説明

照明装置及び密着型イメージセンサ、並びにそれらを備えた画像形成装置

【課題】 小型化することができる照明装置及び密着型イメージセンサ、並びにそれらを備えた画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】 密着型イメージセンサ200は、ボックス状のフレーム201と、透明度が高いアクリル樹脂製の導光体202と、開口部203を有すると共に導光体202を空気層を介して部分的に覆うように収容しており、且つフレーム201に収容された導光体カバー204と、フレーム201内において導光体202の端面に隣接して配置され、導光体202にその端面から光を入射するLED等の発光素子から成る光源205aを有する光源部材205とを備える。導光体カバー204は、光源205側の端面204a及びその対向側の端面204bが夫々開口形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び密着型イメージセンサ、並びにそれらを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ装置のような画像形成装置は画像読取り装置を有し、この画像読取り装置はイメージセンサを有する。図6及び図7に示すように、従来の密着型イメージセンサ50は、ボックス状のフレーム51と、透明度が高いアクリル樹脂製の導光体52と、開口部53を有すると共に導光体52を空気層を介して部分的に覆うように収容しており、且つフレーム51に収容された導光体カバー54(図8)と、フレーム51内において導光体52の端面に隣接して配置され、導光体52にその端面から光を入射するLED等の発光素子から成る光源55とを備える。導光体カバー54は、光源55側の端面が開口形状である。
【0003】
導光体カバー54は、反射性が良好で、例えば白色の材料で形成されており、図8に示すように、開口部53以外の部位で導光体52から漏れた光を導光体52中に再び戻して光の利用効率を向上させる役目を果たす。
【0004】
導光体52、導光体カバー54及び光源55は、照明装置を構成する。
【0005】
光源55から導光体52内に入射した光は、導光体52内で全反射を繰り返して導光体52の長手方向に導光される。導光体52の一部には、長手方向に沿って拡散面56(図7)が設けられており、全反射を繰り返した光が拡散面56に入射すると、入射した光は、拡散され、その一部が原稿を照射する。
【0006】
密着型イメージセンサ50は、図7に示すように、さらに、フレーム51内に配されたセンサアレイ57と、センサアレイ57上に配されラインセンサ58と、読取りライン59において不図示の原稿から反射した光をラインセンサ58上に結像させるロットレンズアレイ60とを備える。ラインセンサ58は、導光体52から原稿に向かって照射された光の原稿からの反射光を受光して光電変換を行う。
【0007】
開口部53を介して導光体52から射出された光は、読取りライン59において不図示の原稿から反射し、その反射光がロッドレンズアレイ60によりセンサアレイ57に配置されたラインセンサ58上に結像される。ラインセンサ58は、結像された光を電気信号に変換して出力することにより、原稿の読取りが行われる。
【0008】
尚、適当な先行技術文献情報は見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、導光体52はアクリル樹脂製であるので、温度と湿度の変化により寸法が変化し、導光体カバー54との干渉により破損する場合があり、これを避けるために、光源55とは反対側において導光体52の端面と導光体カバー54の間に隙間61を設けているが(図8)、この隙間61を設けたことにより、照明装置が大きくなり、もって密着型イメージセンサの特徴である小型化に対して不利となる原因になっている。
【0010】
本発明の目的は、小型化することができる照明装置及び密着型イメージセンサ、並びにそれらを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の照明装置は、光源と、一方の端面から当該光源の光を受光すると共に当該受光した光を導光する長尺状の光透過性導光体と、前記導光体を部分的に覆うように収容する光不透過性導光体カバーとを備える照明装置において、前記導光体カバーは、前記光源側の一方の端面及び前記一方の端面の対向側の他方の端面が夫々開口形状であることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置において、前記導光体はアクリル樹脂製であることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の照明装置は、請求項1又は2記載の照明装置において、前記導光体は、長手方向に沿って少なくとも2つの凸部を有すると共に、前記導光体カバーは、長手方向に沿って前記凸部に夫々係合する少なくとも2つの凹部を有し、前記他方の端面側において係合する前記凸部及び前記凹部の組の隙間は、前記一方の端面側において係合する前記凸部及び前記凹部の組の隙間より大きいことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の照明装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明装置において、光源を備える光源部材を備え、当該光源部材は突条部を有すると共に、前記導光体は前記突条部に係合する溝部を有し、前記導光体カバーは、前記光源部材を係止するフック部を備えることを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するために、請求項5記載の密着型イメージセンサは、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明装置と、前記導光体カバーを支持するフレームとを備え、前記導光体カバーは、少なくとも2つの凸部又は凹部を有すると共に、前記フレームは、前記導光体カバーの凸部又は凹部に係合する少なくとも2つの凹部又は凸部を有し、前記他方の端面側において係合する前記凸部及び前記凹部の組の隙間は、前記一方の端面側において係合する前記凸部及び前記凹部の組の隙間より大きいことを特徴とする。
