説明

熱交換器システム

【課題】熱交換器内部における炭酸カルシウムの析出を防止した熱交換器システムを提供する。
【解決手段】熱交換器システムは、高温側のガス流通路15と低温側の液体流通路16を有する熱交換器14と、ガス流通路15の入口側に高温ガスを供給するガス供給路17と、ガス流通路15の出口側から流出する熱交換後の燃焼排ガスを排出するガス排出路18と、液体流通路16の入口側に水道水を供給する液体供給路19と、液体流通路16の出口側から流出する熱交換後の液体を負荷設備に排出する液体排出路20と、前記液体供給路19の水道水に燃焼排ガスを注入する燃焼排ガス注入手段24を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水道水(市水)を熱交換器で熱交換する際に、熱交換器内部に多く析出し易いスケール(CaCO)を効率よく抑制できる熱交換器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラや給湯器等の給湯装置では、都市ガス等の燃料を燃焼し、そのとき発生した熱で水を加熱して温水を生成する。また、近年商品化されているエンジンや燃料電池を用いた家庭用コジェネレーションシステム(以下、コジェネレーションシステムをコージェネシステムと略称する)においては、燃料を発電部に供給し、そのとき副生した熱(燃焼排ガス)で水を加熱して温水を生成する。
【0003】
これらには、燃料燃焼系の熱回収熱交換器システムが配置されるが、ここでは、その一例として、SOFC燃料電池装置の燃焼排ガスの排熱回収を行うコージェネシステムの例を挙げて技術の説明を以下に行う。図3はSOFC燃料電池装置の燃焼排ガスの排熱回収を行うコージェネシステムの例を示すプロセスフロー図である。
【0004】
図3において、1はSOFC燃料電池装置としてのSOFC発電ユニット、2は燃料電池、3は予備改質器、4は蒸発器、5は空気予熱器、6は空気極、7は燃料極、10は給湯ユニット、11は給湯タンク、12は給水ポンプ、13は切換弁、14は熱交換器、15はガス流通路、16は液体流通路、17はガス供給路、18はガス排出路、19は液体供給路、20は液体排出路、21,22,23は給湯タンク11周りの配管である。
【0005】
SOFC発電ユニット1において、燃料電池2から排出する高温の燃焼排ガスは予備改質器(又は改質器)3、蒸発器4および空気予熱器5を順に通過し、それぞれ都市ガス等の燃料ガス、水、空気と熱交換してそれらを加熱し所定温度に昇温する。空気予熱器5で加熱された空気が燃料電池2の空気極に供給され、蒸発器で蒸発した水蒸気は予備改質器3に供給され、そこで改質触媒の存在下で都市ガスと水蒸気が反応して水素を含む改質ガスを生成し、生成した改質ガスが燃料電池2の燃料極7に供給される。
【0006】
SOFC発電ユニット1からユニット外に排出される燃焼排ガスは、ガス供給路17により給湯ユニット10を構成する熱交換器14のガス流通路15の入口側に供給され、ガス流通路15の出口側から排出する熱交換後の燃焼排ガスは、排出路18を経てコージェネシステムの系外に排出される。例えば家庭用のコージェネシステムでは給湯ユニット10に供給される水は水道水(市水)であり、その水道水は配管21から給湯タンク11に供給される。
【0007】
給湯タンク11に貯留される液体(水または温水)の一部は給水ポンプ12を設けた液体供給路を経て熱交換器14における液体流通路16の入口側に供給され、その出口側から排出する熱交換後の水は、液体排出路20を経て負荷設備としての給湯タンク11に排出する。なお給湯タンク11の付帯設備として、図示のような三方切換弁22aが必要に応じて設けられるが、この三方切換弁22aは水道水を給湯タンク11に通さず直接図示しない設備に供給する場合などに操作し使用される。
【0008】
一般にSOFC発電ユニット1から排出される燃焼排ガスの温度は300℃程度の比較的高温の状態で熱交換器14に供給され、そこで水道水と熱交換する。一方、熱交換器14で熱交換されて排出する水道水の温度は通常、75℃〜80℃程度の範囲になる。
【0009】
熱交換器14に供給される水道水中には、通常、スケール成分(硬度成分)が含まれるが、それが温度上昇によりスケール(析出物)となって析出する。析出物は熱交換器14の内部の配管内壁などに付着して、配管詰まりや流量低下、熱伝達率の悪化等を引き起こし、熱交換効率などの低下原因になる。
【0010】
