説明

照明装置の取付構造

【課題】カーテシーランプのレンズがドアライニングから離脱するのを防止する。
【解決手段】ランプ21とレンズ22とを有するカーテシーランプをドアライニング2に取り付ける取付構造であって、レンズ22は、互いに照射方向の異なる第1照射部23と第2照射部24が屈曲部25によって連結されて構成されており、第1照射部23には第1の爪28を設け、第1の爪28にはドアライニング2の係合突起と係合する係合孔を設け、第2照射部24には第2の爪30を設け、第2の爪30にはドアライニング2のピンに係合する係合穴32を設け、さらに、第2照射部24にはドアライニング2の嵌合凹部11に嵌合する突片33を設ける。突片33はレンズ22に下向きの力が加わったときに嵌合凹部11の下壁部に突き当たり、レンズ22の下方移動を阻止して、ドアライニング2のピンがレンズ22の係合穴32から離脱するのを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に設置される照明装置の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテシーランプは、車両のドアライニング(ドアトリムと言う場合もある)に取付けられ、ドア開時に乗員の足元を照明している(例えば、特許文献1参照)。
近年においては、光源を覆うカーテシーレンズを、ドアライニングの下面と側面とに跨って断面L字状に設け、カーテシーランプを、ドア開時には足元照明、ドア閉時には室内照明として利用することが考えられている。また、レンズを断面L字状としたことで、ドア開時にはレンズ側面が車両後方側を照らし、後方車両への警告にもなる。
【特許文献1】特開2002−347515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、カーテシーランプは乗員の足がぶつかり易い場所に設けられるため、前述のようにカーテシーレンズを断面L字状としてドアライニングの下面と側面とに跨って設けると、カーテシーレンズに足が触れて、カーテシーレンズがドアライニングから外れる虞がある。
そこで、この発明は、レンズが外れにくい照明装置の取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明に係る照明装置の取付構造では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、光源(例えば、後述する実施例におけるランプ21)と、互いに照射方向の異なる第1照射部(例えば、後述する実施例における第1照射部23)と第2照射部(例えば、後述する実施例における第2照射部24)が屈曲部(例えば、後述する実施例における屈曲部25)によって連結されたレンズ(例えば、後述する実施例におけるレンズ22)と、を有する照明装置(例えば、後述する実施例におけるカーテシーランプ20)を車両の内装部材(例えば、後述する実施例におけるドアライニング2)に取付ける照明装置の取付構造であって、前記レンズは、前記内装部材に係止して、前記第1照射部および前記第2照射部から前記屈曲部へ向かう方向の荷重を受ける荷重受け部(例えば、後述する実施例における係合孔29、係合穴32、突片33)を有することを特徴とする照明装置の取付構造である。
【0005】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記内装部材は、車両ドアの内面に取り付けられるドアライニング(例えば、後述する実施例におけるドアライニング2)であり、前記照明部材は前記ドアライニングの下端部に設けられており、前記レンズの前記第1照射部は前記ドアライニングの下面(例えば、後述する実施例における下面4)にほぼ連続するように配置され、前記第2照射部は前記ドアライニングの側面(例えば、後述する実施例における側面3)にほぼ連続するように配置されることを特徴とする。
【0006】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記荷重受け部は、前記第1照射部および前記第2照射部の前記屈曲部から離間した部位にそれぞれ設けられた係止部(例えば、後述する実施例における係合孔29、係合穴32)と、前記ドアライニングに形成された嵌合凹部(例えば、後述する実施例における嵌合凹部11)に嵌合する前記レンズの前記第2照射部から略垂直に突出して一体に形成された突片(例えば、後述する実施例における突片33)と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、レンズを内装部材から外れ難くすることができる。
請求項2に係る発明によれば、乗員の足がレンズに触れ、レンズに下向きの力が加わったときにも、レンズをドアライニングから外れ難くすることができる。
請求項3に係る発明によれば、レンズに加わる下向き荷重の荷重方向に対して突片が略垂直に突出しているので、突片と嵌合凹部との嵌合により下向き荷重を確実に受けることができる。また、突片が第2照射部と一体に形成されているので、突片の成形が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明に係る照明装置の取付構造の実施例を図1から図7の図面を参照して説明する。なお、この実施例における照明装置は、車両のドアに設けられたカーテシーランプの態様である。
