説明

照明装置

【課題】光源から発光された照明光の光路を遮ることなく、該照明光を透過する光学部材の温度管理の精度を向上させることができる照明装置を提供する。
【解決手段】照明光を発光する光源部(140)と、前記光源部から発光された前記照明光を透過させる透光部材(160)と、前記光源部を前記照明光の光軸方向に移動させて前記透光部材に対して進退させる移動機構(150)と、前記透光部材から放射された放射光を受光して受光量から前記透光部材の温度を計測する温度センサを含む計測ユニット(190)と、前記光源部の前記移動方向における存在位置に関わらず前記透光部材から放射された前記放射光が前記温度センサに入射するように、前記光源部の前記移動方向における前記存在位置に応じて、前記計測ユニットの少なくとも一部を変位せしめる計測ユニット可動部(170)と、を備えることを特徴とする照明装置(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ストロボのフレネルレンズを空冷することにより、該フレネルレンズの温度上昇を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、接触型温度センサによりストロボの昇圧回路を測定する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−192971号公報
【特許文献2】特開2007−227347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光源から発光された照明光の光路を遮ることなく、該照明光を透過する光学部材の、該照明光の通過領域における温度を実測することにより温度管理を精度よく実施できる照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、照明光を発光する光源部(140)と、前記光源部から発光された前記照明光を透過させる透光部材(160)と、前記光源部を前記照明光の光軸方向に移動させて前記透光部材に対して進退させる移動機構(150)と、前記透光部材から放射された放射光を受光して受光量から前記透光部材の温度を計測する温度センサを含む計測ユニット(190)と、前記光源部の前記移動方向における存在位置に関わらず前記透光部材から放射された前記放射光が前記温度センサに入射するように、前記光源部の前記移動方向における前記存在位置に応じて、前記温度計測ユニットの少なくとも一部を変位せしめる計測ユニット可動部(170)と、を備えることを特徴とする照明装置(100)を提供する。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源から発光された照明光の光路を遮ることなく、該照明光を透過する光学部材の、該照明光の通過領域における温度を実測することにより温度管理を精度よく実施できる照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】照明装置100を示す斜視図である。
【図2】照明装置100を示す斜視図である。
【図3】照明装置100を示す側断面図である。
【図4】可動筐体130を示す側断面図である。
【図5】他の実施形態に係る照明装置を示す側断面図である。
【図6】他の実施形態に係る照明装置を示す側断面図である。
【図7】照明装置100を装着した撮像装置200の構造を模式的に示す縦断面図である。
【図8】他の実施形態に係る撮像装置300の構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。この図に示すように、照明装置100は、相互に連結された固定筐体110と可動筐体130とを備えている。
【0011】
固定筐体110は、下端面に配された取付部120と、前面に配された補助光光源111及びリモート用レディライト113とを備えている。取付部120は、カメラボディのホットシューに嵌合する取付脚122と、ホットシューにおいて信号を伝達する連動接点124とを備えている。取付脚122をホットシューに嵌合させた状態で、固定筐体110が、カメラボディに固定される。
【0012】
補助光光源111は、透明なカバー115に覆われており、動作モードに応じて発光する。例えば、補助光光源111は、暗い撮影環境下でオートフォーカス動作が実行される場合に、被写体を照明する。また、リモート用レディライト113は、照明装置100から離れた位置で操作する場合に、後述するメインキャパシタへの充電完了を通知する。
【0013】
可動筐体130は、図示の状態において前面に配される閃光発生部140と、側面に配されるロック解除ボタン136とを備えている。また、可動筐体130は、閃光発生部140の前面側に、広角拡散板141とキャッチライト反射板143とを備えている。広角拡散板141とキャッチライト反射板143とは、可動筐体130の内部に収容可能であり、必要に応じて閃光発生部140の前面に配したり、可動筐体130の内部に収容したりされる。
