説明

熱交換装置

【課題】ペルチェ素子の素子性能に関わらず、従来よりも高温部と低温部との温度差を大きくしたり、高温部の温度を高くしたりすることができる熱交換装置の提供。
【解決手段】熱媒体を通す第1通路22と、熱媒体を通す第2通路23と、熱媒体を通す第3通路24と、第1通路22と第2通路23との間にて熱交換可能な第1ペルチェユニット11と、第2通路23と第3通路24との間にて熱交換可能な第2ペルチェユニット15と、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15が共に第2通路23を熱移動元とする熱移動または第2通路23を熱移動先とする熱移動のいずれか一方の熱移動を行う第1通電状態と、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15の一方が、第2通路23を熱移動元とする熱移動を行うとともに、他方が第2通路23を熱移動先とする熱移動を行う第2通電状態と、を切り換える通電切換手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペルチェ素子を備えたペルチェユニットを用いて熱交換を行う熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱交換装置としては、例えば、特許文献1に記載された流体熱交換器が存在する。
特許文献1の流体熱交換器は、流体の温度調整をするために板状のペルチェ素子を応用した熱変換部と電源部で構成されている。
熱変換部は、角パイプ3本とペルチェ素子2本とから構成されており、この角パイプ3本とペルチェ素子2本が交互に重ね合わされ、5層構造としている。
【0003】
各角パイプには流体が流されており、ペルチェ素子への電流供給により角パイプとの接合面から別の角パイプの接合面へ熱を移動させることができる。
ペルチェ素子への電流供給による熱の移動により、中央の角パイプを通る流体の温度が下降し、外側の2本の角パイプを通る流体の温度が上昇する。
ペルチェ素子への通電の向きを逆にすると、熱の移動方向が逆となり中央の角パイプを通る流体の温度が上昇し、外側の角パイプを通る流体の温度は下降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−12003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、2本のペルチェ素子を用いて熱の移動を図るものの、ペルチェ素子における高温部と低温部との温度差や高温部の最高温度はペルチェ素子の基本性能に依存した温度差となっている。
このため、複数のペルチェ素子を用いても、温度部と低温部との温度差を大きくすることができないほか、高温部の最高温度を上げることができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、ペルチェ素子の素子性能に関わらず、従来よりも高温部と低温部との温度差を大きくしたり、高温部の温度を高くしたりすることができる熱交換装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、熱媒体を通す第1通路と、熱媒体を通す第2通路と、熱媒体を通す第3通路と、前記第1通路と前記第2通路との間にて熱交換可能な第1ペルチェユニットと、前記第2通路と前記第3通路との間にて熱交換可能な第2ペルチェユニットと、前記第1ペルチェユニットおよび前記第2ペルチェユニットが共に前記第2通路を熱移動元とする熱移動または前記第2通路を熱移動先とする熱移動のいずれか一方の熱移動を行う第1通電状態と、前記第1ペルチェユニットおよび前記第2ペルチェユニットの一方が、前記第2通路を熱移動元とする熱移動を行うとともに、他方が前記第2通路を熱移動先とする熱移動を行う第2通電状態と、を切り換える通電切換手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この場合、第1ペルチェユニットおよび第2ペルチェユニットが共に第2通路を熱移動元とする熱移動を行う第1通電状態では、例えば、第1通路および第3通路が高温部であって第2通路が低温部となる。
また、第1ペルチェユニットおよび第2ペルチェユニットが共に第2通路を熱移動先とする熱移動を行う第1通電状態では、例えば、第1通路および第3通路が低温部であって第2通路が高温部となる。
第1通電状態では、ペルチェユニットは第1通路および第3通路と第2通路との間において、ペルチェ素子の素子性能に依存する温度差を高い成績係数(COP)にて作り出す。
第1ペルチェユニットおよび前記第2ペルチェユニットの一方が、第2通路を熱移動元とする熱移動を行うとともに、他方が第2通路を熱移動先とする熱移動を行う第2通電状態では、例えば、第1通路を低温部とし第3通路を高温部とすると、第2通路は低温部と高温部との中間の温度となる中温部となる。
