説明

照明装置

【課題】ユーザの状況にかかわらずユーザの好みの光環境に調整できる照明装置を提供する。
【解決手段】照明部11から発せられる照明光の照度を調整する調光部12と、照明部11から発せられる照明光の照明色を調整する調色部13と、照明部11から発せられる照明光により照明される空間の光環境を計測する環境計測部14と、環境計測部14により計測された光環境が当該空間で行われる作業に対して一定の光環境となるよう調光部12及び調色部13を調整する自動調整部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々に光環境を変化させることができる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、周囲状態を測定し、当該周囲状態に応じてランプの点灯状態を変更できる技術としては、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この特許文献1には、ランプと、周囲の状態を測定して情報を提供する測定装置と、周囲の状態とランプの点灯状態との対応関係を記憶して色温度を学習し推定する色温度学習推定装置と、色温度に対応した制御信号によりランプの点灯状態を制御する点灯制御装置とを備えた照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−190593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した既存の照明装置は、よりユーザの好みによって光環境を調整できていなかった。例えば、窓から差し込む光が時間や季節によって外光の影響が異なる。また、ユーザがどのような作業をしているのか、ユーザがどのような対象物を見ているのか、ユーザが部屋の何処で作業していているか、照明からどの程度離れた位置であるのか、といったことに応じて光環境を調整することはできなかった。このため、従来の照明装置は、上記した外光、作業、対象物、位置等が変化すると、ユーザによって光環境を設定する必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、ユーザの状況にかかわらずユーザの好みの光環境に調整できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明の第1の態様に係る照明装置は、照明部から発せられる照明光の明度を調整する調光部と、前記照明部から発せられる照明光の照明色を調整する調色部と、前記照明部から発せられる照明光により照明される空間の光環境を計測する環境計測部と、前記環境計測部により計測された光環境が当該空間で行われる作業に対して一定の光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整する自動調整部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様に係る照明装置であって、第2の態様は、前記自動調整部は、前記環境計測部により計測された光環境を参照しながら、前記作業に対する一定の光環境となるよう前記調光部により調整される照明光の明度及び前記調色部により調整される照明光の照明色を漸次調整することを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の態様に係る照明装置であって、第3の態様は、前記自動調整部は、前記環境計測部により計測された光環境と前記作業に対する一定の光環境との差異に基づいて当該作業に対する一定の光環境となるような前記照明光の明度及び照明色を推定して、当該作業に対して一定の光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整することを特徴とする。
【0010】
本発明の第1乃至第3の何れかの態様に係る照明装置であって、第4の態様は、ユーザを登録するユーザ登録部と、前記ユーザ登録部に登録されたユーザ及び当該ユーザが行う作業に対する光環境を記録する設定記録部と、現在のユーザが前記ユーザ登録部に登録されたユーザかを判別するユーザ判別部とを備え、前記自動調整部は、前記ユーザ判別部により判別されたユーザと前記空間で行われる作業とに基づいて前記設定記録部に記録された光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整することを特徴とする。
【0011】
本発明の第1乃至第3の態様に係る照明装置であって、第5の態様は、前記照明部から発せられた照明光により照明される空間内の対象を登録する対象登録部と、前記対象登録部により登録された対象を入力する対象入力部と、前記対象入力部により入力された対象の光環境を計測する対象情報計測部と、前記対象登録部に登録された対象及び当該対象に対する光環境を記録する設定記録部とを備え、前記自動調整部は、前記対象情報計測部により計測された対象の光環境が前記設定記録部により記録された光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整することを特徴とする。
