説明

照明装置

【課題】 明るさを維持しつつ、光源の光出力を低下させることができる照明装置を提供する。
【解決手段】 光源1を有して壁に取り付けられる器具本体2と、光源1を覆うグローブ3と、を備え、グローブ3は、光源1の全面に配置される第1のグローブ部分3aと、第1のグローブ部分3aと係合し光源1の側面に配置される第2のグローブ部分3bと、を有し、正面視にて、第2のグローブ部分3bの第1のグローブ部分3aと係合する部分は、第2のグローブ部分3bの側方に突出する突出部分3cを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来例として、特開平11−213725号公報に記載のものが挙げられる。この照明器具においては、図6に示すように、器具本体J1と、グローブJ2とを有しており、器具本体J1は、光源J3を有して壁J4に取り付けられる。そして、円板状の基部J1aの外周部に前方へ突出する略円筒状の取付部J1bを設け、中心側に取付台保持用の凸形状の台座J1cを設けて構成されている。取付部J1bの内側には、グローブ用パッキン保持部J1dが形成されるとともに、グローブ固定用のねじ山の形状の固定突起J1eが所定のピッチで形成されている。器具本体J1は、壁J4との間取付パッキンJ7を挟んで、これを壁J4に加圧するように、基部J1aに差し込まれた取付ねじJ8を壁J4側にねじ込むことにより壁J4に取り付けられる。ランプソケットJ9は円筒体の後端側が台座J1cに取り付けられている。また、ランプソケットJ9の光源J3の上側の近傍には光源J3からの熱を防ぐために、遮熱板J10が設けられている。光源J3は、たとえば、60Wの白熱灯から構成され、ランプソケットJ9に装着されている。J13は壁J4より引き出されてランプソケットJ9に接続されるリード線である。
【0003】
このように構成されている照明器具において、グローブJ2は光源J3からの光をスポット光として壁J4から離れる方向に屈折させる配光制御部J11をグローブJ2の下向きとなる位置に設けているため、照射方向が下向きで壁面から離れるようなスポット光を得ることができる。このため、たとえば、照明器具の下方の壁面に鏡を設置した場合、スポット的な光が下方向手前に照射され、洗顔や化粧などのグルーミング時に、より明るい配光を得ることができる。また、グローブの配光制御部以外は拡散部であるため、前方や側方から照明器具を見ても眩しくない。
【特許文献1】特開平11−213725号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の従来例においては、照明器具を正面から見た場合には、グローブJ2の明るさが一様なため、たとえば、省エネのために光源の光出力を低下させた場合、グローブJ2全体が一様に暗くなってしまう。したがって、明るさを維持しつつ、光源の光出力を低下させる、すなわち、省エネ効果を奏することができなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなしたものであり、その目的とするところは、明るさを維持しつつ、光源の光出力を低下させることができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の照明装置においては、光源を有して壁に取り付けられる器具本体と、光源を覆うグローブと、を備え、グローブは、光源の全面に配置される第1のグローブ部分と、第1のグローブ部分と係合し光源の側面に配置される第2のグローブ部分と、を有し、正面視にて、第2のグローブ部分の第1のグローブ部分と係合する部分は、第2のグローブ部分の側方に突出する突出部分を有していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の照明装置においては、第2のグローブ部分は、一体成形されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の照明装置においては、第1のグローブ部分の全光線に対する透過率は、第2のグローブ部分の透過率よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の照明装置においては、第2のグローブ部分の側面に光を拡散させる凹凸部分を形成したことを特徴とする。
【0010】
なお、本明細書における、「エッジ効果」とは、以下の効果をいうものとする。すなわち、たとえば、断面視にて略長方形状であって光を透過・導光する部材(たとえば、屈折率が1.3〜1.5程度であって、屈折率が1.0程度である空気の屈折率よりも大きいアクリル)がある場合において、この部材に光が照射されたときに、当該部材の側面などから部材に入射した光のうち一部の光が、当該部材の内部で全反射を繰り返し、長方形状部材の一端に到達して、その端部(エッジ部)の明るさが、部材の側面よりも増すことをいうものとする。
【発明の効果】
【0011】
以上、請求項1に記載の発明においては、正面視にて、第2のグローブ部分の第1のグローブ部分と係合する部分は、第2のグローブ部分の側方に突出する突出部分を有しているので、光源から照射された光が、第2のグローブ部分の中を導光していき、第2のグローブ部分の側方に突出したエッジ部分の明るさが増加する。すなわち、光源の光出力を低下させた場合においても、エッジ部分が明るさはそれほど低下せず、第1のグローブ部分の明るさの低下を補完することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明においては、第2のグローブ部分は一体成形されているので、光源から照射された光の第2のグローブ部分内における導光効率を上昇させることができる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明においては、第1のグローブ部分の全光線に対する透過率は、第2のグローブ部分の透過率よりも小さいので、第1のグローブ部分に対して第2のグローブ部分、特に、エッジ部分の明るさ及びクリア感が向上し、照明装置の意匠性が向上する。