【0009】
図1は車両の右フロントドアを車室側から見た正面図であり、図中左方が車体前方、右方が車体後方である。図1に示すように、ドア1の内面にはドアライニング2が取り付けられており、このドアライニング(内装部材)2の下端部の後方寄りにはカーテシーランプ(照明装置)20が取り付けられている。
【0010】
詳述すると、図3、図4に示すように、ドアライニング2には、側面3と下面4とが接続される角部にカーテシーランプ収容凹部5が設けられている。
カーテシーランプ収容凹部5は、カーテシーランプ収容凹部5の奥端面を形成しドアライニング2の側面3と略平行に設けられた上側後壁部6と、上側後壁部6の上および左右を取り囲むように設けられ上側後壁部6よりも側面3に接近する方向(すなわち、車内に向かう方向)に突出して形成された段部7と、段部7の外周縁と側面3および下面4とを接続しカーテシーランプ収容凹部5の開口縁5aに連なる内周壁部8と、上側後壁部6の下方に設けられ上側後壁部6および開口縁5aよりも奥側に凹んで形成された下側後壁部9と、下側後壁部9の下縁と開口縁5aとを接続する底壁部10と、を備えている。
【0011】
上側後壁部6のほぼ中央にはランプ装着孔12が設けられている。
段部7の上部前面の左右には孔13,13が貫通形成されており、図6に示すように、ドアライニング2の裏面側であって孔13の上方に位置する部位には、側面3から離間する方向(すなわち、車外に向かう方向)に延びるピン14が突出形成されている。
段部7における左右前面の下端近傍には、側面3から離間する方向(すなわち、車外に向かう方向)へ略矩形に凹む嵌合凹部11,11が形成されている。
下側後壁部9における左右にも孔15,15が貫通形成されている。この孔15の下面は底壁部10と面一になっており、孔15の下面中央には側面3から離間する方向(すなわち、車外に向かう方向)に進むにしたがって高さが高くなる楔状の係合突起16が形成されている。
【0012】
カーテシーランプ20は、光源としてのランプ21と、ランプ21を覆うレンズ22とからなる。図3に示すように、ランプ21はドアライニング2のランプ装着孔12に装着されており、ドア1の開閉に連動して開状態のときに点灯するように自動制御されるとともに、ドア1が閉状態のときにはイグニッションスイッチのOFF操作に同期して点灯するように自動制御され、また、図示しない室内照明スイッチをON操作することによって点灯するように構成されている。
【0013】
レンズ22は樹脂により一体成形されたもので、図5に示すように断面略L字状をなし、ドアライニング2の下面4に連続するように配置される第1照射部23と、ドアライニング2の側面3に連続するように配置される第2照射部24とが、屈曲部25によって連結されて構成されている。
第1照射部23の外面23a、および第2照射部24の外面24aは凹凸のないほぼ平坦な面に形成されており、屈曲部25の外面は第1照射部23の外面23aと第2照射部24の外面24aとを滑らかに接続する曲面に形成されている。
第1照射部23の内面23b、および第2照射部24の内面24bにはカットが施されており、それぞれ、水平方向に延びる三角形状の突条26,27が多数並列に設けられている。第1照射部23の突条26は第2照射部24の突条27よりも高さが低く、ピッチが大きく設定されている。
ランプ21の光は、レンズ22の第1照射部23を介して下方に照射されるとともに、第2照射部24を介して室内方向に照射される。
【0014】
第1照射部23の先端部には、第1照射部23と同一面内において第2照射部24から離間する方向(すなわち、車外に向かう方向)へ突出する1対の第1の爪28,28が設けられており、各第1の爪28には係合孔(係合部)29が貫通形成されている。
第2照射部24の先端には、第1照射部23が延びる方向と同方向(すなわち、車外に向かう方向)に突出し上方に延びる第2の爪30,30が設けられており、図3、図6に示すように、各第2の爪30において車室側を向く面31には有底の係合穴(係合部)32が形成されている。
また、第2照射部24の左右両側部において屈曲部25の近傍には、第2照射部24に対して垂直に、換言すると第2照射部24から離間する方向(すなわち、車外に向かう方向)へ突出する板状の突片33がそれぞれ設けられている。突片33はドアライニング2のピン14に比べて極めて大きい。
【0015】
そして、レンズ22は、レンズ22の第1の爪28,28をドアライニング2の下側の左右の孔15,15に挿入して、レンズ22の各係合孔29にドアライニング2の各係合突起16を係合し、レンズ22の第2の爪30,30をドアライニング2の上側の左右の孔13,13に挿入して、レンズ22の各係合穴32にドアライニング2の各ピン14を嵌入させ、レンズ22の左右の突片33,33をドアライニング2の嵌合凹部11,11に嵌合することによって、ドアライニング2に取り付けられている。
【0016】
この取り付け状態において、レンズ22の第1照射部23の外面23aは、ドアライニング2の下面4より若干上側に位置してはいるものの下面4とほぼ連続するように配置され、一方、レンズ22の第2照射部24の外面24aは、ドアライニング2の側面3より若干室外側に位置してはいるものの側面3とほぼ連続するように配置される。