上記のスケール成分としては、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、シリカ(Si)等が存在するが、析出物の中でカルシウム成分に由来する炭酸カルシウム(CaCO)が最も多く、その炭酸カルシウムの析出を出来るだけ防止することが、熱交換器14を長期間安定に且つ高効率で稼働させるために重要な要素となる。
【0011】
炭酸カルシウムの析出の主な原因は、前記のように熱交換器内の水温上昇であるが、メカニズムとしては、水温上昇により水道水中に含まれている二酸化炭素の水への溶解度が低下し、水に溶解していた二酸化炭素が脱気し、その平衡状態が変化することにより起こる。
【0012】
すなわち上記平衡式は「CaCO+CO+HO⇔Ca2++2HCO-」の反応式で示されるが、二酸化炭素(CO)が脱気すると反応が左に進み、炭酸カルシウム(CaCO)が析出する。
【0013】
上記のカルシウム析出問題を解決するため、熱交換器に供給する水にボンベ等から二酸化炭素を供給して注入する方法が特許文献1や特許文献2などに記載されている。これらの方法は二酸化炭素を注入することにより、前記平衡式が右に進行して析出物を生じることを防止して問題を解決しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−78239号公報
【特許文献2】特開2010−223525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし前記の従来技術においては、特別に用意した二酸化炭素ボンベ等から二酸化炭素を供給するので、例えば家庭用のコージェネシステムのように、高圧設備の取り扱いにおける安全性やスペース制約などからボンベを設置することが困難な場合は、その適用が困難であり、併せて稼働コストも高くなるという問題がある。そこで本発明はこのような問題の解決を課題とし、ボンベ等の二酸化炭素源を使用する必要のない熱交換器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決する本発明の熱交換器システムは、高温側のガス流通路と低温側の液体流通路を有する熱交換器と、ガス流通路の入口側に高温ガスを供給するガス供給路と、ガス流通路の出口側から流出する熱交換後のガスを排出するガス排出路と、液体流通路の入口側に水道水を供給する液体供給路と、液体流通路の出口側から流出する熱交換後の液体(水道水)を負荷設備に排出する液体排出路と、前記液体供給路の水道水に燃焼排ガスを注入する燃焼排ガス注入手段を備えた熱交換システムである。そして、前記ガス供給路に燃焼系から排出するCOを含む燃焼排ガスが供給され、前記燃焼排ガス注入手段に前記ガス排出路を流通する熱交換後の燃焼排ガスを注入するガス注入路が連通され、前記液体排出路に気液分離手段が設けられ、該気液分離手段で熱交換後の液体に含まれているガスを分離するように構成されている(請求項1)。
【0017】
上記熱交換システムにおいて、前記燃焼排ガス注入手段はエジェクター方式で燃焼ガスを水道水中に注入するように構成されているものを使用することができる(請求項2)。
【0018】
上記熱交換システムにおいて、前記燃焼排ガス注入手段には、マイクロバブル発生器を配置することができる(請求項3)。
【発明の効果】
【0019】
本発明の熱交換システムは、請求項1に記載のように、前記ガス供給路に燃焼系から排出するCOを含む燃焼排ガスを供給し、前記燃焼排ガス注入手段に前記ガス排出路を流通する熱交換後の燃焼排ガスを注入するガス注入路を連通し、前記液体排出路に気液分離手段を設け、該気液分離手段で熱交換後の液体に含まれているガスを分離するように構成している。このように二酸化炭素源として熱交換器で熱交換した後の燃焼系の燃焼排ガスを利用すると、従来のように特別な二酸化炭素ボンベ等を用意する必要がなく、稼働コストも抑制される。そして液体に混入したガス成分は気液分離手段で分離・除去されるので、給湯システム等に影響を及ぼすこともない。
【0020】
上記熱交換システムにおいて、請求項2に記載のように、前記燃焼排ガス注入手段はエジェクター方式で燃焼ガスを水道水中に注入するように構成したものを使用することができる。このようなエジェクター方式を採用すると、燃焼排ガス経路に特別なガス移送動力を設ける必要がない。
【0021】
上記熱交換システムにおいて、請求項3に記載のように、前記燃焼排ガス注入手段には、マイクロバブル発生器が配置されることで、燃焼排ガスをマイクロバブルにして注入することができる。COがリッチな燃焼排ガスをマイクロバブルとすることで、気液の接触面積が広げられると共に、水の表面張力によって気泡内部の圧力が大気圧より高くなり、COの水への溶解度を向上させることができ、水への二酸化炭素の溶解速度を速めることができる。
