説明

照明装置

【課題】大形化することなくバッテリの過放電防止機能を具備でき、熱的影響による過放電防止回路56の故障や誤動作の発生を防止できる照明装置11を提供する。
【解決手段】筐体16内に、半導体発光素子29、バッテリにより半導体発光素子29を点灯させる点灯回路57を配置する。筐体16から突出して設けられた取手17内に、バッテリの電圧の低下を検出して点灯回路57を停止させる過放電防止回路56を配置する。点灯回路57と過放電防止回路56とを分離して配置することで、照明装置11が大形化することなくバッテリの過放電防止機能を具備する。発熱する半導体発光素子29や点灯回路57から過放電防止回路56を離し、熱的影響による過放電防止回路56の故障や誤動作の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリなどの外部電源により半導体発光素子を点灯させる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、屋外などでのカメラ撮影において、被写体を照明するために、バッテリなどの外部電源により点灯する携帯形の照明装置が用いられている。
【0003】
このような携帯形の照明装置では、一般的に、前面に光を出射する開口を有する筐体とこの筐体から突出された取手とが設けられており、この筐体内には白熱電球やLEDなどの光源やこの光源の光を前方へ向けて反射させる反射体などが配置されている。
【0004】
また、取手内に光源を点灯させる点灯回路を配置した携帯形の照明装置もある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実用新案登録第3114446号公報(第4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような携帯形の照明装置において、光源として白熱電球を用いている場合、外部電源としてのバッテリの電圧が低下すると、照射している光の色温度が低下したり照度が低下する現象が生じ、バッテリの電圧が低下していることが使用中でも分かるため、バッテリの過放電によってバッテリが破壊される前に使用中止やバッテリの交換が可能となっている。
【0006】
しかしながら、光源として半導体発光素子を用いた場合、白熱電球の場合のように外部電源の電圧低下によって発光量も低下するという現象が生じないため、外部電源であるバッテリを過放電させてしまい、破損しやすい問題がある。
【0007】
そこで、点灯回路に、外部電源の電圧の低下を検出して半導体発光素子の点灯を自動停止させる過放電防止機能を付加することが考えられるが、点灯回路が大形化してしまい、それによって照明装置の点灯回路を収納する場所も大形化してしまう。さらに、発熱する半導体発光素子や点灯回路の点灯用の部品などから過放電防止用の部品が熱的影響を受けて、過放電防止機能の故障や誤動作が発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、大形化することなく外部電源の過放電防止機能を具備でき、さらに、発熱する半導体発光素子や点灯回路から過放電防止回路を離すことができて、熱的影響による過放電防止回路の故障や誤動作の発生を防止できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の照明装置は、半導体発光素子が配置された筐体と;筐体から突出して設けられ、先端に外部電源との接続部が設けられた取手と;筐体内に配置され、前記外部電源により半導体発光素子を点灯させる点灯回路と;取手内に配置され、前記外部電源の電圧の低下を検出して点灯回路を停止させる過放電防止回路と;を具備しているものである。
【0010】
外部電源は、一次電池や充電可能な二次電池などのバッテリである。燃料電池であってもよい。過放電によって電源特性が低下するものを含む。バッテリは、照明装置の外部に配置しても内部に配置してもよく、照明装置の外部に配置する場合には照明装置に対して電源を供給するケーブルで接続する。
【0011】
半導体発光素子は、例えば、LEDや有機ELなどがあり、複数の半導体発光素子を基板に面状に配列して面状光源に形成してもよい。
【0012】
筐体は、半導体発光素子や点灯回路のほか、例えば、反射体などを配置してもよい。
【0013】
取手は、手で握ることが可能な程度の寸法および形状を備えたものであればよい。
【0014】
点灯回路は、例えば、バッテリなどの外部電源により所定の点灯電流を半導体発光素子に供給する。
