説明

照明装置

【課題】対象物をスポット的に照明できると共に、そのスポット周辺部の暗がりの暗さを低減し、照明対象物の位置や大きさの変更等に容易に対応することができる照明装置を提供する。
【解決手段】スポット照明装置5と;このスポット照明装置5を複数箇所に給電可能かつ着脱可能に取り付けるスポット取付部を有する環状凹部4を備え、配光幅がスポット照明装置5よりも広いベース照明装置3と;これらスポット照明装置5とベース照明装置3を配設した照明装置本体2と;を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散性のあるベース照明装置に、指向性の高いスポット照明装置を移動可能に設けた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、照射方向を可変可能とした照明装置の一例としては、光源を備えた灯具を器具本体の垂直方向および水平方向の2軸回りにユニバーサルに回動可自在にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、この種の照明装置の光源として、指向性の強い高輝度のLED(発光ダイオード)を使用することにより、例えばショーケース内の宝石やアクセサリー等照明を受けて光輝く対象物をスポット的に照射して輝きを引き立てさせる小型のスポットライトも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−112582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなスポットライトでは、その地明かりを天井設置の照明装置で確保するのが一般的であり、そのため、スポット光が照射された対象物と、照射されない周辺部との明暗の差が際立った空間となり、闇の深い暗がり部分ができてしまう。このために、意図しない照明空間になってしまう虞がある。
【0006】
また、このスポットライトでは、その照射方向の可変角が構造上制限されるために、その対象物の位置や大きさが変更した場合には、その都度、スポットライト自体の設置箇所を一々変更しなければならず、煩雑であるという課題がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、対象物をスポット的に照明できると共に、そのスポット周辺部の暗がりの暗さを低減し、照明対象物の位置や大きさの変更等に容易に対応することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る照明装置は、スポット照明装置と;このスポット照明装置を複数箇所に給電可能かつ着脱可能に取り付けるスポット取付部を有し配光幅が前記スポット照明装置よりも広いベース照明装置と;これらスポット照明装置とベース照明装置を配設した照明装置本体と;を具備していることを特徴とする。
【0009】
ここで、「複数箇所に給電可能かつ着脱可能に取り付けるスポット取付部」とは、例えば長穴や環状溝のように連続的に形成されてもよく、または、例えば複数の独立した取付孔等のように断続的に形成されてもよい。
【0010】
請求項2に係る照明装置は、前記スポット取付部は、前記照明装置本体の前記ベース照明装置の外周に形成された環状凹部と;前記照明装置本体の環状凹部の内側に配設されて前記スポット照明装置の受電部に着脱可能に装着されて電気的に接続される給電部と;を具備していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る照明装置は、前記給電部は、前記スポット照明装置の受電部が装着された状態で周方向に摺動可能に構成され、スポット照明装置を給電部の周方向に駆動する駆動装置を具備していることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る照明装置は、前記スポット照明装置は、前記光源部からの光を外部に照射する照射部と、この照射部を前記スポット照明装置の器具本体に傾動可能に設ける傾動部と、を有し、前記受電部に装着されたときに、その照射部の照射面が前記ベース照明装置の照射面よりも装置本体内側へ位置するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、スポット照明装置により対象物をスポット的に照明し、そのスポット光の周辺部を、地明かりとしてのベース照明装置により照明できるので、その周辺部の暗がりの暗さを低減できる。また、スポット照明装置を複数箇所に取り付けることができるので、照明対象物の位置や大きさの変更に応じてスポット照明装置の取付位置を容易に変更することができる。このために、照明装置自体の位置を変更する場合の煩雑さを軽減できる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、ベース照明装置の外周にスポット照明装置を移動させる環状凹部を設けているので、ベース照明装置の外周にてスポット照明装置を移動することができる。