11から見ると、図2(a)に示すように、光が六芒星(星型六角形)とその周りを縁取る略六角形の輪郭線のように輝いて模様をなすようになる。
【0016】
また、この状態でカバー体4や豆電球5を動かすなどして豆電球5とカバー体4との間の間隔D1を大きくすると、上述の光模様は間隔D1の拡大に伴ってまるで虫眼鏡のように拡大して見えるようになる。また逆にカバー体4と豆電球5との間隔D1を小さくすれば、光模様は小さく見えるようになる。さらに、カバー体4をその外表面3等に平行な面内で豆電球5に対して相対回転させれば、光模様が回転したように見えるようになる。なお、カバー体4と豆電球5との上記面内での相対回転については、少なくとも豆電球5と視点11をつなぐ軸線上を中心にして豆電球5の側を相対回転させるのでなければ光模様が回転したように見えるようになる。
【0017】
したがって、例えば図1(a)において矢印で表すように豆電球5をカバー体4から離れる方向に移動させ、かつ、カバー体4を30度程度回転させれば、光模様は、図2(a)に示す状態から図2(b)に示す状態に変化し、元の状態よりも拡大しつつ回転する。
【0018】
以上の照明装置Aは、例えば、イルミネーションなどの視覚的効果を楽しむための設備として、あるいは照明器具として構成することができ、この場合少なくとも豆電球5の照射光をカバー体4を介して見ることができるようにすれば足りる。このため、カバー体4は豆電球5の照射光を見る人との間に介在すれば足りるが、一般の照明器具のように、器具の外観をすっきりとしたデザインにしたり、豆電球5の加熱によるやけどを防止できるようにするために、カバー体4によって豆電球5を覆うように構成することも可能である。
【0019】
図3および図4に本発明の他の実施の形態を示す。なお、この実施の形態において、上述した実施の形態と同一の構成要素は図中に同一の符号を付して説明を省略する。この実施の形態において点状光源5にはいわゆるチップタイプLEDと呼ばれる小指の先程度の略矩形板状からなるLEDが用いられ、図3(a)に示すようにプリント基板13に実装されて図示しない電源からの給電によりほぼ点状に発光する。また、上述のプリント基板13は上記LED5が所定間隔で規則的に散点状に多数実装され、これにより複数のLED5によって照明できるようにされる。
【0020】
このプリント基板13は、図3(a)に示すようにカバー体4の内表面3’に対して、より正確には突起2の配置面に対して傾斜して配置され、これによりプリント基板13の傾斜方向に沿って配置される複数のLED5、5・・は、カバー体4の内表面3’との間隔D1が異なり、それぞれの間隔D11、D12、D13によって、作り出される模様の大きさが異なって見えるようになる。さらに、上述の実施の形態同様図3(b)に示すようにプリント基板13がカバー体4に対してその外表面3に平行な面上を回転することにより、模様が回転して見えるようになる。
【0021】
以上の照明装置Aを図3(a)に示す視点11から、すなわちカバー体4の外表面3に対する斜め方向から見ると、見える模様は星形とその輪郭線ではあるものの、上述した実施の形態のようないわゆる等辺六芒星などの均等なバランスのものではなく、プリント基板13の傾斜方向にのみ伸びたような、ある種カットされた縦長のダイヤモンドのような模様になる。また、図4(a)に示すように、カバー体4の内表面3’により近いLED5による模様と、より遠いLED5による模様とが重なり、またこのとき、より近いLED5による模様は光強度がより遠いものよりも強いため、あたかも複数の光模様が光強度の差によって遠近感を付けられて重ね合わされたような、幻想的な光模様が見える。
【0022】
この状態から視点11を動かさずに図3(b)に示すようにプリント基板13を回転させると、回転前において視点11から遠近方向に直線状に並ぶ複数のLED5、5・・のそれぞれの視点11との配置角度が変化し、これによってこれらのLED5、5・・により作り出されるそれぞれの模様の縦横バランスが変化する。また同時に、パターン状に配置される複数のLED5、5・・の配置の向きが変更され、さらに、複数のLED5、5・・により作り出されるそれぞれの模様間の間隔は大きくなる。以上においてはプリント基板13の側を動かす場合を示したが、視点11を動かしても同様であり、このような見え方の変化によって、複数のLED5、5・・により作り出される複数の光模様は、あたかも立体的な模様であるように見えるようになる。
【0023】
加えて、この実施の形態において、照明装置Aは、LED5への給電を制御する制御部14を有する。LED5を複数備えるこの実施の形態において、制御部14は、各LED5、5・・の点灯、消灯を個別に操作可能にするもので、例えばリレーなどのスイッチを有して適宜に構成される。また、図示しないCPU等の演算部などによりタイマー制御されることなどによって、各LED5の点灯・消灯のタイミングも調整可能にされる。したがって複数のLED5、5・・の点灯状態の組み合わせや、その組み合わせの時間的な変化により、模様の多様性、変化性を持たせることができる。
【0024】
なお、この実施の形態においては、LED5のプリント基板13における配置をマトリックス状にする場合を示したが、このような複数の点状光源5、5・・の配置については模様を考慮して適宜決定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、(a)は照明装置の概念を説明する側面図、(b)はカバー体のカバー面の要部拡大平面図、(c)はカバー体の要部拡大断面図である。
【図2】照明装置によって見ることができる光模様を示す図で、(a)は図1(a)に示す視点から見ることができるものを示す図、(b)は(a)の状態から矢印方向にカバー体を回転させ、かつ、図1(a)の矢印方向に視点を移動させたときに見ることができるものを示す図である。
【図3】他の実施の形態を示す図で、照明装置の概念を説明する側面図、(b)はプリント基板の動きを説明するための平面方向矢視図である。
【図4】他の実施の形態の照明装置によって見ることができる光模様を示す図で、(a)は図3(a)に示す視点で、かつ、プリント基板の位置が同図(b)において2点鎖線で示す場合に見ることができるものを示す図、(b)は、プリント基板の位置が図3(b)において実線で示す場合に見ることができるものを示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 カバー面
2 傾斜面
3 突起
4 カバー体
5 点状光源
6 透光体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料により形成され、傾斜平面部を備えた突起が表面に密に一体成形されたカバー体と、
該カバー体の表面に照明光を照射する点状光源とを有する照明装置。
【請求項2】
前記突起は略六角錐体形状に形成され、
かつ、前記点状光源の複数が所定パターンで配列される請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記点状光源の複数の点灯、消灯タイミングを個別に制御可能な制御部を有する請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
傾斜平面部の多数が表面に所定パターンで成形された透光体の前記表面に対して点状光源の照明光を照射し、透光体に屈折により幾何学的な光模様をつくる照明方法。
【請求項5】
前記透光体と照明光の光源との相対移動により光模様を変化させる請求項4記載の照明方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−41564(P2008−41564A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217398(P2006−217398)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(593161102)株式会社昭栄 (3)
【出願人】(394023975)
【Fターム(参考)】