説明

照明装置

【課題】 照明装置内の温度分布のムラを低減し、板面の輝度ムラをなくし、均一な輝度に点灯できる照明装置を提供する。
【解決手段】 ガラス管の内部に放電ガスが封止され、ガラス管の内表面に蛍光体が塗布され、ガラス管の外面に電流導体層が外部電極2として配設された誘電体バリア放電ランプ1を複数本並列に並べ、インバータ4により点灯する照明装置であって、複数本の誘電体バリア放電ランプ1のランプ負荷を異ならせたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体バリア放電ランプを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ランプ外部に電極を備える、いわゆる誘電体バリア放電ランプは、例えば実開昭61−126559号公報(特許文献1)により知られている。図7は一般的な誘電体バリア放電ランプ11の長手方向の側面図であり、図8は図7の断面図である。図7、図8においてガラス管12内には放電ガス15(水銀、ネオン、アルゴン、キセノン等)が封入されて両端が封止され、ガラス管12両端の外表面には外部電極13(金属導体層)が形成されている。この構成の誘電体バリア放電ランプ11の両端の外部電極13,13間に高周波点灯装置14(インバータ)から高周波電圧が印加されると、外部電極13内側のガラス管C成分を介してガラス管12内に高周波電力が注入され、ガラス管12内で持続放電が生じて蛍光体層16が発光しランプが点灯する。この誘電体バリア放電ランプ11は容量結合型の放電ランプであるため、並列点灯が容易であるという特徴がある。そのため、直下式のバックライト(B/L)ユニットを設計する際にはコストダウンに有効なランプである。
【0003】
図9は従来の誘電体バリア放電ランプを使用したバックライトの正面図である。図9において、21は誘電体バリア放電ランプ、22は外部電極、23は給電部材、24はインバータを表している。実際にバックライトユニットに組み込む際には、図9に示すようにランプ21を共通の給電部材23により並列接続して、同じ電圧をそれぞれのランプ21に印加して点灯させる。各ランプ21の外部電極22の部分の内側のガラスの肉厚がバラストコンデンサの働きをするため、外部電極22の長さが同じであれば、それぞれのランプ21にはほぼ共通のランプ電流が流れる。
【0004】
しかし、このような従来のバックライトは、実際の使用姿勢では、熱の対流により特に下方位置のランプの温度が低くなり、バックライトユニット内の温度分布にムラが生じ、そのため温度が低い場所のランプは暗くなり、板面の輝度にもムラが生じてしまうといった問題点があった。
【特許文献1】実開昭61−126559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、板面の輝度ムラをなくし、均一な輝度に点灯できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ガラス管の内部に放電ガスが封止され、前記ガラス管の内表面に蛍光体が塗布され、前記ガラス管の外面に電流導体層が外部電極として配設された誘電体バリア放電ランプを複数本並列に並べ、インバータにより点灯する照明装置であって、前記複数本の誘電体バリア放電ランプのランプ負荷を異ならせたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の照明装置において、前記複数本の誘電体バリア放電ランプのうち、使用姿勢において熱の対流において熱流の下流に位置する1本又は適数本の誘電体バリア放電ランプのランプ負荷を低くしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の照明装置において、前記ランプ負荷を異ならせるために、該当する誘電体バリア放電ランプの外部電極の長さを長くしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、盤面の輝度ムラがなく、安定した板面輝度を維持することができる照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0011】
図1は本発明の1つの実施の形態の照明装置であるバックライトユニットの正面図である。図1において、1は誘電体バリア放電ランプ、2は外部電極、3は給電部材、4はインバータを示している。本実施の形態のバックライトユニットは、通常の使用姿勢において熱対流で温度が低くなる箇所として、図1の点線で囲っている下部4本の放電ランプ1の外部電極2の長さをそれらよりも上方位置の放電ランプ1の外部電極2の長さよりも長くしたことを特徴としている。
【0012】
誘電体バリア放電ランプ1は、外部電極2の長さを長くすると、外部電極部のガラスのキャパシタンスが大きくなるため、印加電圧が一定の場合にはそのランプの電流は増加する。
【0013】
本実施の形態によれば、通常の使用姿勢で熱対流により低温度となる位置に存在することになる下方部の複数本の誘電体バリア放電ランプ1としてその外部電極2の長さがそれらよりも上方位置の放電ランプ1の外部電極2の長さよりも長くしたものを使用することにより、それら該当部の放電ランプのランプ電流を増やすことができ、バックライトユニットの下部のランプの輝度をアップさせ、バックライトユニットとして板面の輝度ムラを解消することができる。
【0014】
尚、通常の使用姿勢において熱対流により温度が低くなる場所に位置する誘電体バリア放電ランプのランプ電流を大きくする対策は、上述した外部電極2の長さを長くする以外にもあり得る。
【0015】
(1)その1つ、各誘電体バリア放電ランプ1のガラス管を内径は同じにして、ガラスの肉厚が異なるもの、従って外径が異なるものを用いてバックライトユニットを構成することができる。これは、誘電体バリア放電ランプは外部電極2の部分のガラスの肉厚を変えることにより、外部電極2の部分のガラスのキャパシタンスが変化するためである。そこで、バックライトユニットの下部の誘電体バリア放電ランプ1としてそのガラス管の肉厚が他の場所のもりよりも薄いものを採用することで、外部電極2の部分のガラスのキャパシタンスを変化させ、これによりランプ電流を増やすことができ、バックライトユニットの下方位置のランプの輝度をアップさせることができる。
