説明

照明装置

【課題】長寿命性が実現される電源装置を使用した、LEDを光源とする照明装置を提供する。
【解決手段】固体発光素子32を具備する光源ユニット2と、光源ユニット2に電源供給を行う電源装置6とを備える照明装置1であって、電源装置6は、放熱電極71を有し、発熱素子53を含む回路素子により構成され、パルス信号に基づき光源ユニット2に電源供給する電力を生成する選択部94と、回路素子を実装面上に実装する基板55と、樹脂材料により構成され、基板55が配置される中空構造58を有する柱形状の筐体51とを備え、筐体51は、一面が開口部59を構成し、開口部59はプレート52により封止され、基板55は、特定端部56より所定間隔81外側であって、保持面に対し垂直な軸上に放熱電極71が位置するように発熱素子53を保持し、回路素子は、発熱素子53の放熱電極71のみがプレート52と密着した状態で配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関し、特に、固体発光素子を光源とした照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への意識の向上が高まり、白熱電球、蛍光ランプおよび水銀ランプ等のランプ類に替わる新しい光源として、固体発光素子、特に発光ダイオードが注目を集めている。なぜなら、発光ダイオード(以下、LEDと記載)は、上述したランプ類の光源と比較して長寿命な光源であり、また水銀および鉛といった有害物質を含まない、すなわち、環境に優しい光源であるからである。
【0003】
LEDの中でも、1W以上の入力容量を有するいわゆるハイパワーLEDは、発光強度が強く照明用途に最適である。また、LEDの光変換効率は年々向上しており、今後LEDを光源とした照明は、省エネルギー光源としての期待も高まっている。
【0004】
LEDは、直流駆動素子であり、商用電源(交流電源)を利用してその駆動を行う場合には、交流を直流に変換する電源装置が必要となる。
【0005】
ここで、LEDを駆動するための電源装置には、種々要求項目がある。その中で、寿命が長いことも要求されている。
【0006】
電源装置の寿命については、LEDの特徴の一つとして長寿命(蛍光ランプのような球切れが発生しない)であることがあげられる。したがって、LEDを利用したメインテナンスフリーの照明装置を実現するためには、電源装置についてもLEDと同程度の長寿命であることが必要である。長寿命を実現するためには、電源装置を構成する回路素子からロスとして発生する熱の放熱を適切に行うことが必要である。放熱を適切に行わないと、回路素子の特性劣化、さらには故障につながるリスクがある。
【0007】
このような状況を鑑みてか、特許文献1には、LEDを駆動するためのものではないが、車載用放電灯点灯装置が開示されている。この車載用放電灯点灯装置においては、開口した金属製のケースボディ内に点灯回路部を配置する。そして、ケースボディの開口した部分には、樹脂製の取り付けフランジにより閉塞するとされている。
【0008】
このような構成により、点灯回路部を構成する部品から発せられる熱を放熱することができるとされている。
【特許文献1】特開2002−367413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示される車載用放電灯点灯装置を、LEDを使用した照明装置の電源装置に適用することは困難であると考える。それは、特許文献1における点灯回路部(前記電源装置を構成する回路に相当)を金属製のケースボディ(前記電源装置の筐体に相当)に挿入している。確かにこのような構成をとることで、点灯回路部を構成する回路素子からロスとして発生する熱を放熱することはできると考えられるが、前述のようにケースボディが金属製となっている。
【0010】
すなわち、特許文献1に開示される車載用放電灯点灯装置においては、ケースボディを閉塞する取り付けフランジは樹脂製であるものの、それを取り囲む大部分が金属製となっている。このような状態においては、何らかの衝撃等で、点灯回路部の一部が金属製であるケースボディに触れてしまうリスクがある。ケースボディは金属製であるがため、電気的短絡等の事故が発生してしまう可能性がある。
【0011】
このことは、LEDを使用した照明装置の電源装置に要求される長寿命性に反し、不安定な寿命特性につながってしまい問題である。
【0012】
また、特許文献1に開示される車載用放電灯点灯装置においては、点灯回路部をケースボディに配置した後、点灯回路部の一部が金属製であるケースボディに触れてしまうリスクを回避するためか、充填材により充填し、これを利用して放熱を行うとされているが、充填材の熱伝導性は、アルミニウム等の金属と比較して低く、充填材を介した放熱が、実際に適切に行われるか否かについては疑問がある。
【0013】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであって、長寿命性が実現される電源装置を使用した、LEDを光源とする照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、固体発光素子を具備する光源ユニットと、交流電源を利用し前記光源ユニットに電源供給を行う電源ユニットとを備える照明装置であって、前記電源ユニットは、放熱電極を有し、発熱量の大きい特定素子を含む回路素子により構成され、任意の信号に基づき前記光源ユニットに電源供給する電力を生成する生成手段と、長方形形状を有し、前記回路素子を保持面上に保持する保持手段と、樹脂材料により構成され、前記保持手段が配置される中空構造を有する柱形状の筐体手段とを備え、前記筐体手段は、側面のうち任意の一面が開口部を構成し、前記開口部は金属より構成されるプレートにより封止され、前記保持手段は、長辺を構成する一方の端部である特定端部より所定間隔外側であって、前記保持面に対し垂直な軸上に前記放熱電極が位置するように前記特定素子を保持し、前記回路素子のうち前記プレートと接触して配置されるのは前記放熱電極のみであり、前記プレートと前記放熱電極とは密着配置されることにより解決することができる。
【0015】
この構成により、電源ユニットを構成する回路素子のうち発熱量の大きい素子の放熱電極のみが、金属より構成されるプレートと接触(密着)する。すなわち、発熱量の大きい素子からの熱はプレートにより放熱することができる。一方、発熱量の大きい素子の放熱電極以外、及びその他の素子は、プレートに接触せず電気的短絡が発生することが防がれる。また、筐体手段が樹脂製であることから、万が一の衝撃により、中空構造内で保持手段が動いたとしても、電気的短絡が発生するリスクがない。
【0016】
ここで、前記任意の信号は、パルス信号であり、前記生成手段は、前記パルス信号の1周期あたりのオンパルスが占める割合であるデューティ比に基づき、生成する電力値が決定されてもよい。また、前記生成手段は、交流電源から供給される交流を脈流に変換する変換手段と、前記脈流の通過又は非通過を選択する選択手段と、前記脈流の通過と非通過との時間比である比率を前記選択手段に対し指示する指示手段とを備え、前記指示手段は、前記パルス信号の前記デューティ比に基づき、前記比率を前記選択手段に対し指示してもよい。
【0017】
この構成により、パルス信号のデューティ比により、電源ユニットで生成する電力値を決定することができるという効果がある。
【0018】
