説明

照明装置

【課題】電力を消費せずにファンを回転させ、LED及びLEDが実装された基板の冷却
を行うことができるようにした照明装置を提供する。
【解決手段】LED8を実装した基板7が取り付けられた基板取付板4には放熱体2が固
定されている。放熱体2の内部空間11内には、その内部空間11内の温度変化に応じて
作動する感温作動機構部32と、この感温作動機構部32によって作動させられるファン
駆動機構部33と、このファン駆動機構部33によって回転駆動されるファン34とが収
容されている。ファン34がファン駆動機構部33によって回転駆動されることによって
生じた空気流でLED8を実装した基板7及びLED8を冷却することができる。そのた
め、ファン34を回転させるためのモータが不要となり、モータを回転するための電力が
消費されず、省電力化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子としてのLEDを使用した照明装置(例えば、LED電球)に関
するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱電球と比較して、消費電力が少なく且つ長寿命のLED電球は、一般家庭に
おいても白熱電球に換えて使用されるようになっている。
【0003】
このようなLED電球は、LEDから発生する熱でLEDやLEDが実装された回路基
板が温度上昇し、LEDの発光光量が低下したり、LEDの寿命が低下するのを防止する
ため、モータでファンを回転させ、回転するファンによって生じた空気流でLEDが実装
された基板及びLEDを冷却するようにしたものがある(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−86708号公報
【特許文献2】特開2010−86709号公報
【特許文献3】特開2010−157506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ファンをモータで回転させる従来のLED電球は、LED及びLEDが
実装された基板の放熱機構(ファン及びモータ)を有しないLED電球に比較し、モータ
を回転させるための電力分だけ消費電力が増加してしまうという新たな問題を生じる。
【0006】
そこで、本発明は、電力を消費せずにファンを回転させ、LED及びLEDが実装され
た基板の冷却を行うことができるようにした照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明装置は、図1乃至図3に示すように、
・LED8を実装した基板7が取り付けられた基板取付板4と、
・前記LED8の点灯で生じた熱が前記基板取付板4を介して伝熱されるように、前記
基板取付板4に固定された放熱体2と、
・前記放熱体2の内部空間11に収容され、前記放熱体2の内部空間11内に外部の空
気を吸入し、前記放熱体2の内部空間11内の空気を前記放熱体2の外部に排出して、前
記放熱体2の内部空間11内に空気流を生じさせ、前記基板取付板4及び前記放熱体2か
らの放熱を促進し、前記LED8を実装した基板7及び前記LED8を冷却する放熱促進
手段12と、
・前記LED8を実装した基板7を覆うように前記基板取付板4に取り付けられ、前記
LED8からの出射光を透過するグローブ10と、を備えている。
【0008】
そして、この発明の照明装置1において、
(1).前記放熱促進手段12は、
前記放熱体2の内部空間11内の温度変化に応じて作動する感温作動機構部32と、こ
の感温作動機構部32によって作動させられるファン駆動機構部33と、このファン駆動
機構部33によって回転させられるファン34と、を備えている。
【0009】
(1)−1.前記感温作動機構部32は、
形状記憶合金ばね35とバイアスばね36とで作動板37を挟持するように構成され、
前記放熱体2の内部空間11内の温度が前記LED8の点灯前よりも上昇し、前記形状記
憶合金ばね35の温度が前記LED8の点灯前よりも上昇すると、前記形状記憶合金ばね
35が前記バイアスばね36を押し縮めて伸張し、前記作動板37が前記形状記憶合金ば
ね35とバイアスばね36に挟持された状態で前記放熱体2の内部空間11内に設置され
たガイドロッド38に沿ってスライド移動するようになっている。
【0010】
(1)−2.前記ファン駆動機構部33は、
前記作動板37に駆動用ばね43を介して接続され且つ前記ガイドロッド38に沿って
スライドできるようになっているスライドプレート44と、前記スライドプレート44の
