説明

照明装置及び非常用照明装置

【課題】少ない部品点数で、理想的な配光曲線を得る。
【解決手段】複数の発光体(LEDパッケージ110内のLED)は、概ね同一の方向を中心とする方向を照射する。反射体(リフレクタ120)は、複数の発光体に囲まれた位置に位置し、側面が光を反射する。発光体が放射した光は、一部が反射体の側面に反射し、反射した反射光と、発光体から直接放射された直接光との合成により、理想的なバットウイング状の配光に近い配光を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
停電時において避難路を確保するために点灯する非常用照明装置は、床面の明るさ(照度)が1ルクス〜2ルクス以上になるように配置することが求められている。非常用照明装置を天井に設置した場合、直下の床面も離れた床面も同じ明るさに照らすためには、バットウイング状の配光とすることが理想である。
また、非常用照明装置以外の照明でも、例えば、通路の壁面を照らす照明のように、バットウイング状の配光とすることが望まれる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−129517号公報
【特許文献2】特開2007−48883号公報
【特許文献3】特開2002−134789号公報
【特許文献4】特開2007−42938号公報
【特許文献5】特開2003−258317号公報
【特許文献6】実開昭64−54204号公報
【特許文献7】特開2007−214037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、バットウイング状の配光を得るため、リフレクタやレンズなどを組み合わせて配光を制御する場合、理想的な配光を得ようとすると、部品点数が増え、組立てが難しく、照明の製造コストが高くなる。また、理想的な配光から外れた配光とすると、不必要に明るく照らされる場所が存在し、無駄な電力を消費する。
この発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたものであり、照明装置の製造コストを抑えつつ、理想的なバットウイング状の配光に近い配光を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる照明装置は、
平面状の表面を有する基板と、
上記基板の表面に実装され、発光面を有する発光素子と、
上記基板の表面の上記発光素子が実装された位置の近傍から立ち上がり、上記基板の表面と平行な断面が上記基板の表面から離れるにつれて上記発光素子の発光面に徐々に近づき途中から上記発光素子の発光面に徐々に重なっていくように、傾斜する反射面を有する反射体とを備え、
上記発光素子の発光面から発せられる光の略半分の光が上記反射体の反射面により上記発光素子の中心軸に対して略50度以上の方向へ反射される。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる照明装置によれば、発光体ごとに反射体を設ける必要がないので、照明装置の部品点数を減らすことができ、製造コストの削減、材料や製品の運搬コストの削減、省資源化、省エネルギー化を図ることができるとともに、理想的な配光に近い配光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における非常用照明装置800の使用態様を示す斜視図。
【図2】実施の形態1における非常用照明装置800の内部構造を示す側面視断面図。
【図3】実施の形態1における非常用照明装置800を下から見たところを示す底面図。
【図4】実施の形態1におけるLEDモジュール100の構造を示す正面図。
【図5】実施の形態1におけるLEDモジュール100の構造を示す側面図。
【図6】実施の形態1におけるリフレクタ120が、LEDパッケージ110が放射した光を反射する様子を示す図。
【図7】実施の形態1におけるLEDパッケージ110の配光曲線711を示すグラフ図。
【図8】実施の形態1におけるLEDモジュール100のうち、一つのLEDパッケージ110のみを点灯した場合における配光曲線712を示すグラフ図。
【図9】実施の形態1におけるLEDモジュール100の四つのLEDパッケージ110をすべて点灯した場合における配光曲線713を示すグラフ図。