ここで、前記指示手段は、さらに、前記パルス信号の前記デューティ比に対応する電力値である目標電力値と、任意の時刻における前記光源ユニットに電源供給されている電力値である現在電力値とを比較する比較手段を備え、前記指示手段は、前記比較手段において前記目標電力値が大きいと判断した場合は、前記任意の時刻直前の前記比率より高い前記比率を前記選択手段に対し指示し、前記比較手段において前記目標電力値が小さいと判断した場合は、前記任意の時刻直前の前記比率より低い前記比率を前記選択手段に対し指示してもよい。
【0019】
この構成により、パルス信号のデューティ比により決定された電力値(目標電力値)と、任意の時刻の直前の現在電圧値とを比較の上、任意の時刻の比率を指示することができるという効果がある。すなわち、電源ユニットは、目標電力値と現在電力値とに基づく制御が実現される。
【0020】
ここで、前記選択手段は、さらに、スイッチング素子を備え、前記特定素子は、前記スイッチング素子であってもよい。
【0021】
この構成により、スイッチング素子においてロスとして発生する熱を、プレートを用いて適切に放熱できるという効果がある。
【0022】
ここで、前記光源ユニットは、さらに、金属からなる筐体部を備え、前記筐体部と、前記プレートとは密着して配置されてもよい。
【0023】
この構成により、光源ユニットの筐体部を利用して、特定素子でロスとして発生した熱を放熱することができるという効果があるので、より放熱性を高めることができるという効果がある。
【0024】
ここで、前記保持手段と前記プレートとは、互いに長辺方向が平行となると共に、互いの短辺方向がなす角が90度となるよう配置されてもよい。また、前記保持手段の前記特定端部と前記プレートとは、所定間隔を有し配置されてもよい。また、前記特定端部と前記プレートとの間には、絶縁材料より構成される部材が挿入されてもよい。さらに、前記所定間隔とは、1mm以上であってよい。
【0025】
この構成により、保持手段と、プレートとの絶縁性(絶縁耐圧)を高めることができるという効果がある。
【0026】
ここで、前記筐体手段は、四角柱形状であって、前記筐体手段の幅方向の長さは、前記保持手段の長手方向の長さと略一致し、前記筐体手段の縦方向、及び横方向の長さは、前記保持手段の短辺方向の長さと略一致してよい。
【0027】
この構成により、電源ユニットの大きさを最小限にすることができるという効果がある。電源ユニットが小型であることにより、照明装置の設計の自由度が増し、デザイン性を高めることができるという効果もある。さらに、中空構造内で、保持手段が動くスペースがなくなり、万が一衝撃等が電源ユニットに加えられた際の安全性をさらに高めることができる。
【0028】
ここで、前記電源ユニットは、さらに、外部から配信される任意の情報を受信し、前記任意の情報に基づき前記パルス信号を作成して、前記生成手段に前記パルス信号を送付する送付手段を備えてよい。さらに、前記任意の情報とは、任意の時刻である第1時刻における前記光源ユニットによる照明強度の増減を指示する指示情報であって、前記送付手段は、前記指示情報が前記光源ユニットによる照明強度の増加を指示するものである場合は、前記第1時刻直前の前記パルス信号の前記デューティ比に対し高い前記デューティ比を有する前記パルス信号を作成し、前記指示情報が前記光源ユニットによる照明強度の減少を指示するものである場合は、前記第1時刻直前の前記パルス信号の前記デューティ比に対し低い前記デューティ比を有する前記パルス信号を作成してもよい。
【0029】
この構成により、照明装置の外部からその照明強度を変更できる(所謂調光することができる)という効果がある。固体発光素子をLEDとした場合において得に効果がある。これは、LEDがそれに供給する電力により、発光強度を自由に制御できるためである。
【0030】
ここで、前記生成手段は、さらに、前記脈流の所定期間の平均値から前記脈流の推定波形を求め、前記推定波形から任意の時刻である第2時刻における前記脈流の推定瞬時値を求める推定手段と、前記推定瞬時値と前記第2時刻において得られた前記脈流の瞬時値との比較結果に基づき、前記比率の補正を前記選択手段に対し指示する補正手段とを備え、前記補正手段は、前記脈流の瞬時値が、前記推定瞬時値を上回る場合には、前記第2時刻直前の前記比率より低い前記比率への補正を指示し、前記脈流の瞬時値が、前記推定瞬時値を下回る場合には、前記第2時刻直前の前記比率に対し高い前記比率への補正を指示してよい。さらに、前記所定期間とは、前記交流の電源の1/2周期に相当する期間以上であってよい。
【0031】
この構成により、交流電源の変動が生じたときにおいても、電源ユニットにて生成する電力値の変動を防ぐことができるという効果がある。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、長寿命性が実現される電源装置を使用した、LEDを光源とする照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明に係る照明装置1は、固体発光素子32を使用した光源ユニット2に電源供給を行う電源装置6において、長寿命性を実現している。具体的には、筐体51を樹脂製とし、その開口部59には金属製のプレート52を取り付けた。プレート52には、電源装置6を構成する回路素子(発熱素子53、及び一般素子54)のうち、発熱素子53の放熱電極71のみが接触すると共に、プレート52と放熱電極71とを密着配置した。このことにより、発熱素子53においてロスとして発生する熱を適切に放熱できる。
【0034】
さらに、筐体51が樹脂ケースであるがため、何らかの衝撃があっても、電源装置6を構成する回路素子(発熱素子53、及び一般素子54)の不要な部分が、金属製であるプレート52に接触することを防いでいる。そのため電気的短絡が発生することがなく、よって安定した長寿命性を実現している。
【0035】
以下、本発明に係る照明装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
まず、本発明の照明装置1の構成を説明する。
図1は、本発明の照明装置1の外観を示す斜視図である。図2は、光源ユニット2の図1におけるA方向から見た平面図である。図3は、光源ユニット2の図2におけるC1−C2面における構造を示す断面図である。図4は、電源装置6の図1におけるB方向から見た平面図である。図5は、電源装置6の図4におけるD1−D2面における構造を示す断面図である。図6は、電源装置6の図4におけるE1−E2面における構造を示す断面図である。
【0037】
本発明の照明装置1は、光源ユニット2と、接続ケーブル3と、信号ケーブル4と、電源ケーブル5と、電源装置6により構成される。
【0038】
光源ユニット2は、筐体部31を備え、筐体部31の内部に、複数の固体発光素子32と、基板33と、保護用透光板34とを備える。
【0039】
光源ユニット2は、電源装置6から接続ケーブル3を介し供給される直流を用いて内部のLED等の固体発光素子32を発光させる。
【0040】
筐体部31は、断面が略コの字形状に形成される。筐体部31は、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)により構成される。例えば、筐体部31は、アルミニウムで構成される。筐体部31にアルミニウムを用いる理由としては、安価であること、成形が行いやすいこと、リサイクル性が良いこと、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上であること、及び放熱特性が高いことなどが挙げられる。