このため、第2通電状態では、第1ペルチェユニットによる第1通路から第2通路への熱移動と、第2ペルチェユニットによる第2通路から第3通路への熱移動という2段階の熱移動により、従来よりも第1通路と第3通路との温度差を大きくすることができる。
【0009】
また、本発明は、上記の熱交換装置において、前記第1通電状態のときに前記第1通路および第3通路に対して第2通路との間を互いに非連通とする状態と、前記第2通電状態のときに前記第2通路と前記第3通路とを連通するとともに、前記第2通路および前記第3通路に対して前記第1通路を非連通にする状態と、を切り換える状態切換手段を備えてもよい。
【0010】
この場合、第1通電状態のときに第2通路と前記第3通路とを互いに非連通とすることにより、第1通路と第2通路との間と、第2通路と第3通路との間とに、それぞれ温度差を高い成績係数(COP)にて作り出すことができる。
また、第2通電状態のときに第2通路と第3通路が連通されるとともに、第2通路および第3通路に対して第1通路が非連通とされ、従来よりも第1通路の熱媒体と第3通路の熱媒体との温度差を大きくすることができる。
【0011】
また、本発明は、上記の熱交換装置において、前記第1通電状態のときに前記第1通路と前記第3通路を並列に接続する並列接続状態とするとともに前記第1通路および前記第3通路に対して前記第2通路を非連通にする状態と、前記第2通電状態のときに前記第1通路と前記第3通路を直列に接続する直列接続状態とするとともに前記第1通路および第3通路に対して前記第2通路を非連通にする状態と、を切り換える状態切換手段を備えてもよい。
【0012】
この場合、第1通電状態のときに第1通路と第3通路を並列に接続するとともに第1通路および第3通路に対して第2通路を非連通にすることから、第1通路と第2通路との間と、第2通路と第3通路との間とに、それぞれ温度差を高い成績係数(COP)にてを作り出すことができる。
また、第2通電状態のときに第1通路と第3通路を直列に接続するとともに第1通路および第3通路に対して第2通路を非連通にすることから、従来よりも第1通路の熱媒体と第3通路の熱媒体との温度差を大きくすることができる。
【0013】
また、本発明は、上記の熱交換装置において、前記熱媒体の温度を検出する温度センサを備え、前記熱媒体の温度が第1設定温度に達したとき、前記状態切換手段が前記各状態の切り換えを行ってもよい。
【0014】
この場合、熱媒体の温度が第1設定温度に達したとき、状態切換手段による切り換えが行われると、従来よりも高温部と低温部との温度差を大きくしたり、高温部の温度を高くしたりすることができる。
【0015】
また、本発明は、上記の熱交換装置において、前記熱媒体と熱交換する第1蓄熱材を備えた第1蓄熱器と、前記熱媒体と熱交換する第2蓄熱材を備えた第2蓄熱器と、前記第1通電状態のときに前記第1蓄熱器が前記第1通路および前記第3通路に連通されるとともに、前記第2蓄熱器が前記第2通路に連通される第1連通状態と、前記第2通電状態のときに前記第1蓄熱器が前記第2通路および前記第3通路と連通されるとともに、前記第2蓄熱器が前記第1通路と連通される第2連通状態と、を切り換える蓄熱器切換手段と、を備えてもよい。
【0016】
この場合、第1蓄熱器と第2蓄熱器が設けられるから、第1連通状態における各通路の熱媒体の熱や第2連通状態における各通路の熱媒体の熱を、第1蓄熱器又は第2蓄熱器の蓄熱材に蓄えておくことができる。
【0017】
また、本発明は、上記の熱交換装置において、前記熱媒体と熱交換する第1蓄熱材を備えた第1蓄熱器と、前記熱媒体と熱交換する第2蓄熱材を備えた第2蓄熱器と、前記熱媒体と熱交換する第3蓄熱材を備えた第3蓄熱器と、前記第1通電状態のときに前記第1蓄熱器が前記第1通路および前記第3通路に連通されるとともに、前記第2蓄熱器が前記第2通路に連通される第1連通状態と、前記第2通電状態のときに前記第1通路が前記第1蓄熱器と連通されるとともに、前記第2通路が前記第2蓄熱器に連通され、かつ前記第3通路が前記第3蓄熱器に連通される第3連通状態と、を切り換える蓄熱器切換手段と、を備えてもよい。
【0018】
この場合、蓄熱器切換手段の切り換えにより、第1連通状態における各通路の熱媒体の熱を第1蓄熱器又は第2蓄熱器の蓄熱材を蓄えておくことができるほか、第3連通状態における各通路の熱媒体の熱を各通路と対応する第1〜第3蓄熱器にそれぞれ蓄えることができる。
【0019】
本発明は、熱媒体を通す第1通路と、熱媒体を通す第2通路と、ペルチェ素子を備え、前記第1通路と前記第2通路との間に設けたペルチェユニットと、前記ペルチェユニットにより加熱された前記第1通路の熱媒体および前記ペルチェユニットにより冷却された前記第2通路の熱媒体をそれぞれ移動させる状態と、前記第1通路の熱媒体を移動させるとともに第2通路の熱媒体の移動を停止させる状態との切り換えを行う状態切換手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この場合、第1通路および第2通路に熱媒体をそれぞれ通す状態において、第1通路が高温部であって第2通路が低温部となるようにペルチェユニットに通電すると、ペルチェユニットは第1通路と第2通路との間において、ペルチェ素子の素子性能に依存する温度差を高い成績係数(COP)にて作り出す。