ナット部46の螺旋状溝に螺合する螺旋状突起が形成され且つ前記ファン34が取り付け
られた回転軸21と、前記スライドプレート44を前記回転軸21の端部側の退避位置に
保持するマグネット45と、を有し
前記形状記憶合金ばね35の伸張方向への変位に伴って前記作動板37がスライド移動
し、前記マグネット45で前記退避位置に保持されている前記スライドプレート44を前
記作動板37が前記駆動用ばね43を介して引っ張り、前記スライドプレート44を引っ
張る前記駆動用ばね43のばね力が前記マグネット45の磁力よりも大きくなると、前記
スライドプレート44が前記駆動用ばね43のばね力で引っ張られて前記退避位置から前
記ガイドロッド38に沿って一気にスライド移動し、前記スライドプレート44の前記ナ
ット部46で前記回転軸21を回転させ、前記回転軸21に取り付けられた前記ファン3
4が前記回転軸21とともに回転するようになっている。
【0011】
また、本発明に係る照明装置1は、図4に示すように、前記ファン34が前記回転軸2
1にワンウェイクラッチ50を介して取り付けられ、前記形状記憶合金ばね35の伸張方
向への変位に伴って前記回転軸21が回転させられている場合には前記ファン34が前記
回転軸21と一体に回転し、この回転していた前記回転軸21が停止した場合には前記フ
ァン34が慣性の法則に従って回転し続けるようになっている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の照明装置は、放熱体の内部空間内の温度変化に応じて作動する感温作動機構部
でファン駆動機構部を作動させ、ファン駆動機構部でファンを回転駆動して、ファンが回
転することによって生じた空気流でLEDを実装した基板及びLEDを冷却することがで
きるため、ファンを回転させるためのモータが不要となり、モータを回転するための電力
が消費されず、省エネルギー化を図ることができる。
【0013】
また、本発明の照明装置は、ファンを回転させるためにモータが使用されないため、モ
ータの作動音に起因する騒音が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る照明装置の縦断面図であり、照明装置の放熱促進手段の作動前状態を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る照明装置の縦断面図であり、照明装置の放熱促進手段の作動時における第1状態を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る照明装置の縦断面図であり、照明装置の放熱促進手段の作動時における第2状態を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る照明装置の縦断面図であり、照明装置の放熱促進手段の作動前状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0016】
[第1実施形態]
(照明装置の構造)
図1は、本発明の第1実施形態に係る照明装置1の縦断面図である。この図1に示す照
明装置1は、アルミニウム、アルミニウム合金等の熱伝導性の良い金属や熱伝導性樹脂で
形成された略筒状の放熱体2と、放熱体2の一端側開口端3に固定された基板取付板4と
、放熱体2の他端側開口端5に固定されたケース6と、基板取付板4の外表面4aに取り
付けられた基板7と、この基板7の外表面7aに実装されたLED(発光素子)8と、基
板7及びLED8を覆うように基板取付板4に固定されたグローブ10と、放熱体2の内
部空間11内に収容された放熱促進手段12と、を備えている。
【0017】
放熱体2は、円筒部13と、この円筒部13の一端側開口端3から他端側開口端5へ向
かって延びるフィン14,15とで構成されている。フィン14,15は、円筒部13の
内周面13a及び外周面13bの周方向に沿って等間隔に複数形成されている。そして、
隣り合うフィン14,14(15,15)間の円筒部13の一端側には、円筒部13の内
外を連通する第1の通気口16が円筒部13の周方向に沿って複数形成されている。また
、隣り合うフィン14,14(15,15)間の円筒部13の他端側には、円筒部13の
内外を連通する第2の通気口17が円筒部13の周方向に沿って複数形成されている。
【0018】
基板取付板4は、放熱体2の一端側の外径寸法と同一の外径寸法となるように円板状に
形成されており、全体が放熱体2と同一の材料で形成されている。この基板取付板4は、
裏面(内表面)4b側に形成した位置決め突起18を放熱体2の一端側の径方向外方端に