【0041】
保護用透光板34は、透光性を有し、固体発光素子32の発光方向に配置される。保護用透光板34は、平板状に形成される。筐体部31と保護用透光板34とを一体的に組み合わせることで、断面が略四角形状となる。
【0042】
保護用透光板34は、透明なガラス又はアクリル樹脂、ポリカーボネート等により形成される。保護用透光板34の表面又は裏面には、表面処理により、微細な凹凸が不均一に形成される。この表面処理は、例えば、サンドブラスト法を適用することにより容易に行うことができる。保護用透光板34は、照明装置1の内部に配置される固体発光素子32などを保護する。また、保護用透光板34は、固体発光素子32から発せられた光を拡散する役目を担う。固体発光素子32から発せられた光は、指向性が強く、局所的に照射される傾向にある。固体発光素子32から発せられた光を表面処理された保護用透光板34により拡散することによって、光の指向性を弱め、広い面積に均一に光を照射することができる。
【0043】
基板33は、筐体部31と保護用透光板34とにより形成される中空構造の内側に配置される。基板33は、中空構造の内側の保護用透光板34に対向する面の表面に形成される。基板33は、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)により構成される。好ましくは筐体部31と同一材質により構成される。例えば、基板33は、アルミニウムにより構成される。
【0044】
複数の固体発光素子32は、基板33に配置される。複数の固体発光素子32は、例えば、LEDである。固体発光素子32は、1個当たりの消費電力が1W以上のいわゆるハイパワーLEDであり、表面実装型のLEDである。ハイパワーLEDは、光度が高く照明装置用途に好適である。照明装置1を一般的な照明として使用する場合、使用する固体発光素子32の発光色は、昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色などに相当するものが好適である。具体的には、例えば、複数の固体発光素子32は、JISZ9112「蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」の4.2「色度範囲」に規定された昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色に相当する光を発光する。
【0045】
ここで、筐体部31と、基板33とは、互いに接触させることが好ましい。なぜならば、筐体部31と基板33との間に、空気が入ることにより、筐体部31と基板33との間の熱伝導が阻害され、このことより効率的な熱処理ができなくなるためである。すなわち、筐体部31と基板33とを同じ材質により構成することにより、筐体部31と基板33との密着性を高めることが好ましい。さらに、プレス加工を行い、密着性をより高めることが好ましい。
【0046】
上記プレス加工を行う際には、筐体部31と基板33との間に接着性を有する材料(例えば、接着剤又は基材なしの両面テープなど)(不図示)を挟み込み、両者の密着性を高めることが好ましい。
【0047】
なお、両面テープを使用する場合には、基材を含まないものを選択することが肝要である。それは、基材は熱伝導率が低いので、基板33から筐体部31への熱伝導が阻害されるためである。
【0048】
また、基板33を複数個に分割することも好ましい。これは、筐体部31と基板33との線膨張係数が異なる場合において、光源ユニット2の温度が上昇した際に、筐体部31と基板33との密着性が悪化することを防ぐためである。基板33を分割することにより、基板33の1枚あたりの長手方向の長さが短くなる。これにより、基板33の1枚あたりの膨張量が小さくなる。よって、接着性を有する材料で筐体部31と基板33との膨張の違いを吸収しやすくなるので、筐体部31と基板33との密着性を維持しやすくなる。この基板33を分割する手法は、特に光源ユニット2の長手方向の長さが長い場合に有効である。
【0049】
接続ケーブル3は、光源ユニット2と電源装置6とを電気的に接続するケーブルである。電源装置6において生成した電力を、光源ユニット2に電源供給するために供される。
【0050】
信号ケーブル4は、本発明の任意の情報に相当する調光信号を、照明装置1の外部より受信するために供される。なお、調光信号は、信号ケーブル4を介して照明装置1(電源装置6)に送信されてよく、また無線通信回線(赤外線通信など:不図示)を介して照明装置1(電源装置6)に送信されてよい。
【0051】
電源ケーブル5は、電源装置6が商用等の交流電源を利用するために用いられ、例えば商用電源91と電源装置6とを接続する。
【0052】
電源装置6は、本発明の電源ユニットに相当する。筐体51(本発明の筐体手段に相当する)と、プレート52とにより構成される。また、筐体51と、プレート52とにより構成される空間内には、電源装置6を構成する回路素子(発熱素子53(本発明の特定素子に相当する)、一般素子54)、基板55(本発明の保持手段に相当する)、絶縁体57(本発明の絶縁材料により構成される部材に相当する)が配置される。
【0053】
なお、図5、図6及び図8に記載のとおり、説明のためプレート52の短辺方向を軸x、基板55の短辺方向を軸y、プレート52、及び基板55の長辺方向を軸zとする。
【0054】
筐体51は、樹脂により構成され、柱形状(ここでは、四角柱形状としているが、円柱形状等であってもよい)を有し、中空構造58を有している。中空構造58の内部には、回路素子(発熱素子53、一般素子54)、基板55、絶縁体57が配置される。
【0055】
筐体51(中空構造58)は、側面(軸zに沿った面)のうち何れか一面に開口部59を有しており、開口部59は、プレート52により封止されている。
【0056】
プレート52は、金属(発明者らは、アルミニウムを採用したが、これに限定されない。熱伝導性、放熱性に優れる材料により構成することが肝要である。)により構成され、筐体51(中空構造58)の開口部59を封止する。併せて、発熱素子53の放熱電極71が密着して配置される。これは、発熱素子53にて発生した熱を、プレート52を利用して放熱するためである。
【0057】
ここで、プレート52は、(光源ユニット2の)筐体部31と密着して配置することも望ましい。このようにすることにより、発熱素子53にて発生した熱は、筐体部31をも利用して放熱することができ、よってその効果を高めることが叶う。
【0058】
また、プレート52には、発熱素子53の放熱電極71以外の部分、及び一般素子54が接触しないように構成することが必要である(すなわち、本発明の生成手段において、プレート52と接触するのは、発熱素子53の放熱電極71のみである)。更には、基板55についても、プレート52と接触しないようにすることが必要である。
【0059】
このようにする理由についてであるが、電源装置6の長寿命性を実現するためである。すなわち、発熱素子53については、その放熱電極71より確実に放熱する。一方で、その他の部分が金属から構成される、すなわち導体であるプレート52に接触することは、電気的短絡の発生に直接的につながる。もし電気的短絡が発生したならば、当然に電源装置6の故障へとつながり、長寿命性を実現することもできない。そのため、上記のような構成を電源装置6はとっている。
