説明

照明装置及びこの照明装置を用いた照明器具

【課題】人体を検出可能な範囲の拡大が可能であって製造コストが高くなりにくい照明装置及びこの照明装置を用いた照明器具を提供する。
【解決手段】無電極放電灯から出射して検出範囲で反射され赤外線検出部に検出される赤外線の減少に基いて検出範囲における人体の存在が判定される。検出範囲に人体が存在すると判定されている期間には無電極放電灯が一定の輝度Lsで連続点灯される滞在時動作が行われ、検出範囲に人体が存在しないと判定されている期間には無電極放電灯が間欠点灯される不在時動作が行われる。不在時動作中に無電極電灯が点灯される期間の少なくとも一部は、無電極放電灯の輝度が滞在時動作中における無電極放電灯の輝度Lsよりも高い輝度Lhとされる高輝度期間Phである。不在時動作中には、高輝度期間Ph中にのみ、赤外線検出部の出力に基いた判定が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及びこの照明装置を用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人体を検出する人感センサを備え、この人感センサの出力に応じて動作する照明器具が提供されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、人体が検出されていない期間には、人体が検出されている期間よりも光出力が低くされることで、使用者が特に操作を行わなくても消費電力が抑えられる。
【0003】
人感センサとしては、人体から放射される赤外線を検出する赤外線センサを用いたパッシブ型の人感センサや、超音波や電波を送信してその反射を用いるアクティブ型の人感センサが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−134966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、人体から放射される赤外線は微弱なものなので、上記のようなパッシブ型の人感センサでは人体を検出可能な範囲(距離や立体角)が比較的に小さくなっていた。一方、超音波や電波を利用するアクティブ型の人感センサは、超音波や電波を受信する手段に加え、超音波や電波を送信する手段も必要となるから、製造コストが高くなりやすい。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、人体を検出可能な範囲の拡大が可能であって製造コストが高くなりにくい照明装置及びこの照明装置を用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置は、赤外線を含む光を所定の照射範囲に照射する無電極放電灯と、前記無電極放電灯を点灯させる点灯部と、前記照射範囲の少なくとも一部を含む検出範囲から入射した赤外線を検出する赤外線検出部と、前記赤外線検出部に検出される赤外線の減少に基いて前記検出範囲における人体の存在を判定するとともに判定結果に応じて前記点灯部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記検出範囲に人体が存在すると判定されている期間には前記無電極放電灯を一定の輝度で連続点灯させるように前記点灯部を制御する滞在時動作を行い、前記検出範囲に人体が存在しないと判定されている期間には前記無電極放電灯を間欠点灯させるように前記点灯部を制御する不在時動作を行うものであって、前記不在時動作中に前記無電極電灯が点灯される期間の少なくとも一部は、前記無電極放電灯の輝度が前記滞在時動作中における前記無電極放電灯の輝度よりも高くされる高輝度期間とされていて、前記制御部は、前記不在時動作中には、前記高輝度期間中にのみ、前記赤外線検出部の出力に基いた判定を行うことを特徴とする。
【0008】
この照明装置において、前記不在時動作中、各前記オン期間の一部ずつであって各前記オン期間の開始直後が、それぞれ前記高輝度期間とされていてもよい。
【0009】
または、この照明装置において、前記不在時動作中の前記オン期間の全体が前記高輝度期間とされていてもよい。
【0010】
本発明の照明器具は、上記いずれかの照明装置と、前記照明装置を保持した器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無電極放電灯から出射する赤外線の光束や検出範囲の床面等の反射率を適宜高くすれば、無電極放電灯から出射して検出範囲で反射した赤外線を人体から放射される赤外線よりも強くすることが可能であるから、人体から放射される赤外線を人体の検出に用いる場合よりも、人体を検出可能な範囲を拡大することができる。また、無電極放電灯から出射する赤外線を利用するので、超音波や電波を利用するアクティブ型の人感センサを用いる場合に比べて製造コストが高くなりにくい。さらに、不在時動作中に高輝度期間を設けるとともに高輝度期間中の赤外線検出部の出力のみに基いて判定を行うので、高輝度期間を設けない場合に比べ、不在時動作中の人体検出の精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態において不在時動作中の無電極放電灯の輝度の時間変化を示す説明図である。