【0022】
またマイクロバブルは、マイクロバブル同士が反発しやすいため結合しづらく、マイクロバブル同士の結合による大きな気泡の形成が生じにくい。したがって、上記構成の如く燃焼排ガスをマイクロバブルとすることでCOの水への分散性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の熱交換システムのプロセスフロー図。
【図2】図1に示す熱交換器14とその周辺機器を拡大してしますプロセスフロー図。
【図3】従来のコージェネシステムの1例を示すプロセスフロー図。
【図4】水へのCO溶解度に対する温度の影響を示すグラフ。
【図5】各温度における気泡径と気泡内圧の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に図面に基づいて本発明の最良の実施形態を説明する。
図1は本発明の熱交換器システムを利用したコージェネシステムの例を示すプロセスフロー図であり、図2は図1に示す熱交換器14部分とその周辺機器の拡大図である。
これらの図において、前記図3と同じ部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
図1において、SOFC発電ユニット1から排出する燃焼排ガスは、配管で構成したガス供給路17を経て熱交換器14に供給される。熱交換器14から排出する熱交換後の燃焼排ガスは配管で構成したガス排出路18から排出される。
【0026】
一方、給湯ユニット10の給湯タンク11の下部は配管21から水道水が補給され、給湯タンク11に貯留する水道水(又は温水)の一部が配管及び給水ポンプ12で構成した液体供給路19から熱交換器14に供給され、熱交換後の液体(水道水)は熱交換器14から配管で構成した液体排出路20から排出する。燃焼排ガス注入手段24が液体供給路19に設けられる。燃焼排ガス注入手段24は熱交換器14に供給される水道水に二酸化炭素を含む燃焼排ガスを細かい(もしくは微細な)バブルとして均一に分散注入するもので、CO注入のための燃焼排ガスはガス排出路18に連通する配管で構成したガス注入路25から供給される。
【0027】
前記のように、熱交換器14から排出する液体は液体排出路20に流出するが、この液体排出路20の途中には気液分離手段30が設けられ、そこで液体に混入した気体(ガス)成分が分離される。気液分離手段30はこの分野で一般に使用されている遠心分離型、フィルタ型等を利用できる。気体分離後の液体は気液分離手段30の出口側の液体排出路20を経て、熱交換器14の負荷設備としての給湯タンク11の上部に戻される。
【0028】
一方、気液分離手段30で分離された気体は、配管で構成した気体放出路31から流出するが、その気体放出路31の先端部が前記ガス排出路18に連通しており、そのガス排出路18を経て熱交換後の燃焼排ガスと共にシステムの系外に放出される。
【0029】
図2において、熱交換器14には前記のようにガス流通路15と液体流通路16が設けられるが、ガス流通路15の入口側15aにガス供給路17が連通すると共に出口側15bにガス排出路18が連通し、液体流通路16の入口側16aに燃焼排ガス注入手段24の下流側の液体供給路19が連通すると共に出口側16bにガス排出路20が連通する。
【0030】
熱交換器14はケーシング内に高温側のガス流通路15と低温側の液体流通路16を有する。ガス流通路15または液体流通路16の少なくとも一方は断面が円形又は楕円形の金属チューブで構成される。例えば液体流通路16がチューブで形成される場合、該チューブの外側空間がガス流通路15を形成し、両流通路は互いにチューブの金属壁で隔離され、その金属壁を通して燃焼排ガスと水道水は間接接触により互いの熱交換が行われる。逆にガス流通路15をチューブで形成し、その外側空間を液体流通路16とすることもできる。
【0031】
本実施例における燃焼排ガス注入手段24は、図2に示すようなエジェクター26とマイクロバブル発生器27で構成される。ガス注入路25から供給される燃焼排ガスはエジェクター26により吸引され、マイクロバブル発生器27に導入される。マイクロバブル発生器27は、燃焼排ガス注入手段24の上流側に配置した給水ポンプ12の吐出圧を利用した旋廻流式、ベンチュリー式スタティックミキサー式が、小型及び簡易構造により好ましい。
【0032】
次に、上記の様に構成した本実施形態において、本発明にかかる熱交換器の水側におけるスケール析出防止方法の形態について説明する。