【図10】実施の形態2におけるLEDモジュール100の構造を示す側面図。
【図11】実施の形態2におけるLEDモジュール100の構造の別の例を示す側面図。
【図12】実施の形態2におけるLEDモジュール100の構造の更に別の例を示す正面図。
【図13】実施の形態2におけるLEDモジュール100の構造のまた更に別の例を示す正面図。
【図14】実施の形態3におけるLEDモジュール100の構造を示す正面図。
【図15】実施の形態3におけるLEDモジュール100の構造を示す側面図。
【図16】実施の形態3におけるLEDモジュール100の構造の別の例を示す正面図。
【図17】実施の形態3におけるLEDモジュール100の構造の更に別の例を示す正面図。
【図18】実施の形態3におけるLEDモジュール100の構造のまた更に別の例を示す正面図。
【図19】実施の形態3における図18に示したLEDモジュール100の構造を示す側面図。
【図20】実施の形態4における補助リフレクタ190を含めたLEDモジュール100の構造を示す正面図。
【図21】実施の形態4における補助リフレクタ190を含めたLEDモジュール100の構造の別の例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図9を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における非常用照明装置800の使用態様を示す斜視図である。
非常用照明装置800は、天井910などに埋め込んで使用し、停電などの際に、LEDモジュール100(照明装置)内のLED(発光体)が発光して、避難路の明るさを確保する。
非常用照明装置800は、LEDモジュール100のほか、点検スイッチ810、充電モニター用LED820、器具取付け金具830などを有する。
器具取付け金具830は、非常用照明装置800を天井910に固定するための金具である。
充電モニター用LED820は、非常用照明装置800内のバッテリーが十分に充電されている場合に緑色に発光して、利用者にバッテリーの充電状態を通知するための表示装置である。
点検スイッチ810は、利用者が点検スイッチ810を押すことにより、停電時と同じ状態を作り出し、停電時に非常用照明装置800が正常に動作するかを点検するためのスイッチである。
【0010】
非常用照明装置800は、床面が1ルクス〜2ルクス以上の明るさになるように求められているので、所定の範囲内で、真下からの角度が大きくなるほど光束が強くなる配光(いわゆる「バットウイング状の配光」)にして、広い範囲の床面を均等な照度とすることが理想的である。
【0011】
図2は、この実施の形態における非常用照明装置800の内部構造を示す側面視断面図である。
非常用照明装置800は、更に、カバー840、カバー固定ネジ850、電源端子台860、点灯装置870、バッテリー収納部880を有する。
カバー840は、LEDモジュール100に埃などが入らないように保護するための透明な円盤である。
カバー固定ネジ850は、カバー840の中央に設けられた穴に差し込んで、カバー840及びLEDモジュール100を非常用照明装置800の本体に固定するためのネジである。
バッテリー収納部880は、バッテリー920を収納し、収納したバッテリー920を非常用照明装置800内の回路に接続する。
電源端子台860は、商用電源などの交流電源からの配線を取り付ける端子台である。
点灯装置870(充電回路)は、平常時において、電源端子台860に取り付けられた配線を介して、交流電源から交流電圧を入力し、バッテリー収納部880に収納されたバッテリー920を充電する。また、停電時において、点灯装置870(点灯回路)は、バッテリー920に充電された電力を電源として、LEDモジュール100内のLEDを点灯する。
【0012】
図3は、この実施の形態における非常用照明装置800を下から見たところを示す底面図である。
この図に示したように、非常用照明装置800を下から見上げると、カバー840を通して、LEDモジュール100内のLEDパッケージ110を視認できる。LEDモジュール100は、四つのLEDパッケージ110と、リフレクタ120(反射体)とを有する。カバー固定ネジ850は、リフレクタ120の中心を貫通している。
