説明

照明装置

【課題】固体発光素子と反射板とを組み合わせた照明装置において、装置を見る角度が変わってもユーザが輝度むらを感じ難くし、しかも光取り出し効率を向上して薄型化を可能とする。
【解決手段】照明装置1は、光源2と、光源2からの光を反射する反射板3と、光源2及び反射板3を収容する筐体4と、光を拡散透過する拡散板5と、を備える。反射板3は、光源2から離れるにつれて拡散板5に対する傾斜角度が大きくなる複数の反射面31を有し、反射面31の各々は、それらによる反射光が拡散板5に対して直角方向に入射するように構成されている。出力光の角度分布が均一になるので、照明装置1を見る角度が変わってもユーザは輝度むらを感じ難くなる。また、拡散板5を伝播する光の光路長が最小となるので、光取り出し効率が向上する。更に、反射板3を複数の反射面31に分割して薄くすることができるので、照明装置1の薄型化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light emitting diode)等の固体発光素子と反射板とを組み合わせた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から低電力で高輝度の発光が可能なLEDと反射板とを組み合わせた照明装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。このような照明装置は、図5に示されるように、光源となるLED10と、LED10からの光(光路を破線矢印で示す)を反射して配光制御する反射板20と、反射板20により反射された光を拡散透過する拡散板30と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−40296号公報
【特許文献2】特開2008−218114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような照明装置では、拡散板30に対する光の入射角度によって出力光の角度分布が異なるので、装置を見る角度によってはユーザが輝度むらを感じる虞がある。また、多くの光が拡散板30に対して斜めに入射するので、拡散板30を伝播する光の光路長が大きくなって光が減衰し易く、光取り出し効率が低い。更に、反射板20が大きなスペースを占めているので、装置を薄型化することができない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、固体発光素子と反射板とを組み合わせた照明装置において、装置を見る角度が変わってもユーザが輝度むらを感じ難く、しかも光利用効率が高くて薄型化が可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明装置は、光源と、光源からの光を反射して配光制御する反射板と、一面側に開口を有し光源及び反射板を収容する筐体と、筐体の開口に取り付けられて反射板により反射された光を拡散透過する拡散板と、を備え、前記反射板は、前記拡散板に対する傾斜角度が異なる複数の反射面を有し、前記反射面の各々は、それらによる反射光が前記拡散板に対して直角方向に入射するように前記光源から離れるにつれて前記拡散板に対する傾斜角度が大きくなっていることを特徴とする。
【0007】
前記反射板は、回転対称とされていることが好ましい。
【0008】
前記光源を通り前記拡散板に直交する断面において、該光源の位置を原点とし、前記拡散板に平行な方向をX方向とし、該拡散板に直交する方向をY方向とし、前記反射面の位置が座標(X,Y)=(a,b)であるとき、該反射面の前記拡散板に対する傾斜角度θは下記数式で与えられることが好ましい。
[数1]