【0014】
可動筐体130は、後端近傍に配された水平回動部132と垂直回動部134とを備えている。水平回動部132の下端は、固定筐体110の上端面に結合され、水平回動部132の上端は、垂直回動部134を介して可動筐体130に結合されている。即ち、可動筐体130は、水平回動部132及び垂直回動部134を介して水平方向及び垂直方向に回動可能に固定筐体110に結合されている。従って、閃光発生部140を被写体に向けて直接に被写体を照明することができる他、閃光発生部140を被写体から外れた方向に向けて、間接光により被写体を照明することもできる。
【0015】
水平回動部132及び垂直回動部134は、ロック機構により係止されることによって所定の回動位置で停止される一方、ロック解除ボタン136がユーザにより操作された場合には、回動する。これにより、可動筐体130が不用意に向きを変えることが防止されている。
【0016】
閃光発生部140は、可動筐体130の前面に配されたフレネルレンズ160を備えている。また、閃光発生部140は、可動筐体130の内部に配された後述の光源部を備えており、光源部から発光された閃光を当該フレネルレンズ160に対して直交する方向へ照射させる。
【0017】
図2は、照明装置100を背面側から示す斜視図である。この図に示すように、固定筐体110の背面には、表示部202と操作部204とが配されている。表示部202は、液晶表示パネル114とレディライト116とを含む。操作部204は、複数のボタン118とダイアル119とを含む。
【0018】
図3は、照明装置100を示す側断面図である。この図に示すように、固定筐体110は、電池室112と、該電池室112に収容された電池180と、電池180により電力を供給されて動作する電子回路182とを内蔵している。電子回路182は、照明装置100を制御する後述のCPU、カメラボディとの通信を司る通信装置等の他、閃光発生部140に供給する高電圧を発生する昇圧回路等も含む。
【0019】
可動筐体130は、閃光発生部140の他に、閃光発生部140に電力を供給するメインキャパシタ138も内蔵する。メインキャパシタ138は、電子回路182の昇圧回路から印加される高電圧により迅速に充電される。また、電子回路182から閃光発生の指令を受けた場合に急速に放電する。
【0020】
閃光発生部140は、閃光を発生する放電管142、例えばキセノン管と、放電管142が発生した閃光を反射する反射傘144とを備えている。放電管142は、メインキャパシタ138から高電圧を印加された場合に放電して閃光を発生させる。また、反射傘144は、閃光発生部140の前方側に向けて開口しており、放電管142から発光された閃光を、閃光発生部140の前方側へ向けて出射させる。なお、閃光の光軸L1は、フレネルレンズ160の中央部を通過する。
【0021】
また、可動筐体130には、閃光発生部140を閃光の光軸L1の方向に移動させる移動機構150が内蔵されている。移動機構150は、モータ152と、モータ152より回転されるボールネジ154と、閃光発生部140をボールネジ154に支持する支持部156とを備えている。
【0022】
モータ152は、閃光発生部140の移動領域151より後方下側に配されている。モータ152の回転軸は、光軸L1と平行に配されており、当該回転軸とボールネジ154とが一体的に形成されている。即ち、ボールネジ154は、移動領域151の後方下側から光軸L1と平行に前方側へ延在している。
【0023】
支持部156は、板材であって、支持部156の下端はボールネジ154に螺合され、支持部156の上端は反射傘144の下面に結合されている。また、支持部156は、ボールネジ154と平行に配されたガイドバーと摺動自在に嵌合している。このため、ボールネジ154がモータ152により回転された場合には、支持部156及び閃光発生部140は、光軸L1の方向へ移動する。
【0024】
また、可動筐体130には、計測ユニット190と、計測ユニット可動機構170とが配されている。計測ユニット190は、反射傘144の上部に支持された温度センサ192を備えている。温度センサ192は、計測対象物から放射された赤外光を受光して、その受光量から計測対象物の温度を計測すう赤外放射温度センサである。また、計測ユニット可動機構170は、温度センサ192を反射傘144の上部に支持するセンサ支持部172と、温度センサ192の移動経路193の上側に光軸Lと平行に延設されたガイド部材174とを備えている。
【0025】