なお、充電モニター用LED820は、LEDモジュール100内に、LEDパッケージ110と並べて配置してもよい。
【0013】
図4は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造を示す正面図である。
図5は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造を示す側面図である。
なお、図5において、LEDモジュール100を非常用照明装置800に取り付けた際、下側になる方を、上にしている。また、図4において、補助リフレクタ190を省略している。
LEDモジュール100は、更に、基板130を有する。
基板130は、LEDパッケージ110を実装するプリント配線板であり、補助リフレクタ190内に収まるよう、円盤状をしている。点灯装置870は、基板130に印刷された配線を介して、LEDパッケージ110内のLEDを点灯するための電圧を、LEDパッケージ110に印加する。
【0014】
LEDパッケージ110は、表面実装型の素子であり、正面に向かって発光する。すなわち、LEDパッケージ110内のLEDが発光すると、基板130の表面(以下「設置平面」と呼ぶ。)に対して垂直な方向(以下「垂直方向」と呼ぶ。)をほぼ中心とする方向を照らす。
四つのLEDパッケージ110は、半田の厚みなどによる誤差を除いて、実質的に同一の設置平面上に位置する。また、四つのLEDパッケージ110は、実質的に互いに同一の方向(垂直方向)を照らす。
【0015】
リフレクタ120は、側面が光を反射する柱状体であり、基板130上、四つのLEDパッケージ110に囲まれた位置に設置する。リフレクタ120は、設置平面から垂直方向に突出している。リフレクタ120の中心軸は、基板130のほぼ中心を通り、垂直方向と実質的に同一の方向を向いている。リフレクタ120の中心には、カバー固定ネジ850を通すための貫通穴126が設けられている。
リフレクタ120は、四角柱状であり、四つの側面を有する。四つのLEDパッケージ110は、リフレクタ120の中心から実質的に同じ距離に位置し、実質的に等間隔である。リフレクタ120の四つの側面は、それぞれ対応するLEDパッケージ110の位置に正対している。
リフレクタ120は、垂直方向へいくほど太くなり、設置平面側の底面よりも、垂直方向側の底面(以下「上面」と呼ぶ。)のほうが広い。また、リフレクタ120を垂直方向に平行な平面で切ると、側面が内側に湾曲している。
リフレクタ120の上面は、外周が、LEDパッケージ110から見て、垂直方向と実質的に同一の方向にくる。このため、LEDパッケージ110が放射した光のほぼ半分は、リフレクタ120の側面に当たって反射して外部を照らし、残りの半分は、リフレクタ120に当たらず、直接外部を照らす。
【0016】
補助リフレクタ190は、基板130やリフレクタ120を収納するケースである。補助リフレクタ190は、漏斗状であり、内側が光を反射する。これにより、LEDパッケージ110から横方向に漏れた光を反射して、外部を照らすため有効に活用する。
なお、補助リフレクタ190の深さは浅く、LEDパッケージ110が照射した直接光が外部を照らすのを妨げないものとする。例えば、LEDパッケージ110から見て、垂直方向から60〜70度以上離れた位置に補助リフレクタ190が見える程度の深さとする。
【0017】
図6は、この実施の形態におけるリフレクタ120が、LEDパッケージ110が放射した光を反射する様子を示す図である。
LEDパッケージ110は、LED111を有し、LED111が発光することにより、光を放射する。
リフレクタ120の上面123は、外周辺122が、LED111のちょうど正面に位置する。このため、LED111が放射した光のうちの半分(図6における左側)は、リフレクタ120の側面121に当たって反射する。リフレクタ120の側面121は、内側に湾曲しているので、側面121に当たって反射した光は、ほぼ同一の方向に集中する。なお、側面121の湾曲度合いにより、側面121に反射した光が照らす方向・範囲を調整できる。
また、LED111が放射した光のうち残りの半分(図6における右側)は、リフレクタ120には当たらず、直接外部を照らす。
【0018】
図7は、この実施の形態におけるLEDパッケージ110の配光曲線711を示すグラフ図である。