そして、ドア1の開時にランプ21が点灯したときにはカーテシーランプ20は乗降時の乗員の足元を照明し、ドア1の閉時にランプ21が点灯したときにはカーテシーランプ20は室内を照明する。
【0017】
また、この取り付け状態において、レンズ22の係合穴32とドアライニング2のピン14との係合、および、レンズ22の突片33とドアライニング2の嵌合凹部11との嵌合によって、レンズ22に加わる下向き荷重(すなわち、第2照射部24から屈曲部25へ向かう方向の荷重)に抗することができる。特に、突片33はピン14と比較して極めて大きく、しかも、レンズ22に加わる下向き荷重の荷重方向に対して垂直に突出しているので、突片33と嵌合凹部11との嵌合により下向き荷重を確実に受けることができる。
【0018】
また、レンズ22の係合穴32とドアライニング2のピン14との係合、および、レンズ22の係合孔29とドアライニング2の係合突起16との係合によって、レンズ22に加わる第1照射部23から屈曲部25へ向かう方向の荷重に抗することができる。
この実施例において、レンズ22の係合穴32と突片33は、第2照射部24から屈曲部25へ向かう方向の荷重を受ける荷重受け部を構成し、レンズ22の係合孔29と係合穴32は第1照射部23から屈曲部25へ向かう方向の荷重を受ける荷重受け部を構成している。
【0019】
そして、このカーテシーランプ20の取付構造では、乗員の足がレンズ22に触れて、レンズ22に下向き荷重が加わったときには、レンズ22が下方へ移動しようするので、レンズ22の係合穴32からドアライニング2のピン14が外れそうになるが、係合穴32からピン14が外れる前に、レンズ22の突片33がドアライニング2の嵌合凹部11の下壁部11aに突き当たり、レンズ22の下方移動を阻止し、レンズ22の係合穴32からドアライニング2のピン14が外れるのを防止することができる。したがって、レンズ22がドアライニング2から外れ難くなり、商品性が向上する。
また、係合孔29、係合穴32、突片33は、レンズ22の成形時に一体成形されるので、形成が容易である。
【0020】
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では、第1照射部23に設けた係合孔29と第2照射部24に設けた係合穴32を係合部としているが、第1照射部23と第2照射部24のそれぞれに係合部としての突起を設け、それぞれの突起と係合する穴をドアライニング2に設けてもよい。
照明装置はカーテシーランプに限るものではなく、内装部材はドアライニングに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係る照明装置の取付構造を採用した実施例における車両のドアの正面図である。
【図2】実施例における車両のドアに取り付けられたカーテシーランプの斜視図である。
【図3】実施例における前記カーテシーランプの分解図である。
【図4】実施例におけるドアライニングに設けられたカーテシーランプ収容凹部の拡大斜視図である。
【図5】実施例におけるカーテシーランプのレンズの斜視図である。
【図6】図1のA−A断面図である。
【図7】図1のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0022】
2 ドアライニング(内装部材)
3 側面
4 下面
11 嵌合凹部
20 カーテシーランプ(照明装置)
21 ランプ(光源)
22 レンズ
23 第1照射部
24 第2照射部
25 屈曲部
29 係合孔(係止部、荷重受け部)
32 係合穴(係止部、荷重受け部)
33 突片(係止部、荷重受け部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、互いに照射方向の異なる第1照射部と第2照射部が屈曲部によって連結されたレンズと、を有する照明装置を車両の内装部材に取付ける照明装置の取付構造であって、
前記レンズは、前記内装部材に係止して、前記第1照射部および前記第2照射部から前記屈曲部へ向かう方向の荷重を受ける荷重受け部を有することを特徴とする照明装置の取付構造。
【請求項2】
前記内装部材は、車両ドアの内面に取り付けられるドアライニングであり、
前記照明部材は前記ドアライニングの下端部に設けられており、
前記レンズの前記第1照射部は前記ドアライニングの下面にほぼ連続するように配置され、前記第2照射部は前記ドアライニングの側面にほぼ連続するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置の取付構造。
【請求項3】
前記荷重受け部は、前記第1照射部および前記第2照射部の前記屈曲部から離間した部位にそれぞれ設けられた係止部と、前記ドアライニングに形成された嵌合凹部に嵌合する前記レンズの前記第2照射部から略垂直に突出して一体に形成された突片と、からなることを特徴とする請求項2に記載の照明装置の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−208503(P2009−208503A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50777(P2008−50777)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】