詳細は後述するが、温度センサ192の受光面は、閃光発生部140の光軸L1方向の位置に関わらず、フレネルレンズ160の中央部に向けられる。即ち、温度センサ192の受光面の中央部から法線方向へ延びる測定光軸L2が、フレネルレンズ160の中央部に到達し、且つ光軸L1と交差する。これにより、閃光発生部140の光軸L1方向の位置に関わらず、フレネルレンズ160の中央部から放射された赤外光を受光する。そして、温度センサ192は、その受光量からフレネルレンズ160の中央部の温度を計測する。
【0026】
図4は、可動筐体130を示す側断面図である。この図に示すように、フレネルレンズ160は、その中央部を中心とした矩形状の領域である集光領域162と、集光領域162の周囲を囲む拡散領域164とを備えている。集光領域162は、反射傘144の前端と、同等の面積、同等の形状をしており、放電管142が発光した閃光を集光させる。一方、拡散領域164は、放電管142が発光した閃光を拡散させる。
【0027】
センサ支持部172は、反射傘144の上部に立設された支持板176と、支持板176の上端に回転自在に支持され温度センサ192が固定されたカム板178とを備えている。カム板178は、半円形状のカム部177が形成された偏心カムである。該カム板178では、カム部177の回転半径は、カム部177の周方向中央部において最大となり、該中央部から両端部にかけて減少する。
【0028】
ガイド部材174は、後方側から前方側へかけて光軸L1側から離間する側へ傾斜するテーパ面175が形成された部材である。閃光発生部140が、図中実線で示すように移動領域151における後端(以下、テレ端という)に位置する状態で、回転軸179からテーパ面175までの距離が、カム部177の回転半径の最大値より短く最小値より長い値となる。また、閃光発生部140が、図中破線で示すように移動領域151における前端(以下、ワイド端という)に位置する状態で、回転軸179からテーパ面175までの距離は、ワイド端に位置する状態での値より短く回転半径の最小値より長い値となる。
【0029】
ここで、カム板178は、捩りコイルバネ又は板バネ等の弾性力を有する付勢部材により、図中反時計周り方向、即ち、回転軸179よりテーパ面175側に位置するカム部177が前方側へ回転する方向へ付勢されている。このため、閃光発生部140がテレ端に位置する場合には、カム部177の回転半径が最大となる部位より図中反時計回り方向に存する部位P1が、付勢部材の付勢力によりテーパ面175に圧接される。また、閃光発生部140がワイド端に位置する場合には、カム部177における上記部位P1より図中時計回り方向に存する部位P2が、付勢部材の付勢力によりテーパ面175に圧接される。
【0030】
また、温度センサ192は、閃光発生部140の光軸L1方向の位置に関わらず、回転軸179より前方側且つカム部177より下側に位置するように、カム板178に固定されている。温度センサ192は、閃光発生部140がテレ端に位置する状態でもワイド端に位置する状態でも、その測定光軸L2が、フレネルレンズ160の中央部、即ち集光領域162の中央部に到達するように配されている。
【0031】
上述の電子回路182は、CPU166と、発光制御回路168と、モータドライバ169とを備えている。CPU166は、照明装置100全体の制御を司る。また、発光制御回路168は、メインキャパシタ138の放電及び充電を制御する昇圧回路と、放電管142の発光のオン/オフの切替、発光量の調整等を実施する光源制御回路とを含んでいる。また、モータドライバ169は、モータ152のオン/オフの切替、回転方向の切替等を実施する。
【0032】
温度センサ192は、CPU166に接続されており、計測結果をCPU166へ出力する。CPU166は、温度センサ192による計測値が閾値以上である場合に、発光制御回路168へ、放電管142の発光禁止、及びメインキャパシタ138の放電禁止の指令を出力する。また、CPU166は、温度センサ192による計測値が閾値以上である場合に、表示部202へ警告表示を表示させたり、スピーカーから警告音を発生させたりする。
【0033】
CPU166は、放電管142による閃光の発光を開始させてから終了させるまでの間は、温度センサ192による温度の計測を停止させる。そして、CPU166は、放電管142による閃光の発光が終了して数msecが経過した後に、温度センサ192による温度の計測を開始させる。
【0034】
ここで、本実施形態に係る照明装置100の作用について説明する。照明装置100では、閃光発生部140がテレ端に位置する場合、カム部177の上記部位P1が付勢部材の付勢力によりガイド部材174のテーパ面175に圧接される。この状態において、温度センサ192の測定光軸L2は、フレネルレンズ160の集光領域162の中央部に到達する。
【0035】