この図(及び図8、図9)において、中心からの角度は、LEDパッケージ110の正面方向からの角度を示し、「0°」は、LEDパッケージ110の正面方向(垂直方向)、「90°」は、LEDパッケージ110の真横方向(設置平面と平行な方向)を示す。また、中心からの距離は、その方向の光束の強さを示す。
LEDパッケージ110は、正面方向の光束が一番強く、正面方向から離れた方向へいくほど、光束が弱くなる。
【0019】
図8は、この実施の形態におけるLEDモジュール100のうち、一つのLEDパッケージ110のみを点灯した場合における配光曲線712を示すグラフ図である。
LEDパッケージ110が放射した光のうち、左半分はリフレクタ120の側面121に当たって反射するので、配光曲線は右側に偏る。リフレクタ120の側面121に当たって反射した光は、50°〜60°の方向に集中するので、その範囲の光束だけが非常に強くなる。
【0020】
図9は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の四つのLEDパッケージ110をすべて点灯した場合における配光曲線713を示すグラフ図である。
四つのLEDパッケージ110をすべて点灯することにより、左右前後の区別なく、LEDモジュール100の正面方向から50°〜60°の範囲が強くなり、理想的なバットウイング状の配光に近い配光を得ることができる。
なお、破線は、従来例における非常用照明装置の配光曲線714である。
この実施の形態におけるLEDモジュール100(非常用照明装置800)の配光曲線713を従来例の配光曲線714と比較すると、30°付近の光束が弱くなり、55°付近の光束が強くなっている。
30°付近の光束が弱くなったことにより、その方向の床面が不必要に明るく照らされることがないので、非常用照明装置800における消費電力を抑えることができる。
また、55°付近の光束が強くなったことにより、光源から出る総光束量を少なくしても、その方向の床面を、従来例と同じ明るさに照らすことができるので、非常用照明装置800における消費電力を抑えることができる。
【0021】
一般的な建物においては、天井の高さは、2.6m〜4.0mくらいである。JIL(日本照明器具工業会規格)5004によれば、非常灯(非常用照明装置800)は、単体配置の場合、器具が設置されるところを始点にして、4.5m〜7.0mの範囲を1lx〜2lxの照度とすることが求められている。したがって、非常用照明装置800は、天井高4.0mで半径4.5mの床面を照らす場合、鉛直方向から約48度の方向までの範囲を照らす必要があり、天井高2.6mで半径7.0mの床面を照らす場合、鉛直方向から約70度までの範囲を照らす必要がある。これはどちらも極端な場合であり、通常は、鉛直方向から約60度までの範囲を照らすことが求められる。
非常用照明装置800が照らす範囲内の床面を一定の明るさにしようとした場合、鉛直方向から離れれば離れるほど、非常用照明装置800から床面までの距離が遠くなり、また、非常用照明装置800からの光が床面に対して斜めから照射されるので、強い光束を出す必要がある。理想的には、cosθ(ただし、θは鉛直方向からの角度)に反比例する光束を出すことが望まれる。
リフレクタ120によってLED111の光を制御しないときは、直下の照度が高くなり必要照度以上の照度となるが、リフレクタ120により50°〜70°の間に配光することにより、直下方向の光を側面方向に広げることができる。
このように、リフレクタ120により配光を制御することで、少ない光量で高範囲を均一な照度とすることができる。また少ない光量とすることができるので少ない電力量ですみ、電池の小型化ができる。
【0022】
この実施の形態における照明装置(LEDモジュール100)は、概ね同一の方向(垂直方向)を中心とする方向を照射する複数の発光体(LED111)と、上記複数の発光体(LED111)に囲まれた位置に位置し、側面121が光を反射する反射体(リフレクタ120)とを有するので、発光体ごとに反射体を設ける必要がなく、照明装置の部品点数を減らすことができる。これにより、LEDモジュール100の製造コストの削減、LEDモジュール100の材料や製品の運搬コストの削減、省資源化、省エネルギー化を図ることができる。
【0023】