【0012】
本発明の第1乃至第3の態様に係る照明装置であって、第6の態様は、ユーザによる光環境の入力位置を計測する入力位置計測部と、前記入力位置計測部により計測される入力位置と当該入力位置に対する光環境とを記録する設定記録部とを備え、前記自動調整部は、前記入力位置計測部により計測された入力位置に応じて、当該入力位置に対応した前記設定記録部により記録された光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、照明部から発せられる照明光により照明される空間の光環境が当該空間で行われる作業に対して一定の光環境となるよう照明光の明度及び照明色を調整するので、ユーザの状況にかかわらずユーザの好みの光環境に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態として示す照明装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態として示す照明装置の動作を示す流れ図である。
【図3】本発明の第2実施形態として示す照明装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態として示す照明装置の動作を示す流れ図である。
【図5】本発明の第3実施形態として示す照明装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3実施形態として示す照明装置の動作を示す流れ図である。
【図7】本発明の第4実施形態として示す照明装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4実施形態として示す照明装置の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
[第1実施形態]
本発明を適用した第1実施形態として示す照明装置1は、例えば図1に示すように構成される。この照明装置1は、照明部11、調光部12、調色部13、室内環境計測部14、自動調整部15を含む。この照明装置1は、例えば室内に設けられる。照明装置1は、設置された室内の光環境を自動的に調整する。この自動的に調整するとは、室内のユーザの操作によらずに照明部11から発せられる照明光の明るさ(照度)及び色合い(照明色)を調整することである。
【0017】
照明部11は、一又は複数の照明器具からなる。この照明部11は、後述するように自動的に照明光の明るさ及び色合いが調整される。
【0018】
調光部12は、照明部11から発せられる照明光の明るさ(照度)を調整する。調色部13は、照明部11から発せられる照明光の色合いを調整する。
【0019】
室内環境計測部14は、室内環境としての光環境を計測する。この光環境は、室内における照度、色合いである。
【0020】
自動調整部15は、室内環境計測部14により計測された光環境に基づいて、調光部12及び調色部13を調整して、照明部11から発せられる照明光の照度及び照明色を制御する。このとき、自動調整部15は、室内環境計測部14により計測された光環境が当該空間で行われる作業に対して一定の光環境(一定の品質)となるよう調光部12及び調色部13を調整する。
【0021】
自動調整部15は、ユーザが行う作業と、当該作業に対する照明部11から発せられる照明光の照度及び色合い(照明色)とを対応付けて記憶している。自動調整部15は、ユーザが行う作業を検出した場合に、当該作業に対する光環境となるように調光部12及び調色部13を制御する。これにより、自動調整部15は、作業に対して一定の光環境となるよう調整する。
【0022】
このとき、自動調整部15は、室内環境計測部14により計測された光環境を参照しながら、作業に対する一定の光環境となるよう調光部12により調整される照度及び調色部13により調整される色合いを漸次調整できる。例えば、パーソナルコンピュータを操作する作業時において、例えばPCデスク上の照度を「3」にする必要がある場合を想定する。先ず、自動調整部15は、照明部11から発せられる照明光の照度を調整し、この状態で、室内環境計測部14は、PCデスクを含む空間の照度を計測する。自動調整部15は、室内環境計測部14の光環境の計測結果に対して照度が「3」となるまで、漸次、照明部11から発せられる照明光の明るさ及び色合いを調整する。このような漸次的に照明部11から発せられる照明光の明るさ及び色合いを変更する手法は、ユーザの見え方(明るさ、色合い)から光環境が大きくずれる可能性が低いという利点がある。一方、光環境を計測しながら調整する必要があり、一定の光環境とするために時間を要することもある。
