説明

熱交換器

【課題】受液器の冷媒流入口と冷媒流出口との間の短絡防止効果の低下を抑制しうる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器の左タンク2に取り付けられた受液器7内に乾燥剤ユニット10を配置する。受液器7は、円筒状本体26と本体26の上端開口内にねじ嵌められたプラグ28と有する。受液器7に冷媒流入口32および冷媒流出口33を前者が上方に位置するように形成し、本体26の周壁における両口32,33間の高さ位置に内方に突出した環状部分49を設ける。乾燥剤ユニット10は環状部分49とプラグ28との間に配される上側フレーム部分51を有している。環状部分49の上面および上側フレーム部分51の下端面をシール面65,66とし、両シール面65,66間にOリング64を配置する。上側フレーム部分51をプラグ28により下方に押圧することにより、両シール面65,66間をOリング64によりシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえばカーエアコンを構成する冷凍サイクルに用いられる熱交換器に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図1の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、車体への組み付け性の向上や、設置スペースの節約を図ること、および冷凍サイクルの冷凍能力の向上を図ることを目的として、カーエアコンを構成する冷凍サイクルの熱交換器として、たとえば互いに間隔をおいて配置された上下方向にのびる1対のタンクと、両タンク間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置されかつ両端部が両タンクにそれぞれ接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されたフィンと、いずれか一方のタンクに取り付けられた上下方向にのびる受液器と、受液器内に配置されかつ乾燥剤を有する乾燥剤ユニットとを備えており、両タンクがそれぞれ同一高さ位置に設けられた仕切壁によりタンクの長さ方向に2つのヘッダに区画され、両仕切壁よりも上側の部分にコンデンサとしての機能を有する凝縮部が設けられるとともに、両仕切壁よりも下側の部分に過冷却器としての機能を有する過冷却部が設けられ、受液器が、上下方向にのびかつ少なくとも上端が開口した円筒状本体、および円筒状本体の両端開口を閉鎖する閉鎖部材とを備えており、受液器の円筒状本体の周壁に、タンクにおける凝縮部のヘッダから受液器内に冷媒を送り込む冷媒流入口および受液器からタンクにおける過冷却部のヘッダに冷媒を送り出す冷媒流出口が、前者が上方に位置するように形成され、乾燥剤ユニットが、上下両端が閉鎖された円筒状であり、かつ冷媒流入口の上方から冷媒流出口の下方までのびるフレームと、フレームの周壁に形成された複数の貫通穴と、フレームの周壁に固定されかつ貫通穴を塞ぐメッシュと、フレーム内に充填された乾燥剤とよりなり、フレームの冷媒流入口と冷媒流出口との間の高さ位置において、フレームの周壁に、外周縁部が受液器の円筒状本体の内周面に当接する外向きフランジが一体に形成され、当該外向きフランジによって冷媒流入口と冷媒流出口との間の短絡が防止されている熱交換器が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、特許文献1記載の熱交換器においては、乾燥剤ユニットの外向きフランジによる冷媒流入口と冷媒流出口との間の短絡防止効果が十分ではないので、外向きフランジの外周面に環状溝を形成するとともに、環状溝内にOリングを配置し、Oリングにより外向きフランジと受液器の円筒状本体の内周面との間をシールすることが考えられている。
【0005】
しかしながら、この場合、乾燥剤ユニットを受液器の円筒状本体内に挿入する際に、Oリングにおける円筒状本体の内周面に対して擦れる距離が長くなり、Oリングが延びたり、傷付いたりし、その結果受液器の冷媒流入口と冷媒流出口との間の短絡防止効果が低下するという問題がある。
