説明

熱交換器の樹脂製タンク

【課題】 耐圧強度が高く且つ、軽量な熱交換器の樹脂製タンクの提供。
【解決手段】 小フランジ部2の近傍を除き、タンク本体1の横断面の各部の曲率半径を先端ほど小になる半楕円形部4に形成し、そのタンク本体1の内面に補強リブを設けない構造を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の樹脂製タンクであって、耐圧性が高く且つ軽量化を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジン冷却水冷却用熱交換器は、そのタンクに樹脂製のものを多く使用している。この樹脂製タンクは、ガラス繊維と6-6ナイロンその他を使用し、射出成形により製造される。
その横断面は、図2に示す如くU字状に形成され、その対向平面が平行となる一対の平行部5と、その一対の平行部5間を連結する半円形部8と、平行部5の端部に段付き状に形成された環状の小フランジ部2とを有する。さらに、タンク本体の内面にはその長手方向に定間隔に離間して、リブ7が一体に突設形成されている。
そして全体は、一端開口の細長い箱状に形成され、その小フランジ部がチューブプレート3の周縁部の環状溝にシールリング9を介して嵌着され、そのチューブプレート3の縁部が小フランジ部2にカシメ固定されたものである。そのチューブプレート3には多数のチューブ6が貫通されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−281686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、自動車用熱交換器はその軽量化および材料費の低減等によるコストダウンが強く望まれている。そして、樹脂製タンク本体が比較的高価な樹脂材料を使用するので、軽量化とコストダウンのため薄肉化の傾向にある。
しかしながら、その樹脂製タンク本体の薄肉化により耐圧強度が低下するという新たな問題が生じ、そのため図2に示すようなリブ7を一体に突設していた。しかしながら、そのリブ7自体も軽量化及び材料費の低減に逆行することになる。
そこで本発明は、かかる問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の熱交換器の樹脂製タンクは、一端側が開口された細長い箱状で且つ横断面U字状に形成されたタンク本体(1)と、そのタンク本体(1)の開口縁外面に段付き状に一体に突設された環状の小フランジ部(2)と、を具備し、その小フランジ部(2)の外周がチューブプレート(3)の外周縁に被嵌されて、かしめ固定される熱交換器の樹脂製タンクにおいて、
前記小フランジ部(2)の近傍を除き、タンク本体(1)の横断面は、各部の曲率半径が先端程小になる半楕円形部(4)に形成され、そのタンク本体(1)の内面には補強リブが存在しないように形成されたことを特徴とする熱交換器の樹脂製タンクである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の熱交換器の樹脂製タンクは、小フランジ部2の近傍を除きタンク本体1の横断面は、各部の曲率半径が先端ほど小になる半楕円形部4に形成されているから、耐圧性に優れたものとなる。即ち、半楕円形部4の存在により、内圧が加わってもその対向壁面が外側に開くのを抑制し得る。
また、タンク本体1の内面には補強リブが存在しないから、その分だけ軽量化できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の熱交換器の樹脂製タンクの要部横断面図である。
この樹脂製タンクは、その横断面形状に特徴がある。即ち、図2の従来型タンクと異なる点は、小フランジ部2の近傍を除き、タンク本体1の横断面は各部の曲率半径が先端に行くほど小になる半楕円形部4に形成されている。そしてそのタンク本体1の内面には、補強リブが存在しないものである。なお、その肉厚b,幅aおよび高さdは従来型の樹脂製タンクのそれらg,f,hと同一である。
また、この例においてはタンク本体1と小フランジ部2との付け根部分は、その対向面が互いに平行に形成されている。
【0008】
(作用)
エンジン冷却水冷却用熱交換器は、図示しないプレッシャバルブがタンク本体に設けられ、内部を流通する冷却水を加圧し、冷却水の沸点を高くし熱交換を促進している。そのため加圧された樹脂製タンク内は、その内圧によりタンク本体1の対向面間が広がる方向に圧力が加わる。ところが、本発明の樹脂製タンクは、小フランジ部2の近傍を除きタンク本体1の横断面の各部の曲率半径が、先端ほど小になる半楕円形部4に形成されているため、従来型タンクの図2の半円部8に比べて内圧に対する剛性が強くなる。即ち、タンク本体1の対向平面が内圧によって広がり難くなっている。そして、その内面にはリブが存在しないから、その分だけ軽量化が可能である。
なお、他の構成は図2のそれと同一であるので重複する説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の熱交換器の樹脂製タンクの横断面図。
【図2】従来型熱交換器の樹脂製タンクの横断面図。
【符号の説明】
【0010】
1 タンク本体
2 小フランジ部
3 チューブプレート
4 半楕円形部
5 平行部
6 チューブ
7 リブ
8 半円部
9 シールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が開口された細長い箱状で且つ横断面U字状に形成されたタンク本体(1)と、そのタンク本体(1)の開口縁外面に段付き状に一体に突設された環状の小フランジ部(2)と、を具備し、その小フランジ部(2)の外周がチューブプレート(3)の外周縁に被嵌されて、かしめ固定される熱交換器の樹脂製タンクにおいて、
前記小フランジ部(2)の近傍を除き、タンク本体(1)の横断面は、各部の曲率半径が先端程小になる半楕円形部(4)に形成され、そのタンク本体(1)の内面には補強リブが存在しないように形成されたことを特徴とする熱交換器の樹脂製タンク。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−32164(P2010−32164A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196523(P2008−196523)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)