【0060】
発熱素子53は、例えば電界効果トランジスタ107(以下、FETと記載)である(本発明のスイッチング素子に相当する)。FET107は、大電力のスイッチングを行うため、ロスとして発生する熱も大きい。したがって、適切に放熱する必要がある。
【0061】
図7は、FET107の模式図であるが、この図に示すように放熱電極71を有している。これを、プレート52と密着するように配置する。このようにすることにより、適切な放熱が行えるようにした。なお、発熱素子53は、上記FET107に限らず、本発明の生成手段を構成する回路素子のうち、放熱電極71を有する発熱の大きい素子を指す(一般的に、発熱の大きい素子は、放熱電極71が備えられている)。
【0062】
一般素子54は、前述の発熱素子53以外の本発明の生成手段を構成する回路素子を指す。発熱量が小さいがため、プレート52と密着させる必要はなく、上記電気的短絡の防止のため接触も発生しないよう配置する。
【0063】
基板55は、発熱素子53、及び一般素子54が実装面上に実装される。一般的なガラスエポキシ基板であってよい。もちろん金属基板、アルミナセラミック基板、チッ化アルミ基板などであってもよい。
【0064】
基板55は、図示するように長方形型をしている。そして、発熱素子53は、長辺方向(軸z)に沿った端部のうち、何れか一方の端部(特定端部56)より、所定間隔81だけ外側であって基板55の実装面に垂直な軸(軸x)上に放熱電極71が位置するように、基板55に実装される。
【0065】
図8は、基板55上に実装される発熱素子53の様子を示すものである。このように、特定端部56より、所定間隔81だけ外側であって基板55の実装面に垂直な軸(軸x)上に放熱電極71が位置するように、発熱素子53は基板55に実装される。
【0066】
すなわち、電源装置6においては、プレート52と特定端部56との間に所定間隔81が生じることとなる。
【0067】
所定間隔81は、任意の間隔であってよいが、あまり間隔が狭い場合には、基板55と、プレート52との間の絶縁耐圧が不足する可能性もある(すなわち、基板55の配線パターン(不図示)から、プレート52への電気的短絡発生の可能性がある)。発明者らの実験においては1mm以上の間隔があれば、電気的短絡の発生がないことを確認している。
【0068】
また、プレート52と特定端部56との間(所定間隔81の部分)には、電気的に絶縁体である絶縁体57が挿入されている。これにより、プレート52と基板55との間の絶縁耐圧を更に高めることができるという効果がある。また、このことは、基板55が、中空構造58内で動くことを防ぐ効果も奏でる。
【0069】
また、プレート52と、基板55とは長手方向が平行となるよう軸Zに沿って(図6参照)配置すると共に、短辺方向がなす角が、略90度となるように配置する(すなわち、プレート52の短辺方向に沿った軸xと、基板55の短辺方向に沿った軸yとのなす角は、略90度である)。
【0070】
さらに、筐体51を四角柱形状とした場合において、軸zに沿った長さ(幅方向の長さ)は、基板55の軸zに沿った長さと略一致し、かつ筐体51の軸xに沿った長さ(縦方向の長さ)、及び軸yに沿った長さ(横方向の長さ)は、基板55の軸yに沿った長さ(短辺方向の長さ)と略一致する。
【0071】
このようにすることで、筐体51のサイズを最小限にすることができる。このことは、電源装置6を小型化することに寄与する。
【0072】
さらには、上記のような構成により、万が一の衝撃が電源装置6に与えられたとしても、基板55は中空構造58内でほとんど動くスペースがない。また、中空構造58はプレート52側の面を除く5つの面が絶縁体(樹脂)により構成されると共に、プレート52側の面においても、プレート52と特定端部56との間には絶縁体57が挿入されている。
【0073】
したがって、電源装置6においては、その内部で電気的短絡が発生する可能性を排除することができる。したがって、電気的短絡が発生することによる故障の発生がないため、安定した長寿命性を発揮することができる。さらに、電気的短絡が発生することは利用者が感電するなどの危険性もあるが、この発生の可能性も排除しており、安全な電源装置であるといえる。
【0074】
ここで、特許文献1に開示される車載用放電灯点灯装置においては、開口した金属製のケースボディ内に点灯回路部を配置する。そして、ケースボディの開口した部分には、樹脂製の取り付けフランジにより閉塞するとされている。
【0075】
このような構成により、点灯回路部を構成する部品から発せられる熱を放熱することができるとされている。しかしながら、特許文献1に開示される車載用放電灯点灯装置を、LEDを使用した照明装置の電源装置に適用することは困難であると考える。それは、特許文献1における点灯回路部(前記電源装置を構成する回路に相当)を金属製のケースボディ(前記電源装置の筐体に相当)に挿入している。確かにこのような構成をとることで、点灯回路部を構成する回路素子からロスとして発生する熱を放熱することはできると考えられるが、前述のようにケースボディが金属製となっている。
【0076】
すなわち、特許文献1に開示される車載用放電灯点灯装置においては、ケースボディを閉塞する取り付けフランジは樹脂製であるものの、それを取り囲む大部分が金属製となっている。このような状態においては、何らかの衝撃等で、点灯回路部の一部が金属製であるケースボディに触れてしまうリスクがある。ケースボディは金属製であるがため、電気的短絡等の事故が発生してしまう可能性がある。
【0077】
このことは、LEDを使用した照明装置の電源装置に要求される長寿命性に反し、不安定な寿命特性につながってしまい問題である。
【0078】
また、特許文献1に開示される車載用放電灯点灯装置においては、点灯回路部をケースボディに配置した後、点灯回路部の一部が金属製であるケースボディに触れてしまうリスクを回避するためか、充填材により充填し、これを利用して放熱を行うとされているが、充填材の熱伝導性は、アルミニウム等の金属と比較して低く、充填材を介した放熱が、実際に適切に行われるか否かについては疑問がある。
【0079】
一方、本発明に係る照明装置1は、固体発光素子32を使用した光源ユニット2に電源供給を行う電源装置6において、長寿命性を実現している。具体的には、筐体51を樹脂製とし、その開口部59には金属製のプレート52を取り付けた。プレート52には、電源装置6を構成する回路素子(発熱素子53及び一般素子54)のうち発熱素子53の放熱電極71のみが接触し、プレート52と放熱電極71とを密着配置した。このことにより、発熱素子53においてロスとして発生する熱を適切に放熱できる。
【0080】
さらに、筐体51が樹脂ケースであるがため、何らかの衝撃があっても、発熱素子53、及び一般素子54の不要な部分が、金属製であるプレート52に接触することを防いでいる。そのため電気的短絡が発生することがなく、よって安定した長寿命性を実現している。
【0081】
次に、照明装置1の機能について、図9に基づき説明する。図9は、本発明の照明装置1の機能ブロック図である。
【0082】
照明装置1は、交流電源を利用し複数の固体発光素子32を発光させることにより照明する照明装置であって、光源ユニット2と、電源装置6を構成する整流部92と、測定部93と、選択部94と、検出部95と、コントローラ96と、パルス発生器97とを備え構成される。商用電源91と整流部92とは電源ケーブル5により接続され、検出部95と光源ユニット2とは接続ケーブル3により接続される。