【0023】
また、他の調整方法としては、自動調整部15は、作業に対する光環境とするための照明部11から発せられる照明光の明るさ及び色合いを推定しても良い。このとき、自動調整部15は、室内環境計測部14により計測された光環境と作業に対する一定の光環境との差異を検出する。そして、自動調整部15は、当該作業に対する一定の光環境となるような照明部11から発せられる照明光の照度及び色合いを推定する。これにより、自動調整部15は、当該作業に対して一定の光環境となるよう調光部12及び調色部13を調整できる。例えば、パーソナルコンピュータを操作する作業時において、例えばPCデスク上の照度を「3」にする必要がある場合を想定する。先ず、自動調整部15は、室内環境計測部14により測定された光環境と作業に対する一定の光環境との差異を求め、この差異が無くなるようPCデスクを含む空間の照度を推定する。自動調整部15は、推定した照度となるよう照明部11から発せられる照明光の明るさ及び色合いを調整する。このような照明部11から発せられる照明光の明るさ及び色合いを推定する手法は、作業に対して一定の光環境を短時間で実現できる。一方、照明部11から発せられる照明光の明るさ及び色合いの推定がずれた場合に、一定の光環境とはならないことがある。例えば、照明部11によって明るさを変動しても部屋の光環境への変化量が小さい場合、又は、実際の光環境の変動度合いが大きすぎる場合などには、一定の光環境にはならない可能性がある。
【0024】
このような照明装置1は、例えば図2に示すように、先ず、室内における作業を選択しておく(ステップS1)。また、照明装置1は、選択された作業における調光情報(明るさ)、調色情報(色合い)、当該作業に対応した一定の光環境情報を記憶する(ステップS2〜ステップS4)。これらの作業、当該作業に対応した調光情報、調色情報、光環境情報は、図示しないユーザデータベースに登録される。例えば、ユーザの作業時において当該ユーザによって設定された照明部11から発せられる照明光の照度及び色合いを室内環境計測部14によって計測して記録しておく。このユーザデータベースは、ユーザが任意の作業を行う時におけるユーザの好みとする光環境が登録された情報となる。
【0025】
自動調整部15は、空間における光環境の調整時において、ユーザデータベースを参照する(ステップS5)。その後、自動調整部15は、室内環境計測部14により計測されている室内の光環境(明るさ、色合い)を取得する。自動調整部15は、光環境が計測されると、調光部12及び調色部13を動作させて、当該計測された光環境が作業に対して一定の光環境となるように調光部12及び調色部13を調整する。
【0026】
以上のように、第1実施形態として示した照明装置1によれば、任意のユーザが任意の作業に対して設定した光環境(明るさ、色合い)を登録しておき、当該作業時には、一定の光環境となるように調光部12及び調色部13を調整する。これにより、この照明装置1によれば、よりユーザの好みによって光環境を調整できる。具体的には、時間(朝、昼、夜)や季節によって異なる窓から差し込む光といった外光の影響に拘わらず、一定の光環境に調整できる。
【0027】
また、この照明装置1によれば、作業としてユーザの気分などを入力して、当該気分であるときの光環境を再現できるようにしてもよい。例えば、リラックスしたいときの室内の光環境を記録して、再現できるようにしてもよい。この場合、室内環境計測部14は、ユーザの気分を判断する構成として、ユーザによる気分の入力操作や、生活リズム(おもに時間)、生体センサ(呼吸数、脈拍、瞳孔の状態など)を用いてもよい。特に、ユーザの瞳孔状態をカメラ等によって撮影することによって、一定の瞳孔状態となるよう空間の光環境(明るさ及び色合い)を設定してもよい。
【0028】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る照明装置1について説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0029】
本発明の第2実施形態として示す照明装置1は、例えば図3に示すように、第1実施形態における照明装置1に加えて、ユーザ登録部16、ユーザ設定記録部17、ユーザ判別部18を備える。
【0030】
ユーザ登録部16は、ユーザを登録する。このユーザ登録部16は、例えば、図示しない壁面に埋め込まれた表示部及びタッチパネル等からなり、ユーザの操作に応じてユーザ名、ユーザを識別する情報(ユーザ情報)などを登録する。このユーザの登録は、ユーザ名として、1、2の番号や、パパ、ママなどの呼称を用いてもよい。また、ユーザを識別する情報は、顔画像、声信号、指紋情報等が挙げられる。
【0031】