また、閃光発生部140がモータ152の駆動によりテレ端からワイド端へ向けて光軸L1に沿って移動されると、回転軸179とテーパ面175との距離が徐々に拡大することから、カム板178が、付勢部材の付勢力により図中反時計回り方向へ回転する。これにより、温度センサ192の測定光軸L2の光軸L1に対する傾斜角度が増加する。この間、温度センサ192の測定光軸L2は、絶えず、フレネルレンズ160の集光領域162の中央部に到達する。
【0036】
一方で、閃光発生部140がワイド端からテレ端へ向けて光軸L1に沿って移動されると、回転軸179とテーパ面175との距離が徐々に縮小することから、カム板178が、付勢部材の付勢力に抗して図中時計回り方向へ回転する。これにより、温度センサ192の測定光軸L2の光軸L1に対する傾斜角度が減少する。この間、温度センサ192の測定光軸L2は、絶えず、フレネルレンズ160の集光領域162の中央部に到達する。
【0037】
即ち、照明装置100では、計測ユニット可動機構170が、温度センサ192の姿勢を、閃光発生部140の光軸L1方向への移動に連動して変化させ、温度センサ192の測定光軸L2の経路を変化させる。そして、当該計測ユニット可動機構170は、閃光発生部140の光軸方向L1における存在位置に関わらず、温度センサ192の測定光軸L2を、フレネルレンズ160の集光領域162の中央部に到達させる。
【0038】
また、照明装置100では、非接触型の温度センサ192が、フレネルレンズ160の集光領域162から放射された放射光を受光して、その受光量から該集光領域162の温度を計測する。ここで、非接触型の温度センサ192を用いてフレネルレンズ160の温度を測定することにより、温度センサ192を、放電管142から発光された閃光の光路149の外に配することが可能となっている。
【0039】
以上により、照明装置100では、閃光発生部140の光軸L1方向における存在位置に関わらず、放電管142から発光された閃光の光路149を遮ることなく、該閃光を透過するフレネルレンズ160の集光領域162の温度をリアルタイムで実測することができる。従って、閃光発生部140の光軸L1方向における存在位置に関わらず、照明装置100の照明機能を損ねることなく、フレネルレンズ160の温度管理を精度よく実施できる。
【0040】
また、温度センサ192の受光部を、放電管142から発光された閃光の光路149の外に配置することができることにより、温度センサ192の周辺温度の上昇を抑制できる。よって、温度センサ192の計測値の誤差成分を減少でき、以って、温度センサ192によるフレネルレンズ160の温度測定の精度を向上できる。
【0041】
また、フレネルレンズ160における光軸L1が通過する集光領域162は、その周囲の拡散領域164と比較して温度上昇が大きい。ここで、温度センサ192の測定光軸L2が、フレネルレンズ160の光軸L1が通過する集光領域162に向けられると共に、温度センサ192の検知範囲が該集光領域162に限定されている。従って、本実施形態に係る照明装置100では、フレネルレンズ160における最高温度を検知できるので、フレネルレンズ160の熱破壊を効果的に抑制できる。
【0042】
また、温度センサ192を、閃光発生部140の移動経路の外側に配したことにより、温度センサ192により閃光発生部140の可動範囲が制限されることを防止できる。特に、閃光発生部140のワイド端側への移動範囲が温度センサ192により制限されることを防止できる。
【0043】
また、本実施形態に係る照明装置100では、フレネルレンズ160の最高温度に上昇する測定点を実測できる。即ち、当該測定点の温度を、当該測定点の外周側に離れて設定された他の測定点の温度から推測するのではなく、実測できる。従って、フレネルレンズ160の最高温度に上昇する測定点の温度管理を精度よく実施できる。
【0044】
ここで、フレネルレンズ160の温度は、放電管142が閃光を発光した瞬間に上昇するが、フレネルレンズ160の熱破壊を誘因するのは、閃光発光後にフレネルレンズ160に蓄積する熱である。そこで、照明装置100では、CPU166が、放電管142による閃光の発光を開始させてから終了させるまでの間は、温度センサ192による温度の計測を停止させる。そして、CPU166が、放電管142による閃光の発光が終了して数msecが経過した後に、温度センサ192による温度の計測を開始させる。
【0045】
これにより、フレネルレンズ160の熱破壊を効果的に抑制できる。また、温度センサ192を間欠的に動作させることにより、温度センサ192の作動時間を短縮でき、消費電力を低減できる。
【0046】