【特許文献1】特開2005−305501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、受液器の冷媒流入口と冷媒流出口との間の短絡防止効果の低下を抑制しうる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)互いに間隔をおいて配置された上下方向にのびる1対のタンクと、両タンク間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置されかつ両端部が両タンクにそれぞれ接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されたフィンと、いずれか一方のタンクに取り付けられた受液器と、受液器内に配置されかつ乾燥剤を有する乾燥剤ユニットとを備えており、受液器が、上下方向にのびかつ少なくとも一端が開口した筒状本体、および筒状本体の開口端部に取り付けられたプラグとを有し、受液器に、タンクから受液器内に冷媒を送り込む冷媒流入口および受液器からタンクに冷媒を送り出す冷媒流出口が、前者が上方に位置するように形成された熱交換器において、
受液器の筒状本体の周壁における冷媒流入口と冷媒流出口との間の高さ位置に内方に突出した環状部分が設けられ、乾燥剤ユニットが環状部分とプラグとの間に配されるフレーム部分を有しており、環状部分のプラグ側を向いた面およびフレーム部分の環状部分側を向いた面がそれぞれシール面となされるとともに両シール面間にシール部材が配置され、乾燥剤ユニットのフレーム部分がプラグにより環状部分側に押圧されることにより、環状部分のシール面とフレーム部分のシール面との間がシール部材によりシールされている熱交換器。
【0009】
2)シール部材が、Oリングからなる上記1)記載の熱交換器。
【0010】
3)シール部材が、乾燥剤ユニットのフレーム部分に一体に形成されている上記1)記載の熱交換器。
【0011】
4)乾燥剤ユニットのフレーム部分が合成樹脂からなり、シール部材がフレーム部分に一体に形成されかつ環状部分に向かって外方に拡がったスカート状部分からなる上記3)記載の熱交換器。
【0012】
5)プラグおよび乾燥剤ユニットのフレーム部分の端部のうちいずれか一方に、奥に向かって小径となったテーパ穴が形成され、同他方に、先端に向かって小径となりかつテーパ穴に嵌る合成樹脂製のテーパ部が形成され、テーパ部のテーパ角度がテーパ穴のテーパ角度よりも大きくなっている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0013】
6)プラグにテーパ穴が形成され、乾燥剤ユニットのフレーム部分にテーパ部が形成されている上記5)記載の熱交換器。
【0014】
7)受液器の筒状本体の周壁における冷媒流入口と冷媒流出口との間の部分の高さ位置において、受液器の筒状本体に仕切板が固定され、仕切板の中央部に貫通穴が形成されるとともに、仕切板における貫通穴の周囲の部分が管状部分となされている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0015】
8)乾燥剤ユニットに、ストレーナが一体に形成されている上記1)〜7)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0016】
9)両タンクが、それぞれ同一高さ位置において仕切壁により上下方向に並んだ2つのヘッダに区画されており、両仕切壁よりも上側の部分にコンデンサとしての機能を有する凝縮部が設けられ、同じく両仕切壁よりも下側の部分に過冷却器としての機能を有する過冷却部が設けられ、凝縮部の受液器が取り付けられたタンク側のヘッダから流出した冷媒が冷媒流入口を通って受液器内に入り、受液器の筒状本体の冷媒流出口から流出した冷媒が、過冷却部の受液器が取り付けられたタンク側のヘッダに流入するようになっている上記1)〜8)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0017】
上記1)〜4)の熱交換器によれば、受液器の筒状本体の周壁における冷媒流入口と冷媒流出口との間の高さ位置に内方に突出した環状部分が設けられ、乾燥剤ユニットが環状部分とプラグとの間に配されるフレーム部分を有しており、環状部分のプラグ側を向いた面およびフレーム部分の環状部分側を向いた面がそれぞれシール面となされるとともに両シール面間にシール部材が配置され、乾燥剤ユニットのフレーム部分がプラグにより環状部分側に押圧されることにより、環状部分のシール面とフレーム部分のシール面との間がシール部材によりシールされているので、乾燥剤ユニットを受液器の筒状本体内に挿入する際に、シール部材が円筒状本体の内周面に対して擦れることがなくなる。したがって、シール部材が延びたり、傷付いたりすることに起因する受液器の冷媒流入口と冷媒流出口との間の短絡防止効果の低下が抑制される。
【0018】