【0033】
(スケールの析出機構)
スケール成分としてはカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、シリカ(Si)等があるが、中でもカルシウムが最も多く水道水に含まれている。スケールとしての炭酸カルシウムの析出は、水中のCOと密接な関係がある。
【0034】
図4は、水中でのCO濃度の温度依存性を説明する図(グラフ)である。図4では、水道水へのCO溶解度(モル分率×10の6乗)を示しているが、ここでは、一般の大気中のCO濃度0.04%より、算出したものである。
【0035】
図4中の前記水道水へのCO溶解度は、水温の上昇に伴い、水中でのCO濃度(溶存CO濃度)が低下している。このことから、水の加熱により水温が上昇することで、水に溶解していた溶存COの脱気が生じることを理解できる。例えば図4中に図示した矢印は、水温が20℃から80℃に上昇した場合に溶解しきれなくなり、脱気するCO量を示すことになる。
【0036】
このように、COの脱気が生じると、
「CaCO+CO+HO⇔Ca(HCO」の反応式で示される平衡状態がずれ、逆反応の進行が促進されるため、炭酸カルシウムの析出が加速してしまう。したがって、水側への熱移動が伴う熱回収式の熱交換器14においては、液体流通路入口側16a側から出口側16bに向かってCOが脱気しやすく、前記平衡状態のずれが生じ、特に、水温80℃近くまで加熱される出口側16b付近では、炭酸カルシウムの析出が生じてしまうことが明らかである。
【0037】
そこで本実施例では、図1で示したSOFC発電ユニット1から排出する燃焼排ガスをガス流通路17及び、燃焼ガス注入手段24を介して、液体流通路入口側16aに注入する構成をとるが、一般的なSOFC発電ユニットの燃焼排ガス中のCO含有量は約5%程度であり、大気中の平均的なCO濃度0.04%に比べて、極めてCOリッチなガスになっている。
【0038】
更に、前記燃焼排ガスは、前記燃焼ガス注入手段24に配置されたマイクロバブル発生器27を通過するので、液体流通路入口側16a中の水道水中には、マイクロバブルの形態で注入される。このとき、マイクロバブルはその気泡の表面張力により気泡の半径に反比例して気泡内の圧力が上昇するので、気泡内部の圧力が圧力容器や圧縮機を用いることなく水圧よりも高くなり、水への溶解度を向上させることが可能となる。
【0039】
図5に各温度における気泡径と気泡内圧の関係のグラフを示す。図5に示すように、気泡径が10μmより小さくなると、その気泡内圧は極めて大きくなることが明らかである。上記の燃焼排ガス中の高いCO濃度と、マイクロバブルによる気泡内圧上昇効果により、熱交換器14の液体流通路16中の水道水に注入された燃焼排ガスマイクロバブルの気液境界液側近傍では、COの高い溶解度を実現することができる。
【0040】
図4中には、SOFC燃焼排ガスの各気泡径における気泡からの溶解度(気液境界液側近傍)データを追記してある。このデータからも分かるように、温度80℃においても、燃焼排ガスの気泡近傍においては、極めて高いCOの溶解度が生じていることが明らかである。
【0041】
更には、燃焼排ガスをマイクロバブルとすることで、マイクロバブル同士の反発性を利用することができ、燃焼排ガス中のCOの水への分散性を向上することが可能となる。これにより、液体流通路16内の水の流れに乗りマイクロバブルが前記液体流通路16の熱交換面にも効率的に運搬されるため、水中でのCOの存在分布を均一化することができる。更にマイクロバブルは微細な気泡であるため、COの気泡の表面積を増大させることができる。したがって、COの水への溶解度を更に向上することが可能となる。
【0042】
更に、燃焼排ガス注入手段24によるCOのマイクロバブルの注入量を、水におけるCOの飽和溶解度を超える量とすることにより、溶解しなかったマイクロバブルが残存した水と2相流として熱交換器14内を通過する。これにより、加熱によりCOが脱気しやすい伝熱面付近等において、かかる脱気により水にCOの濃度分布の差が発生したとしても、マイクロバブルが速やかに溶解するため、水中のCOの希濃度域の発生を低減し、スケールの発生を抑制することができる。
【0043】
以上の作用をまとめると、液体流通路16中の水道水中において、燃焼排ガスマイクロバブル注入により、前記マイクロバブル近傍に高いCO溶解度を実現できる。なお、マイクロバブルから離れるに従い、バルク条件溶解度に従ったCO脱気が生じるものの、前記マイクロバブルの高い分散性により、水中のCOの存在分布を均一且つ、バルク条件以上の溶解度を実現することができる。