なお、本実施形態では、温度センサ192として赤外光を受光してその受光量から測定対象物の温度を計測する赤外放射温度センサを用いた。しかし、温度センサ192としては、可視光を受光してその受光量から測定対象物の温度を計測する他の放射温度センサも適用できる。また、放電管142として照明光としての閃光を発光するキセノン管を用いたが、LEDを用いてもよい。また、CPU166による温度センサ192の温度計測の開始/終了についての制御は、後述の実施形態に係る照明装置においても実施できる。
【0047】
図5は、他の実施形態に係る計測ユニット290を備える可動筐体130を示す側断面図である。この図に示すように、計測ユニット290は、温度センサ192と、ハーフミラー292とを備えている。また、可動筐体130における移動領域151の上側には、温度センサ192を光軸L1に沿って移動可能に支持するセンサ移動機構250が配されている。
【0048】
センサ移動機構250は、モータ252と、ボールネジ254と、支持部256とを備えている。モータ252は、移動領域151の後方上側に、回転軸が光軸L1と平行となるように配されている。ボールネジ254は、モータ252の回転軸と一体的に形成されており、光軸L1と平行にモータ252から前方側へ延在している。また、支持部256は、ボールネジ254に螺合しており、支持部256の下端には、温度センサ192が固定されている。
【0049】
ここで、温度センサ192は、センサ移動機構250により、テレ端より前方側の第1位置と、テレ端より後方側の第2位置との間で移動される。また、温度センサ192は、その測定光軸L2が光軸L1と平行となるように配されている。
【0050】
ハーフミラー292は、カム板178に固定されている。また、ハーフミラー292は、温度センサ192の測定光軸L2の経路に配されている。さらに、ハーフミラー292は、上部が前方側へ傾斜するように配されており、温度センサ192の測定光軸L2を、光軸L1側へ屈曲させている。
【0051】
また、ハーフミラー292は、閃光発生部140の光軸L1方向の位置に関わらず、回転軸179より前方側且つカム部177より下側に位置するように、カム板178に固定されている。ハーフミラー292は、閃光発生部140がテレ端に位置する状態でもワイド端に位置する状態でも、温度センサ192の測定光軸L2が、フレネルレンズ160の中央部、即ち集光領域162の中央部に到達するように配されている。
【0052】
上述の電子回路182は、CPU166等の他に、モータドライバ258を備えている。CPU166は、閃光発生部140をテレ端に移動させる場合には、モータドライバ258に駆動指令を出力してモータ252を作動させ、温度センサ192を、ハーフミラー292の移動領域外の第2位置へ移動させる。一方、CPU166は、閃光発生部140をテレ端からワイド端側へ移動させる場合には、モータドライバ258に駆動指令を出力してモータ252を作動させ、温度センサ192を第2位置からワイド端側の第1位置へ前進させる。
【0053】
本実施形態に係る照明装置では、閃光発生部140がテレ端に位置する場合、温度センサ192の測定光軸L2は、ハーフミラー292により屈曲されてフレネルレンズ160の集光領域162の中央部に到達する。この状態において、温度センサ192は、ハーフミラー292の移動領域より後方側に位置する。
【0054】
また、閃光発生部140がモータ152の駆動によりテレ端からワイド端へ向けて光軸L1に沿って移動されると、カム板178が、付勢部材の付勢力により図中反時計回り方向へ回転する。これにより、ハーフミラー292の前方側への傾斜が徐々に大きくなり、ハーフミラー292により屈曲された温度センサ192の測定光軸L2の光軸L1に対する傾斜角度が増加する。この間、ハーフミラー292により屈曲された温度センサ192の測定光軸L2は、絶えず、フレネルレンズ160の集光領域162の中央部に到達する。また、温度センサ192は、センサ移動機構250によりワイド端側へ前進される。
【0055】
一方で、閃光発生部140がワイド端からテレ端へ向けて光軸L1に沿って移動されると、カム板178が、付勢部材の付勢力に抗して図中時計回り方向へ回転する。これにより、ハーフミラー292の前方側への傾斜が徐々に小さくなり、ハーフミラー292により屈曲された温度センサ192の測定光軸L1に対する傾斜角度が減少する。この間、ハーフミラー292により屈曲された温度センサ192の測定光軸L2は、絶えず、フレネルレンズ160の集光領域162の中央部に到達する。また、温度センサ192は、センサ移動機構250によりハーフミラー292の移動領域より後方側へ退避される。
【0056】
以上により、本実施形態に係る照明装置では、閃光発生部140の光軸L1方向における存在位置に関わらず、放電管142から発光された閃光の光路149を遮ることなく、該閃光を透過するフレネルレンズ160の集光領域162の温度をリアルタイムで実測することができる。従って、閃光発生部140の光軸L1方向における存在位置に関わらず、照明装置の照明機能を損ねることなく、フレネルレンズ160の温度管理の精度を向上させることができる。