上記5)および6)の熱交換器によれば、乾燥剤ユニットのフレーム部分、受液器の筒状本体、プラグなどに若干の寸法誤差が生じていたとしても、乾燥剤ユニットのフレーム部分を、プラグにより確実に環状部分側に押圧することができる。したがって、環状部分のシール面とフレーム部分のシール面との間のシール部材によるシール性の低下が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
この実施形態は、この発明による熱交換器を、コンデンサの機能を有する凝縮部と、過冷却器の機能を有する過冷却部とが一体化された熱交換器に適用したものである。
【0021】
以下の説明において、図1の左右を左右というものとし、図1の紙面表側を前、これと反対側を後というものとする。また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0022】
なお、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0023】
この実施形態は図1〜図3に示すものである。
【0024】
図1は熱交換器の全体構成を示し、図2および図3はその要部の構成を示す。
【0025】
図1において、熱交換器(1)は、互いに間隔をおいて配置された上下方向にのびる左右1対のアルミニウム製タンク(2)(3)と、両タンク(2)(3)間に幅方向を前後方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置され、かつ左右両端部が両タンク(2)(3)にそれぞれ接続された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(4)と、隣り合う熱交換管(4)間および上下両端の熱交換管(4)の外側に配置されて熱交換管(4)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(5)と、上下両端のコルゲートフィン(5)の外側に配置されてコルゲートフィン(5)にろう付された上下1対のアルミニウム製サイドプレート(6)と、左タンク(2)に取付部材(8)を介して固定された受液器(7)と、受液器(7)内に配置された乾燥剤ユニット(10)とを備えている。
【0026】
熱交換器(1)の両タンク(2)(3)内は、下部の同一高さ位置においてそれぞれ仕切壁(9)(11)により上下に区画されており、これにより気相の冷媒を凝縮させて液相とするコンデンサの機能を有する凝縮部(12)と、凝縮部(12)で凝縮された液状冷媒を凝縮温度よりも5〜15℃程度低い温度まで過冷却する過冷却器の機能を有する過冷却部(13)とが同一垂直面内において上下に並んで一体に設けられている。
【0027】
ここで、左タンク(2)における仕切壁(9)よりも上方の部分が凝縮部(12)の左ヘッダ(14)であり、右タンク(3)における仕切壁(11)よりも上方の部分が凝縮部(12)の右ヘッダ(15)である。また、左タンク(2)における仕切壁(9)よりも下方の部分が過冷却部(13)の左ヘッダ(16)であり、右タンク(3)における仕切壁(11)よりも下方の部分が過冷却部(13)の右ヘッダ(17)である。
【0028】
凝縮部(12)の右ヘッダ(15)は、上下方向の中程の高さ位置に設けられた通路群形成用のアルミニウム製第1仕切板(18)により上ヘッダ部(15a)と下ヘッダ部(15b)とに区画されており、左ヘッダ(14)は第1仕切板(18)よりも下方の高さ位置に設けられた通路群形成用のアルミニウム製第2仕切板(19)により上ヘッダ部(14a)と下ヘッダ部(14b)とに区画されている。そして、凝縮部(12)に、第1仕切板(18)よりも上方の部分、両仕切板(18)(19)間の部分および第2仕切板(19)よりも下方の部分において、それぞれ上下に連続して並んだ熱交換管(4)からなる通路群(21)(22)(23)が設けられている。各通路群(21)(22)(23)を構成する熱交換管(4)の本数は、上から順次減少している。また、各通路群(21)(22)(23)を構成する全ての熱交換管(4)における冷媒の流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの通路群(21)(22)および(22)(23)の熱交換管(4)における冷媒の流れ方向が異なっている。
【0029】
凝縮部(12)の右ヘッダ(15)の上ヘッダ部(15a)の上端部に、図示しない冷媒入口に通じるアルミニウム製冷媒入口部材(24)がろう付され、過冷却部(13)の右ヘッダ(17)に、図示しない冷媒出口に通じるアルミニウム製冷媒出口部材(25)がろう付されている。