【0009】
前記反射面の各々は、前記光源から離れるにつれて前記拡散板側に配置されることが好ましい。
【0010】
前記一の反射面とこれに隣接する他の反射面は、前記拡散板に平行な方向において互いに重複することなく配置され、前記光源を通り前記拡散板に直交する断面において、前記一の反射面における拡散板側の端部と前記一の反射面に隣接して前記光源から遠い方の他の反射面における非拡散板側の端部とを結ぶ線が前記拡散板に直交する線と成す角度は、前記一の反射面における拡散板側の端部と前記光源とを結ぶ線が前記拡散板に直交する線と成す角度よりも小さくなるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、すべての光が拡散板に対して直角方向に入射するので、出力光の角度分布が均一になり、装置を見る角度が変わってもユーザは輝度むらを感じ難くなる。また、拡散板を伝播する光の光路長が最小となるので、拡散板における光の減衰が最小限に留められて光取り出し効率が向上する。更に、反射板を複数の反射面に分割して薄くすることができるので、装置の薄型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る照明装置の断面図。
【図2】上記照明装置を光照射面側から見た平面図。
【図3】上記照明装置を構成する反射面の配置を示す断面図。
【図4】上記実施形態の変形例に係る照明装置の断面図。
【図5】従来の照明装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る照明装置について、図1乃至図3を参照して説明する。図1、図2に示されるように、照明装置1は、複数の光源2と、これら光源2からの光を反射する反射板3と、光源2及び反射板3を収容して一面側に開口を有する筐体4と、筐体4の開口に取り付けられて光を拡散透過する拡散板5と、を備える。筐体4は、本実施形態においては反射板3が取り付けられる面を底とした有底円筒形状とされ、光源2の各々は、それぞれ光軸を筐体4の中心位置に向けた状態で筐体4の内周に45度ずつ角度を隔てて配置されている。反射板3は、照明装置1の軸線を中心として回転対称な円板形状とされ、拡散板5に対する傾斜角度が異なる複数の反射面31を有する。各々の反射面31は、それぞれ反射した光が拡散板5に対してほぼ直角方向に入射するように光源2から離れるにつれて拡散板5に対する傾斜角度が大きくなっている。また、照明装置1は、光源2への電力供給を制御する電源6と、照明装置1を天井や壁等に取り付けるための取付部7と、を備える。
【0014】
光源2の各々は、発光体として複数のLED21と、LED21を実装する配線基板22と、LED21からの光を集光する集光レンズ23と、集光レンズ23からの光を効率良く反射板3に導くために光源2を所定の角度で傾斜させる台座24と、を備える。LED21は、例えば、青色光を発する青色LEDとこの青色光により励起されて黄色光を発するYAG蛍光体とから構成され、これら青色光と黄色光とを混色させることで擬似白色光を発する白色LEDとされる。配線基板22は、高い熱伝導率を有する材料により構成され、例えば、エポキシ樹脂を使用したプリント配線基板から成る。配線基板22はLED21への給電を担う配線パターンを有し、この配線パターンは配電線を介してスイッチやマイコン等を備えた電源6に接続されている。電源6は、家庭用電源をLED21に適した電流及び電圧に変換すると共に、家庭用電源からLED21への電力供給を調節することによりLED21をオン/オフ制御及び調光制御する。なお、配線基板22上に実装されるLED21の数及び配線基板22上におけるLED21の配置は、図例のものに限定されない。また、光源2の筐体4内における配置も、本実施形態のものに限定されない。
【0015】
反射板3は、金属や樹脂を母材として、その表面に白塗装又は鏡面処理を施して高可視光反射性としたものから構成される。鏡面処理は、例えば、アルミニウム蒸着や銀蒸着により成される。反射板3の各々の反射面31は、拡散板5に平行な方向において互いに重複することなく配置される。なお、各反射面は、図例では互いに独立した別個の部材とされているが、互いに連結された段形状とされて一体成型されてもよい。
【0016】
筐体4は、高い熱伝導率と高い剛性を有する材料、例えば、アルミニウム等の金属やガラスエポキシ等の樹脂により構成される。筐体4は、筐体4の周面を構成する側面部41と、反射板3が取り付けられている底面部42と、を有する。底面部42は、反射板3が取り付けられる面の裏面側に電源6と取付部7とを保持する。
【0017】
拡散板5は、例えば、光拡散材や気泡が分散された透光性材料や、表面にフロスト加工等によって凹凸が形成された透光性材料より成る。光拡散材は、例えば、酸化チタンや炭酸カルシウム等をベースにした粒子より構成され、透光性材料は、例えば、アクリルやポリカーボネート等の透明樹脂又は透明ガラスより構成される。拡散板5は、50%以下の直線透過率を有することが好ましい。拡散板5を比較的硬度の高い材料より構成した場合には、拡散板5は、照明装置1を衝撃等から保護する外殻部材としても機能する。
【0018】
図3は、光源2を通り拡散板5に直交する断面における互いに隣接した反射面31a、31bの構成を示す。ここで、光源2の位置を原点とし、拡散板5に平行な方向をX方向とし、拡散板5に直交する方向をY方向とすると、一の反射面31aは座標(X,Y)=(a,b)に位置する。このとき、一の反射面31aの拡散板5に対する傾斜角度θを下記数式に従って算出して設定することで、光源2からの光を一の反射面31aにより反射して拡散板5に対してほぼ直角方向に入射させることができる。同様に、一の反射面31aに隣接して光源2から遠い側にある他の反射面31bの傾斜角度についても、反射面31bの座標及び下記数式を用いて算出することができる。このようにして、光源2からの光を各々の反射面31により反射して、拡散板5に対して直角方向に入射する互いに平行な光とすることができる。
[数1]