【0014】
さらにまた、請求項4に記載の発明においては、第2のグローブ部分の側面の少なくとも一部に、光を拡散させる凹凸部分を形成したので、第2のグローブ部分の側面の明るさに変化を付けることができ、照明装置の意匠性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1から図5までを参照して説明する。図1は本照明装置の断面図を示しており、図2は本照明装置の正面図を示している。また、図3は本照明装置の斜視図を示しており、図4は本照明装置において、グローブ3の突出部分3cのエッジ効果を示している。さらに、図5は突出部分3cの変形例を示している。本照明装置は、たとえば、浴室や洗面場所など種々の場所に設置することができる。
【0016】
つぎに、各部の構成を説明する。
【0017】
光源1は、本発明の照明装置において、光源となるものであり、たとえば、発光部の直径が略30mmのクリプトン電球から構成されている。この光源1は、口金部(図示せず)がソケット5の前面側凹部(図示せず)内に螺合している。ソケット5は、基体6に対して前面側へ突出した状態で壁8に取り付けられており、このソケット5には、後端面側に電源供給用の電源線10が接続されている。また、光源1の配置態様は、断面視においては、光源1の外形の一部が上下に備えられた第2のグローブ部分3bの突出部分3cの結ぶ線上となるように配置され、かつ、正面視においては、グローブ3内のほぼ中央となるように配置されている。
【0018】
なお、本実施の形態においては、光源1としてクリプトン電球を用いているが、光源1はその他、60W程度の一般の白熱電球でもよい。
【0019】
器具本体2は、本発明の照明装置において、光源1やグローブ3が固定される基台となるものであり、円板状の基体6の外周部に、円筒状の支持部6aを備えている。また、基体6の中心部には、ソケット5を取り付けるための開口6bが形成されている。さらに、器具本体2の前面側には、断面視にて壁8と略平行である反射板6cが配置されており、光源1から上方や下方に照射された光は、この反射板6cによって反射され、光が有効利用される。さらにまた、基体6は壁8に対して取付ネジ9によって、パッキンなどを介して密着固定されている。
【0020】
グローブ3は、光源1を覆い、光源1やソケット5が水蒸気や湿気などの影響を受けるのを防ぐとともに、光源1からの光を拡散して、使用者に対して眩しくないようにするものである。このグローブ3はさらに、光源1の全面に配置される第1のグローブ部分3aと第1のグローブ部分3aと係合し、光源1の側面に配置される第2のグローブ部分3bとから構成されている。
【0021】
第1のグローブ部分3aは、乳白色の部材から構成され、形状は、断面視にて光源1を覆うようにしてなる略弓形であり、正面視にて略円形状である。この第1のグローブ部分3aの乳白色の部材として本実施の形態では、不必要な天空方向への光量をより抑えるという観点から、透明な熱可塑性樹脂に酸化チタンや硫酸バリウムなどの白色顔料を分散させたメタクリル樹脂を用いている。そして、第1のグローブ部分3aの肉厚は、第1のグローブ部分3aの強度面から必要とされる肉厚1.0mm以上であって、第1のグローブ部分3aの重量の増加をできるだけ抑えるために、肉厚2.0mm以下としている。また、全光線に対する透過率(以下、全光線透過率という。)の値が略70%を越える材料を用いると、第1のグローブ部分3a面での拡散効果が不充分となり、照明グローブの肉厚を増加させなければならないので、全光線透過率の値が70%以下となるように酸化チタンや硫酸バリウムなどを適宜、メタクリル樹脂に分散配合させている。本実施の形態では、メタクリル樹脂を用いたが、もちろん、その他、ポリカーボネート、又はガラスなどに酸化チタンや硫酸バリウムなどの白色顔料を配合した乳白色の部材を用いてもよい。
【0022】
また、第1のグローブ部分3aの下面側には、第1のグローブ部分3aの側面の周囲に沿って、光源1からの光を拡散させる凹凸部分4が設けられている。そして、この凹凸部分4は、第1のグローブ部分3aと一体成形されている。また、この凹凸部分4は光を屈折させるプリズムのような効果を奏し、この凹凸部分4によって、光源1からの光がスポット光として、壁8から離れる方向であって、下向きに照射される。このため、たとえば、本照明装置の下側の壁面に鏡を設置した場合、スポット的な光が下方向手前に照射され、洗顔や化粧などのグルーミング時により明るい配光を得ることができる。
【0023】
第2のグローブ部分3bは、透明の部材から構成され、形状は、断面視にて、壁8から離れるにしたがって開口部が上下方向に拡大していくとともに、正面視にて略円形状である。そして、第2のグローブ部分3bの第1のグローブ部分3aと係合する部分は、少なくとも第2のグローブ部分3bの側方に突出しており、正面視にてこの突出部分3cを形成する部分の外周は、第1のグローブ部分3aを含んでいる。すなわち、突出部分3cは、第1のグローブ部分3aと第2のグローブ部分3bとの接続部分の外周に沿って、略環形状に形成されている。そして、この突出部分3cを含む第2のグローブ部分3bの全ての部分は、一体成形されている。このため、光源1からの光がこの第2のグローブ部分3b内を導光するときは、光損失を少なくすることができ、効率よく光を突出部分3cの端部まで、導光することができる。