【0044】
(実験例)
図1に示すシステムにより、熱交換器14内部における炭酸カルシウム(CaCO)析出についての確認実験を行った。熱交換器14はケーシング内の液体流通路16として長さ0.15m、断面0.05cmの円形配管10本で構成し、その外側空間をガス流通路15としたものを使用した。
【0045】
熱交換器14の液体流通路16に、カルシウム含有比率が平均20ppm(高硬度水道水相当を模擬)で平均温度20℃の水道水を流量2L/minで連続流通させ、一方、ガス流通路入口側15aには、温度300℃の燃焼排ガス模擬ガス(5%CO)を供給し、液体流通路出口側16bの液温が、80℃を成立するように、前記燃焼排ガス模擬ガス流量を調整した。
【0046】
更に、燃焼排ガス注入手段24に燃焼排ガスを流量20cc/min(ボイド率1%)で連続供給した。このとき、燃焼排ガス注入手段24に配置したマイクロバブル発生器27により、燃焼排ガスは、数10μm径マイクロバブルとして液体流通路入口側16aに注入された。3カ月間の連続実験後に熱交換器14を分解し、その内部を検査した。その結果、熱交換器の液体流通路16の配管内部における炭酸カルシウム(CaCO)の析出はほとんど見当たらず、かなりの長期間運転に差し支えない程度であることが確認された。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例(態様)について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかでああり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の熱交換システムは、燃料燃焼系により排出される高温燃焼排ガスから熱を回収し湯水を生成する給湯システムに配置される熱回収用ガス/液熱交換器システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 SOFC発電ユニット
2 燃料電池
3 予備改質器
4 蒸発器
5 空気予熱器
6 空気極
7 燃料極
【0050】
10 給湯ユニット
11 給湯タンク
12 給水ポンプ
13 切換弁
14 熱交換器
15 ガス流通路
15a入口側
15b出口側
16 液体流通路
16a入口側
16b出口側
17 ガス供給路
18 ガス排出路
19 液体供給路
【0051】
20 液体排出路
21,22,23 給湯タンク11周りの配管
24 CO注入手段
25 ガス注入路
26 エジェクター
27 マイクロバブル発生器
30 気液分離手段
31 気体放出路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温側のガス流通路15と低温側の液体流通路16を有する熱交換器14と、ガス流通路15の入口側15aに高温ガスを供給するガス供給路17と、ガス流通路15の出口側15bから流出する熱交換後のガスを排出するガス排出路18と、液体流通路16の入口側16aに水道水を供給する液体供給路19と、液体流通路16の出口側16bから流出する熱交換後の液体を負荷設備に排出する液体排出路20と、前記液体供給路19の水道水に燃焼排ガスを注入する燃焼排ガス注入手段24を備えた熱交換器システムであって、
前記ガス供給路17に燃焼系から排出するCOを含む燃焼排ガスが供給され、前記燃焼排ガス注入手段24に前記ガス排出路18を流通する熱交換後の燃焼排ガスを注入するガス注入路25が連通され、前記液体排出路20に気液分離手段30が設けられ、該気液分離手段30で熱交換後の液体に含まれているガスを分離するように構成されていることを特徴とする熱交換器システム。
【請求項2】
請求項1において、前記燃焼排ガス注入手段24はエジェクター方式で燃焼ガスを水道水中に注入するように構成されていることを特徴とする熱交換器システム。
【請求項3】
請求項2において、前記燃焼排ガス注入手段24には、マイクロバブル発生器27が配置されていることを特徴とする熱交換器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−251687(P2012−251687A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123359(P2011−123359)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)
【Fターム(参考)】