第1通路に熱媒体を通すとともに第2通路の熱媒体を止める状態において、第1通路が高温部であって第2通路が低温部となるようにペルチェユニットに通電すると、熱媒体の流れのない第2通路の温度は上昇するとともに、熱の移動を受ける第1通路の温度は第2通路の温度と一定の温度差を保って上昇する。
その結果、第1通路の熱媒体の温度を従来よりも高くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ペルチェ素子の素子性能に関わらず、従来よりも高温部と低温部との温度差を大きくしたり、高温部の温度を高くしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態に係る熱交換装置を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る熱交換装置の作用を説明する構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る熱交換装置の作用を説明する構成図である。
【図4】第2の実施形態に係る熱交換装置を示す構成図である。
【図5】第3の実施形態に係る熱交換装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る熱交換装置について図面に基づき説明する。
図1に示す熱交換装置10は、第1ペルチェユニット11と第2ペルチェユニット15を備えている。
第1ペルチェユニット11は、多数のペルチェ素子を備えたユニット本体部12と、各ペルチェ素子の一方の端面に形成された第1熱面部13と、各ペルチェ素子の他方の端面に形成された第2熱面部14とを備える。
電源(図示せず)からの直流電流が、各ペルチェ素子に対して正方向へ通電(「正通電」とする)するとき、第1熱面部13が放熱面として機能し、第2熱面部14が吸熱面として機能する。
また、直流電流が各ペルチェ素子に対して正方向と逆向きとなる逆方向へ通電(「逆通電」とする)するとき、第1熱面部13が吸熱面として機能し、第2熱面部14が放熱面として機能する。
【0024】
第2ペルチェユニット15は第1ペルチェユニット11と同一構成である。
したがって、第2ペルチェユニット15は第1ペルチェユニット11と同じくペルチェユニット本体部16と、第1熱面部17と、第2熱面部18を備える。
電源(図示せず)からの直流電流が、各ペルチェ素子に対して正方向へ通電(「正通電」とする)するとき、第1熱面部17が放熱面として機能し、第2熱面部18が吸熱面として機能する。
また、直流電流が各ペルチェ素子に対して正方向と逆向きとなる逆方向へ通電(「逆通電」とする)するとき、第1熱面部17が吸熱面として機能し、第2熱面部18が放熱面として機能する。
第1ペルチェユニット11は第1熱交換器19および第2熱交換器20に挟まれており、第1ペルチェユニット11の第1熱面部13は第1熱交換器19と当接し、第1ペルチェユニット11の第2熱面部14は第2熱交換器20と当接する。
第2ペルチェユニット15は第2熱交換器20および第3熱交換器21に挟まれており、第2ペルチェユニット15の第1熱面部17は第3熱交換器21と当接し、第2ペルチェユニット15の第2熱面部18は第2熱交換器20と当接する。
【0025】
熱交換装置10は、熱媒体を通す5つの通路(第1通路22、第2通路23、第3通路24、第4通路25、第5通路26)と、これらの通路の両端が接続される通路切換弁(10ポート3位置電磁弁)27を備えている。
通路切換弁27は、3位置に変位可能なスプール28と2つのソレノイド(第1ソレノイド29、第2ソレノイド30)を備えており、10のポートP1〜P10と備えた電磁弁である。
第1通路22は第1熱交換器19内に熱媒体を通す通路を形成し、第1通路22の一端は通路切換弁27の第1ポートP1と接続されており、他端は第6ポートP6に接続されている。
第2通路23は第2熱交換器20内に熱媒体を通す通路を形成し、第2通路23の一端は通路切換弁27の第2ポートP2と接続されており、他端は第5ポートP5に接続されている。
第3通路24は第3熱交換器21内に熱媒体を通す通路を形成し、第3通路24の一端は通路切換弁27の第3ポートP3と接続されており、他端は第4ポートP4に接続されている。
【0026】
通路切換弁27の第7ポートP7は第1蓄熱器31を通る熱媒体の第4通路25の一端が接続され、第4通路25の他端は第8ポートP8と接続されている。
第1蓄熱器31の内部には第4通路25における熱媒体と熱交換可能であって、蓄熱可能な第1蓄熱材としての蓄熱材Wが収容されている。