【0030】
受液器(7)は、上下両端が開口した円筒状本体(26)と、円筒状本体(26)の下端部にろう付されて下端開口を閉鎖するアルミニウム製下キャップ(27)と、円筒状本体(26)の上端開口内にねじ嵌められて上端開口を閉鎖する合成樹脂製の円柱状プラグ(28)とを備えている。円筒状本体(26)は、横断面円形のアルミニウム製パイプ(30)と、パイプ(30)の上端部にろう付され、かつ内周面が円筒面状となされたアルミニウム製段付き円筒状めねじ部品(31)とよりなる。
【0031】
図2および図3に示すように、円筒状本体(26)のパイプ(30)の周壁の下部には、冷媒流入口(32)および冷媒流出口(33)が、前者が上方に位置するように形成されている。冷媒流入口(32)は、取付部材(8)に形成された冷媒流入路(34)を介して凝縮部(12)の左ヘッダ(14)の下ヘッダ部(14b)に形成された冷媒出口(35)に通じさせられ、冷媒流出口(33)は、取付部材(8)に形成された冷媒流出路(36)を介して過冷却部(13)の左ヘッダ(16)に形成された冷媒入口(37)に通じさせられている。パイプ(30)における冷媒流入口(32)と冷媒流出口(33)との間の高さ位置には、パイプ(30)内を上下に区画するアルミニウム製仕切板(46)が設けられている。仕切板(46)は、パイプ(30)の周壁に形成されたスリット(47)を通して外部からパイプ(30)内に挿入され、パイプ(30)にろう付されている。仕切板(46)にはその外周縁部を除いた大部分に貫通穴(48)が形成されており、仕切板(46)の周囲の部分が、円筒状本体(26)の周壁における冷媒流入口(32)と冷媒流出口(33)との間に設けられ、かつ内方に突出した環状部分(49)となっている。
【0032】
パイプ(30)の上端部にろう付されためねじ部品(31)の内周面の上部にめねじ(38)が設けられ、めねじ部品(31)の内周面におけるめねじ(38)の下方に連なった部分に円筒面状の雌側シール面(39)が設けられている。めねじ部品(31)の雌側シール面(39)の内径はめねじ(38)の内径よりも若干小さくなっている。
【0033】
プラグ(28)の外周面に、めねじ部品(31)のめねじ(38)とねじ合わされるおねじ(41)が設けられるとともに、おねじ(41)よりも下方の部分に円筒面状の雄側シール面(42)が設けられている。また、プラグ(28)には、その上端面から下方にのびるように、六角レンチ、トルクスレンチなどの棒状レンチを挿入するレンチ穴(43)が形成されている。プラグ(28)の雄側シール面(42)の外径は、おねじ(41)の外径よりも若干小さくなっている。プラグ(28)の雄側シール面(42)の外周面には全周にわたるOリング装着用環状溝(44)が形成され、環状溝(44)内にOリング(45)が装着されており、Oリング(45)により円筒状本体(26)のめねじ部品(31)の雌側シール面(39)と、プラグ(28)の雄側シール面(42)との間がシールされている。なお、プラグ(28)の上端部には、めねじ部品(31)の上端面に接する外向きフランジ(28a)が設けられている。
【0034】
乾燥剤ユニット(10)は、プラグ(28)と環状部分(49)との間に配される上側フレーム部分(51)と、上側フレーム部分(52)に一体に形成されかつ下キャップ(27)と環状部分との間に配される下側フレーム部分(52)とよりなるフレーム(50)を備えている。上側フレーム部分(51)内に、通気性および通液性を有する材料、たとえば合成樹脂製不織布で形成されるとともに乾燥剤(54)が収容された袋状の乾燥剤容器(53)が配置されている。下側フレーム部分(52)内に、上端が開口するとともに下端が閉鎖された有底筒状のストレーナ(55)が配置されている。
【0035】
上側フレーム部分(51)は、リング状の下枠部材(56)と、下枠部材(56)に周方向に間隔をおいて設けられた上下方向にのびる複数、ここでは2つの縦枠部材(57)と、縦枠部材(57)の上端どうしを連結する上枠部材(58)と、上枠部材(58)上に上方突出状に一体に形成された板状の上方突出片(59)とよりなる。乾燥剤容器(53)は、両縦枠部材(57)間において下枠部材(56)上に載せられている。下側フレーム部分(52)は、上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)に下方突出状に一体に形成されるとともに仕切板(46)の貫通穴(48)に通され、かつ上下両端が開口した短円筒状の上枠部材(61)と、上枠部材(61)に周方向に間隔をおいて設けられた上下方向にのびる複数の縦枠部材(62)と、上端が開口するとともに下端が閉鎖された有底短円筒状であり、かつ縦枠部材(62)の下端どうしを連結する下枠部材(63)とよりなる。ストレーナ(55)は、上端が上枠部材(61)に固定されるとともに、下端が下枠部材(63)上に載せられている。