【0057】
ここで、閃光発生部140がワイド端に位置する場合に、フレネルレンズ160の温度上昇が大きくなり、熱破壊の可能性も増加する。そこで、本実施形態に係る照明装置では、閃光発生部140をハーフミラー292と共にワイド端側へ移動させる場合に、温度センサ192をワイド端側へ移動させ、フレネルレンズ160に接近させる。
【0058】
これにより、フレネルレンズ160から放射され温度センサ192に受光される放射光の光量の減衰を抑制でき、また、温度センサ192の検出範囲の拡大を抑制でき、以って、温度センサ192による温度測定の精度を向上させることができる。また、閃光発生部140をテレ端に移動させる場合には、温度センサ192を、ハーフミラー292の移動領域から後方側のスペースへ退避させることにより、ハーフミラー292との干渉を防止できる。なお、ハーフミラー292に替えてプリズムを用いてもよい。
【0059】
図6は、他の実施形態に係る計測ユニット390を備える可動筐体130を示す側断面図である。この図に示すように、計測ユニット390は、温度センサ192と、絞り392とを備えている。絞り392は、温度センサ192の受光面191に面して配されており、温度センサ192の測定光軸L2が通過する開口を備えている。該開口は、開口量を可変であり、当該開口量は、CPU166により制御される。
【0060】
CPU166は、閃光発生部140がテレ端に位置する場合に開口量が最大となり、閃光発生部140がワイド端に位置する場合に開口量が最小となるように、絞り392を制御する。
【0061】
ここで、温度センサ192と測定対象物であるフレネルレンズ160との距離が大きくなるにつれて、温度センサ192の検知範囲が拡大する傾向にある。そこで、本実施形態では、温度センサ192がテレ端側へ移動される場合には、絞り392の開口量を減少させて、フレネルレンズ160から放射された赤外光の光束を絞ることにより、温度センサ192の検知範囲を制限する。
【0062】
一方、CPU166は、温度センサ192がワイド端側へ移動される場合には、絞り392の開口量を増加させて、温度センサ192の検知範囲を、テレ端側に移動した温度センサ192の検知範囲と同等にする。従って、温度センサ192の光軸L1方向の位置による測定バラツキを抑制でき、以って、温度センサ192の光軸L1方向の位置に関わらず、フレネルレンズ160の温度測定を高精度に実施できる。
【0063】
なお、本実施形態では、CPU166により絞り392の開口量を制御した。しかし、閃光発生部140の光軸L1方向の移動に連動して絞り392の開口量を変化させる機構を設けてもよい。また、絞り392を閃光発生部140に設置して閃光発生部140と共に光軸L1方向へ変位させることは必須でなく、絞り392の位置を不変としてもよい。さらに、本実施形態では、温度センサ192の姿勢を変化させると共に、絞り392の開口量を変化させたが、温度センサ192の姿勢を一定として、絞り392の開口量を変化させるだけでもよい。
【0064】
図7は、照明装置100を装着した撮像装置200の構造を模式的に示す縦断面図である。この図に示すように、撮像装置200は、レンズユニット410およびボディ460を含む。
【0065】
レンズユニット410は、マウント450を介して、ボディ460に対して着脱自在に装着される。レンズユニット410は、光学部材420、光学部材420を収容する鏡筒430、および、鏡筒430の内部に設けられて光学部材420を駆動するモータ401を含む。一方、ボディ460は、メインミラー540、ペンタプリズム470、接眼光学系490を含む光学系を有する。
【0066】
メインミラー540は、レンズユニット410を介して入射した入射光の光路上に傾斜して配置される待機位置と、入射光を避けて上昇する撮影位置(図中に点線で示す)との間を移動する。待機位置にあるメインミラー540は、入射光の大半を、上方に配置されたペンタプリズム470に導く。ペンタプリズム470は、入射光の鏡映を接眼光学系490に向かって出射するので、フォーカシングスクリーン472の映像を接眼光学系490から正像として見ることができる。
【0067】
入射光の残りは、ペンタプリズム470により測光ユニット480に導かれる。測光ユニット480は、入射光の強度および強度分布等を測定する。なお、ペンタプリズム470および接眼光学系490の間には、ファインダ液晶494に形成された表示画像を、フォーカシングスクリーン472からの映像に重ねるハーフミラー492が配置される。
【0068】
