説明

照明装置

【課題】照明光の波長特性を制御して人間の視覚特性と使用用途に最適な照明装置を提供する。
【解決手段】赤、青、緑の発光ダイオード11〜13と、発光ダイオード11〜13それぞれを独立して駆動するパルス幅変調電流駆動回路21〜23と、人間の視覚特性または照明の使用用途に応じた情報を指示するための操作部40と、操作部40によって指示された情報に応じてパルス幅変調電流駆動回路21〜23を制御する制御回路30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用や業務用の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱電球や蛍光灯、電球型蛍光灯、白色LED(発光ダイオード)照明が家庭用照明として広く用いられている。業務用には家庭用と同様タイプの照明に加えて各種の効率的な放電型照明が用いられている。これらの照明装置の中には、複数のタイプの照明デバイスを備えて用途に応じてそれらを切り替えたり制御したりすることのできる装置や、照明の明るさが可変できる装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−023594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の照明装置は照明デバイス自体の切り替えや明るさの制御ができるのみであり、人間の視覚特性や使用用途に最適なものとは言えなかった。すなわち、人間の視覚は照明装置からの照明光の明るさと波長特性に大きく依存している。例えば、眼球の光学系の焦点特性は照明光の色分散に依存して屈折率と焦点距離が変化する。網膜には4種類の視細胞があり、明るい状況においては赤・緑・青に最高感度を有する3種類の視細胞の異なった波長特性を利用して色を分別している。従って、照明装置からの照明光の波長特性を制御することができれば、人間の視覚特性を向上させる照明光や使用用途に最適な照明光を得ることができる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、照明光の波長特性を制御して人間の視覚特性と使用用途に最適な照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴は、照明装置において、赤、青、緑の発光ダイオードと、前記発光ダイオードそれぞれを独立して駆動する駆動部と、人間の視覚特性または照明の使用用途に応じた情報を指示するための操作部と、前記操作部によって指示された情報に応じて前記駆動部を制御する制御部とを備えたことである。
【0007】
本発明の第2特徴は、前記照明装置において、前記制御部が、相関色温度における白の領域の照明光が前記発光ダイオードによって発光されるように前記駆動部を制御することである。
【0008】
本発明の第3特徴は、前記照明装置において、前記制御部が、前記操作部によって「老眼軽減」モードが指示されると、青の前記発光ダイオードの発光の割合が大きくなるように、または、青以外の色の前記発光ダイオードの発光の割合が小さくなるように制御することである。
【0009】
本発明の第4特徴は、前記照明装置において、前記制御部が、前記操作部によって「近眼軽減」モードが指示されると、赤の前記発光ダイオードの発光の割合が大きくなるように、または、赤以外の色の前記発光ダイオードの発光の割合が小さくなるように制御することである。
【0010】
本発明の第5特徴は、前記照明装置において、赤、青、緑の発光ダイオードに代えて、青、黄の発光ダイオードを備えたことである。
【0011】
本発明の第6特徴は、前記照明装置において、赤、青、緑の発光ダイオードに代えて、赤、シアンの発光ダイオードを備えたことである。
【0012】
本発明の第7特徴は、前記照明装置において、前記駆動部が、前記発光ダイオードをパルス幅変調方式によって駆動するパルス幅変調電流駆動回路であることである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、照明光の波長特性を制御して人間の視覚特性と使用用途に最適な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態における照明装置のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における実験結果を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における実験結果を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における実験結果を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における他の照明装置のブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における実験の原理を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における実験の原理を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