【0083】
なお、整流部92、測定部93、選択部94、検出部95及びコントローラ96は、本発明の生成手段に相当する。特に、整流部92は本発明の変換手段に相当し、測定部93は本発明の推定手段の一部に相当し、選択部94は本発明の選択手段に相当し、コントローラ96は本発明の指示手段(比較手段を含む)、補正手段、及び推定手段の一部に相当する。また、パルス発生器97は本発明の送付手段に相当する。
【0084】
照明装置1は、外部の電源である商用電源91から供給される交流の電源を利用して、単数あるいは複数の固体発光素子32から構成される光源ユニット2に直流を電源供給し、固体発光素子32を発光させる。
【0085】
商用電源91は、本発明に係る交流電源に相当する。具体的には、一般家庭、事業所などに電力会社から供給され、照明装置1に交流を供給する電源である。
【0086】
整流部92は、商用電源91の正弦波の電圧を脈流に変換する。具体的には、商用電源91から供給された交流電圧を全波整流し、全波整流波形を測定部93へ出力する。
【0087】
測定部93は、脈流の電流値(瞬時値)を検知する。検知した脈流の電流値はコントローラ96に送られる。
【0088】
選択部94は、前記整流部92から出力される脈流を通過させるオン時間と前記脈流を通過させないオフ時間(以下、比率と記載)を選択する。このことにより、比率を制御された脈流の電圧を生成する。具体的には、整流部92から出力され、測定部93を通過した全波整流波形を、所定の時間間隔で分割する。この分割された全波整流波形を、上記所定の時間間隔の各期間内でパルス状波形の電圧にする。この比率の制御については、コントローラ96からの指示に基づく。
【0089】
なお、ここで比率は電源装置6から光源ユニット2に供給する電力値に直接つながる。比率とは、選択部94における脈流の通過/非通過の時間比であるがため、この比率が高いと電源装置6から光源ユニット2に供給する電力値が大きくなり、逆に比率が低いと電源装置6から光源ユニット2に供給する電力値が小さくなる。
【0090】
比率を制御された脈流の電圧は選択部94に含まれる整流機能により整流された後、検出部95を介し、光源ユニット2へと電源供給される。
【0091】
検出部95は、電源装置6により直流が供給されて駆動されている状態での光源ユニット2の電力値を検出する。ここで、電力値とは、光源ユニット2を構成する固体発光素子32に電流を流した際に発生する順方向電圧の積、すなわち、(電流)×(順方向電圧)の積により算出される。
【0092】
コントローラ96は、1つ目の機能(本発明の指示手段(比較手段を含む))として、選択部94に比率を指示する。
【0093】
まず、検出部95により検出された電力値(以下、現在電力値と記載)と、パルス発生器97より送付されるパルス信号の1周期あたりのオンパルスが占める割合(以下、デューティ比と記載)によりコントローラ96において求められる目標の電力値(以下、目標電力値と記載)とを比較する。この比較結果に基づき、選択部94に比率を指示する。
【0094】
具体的には、目標電力値が現在電力値より大きいと判断した場合は、選択部94に直前の比率より高い比率を指示する。目標電力値が現在電力値より小さいと判断した場合は、選択部94に直前の比率より低い比率を指示する。
【0095】
また、2つ目の機能(本発明の補正手段、推定手段の一部)として、測定部93が検知した脈流の電流値(瞬時値)を読み取り、所定期間内の平均電流を測定する。その期間内の平均電流より、測定部93を流れると推定される電流の波形(以下、推定波形と記載)を求める。
【0096】
なお、前記平均電流を求める所定期間は、商用電源91の周期(周波数の逆数)の1/2に相当する期間より長いことが望ましい。これは、測定部93を流れる電流は、商用電源91を全波整流したものであり、事実上、商用電源91に対して2倍の周波数(1/2の周期)で波形が繰り返される。よって、所望の平均電流を求めるためには、商用電源91の周期の1/2に相当する期間が必要である。
【0097】
推定波形を求めた上で、現時点での測定部93にて検知した脈流の電流値(瞬時値)と、推定波形に基づく現時点における脈流の推定電流値(瞬時値)とを比較する。
【0098】
比較結果に基づき、選択部94に比率を指定する。すなわち、推定電流値(瞬時値)に対し、測定部93で検知した脈流の電流値(瞬時値)のほうが大きければ、直前の比率に対し、低い比率を選択部94に指示する。
【0099】
また、推定電流値(瞬時値)に対し、測定部93で検知した脈流の電流値(瞬時値)のほうが小さければ、直前の比率に対し、高い比率を選択部94に指示する。
【0100】
パルス発生器97は、電源装置6の外部から送信される調光信号(信号ケーブル4を介した有線通信を利用し送信されるものであってよく、無線通信回線(不図示)を介した無線通信回線を利用し送信されるものであってもよい)に基づき、デューティ比を制御されたパルス信号を生成し、コントローラ96に送付する。
【0101】
図10は、照明装置1の概略回路構成を示す図である。
図9で示した照明装置1は、図10のような概略回路図の構成をとることで実現することができる。なお回路構成は、これに限定されないことは言うまでもない。図9に基づき説明した機能が実現できる回路構成であればよい。
【0102】
整流部92は、インダクター101とインダクター102と、コンデンサ103と、ダイオードブリッジ104とより構成される。
【0103】
インダクター101とインダクター102とコンデンサ103とは、外部よりの擾乱から保護する保護回路である。ダイオードブリッジ104は、交流を全波整流して出力する全波整流器である。
【0104】
図11は、交流を整流するダイオードブリッジ104の出力波形を説明する図である。
ダイオードブリッジ104は、図11(a)に示すような交流波形を整流し、図11(b)のような全波整流波形を形成し出力する。
【0105】
測定部93は、抵抗105より構成される。ダイオードブリッジ104から出力される脈流の電流値を検知する。検知した電流値は、コントローラユニット113に通知される。
【0106】
選択部94は、ドライバ106と、FET107と、ダイオード108と、ダイオード109と、コンデンサ110とにより構成される。
【0107】
選択部94は、まずコントローラユニット113から、制御信号が送れられたドライバ106においては、それに接続されるFET107に対しドライブ信号を生成する。
【0108】
FET107は、脈流(全波整流波形)の通過/非通過を選択することにより、コントローラユニット113から指示される比率のパルス状の脈流(パルス状波形)を生成する。このFET107は、本発明のスイッチング素子に相当する。FET107は発熱素子53であって、放熱電極71がプレート52に密着した状態で配置される。
【0109】
パルス状の波形は、ダイオード108と、ダイオード109と、コンデンサ110とからの回路素子により平滑化(ノイズ除去)する。上記平滑化された、パルス状波形は、検出部95を介し光源ユニット2に供給される。
【0110】
検出部95は、抵抗111と、抵抗112とにより構成される。抵抗111により光源ユニット2に流れる電流を検出し、抵抗112により光源ユニット2の順方向電圧を検出することができる。抵抗111および抵抗112により検出された電流値および電圧値の情報は、コントローラユニット113に送られる。