第4通路25における第7ポートP7と第1蓄熱器31との間には第1ポンプ33が設けられ、第1ポンプ33はその作動により第4通路25の熱媒体を第7ポートP7へ向けて移送する。
通路切換弁27の第9ポートP9は第2蓄熱器32を通る熱媒体の第5通路26の一端が接続され、第5通路26の第10ポートP10と接続されている。
第2蓄熱器32の内部には第5通路26における熱媒体と熱交換可能であって、第2蓄熱材としての蓄熱可能な蓄熱材Wが収容されている。
第5通路26における第9ポートP9と第2蓄熱器32との間には第2ポンプ34が設けられ、第2ポンプ34は作動により第5通路26の熱媒体を第9ポートP9へ向けて移送する。
第1蓄熱器31および第2蓄熱器32に蓄えられた蓄熱(又は蓄冷)は、それぞれ熱交換器などを通して、車両室内の空気調和用の温度調節や給水および給湯器等の熱源として利用される。
【0027】
図1に示す通路切換弁27では両ソレノイド29、30が消磁状態にあり、スプール28は中間位置(以下「消磁位置」と表記する)に位置する。
通路切換弁27のスプール28は、消磁位置のほか、第1ソレノイド29のみが励磁した状態の位置(以下「第1励磁位置」と表記する)、第2ソレノイド30のみが励磁した状態の位置(以下「第2励磁位置」と表記する)に切り換えることができる構成である。
通路切換弁27は、両ソレノイド29、30が消磁状態のときスプール28を中間位置に位置させるための付勢部材(図示せず)を備えている。
【0028】
図1に示すように、通路切換弁27のスプール28が消磁位置にあるとき、第1通路22と第3通路24が並列に接続される並列接続状態となるほか、第1通路22と第3通路24は第4通路25と連通する。
つまり、第1熱交換器19、第3熱交換器21および第1蓄熱器31を通る熱媒体の循環回路が構成される。
また、消磁位置では、第2通路23と第5通路26が連通され、第2熱交換器20および第2蓄熱器32を循環する熱媒体の循環回路が構成される。
【0029】
図2に示すように、通路切換弁27のスプール28が、第1励磁位置にあるとき、第1通路22と第5通路26が連通され、第1熱交換器19と第2蓄熱器32を循環する循環回路が構成される。
さらに、第2通路23と第3通路24が直列に接続される直列接続状態となるほか、第2通路23および第3通路24は第4通路25と連通する。
つまり、第2熱交換器20から第3熱交換器21を通り、第1蓄熱器31へ至る熱媒体の循環回路が構成される。
【0030】
図3に示すように、通路切換弁27のスプール28が、第2励磁位置にあるとき、第1通路22と第3通路24が並列に接続される並列接続状態となるほか、第1通路22と第3通路24は第4通路25と連通する。
つまり、消磁位置と同様に、第1熱交換器19、第3熱交換器21および第1蓄熱器31を通る熱媒体の循環回路が構成される。
第2励磁位置では、第2通路23と第5通路26は通路切換弁27により遮断され、熱媒体の循環経路は構成されない。
【0031】
ところで、熱交換装置10は、制御手段としてのコントローラ35を備えており、コントローラ35は、電源の電流供給の制御や、第1ポンプ33および第2ポンプ34の駆動制御を行う。
熱交換装置10は、複数の温度センサS1〜S8を備えており、第1熱交換器19の熱媒体の出入口に設けられた温度センサS1、S2と、第2熱交換器20の出入口に設けられた温度センサS3、S4と、第3熱交換器21の出入口に設けた温度センサS5、S6を有する。
熱交換装置10は、第1蓄熱器31の蓄熱材Wの温度を測定する温度センサS7と、第2蓄熱器の32蓄熱材Wの温度を測定する温度センサS8を有している。
各温度センサS1〜S8はコントローラ35と接続されており、温度センサS1〜S8により検出された検出温度の信号はコントローラ35へ伝達される。
コントローラ35では、各通路の熱媒体の温度について第1設定温度を設定する機能を備えている。
第1設定温度が設定された通路を通る熱媒体の温度が第1設定温度に達したとき、コントローラ35は通路切換弁27の切り換え制御を行うことも可能である。
例えば、熱交換装置10を第1通電状態で作動させ、第2温度センサS2又は第6温度センサS6又は第7温度センサS7の温度が第1設定温度に達した時に第2通電状態で作動させる。この場合、第1設定温度に達するまでは成績係数(COP)の高い運転を行うことができるので、少ない電力で高温を作ることができる。
【0032】
次に、熱交換装置10の運転について説明するが、まず、図1に示すように通路切換弁27のスプール28が消磁位置にある場合の熱交換装置10の運転について説明する。
コントローラ35は、通路切換弁27のスプール28が消磁位置にあるとき、第1ポンプ33および第2ポンプ34を作動させるとともに、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15に直流電流を供給するように電源を制御する。