【図2】同上を示すブロック図である。
【図3】同上の使用形態を示す説明図である。
【図4】同上において滞在時動作中の無電極放電灯の輝度の時間変化を示す説明図である。
【図5】同上の比較例において不在時動作中の無電極放電灯の輝度の時間変化を示す説明図である。
【図6】同上の変更例において不在時動作中の無電極放電灯の輝度の時間変化を示す説明図である。
【図7】同上の別の変更例において不在時動作中の無電極放電灯の輝度の時間変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態の照明装置は、図2に示すように、赤外線を含む光を所定の照射範囲(図示せず)に照射する無電極放電灯1と、無電極放電灯1を点灯させる点灯部2と、照射範囲の少なくとも一部を含む所定の検出範囲(図示せず)から入射した赤外線を検出する赤外線検出部3と、赤外線検出部3の出力に応じて点灯部2を制御する制御部4とを備える。
【0015】
詳しく説明すると、無電極放電灯1は、透光性を有する例えばガラスのような材料からなり内面に蛍光物質の膜が設けられた中空のバルブに、金属蒸気と希ガスとを含む放電ガスが封入されたものである。上記の蛍光物質として赤外線を発生させるものが含まれていれば、無電極放電灯1の光には赤外線が含まれる。上記のような無電極放電灯1は周知技術で実現可能であるので詳細な図示並びに説明は省略する。
【0016】
また、点灯部2は、無電極放電灯1に近接配置された誘導コイルと、この誘導コイルに対して高周波電流を供給する高周波電源とを有するものである。すなわち、高周波電流を供給された誘導コイルが高周波の電磁界を発生させ、この電磁界によって上記のバルブ内にアーク放電が発生する。すると、上記の放電ガスが紫外線を発生させ、この紫外線が上記の蛍光物質によって可視光や赤外線に変換される。上記のような点灯部2は例えば周知のインバータ回路を用いて周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0017】
赤外線検出部3は、赤外線が入射する受光面を有し、この受光面に入射した赤外線の量に応じた電気信号を生成するものであって、例えば周知の焦電センサを用いて実現することができる。上記の受光面は、無電極放電灯1からの直射光が入射せず且つ検出範囲からの反射光が入射する位置に配置されている。
【0018】
制御部4は、赤外線検出部3の出力に基いて検出範囲における人体7(図3参照)の有無を判定するとともに、判定結果に応じて点灯部2を制御する。
【0019】
無電極放電灯1と点灯部2と赤外線検出部3と制御部4とは、図3に示すように適宜の形状の器具本体51に保持されて照明器具5を構成し、例えば天井面61に固定される。
【0020】
次に、制御部4の動作について説明する。制御部4は、検出範囲に人体7が存在すると判定されている期間には、図4に示すように無電極放電灯1を一定の輝度Lsで連続点灯させるように点灯部2を制御するという動作(以下、「滞在時動作」と呼ぶ。)を行う。また、制御部4は、検出範囲に人体7が存在しないと判定されている期間には、図1に示すように、無電極放電灯1を間欠点灯させるように点灯部2を制御するという動作(以下、「不在時動作」と呼ぶ。)を行う。つまり、不在時動作中には、無電極放電灯1の見た目の明るさや消費電力が、滞在時動作中よりも低く抑えられる。不在時動作において、間欠点灯の周波数は、人の目に点滅として認識されない程度に十分に高い周波数とされる。
【0021】
ここで、従来は人体7から放射される赤外線を人体7の検出に用いていたのに対し、本実施形態では無電極放電灯1から出射して検出範囲で反射した赤外線を人体7の検出に用いる。また、本実施形態は、検出範囲に人体7が存在した場合には赤外線検出部3の受光面に入射する赤外線の量が減少するような環境での使用を前提としている。上記の環境は、具体的には例えば、赤外線に対する反射率が人体7よりも高い材料で床面62が構成されているような環境である。そして、制御部4は、赤外線検出部3に検出される赤外線の減少に基いて人体7の存在を判定する。すなわち、制御部4は、赤外線検出部3の受光面に入射する赤外線の量を所定の判定閾値と比較し、上記の赤外線の量が判定閾値未満であれば検出範囲に人体7が存在すると判定し、上記の赤外線の量が判定閾値以上であれば検出範囲に人体7が存在しないと判定する。例えば、赤外線検出部3が、受光面に入射する赤外線の量が多いほど出力電圧を高くするものである場合、制御部4は赤外線検出部3の出力電圧を上記の判定閾値に対応する所定の判定電圧と比較することで、検出範囲に人体7が存在するか否かを判定する。