【0016】
(2)他の1つは、複数本の誘電体バリア放電ランプ1として、そのガラス管の材質が異なるものを採用することである。誘電体バリア放電ランプのガラス管に異なる材質のものを用いることにより、外部電極2の部分のガラス管のキャパシタンスを変化させ、これによりランプ電流を増やすことができ、バックライトユニットの下方位置のランプの輝度をアップさせることができる。
【0017】
(3)他の1つは、複数の誘電体バリア放電ランプ1としてそのガラス管内の封入ガスの種類を異ならせたものを用いることである。ガラス管内の封入ガスとして種類が異なるものを用いた複数本の誘電体バリア放電ランプにてバックライトユニットを構成することにより、陽光柱の負荷を変化させることができるので、バックライトユニットの下部のランプの輝度をアップさせることができる。
【0018】
(4)さらに他の1つは、誘電体バリア放電ランプ1としてそのガラス管内の封入ガスのガス圧が異なるものを用いることである。ガラス管内の封入ガスのガス圧が異なるものを用いてバックライトユニットを構成することにより、陽光柱の負荷を変化させることができ、バックライトユニットの下部のランプの輝度をアップさせることができる。
【0019】
(5)さらに他の1つは、複数本の誘電体バリア放電ランプとしてそのガラス管の外径又は内径が異なるものを用いてバックライトユニットを構成することである。複数本の誘電体バリア放電ランプとしてそのガラス管の外径又は内径が異なるものを用いてバックライトユニットを構成することにより、陽光柱の負荷を変化させることができ、さらに外部電極2の部分のガラス管のキャパシタンスが変化するので、バックライトユニットの下部のランプの輝度をアップさせることができる。
【実施例1】
【0020】
以下の構成の実施例1と比較例1のバックライトユニットを作成し、比較した。
【0021】
[実施例1]
(誘電体バリア放電ランプ)
ランプサイズ:外径φ3mm(肉厚0.5mm)×全長750mmL
外部電極:半田メッキ電極
封入ガス:Ne+Ar(10%)[計60torr]及び水銀
ガラス管材料:コバール封着用硼珪酸ガラス
図1に示すように、誘電体バリア放電ランプを18本並列に並べ、外部電極の長さを下部4本は31mmに形成し、その他は26mmとした構成である。
【0022】
[比較例1]
(誘電体バリア放電ランプ)
ランプサイズ:外径φ3mm(肉厚0.5mm)×全長750mmL
外部電極:半田メッキ電極
封入ガス:Ne+Ar(10%)[計60torr]及び水銀
ガラス管材料:コバール封着用硼珪酸ガラス
図2に示すように、誘電体バリア放電ランプを18本並列に並べ、外部電極の長さは全て均等に26mmとした構成である。尚、図2において図1と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
【0023】
以上の実施例1と比較例1のバックライトユニットを点灯させ、図3に示す板面輝度の測定ポイントで測定を行なった。
【0024】
図4は実施例1の測定ポイントと輝度の関係を表した表であり、図5は比較例1の測定ポイントと輝度の関係を表した表である。また、図6はバックライトユニットの場所と当該場所のランプ表面温度を表した表である。比較例1では上部及び中央部と比べて下部は暗くなっており、輝度ムラは62.7%であった。これは目視でも下部が暗いことが確認できるレベルである。この時のランプに流れている電流を測定してみたところ、各ランプの電流は約4mAとなっており、差はなかったため、バックライトユニット内の温度の不均一さにより輝度ムラが発生しているものである。
【0025】
実施例1では図4に示すように、輝度ムラが88.0%であり、比較例1に比べて輝度ムラが大幅に減ることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の1つの実施の形態のバックライトユニットの正面図。
【図2】比較例のバックライトユニットの正面図。
【図3】実施例と比較例との輝度測定ポイントを示す正面図。
【図4】実施例の各輝度測定ポイントでの測定結果の表。
【図5】比較例の各輝度測定ポイントでの測定結果の表。
【図6】従来例のバックライトの発光面の各部での温度分布を示す表。
【図7】一般的な誘電体バリア放電ランプの正面図。
【図8】図7におけるランプ軸方向に沿った断面での断面図。
【図9】従来の放電ランプの正面図。
【符号の説明】
【0027】
1 誘電体バリア放電ランプ
2 外部電極
3 給電部材
4 インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の内部に放電ガスが封止され、前記ガラス管の内表面に蛍光体が塗布され、前記ガラス管の外面に電流導体層が外部電極として配設された誘電体バリア放電ランプを複数本並列に並べ、インバータにより点灯する照明装置であって、
前記複数本の誘電体バリア放電ランプのランプ負荷を異ならせたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記複数本の誘電体バリア放電ランプのうち、使用姿勢において熱の対流において下部に位置する1本又は適数本の誘電体バリア放電ランプのランプ負荷を低くしたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記ランプ負荷を異ならせるために、該当する誘電体バリア放電ランプの外部電極の長さを長くしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−48608(P2007−48608A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232179(P2005−232179)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】