説明

照明装置

【課題】照明器具に接続されるケーブルと、照明器具を支持するアームとの干渉を低減することができる照明装置を提供する。
【解決手段】光源を有する光源部および前記光源を調光可能に点灯する点灯回路を収容し、前記光源部からの光を投光する投光部が一端側に設けられた本体ケース、この本体ケースの他端側の側面部分に他端に向けて幅寸法が小さくなる方向に傾斜した傾斜面4hおよびこの傾斜面4hの外面に配設されて点灯回路に電気的に接続されるコネクタ23C,24を有する照明器具2と;本体ケースの幅方向両側面を回動可能に支持するアーム3と;を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば演出効果を得るために舞台やスタジオなどの高所に配設される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照明装置の一例としては、投光部を有する照明器具の本体ケースの左右両側面を、例えばコ字状のアームの当該コ字状開口端部により回動可能に挟持し、その回動角をリモコン等により遠隔制御することにより、照明器具の投光方向を制御する照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−236909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1記載の照明装置では、その投光部の軸方向反対側の背面に、点灯電源受電用のコネクタを設けているので、照明器具の投光方向が垂直方向下方(重力方向)に制御されたときは、コネクタは光源の上方に位置するようになる。
【0005】
このために、コネクタは光源の発熱により晒されるので、熱的に劣化し易い、という課題がある。
【0006】
また、特許文献1記載の照明装置では、その照明器具の回動角をリモコンにより遠隔制御できるが、この照明器具の回動角を手動操作する照明装置の場合には、例えば、高所に配設された照明器具の背面側端部を、その下方から操作棒により押し当てたり、または引いたりして照明器具の回動角を手動操作する場合がある。この場合は、この操作棒が誤ってコネクタに衝当して破損させる場合もある。特に、この種の照明器具は、一般に高所に配設されることが多いので、その分、操作棒が長く重くなるに従って、操作棒による手動操作の困難性が増大するので、操作棒によるコネクタの破損の虞は一層高くなってしまう。
【0007】
そこで、照明器具の側面に、これらコネクタを突設することが考えられるが、この場合には、このコネクタにプラグを介して接続された電力線や信号線等のケーブルが、照明器具の左右両側面を回動可能に挟持するコ字状のアームに干渉して絡み易くなり、これらケーブルの引き回しや照明器具の回動角の手動操作が容易ではないという課題も考えられる。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、照明器具に接続されるケーブルと、照明器具を支持するアームとの干渉を低減することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、光源を有する光源部および前記光源を調光可能に点灯する点灯回路を収容し、前記光源部からの光を投光する投光部が一端側に設けられた本体ケース、この本体ケースの他端側の側面部分に他端に向けて幅寸法が小さくなる方向に傾斜した傾斜面およびこの傾斜面の外面に配設されて点灯回路に電気的に接続されるコネクタを有する照明器具と;本体ケースの幅方向両側面を回動可能に支持するアームと;を具備していることを特徴とする。
【0010】
本請求項1以下において、光源は、ハロゲンランプやLED(発光ダイオード)等でもよく、光源には限定されない。また、コネクタは、調光信号受信用、または点灯電源受電用のいずれか、もしくはその両者でもよい。ランプケースの左右両側面を回動可能に支持するアームは、その回動角が手動操作により制御されたときに、その回動角を保持するように構成されている。
【0011】
請求項2に係る発明は、光源を有する光源部および前記光源を調光可能に点灯する点灯回路を収容し、前記光源部からの光を投光する投光部が一端側に設けられた本体ケース、この本体ケースの他端側の側面部分に形成された凹部およびこの凹部底面に配設されて点灯回路に電気的に接続されるコネクタを有する照明器具と;本体ケースの幅方向両側面を回動可能に支持するアームと;を具備していることを特徴とする。
【0012】
凹部は、そのランプケースの軸方向一端側を開口させ、この開口端から、コネクタに接続されたケーブルを引き出すように構成してもよい。
【0013】
請求項3に係る発明は、コネクタは、ケーブルの一端に接続されたL形に屈曲したL形プラグに、着脱可能に装着されることを特徴とする。
【0014】