形成された位置決め段部20に係合させることにより、その中心を放熱体2の円筒部13
の中心に位置決めして、放熱体2に接着剤又はねじ等によって固定されるようになってい
る。また、基板取付板4は、その裏面4b側で且つその中心位置に、回転軸21の一端側
を回転可能に支持する第1軸受22が取り付けられている。また、この基板取付板4の外
表面(図1の上面)4aには、LED8を単数又は複数実装した基板7が取り付けられて
いる。また、基板取付板4の外表面4aの外周端寄りの位置には、グローブ10の開口端
の内周面に係合するグローブ係合突起23がリング状に形成されている。なお、基板7に
は、図示しないリード線とLED8とを電気的に接続する導電パターン(図示せず)が形
成されている。
【0019】
グローブ10は、LED8から出射した光を透過させることができるプラスチック又は
ガラス等の材料で半球状に形成されており、その開口端が基板取付板4のグローブ係合突
起23に係合され、基板取付板4に接着剤等で固定される。なお、グローブ10は、LE
D8からの光が拡散された状態で出射されるようになっていることが好ましい。
【0020】
ケース6は、外観形状が略テーパ形状となるように、絶縁性のプラスチックで形成され
ている。そして、ケース6の一端側(大径側)に略円板形状の放熱体取付部24が形成さ
れ、ケース6の他端側(小径側)に口金25が固定されている。このケース6の放熱体取
付部24は、放熱体2の他端側開口端5に固定され、放熱体2の他端側開口端5を塞ぐよ
うになっている。また、このケース6の放熱体取付部24は、放熱体2の他端側開口端5
に係合される係合段部26が形成されている。この係合段部26は、放熱体2の円筒部1
3の内周側に嵌め込まれる凸状部分26aと、この凸状部分26aの外周側に位置して放
熱体2の円筒部13の端面に当接する放熱体支持部分26bと、を有している。ここで、
凸状部分26aは、ケース6の放熱体取付部24の中心と放熱体2の円筒部13の中心と
を位置合わせすることができるようになっている。また、放熱体取付部26は、その中心
部で且つ放熱体2の内部空間11に面する位置に、回転軸21の他端側を回転可能に支持
する第2軸受27が取り付けられている。なお、口金25は、図示しないランプソケット
にねじ込まれるねじ山が外周面に形成されている。
【0021】
ケース6の内部にはLED8の点灯回路(図示せず)が収容されており、その点灯回路
と口金25とが図示しないリード線によって電気的に接続されている。また、点灯回路は
、ケース6の放熱体取付部24の中心を貫通する穴28、回転軸21の軸芯に沿った穴3
0、及び基板取付板4の中心を貫通する穴31に挿入した図示しないリード線によって基
板7の導電パターンに電気的に接続され、基板7に実装されたLED8を点灯制御できる
ようになっている。
【0022】
放熱促進手段12は、放熱体2の内部空間11内の温度変化に応じて作動する感温作動
機構部32と、この感温作動機構部32によって作動させられてファンを回転駆動するフ
ァン駆動機構部33と、このファン駆動機構部33によって回転させられるファン34と
、を備えている。
【0023】
感温作動機構部32は、形状記憶合金ばね35とバイアスばね36とで作動板37を挟
持するバイアス式二方向素子であり、放熱体2の内部空間11内に収容されている。この
感温作動機構部32は、基板取付板4と作動板37との間に形状記憶合金ばね35(例え
ば、Ni−Tiばね)を配置し、基板取付板4に複数のガイドロッド38を介して固定さ
れたばね支持板40と作動板37との間にバイアスばね36を配置して、作動板37がガ
イドロッド38に案内されてスライド移動できるようになっている。そして、この感温作
動機構部32の作動板37とばね支持板40の中央部には、回転軸21との間に十分な隙
間が生じるように通気穴41,42がそれぞれ形成されている。また、感温作動機構部3
2の作動板37は、その外周面が放熱体2よりも小径に形成されており、外周面と放熱体
2のフィン14との間に隙間が生じるようになっている。このような感温作動機構部32
は、放熱体2の内部空間11内の温度が昇温すると、形状記憶合金ばね35がバイアスば
ね36のばね力に抗して伸び(ばね長さを長くし)、この形状記憶合金ばね35が伸びた
状態で放熱体2の内部空間11内の温度が降温すると、形状記憶合金ばね35がバイアス
ばね36のばね力に押し縮められるようになっており、このような形状記憶合金ばね35
とバイアスばね36の変位に伴って作動板37が移動するようになっている。なお、形状