第1ポンプ33の作動により、第1蓄熱器31から出た熱媒体は、通路切換弁27において分岐され、第1熱交換器19および第3熱交換器21をそれぞれ通り、第1熱交換器19および第3熱交換器21を通過した後、通路切換弁27において合流され、合流された熱媒体は第1蓄熱器31へ戻る。
第2ポンプ34の作動により、第2蓄熱器32から出た熱媒体は第2熱交換器20を通り第2蓄熱器32へ戻る。
つまり、熱交換装置10は、第1通路22〜第3通路24に熱媒体の移動を可能とする状態であって、第1通路および第3通路に対して第2通路23との間を互いに非連通とする状態にあり、第1通路22と第3通路24を並列に接続する並列接続状態にある。
さらに言うと、熱交換装置10は、第1通電状態のときに第1蓄熱器31が第1通路22および第3通路24に連通されるとともに、第2蓄熱器32が第2通路23に連通される第1連通状態にある。
【0033】
電源は、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15が夫々第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う第1通電状態となるように直流電流を供給する。
第1通電状態では、正通電の第1ペルチェユニット11において第2熱面部14から第1熱面部13への熱移動が行われ、第1熱交換器19は加熱され、第2熱交換器20は冷却される。
また、第1通電状態では、正通電の第2ペルチェユニット15において第2熱面部18から第1熱面部17への熱移動が行われ、第2熱交換器20は冷却され、第3熱交換器21は加熱される。
このため、第1通路22および第3通路24を通る熱媒体は第1熱交換器19および第3熱交換器21において加熱され、加熱された熱媒体は第1蓄熱器31において蓄熱材Wと熱交換を行い、第1蓄熱器31では蓄熱が行われる。
一方、第2通路23を通る熱媒体は第2熱交換器20において冷却され、冷却された熱媒体は第2蓄熱器32において蓄熱材Wと熱交換を行い、第2蓄熱器32では蓄冷(低温の蓄熱)が行われる。
【0034】
この運転状態では、ペルチェ素子の素子性能に依存する温度差が第1ペルチェユニット11の第1熱面部13と第2熱面部14との間および第2ペルチェユニット15の第1熱面部17と第2熱面部18との間において作り出される。
例えば、図1に示すように、第2熱交換器20を出る熱媒体の温度が−10℃となり、第1熱交換器19および第3熱交換器21を出る熱媒体の温度が40℃となる場合、素子性能に依存する温度差が50℃であると言える。
また、高温側となる各第1熱面部13、17からは、投入電力および低温側となる各第2熱面部14、18で吸収した分の熱が放出される。そのため、低温側となる第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15の各第2熱面部14、18は、高温側となる各第1熱面部13、17と比較して熱移動が少ない。
しかし、低温部となる第2熱交換器20は、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15のそれぞれの第2熱面部14、18に当接しており、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15の両方からの冷却を受ける。
この運転状態では、低温部となる第2熱交換器20と高温部となる第1熱交換器19(又は第3熱交換器21)との熱移動のバランスが保たれ、第1熱交換器19〜第3熱交換器21の基本設計(形状、サイズ、能力等)を同じにすることができる。
なお、第1蓄熱器31における蓄熱や第2蓄熱器32における蓄冷は、それぞれ熱交換器などを通して、車両室内の空気調和用の温度調節や給水および給湯器等の熱源として利用される。
【0035】
次に、通路切換弁27のスプール28を第1励磁位置に切り換えた状態での熱交換装置10の運転について説明する。
図2に示すように、通路切換弁27のスプール28が第1励磁位置にあるとき、コントローラ35は、第1ポンプ33および第2ポンプ34を作動させるとともに、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15に直流電流を供給するように電源を制御する。
第1ポンプ33の作動により、第1蓄熱器31から出た熱媒体は、通路切換弁27および第2通路23を介して第2熱交換器20を通り、第2熱交換器20の通過後は、通路切換弁27および第3通路24を介して第3熱交換器21を通る。
第3熱交換器21を通過した熱媒体は、通路切換弁27および第4通路25を介して第1蓄熱器31へ戻る。
一方、第2ポンプ34の作動により、第2蓄熱器32から出た熱媒体は第1熱交換器19を通り第2蓄熱器32へ戻る。
つまり、熱交換装置10は、第1通路22〜第3通路24における熱媒体の移動を可能とする状態であって、第2通路23と第3通路24とを連通する連通状態にあり、第2通路23と第3通路24を直列に接続する直列接続状態である。