【0111】
コントローラ96は、コントローラユニット113、電源部114により構成される。
電源部114は、変圧器115と、ダイオード116とにより構成される。商用電源91から供給された交流を、変圧器115と、ダイオード116とを用いて直流化し、コントローラユニット113に直流を供給する。
【0112】
ここで、電源部114は、光源ユニット2に直流を供給する電源装置6の回路素子とは絶縁されている。
【0113】
コントローラユニット113は、主に次の2つの機能を有する。
1つ目として、ドライバ106に比率を指示する。まず、抵抗111において検出した光源ユニット2に流れる電流と、検出抵抗112において検出した光源ユニット2の順方向電圧とに基づき現在電力値を求める。また、パルス発生回路117より送付されるパルス信号のデューティ比により目標電力値を求める。その上で両者を比較し、その結果に基づきドライバ106に制御信号を送付する(すなわち、比率を指示する)。
【0114】
具体的には、目標電力値が現在電力値より大きいと判断した場合は、ドライバ106に直前の比率より高い比率を指示する。目標電力値が現在電力値より小さいと判断した場合は、ドライバ106に直前の比率より低い比率を指示する。
【0115】
2つ目として、抵抗105が測定した脈流の平均電流(瞬時値)を読み取り、所定期間内の平均電流を測定する。その期間の平均電流に基づき、抵抗105を流れると推定波形を求める。
【0116】
推定波形を求めた上で、現時点での抵抗105にて検知した脈流の電流値(瞬時値)と、推定波形に基づく現時点における脈流の推定電流値(瞬時値)とを比較する。
【0117】
比較結果に基づき、ドライバ106に制御信号を送付する(すなわち、比率を指示する)。
【0118】
具体的には、推定電流値(瞬時値)に対し、抵抗105で検知した脈流の電流値(瞬時値)のほうが大きければ、直前の比率に対し、低い比率をドライバ106に指示する。
【0119】
また、推定電流値(瞬時値)に対し、抵抗105で検知した脈流の電流値(瞬時値)のほうが小さければ、直前の比率に対し、高い比率をドライバ106に指示する。
【0120】
パルス発生器97は、パルス発生回路117により構成される。パルス発生回路117は、電源装置6の外部から送信される調光信号(信号ケーブル4を介した有線通信を利用し送信されるものであってよく、無線通信回線(不図示)を介した無線通信回線を利用し送信されるものであってもよい)に基づき、デューティ比を制御されたパルス信号を生成し、コントローラユニット113に送付する。
【0121】
なお、パルス発生回路117は、中空構造58の内部に配置してよい。この場合パルス発生回路117を構成する回路素子のうち、発熱素子53は放熱電極71をプレート52に密着して配置される。また、発熱素子53のそのほかの部分や、一般素子54がプレート52に接触しないよう配置することが必要である。
【0122】
次に、照明装置1の動作について図を用いて説明する。
図12は、照明装置1の動作を示すフローチャートである。
【0123】
まず、S121において、照明装置1の電源装置6に商用電源91が投入され給電が開始される。そして、コントローラユニット113が運転を開始する。ここで、商用電源91が投入された直後には、コントローラユニット113の運転は開始されているが、選択部94には給電されておらず、選択部94は起動していない。この方法をとる理由は、電源装置6の安全性を高めるためである。コントローラユニット113を先に起動させることにより、電源装置6、商用電源91、あるいは光源ユニット2に異常が発生している場合は、即座にその運転を停止することができるからである。
【0124】
次に、図12のS122において、コントローラ96等により、比率の決定を行う。これは図13に基づき、後ほど詳細に説明する。
【0125】
次に、図12のS123において、コントローラ96等は、測定部93により測定した脈流の平均電流に基づき、比率の指定(補正)をおこなう。詳細は、図16により後ほど説明する。
【0126】
次に、図12のS124において、コントローラ96、外部入力スイッチ(不図示)等から停止信号が入力されていないか確認し、停止信号が入力されていれば電源装置6の動作を停止する(S124においてYESの場合)。これは、例えば、照明装置1を利用するユーザが照明装置1の光源ユニット2を消灯する、すなわち、照明装置1の電源装置6への電源供給を停止することに相当する。この際、選択部94は、コントローラユニット113に対し所定時間前に運転を停止する。言い換えると、その時間内に、コントローラユニット113は選択部94に対する指示を終了する。ここで、所定時間とは、0.2[s]〜1[s]程度であることが望ましい。
【0127】
このような、方法をとる理由は、照明装置1における電源装置6の安全性を高めるためである。
【0128】
なお、停止信号が入力されていなければ(S124においてNO)、S122に戻り上述した動作を繰り返す。
【0129】
図13は、照明装置1において、比率を決定する動作を説明するフローチャートである。
【0130】
S131において、パルス発生器97は、外部から送付される調光信号を読み取り、デューティ比を制御されたパルス波形を生成した上でコントローラ96に送付する。
【0131】
パルス発生器97においては、まず、照明装置1に要求される照明強度に応じた、すなわち電源装置6において生成し、光源ユニット2に電源供給することが必要な電力に対応するようデューティ比を制御されたパルス信号を生成する。ここで、デューティ比とは、パルス信号の1周期あたりのオンパルスが占める割合(時間比)である。
【0132】
図14は、パルス発生器97で生成するパルス波形の一例を示すものである。同図(a)を、調光信号が送付される直前のパルス波形であると仮定すると、調光信号が照明装置1の照明強度の増加を指示するものであれば、同図(b)のようにデューティ比を、同図(a)に対し高める。
【0133】
一方調光信号が照明装置1の照明強度の減少を指示するものであれば、同図(c)のようにデューティ比を、同図(a)に対し低くする。
【0134】
パルス発生器97は、このように生成したパルス信号をコントローラ96に送付する。
図13のS132において、コントローラ96は、パルス発生器97により送付されたパルス信号を解析し、デューティ比を読み取る。その上で、例えば、コントローラ96内のメモリ(不図示)に保持されている図15のような特性151に基づき目標電力値を求めてよい。
【0135】
図15は、横軸にパルス発生器97により送付されたパルス信号のデューティ比、縦軸に目標電力値をあらわすものである。コントローラ96はこの特性151を利用し、目標電力値を求める。
【0136】
図13のS133においては、コントローラ96は、目標電力値を実現するための比率(比率とは選択部94において脈流の通過/非通過の時間比をさす。)を算出する。すわなち、コントローラ96は、目標電力値を実現するための選択部94において実現する比率を決定する。その上で、コントローラ96は、算出した比率を実現するために必要な制御信号を作成する。作成した制御信号は、ドライバ106に送付される。
【0137】
図13のS134においては、目標電力値と、現在電力値が一致しているか否かをコントローラ96は判断する。
【0138】