このために、スポット照明装置によるスポット照明範囲を拡大することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、ベース照明装置の外周にてスポット照明装置を駆動装置により自動的に駆動することができるので、スポット照明装置の移動をさらに簡単に行うことができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、スポット照明装置の照射部を傾動させても、ベース照明装置の照射光をスポット照明装置により遮光されることを防止または低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の全体の正面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】(a)は図2で示すスポット照明装置の側面図、(b)は同(a)の正面図、(c)は同スポット照明装置の変形例の正面図。
【図4】図1のスポット照明装置周辺部の拡大図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の要部断面図。
【図6】(a)は図5で示すスポット照明装置の側面図、(b)は同(a)の正面図、(c)はさらに他の変形例の側面図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る照明装置の要部断面図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る照明装置の全体の正面図。
【図9】(a)は本発明に係る照明装置をショーケースの天井面に設け、そのスポット照明装置により、その真下の対象物を照明する場合の模式図、(b)は同,対象物が(a)の位置から変更したときに、この対象物を、その真上からスポット照明装置により照明するためにスポット照明装置の取付位置を変更した場合の模式図、(c)は同,スポット照明装置により対象物を斜めから照明する場合の模式図。
【図10】(a)は本発明に係る照明装置をショーケースの側面に設け、このショーケース内の小さい対象物を照明する場合の模式図、(b)は同,ショーケース内の大きい対象物を照明する場合の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る照明装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、複数の添付図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0019】
図1は本発明の第1の実施形態に係る照明装置1の正面図、図2は図1のII−II線断面図である。これら図1,図2に示すように照明装置1は、例えば有蓋円筒状の照明装置本体2の正面中央部に、この照明装置本体2よりも若干小径で正面形状が例えば円形のベース照明装置3を地明かりとして同心円状に配設し、その外周部に、スポット取付部の一例である円形の環状凹部4を同心円状に形成している。また、この環状凹部4内には、正面形状が例えば円形のスポット照明装置5を、その周方向に移動可能に配設している。
【0020】
図2に示すように照明装置本体2は、その外側壁2aとその内側の内側壁2bとにより、所要開口幅の環状凹部4を形成している。内側壁2bは、外側壁2aと同心円状に形成された環状壁から構成され、その図中環状上端を、環状の外側壁2aの図中上端開口を閉じる円板状の上蓋部2cの内面に固着している。
【0021】
内側壁2bは環状凹部4の内端面を形成する内端部2b1の内側(図2では下端部)に、スポット照明装置5の図2中上端部が軸方向に挿脱可能に挿入される摺動ガイド溝2b2を形成している。この摺動ガイド溝2b2は、内側壁2bと同心円状の環状溝よりなり、スポット照明装置5の上端部を周方向に摺動させるように構成されている。
【0022】
外側壁2aは、その図2中上部内面に、環状の内リブ2a1を突設し、その突出先端と、内側壁2bの上部には、同一の高さにて、図2中左右一対の給電部6a,6bを、環状凹部4の開口幅を置いて対向配置している。
【0023】
各給電部6a,6bは、その対向面側に開口し、スポット照明装置5の一対の受電部である導電性を有する丸棒状の受電ピン5a,5bを、その直径方向(図2では上下方向)で弾性的に挟持した状態で挿脱可能かつ摺動可能に挿入させて直流電力を給電可能に電気的に接触させる環状の摺動溝6a1,6b1をそれぞれ形成している。各給電部6a,6bの外周囲は電気絶縁材により電気絶縁された状態で内側リブ6a1と内側壁2bにそれぞれ配設されている。
【0024】
内側壁2bは、その図2中下端部に、ベース照明装置3の外側面に形成した係止段部3aと係脱可能に係合する係止部2b3を形成し、ベース照明装置3を着脱可能に支持している。
【0025】
ベース照明装置3は、スポット照明装置5よりも配光幅の広い拡散性のある照明装置により構成されており、LED(発光ダイオード),EL(エレクトロルミネセンス)、蛍光ランプ等の少なくともいずれかの光源を具備している。これら光源は制御装置7にリード線により給電可能に電気的に接続され、その点,消灯,調光がこの制御装置7により制御される。
【0026】