L形プラグは、そのコネクタに着脱可能に装着されるプラグ先端部を、ケーブルが接続されるプラグ本体部に対して中心軸回りに回転可能に構成してもよい。これによれば、コネクタにL形プラグを装着した状態で、このL形プラグの先端部に対して同本体部を中心軸回りに回動させることにより、ケーブルを回動させることができるので、ケーブルの引き回し方向の範囲を拡大させることができる。これにより、ケーブルの引き回しが容易になる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る照明装置によれば、本体ケースの幅寸法が小さくなる方向に傾斜した傾斜面に配設されたコネクタにプラグ等を介して接続されたケーブルと、照明器具の本体ケースの左右両側面を回動可能に支持するアームとの干渉を低減できる。
【0016】
請求項2に係る照明装置によれば、本体ケースの凹部外底面に配設されたコネクタにプラグ等を介して接続されたケーブルと、照明器具の本体ケースの左右両側面を回動可能に支持するアームとの干渉を低減できる。
【0017】
請求項3に係る照明装置によれば、ランプケースのコネクタに着脱可能に装着されるプラグがL形であるので、このプラグに接続されたケーブルをランプケースの側面に沿って引き回すことができ、ケーブルとアームとの干渉を一段と低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の下方投光状態の正面図。
【図2】図1により示す照明装置の横方向投光状態の正面図。
【図3】図2の側面図。
【図4】図2の背面図。
【図5】図1〜図4により示す照明装置の内部構成を示す図。
【図6】図1等により示す傾斜面の正面図。
【図7】図1等により示すコネクタに装着されるL形プラグケーブルの要部側面図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の下方投光状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。これら複数の添付図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0020】
図1は本発明の第1の実施形態に係る照明装置の下方投光状態の正面図、図2は図1により示す照明装置の横方向投光状態の正面図、図3は図2の側面図、図4は図2の背面図である。これらの図に示すように照明装置1は、照明器具2と、この照明器具2の左右両側面を回動可能、かつその回動角保持可能に挟持するコ字状のアーム3と、を具備している。
【0021】
照明器具2は、本体ケースとしての光源ユニット4と、この光源ユニット4に所要の間隙を置いて同軸状に連結された投影ユニット5を有する。図5に示すように光源ユニット4は、例えば8角筒等角筒状の本体ケースの一例である光源ユニットケース4a内に、主に光源部の一例である面状光源6、ヒートシンクからなる放熱器7、電源ユニット8、点灯回路ユニット9をそれぞれ収容している。
【0022】
面状光源6は、光源ユニット4の投影ユニット5側の一端部(図5では左端部)側に配設されている。面状光源6は、平板状の電気絶縁基板に、鋼箔により配線をプリントしてなるプリント基板10に、白色や青色、赤色等複数色または単色のLED(発光ダイオード)11を複数個実装している。
【0023】
そして、このプリント基板10の前面(図5では左側面)には、面状多孔リフレクタ12を装着しており、この面状多孔リフレクタ12により、LED11からの光を前方(図5では左側方)に投光する投光部を構成している。
【0024】
そして、面状光源6は、その背面に、放熱器7のベースの前面を直接的に取り付け、面状光源6での発熱を放熱器7の放熱フィン7aから放熱される。光源ユニットケース4aは、放熱フィン7aと対向する側面の一部を切り欠いて矩形等の複数の開口部4bを形成し、これら開口部4b,4bには、通気性に優れた金属メッシュ等の多孔板4cをそれぞれ張設し、外気通風可能に構成している。また、面状多孔リフレクタ12に近接して筒状光路13が設けられており、この筒状光路13は、面状多孔リフレクタ12により配光特性が制御されたLED11の光を投影ユニット5内に導光する。筒状光路13は、その内部を反射面に形成し、筒状光路13の内部には、面状多孔リフレクタ12で配光制御された面状光源6からの光を拡散させる拡散フィルタ14が設けられている。
【0025】
そして、筒状光路13と投影ユニット5との間の間隙であって筒状光路13の開口端部近傍には、カッター部15が設けられる。このため、カッター部15には面状光源16から出射された光のほとんどが到達することになり、光漏れや光損失が抑制される効率が向上する。
【0026】
このカッター部15は、筒状光路13から出射される光を円形や矩形等所要の形状に制御するものであり、カッター部15で光の形状が制御された光は、投影ユニット5の拡散シート16を介して投影レンズ17a,17bに出射される。これら投影レンズ17a,17bの位置は調整ハンドル17c,17dの回動操作により調整されてフォーカスされる。また、投影レンズ17a,17bは、カッター部15を通った光を、拡大、縮小、フォーカシングさせて外部に照射する。なお、カッター部15は、図1,図3,図4,図8では図示の都合上、省略している。拡散シート16はカッター部15でカットした光の形状のエッジ部分をぼかすために設けられている。光の形状のエッジ部分を鮮明にする場合には拡散シート16を設ける必要はない。