【0015】
過放電防止回路は、例えば、バッテリの電圧を検出する機能、検出した電圧を予め設定された基準電圧と比較する機能、バッテリの電圧が基準電圧より低下したら報知する機能、報知した後に点灯回路への電源供給を遮断するなどして点灯回路を停止させる機能を含んでいてもよい。
【0016】
請求項2記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置において、筐体内には、光の出射方向へ向けて拡開した形状で半導体発光素子の光を反射する反射体が配置され、点灯回路は、反射体の下側の筐体の底部に配置されるものである。
【0017】
反射体が光の出射方向へ向けて拡開した形状であるために、反射体と筐体との間にスペースが生じ、このスペースを利用して点灯回路が配置することが可能となる。
【0018】
請求項3記載の照明装置は、請求項1または2記載の照明装置において、取手には、操作用スイッチおよび過放電防止回路が設けられ、この操作用スイッチには、接続部から給電線が配線され、操作用スイッチの出力線が過放電防止回路へ配線されているものである。
【0019】
操作用スイッチは、半導体発光素子を点灯、消灯させるほか、明るさを調整するものであってもよい。
【0020】
配線には、例えば、ケーブルが用いられるが、配線基板あるいはフレキシブル基板などであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の照明装置によれば、点灯回路と過放電防止回路とを分離し、点灯回路を筐体内に配置し、過放電防止回路を取手内に配置したため、照明装置が大形化することなく外部電源の過放電防止機能を具備でき、さらに、発熱する半導体発光素子や点灯回路から過放電防止回路を離すことができて、熱的影響による過放電防止回路の故障や誤動作の発生を防止できる。
【0022】
請求項2記載の照明装置によれば、請求項1記載の照明装置の効果に加えて、点灯回路を、光の出射方向へ向けて拡開した形状の反射体の下側で、筐体の底部に配置したため、点灯回路が半導体発光素子の熱的影響を受けにくくでき、点灯回路の故障や誤動作の発生を防止できる。
【0023】
請求項3記載の照明装置によれば、請求項1または2記載の照明装置の効果に加えて、操作用スイッチに接続部から給電線が配線され、操作用スイッチの出力線を過放電防止回路へ配線するため、過放電防止回路を取手内に配置することで、配線作業を容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は照明装置の断面図、図2は照明装置の平面方向から見た一部の断面図、図3は照明装置のブロック図である。
【0026】
図1に示すように、11は携帯形の照明装置であり、この照明装置11は、手に持って携帯することが可能な照明装置本体12と、携帯することが可能な外部電源としてのバッテリBと、これら照明装置本体12とバッテリBとを接続する給電線であるケーブル13とを備えている。
【0027】
照明装置本体12は、前端面に前面開口部15を有する略円筒形に形成された筐体16を有し、この筐体16の後寄り下部に手で握ることが可能な取手17が突設されている。
【0028】
筐体16内の後部側には面状光源ユニット18および移動機構19が配置され、筐体16内の前部側には反射体20および透光性のカバー21が配置され、筐体16の前端には反射体20および透光性のカバー21を筐体16に取り付ける取付環22が取り付けられている。
【0029】
また、面状光源ユニット18は、面状光源25、この面状光源25の背面側に接して配置された放熱装置26、および面状光源25の前面側に設けられた制光体27を一体に有しているとともに、前面側に拡散性フィルタFが配置されている。そして、移動機構19により、前後方向であって面状光源25に垂直な光軸方向に一体に移動可能としている。
【0030】
面状光源25は、円形の基板28の前面に例えばLEDなどの複数の半導体発光素子29が密集配列されて面状光源とされ、所望の明るさが得られるように構成されている。
【0031】
放熱装置26には、面状光源25の基板28の背面側に接触して自然対流によって面状光源25の熱を外部に放熱する例えばアルミニウム製のヒートシンク30が用いられている。
【0032】
制光体27は、前後方向に開口する円筒状の反射部材31で構成され、この反射部材31の後端がヒートシンク30側に支持され、反射部材31の前端側が前方へ拡開するように形成されている。