ユーザ設定記録部17は、ユーザ登録部16に登録されたユーザ及び当該ユーザが行う作業に対する光環境を記録する。例えばユーザ登録部16によって登録されたユーザが任意の作業を行うために照明装置1から発せられる照明光の明るさ及び色合いを調整した後に、当該光環境を登録する操作がされる。この場合に、ユーザ設定記録部17は、室内環境計測部14によって計測している光環境(明るさ及び色合い)を記録する。この登録された光環境は、ユーザ及び作業と紐付けられて記憶される。
【0032】
ユーザ判別部18は、照明装置1が備えられた空間に居る現在のユーザがユーザ登録部16に登録されたユーザかを判別する。このユーザ判別部18は、例えば、図示しないボタン操作によりユーザを判別する。ユーザ判別部18は、ユーザ登録部16によってユーザを識別する情報がある場合、顔画像、声信号、指紋信号によってユーザを判別してもよい。
【0033】
自動調整部15は、ユーザ判別部18により判別されたユーザと空間で行われる作業とに基づいてユーザ設定記録部17に記録された光環境となるよう調光部12及び調色部13を調整する。このとき、自動調整部15は、ユーザ判別部18によって判別されたユーザ及びユーザの作業を検索キーとしてユーザ設定記録部17に記憶された光環境を検索することにより、該当する光環境となるように調光部12及び調色部13を調整する。
【0034】
このような照明装置1は、図4に示すように、選択された作業における調光情報(明るさ)、調色情報(色合い)、当該作業に対応した一定の光環境情報と共に、ユーザの設定を記憶する(ステップS2〜ステップS4、ステップS11)。これにより、作業、当該作業に対応した調光情報、調色情報、光環境情報と共に、ユーザ情報は、図示しないユーザデータベースに登録される。そして、照明装置1は、あるユーザが任意の作業を行う場合に、ユーザを判別して光環境を調整する(ステップS7)。
【0035】
この第2実施形態として示した照明装置1によれば、各ユーザによって好みの光環境が異なる場合であっても、各ユーザが行う作業に適した光環境となるよう照明部11を制御できる。したがって、この照明装置1によれば、第1実施形態と同様に、ユーザの好みに応じた一定の光環境に調整できる。
【0036】
なお、この照明装置1は、ユーザの情報としてユーザの年齢や性別をユーザ登録部16に登録し、ユーザ設定記録部17に記憶してよい。この場合、ユーザ判別部18は、ユーザ個人を特定するのではなく、ユーザの年齢や性別を判別してもよい。これにより、家庭内の家族の誰であるかを判断すればよいこととなる。
【0037】
また、この照明装置1は、ユーザの健康管理をサポートする場合に、年齢や性別を登録してもよい。例えば、眼科等で提唱された推奨光環境と好みの光環境とを比較して著しくまぶしがる状態や、周囲が暗い光環境を好むなどがないかを調査する状態とできる。
【0038】
更に、現在のユーザを判別する動作は、ボタンを選択させてユーザ自身に自己申告させてもよく、センサ(体重、身長)とユーザとの紐付けや、カメラによる画像解析や声などの生体認証を用いてもよい。
【0039】
更に、複数ユーザが同時に同じ部屋で作業する場合には、何れかのユーザについて登録された光環境となるようにしてもよい。例えば、複数ユーザのうち最も明るい光環境を好むユーザに合わせてもよく、誰の光環境に合わせるかを設定しておいてもよい。これにより、同一の照明装置1を複数のユーザによって同時に使用可能となる。
【0040】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る照明装置1について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0041】
本発明の第3実施形態として示す照明装置1は、例えば図5に示すように、上述の実施形態における照明装置1に加えて、対象入力部19、対象登録部20、対象情報計測部14bを備える。
【0042】
対象登録部20は、照明部11により照明される空間内の対象を登録する。この空間内の対象としては、PC画面、テレビ画面、新聞、雑誌等が挙げられる。
【0043】
対象入力部19は、対象登録部20により登録された対象を入力する。対象入力部19は、例えば、ボタン、タッチパネル、カメラ等が挙げられる。
【0044】
対象情報計測部14bは、対象入力部19により入力された対象の光環境を計測する。この照明装置1において、室内環境計測部14を14aと標記している。これは、室内環境計測部14aと対象情報計測部14bとが同一の構成であってもよいからである。例えば、室内環境計測部14a及び対象情報計測部14bを一台のカメラ装置で構成してもよい。これにより、室内環境計測部14aは、空間における光環境としての明るさ及び色合いを計測する。一方、対象情報計測部14bは、ユーザが作業を行う対象の画像情報を取得できる。対象情報計測部14bは、計測した画像情報等の対象情報を用いて、当該対象を特定する。例えば、ユーザが作業のために見ている対象がPC画面か、新聞であるかを計測する。