これは、抵抗111により検出された光源ユニット2に流れる電流値と、抵抗112により検出された光源ユニット2に印加された順方向電圧値を測定し、現在電力値を求める。
【0139】
その上で、現在電力値と、目標電力値とを比較する。目標電力値からの所定範囲(例えば、±5%の範囲)から外れていなければ(S134においてYES)、比率の決定を終了する。
【0140】
目標電力値からの所定範囲(例えば、±5%の範囲)から外れていれば(S134においてNO)、S135に進む。
【0141】
図13のS135においては、現在電力値を目標電力値から所定範囲(例えば、±5%の範囲)内となるよう、比率を補正する。その上でS134に戻り繰り返す。
【0142】
図16は、脈流の平均値に基づく比率の指示(補正)を説明する図である。
S161において、コントローラ96は、測定部93を構成する抵抗105を流れる電流(ダイオードブリッジ104から出力される全波整流波形(脈流)の電流)の平均値を求める。
【0143】
平均電流を求める期間は、商用電源91の周期の1/2に相当する期間より長くなければならない。
【0144】
図16のS162において、コントローラ96は、S141で求めた平均電流値を基に、測定部93を流れると推定される電流の波形を推定する。この推定した波形(推定波形)は、コントローラユニット113内の内部メモリ(不図示)に記憶される。
【0145】
図16のS163において、コントローラ96は、S162において推定した推定波形と、現時点で測定部93に流れる電流値(瞬時値)とを比較する。
【0146】
すなわち、コントローラ96は、その内部メモリ(不図示)に記憶される推定波形から、現時点において測定部93に流れると推定される電流値(瞬時値)を読み出す。この読み出した値と、現時点で測定部93に流れる電流値(瞬時値)とを比較する。
【0147】
現時点で測定部93に流れる電流値(瞬時値)が、推定される電流値(瞬時値)より高ければ(S163においてYES)、S164に進む。
【0148】
一方、現時点で測定部93に流れる電流値(瞬時値)が、推定される電流値(瞬時値)より低ければ(S163においてNO)、S165に進む。
【0149】
図16のS164において、コントローラ96は、比率を指定(補正)する。これは、直前の比率に対し低い比率を指定する。その上で、コントローラ96は、算出した比率を実現するために必要な制御信号を作成する。作成した制御信号は、ドライバ106に送付される。
【0150】
この理由は、測定部93に流れる電流を小さくするためである。推定される電流より大きいが故、それを補正するために直前の比率に対し低い比率を指定する。
【0151】
図16のS165において、コントローラ96は、比率を指定(補正)する。これは、直前の比率に対し高い比率を指定する。その上で、コントローラ96は、算出した比率を実現するために必要な制御信号を作成する。作成した制御信号は、ドライバ106に送付される。
【0152】
この理由は、測定部93に流れる電流を大きくするためである。推定される電流より小さいが故、それを補正するために直前の比率に対し高い比率を指定する。
【0153】
図14のS166において、コントローラ96は、脈流の平均値に基づく比率の指定(補正)を開始してからの通算回数が、基準回数に達しているか否かを判断する。なお、基準回数とは任意に設定されてよい。
【0154】
通算回数が基準回数に達していれば(S166においてYES)、本指定(補正)を終了する。一方、通算回数が基準回数に達していれば、S163に戻り指定(補正)を続ける。
【0155】
以上のように脈流の電流値に基づく比率の補正を行うことが可能である。
このことにより、商用電源91の電圧変動などをいち早く検知し、それによる照明装置1が受ける影響を避けることが可能となる。
【0156】
これは、上記のように照明装置1においては、測定部93を流れる電流(瞬時値)を監視し、あらかじめ測定した測定部93を流れる電流(平均値)に基づき、比率の制御を行うことにより補正を行う。
【0157】
このことから、商用電源91の電圧が高くなった場合においても、照明装置1の測定部93を流れる電流値(瞬時値)が高くなることにより、光源ユニット2の動作点が高くなってしまう(すなわち、発光強度が強くなってしまう)ことを避けることができる。もちろん、商用電源91の電圧が低くなった場合にも対応可能である。
【0158】
このことは、光源ユニット2の発光強度の変動を避け、照明装置1の利用者に対して安定した照明を提供することはもとより、商用電源91の電圧変動による電源装置6、光源ユニット2の故障を避けることに対しても効果がある。
【0159】
照明装置1は、固体発光素子32を使用している。固体発光素子32の特徴のひとつは、長寿命性であり、この性能を完全に享受する意味でも電源装置6、光源ユニット2の故障を防ぐことは重要である。
【0160】
なお、本発明の照明装置1は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で自由に変形して実施することができる。
【0161】
例えば、照明装置1においては、パルス発生回路117を電源装置6の内部に配置するとしたが、電源装置6の外部、更には照明装置1とは別に構成してもよい。
【0162】
また、図10に示した照明装置1の概略回路構成の一例においては、電源装置6は選択部94に変圧器(不図示)を使わない所謂非絶縁タイプとしたが、選択部94に変圧器(不図示)を使用する所謂絶縁タイプであってもよい。
【0163】
また、電源装置6は、LEDのみでなくELを駆動する電源としても好適である。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、照明装置に適用でき、特に、交流電源を利用した光源にLEDなどの固体発光素子を用いた照明装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の照明装置1の外観を示す斜視図である。
【図2】光源ユニット2の外観を示す平面図である。
【図3】光源ユニット2の図2におけるA1−A2面の構造を示す断面図である。
【図4】電源装置6の外観を示す平面図である。
【図5】電源装置6の図2におけるB1−B2面の構造を示す断面図である。
【図6】電源装置6の図2におけるC1−C2面の構造を示す断面図である。
【図7】発熱素子53の構造を示す平面図である。
【図8】発熱素子53の基板32への実装状態を示す平面図である。
【図9】本発明の照明装置1の機能ブロック図である。
【図10】本発明の照明装置1の概略回路構成の一例である。
【図11】ダイオードブリッジ104による整流を説明する図である。
【図12】本発明の照明装置1の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の照明装置1の比率の決定の方法を説明するフローチャートである。
【図14】パルス発生器97におけるデューティ比の制御を説明する図である。
【図15】デューティ比に対する目標電力値の特性151の一例を示す図である。
【図16】脈流の平均値に基づく比率の補正方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0166】
1 照明装置
2 光源ユニット
3 接続ケーブル
4 信号ケーブル
5 電源ケーブル
6 電源装置
31 筐体部
32 固体発光素子
33、55 基板
34 保護用透光板
51 筐体
52 プレート
53 発熱素子
54 一般素子