【0019】
図3において、角度αは、一の反射面31aにおける拡散板5に近い方の端部Pと、他の反射面31bにおける拡散板5から遠い方の端部Qと、を結ぶ線が、拡散板5に直交する線と成す角度のうち拡散板5から遠い方の角度を指す。一方、角度βは、一の反射面31aの端部Pと光源2とを結ぶ線が、拡散板5に直交する線と成す鋭角の角度を指す。互いに隣接する反射面31a、31bは、角度αが角度βよりも小さくなるように配置される。
【0020】
上記のように構成された照明装置1においては、光源2から出射された光(光路を図1において破線矢印で示す)は、反射板3の反射面31により反射されて拡散板5に対してほぼ直角方向に入射するようになる。このとき、光源2からの光は、光路を図3において一点鎖線で示すように、角度αが角度βよりも小さく設定されているので、反射面31a、31bの隙間を通過することはなくなる。
【0021】
上述のように、本実施形態の照明装置1によれば、光源2からの光を反射板3の反射面31により反射して拡散板5に対してほぼ直角方向に入射させることができるので、出力光の角度分布が均一になり、装置を見る角度が変わってもユーザは輝度むらを感じ難くなる。また、拡散板5を伝播する光の光路長が最小となるので、拡散板5における光の減衰が最小限に留められて光取り出し効率が向上する。更に、反射板3を複数の反射面31に分割して薄くすることができるので、照明装置1の薄型化が可能となる。
【0022】
次に、本実施形態の変形例に係る照明装置について図4を参照して説明する。この照明装置11では、複数の反射面31は、光源2から離れるにつれて拡散板5側に配置される。これにより、各々の光源2から出射されて対向する光源2方向に進む光(光路を一点鎖線矢印で示す)を、照明装置11の中央部において反射面31により反射して拡散板5に入射させることができる。そのため、上述の照明装置1が与える効果に加え、装置中央における照射光輝度を増加させることができる。また、反射板3と筐体4の底面部42とに囲まれた領域に電源6や取付部7を収容することができるので、照明装置1に比べて、装置高さを低く抑えて更なる薄型化が可能になると共に、装置の意匠性を良くすることができる。
【0023】
また、本実施形態及びその変形例において、配線基板22及び筐体4が熱伝導率の高い材料より構成されているので、LED21の発光に伴って生じた熱を効率良く外界へ放熱してLED21の寿命を延ばすことができる。
【0024】
なお、本発明に係る照明装置は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、反射板や筐体の形状は、平面視円形状に限定されず、平面視矩形状や楕円形状とされてもよいし、必ずしも回転対称でなくてもよい。また、筐体の側面部を透光性として、照明装置の側方にも光が照射されるようにしてもよい。この場合、筐体の側面部は、透光性材料により拡散板と一体成型されてもよい。また、光源は、白色LEDに限定されず、他色のLEDから構成されてもよいし、有機EL等の光源から構成されてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1、11 照明装置
2 光源
3 反射板
31、31a、31b 反射面
4 筐体
5 拡散板
θ 反射面の拡散板に対する傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、光源からの光を反射して配光制御する反射板と、一面側に開口を有し光源及び反射板を収容する筐体と、筐体の開口に取り付けられて反射板により反射された光を拡散透過する拡散板と、を備えた照明装置において、
前記反射板は、前記拡散板に対する傾斜角度が異なる複数の反射面を有し、
前記反射面の各々は、それらによる反射光が前記拡散板に対して直角方向に入射するように前記光源から離れるにつれて前記拡散板に対する傾斜角度が大きくなっていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記反射板は、回転対称とされていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源を通り前記拡散板に直交する断面において、該光源の位置を原点とし、前記拡散板に平行な方向をX方向とし、該拡散板に直交する方向をY方向とし、前記反射面の位置が座標(X,Y)=(a,b)であるとき、該反射面の前記拡散板に対する傾斜角度θは下記数式で与えられることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
[数1]

【請求項4】
前記反射面の各々は、前記光源から離れるにつれて前記拡散板側に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記一の反射面とこれに隣接する他の反射面は、前記拡散板に平行な方向において互いに重複することなく配置され、前記光源を通り前記拡散板に直交する断面において、前記一の反射面における拡散板側の端部と前記一の反射面に隣接して前記光源から遠い方の他の反射面における非拡散板側の端部とを結ぶ線が前記拡散板に直交する線と成す角度は、前記一の反射面における拡散板側の端部と前記光源とを結ぶ線が前記拡散板に直交する線と成す角度よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−26087(P2013−26087A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161394(P2011−161394)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】