【0027】
また、光源ユニット4は投影ユニット5に複数の支持棒18により着脱可能に取り付けられる。支持棒18は投影ユニット5に差し込み式にて着脱可能に取り付けられる。
【0028】
なお、光源ユニットケース4aの背面に突設されたコ字状の操作端4iは図示しない操作棒により押し付け、または引張り等の操作により、照明装置1の回動角が制御されるものである。また、図5中、符号2aは操作具を有する操作ユニットである。
【0029】
そして、アーム3は、例えば円管をコ字状に折曲して形成され、その一対のコ字状開口端部3a,3bを、光源ユニットケース4aの前端部、すなわち、投影ユニット5側の一端部の左右両側面4e,4fに、左右一対のピン19,20により、これらピン19,20の中心軸回りに回動可能に取り付けている。
【0030】
そして、これらピン19,20の一方、例えば19は、その外周に、アーム3の一方の開口端部3aと光源ユニットケース4aの一側面4eとの間隙において、板ばね21を介在し、光源ユニット4を回動可能かつその回動角を保持可能に支持している。一方のピン19の外端部には、その軸径よりも大径のつまみ19aが一体に形成されており、このつまみ19aの手動による回動操作により、板ばね21の弾圧力を調整することにより、一対の開口端部3a,3bによる光源ユニット4の締付け力を適切に調整することができる。すなわち、つまみ19aの締付け力を調整することにより、光源ユニット4の回動角を容易に調整することができ、しかも、その回動角を保持することができるように板ばね21の弾圧力を適宜調整することができる。
【0031】
アーム3は、そのコ字状のクロスバー部3cの軸方向中間部に、図示しないハンガーに装着される金具3dを突設している。このハンガーがスタジオや舞台等のバトン等に取り付けられることにより、照明装置1がバトンに吊り下げられる。また、クロスバー部3cには、例えばバトン等に引掛けられる落下防止ロープ22が締結される。
【0032】
そして、図1や図4等により示すように光源ユニット4は、その光源ユニット4aの他端側である背面4d側の左右両側面4e,4fに、背面4d側(他端側)に向けて幅寸法が小さくなる方向に傾斜されたテーパ4g,4hを形成している。したがって、これらテーパ4g,4hには、光源ユニットケース4aの背面4d側に向けて傾斜面がそれぞれ形成される。これらテーパ4g,4hの一方、例えば4hの外面には、単数または複数のコネクタ23,24が配設されている。
【0033】
図6に示すように、これらコネクタ23,24は、例えば調光信号(DMX)受信用(IN)のコネクタ23と、同,調光信号送信用(OUT)のコネクタ24であり、調光信号受信用(IN)のコネクタ23の内端は、調光制御回路を有する点灯回路ユニット9と、調光信号送信用(OUT)のコネクタ24の内端とにそれぞれ接続される。
【0034】
このために、点灯回路ユニット9は、受信した調光信号(DMX)により、面状光源6を調光することができる。また、調光信号送信用コネクタ24を図示しない信号ケーブルにより他の光源ユニット4の調光信号受信用(IN)のコネクタ23に接続する、いわゆるカスケード接続が可能である。
【0035】
これらコネクタ23,24は銘板25の一部に設けられる。銘板25には、この外にメインスイッチ26や電力端子台27が配設される。
【0036】
図7はこれらコネクタ23,24に着脱可能に装着されるL形プラグケーブル28の要部側面図である。このL形プラグケーブル28は、L形に屈曲形成されたL形プラグ28aにケーブル28bを連結して構成されている。L形プラグ28aは、上記コネクタ23,24に着脱可能に装着される直胴状の先端部28eに、ケーブル28bが接続されたL形のプラグ本体28dを、先端部28eの中心軸回りに回動可能に連結している。このために、L形プラグ28aの先端部28cをコネクタ23,24に装着した状態で、プラグ本体28dとケーブル28bを、プラグ先端部28cの中心軸回りに回動することができる。
【0037】
したがって、この照明装置1は、光源ユニットケース4aの左右両側面4e,4fに、その背面4d側にテーパ4g,4hを形成し、その一方のテーパ4hにコネクタ23,24を配設したので、図1に示すようにこの照明装置1を垂直方向下方へ投光する場合でも、コネクタ23,24を設けたテーパ4hが先細傾斜面であるので、コネクタ23,24とアーム3の一端部(図1では右端部)との間隙を拡大することができる。
【0038】
このために、コネクタ23,24に装着されたL形プラグケーブル28bを、テーパ4g,4hの先細方向へ引き出すことにより、アーム3との干渉を低減することができる。