さらに言うと、熱交換装置10は、第2通電状態のときに第1蓄熱器31が第2通路23および第3通路24と連通されるとともに、第2蓄熱器32が第1通路22と連通される第2連通状態にある。
【0036】
電源は第1ペルチェユニット11が第2通路23を熱移動先とする熱移動を行うとともに、第2ペルチェユニット15が、第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う第2通電状態となるように直流電流を供給する。
第2通電状態では、逆通電の第1ペルチェユニット11において第1熱面部13から第2熱面部14への熱移動が行われ、第1熱交換器19は冷却され、第2熱交換器20は加熱される。
また、第2通電状態では、正通電の第2ペルチェユニット15において第2熱面部18から第1熱面部17への熱移動が行われ、第1熱交換器19から第2熱交換器20へ移動された熱は第3熱交換器21へ移動される。
このため、第1通路22を通る熱媒体は冷却され、第2通路23を通る熱媒体は第1通路22よりも温度が高く、第3通路24は第2通路23を通る熱媒体よりも温度が高くなる。
ペルチェ効果のみであると、第2通路23の熱が第3通路24に移動するだけであるので、図1に示す第1通電状態の場合よりも第3通路24の温度が高くなることはないが、図2に示す第2通電状態では、電力の一部が熱として第1熱面部17および第2熱面部18から熱媒体に放出されるために、図1の場合よりも第3通路24の温度が高くなる。
【0037】
第1熱交換器19を低温部とし第3熱交換器21を高温部とすると、第2熱交換器20は低温部と高温部との中間の温度となる中温部となる。
低温部と中温部との温度差および中温部と高温部との温度差は、ペルチェ素子の素子性能に依存する温度差であるが、低温部と高温部との温度差はペルチェ素子の素子性能に依存する温度差の2倍となる。
【0038】
第1熱交換器19から第2熱交換器20への熱の移動と、第2熱交換器20から第3熱交換器21への熱移動との2段階の同じ方向への熱移動が行われ、これにより第3熱交換器21ではスプール28の消磁位置における第1熱交換器19および第3熱交換器21における温度よりも高い温度となる。
例えば、素子性能としては温度差50℃を作り出すことができる場合であって、第1熱交換器19を出る熱媒体の温度が−10℃となるとき、第2熱交換器20を出る熱媒体の温度は40℃となる。
そして、第3熱交換器21では第2ペルチェユニット15により第2熱交換器19を出た熱媒体と50℃の温度差が生み出されるから、第3熱交換器21を出た熱媒体は90℃となる。
【0039】
第3熱交換器21を出た熱媒体は第1蓄熱器31において蓄熱材Wと熱交換を行い、第1蓄熱器31では蓄熱が行われる。
一方、第1熱交換器19において冷却された熱媒体は第2蓄熱器32において蓄熱材Wと熱交換を行い、第2蓄熱器32では蓄冷が行われる。
【0040】
この運転状態では、第1ペルチェユニット11の第1熱面部13と第2ペルチェユニット15の第1熱面部17との温度差がペルチェ素子の素子性能に依存する温度差より大きくなる。
このため、第1熱交換器19と第3熱交換器21との温度差を大きくなり、特に高い温度に加熱された熱媒体が得られる。
なお、第1蓄熱器31における蓄熱や第2蓄熱器32における蓄冷は、それぞれ熱交換器などを通して、車両室内の空気調和用の温度調節や給水および給湯器等の熱源として利用される。
【0041】
次に、通路切換弁27のスプール28を第2励磁位置に切り換えた状態での熱交換装置10の運転について説明する。
図3に示すように、通路切換弁27のスプール28が第2励磁位置にあるとき、コントローラ35は、第1ポンプ33を作動させるとともに、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15に直流電流を供給するように電源を制御する。
このとき、コントローラ35は第2ポンプ34を作動させない制御を行う。
【0042】
第1ポンプ33の作動により、第1蓄熱器31から出た熱媒体は、通路切換弁27において分岐され第1熱交換器19および第3熱交換器21をそれぞれ通り、第1熱交換器19および第3熱交換器21を通過した後、通路切換弁27において合流され、合流された熱媒体は第1蓄熱器31へ戻る。
第2励磁状態では、第2通路23の両端部は通路切換弁27において閉塞されている。
同様に、第5通路26の両端部は通路切換弁27において閉塞されている。
このため、第2通路23および第5通路26における熱媒体は、それぞれの通路23、26で流れを作ることはない。
つまり、熱交換装置10は、第1通路22および第3通路24における熱媒体を移動させるとともに第2通路23の熱媒体の移動を停止させる状態であって、第1通路22と第3通路24に対して第2通路23との間を互いに非連通とする状態にあり、第1通路22と第3通路24を並列に接続する並列接続状態である。