における実験結果を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における他の照明装置のブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における実験方法を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態における実験方法を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態における実験結果を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施形態における実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における照明装置のブロック図である。この照明装置は、図1に示すように、赤LED11と、緑LED12と、青LED13と、パルス幅変調電流駆動回路21〜23と、制御回路30と、操作部40とを備えている。赤LED11・緑LED12・青LED13は、赤・緑・青の波長領域のそれぞれに発光ピーク特性を有するLEDである。パルス幅変調電流駆動回路21〜23は、パルス幅変調方式によって赤LED11・緑LED12・青LED13それぞれを独立して駆動する回路である。操作部40は、人間の視覚特性または照明の使用用途に応じた情報を指示するための操作デバイスである。制御回路30は、操作部40によって指示された情報に応じてパルス幅変調電流駆動回路21〜23を制御する回路である。また、制御回路30は、白の領域の照明光がLED11〜13によって発光されるようにパルス幅変調電流駆動回路21〜23を制御する。白の領域としては、例えば相関色温度における白の領域を採用することができる。
【0017】
本実施形態における制御回路30は、操作部40によって「老眼軽減」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色のLEDの発光比に対して、青LED13の発光の割合が大きくなるように制御する。青以外の色のLEDの発光の割合が小さくなるように制御してもよい。このように制御すれば、老視(老眼)によって大きくなってしまった近点距離(ピント調節のできる最短視距離)をさらに短縮して、書物や新聞などを見易い距離で読むことができるようになる。
【0018】
以下、実験データを示しながら詳細に説明する。本実験では、照明が視覚にどのような変化をもたらすのかを調べ、多くの照明の近点距離を測定し、老視改善の原因を明らかにする。
【0019】
まず、実験方法について説明する。
【0020】
(1)白熱灯と蛍光灯、LED電球、RGB色LED照明(以下RGBLEDと記載)の分光特性を測る。その際、RGBLEDは各照明と同じ色度と照度を再現するように調整する。
【0021】
(2)照明に応じた視覚の変化を調べるため、眼球の模型を作り、網膜映像がどのように映っているかを確認する。
【0022】
(3)暗室の中で各照明を用いて、白黒の格子模様の評価パターンを照らし、近点距離を測定する。各照明の照度は一律750lxに合わせる。
【0023】
次に、実験結果について説明する。
【0024】
(1)昼白色蛍光灯と同色度に調整したRGBLEDの分光特性の例を図2に示す。図2より、RGBLEDの分光放射輝度の方が蛍光灯よりも高いピーク値を示していることが分かる。
【0025】
(2)眼球模型に映し出された写真を図3に示す。映像における黒と白の境界付近を見ると、RGBLEDの方が赤い虹模様Dが太く鮮明に映っていることが分かる。上記の結果より、RGBLEDの示す高い分光放射輝度が近点距離を短縮する要因になっていると推測できる。
【0026】
(3)近点距離の測定結果を図4に示す。縦軸は各年齢層の被験者20名の近点距離の平均値を表す。各RGBLEDの近点距離は、同色度の既存照明よりも短縮していることが分かる。
【0027】
各照明の平均近点距離に対する同色度に調整したRGBLEDの短縮率を表1に示す。RGBLEDを用いることによって、近点距離を5〜12%短縮できることが分かる。
【表1】

【0028】
分光分布の解析と網膜相当映像の撮影により、RGB色LED照明の示す分光放射輝度の高いピークが近点距離を短縮する要因であると推測することができた。また、各照明色の白熱灯と蛍光灯、LED電球と比較して、RGB色LED照明を用いた場合の近点距離は5〜12%短縮できることが分かった。
【0029】
以上のように、本発明の第1の実施形態における照明装置によれば、通常の白色照明時における各色のLEDの発光比に対して、青LED13の発光の割合が大きくなるように制御される。その結果、老視によって大きくなってしまった近点距離を短縮して、書物や新聞などを見易い距離で読むことができるようになる。
【0030】
なお、前記の説明では、制御回路30は、操作部40によって「老眼軽減」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色のLEDの発光比に対して、青LED13の発光の割合が大きくなるように制御することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、通常の白色照明時における各色のLEDの発光比に対して、照度は一定値に維持したまま、青LED13の発光の割合が大きくなるように制御してもよい。このように制御すれば、モードを切り替えても照度が変わらないため眼への負担を抑えることができる。