【0039】
また、L形プラグケーブル28bは、その先端部28cをコネクタ23,24に装着した状態で、L形プラグ本体28dとケーブル28bを、その先端部28cの中心軸回りに回動できるので、ケーブル28bの引き回し方向の範囲を拡大することができる。このために、ケーブル28bの引き回しを、さらに容易に行うことができる。
【0040】
また、このようにケーブル28bとアーム3との干渉が低減するので、光源ユニット4の背面4d側の操作端4iを操作棒により押し当て、または引き掛けて引くことにより、光源ユニット4の回動角を制御する場合の当該手動操作の容易性を向上させることができる。
【0041】
また、コネクタ23,24を光源ユニット4のテーパ4g,4hに設け、背面4d側には設けていないので、照明装置1を図4に示すように下方投光に回動制御した場合でも、面状光源部6の発熱の影響を受け易い照明装置1の背面4d側に、コネクタ23,24が晒されることを低減することができる。このために、コネクタ23,24の熱的劣化を低減できる。さらに、この背面4d側の操作端4iを操作棒により操作する際に、その操作棒がコネクタ23,24に誤って衝突して破損させる虞を低減できる。
【0042】
図8は本発明の第2の実施形態に係る照明装置1Aの下方投光状態の正面図である。この照明装置1Aは、主に上記照明装置1におけるテーパ4g,4hを、凹部29に置換し、この凹部29の外底面29a上にコネクタ23,24を配設した点に特徴があり、これ以外の構成は照明装置1とほぼ同一である。
【0043】
すなわち、照明装置1Aは、光源ユニットケース4aの一側面、例えば4fに所要大の凹部29を形成し、この凹部29の一端(図8では上端)を開口29bさせている。そして、この凹部29の外底面29a上にコネクタ23,24を配設している。
【0044】
この照明装置1Aによっても、コネクタ23,24とアーム3の一端部(図8では右端部)との間隙は、凹部29の深さにほぼ相当する間隙の分だけ拡大するので、コネクタ23,24に装着したL形プラグケーブル28がアーム3の一端部に干渉することを低減できる。
【0045】
また、凹部29の図8中上端が開口29bしているので、この開口29bからL形プラグケーブル28を引き出すことにより、その引き回しの容易性を一層向上させることができる。
【0046】
さらに、コネクタ23,24は、光源ユニット4の側面4cの凹部29に設けられ、背面4d側には設けられていないので、照明装置1Aの下方投光状態の場合でも面状光源部6により晒されて熱的に劣化することを低減することができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、投影ユニット5を具備した照明装置1,1Aについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば投影ユニット5を具備していない照明器具2にも適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,1A…照明装置、2…照明器具、3…アーム、4…光源ユニット、4a…光源ユニットケース(本体ケース)、4e,4f…光源ユニットケースの左右側面、4g,4h…テーパ、4i…操作端、5…投影ユニット、6…面状光源(光源部)、9…点灯回路ユニット、12…面状多孔リフレクタ(投光部)、23,24…コネクタ、28a…L形プラグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を有する光源部および前記光源を調光可能に点灯する点灯回路を収容し、前記光源部からの光を投光する投光部が一端側に設けられた本体ケース、この本体ケースの他端側の側面部分に他端に向けて幅寸法が小さくなる方向に傾斜した傾斜面およびこの傾斜面の外面に配設されて点灯回路に電気的に接続されるコネクタを有する照明器具と;
本体ケースの幅方向両側面を回動可能に支持するアームと;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
光源を有する光源部および前記光源を調光可能に点灯する点灯回路を収容し、前記光源部からの光を投光する投光部が一端側に設けられた本体ケース、この本体ケースの他端側の側面部分に形成された凹部およびこの凹部底面に配設されて点灯回路に電気的に接続されるコネクタを有する照明器具と;
本体ケースの幅方向両側面を回動可能に支持するアームと;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
コネクタは、ケーブルの一端に接続されたL形に屈曲したL形プラグに、着脱可能に装着されることを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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