【0024】
この第2のグローブ部分3bの透明の部材として、本実施の形態では、突出部分3cの光によるエッジ効果をより際だたせるために、全光線透過率が80%以上のクリアなメタクリル樹脂を用いている。全光線透過率が80%未満だと、使用者が第2のグローブ部分3bを見たときに、突出部分3cのエッジ効果による光の輪郭がはっきりと認識できない場合がある。特に、第1のグローブ部分3aと第2のグローブ部分3bとの全光線透過率の差が数%程度だと、突出部分3cがエッジ効果を奏しているのかどうか、明確でない場合がある。本実施の形態では、第1のグローブ部分3aの全光線透過率は、第2のグローブ部分3bの透過率よりも、少なくとも10%以上は小さくなっているので、上記のような問題は生じにくくなるのである。
【0025】
そして、上記のように第2のグローブ部分3bの透明感を向上させると、メタクリル樹脂をあたかもガラス素材のように見せることができ、照明装置全体の高級感を向上させることができる。
【0026】
また、第2のグローブ部分3bの肉厚は、第1のグローブ部分3aと同様に、第2のグローブ部分3bの強度面から必要とされる肉厚1.0mm以上であって、第2のグローブ部分3bの重量の増加をできるだけ抑えるために、肉厚2.0mm以下としている。しかしながら、エッジ効果をより効果的に演出しようとする場合には、第2のグローブ部分3bの重量の増加を多少犠牲にして、肉厚を3.0mm程度としても構わない。肉厚が厚い、すなわち、エッジ部分の厚みがあるほど、エッジ効果を強調することができるのである。特に、このようにエッジ効果を強調すると、照明装置の軽さ感、高級感を演出することができる。また、このようにエッジ効果を強調しても、メタクリル樹脂をあたかもガラス素材のように見せることができ、照明装置全体の高級感を向上させることができる。
【0027】
なお、第2のグローブ部分3bの材質として本実施の形態では、透明アクリルを用いているが、第1のグローブ部分3aと同様に、その他、ポリカーボネート、又はガラスなどの透明の部材を用いてもよい。
【0028】
また、第2のグローブ部分3bの突出部分3cとして、その他、断面視にて図5(a)に示すように厚さ方向に対して傾斜しているものでもよく、図5(b)に示すように三角形状のものでもよく、図5(c)に示すように波型のものでもよい。図5(a)に示すものの場合、使用者が本照明装置を斜めから見たときに、突出部分3cの壁8側の鋭端部が前面側よりも明るさを増すので、使用者は奥行き感を感じることができる。また、図5(b)に示すものの場合、厚さ方向において、突出部分3cの略中央のの鋭端部の明るさが増すので、使用者はシャープ感を感じることができる。図5(c)に示すものの場合、照明装置が2重の光のリングによって巻回されているので、照明装置の意匠性を向上させることができる。
【0029】
また、本実施の形態においては、突出部分3cを第2のグローブ部分3bの周囲全体に連続的に設けたが、もちろん、突出部分3cを第2のグローブ部分3bの周囲に一定の間隔で設けてもよいし、離散的に設けてもよい。要は、第2のグローブ部分3bの周囲の少なくとも一部に突出部分3cを設けておけば、エッジ効果を奏することができる。
【0030】
以上、本実施の形態によれば、第2のグローブ部分3bの第1のグローブ部分3aと係合する部分は、少なくとも第2のグローブ部分3aの側方に突出しており、第2のグローブ部分3bの屈折率は空気よりも大きいので、光源1から第2のグローブ部分3a内に入射した光が、第2のグローブ部分3aの突出部分3cまで導光されていき、エッジ効果を奏することができる。このため、省エネのために、光源1の光出力を低下させた場合においても、この突出部分3cの明るさによって、第1のグローブ部分3aの明るさの低下を補完することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本照明装置を示す断面図である。
【図2】本照明装置を示す正面図である。
【図3】本照明装置を示す斜視図である。
【図4】本照明装置において、グローブ3の突出部分3cのエッジ効果を示す図である。
【図5】突出部分3cの変形例を示す図である。
【図6】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 光源
2 器具本体
3 グローブ
3a 第1のグローブ部分
3b 第2のグローブ部分
4 凹凸部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を有して壁に取り付けられる器具本体と、光源を覆うグローブと、を備え、グローブは、光源の全面に配置される第1のグローブ部分と、第1のグローブ部分と係合し光源の側面に配置される第2のグローブ部分と、を有し、正面視にて、第2のグローブ部分の第1のグローブ部分と係合する部分は、第2のグローブ部分の側方に突出する突出部分を有していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
第2のグローブ部分は、一体成形されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
第1のグローブ部分の全光線に対する透過率は、第2のグローブ部分の透過率よりも小さいことを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
第2のグローブ部分の側面の少なくとも一部に、光を拡散させる凹凸部分を形成したことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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