【0031】
また、図1では、赤LED11と緑LED12と青LED13を備えた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図5に示すように、赤LED11と緑LED12と青LED13に代えて青LED13と黄LED14を備えるようにしても、老眼軽減という点では同様の効果を得ることができる。もちろん、この場合のパルス幅変調電流駆動回路は、青LED13用のパルス幅変調電流駆動回路23と、黄LED14用のパルス幅変調電流駆動回路24の2つでよい。このようにすれば、照明装置の部品点数が少なくなり小型化を図ることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態を第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0033】
本実施形態における制御回路30は、操作部40によって「近眼軽減」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色のLEDの発光比に対して、赤LED11の発光の割合が大きくなるように制御する。赤以外の色のLEDの発光の割合が小さくなるように制御してもよい。このように制御すれば、近視によってぼやけて見えている遠くの物体や細かい文字などの見えを鮮明な方向に改善して、生活をより安全で便利な状況に近付けることができる。
【0034】
以下、実験データを示しながら詳細に説明する。本実験では、光は波長によって屈折率が違うという特性を利用し、近視を改善できる照明を開発する。すなわち、近視とは光が網膜よりも手前で像を結んでしまうために起こる視力の低下だが、波長の長い赤い光は屈折率が小さいことを利用し、手前で結んでしまうはずの像を後ろにずらすことで、近視の改善を図った(図6参照)。さらに、目的の色の光を正確に作るため、赤、青、緑のLEDを使い、PWM変調したLED電流のduty比をコンピューター制御することで調光した(図7参照)。
【0035】
まず、実験方法について説明する。三原色それぞれのLEDの明るさを正確に制御できるLED照明を作成し、暗室内で距離2m用の視力表を使い、視力測定を行った。蛍光灯と白熱灯、LED照明の各色の光を照度が同じになるように視力表に当て、それぞれの状態での視力を比較した。
【0036】
次に、実験結果について説明する。JISの基準で白とされている色の中で、波長の長い赤LED寄りの光と波長の短い青LEDよりの光における視力を、蛍光灯、白熱灯との間で比較した結果を以下の表2と図8に示す。
【表2】

【0037】
表2に示した結果から赤に近い白のLED照明下での視力は、蛍光灯に比べ108.0%、白熱灯に比べ105.7%に上がったことが分かる。また、図8からほとんどすべての被験者においてこの傾向があることも分かる。他にもいくつかの色のLED照明下で視力測定を行ったが、長波長の光が多く混ざっている場合は視力が高く、短波長の光が多く混ざっている場合は視力が低くなる傾向にあった。
【0038】
この実験を経て、長波長の光を多く含むLED照明を用いることによって近視を改善できる見込みを得た。しかし、LEDは指向角が極端に狭く、極所的にしか照らせないため、蛍光灯などの代わりに使うのは難しい。そのため他の照明を補助する形で使用してもよい。
【0039】
以上のように、本発明の第2の実施形態における照明装置によれば、通常の白色照明時における各色のLEDの発光比に対して、赤LED11の発光の割合が大きくなるように制御される。その結果、近視によってぼやけて見えている遠くの物体や細かい文字などの見えを鮮明な方向に改善して、生活をより安全で便利な状況に近付けることができる。
【0040】
なお、前記の説明では、制御回路30は、操作部40によって「近眼軽減」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色のLEDの発光比に対して、赤LED11の発光の割合が大きくなるように制御することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、通常の白色照明時における各色のLEDの発光比に対して、照度は一定値に維持したまま、赤LED11の発光の割合が大きくなるように制御してもよい。このように制御すれば、モードを切り替えても照度が変わらないため眼への負担を抑えることができる。
【0041】
また、図1では、赤LED11と緑LED12と青LED13を備えた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図9に示すように、赤LED11と緑LED12と青LED13に代えて赤LED11とシアンLED15を備えるようにしても、近眼軽減という点では同様の効果を得ることができる。もちろん、この場合のパルス幅変調電流駆動回路は、赤LED11用のパルス幅変調電流駆動回路21と、シアンLED25用のパルス幅変調電流駆動回路25の2つでよい。このようにすれば、照明装置の部品点数が少なくなり小型化を図ることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