この実施の形態における複数の発光体(LED111)は、概ね同一の設置平面上に位置し、上記設置平面に対して垂直な垂直方向を概ね中心とする方向を照射し、上記反射体(リフレクタ120)は、上記設置平面から上記垂直方向に突出しているので、LED111が放射した光の一部をリフレクタ120の側面121が反射して、所望の方向に配光するとともに、LED111が放射した光の一部を直接光として利用できる。これにより、配光のために反射・屈折することによる損失を減らすことができ、照明装置の消費電力を抑えることができるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0024】
この実施の形態における反射体(リフレクタ120)は、上記垂直方向と概ね同一の方向を軸とする柱状(四角柱状)であり、上記垂直方向へいくほど太くなるので、発光体が放射した光を、所定の方向(例えば垂直方向から50°〜60°離れた方向)へ配光することができる。このため、理想的なバットウイング状に近い配光を得ることができるので、照明装置の消費電力を抑え、省エネルギー化を図ることができる。
【0025】
この実施の形態における反射体(リフレクタ120)は、上記垂直方向先端(上面123)の外周(外周辺122)が、上記複数の発光体(LED111)から見て、上記垂直方向と概ね同一の方向に位置するので、LED111が放射した光のうち約半分が、リフレクタ120の側面121に当たって反射する。これにより、垂直方向付近への配光が減り、理想的なバットウイング状に近い配光を得ることができるので、照明装置の消費電力を抑え、省エネルギー化を図ることができる。
【0026】
この実施の形態における反射体(リフレクタ120)は、上記垂直方向と平行な平面による切断面において、上記側面121が内側に湾曲しているので、側面121が反射した光を所定の方向(例えば垂直方向から50°〜60°離れた方向)に集中させることができる。このため、理想的なバットウイング状に近い配光を得ることができるので、照明装置の消費電力を抑え、省エネルギー化を図ることができる。
【0027】
この実施の形態における複数の発光体(LED111)は、上記反射体(リフレクタ120)の中心から概ね等距離に位置するので、一つの発光体に注目すると配光に偏りがあっても、全体として、前後左右を問わず、均等な配光を得ることができる。このため、理想的なバットウイング状に近い配光を得ることができるので、照明装置の消費電力を抑え、省エネルギー化を図ることができる。
【0028】
この実施の形態における複数の発光体は、発光ダイオード(LED)なので、寿命が長く、発光効率が高く、有害物質を排出せず、省資源化、省エネルギー化を図り、環境保全性を高めることができる。
【0029】
この実施の形態における非常用照明装置800は、上記照明装置(LEDモジュール100)と、上記複数の発光体(LED111)を点灯する点灯回路(点灯装置870)とを有するので、非常用照明装置800の消費電力を抑え、省エネルギー化を図ることができる。これにより、停電時に同じ点灯時間を確保するために必要なバッテリー920を小さくすることができるので、非常用照明装置800の小型化、省資源化を図ることができる。
【0030】
以上説明したLEDモジュール100(照明装置)は、基板130と、基板130上に配置され、基板130上の1点を中心として略円を描くように配置される複数のLED111と、複数のLED111が配置される略円と略同一円周上の略中央部に配置されるリフレクタ120とを有するので、光源(発光体)が放射した光の方向をリフレクタ120が制御して、効率良くバットウイング状に配光を制御することができる。
また、一つのリフレクタ120で複数のLED111が放射した光を制御するので、部品点数が少なく、安定した製品の供給ができる。平面の基板130上にLED111を実装するので、組立てが容易である。
【0031】
以上説明したリフレクタ120は、LED111から照射する光のうち、LED111の中心部からリフレクタ120の略片側半分の光を制御するので、LED111の直接光を有効に使用して、必要最小限の制御でバットウイング状の配光を得ることができる。これにより、反射によるロスを低減できる。
【0032】