記憶合金ばね35とバイアスばね36は、回転軸21の周りに複数(少なくとも一対)配
置されている。
【0024】
ファン駆動機構部33は、基板取付板4と作動板37との間で且つ形状記憶合金ばね3
5よりも径方向内方側の部分に配置されており、作動板37に駆動用ばね43で繋がれた
スライドプレート44と、駆動用ばね43に生じる引っ張り力が所定値(マグネット45
の磁力よりも大きな力)に到達するまでスライドプレート44を基板取付板4側の退避位
置に保持するマグネット45と、スライドプレート44の移動に伴って回転させられる回
転軸21と、を備えている。
【0025】
このファン駆動機構部33において、スライドプレート44は、外周端側がガイドロッ
ド38にスライド可能に係合され、中心部分のナット部46が回転軸21に嵌合され、作
動板37に一端が固定された駆動用ばね43の他端が固定されている。このスライドプレ
ート44のナット部46は、回転軸21の螺旋状突起(図示せず)に螺合される螺旋状溝
(図示せず)が形成されており、ガイドロッド38に案内されてスライド移動すると、回
転軸21を回転させるようになっている。なお、駆動用ばね43は、回転軸21の周りに
複数(少なくとも一対)配置されている。
【0026】
マグネット45は、基板取付板4とスライドプレート44との間に少なくとも一対配置
されている。このマグネット45は、基板取付板4の裏面4bに固定された第1のマグネ
ット片45aと、スライドプレート44の基板取付板4に対向する面に固定された第2の
マグネット片45bとからなっている。そして、マグネット45は、第1のマグネット片
45aと第2のマグネット片45bの引き合う力(磁力)によって、スライドプレート4
4を図1の退避位置に保持している。
【0027】
回転軸21は、一端側が基板取付板4に取り付けられた第1軸受22に回転可能に支持
され、他端側がケース6の放熱体取付部24に取り付けられた第2軸受27に回転可能に
支持されている。また、この回転軸21は、第2軸受27の近傍位置にファン34が固定
されており、このファン34と第1軸受22との間の外表面に螺旋状突起(図示せず)が
形成され、その螺旋状突起がナット部46の螺旋状溝(図示せず)に螺合するようになっ
ている。なお、この回転軸21は中空軸である。そして、この回転軸21の中心部の穴3
0内には、ケース6内の点灯回路(図示せず)と基板7とを接続するリード線(図示せず
)が収容されている。
【0028】
ファン34は、ボス部47の周囲に複数の羽根48が放射状に形成されており、回転軸
21と一体になって回転し、径方向内方から径方向外方へ向かう空気流を生じさせる遠心
ファンとして機能する。このファン34は、鉄に比較して軽量であるプラスチック又はア
ルミニウム等の材料で形成されている。
【0029】
(放熱促進手段の作動)
次に、図1乃至図3に基づいて放熱促進手段12の作動を説明する。図1は、LED8
の点灯前の状態を示しており、LED8及び基板7を含む照明装置1の全体が常温(本実
施形態では25℃)の場合を示している。この図1に示すように、作動板37は、LED
8の点灯前において、形状記憶合金ばね35とバイアスばね36のばね力が釣り合い、退
避位置に位置している。また、図1に示すように、スライドプレート44は、マグネット
45で基板取付板4に保持されている。
【0030】
LED8が点灯されると、LED8が発熱し、LED8の熱が基板7,基板取付板4を
介して放熱体2及び形状記憶合金ばね35に伝導される。放熱体2に伝導された熱は、フ
ィン14,15を介して大気中に放熱されると共に、放熱体2の内部空間11内に放熱さ
れる。その結果、形状記憶合金ばね35は、放熱体2の内部空間11内の空気の熱が伝達
されると共に、基板取付板4から熱伝導されて温度上昇する。形状記憶合金ばね35が温
度上昇すると、形状記憶合金ばね35がバイアスばね36を押し縮めて伸張し、作動板3
7が形状記憶合金ばね35の伸張変位に伴って移動する。そして、作動板37が形状記憶
合金ばね35の伸張方向へスライド移動すると、駆動用ばね43がガイドロッド38に沿
ってスライド移動する作動板37によって引っ張られる。この際、駆動用ばね43に生じ
るばね力(スライドプレート44を引っ張る力)がスライドプレート44を退避位置に保
持するマグネット45の磁力よりも小さい場合には、駆動用ばね43が伸張するだけで、
スライドプレート44が退避位置に保持されて移動せず、回転軸21及びファン34が回
転しない(図2参照)。
【0031】