【0022】
さらに、制御部4は、不在時動作中に、無電極放電灯1の輝度を滞在時動作中における無電極放電灯1の輝度Lsよりも高い所定の輝度Lhとする高輝度期間Phを設けている。図1の例では、無電極放電灯1が点灯されるオン期間毎に高輝度期間Phが設けられ、各オン期間の開始直後がそれぞれ高輝度期間Phとされている。また、図1の例では、高輝度期間Ph以外のオン期間中、すなわち、高輝度期間Phが終了してから無電極放電灯1が消灯されるまでの期間中の無電極放電灯1の輝度は滞在時動作中の無電極放電灯1の輝度Lsと同じとされている。
【0023】
また、制御部4は、不在時動作中には、高輝度期間Ph中の赤外線検出部3の出力のみに基いて、検出範囲に人体7が存在するか否かを判定する。
【0024】
上記構成によれば、無電極放電灯1から出射する赤外線の光束や検出範囲の床面62等の反射率を適宜高くすれば、無電極放電灯1から出射して検出範囲で反射した赤外線を人体7から放射される赤外線よりも強くすることが可能であるから、人体7から放射される赤外線を人体7の検出に用いる場合よりも、人体7を検出可能な範囲を拡大することができる。
【0025】
ここで、超音波や電波を利用するアクティブ型の人感センサを用いる場合には、超音波や電波を受信する手段に加えて、超音波や電波を送信する手段を設ける必要があるから、製造コストが高くなりやすい。これに対し、本実施形態では赤外線を送信する手段として無電極放電灯1を用いているので、反射された赤外線を受信する手段としての赤外線センサ3を設けるだけでよいから、製造コストが高くなりにくい。
【0026】
また、不在時動作中に高輝度期間Phを設けるとともに高輝度期間Ph中の赤外線検出部3の出力のみに基いて判定を行うので、図5のように高輝度期間Phを設けない場合に比べ、不在時動作中の人体7検出の精度を高くすることができる。
【0027】
なお、高輝度期間Phは、図1のような無電極放電灯1の点灯直後に限られず、図6に示すように不在時動作中のオン期間のほかの一部を高輝度期間Phとしてもよいし、図7に示すように不在時動作中のオン期間全体を高輝度期間Phとしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 無電極放電灯
2 点灯部
3 赤外線検出部
4 制御部
5 照明器具
7 人体
51 器具本体
Ph 高輝度期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を含む光を所定の照射範囲に照射する無電極放電灯と、
前記無電極放電灯を点灯させる点灯部と、
前記照射範囲の少なくとも一部を含む検出範囲から入射した赤外線を検出する赤外線検出部と、
前記赤外線検出部に検出される赤外線の減少に基いて前記検出範囲における人体の存在を判定するとともに判定結果に応じて前記点灯部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記検出範囲に人体が存在すると判定されている期間には前記無電極放電灯を一定の輝度で連続点灯させるように前記点灯部を制御する滞在時動作を行い、前記検出範囲に人体が存在しないと判定されている期間には前記無電極放電灯を間欠点灯させるように前記点灯部を制御する不在時動作を行うものであって、
前記不在時動作中に前記無電極電灯が点灯されるオン期間の少なくとも一部は、前記無電極放電灯の輝度が前記滞在時動作中における前記無電極放電灯の輝度よりも高くされる高輝度期間とされていて、前記制御部は、前記不在時動作中には、前記高輝度期間中にのみ、前記赤外線検出部の出力に基いた判定を行うことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記不在時動作中、各前記オン期間の一部ずつであって各前記オン期間の開始直後が、それぞれ前記高輝度期間とされていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記不在時動作中の前記オン期間の全体が前記高輝度期間とされていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置と、前記照明装置を保持した器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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