以上説明したリフレクタ120の反射面(側面121)は、LED111から照射され反射した光を前記LED111の中心軸(垂直方向)に対して略50°以上の方向へ反射する様に曲面で形成されているので、理想的なバットウイング状の配光を得ることができる。
【0033】
以上説明したリフレクタ120は、略四角柱状であって基板130に取付けられる面(底面)の面積が対向する面(上面123)の面積よりも小さく形成され、その側面121でLED111からの光を制御するので、最も強い光束が必要な50°〜60°方向に光を反射することができる。
【0034】
以上説明したリフレクタ120の基板130に取付けられる面(底面)に対向する面(上面123)の角辺(外周辺122)を、LED111の中心を鉛直方向(垂直方向)に延ばした中心軸上に配置するので、LED111が放射した光の約半分を直接光のまま利用することができる。
【0035】
以上説明した非常用照明装置800は、LED照明装置(LEDモジュール100)と、バッテリー920と、商用電源が入力されているときにバッテリー920を充電する充電回路(点灯装置870)と、バッテリー920の電力によりLED111を点灯する点灯回路(点灯装置870)とを備えるので、非常用照明装置800の消費電力を抑えることができ、バッテリー920を小型化することができる。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態2について、図10〜図13を用いて説明する。
この実施の形態では、リフレクタ120の形状の変形例について説明する。
なお、実施の形態1で説明した部分と共通する部分については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0037】
図10は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造を示す側面図である。
リフレクタ120は、垂直方向と平行な平面で切ると、側面121が湾曲せず、直線状である。
リフレクタ120をこのような形状とすることにより、側面121に反射した光の集中度が低くなるので、ピークの小さい配光を得ることができる。
また、リフレクタ120の製造が容易になるので、LEDモジュール100の製造コストを抑えることができる。
【0038】
図11は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造の別の例を示す側面図である。
リフレクタ120は、垂直方向と平行な平面で切ると、側面121が滑らかな曲線ではなく、複数の直線を組み合わせた形状である。
リフレクタ120をこのような形状とすることにより、側面121に反射した光の集中度が中程度となる。また、リフレクタ120の製造が容易になるので、LEDモジュール100の製造コストを抑えることができる。
【0039】
図12は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造の更に別の例を示す正面図である。
リフレクタ120は、上面123の外周辺122が直線ではなく、外側に膨らんで湾曲している。
リフレクタ120をこのような形状とすることにより、側面121に当たった光を、二つのLEDパッケージ110の中間の方向へ反射することができるので、斜め方向の配光を強くすることができる。
また、外周辺122は、LED111から見て垂直方向よりも外側に位置する。
リフレクタ120をこのような形状とすることにより、側面121に当たる光の量を多くすることができるので、配光の自由度を高くすることができる。
【0040】
図13は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造のまた更に別の例を示す正面図である。
リフレクタ120は、上面123の外周辺122が直線ではなく、両端が外側に張り出した形状である。
リフレクタ120をこのような形状とすることにより、側面121に当たる光の量を多くすることができるので、配光の自由度を高くすることができる。
【0041】
以上説明したリフレクタ120の反射面(側面121)は、LED111から照射され反射した光をLED111の中心軸に対して略50°以上の方向へ反射する様に一または複数の平面で形成されているので、リフレクタ120の製造が容易になり、LEDモジュール100の製造コストを抑えることができる。
【0042】
実施の形態3.