形状記憶合金ばね35が更に温度上昇し、形状記憶合金ばね35が更に伸張方向へ変位
し、作動板37が形状記憶合金ばね35の伸張方向への変位に伴って更に移動して、駆動
用ばね43に生じるばね力がマグネット45の磁力よりも大きくなると、スライドプレー
ト44を退避位置に保持する第1のマグネット片45aと第2のマグネット片45bとが
離間し、スライドプレート44が駆動用ばね43のばね力で一気に引っ張られ、スライド
プレート44がガイドロッド38に沿って勢いよく(駆動用ばね43で引っ張られなくな
る位置まで瞬時に)スライド移動する(図2乃至図3参照)。その結果、回転軸21がス
ライド移動するスライドプレート44のナット部46で勢いよく(高速で)回転させられ
、ファン34が勢いよく回転する。
【0032】
ファン34が回転すると、放熱体2の第1の通気口16から外気が放熱体2の内部空間
11内に吸い込まれ、放熱体2の内部空間11内の空気が放熱体2の第2の通気口17か
ら外部の大気中に放出される。このファン34の回転に伴う放熱体2内への吸気と放熱体
2内からの排気によって、第1の通気口16から作動板37の通気穴41を経てばね支持
板40の通気穴42を通過する空気流と、第1の通気口16から作動板37の外周側の隙
間を経てばね支持板40の通気穴42を通過する空気流とが生じる。そして、放熱体2の
内部空間11内の熱が放熱体2の外部に強制的に排出され、放熱体2の内部空間11が新
たに取り入れられる外気によって冷却される。また、基板取付板4の熱は、放熱体2の内
部空間11を流動する空気流に奪われる。また、ファン34の回転によって生じた空気流
に放熱体2のフィン14,15が接触し、放熱体2のフィン14,15からの放熱が促進
され、放熱体2が効率的に冷却される。その結果、基板取付板4,基板7及びLED8が
効率的に冷却される(図3参照)。
【0033】
形状記憶合金ばね35の温度が常温に低下すると、形状記憶合金ばね35がバイアスば
ね36のばね力で押し縮められ、作動板37及びスライドプレート44が図3の作動位置
から図1の退避位置に戻り、スライドプレート44がマグネット45の磁力で基板取付板
4に保持される。この図3の作動位置から図1の退避位置へスライドプレート44が移動
する際に、回転軸21がスライドプレート44のナット部46で緩やかに(低速で)回転
させられる。
【0034】
(本実施形態の効果)
本実施形態の照明装置1は、放熱体2の内部空間11内の温度変化に応じて作動する感
温作動機構部32でファン駆動機構部33を作動させ、ファン駆動機構部33でファン3
4を回転駆動して、ファン34が回転することによって生じた空気流でLED8が実装さ
れた基板7及びLED8を冷却することができるため、ファン34を回転させるためのモ
ータが不要となり、モータを回転させるための電力が消費されず、省エネルギー化を図る
ことができる。
【0035】
また、本実施形態に係る照明装置1は、ファン34を回転させるためにモータが使用さ
れないため、モータの作動音に起因する騒音が生じない。
【0036】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る照明装置1の縦断面図である。
【0037】
本実施形態に係る照明装置1は、ファン34が回転軸21にワンウェイクラッチ50を
介して取り付けられている点を除き、他の構成が第1実施形態の照明装置1と同様である
。 このような構成の本実施形態に係る照明装置1は、スライドプレート44が退避位置
から作動位置(図3に示すスライドプレート44の位置)まで移動する際に、回転軸21
がスライドプレート44のナット部46によって回転させられると、回転軸21とファン
34とがワンウェイクラッチ50を介して一体回動し、回転軸21が停止すると、ワンウ
ェイクラッチ50が滑りを生じ、ファン34が慣性の法則に従って回転し続ける。その結
果、本実施形態に係る照明装置1は、第1実施形態に係る照明装置1に比較し、ファン3
4の回転数を多くすることができ、LED8が実装された基板7及びLED8をより一層
効果的に冷却することが可能になる。なお、ワンウェイクラッチ50は、オリジン電気株
式会社製の呼び番号がOWC4−9−6−IN等が使用される。
【0038】
[その他の変形例]
上記の各実施形態に係る照明装置1は、放熱体2の一端側の外径寸法と他端側の外径寸
法が同一寸法になっている。しかしながら、本発明に係る照明装置1は、これに限られず
、放熱体2の一端側の外径寸法を他端側の外径寸法よりも大きくし、グローブ10を大き
くすると共に、基板7上に実装するLED8の数を増やし、グローブ10を透過する光量