【0045】
このような照明装置1において、ユーザ設定記録部17は、対象登録部20に登録された対象及び当該対象に対する一定の光環境を記録する。このとき、自動調整部15は、ユーザが行っている作業と、当該作業をしているときに設定した光環境と、対象情報計測部14bにより検出した対象情報とをユーザ設定記録部17にデータベースとして記録できる。
【0046】
自動調整部15は、対象情報計測部14bにより計測された対象情報(画像情報)を参照して、対象がユーザ設定記録部17により記録された光環境となるよう調光部12及び調色部13を調整する。
【0047】
このような照明装置1は、図6に示すように、選択された作業における調光情報(明るさ)、調色情報(色合い)、当該作業に対応した一定の光環境情報と共に、対象を記憶する(ステップS2〜ステップS4、ステップS12)。これにより、これらの作業、当該作業に対応した調光情報、調色情報、光環境情報と共に、対象情報は、図示しないユーザデータベースに登録される。そして、照明装置1は、あるユーザが任意の作業を行う場合に、ユーザ及び対象を含むデータベースを参照する(ステップS5’)。そして、照明装置1は、室内環境計測部14aによって室内の光環境を計測すると共に(ステップS6b)、対象情報計測部14bによって対象情報の計測を行う(ステップS6a)。これにより、照明装置1の自動調整部15は、計測された室内の光環境を登録された光環境とし、且つ、計測された対象情報を登録された光環境とするように調光部12及び調色部13を調整する(ステップS7)。
【0048】
以上のように、この照明装置1によれば、任意の作業において異なる対象を見ることがある場合であっても、当該対象を見るために一定の光環境を提供することができる。例えば、同じ作業(例えば読書)であっても、ユーザの見る対象(上質紙、新聞)などを予め登録しておくことで、複数の見る対象に応じて、ユーザの好みの光環境を提供することができる。
【0049】
なお、照明装置1において、センサを設けて、ユーザの見る対象の特性(分光反射特性など)を計測して、一定の光環境となるように調光部12及び調色部13を調整してもよい。更に、照明装置1は、対象を計測するために、対象の登録動作をしなくとも、ユーザの指示によって、又は、ユーザの視線方向を解析して、対象を判断して、対象情報を計測してもよい。
【0050】
また、この照明装置1は、以前に登録した対象と新たなに登録する対象とを比較して、照明部11から発せられる照明光の明るさ、色合いを調整したときの変化を用いてもかまわない。
【0051】
更に、照明装置1は、新たな対象を登録するときに、対象情報計測部14bを構成するカメラ装置等の専用の特性計測部に対象を近づけるなどして、正確に対象を計測してもよい。
【0052】
[第4実施形態]
つぎに、第4実施形態に係る照明装置1について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0053】
本発明の第4実施形態として示す照明装置1は、例えば図7に示すように、入力位置計測部14cを備える。入力位置計測部17cは、ユーザによる光環境の入力位置を計測する。この入力位置計測部17cとしては、ユーザ自身で位置を入力する構成、ユーザが保持する電子タグ等の目印になるもの(調光、調色器も含む)から算出する構成、サーモグラフィーなどの生体情報から判断する構成等が挙げられる。
【0054】
この照明装置1は、ユーザ設定記録部17によって、入力位置計測部14cにより計測される入力位置と当該入力位置に対する光環境を記録する。このとき、ユーザ設定記録部17は、実際にユーザが光環境を調整した位置を入力位置計測部14cによって計測し、当該計測された位置と、調整後の光環境とを記録する。これにより、自動調整部15は、あるユーザによって入力位置計測部14cにより計測された入力位置がユーザ設定記録部17により記録された光環境となるよう調光部12及び調色部13を調整できる。
【0055】
このような照明装置1は、図8に示すように、選択された作業における調光情報(明るさ)、調色情報(色合い)、当該作業に対応した一定の光環境情報と共に、宅内位置を記憶する(ステップS2〜ステップS4、ステップS13)。これにより、これらの作業、当該作業に対応した調光情報、調色情報、光環境情報と共に、宅内位置情報は、図示しないユーザデータベースに登録される。そして、照明装置1は、あるユーザが任意の作業を行う場合に、ユーザ及び宅内位置を含むデータベースを参照する(ステップS5)。そして、照明装置1は、室内環境計測部14aによって室内の光環境を計測すると共に(ステップS6b)、入力位置計測部14cによって宅内位置の計測を行う(ステップS6c)。これにより、照明装置1の自動調整部15は、宅内位置に応じて、計測された室内の光環境を登録された光環境とするように調光部12及び調色部13を調整する(ステップS7)。