【0016】
上記の目的を達成するために、請求項6記載の画像形成装置は、請求項5記載の密着型イメージセンサを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の照明装置及び請求項5記載の密着型イメージセンサによれば、導光体カバーは、光源側の一方の端面及び一方の端面の対向側の他方の端面が夫々開口形状であるので、小型化することができる。
【0018】
請求項2記載の照明装置によれば、導光体はアクリル樹脂製であるので、確実に小型化することができる。
【0019】
請求項3記載の照明装置によれば、他方の端面側において係合する凸部及び凹部の組の隙間は、一方の端面側において係合する凸部及び凹部の組の隙間より大きいので、温度及び湿度の変化による導光体の伸縮を、一方の端面側において係合する凸部及び凹部の組を起点として、他方の端面側に逃がすことができる。
【0020】
請求項4記載の照明装置によれば、光源は突条を有し、導光体は突条に係合する溝を有し、導光体カバーは、光源を係止するフックを備えるので、光源を正確に位置決めすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る密着型イメージセンサユニットを備えるファクシミリ装置を概略的に示す断面図である。
【0023】
図1のファクシミリ装置100は、本体101と、本体101に開閉自在に取付けられたオペレーションパネル102と、オペレーションパネル102の下方において本体101に設けられ、原稿PPを読取り位置に向けて給送する給送ローラ103と、オペレーションパネル102に取付けられると共に給送ローラ103に向けて付勢され、給送ローラ103で給送される原稿PPを1枚ずつ分離する分離片104と、読取り位置において本体101に設けられ、給送される原稿PPの画像を読取る読取り装置としての密着型イメージセンサ200と、読取り位置においてオペレーションパネル102に設けられ、密着型イメージセンサ200に対して給送される原稿PPの被読取り面を規制すると共に、原稿PPを搬送するプラテンローラ105とを備える。
【0024】
オペレーションパネル102は、入力/出力手段としての操作入力を行うスイッチやメッセージ、その他装置の状態を報知するための表示部等が配置されている。
【0025】
ファクシミリ装置100の本体101は、また、記録媒体としてのロール紙Pを収容しており、記録位置においてロール紙Pに画像を形成する記録ヘッド106と、記録位置において記録ヘッド106に対してロール紙Pの被記録面を規制すると共に、ロール紙Pを搬送するプラテンローラ107とを備える。記録ヘッド106は、密着型イメージセンサ200によって読取られた画像情報又外部から送信された画像情報を再生する。
【0026】
この本体101は、さらに、各部の制御を行う制御部や光電変換素子の駆動回路、画像情報の処理部及び送受信部等を含むシステムコントロール基板108と、電源109とを備える。
【0027】
図2は、図1における密着型イメージセンサ200を概略的に示す斜視図であり、図3は、図2の線III−IIIに沿う断面図である。
【0028】
図2及び図3において、密着型イメージセンサ200は、ボックス状のフレーム201と、透明度が高いアクリル樹脂製の導光体202と、開口部203を有すると共に導光体202を空気層を介して部分的に覆うように収容しており、且つフレーム201に収容された導光体カバー204(図4、図5)と、フレーム201内において導光体202の端面に隣接して配置され、導光体202にその端面から光を入射するLED等の発光素子から成る光源205aを有する光源部材205とを備える。
【0029】
導光体カバー204は、反射性が良好で、例えば白色の材料で形成されており、図4に示すように、開口部203以外の部位で導光体202から漏れた光を導光体202中に再び戻して光の利用効率を向上させる役目を果たす。
【0030】
導光体202、導光体カバー204及び光源205は、照明装置を構成する。
【0031】
光源205aから導光体202内に入射した光は、導光体202内で全反射を繰り返して導光体202の長手方向に導光される。導光体202の一部には、長手方向に沿って拡散面206(図3)が設けられており、全反射を繰り返した光が拡散面206に入射すると、入射した光は、拡散され、その一部が原稿を照射する。
【0032】
密着型イメージセンサ200は、図3に示すように、さらに、フレーム201内に配されたセンサアレイ207と、センサアレイ207上に配されラインセンサ208と、不図示の原稿を読取りライン209の位置で反射した光をラインセンサ208上に結像させるロットレンズアレイ210とを備える。ラインセンサ208は、導光体202から原稿に向かって照射された光の原稿からの反射光を受光して光電変換を行う。
【0033】
開口部203を介して導光体カバー204から射出された光は、不図示の原稿を読取りライン209において照射し、その反射光がロッドレンズアレイ210によりセンサアレイ207に配置されたラインセンサ208上に結像される。ラインセンサ208は、結像された光を電気信号に変換して出力することにより、原稿の読取りが行われる。
【0034】
導光体カバー204は、光源205a側の端面204a及びその対向側の端面204bが夫々開口形状である。これにより、導光体202は、その温度及び湿度の変化により寸法が変化しても、導光体カバー204との干渉を回避することができ、もって破損を防止することができる。
【0035】
また、導光体カバー204をその端面204b側でも開口形状にしたことにより、導光体カバー204の開口端面204bの位置を導光体202の端面202bと同じ位置にすることができ、図8の導光体52と導光体カバー54の隙間寸法61と導光体カバー54の壁厚み寸法62を削減でき、照明装置、ひいては、密着型イメージセンサ200の長手方向の全長寸法を短くすることができる。