実施の形態3について、図14〜図19を用いて説明する。
この実施の形態では、LEDパッケージ110の数の変形例について説明する。
なお、実施の形態1で説明した部分と共通する部分については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0043】
図14は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造を示す正面図である。
図15は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造を示す側面図である。
LEDモジュール100は、八個のLEDパッケージ110を有する。
八個のLEDパッケージ110は、リフレクタ120の中心軸を中心にして、リフレクタ120の中心軸から等距離の位置に、等間隔に配置されている。
リフレクタ120は、八角柱状であり、八個のLEDパッケージ110それぞれに対向する八枚の側面を有する。
リフレクタ120は、垂直方向へいくほど太くなり、上面が底面よりも広い。リフレクタ120の側面は、内側に湾曲している。
なお、リフレクタ120の形状は、実施の形態2で説明したのと同様に変形してもよい。以下説明する他の変形例でも同様である。
【0044】
このように、LEDパッケージ110の数を増やすことにより、より高い照度を得ることができる。また、リフレクタ120が、それぞれのLEDパッケージ110に対向する側面を有するので、各LEDパッケージ110が放射した光を、ほぼ均等に配光することができる。
【0045】
図16は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造の別の例を示す正面図である。
LEDモジュール100は、五個のLEDパッケージ110を有する。
五個のLEDパッケージ110は、リフレクタ120の中心軸を中心にして、リフレクタ120の中心軸から等距離の位置に、等間隔に配置されている。
リフレクタ120は、五角柱状であり、五個のLEDパッケージ110それぞれに対向する五枚の側面を有する。
このように、LEDパッケージ110の数は、奇数でもよい。
【0046】
図17は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造の更に別の例を示す正面図である。
LEDモジュール100は、三個のLEDパッケージ110を有する。
三個のLEDパッケージ110は、リフレクタ120の中心軸を中心にして、リフレクタ120の中心軸から等距離の位置に、等間隔に配置されている。
リフレクタ120は、六角柱状であり、三個のLEDパッケージ110それぞれに対向する三枚の側面と、LEDパッケージ110に対向していない三枚の側面とを有する。
リフレクタ120の側面のうち、LEDパッケージ110に対向している側面は、内側に湾曲している。
このように、リフレクタ120の側面の数は、必ずしもLEDパッケージ110の数と一致しなくてもよい。
【0047】
図18は、この実施の形態におけるLEDモジュール100の構造のまた更に別の例を示す正面図である。
図19は、この実施の形態における図18に示したLEDモジュール100の構造を示す側面図である。
LEDモジュール100は、八個のLEDパッケージ110を有する。
八個のLEDパッケージ110は、リフレクタ120の中心軸を中心にして、リフレクタ120の中心軸から等距離の位置に、等間隔に配置されている。
リフレクタ120は、円柱状であり、連続した一枚の側面を有する。
これにより、LEDパッケージ110の数にかかわらず、リフレクタ120の形状を同一とすることができる。LEDパッケージ110の数が異なる複数種類のLEDモジュール100を製造する場合、一種類のリフレクタ120を製造すればよいので、LEDモジュール100の製造コストを抑えることができる。
【0048】
以上説明したリフレクタ120は、略円柱状であって基板130に取付けられる面(底面)の面積が対向する面(上面123)の面積よりも小さく形成され、その側面121でLED111からの光を制御するので、LED111の数にかかわらず、同じ形状のリフレクタ120を使用することができる。
【0049】
実施の形態4.
実施の形態4について、図20〜図21を用いて説明する。
この実施の形態では、補助リフレクタ190の変形例について説明する。
なお、実施の形態1で説明した部分と共通する部分については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0050】
図20は、この実施の形態における補助リフレクタ190を含めたLEDモジュール100の構造を示す正面図である。
補助リフレクタ190は、丸皿状であり、円形の底面191(基板130の下に隠れて見えないため図示せず)に、基板130がすっぽり収まる形状である。円形の底面191の周りには、円錐台側面状のテーパー部192があり、テーパー部192は光を反射する。テーパー部192の更に外側には、帽子のつば状の外周部193がある。
補助リフレクタ190は、金属など熱伝導性の高い材料で構成する。なお、補助リフレクタ190の材料として、金属など導電性の物質を使う場合には、例えば、基板130と接触する底面191を絶縁性の物質で塗装するなどして、基板130上に印刷された配線を短絡しないようにする。
【0051】
実施の形態1で説明したように、リフレクタ120には中央に貫通穴126があり、基板130、補助リフレクタ190にも中央に貫通穴がある。これらの貫通穴にカバー固定ネジ850を通すことにより、LEDモジュール100が非常用照明装置800の本体に固定される。