【0033】
また、図1および図2に示すように、移動機構19は、筐体16に取り付けられる支持部材34によって面状光源ユニット18の両側に光軸方向と平行に配置されたレール35、これら両側のレール35に沿って光軸方向に移動するスライド部材36を有し、このスライド部材36上に面状光源ユニット18が取り付けられている。
【0034】
スライド部材36の下側において、筐体16にねじ37で半円板状のフォーカスレバー38が回動可能に取り付けられ、このフォーカスレバー38の後部には筐体16の背面から突出してフォーカスレバー38を回動操作可能とする操作部39が突設されている。フォーカスレバー38の一端側上面にはピン40が突設され、スライド部材36にはピン40が係合する係合孔41が光軸方向に対して直交する方向に長い長孔状に形成されている。そして、フォーカスレバー38の回動操作により、ピン40と係合孔41との係合を介して、スライド部材36および面状光源ユニット18が光軸方向に移動する。
【0035】
また、反射体20は、光軸方向に開口する円筒状で、前面側に面状光源25からの光を出射する出射開口44が設けられるとともに、背面側に面状光源ユニット18の反射部材31が光軸方向に移動可能とする大きさの光源側開口45が設けられている。反射体20の前端には筐体16の前端部に取り付けるためのフランジ部46が形成されている。
【0036】
また、図1に示すように、カバー21は、拡散性および透光性を有する円板状に形成され、筐体16の前端部に反射体20のフランジ部46を介在して配置され、筐体16に取り付けられる取付環22によって筐体16の前端部との間に反射体20と一緒に挟み込まれて固定されている。
【0037】
また、取付環22には、カバー21を通過した光が出射される円形の窓49が形成されている。
【0038】
また、取手17の背面側には、面状光源25の半導体発光素子29を点灯および消灯させる操作用スイッチ52(以下、単にスイッチ52という)、およびバッテリBの電圧が低下したことを点灯または点滅によって表示する電圧低下警告灯53が配置されている。
【0039】
また、取手17の内部にはバッテリBの電圧を検出して過放電の発生を防止する過放電防止回路56が配置され、筐体16の内部で反射体20の下側の筐体16の底部には過放電防止回路56を経てバッテリBから供給される電源で面状光源25の半導体発光素子29を点灯させる点灯回路57が配置されている。
【0040】
そして、取手17の下部にはバッテリBと接続するケーブル13が導入される接続部58が設けられ、このケーブル13が接続部58からスイッチ52に接続され、このスイッチ52の出力線が過放電防止回路56へ配線され、過放電防止回路56から筐体16内の点灯回路57へ配線され、点灯回路57から筐体16内の面状光源25の半導体発光素子29へ配線されている。
【0041】
次に、図3に示すように、過放電防止回路56は、この過放電防止回路56を設けた過放電防止基板61を有し、この過放電防止基板61の両面に過放電防止回路56を構成する例えばIC、コンデンサ、リレーなどの各部品が搭載されている。この過放電防止基板61には、スイッチ52と点灯回路57との間の電源ラインに接続されてバッテリBの極性が逆接続であることを検知する逆接続防止回路部62、逆接続防止回路部62を介して電源ラインに接続されて過放電防止基板61に電源を供給する基板電源部63、バッテリBの電圧低下を判断する基準電圧を保持する基準電圧部64、逆接続防止回路部62を介して電源ラインに接続されてバッテリBの電圧を検出する電源電圧検出部65、これら基準電圧とバッテリBの電圧とを比較して制御する制御部66、電源ラインを開閉するリレースイッチ67を備えている。そして、制御部66は、基準電圧とバッテリBの電圧とを比較し、バッテリBの電圧が基準電圧より低下したと判断したら、まず、電圧低下警告灯53を点灯または点滅させて報知し、その所定時間後、リレースイッチ67をオフして電源ラインを開放する。
【0042】
点灯回路57は、この点灯回路57を設けた点灯回路基板71を有し、この点灯回路基板71に点灯回路57を構成する各部品が搭載されている。
【0043】
次に、照明装置11の動作を説明する。
【0044】
スイッチ52のオフの状態では、リレースイッチ67はオフの状態にある。
【0045】
スイッチ52をオンすることにより、バッテリBからの電源が過放電防止回路56の電源ラインに供給される。
【0046】