【0036】
乾燥剤ユニット(10)の上側フレーム部分(51)と仕切板(46)の環状部分(49)との間がOリング(64)(シール部材)によりシールされている。環状部分(49)の上面(プラグ(28)側を向いた面)および上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)の下面(環状部分(49)側を向いた面)がそれぞれシール面(65)(66)となされており、両シール面(65)(66)間にOリング(64)が配置されている。そして、プラグ(28)の下端面によりフレーム(50)の上側フレーム部分(51)の上方突出片(59)が下方に押圧されることによって、上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)がOリング(64)を介して仕切板(46)の環状部分(49)に押し付けられ、これにより環状部分(49)のシール面(65)と上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)のシール面(66)との間がシールされている。
【0037】
熱交換器(1)は、圧縮機、膨張弁(減圧器)およびエバポレータとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両に搭載される。
【0038】
上述した熱交換器(1)において、冷凍サイクルの運転時には、圧縮機により圧縮された高温高圧の気液混相の冷媒が入口部材(24)を通って図示しない冷媒入口から凝縮部(12)の右ヘッダ(15)の上ヘッダ部(15a)内に流入する。右ヘッダ(15)の上ヘッダ部(15a)内に流入した気液混相の冷媒は、上端通路群(21)の熱交換管(4)を通って左ヘッダ(14)の上ヘッダ部(14a)内に流入した後、中間通路群(22)の熱交換管(4)を通って右ヘッダ(15)の下ヘッダ部(15b)内に流入し、さらに下端通路群(23)の熱交換管(4)を通って左ヘッダ(14)の下ヘッダ部(14b)内に流入する。
【0039】
凝縮部(12)の左ヘッダ(14)の下ヘッダ部(14b)内に流入した気液混相の冷媒は、冷媒出口(35)から送り出されて取付部材(8)の冷媒流入路(34)を通り、冷媒流入口(32)から受液器(7)内における仕切板(46)よりも上方の部分に流入する。気液混相の冷媒が受液器(7)内における仕切板(46)よりも上方の部分に流入すると、乾燥剤ユニット(10)の乾燥剤容器(53)内の乾燥剤(54)により水分が除去されるとともに、気液分離される。気相の冷媒は受液器(7)の上部に溜まり、液相の冷媒が上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)および下側フレーム部分(52)の上枠部材(61)を通って受液器(7)内における仕切板(46)よりも下方の部分に流入し、ストレーナ(55)を通過した後、冷媒流出口(33)から取付部材(8)の冷媒流出路(36)を通って、冷媒入口(37)から過冷却部(13)の左ヘッダ(16)内に流入する。過冷却部(13)の左ヘッダ(16)内に流入した冷媒は、熱交換管(4)を通って右ヘッダ(17)内に流入し、図示しない冷媒出口から冷媒出口部材(25)を通して膨張弁を経て蒸発器に送られる。そして、Oリング(64)の働きによって、受液器(7)の冷媒流入口(32)と冷媒流出口(33)との間の短絡が防止される。
【0040】
図4〜図7はプラグおよび乾燥剤ユニットのフレームの変形例を示す。
【0041】
図4〜図6において、受液器(7)の円筒状本体(26)のめねじ部品(31)にねじ嵌められるプラグ(28)の下面に、上方(奥)に向かって小径となったテーパ穴(70)が形成されている。
【0042】