【0043】
電源は第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15が夫々第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う第1通電状態となるように直流電流を供給する。
第1通電状態では、正通電の第1ペルチェユニット11において第2熱面部14から第1熱面部13への熱移動が行われる。
第1熱面部13からの熱を受ける第1熱交換器19は加熱される。
第1ペルチェユニット11の第2熱面部14では第2熱交換器20の熱媒体は流れていないから熱交換することができず、第2熱面部14の温度は徐々に上昇し、第2熱交換器20の温度が上昇する。
【0044】
また、第1通電状態では、正通電の第2ペルチェユニット15において第2熱面部18から第1熱面部17への熱移動が行われる。
第1熱面部17からの熱を受ける第3熱交換器21は加熱される。
第2ペルチェユニット15の第2熱面部18では第2熱交換器20の熱媒体が流れていないから熱交換することができず、第2熱面部18の温度は徐々に上昇し、第2熱交換器20の温度が上昇する。
【0045】
このため、第1ペルチェユニット11の第2熱面部14および第2ペルチェユニット15の第2熱面部18の温度上昇に伴い、第1ペルチェユニット11の第1熱面部13および第2ペルチェユニット15の第1熱面部17は、第2熱面部14、18との温度差を保って上昇する。
第1通路22および第3通路24を通る熱媒体は第1熱交換器19および第3熱交換器21において加熱され、加熱された熱媒体は第1蓄熱器31において蓄熱材Wと熱交換を行い、第1蓄熱器31では蓄熱が行われる。
【0046】
この運転状態では、ペルチェ素子の素子性能に依存する温度差が第1ペルチェユニット11の第1熱面部13と第2熱面部14との間において作り出される。
しかし、第2熱面部14の温度が上昇するから第1熱面部13の温度が第2熱面部14の温度上昇に対応して上昇する。
同様の理由から第2ペルチェユニット15の第2熱面部18の温度も上昇する。
例えば、図3に示すように、低温部となる第2熱交換器20の熱媒体の温度が0℃から40℃まで上昇し、素子性能に依存する第1熱面部13(17)と第2熱面部14(18)との温度差が50℃すると、高温部となる第1熱交換器19および第3熱交換器21を出る熱媒体の温度が50℃から90℃まで上昇することになる。
このため、消磁位置にある場合の運転時と比較して、第2熱交換器20の熱媒体の流れを止めるだけで、第1熱交換器19および第3熱交換器21における熱媒体の温度がさらに高くなる。
なお、第1蓄熱器31における蓄熱は、それぞれ熱交換器などを通して、車両室内の空気調和用の温度調節や給水および給湯器等の熱源として利用することができる。
【0047】
因みに、消磁位置において第2ポンプ34の作動を止めることにより、実質的にスプール28の第2励磁位置での運転状態と同じとすることができる。
この場合、予め第1通路22および第3通路24を出る熱媒体の第1設定温度(例えば、40℃)を設定しておき、スプール28を消磁位置として第1、第2ポンプ33、34を作動させ、第1通電状態にて運転する。
温度センサS2、S6が第1設定温度を検出したら、コントローラ35が第2ポンプを停止するように制御する。
これにより低温部である第2熱交換器20の温度が上昇するに伴い、高温部である第1熱交換器19および第3熱交換器21の温度が上昇する。
【0048】
この実施形態のコントローラ35は、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15が夫々第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う第1通電状態と、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15の一方が、第2通路23を熱移動元とする熱移動を行うとともに、他方が第2通路23を熱移動先とする熱移動を行う第2通電状態と、切り換える通電切換手段に相当する。
また、この実施形態の通路切換弁27は、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15により加熱された第1通路22と第3通路24の熱媒体と、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15により冷却された熱媒体と、をそれぞれ移動可能にする状態と、第1通路22および第3通路24に熱媒体の移動を可能するとともに第2通路23の熱媒体の移動を不可にする状態との切り換えを行う状態切換手段に相当する。