カバー固定ネジ850を貫通穴に通してLEDモジュール100を非常用照明装置800の本体に固定すると、基板130を、補助リフレクタ190に押し付ける力が働く。このため、基板130と補助リフレクタ190の底面191とが密着する。
補助リフレクタ190は、熱伝導性の高い材料でできているので、LED111が発光することにより発生した熱は、基板130を介して、補助リフレクタ190に伝わる。補助リフレクタ190は、面積が大きいので、放熱板としての役割を果たし、伝わった熱を放熱する。
これにより、LED111で発生した熱を効率よく放熱することができる。
【0052】
また、リフレクタ120も基板130に押し付けられ、リフレクタ120の底面と基板130とが密着する。
そこで、リフレクタ120も金属など熱伝導性の高い材料で構成すれば、リフレクタ120も放熱板としての役割を果たし、LED111で発生した熱を更に効率よく放熱することができる。
【0053】
図21は、この実施の形態における補助リフレクタ190を含めたLEDモジュール100の構造の別の例を示す正面図である。
補助リフレクタ190は、底面191が正方形であり、基板130の形状も、底面191の形状と同じく正方形である。テーパー部192は、四角錐台側面状である。
このように、補助リフレクタ190の形状は、正面視円形状に限らず、正面視正方形状など、他の形状であってもよい。
【0054】
以上説明したリフレクタ120を金属材料(熱伝導性の高い材料)で形成することにより、LED111からの熱を放熱するので、LED111で発生した熱を効率よく放熱することができる。
【0055】
以上説明したLED照明装置(LEDモジュール100)は、LEDモジュールの(基板130の)外周上にあってリフレクタ120で制御した反射光と、LED111からの直接光を制御するとともにLED111からの熱を放熱する補助リフレクタ190を有するので、LED111で発生した熱を効率よく放熱することができる。
【符号の説明】
【0056】
100 LEDモジュール、110 LEDパッケージ、111 LED、120 リフレクタ、121 側面、122 外周辺、123 上面、126 貫通穴、130 基板、190 補助リフレクタ、191 底面、192 テーパー部、193 外周部、711〜714 配光曲線、800 非常用照明装置、810 点検スイッチ、820 充電モニター用LED、830 器具取付け金具、840 カバー、850 カバー固定ネジ、860 電源端子台、870 点灯装置、880 バッテリー収納部、910 天井、920 バッテリー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の表面を有する基板と、
上記基板の表面に実装され、発光面を有する発光素子と、
上記基板の表面の上記発光素子が実装された位置の近傍から立ち上がり、上記基板の表面と平行な断面が上記基板の表面から離れるにつれて上記発光素子の発光面に徐々に近づき途中から上記発光素子の発光面に徐々に重なっていくように、傾斜する反射面を有する反射体と
を備え、
上記発光素子の発光面から発せられる光の略半分の光が上記反射体の反射面により上記発光素子の中心軸に対して略50度以上の方向へ反射されることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記発光素子は、上記基板の表面にn個(nは1以上の整数)実装され、
上記反射体は、m角柱状(mはnより大きい整数)であり、上記発光素子に1対1で対向するn個の側面を上記反射面として含むm個の側面を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記発光素子は、上記基板の表面にn個(nは3以上の整数)実装され、
上記反射体は、n角柱状であり、上記発光素子に1対1で対向するn個の側面を上記反射面として有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
上記反射体は、上記基板の表面と平行な断面が上記基板の表面から最も離れた位置において上記発光素子の中心軸の位置まで上記発光素子の発光面に重なることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
上記発光素子の発光面から発せられる光の略半分の光が上記反射体の反射面により上記発光素子の中心軸に対して略50度以上かつ略60度以下の方向へ反射されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
上記発光素子は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の照明装置と、
上記発光素子を点灯させる点灯回路と
を有することを特徴とする非常用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−58501(P2013−58501A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−284676(P2012−284676)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2008−62716(P2008−62716)の分割
【原出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】