逆接続防止回路部62でバッテリBの極性が逆接続であることが検知されれば、リレースイッチ67はオフの状態を保ち、バッテリBの逆接続によって半導体発光素子29が破損するのを防止する。
【0047】
逆接続防止回路部62でバッテリBの極性が逆接続ではないことが検知されれば、電源電圧検出部65でバッテリBの電圧を検出し、制御部66でバッテリBの電圧と基準電圧とを比較する。
【0048】
制御部66での比較の結果、バッテリBの電圧が基準電圧より高いと判断した場合には、リレースイッチ67をオンし、バッテリBの電源を点灯回路57に供給し、点灯回路57で半導体発光素子29を点灯させる。
【0049】
また、スイッチ52をオフすることにより、点灯回路57への電源供給が断たれ、半導体発光素子29が消灯する。
【0050】
また、スイッチ52をオンしている半導体発光素子29の点灯中において、制御部66でバッテリBの電圧が基準電圧より低下したと判断したら、まず、電圧低下警告灯53を点灯または点滅させて報知する。このとき、同時に音を発したり振動する機能を具備してもよい。この報知により、使用者に対して、バッテリBの電圧低下で半導体表示素子29を強制的に消灯することを事前に知らせることができる。
【0051】
スイッチ52がオフされないまま、所定時間が経過したら、リレースイッチ67をオフし、点灯回路57への電源供給を断ち、半導体表示素子29を強制的にオフさせる。これにより、バッテリBを過放電させてしまうのを確実に防止できる。
【0052】
このように、照明装置11では、点灯回路57と過放電防止回路56とを分離し、点灯回路57を筐体16内に配置し、過放電防止回路56を取手17内に配置したため、照明装置11が大形化することなくバッテリBの過放電防止機能を具備でき、さらに、発熱する半導体発光素子29や点灯回路57から過放電防止回路56を離すことができて、熱的影響による過放電防止回路56の故障や誤動作の発生を防止できる。
【0053】
また、点灯回路57を、光の出射方向へ向けて拡開した形状の反射体20の下側で、筐体16の底部に配置しているため、点灯回路57が半導体発光素子29の熱的影響を受けにくくでき、点灯回路57の故障や誤動作の発生を防止できる。
【0054】
また、スイッチ52に接続部58から、バッテリBからの給電線が配線され、スイッチ52の出力線を取手17内の過放電防止回路56へ配線するため、過放電防止回路56をバッテリBからの配線側である取手17内に配置することで、配線作業を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態を示す照明装置の断面図である。
【図2】同上照明装置の平面方向から見た一部の断面図である。
【図3】同上照明装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
11 照明装置
16 筐体
17 取手
20 反射体
29 半導体発光素子
52 操作用スイッチ
56 過放電防止回路
57 点灯回路
58 接続部
B 外部電源としてのバッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子が配置された筐体と;
筐体から突出して設けられ、先端に外部電源との接続部が設けられた取手と;
筐体内に配置され、前記外部電源により半導体発光素子を点灯させる点灯回路と;
取手内に配置され、前記外部電源の電圧の低下を検出して点灯回路を停止させる過放電防止回路と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
筐体内には、光の出射方向へ向けて拡開した形状で半導体発光素子の光を反射する反射体が配置され、
点灯回路は、反射体の下側の筐体の底部に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
取手には、操作用スイッチおよび過放電防止回路が設けられ、
この操作用スイッチには、接続部から給電線が配線され、操作用スイッチの出力線が過放電防止回路へ配線されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−10104(P2010−10104A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171526(P2008−171526)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】