をより多くして、より明るく照明するようにしてもよい。
【0039】
上記の各実施形態に係る照明装置1において、基板取付板4は、放熱体2と一体に形成
し、放熱体2の一部を構成するようにしてもよい。
【0040】
上記の各実施形態に係る照明装置1において、フィン14,15は、円筒部13の一端
側から他端側へ向かって螺旋状に形成し、放熱面積を大きくすると共に、放熱体2の内部
空間11内に螺旋状の空気流を生じさせ、放熱効率を向上させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1……照明装置、2……放熱体、4……基板取付板、7……基板、8……LED、11
……内部空間、12……放熱促進手段、21……回転軸、32……感温作動機構部、33
……ファン駆動機構部、34……ファン、35……形状記憶合金ばね、36……バイアス
ばね、37……作動板、38……ガイドロッド、43……駆動用ばね、44……スライド
プレート、45……マグネット、46……ナット部、50……ワンウェイクラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを実装した基板が取り付けられた基板取付板と、
前記LEDの点灯で生じた熱が前記基板取付板を介して伝熱されるように、前記基板取
付板に固定された放熱体と、
前記放熱体の内部空間に収容され、前記放熱体の内部空間内に外部の空気を吸入し、前
記放熱体の内部空間内の空気を前記放熱体の外部に排出して、前記放熱体の内部空間内に
空気流を生じさせ、前記基板取付板及び前記放熱体からの放熱を促進し、前記LEDを実
装した基板及び前記LEDを冷却する放熱促進手段と、
前記LEDを実装した基板を覆うように前記基板取付板に取り付けられ、前記LEDか
らの出射光を透過するグローブと、
を備えた照明装置であって、
(1).前記放熱促進手段は、
前記放熱体の内部空間内の温度変化に応じて作動する感温作動機構部と、この感温作動
機構部によって作動させられるファン駆動機構部と、このファン駆動機構部によって回転
させられるファンと、を備え、
(1)−1.前記感温作動機構部は、
形状記憶合金ばねとバイアスばねとで作動板を挟持するように構成され、前記放熱体の
内部空間内の温度が前記LEDの点灯前よりも上昇し、前記形状記憶合金ばねの温度が前
記LEDの点灯前よりも上昇すると、前記形状記憶合金ばねが前記バイアスばねを押し縮
めて伸張し、前記作動板が前記形状記憶合金ばねと前記バイアスばねに挟持された状態で
前記放熱体の内部空間内に設置されたガイドロッドに沿ってスライド移動するようになっ
ており、
(1)−2.前記ファン駆動機構部は、
前記作動板に駆動用ばねを介して接続され且つ前記ガイドロッドに沿ってスライドでき
るようになっているスライドプレートと、前記スライドプレートのナット部の螺旋状溝に
螺合する螺旋状突起が形成され且つ前記ファンが取り付けられた回転軸と、前記スライド
プレートを前記回転軸の端部側の退避位置に保持するマグネットと、を有し
前記形状記憶合金ばねの伸張方向への変位に伴って前記作動板がスライド移動し、前記
マグネットで前記退避位置に保持されている前記スライドプレートを前記作動板が前記駆
動用ばねを介して引っ張り、前記スライドプレートを引っ張る前記駆動用ばねのばね力が
前記マグネットの磁力よりも大きくなると、前記スライドプレートが前記駆動用ばねのば
ね力で引っ張られて前記退避位置から前記ガイドロッドに沿って一気にスライド移動し、
前記スライドプレートの前記ナット部で前記回転軸を回転させ、前記回転軸に取り付けら
れた前記ファンが前記回転軸とともに回転するようになっている、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記ファンが前記回転軸にワンウェイクラッチを介して取り付けられ、前記形状記憶合
金ばねの伸張方向への変位に伴って前記回転軸が回転させられている場合には前記ファン
が前記回転軸と一体に回転し、この回転していた前記回転軸が停止した場合には前記ファ
ンが慣性の法則に従って回転し続けるようになっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−155920(P2012−155920A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12552(P2011−12552)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】