制御装置7は、照明装置本体2内に配設され、上記一対の給電部6a,6bに一対のリード線により直流電力が給電可能に電気的に接続され、スポット照明装置5の点,消灯,調光を制御するようになっている。
【0027】
図3にも示すようにスポット照明装置5は、ベース照明装置3よりも小径の円筒状の器具本体5c内に、図示しないLEDを光源として具備した光源部5dと、この光源部5dからの光を外部に照射する照射部5eとを配設している。
【0028】
この照射部5eは、傾動部5fを介して光源部5dに傾動可能に連結されている。傾動部5fはベローズ、器具本体2cの垂直方向と水平方向の2軸回りにユニバーサルに回動させる傾動機構(パン・チルト機構)や玉継手等から構成され、照射部5eをパンとチルト方向に傾動可能かつその傾動角を保持し得る。
【0029】
図4に示すようにスポット照明装置5を環状凹部4内に挿入する場合は、スポット照明装置5を、その一対の受電ピン5a,5bを環状凹部4の周方向に一致させた状態で環状凹部4内に深く挿入し、図2に示すようにスポット照明装置5の図中上端部が摺動ガイド溝2b2内に挿入され、当接したときに、図4に示すようにスポット照明装置5をその中心軸回りに約90°回動させる。
【0030】
すると、図2に示すようにスポット照明装置5の一対の受電ピン5a,5bが一対の給電部6a,6bの摺動溝6a1,6b1内に係脱可能に挿入され、装着される。この装着状態で一対の受電ピン5a,5bは摺動溝6a1,6b1の導電性弾性片により図中上下方向に弾性的に挟持される。
【0031】
これら摺動溝6a1,6b1と摺動ガイド溝2b2が摺動可能であるので、スポット照明装置5をこれらに係合した状態で、環状凹部4の周方向に摺動させて移動し、所要の位置に保持させることができる。
【0032】
また、この保持状態でスポット照明装置5をその軸心回りにほぼ90°回動させることにより、一対の受電ピン5a,5bを一対の給電部6a,6bの摺動溝6a1,6b1から取り外すことができる。
【0033】
したがって、この照明装置1によれば、スポット照明装置5により対象物をスポット的に照明し、そのスポット光の周辺部を、地明かりとしてのベース照明装置3により照明できるので、そのスポット光周辺部の暗がりの暗さを低減できる。また、環状凹部4は、その周方向所要位置に、スポット照明装置5を取り付けることができるので、照明対象物の位置や大きさの変更に応じてスポット照明装置5の取付位置を容易に変更することができる。このために、従来例のように照明装置1自体の設置箇所を変更する必要がないので、その設置箇所を変更する場合の煩雑さを解消できる。
【0034】
また、スポット照明装置5の照射部5bは、その傾動部5fにより、器具本体5cに対して傾動可能であるので、スポット照明装置5によるスポット光の照射範囲の拡大を図ることができる。
【0035】
さらに、スポット照明装置5の照射部5bの照射面は、ベース照明装置3の照射面よりも照明装置本体2の内側へ若干後退しているので、地明かりのベース照明装置3の照射光がスポット照明装置5により遮光されることを低減または防止できる。
【0036】
図3(c)は上記スポット照明装置5の変形例5Aの正面図を示しており、このスポット照明装置5Aは、図3(a),(b)で示す丸棒状の受電ピン5a,5bを、正面形状がほぼ矩形平板状の舌片5a1,5b1に置換した点に特徴があり、これ以外は、図3(a),(b)で示すスポット照明装置5と同様の構成である。
【0037】
図5は本発明の第2の実施形態に係る照明装置1Aの要部断面図である。この照明装置1Aは、図6(a)で示すスポット照明装置5Bを具備した点に特徴がある。このスポット照明装置5Aは、図2,図3(a),(b)で示すスポット照明装置5の一対の受電ピン5a,5bの図中下方にて、左右一対の支持ピン5g,5hを突設した点に特徴があり、これ以外の構成は図2,図3(a),(b)で示すスポット照明装置5と同様である。この支持ピン5g,5hは、その形状、寸法が一対の受電ピン5a,5bとほぼ同様に構成されており、必ずしも導電性を有さなくてもよい。
【0038】
そして、図5に示すように照明装置1Aは、スポット照明装置5Bのこれら一対の支持ピン5g,5hを係脱可能かつ摺動可能に嵌入させる支持用摺動溝8a,8bを照明装置本体2の外側壁2aの下部リブ2a2の突出先端部と、内側壁2bの下部とにそれぞれ形成している点に特徴があり、これ以外の構成は、図1,図2で示す照明装置1とほぼ同様である。
【0039】
これにより、スポット照明装置5をその一対の受電ピン5a,5bと一対の支持ピン5g,5hにより上下2段で支持できる。このために、支持力を増すことができる。
【0040】
図6(c)は、スポット照明装置5のさらに他の変形例5Cの側面図である。このスポット照明装置5Bは、図3(a),(b)で示すスポット照明装置5の一対の受電ピン5a,5bを、ねじ込み式の口金9に置換した点に特徴があり、これ以外の構成はスポット照明装置5と同様である。口金9は、その頂端のアイレット9aとその側面のねじ部9bで直流電力を受電する。
【0041】