【0036】
導光体カバー204を導光体202に取付ける手段として、導光体カバー204の頂部に穴214,215(凹部)を設け、導光体202の頂部に導光体カバー204の穴214,216に夫々係合する凸部216,217を設け、穴214と凸部216の長手方向の隙間を極力抑えてガタツキをなくし、穴215と凸部217の長手方向の隙間を、温度及び湿度の変化による導光体カバー204に対する導光体202の寸法変化以上としている。これにより、温度及び湿度の変化による導光体202の伸縮が穴214と凸部216の位置を起点として起こることになり、導光体202の端面202b側への伸縮を逃がすことができ、また、穴214と凸部216の長手方向の位置を光源215側に近づけて設けているので、導光体202の光源205a側の寸法変化を小さくすることができ、さらには、光源205aと導光体202の端面の長手方向の位置ズレがなくなり、光源205aからの光を導光体202に確実に入射させることができる。
【0037】
また、光源部材205を導光体202及び導光体カバー203に位置決めしつつ取付ける手段として、光源部材205に凸条部221を設けると共に、導光体202及び導光体カバー204に凸条部221に係合する凹条部222を設け、さらには、導光体カバー203に光源部材205を引っ掛けるフック部220を設けている。このとき、光源部材205に凹条部を設け、導光体202及び導光体カバー203に光源部材205の凹条部に係合する凸条部を設けてもよく、効果は同じである。
【0038】
導光体カバー204をフレーム201に取付ける手段として、フレーム201にフック223,224及び溝225,226を設け、導光体カバー204に、フック223,224及び溝225,226に係合するように凸部227を設ける。フック223側に設けた溝225と凸部227の長手方向の寸法は、隙間を極力抑えてガタツキをなくし、フック224側に設けた溝226と凸部227の長手方向の寸法は、温度及び湿度の変化による導光体カバー204に対する導光体202の寸法変化以上としている。これにより、温度及び湿度の変化による導光体202の伸縮がフック224の位置を起点として起こることになり、導光体202の端面202b側への伸縮を逃がすことができる。
【0039】
また、フック224の長手方向の位置を光源205a側に近づけて設けているので、導光体202の光源205a側の寸法変化を小さくすることができ、さらには、光源205aと導光体202の端面の長手方向の位置ズレがなくなり、光源205aからの光を導光体202に確実に入射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る密着型イメージセンサを備えるファクシミリ装置の断面図である。
【図2】図1における密着型イメージセンサの斜視図である。
【図3】図2の線III−IIIに沿う断面図である。
【図4】図2における照明装置の斜視図である。
【図5】図1における導光体カバーの斜視図である。
【図6】従来の密着型イメージセンサの斜視図である。
【図7】図6の線VII−VIIに沿う断面図である。
【図8】図6における照明装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
200 密着型イメージセンサ
201 フレーム
202 導光体
203 開口部
204 導光体カバー
205 光源
206 拡散面
207 センサアレイ
208 ラインセンサ
210 ロッドレンズアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、一方の端面から当該光源の光を受光すると共に当該受光した光を導光する長尺状の光透過性導光体と、前記導光体を部分的に覆うように収容する光不透過性導光体カバーとを備える照明装置において、
前記導光体カバーは、前記光源側の一方の端面及び前記一方の端面の対向側の他方の端面が夫々開口形状であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記導光体はアクリル樹脂製であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記導光体は、長手方向に沿って少なくとも2つの凸部を有すると共に、前記導光体カバーは、長手方向に沿って前記凸部に夫々係合する少なくとも2つの凹部を有し、前記他方の端面側において係合する前記凸部及び前記凹部の組の隙間は、前記一方の端面側において係合する前記凸部及び前記凹部の組の隙間より大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
光源を備える光源部材を備え、当該光源部材は突条部を有すると共に、前記導光体は前記突条部に係合する溝部を有し、前記導光体カバーは、前記光源部材を係止するフック部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明装置と、前記導光体カバーを支持するフレームとを備え、前記導光体カバーは、少なくとも2つの凸部又は凹部を有すると共に、前記フレームは、前記導光体カバーの凸部又は凹部に係合する少なくとも2つの凹部又は凸部を有し、前記他方の端面側において係合する前記凸部及び前記凹部の組の隙間は、前記一方の端面側において係合する前記凸部及び前記凹部の組の隙間より大きいことを特徴とする密着型イメージセンサ。
【請求項6】
請求項5記載の密着型イメージセンサを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−41600(P2006−41600A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214272(P2004−214272)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】