メインミラー540は、入射光の入射面に対する裏面にサブミラー542を有する。サブミラー542は、メインミラー540を透過した入射光の一部を、下方に配置された測距ユニット530に導く。これにより、メインミラー540が待機位置にある場合は、測距ユニット530が被写体までの距離を測定する。なお、メインミラー540が撮影位置に移動した場合は、サブミラー542も入射光の光路から退避する。
【0069】
更に、入射光に対してメインミラー540の後方には、シャッタ520、光学フィルタ510および撮像素子500が順次配置される。シャッタ520が開放される場合、直前にメインミラー540が撮影位置に移動するので、入射光は直進して撮像素子500に入射される。これにより、入射光の形成する画像が電気信号に変換される。
【0070】
一方、レンズユニット410は、図中で左側にあたる入射端から鏡筒430内に順次配列された、フロントレンズ422、コンペンセータレンズ424、フォーカシングレンズ426およびメインレンズ428を含む光学系を有する。光学系は、鏡筒430に収容される。また、フォーカシングレンズ426およびメインレンズ428の間には、アイリスユニット440が配置される。
【0071】
更に、レンズユニット410は、鏡筒430の内部に、モータ401を備える。モータ401は、光軸方向について鏡筒430の中程にあって相対的に小径なフォーカシングレンズ426の下方に配置される。これにより、鏡筒430の径を拡大することなく鏡筒430内に収容され、フォーカシングレンズ426を光軸方向に前進または後退させる。
【0072】
ボディ460は、ボディ460の内部であって、上記光学系の光路を外れた位置に制御部550を備える。制御部550は、ボディ460内部の各部の動作を制御するに留まらず、マウント450を介して電気信号を送受信することにより、レンズユニット410内部のモータ401の動作も制御する。
【0073】
照明装置100は、ボディ460の頂部に設けられたアクセサリーシュー560に、取付脚122を嵌合させることにより装着される。これにより、取付部120と一体的に形成された固定筐体110は、ボディ460に対して固定される。また、照明装置100の連動接点124を介して、ボディ460側の制御部550と通信できる状態になる。
【0074】
制御部550は、ボディ460側の測距ユニット530が検出した被写体までの距離、露出等の情報を、連動接点124を介して照明装置100にも通知する。これにより、照明装置100は、ボディ460の動作と連動して、発光のタイミングの他、発光量等の制御をする。
【0075】
図8は、他の撮像装置300の構造を模式的に示す斜視図である。この図に示すように、撮像装置300は、シャッタ462、モードダイアル464、鏡筒430等を備えたボディ460に、更に、照明装置100を備える。照明装置100は、ボディ460内における鏡筒430の上側に配されている。
【0076】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。例えば、実施形態として、傾動可能の温度センサ192を備える構成と、傾動可能のハーフミラー292と温度センサとを備える構成と、傾動可能の温度センサと傾動可能の絞り392とを備える構成を挙げた。しかし、温度センサ192、ハーフミラー292及び絞り392の三者を組み合わせた構成も適用でき、また、当該三者の何れを可動式とすることは適宜選択できる。
【0077】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0078】
100 照明装置、110 固定筐体、111 補助光光源、112 電池室、113 リモート用レディライト、114 液晶表示パネル、115 カバー、116 レディライト、118 ボタン、119 ダイアル、120 取付部、122 取付脚、124 連動接点、130 可動筐体、132 水平回動部、134 垂直回動部、136 ロック解除ボタン、138 メインキャパシタ、140 閃光発生部、141 広角拡散板、142 放電管、143 キャッチライト反射板、144 反射傘、149 光路、150 移動機構、151 移動領域、152 モータ、154 ボールネジ、156 支持部、160 フレネルレンズ、162 集光領域、164 拡散領域、166 CPU、168 発光制御回路、169 モータドライバ、170 計測ユニット可動機構、172 センサ支持部、174 ガイド部材、175 テーパ面、176 支持板、177 カム部、178 カム板、179 回転軸、180 電池、182 電子回路、190 計測ユニット、191 受光面、192 温度センサ、193 移動経路、200 撮像装置、202 表示部、204 操作部、250 センサ移動機構、252 モータ、254 ボールネジ、256 支持部、258 モータドライバ、290 計測ユニット、292 ハーフミラー、300 撮像装置、390 計測ユニット、392 絞り、401 モータ、410 