図7は本発明の第3の実施形態に係る照明装置1Bの要部断面図である。この照明装置1Bは、環状凹部4内に挿入し取り付けられたスポット照明装置5をステッピングモータ等のモータ13により回動する駆動装置を設けた点に特徴があり、これ以外は図2,図5で示す照明装置1とほぼ同様の構成である。
【0042】
すなわち、環状の内側壁2bの図7中上端開口を一体に閉じる内側上蓋部2b4の中央部の図7中上端面に、円柱状のクロスバー10を固着し、このクロスバー10の図中上端面を、外側壁2aの上蓋部2bの中央部内面に固着している。このクロスバー10に駆動装置を設けている。
【0043】
駆動装置は、クロスバー10の外周に、その中心軸回りに回転可能に外嵌されたリングギア11と、このリングギア11の図7中下端を回転可能に支持するベアリング12等を具備している。ベアリング12の下端は、内側上蓋部2b4の中央部に固着されている。
【0044】
リングギア11は、その環状全内周面にギア11aを形成しており、このギア11aには、ステッピングモータ等のモータ13の回転軸13aの先端部に固着されたピニオン14と噛み合っている。モータ13は上蓋部2bの内面中央部に固定されている。
【0045】
リングギア11の外周面には、例えば棒状のアーム15を固着している。アーム15の外周部の図7中下面には、上記スポット照明装置5の図7中上端部を固着している。モータ13には制御装置7を図示省略のリード線により電気的に接続している。制御装置7には、モータ13の駆動を制御するための制御手段の一例としてマイクロプロセッサに設けている。また、制御装置7は図示しないリモコン(リモートコントローラ)によりモータ13の駆動や、ベース照明装置3と、スポット照明装置5の点,消灯や調光度を遠隔制御するように構成している。
【0046】
また、棒状のアーム15を円板に置換し、この円板に複数のスポット照明装置5,5,…を固着することにより、複数のスポット照明装置5,5,…を同時に周方向に移動させることができる。
【0047】
図8は本発明の第4の実施形態に係る照明装置1Cの正面図である。この照明装置1Cは、図1等で示す環状凹部4を、独立した複数の取付孔12,12,…に置換した点に主な特徴を有する。
【0048】
これら取付孔12,12,…は図6(c)で示すねじ込み式の口金9を有するスポット照明装置5Bが挿脱し得る大きさと形状(円形)に形成され、ベース照明装置3の所要箇所にそれぞれ形成される。
【0049】
各取付孔12は、その内端部に、スポット照明装置5Bの口金9がねじ結合されるねじ部(図示省略)を給電部に形成し、このねじ部から直流電力を給電し得るように構成されている。
【0050】
したがって、この照明装置1Cによっても、スポット照明装置5Bにより対象物をスポット的に照明し、そのスポット光の周辺部を地明かりとしてのベース照明装置3により照明できるので、そのスポット光周辺部の暗がりの暗さを低減できる。また、取付孔12,12,12は複数あるので、照明対象物の位置や大きさの変更に応じてスポット照明装置5B,5B,…の取付位置を容易に変更することができる。このために、照明装置1C自体の設置箇所を変更する場合の煩雑さを軽減できる。
【0051】
また、スポット照明装置5の照射部5bはその傾動部5fにより、器具本体5cに対して傾動可能であるので、スポット照明装置5によるスポット光の照射範囲の拡大を図ることができる。
【0052】
さらに、スポット照明装置5の照射部5bの照射面は、ベース照明装置3の照射面よりも照明装置本体2の内側へ若干後退しているので、地明かりのベース照明装置3の照射光がスポット照明装置5により遮光されることを低減または防止できる。
【0053】
なお、上記各照明装置1,1A,1B,1Cではベース照明装置3とスポット照明装置5の正面形状が円形の場合について説明したが、本発明は円形以外の矩形でもよく、形状には限定されない。
【0054】
図9(a)〜(c)は、上記照明装置1,1A,1B,1Cのいずれか、例えば1を、宝石や指輪等のアクセサリー等の製品を照明の対象物14として収容するショーウィンドーの天井面13に設置した場合の対象物14の照明方法を図示している。
【0055】
図9(a)は対象物14をその直上からスポット照明装置5により照明する場合を示している。このスポット光周辺は地明かりのベース照明装置3により照明する。このために、スポット光周辺の暗がりの暗さを低減し、明暗差を緩和させることができる。
【0056】
また、図9(b)に示すように対象物14の位置が変更した場合に、この対象物14を、その直上からスポット照明するときは、照明装置1の環状凹部4の取付位置を対象物14の直上の取付位置に変更してスポット照明し、目立たせることができる。第3の実施形態に係る照明装置1Bの場合は、リモコンによる遠隔操作によりスポット照明装置5を対象物14の直上に、モータ13により自動的に移動させることができる。そして、このときも、ベース照明装置3の地明かりによりスポット光周辺の暗がりの暗さを低減し、明暗差を緩和できる。
【0057】
また、図9(c)に示すように対象物14をその直上ではなく、斜め上方向からスポット照明する場合は、対象物14の直上位置からベース照明装置3の直径方向反対側に、スポット照明装置5の取付位置を変更し、スポット照明装置5の照射角を傾動部5fにより対象物14へ向けるように手操作で変更させる。