ところで、携帯照明の使用時間の延長や高輝度照明への適用を考えると、LED照明には発光効率の向上が必要である。点滅光が発光平均光量よりも明るく感じられるBroca-Sulzer効果を誘起することができれば、LED照明を高効率化できる可能性がある。以下、第3の実施形態を第1および第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0043】
まず、実験方法について説明する。
【0044】
図10に示す実験回路のLED1・2を、観測窓において発光が混色しないように遮光板を設けた黒い箱に装着して、図11に示す実験装置を試作した。LED1は臨界融合周波数以上の60HzでPWM制御されたパルス電流IDTによって駆動し、LED2は可変抵抗できる直流電流IDCによって駆動する。駆動デューティー比を変えてLED1を調光し、直流制御しているLED2と同じ明るさになるように調光する。その際、二つの発光部の境界が見分けられなくなるように明るさを調整する。同じ明るさと感じられた時の電流値IDTとIDCを比較する。なお、実験の被験者はいずれも男性で20代3名と40代1名の計4名である。
【0045】
次に、実験結果について説明する。
【0046】
各駆動電流と観測窓における発光輝度との関係の測定結果を図12に示す。図12より、緑LEDと赤LEDについては、PWM駆動時と直流駆動時の両方とも発光輝度が駆動電流にほぼ比例して一致している。しかし、他のLEDでは比例関係が崩れ、両者の輝度が異なる電流域が生じている。PWM駆動時と直流駆動時の明るさ感の比較精度を考えて、今回は緑LEDと赤LEDのみの実験結果からBroca-Sulzer効果の影響を調べることにした。
【0047】
PWM制御のデューティー比を変えて調光後の直流電流IDC/パルス電流IDTの実験結果を図13に示す。緑LEDと赤LEDの両方共にデューティー比10%(約1.67ms)以下の点灯時間で発光を繰り返している時に、直流駆動電流よりもPWM駆動電流の方が低い値となり効率が高くなっていることが分かる。
【0048】
緑と赤のLEDを用いた実験においては、パルス電流により繰り返される点灯時間が約1.67ms以下の点灯時間でBroca-Sulzer効果の影響と考えられる駆動電流の減少が観測された。この結果より、点灯時間を約1.67ms以下に抑えてPWM制御することによって、LEDおよびその駆動回路の消費電力を低減できる可能性があると考えられる。
【0049】
以上のように、本発明の第3の実施形態における照明装置によれば、Broca-Sulzer効果を誘起することで発光効率を向上させることができるため、携帯照明の使用時間の延長や高輝度照明への適用が可能となる。この第3の実施形態は、以下に説明するように、第1または第2の実施形態における照明装置に適用してもよい。
【0050】
すなわち、制御回路30は、操作部40によって「老眼軽減」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色のLEDの発光光量は維持したまま、青LED13の発光ピーク光量を増加して発光時間幅を狭めるように制御するか、或いは、発光時間幅の狭い発光パルスの、単位時間当たりのパルス数を増やすように制御する(パルス密度変調)。または、青以外の色のLEDの発光ピーク光量を低減して発光時間幅を拡げるように制御してもよい。また、制御回路30は、操作部40によって「近眼軽減」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色のLEDの発光光量は維持したまま、赤LED11の発光ピーク光量を増加して発光時間幅を狭めるように制御するか、或いは、発光時間幅の狭い発光パルスの、単位時間当たりのパルス数を増やすように制御する(パルス密度変調)。または、赤以外の色のLEDの発光ピーク光量を低減して発光時間幅を拡げるように制御してもよい。
【0051】
もちろん、第3の実施形態は、第1または第2の実施形態以外の照明装置に適用することも可能である。例えば、制御回路30は、操作部40によって「目に優しい」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色のLEDの発光光量は維持したまま、視感度の低い青と赤の少なくとも一方のLEDの発光ピーク光量を増加して発光時間幅を狭めるように制御する(緑LED12の発光ピーク光量を低減して発光時間幅を拡げるように制御してもよい)。
【0052】
(その他の実施形態)
以下、その他の実施形態について第1〜第3の実施の形態と異なる点のみ説明する。
【0053】