乾燥剤ユニット(10)のフレーム(50)における上側フレーム部分(51)の縦枠部材(57)の上端部に、上下両端が開口した円筒状の上枠部材(71)が一体に形成され、上枠部材(71)内には合成樹脂製の円柱状閉鎖部材(72)がねじ嵌められている。上枠部材(71)の内周面にはめねじ(73)が設けられ、閉鎖部材(72)の外周面には上枠部材(71)のめねじ(73)とねじ合わされるおねじ(74)が設けられている。閉鎖部材(72)の上面中央部には棒状の上方突出部(75)が一体に形成されており、上方突出部(75)の上端に、上端(先端)に向かって小径となり、かつプラグ(28)のテーパ穴(70)内に嵌め入れられるテーパ部(76)が一体に形成されている。乾燥剤ユニット(10)のフレーム(50)における上側フレーム部分(51)のテーパ部(76)のテーパ穴(70)内に嵌め入れられる前のテーパ角度(X)は、プラグ(28)のテーパ穴(70)のテーパ角度(Y)よりも大きくなっている(図6参照)。
【0043】
また、乾燥剤ユニット(10)のフレーム(50)における上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)の下面に、下方に向かって外方に拡がったスカート状のシール部材(77)が全周にわたって形成されている。そして、プラグ(28)のテーパ穴(70)の内周面によりフレーム(50)の上側フレーム部分(51)のテーパ部(76)が下方に押圧されることによって、上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)がシール部材(77)を介して仕切板(46)の環状部分(49)に押し付けられ、これにより環状部分(49)のシール面(65)と上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)のシール面(66)との間がシールされている。
【0044】
ここで、乾燥剤ユニット(10)のフレーム(50)の上側フレーム部分(51)、受液器(7)の円筒状本体(26)のパイプ(30)およびめねじ部品(31)、プラグ(28)などに寸法誤差がない場合、図4に示すように、テーパ部(76)がテーパ穴(70)内に密に嵌め入れられ、環状部分(49)のシール面(65)と上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)のシール面(66)との間が、シール部材(77)により確実にシールされる。
【0045】
ところで、乾燥剤ユニット(10)のフレーム(50)の上側フレーム部分(51)、受液器(7)の円筒状本体(26)のパイプ(30)およびめねじ部品(31)、プラグ(28)などに若干の寸法誤差が生じていることがある。この場合であっても、テーパ部(76)のテーパ穴(70)内に嵌め入れられる前のテーパ角度(X)が、プラグ(28)のテーパ穴(70)のテーパ角度(Y)よりも大きくなっていると、図7に示すように、テーパ部(76)がテーパ穴(70)内に密に嵌め入れられない場合であっても、テーパ部(76)がテーパ穴(70)の内周面により下方に押され、その結果上側フレーム部分(51)をプラグ(28)により確実に下方に押圧することができる。したがって、環状部分(49)のシール面(65)と上側フレーム部分(51)の下枠部材(56)のシール面(66)との間のシール部材(77)によるシール性の低下が防止される。
【0046】
上記実施形態においては、プラグ(28)は円筒状本体(26)の上端開口内にねじ嵌められているが、下端開口内にねじ嵌められていてもよい。この場合、環状部分(49)のプラグ(28)側を向いた下面がシール面となされるとともに、乾燥剤ユニット(10)のフレーム(50)における下側フレーム部分(52)の上端部に環状部分(49)側(上側)を向いたシール面が設けられ、両シール面間がシール部材によりシールされる。たとえば、下側フレーム部分(52)の上枠部材(61)に外向きフランジが形成され、当該外向きフランジの上面がシール面となされる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の熱交換器の全体構成を示す正面図である。
【図2】図1に示す熱交換器の受液器の部分を拡大して示す一部を省略した垂直縦断面図である。
【図3】図1に示す熱交換器の受液器の部分を拡大して示す一部を省略した分解斜視図である。
【図4】プラグおよび乾燥剤ユニットのフレームの変形例を示す図2相当の図である。
【図5】図4の乾燥剤ユニットのフレームを示す一部を省略した斜視図である。
【図6】図4に示すプラグを受液器の円筒状本体におけるめねじ部品内に完全にねじ嵌める前の状態を示す部分拡大垂直断面図である。
【図7】図6に示すプラグを受液器の円筒状本体におけるめねじ部品内に完全にねじ嵌めた後の図4とは別の状態を示す部分拡大垂直断面図である。
【符号の説明】
【0048】
(1):熱交換器
(2)(3):タンク
(4):熱交換管