【0058】
これにより、対象物14をその斜め上方からスポット照明できる。このために、対象物14が例えば指輪や宝石等光る製品の場合には、そのきらめき感をアップさせることができる。また、そのスポット光周辺の暗がりの暗さをベース照明装置3の地明かりにより緩和できる。
【0059】
そして、スポット照明装置5の取付位置を変更する場合は、照明装置が第1,第2実施形態1,1Aであるときは、スポット照明装置5を環状凹部4の摺動溝6a1,6b1を摺動させて所要の位置に移動させることにより容易に行うことができ、照明装置1,1A自体の設置箇所を変更する必要が無いので、従来例のように設置箇所を変更する場合の煩雑さを軽減できる。
【0060】
また、第3実施形態に係る照明装置1Bの場合は、スポット照明装置5の位置をリモコン(図示せず)により自動的に移動できるので、さらに煩雑さを軽減できる。
【0061】
そして、ベース照明装置3とスポット照明装置5の調光度を制御装置7により種々制御することにより、照明モードのバリエーションを増すことができる。
【0062】
なお、照明装置1A,1B,1Cは、図9,図10に示すように、スポット照明装置5がベース照明装置3に対して後退しており、スポット照明装置5の傾斜角を変位させてもベース照明装置3の照射光を遮光することがない。
【0063】
図10は照明装置1,1A,1B,1Cのいずれか、例えば1をショーウィンドーの側面16に設置した場合の照明方法を図示している。
【0064】
図10(a)は対象物14の高さが高い場合は、スポット照明装置5をベース照明装置3よりも高い位置に移動させ、スポット照射角を傾動部5fにより調整して対象物14をスポット照明する。
【0065】
一方、図10(b)に示すように対象物14が低い場合は、スポット照明装置5をベース照明装置3よりも低い位置に移動させ、スポット角を傾動部5fにより調整して対象物14を照明する。
【0066】
この場合も図10(a)〜(c)で示す照明方法と同様に、スポット照明装置5により対象物14をスポット照明できると共に、そのスポット光周辺の暗がりの暗さをベース照明装置3の地明かりにより低減し、明暗差を緩和できる。また、スポット照明装置5の取付位置を容易に変更できる。
【0067】
なお、上記各照明装置1〜1Cでは、ベース照明装置3とスポット照明装置5の正面形状が円形の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その形状は例えば矩形でもよく、形状には限定されない。また、ベース照明装置3とスポット照明装置5の両照射面はほぼ面一でもよく、さらに、ベース照明装置3を傾動可能に構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B,1C…照明装置、2…照明装置本体、2a…外側壁、2b…内側壁、2c…上蓋部、3…ベース照明装置、4…環状凹部、5,5A,5B…スポット照明装置、5a,5b…一対の受電ピン、5c…器具本体、6a,6b…一対の給電部、6a1,6b1…一対の摺動溝、7…制御装置、8a,8b…一対の支持用摺動溝、9…口金、13…駆動モータ、15…アーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポット照明装置と;
このスポット照明装置を複数箇所に給電可能かつ着脱可能に取り付けるスポット取付部を有し配光幅が前記スポット照明装置よりも広いベース照明装置と;
これらスポット照明装置とベース照明装置を配設した照明装置本体と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記スポット取付部は、
前記照明装置本体の前記ベース照明装置の外周に形成された環状凹部と;
前記照明装置本体の環状凹部の内側に配設されて前記スポット照明装置の受電部に着脱可能に装着されて電気的に接続される給電部と;
を具備していることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記給電部は、
前記スポット照明装置の受電部が装着された状態で周方向に摺動可能に構成され、
スポット照明装置を給電部の周方向に駆動する駆動装置を具備していることを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記スポット照明装置は、
前記光源部からの光を外部に照射する照射部と、
この照射部を前記スポット照明装置の器具本体に傾動可能に設ける傾動部と、
を有し、
前記受電部に装着されたときに、その照射部の照射面が前記ベース照明装置の照射面よりも装置本体内側へ位置するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−34802(P2011−34802A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179917(P2009−179917)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】