まず、制御回路30は、操作部40によって「色制御」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色の照度の和は維持したまま、各色のLEDの発光比を増加制御する。例えば、操作部40によって「料理・健康」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色の照度の和は維持したまま、赤LED11の発光比を増加制御する(赤以外の色のLEDの発光比を下げるように制御してもよい)。このように制御すれば、照明光の赤領域の波長成分比が増して血色をより鮮やかに映し温かみを強調することができるので、料理や肌の色をより健康的に見えるようにすることが可能となる。また、操作部40によって「集中・学習」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色の照度の和は維持したまま、青LED13の発光比を増加制御する(青以外の色のLEDの発光の割合を下げるように制御してもよい)。このように制御すれば、照明光の青領域の波長成分比が増して心理状態を落ちついた方向に誘導することができるので、学習活動や読書への集中力を高めたり、自殺行為等の軽率行動の抑止に効果がある。
【0054】
また、制御回路30は、操作部40によって「目覚まし」モードが指示されると、予め設定されている時刻になると発光するように制御する。この場合、通常の白色照明時における各色のLEDの発光に対して、青LED13の発光の割合を大きくなるように制御してもよい。すなわち、青領域の照明光は視感度の最も低い(最も目に鈍感な)緑領域の波長を有するので最も目に刺激が強い。従って、起床したい時刻に発光させるように制御して目覚ましとして使用する照明光として適している。照明光のうちで視感度の最も高い(最も目に敏感な)緑領域の波長成分比を増すことにより、眼への刺激を抑えながらも明るく感じられる照明を実現できるので、睡眠前に用いるソフトな照明や幼児やお年寄りの目に優しい照明を実現することも可能である。
【0055】
また、制御回路30は、操作部40によって「留守番」モードが指示されると、予め設定されている時刻になると発光するように制御する。このように制御すれば、留守中の防犯効果を期待することができる。
【0056】
また、制御回路30は、操作部40によって「明るさ制御」モードが指示されると、通常の白色照明時における各色のLEDの発光比は維持したまま、全てのLEDの発光量を増減制御する。このように制御すれば、照明光の明るさのみを変更することができる。
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、照明光の波長特性を制御して人間の視覚特性と使用用途に最適な照明装置を提供することができる。この照明装置は、上述したような人間工学に配慮した医療器具や生活アイテムとして用いることが可能であり、本発明の社会上の波及効果は極めて高いと考えられる。
【符号の説明】
【0058】
11…赤LED
12…緑LED
13…青LED
14…黄LED
15…シアンLED
21〜25…パルス幅変調電流駆動回路
30…制御回路
40…操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤、青、緑の発光ダイオードと、
前記発光ダイオードそれぞれを独立して駆動する駆動部と、
人間の視覚特性または照明の使用用途に応じた情報を指示するための操作部と、
前記操作部によって指示された情報に応じて前記駆動部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、相関色温度における白の領域の照明光が前記発光ダイオードによって発光されるように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作部によって「老眼軽減」モードが指示されると、青の前記発光ダイオードの発光の割合が大きくなるように、または、青以外の色の前記発光ダイオードの発光の割合が小さくなるように制御することを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記操作部によって「近眼軽減」モードが指示されると、赤の前記発光ダイオードの発光の割合が大きくなるように、または、赤以外の色の前記発光ダイオードの発光の割合が小さくなるように制御することを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項5】
赤、青、緑の発光ダイオードに代えて、青、黄の発光ダイオードを備えたことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項6】
赤、青、緑の発光ダイオードに代えて、赤、シアンの発光ダイオードを備えたことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項7】
前記駆動部は、前記発光ダイオードをパルス幅変調方式によって駆動するパルス幅変調電流駆動回路であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−204383(P2011−204383A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68217(P2010−68217)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(501061319)学校法人 東洋大学 (68)
【Fターム(参考)】