レンズユニット、420 光学部材、422 フロントレンズ、424 コンペンセータレンズ、426 フォーカシングレンズ、428 メインレンズ、430 鏡筒、440 アイリスユニット、450 マウント、460 ボディ、462 シャッタ、464 モードダイアル、470 ペンタプリズム、472 フォーカシングスクリーン、480 測光ユニット、490 接眼光学系、492 ハーフミラー、494 ファインダ液晶、500 撮像素子、510 光学フィルタ、520 シャッタ、530 測距ユニット、540 メインミラー、542 サブミラー、550 制御部、560 アクセサリーシュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を発光する光源部と、
前記光源部から発光された前記照明光を透過させる透光部材と、
前記光源部を前記照明光の光軸方向に移動させて前記透光部材に対して進退させる移動機構と、
前記透光部材から放射された放射光を受光して受光量から前記透光部材の温度を計測する温度センサを含む計測ユニットと、
前記光源部の前記移動方向における存在位置に関わらず前記透光部材から放射された前記放射光が前記温度センサに入射するように、前記光源部の前記移動方向における前記存在位置に応じて、前記計測ユニットの少なくとも一部を変位せしめる計測ユニット可動部と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記計測ユニット可動部は、前記光源部の前記存在位置に応じて、前記透光部材と前記温度センサとを結ぶ光軸の経路を変更することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記計測ユニットは前記光源部上に支持されており、
前記計測ユニット可動部は、前記光源部の前記存在位置に関わらず前記温度センサの光軸が前記透光部材に向けられるように、前記光源部の前記移動方向における存在位置に応じて、前記照明光の光軸に対する該温度センサの受光部の角度を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記計測ユニットは、
前記光源部上に支持され、且つ前記透光部材から放射された前記放射光を反射せしめて前記温度センサへ導く反射光学部材を含み、
前記計測ユニット可動部は、前記光源部の前記移動方向における存在位置に応じて、前記照明光の光軸に対する前記反射光学部材の反射面の角度を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記温度センサを、前記光学部材の移動範囲内の第1位置と、当該第1位置より前記透光部材から更に離間する第2位置との間で移動可能に支持し、且つ該反射光学部材が該第1位置に移動した場合に、該温度センサを該第2位置に移動せしめるセンサ移動機構を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記計測ユニット可動部は、前記光源部の移動方向に関わらず、前記透光部材の中央部から放射された前記放射光が前記温度センサに入射するように、前記光源部の前記移動方向における存在位置に応じて、前記透光部材と前記温度センサとを結ぶ光軸の経路を変更することを特徴とする請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記透光部材と前記温度センサとを結ぶ光軸を通過させる開口を含み、且つ該開口の径を変化可能な絞り機構と、
前記光源部が前記透光部材側へ移動される場合には前記開口の径を相対的に増加させ、前記光源部が前記透光部材から離間する方向へ移動する場合には該開口の径を相対的に縮小させるよう前記絞り機構を制御する測定ユニット制御部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記計測ユニットは、前記光源部からの発光が完了した後で、前記透光部材から放射された放射光を受光して受光量から前記透光部材の温度を計測し、該光源部からの発光が行われている最中は前記計測を禁止することを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記温度センサは、前記透光部材から放射された赤外光を受光し、その受光量から前記透光部材の温度を測定する赤外放射温度センサであることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−22424(P2011−22424A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168230(P2009−168230)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】