【0056】
以上のように、この照明装置1によれば、任意の作業を任意の位置で行う場合であっても、当該位置での作業のために一定の光環境を提供することができる。例えば、同じ作業(例えば読書)であっても、ユーザの見る位置(テーブルやベッド)などを予め登録しておくことで、複数の見る位置に応じて、ユーザの好みの光環境を提供することができる。
【0057】
また、この照明装置1は、ユーザが照明装置1に対してどのような位置にいるのか(遠近、上下など)を判断して、当該判断した位置からの見え方(明るさ、色合い)を推定してもよい。これにより、照明装置1は、任意の作業を行う位置が移動しても、当該位置に追従しながら一定の光環境を提供できる。
【0058】
更に、この照明装置1は、ユーザが見ている対象を判断する機能(視線方向や姿勢を計測装置)を設けてもよい。これにより、照明装置1は、ユーザの場所移動と、ユーザの見ている対象との双方に基づいて、光環境を調整する位置を選択できるようにしてもよい。
【0059】
更にまた、この照明装置1は、より正確な位置を計測して光環境を調整するため、宅内の間取りや、宅内における物体の配置、壁面や物体の反射特性などを考慮して、光環境を調整することが望ましい。
【0060】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 照明装置
11 照明部
12 調光部
13 調色部
14、14a 室内環境計測部
14b 対象情報計測部
14c 入力位置計測部
15 自動調整部
20 対象登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明部から発せられる照明光の照度を調整する調光部と、
前記照明部から発せられる照明光の照明色を調整する調色部と、
前記照明部から発せられる照明光により照明される空間の光環境を計測する環境計測部と、
前記環境計測部により計測された光環境が当該空間で行われる作業に対して一定の光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整する自動調整部と
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記自動調整部は、前記環境計測部により計測された光環境を参照しながら、前記作業に対する一定の光環境となるよう前記調光部により調整される照明光の照度及び前記調色部により調整される照明光の照明色を漸次調整することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記自動調整部は、前記環境計測部により計測された光環境と前記作業に対する一定の光環境との差異に基づいて当該作業に対する一定の光環境となるような前記照明光の照度及び照明色を推定して、当該作業に対して一定の光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
ユーザを登録するユーザ登録部と、
前記ユーザ登録部に登録されたユーザ及び当該ユーザが行う作業に対する光環境を記録する設定記録部と、
現在のユーザが前記ユーザ登録部に登録されたユーザかを判別するユーザ判別部とを備え、
前記自動調整部は、前記ユーザ判別部により判別されたユーザと前記空間で行われる作業とに基づいて前記設定記録部に記録された光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記照明部から発せられた照明光により照明される空間内の対象を登録する対象登録部と、
前記対象登録部により登録された対象を入力する対象入力部と、
前記対象入力部により入力された対象の光環境を計測する対象情報計測部と、
前記対象登録部に登録された対象及び当該対象に対する光環境を記録する設定記録部とを備え、
前記自動調整部は、前記対象情報計測部により計測された対象の光環境が前記設定記録部により記録された光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
ユーザによる光環境の入力位置を計測する入力位置計測部と、
前記入力位置計測部により計測される入力位置と当該入力位置に対する光環境とを記録する設定記録部とを備え、
前記自動調整部は、前記入力位置計測部により計測された入力位置に応じて、当該入力位置に対応した前記設定記録部により記録された光環境となるよう前記調光部及び前記調色部を調整すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−41718(P2013−41718A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176977(P2011−176977)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】