56 特定端部
57 絶縁体
58 中空構造
59 開口部
71 放熱電極
81 所定間隔
91 商用電源
92 整流部
93 測定部
94 選択部
95 検出部
96 コントローラ
97 パルス発生器
101、102 インダクター
103、110 コンデンサ
104 ダイオードブリッジ
105、111、112 抵抗
106 ドライバ
107 FET
108、109、116 ダイオード
113 コントローラユニット
114 電源部
115 変圧器
117 パルス発生回路
151 特性

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体発光素子を具備する光源ユニットと、交流電源を利用し前記光源ユニットに電源供給を行う電源ユニットとを備える照明装置であって、
前記電源ユニットは、
放熱電極を有し、発熱量の大きい特定素子を含む回路素子により構成され、任意の信号に基づき前記光源ユニットに電源供給する電力を生成する生成手段と、
長方形形状を有し、前記回路素子を保持面上に保持する保持手段と、
樹脂材料により構成され、前記保持手段が配置される中空構造を有する柱形状の筐体手段と
を備え、
前記筐体手段は、側面のうち任意の一面が開口部を構成し、前記開口部は金属より構成されるプレートにより封止され、
前記保持手段は、長辺を構成する一方の端部である特定端部より所定間隔外側であって、前記保持面に対し垂直な軸上に前記放熱電極が位置するように前記特定素子を保持し、
前記回路素子のうち前記プレートと接触して配置されるのは前記放熱電極のみであり、前記プレートと前記放熱電極とは密着配置される
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記任意の信号は、パルス信号であり、
前記生成手段は、前記パルス信号の1周期あたりのオンパルスが占める割合であるデューティ比に基づき、生成する電力値が決定される
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
交流電源から供給される交流を脈流に変換する変換手段と、
前記脈流の通過又は非通過を選択する選択手段と、
前記脈流の通過と非通過との時間比である比率を前記選択手段に対し指示する指示手段と
を備え、
前記指示手段は、前記パルス信号の前記デューティ比に基づき、前記比率を前記選択手段に対し指示する
ことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記指示手段は、さらに、
前記パルス信号の前記デューティ比に対応する電力値である目標電力値と、任意の時刻における前記光源ユニットに電源供給されている電力値である現在電力値とを比較する比較手段
を備え、
前記指示手段は、
前記比較手段において前記目標電力値が大きいと判断した場合は、前記任意の時刻直前の前記比率より高い前記比率を前記選択手段に対し指示し、
前記比較手段において前記目標電力値が小さいと判断した場合は、前記任意の時刻直前の前記比率より低い前記比率を前記選択手段に対し指示する
ことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記選択手段は、さらに、
スイッチング素子を備え、
前記特定素子は、前記スイッチング素子である
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源ユニットは、さらに、
金属からなる筐体部
を備え、
前記筐体部と、前記プレートとは密着して配置される
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記保持手段と前記プレートとは、互いに長辺方向が平行となると共に、互いの短辺方向がなす角が90度となるよう配置される
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記保持手段の前記特定端部と前記プレートとは、所定間隔を有し配置される
ことを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記特定端部と前記プレートとの間には、絶縁材料より構成される部材が挿入される
ことを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記所定間隔とは、1mm以上である
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記筐体手段は、四角柱形状であって、
前記筐体手段の幅方向の長さは、前記保持手段の長手方向の長さと略一致し、
前記筐体手段の縦方向、及び横方向の長さは、前記保持手段の短辺方向の長さと略一致する
ことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記電源ユニットは、さらに、
外部から配信される任意の情報を受信し、前記任意の情報に基づき前記パルス信号を作成して、前記生成手段に前記パルス信号を送付する送付手段
を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項13】
前記任意の情報とは、任意の時刻である第1時刻における前記光源ユニットによる照明強度の増減を指示する指示情報であって、
前記送付手段は、
前記指示情報が前記光源ユニットによる照明強度の増加を指示するものである場合は、前記第1時刻直前の前記パルス信号の前記デューティ比に対し高い前記デューティ比を有する前記パルス信号を作成し、
前記指示情報が前記光源ユニットによる照明強度の減少を指示するものである場合は、前記第1時刻直前の前記パルス信号の前記デューティ比に対し低い前記デューティ比を有する前記パルス信号を作成する
ことを特徴とする請求項12に記載の照明装置。
【請求項14】
前記生成手段は、さらに、
前記脈流の所定期間の平均値から前記脈流の推定波形を求め、前記推定波形から任意の時刻である第2時刻における前記脈流の推定瞬時値を求める推定手段と、
前記推定瞬時値と前記第2時刻において得られた前記脈流の瞬時値との比較結果に基づき、前記比率の補正を前記選択手段に対し指示する補正手段と
を備え、
前記補正手段は、
前記脈流の瞬時値が、前記推定瞬時値を上回る場合には、前記第2時刻直前の前記比率より低い前記比率への補正を指示し、
前記脈流の瞬時値が、前記推定瞬時値を下回る場合には、前記第2時刻直前の前記比率に対し高い前記比率への補正を指示する
ことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項15】
前記所定期間とは、前記交流の電源の1/2周期に相当する期間以上である
ことを特徴とする請求項14に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−158291(P2009−158291A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335136(P2007−335136)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【特許番号】特許第4116669号(P4116669)
【特許公報発行日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(300085037)株式会社モモ・アライアンス (34)
【Fターム(参考)】