(5):コルゲートフィン
(7):受液器
(9):仕切壁
(10):乾燥剤ユニット
(11):仕切壁
(12):凝縮部
(13):過冷却部
(14):凝縮部左ヘッダ
(15):凝縮部右ヘッダ
(16):過冷却部左ヘッダ
(17):過冷却部右ヘッダ
(26):円筒状本体
(28):プラグ
(32):冷媒流入口
(33):冷媒流出口
(49):環状部分
(50):フレーム
(51):上側フレーム部分
(64):Oリング(シール部材)
(65)(66):シール面
(70):テーパ穴
(76):テーパ部
(77):シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて配置された上下方向にのびる1対のタンクと、両タンク間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置されかつ両端部が両タンクにそれぞれ接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されたフィンと、いずれか一方のタンクに取り付けられた受液器と、受液器内に配置されかつ乾燥剤を有する乾燥剤ユニットとを備えており、受液器が、上下方向にのびかつ少なくとも一端が開口した筒状本体、および筒状本体の開口端部に取り付けられたプラグとを有し、受液器に、タンクから受液器内に冷媒を送り込む冷媒流入口および受液器からタンクに冷媒を送り出す冷媒流出口が、前者が上方に位置するように形成された熱交換器において、
受液器の筒状本体の周壁における冷媒流入口と冷媒流出口との間の高さ位置に内方に突出した環状部分が設けられ、乾燥剤ユニットが環状部分とプラグとの間に配されるフレーム部分を有しており、環状部分のプラグ側を向いた面およびフレーム部分の環状部分側を向いた面がそれぞれシール面となされるとともに両シール面間にシール部材が配置され、乾燥剤ユニットのフレーム部分がプラグにより環状部分側に押圧されることにより、環状部分のシール面とフレーム部分のシール面との間がシール部材によりシールされている熱交換器。
【請求項2】
シール部材が、Oリングからなる請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
シール部材が、乾燥剤ユニットのフレーム部分に一体に形成されている請求項1記載の熱交換器。
【請求項4】
乾燥剤ユニットのフレーム部分が合成樹脂からなり、シール部材がフレーム部分に一体に形成されかつ環状部分に向かって外方に拡がったスカート状部分からなる請求項3記載の熱交換器。
【請求項5】
プラグおよび乾燥剤ユニットのフレーム部分の端部のうちいずれか一方に、奥に向かって小径となったテーパ穴が形成され、同他方に、先端に向かって小径となりかつテーパ穴に嵌る合成樹脂製のテーパ部が形成され、テーパ部のテーパ角度がテーパ穴のテーパ角度よりも大きくなっている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項6】
プラグにテーパ穴が形成され、乾燥剤ユニットのフレーム部分にテーパ部が形成されている請求項5記載の熱交換器。
【請求項7】
受液器の筒状本体の周壁における冷媒流入口と冷媒流出口との間の部分の高さ位置において、受液器の筒状本体に仕切板が固定され、仕切板の中央部に貫通穴が形成されるとともに、仕切板における貫通穴の周囲の部分が管状部分となされている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項8】
乾燥剤ユニットに、ストレーナが一体に形成されている請求項1〜7のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項9】
両タンクが、それぞれ同一高さ位置において仕切壁により上下方向に並んだ2つのヘッダに区画されており、両仕切壁よりも上側の部分にコンデンサとしての機能を有する凝縮部が設けられ、同じく両仕切壁よりも下側の部分に過冷却器としての機能を有する過冷却部が設けられ、凝縮部の受液器が取り付けられたタンク側のヘッダから流出した冷媒が冷媒流入口を通って受液器内に入り、受液器の筒状本体の冷媒流出口から流出した冷媒が、過冷却部の受液器が取り付けられたタンク側のヘッダに流入するようになっている請求項1〜8のうちのいずれかに記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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