また、通路切換弁27は、第1通電状態のときに第1通路22および第3通路24に対して第2通路23との間を互いに非連通とする状態と、第2通電状態のときに第2通路23と第3通路24とを連通するとともに第2通路23および第3通路24に対して第1通路22を非連通にする状態と、を切り換える状態切換手段に相当する。
さらに言うと、通路切換弁27は、第1蓄熱器31が第1通路22および第3通路24に連通されるとともに、第2蓄熱器32が第2通路23に連通される第1連通状態と、第1蓄熱器31が第2通路23および第3通路24と連通されるとともに、第2蓄熱器32が第1通路22と連通される第2連通状態と、を切り換える蓄熱器切換手段に相当する。
なお、この実施形態では、第1通電状態では、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15が共に第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う状態としたが、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15が共に第2通路23を熱移動先とする熱移動を行う状態を第1通電状態としてもよい。第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15が共に第2通路23を熱移動先とする熱移動を行う第1通電状態では、第1通路22および第3通路24が低温部であって第2通路23が高温部となる。
【0049】
この実施形態は以下の作用効果を奏する。
(1)第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15が夫々第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う第1通電状態では、第1熱交換器19および第3熱交換器21が高温部であって第2熱交換器20が低温部となり、各ペルチェユニット11、15は第1熱交換器19と第2熱交換器20との間および第3熱交換器21と第2熱交換器20との間において温度差を高い成績係数(COP)にて作り出すことができる。第1ペルチェユニット11が第2通路23を熱移動先とする熱移動を行うとともに、第2ペルチェユニット15が、第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う第2通電状態では、第1熱交換器19を低温部とし第3熱交換器21を高温部とすると、第2熱交換器20が低温部と高温部との中間の温度となる中温部となる。このため、第2通電状態では、第1ペルチェユニット11による第1熱交換器19から第2熱交換器20への熱移動と、第2ペルチェユニット15による第2熱交換器20から第3熱交換器21への熱移動という2段階の熱移動により、従来よりも第1熱交換器19と第3熱交換器21との温度差を大きくすることができる。つまり、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15に対する通電の向きを変更するだけで、成績係数の高い熱交換装置10の運転と、従来よりも大きな温度差を熱面部間に生み出す熱交換装置10の運転と切り換えることができる。
【0050】
(2)通路切換弁27のスプール28が消磁位置の状態では、第1通電状態のときに第1通路22と第3通路24が並列に接続されることから、第1熱交換器19と第2熱交換器20との間と、第2熱交換器20と第3熱交換器21との間とに、それぞれ温度差を高い成績係数(COP)にて作り出すことができる。また、スプール28が第1励磁位置の状態で第2通電状態のときには、第2通路23と第3通路24を直列に接続することから、従来よりも第1熱交換器19と第3熱交換器21との温度差を大きくすることができる。通路切換弁27のスプール28の切り換え位置に応じて通電状態を切り換えることにより、消磁位置とは異なる高い温度差を熱面部間において生み出すことができ、従来よりも高温の熱媒体を得ることができる。
【0051】
(3)第1蓄熱器31と第2蓄熱器32が設けられるから、スプール28が消磁位置にあるときの第1連通状態における各通路22〜26の熱媒体の熱や第2連通状態における各通路22〜26の熱媒体の熱を、第1蓄熱器31又は第2蓄熱器32の蓄熱材Wに蓄えておくことができる。
(4)通路切換弁27のスプール28が消磁位置の状態では、第1通電状態のときに第1通路22と第3通路24は並列に接続されるが、第1通路22および第3通路24の熱媒体と第2通路23の熱媒体を循環させることにより、第1通路22および第3通路24の熱媒体を加熱し、第2通路23の熱媒体を冷却することができる。また、スプール28を第2励磁位置にして第2通路23の熱媒体の循環を停止することにより、スプール28が消磁位置の場合と比較して第1熱交換器19および第3熱交換器21の高温化を図ることができる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る熱交換装置について説明する。
第2の実施形態の熱交換装置では、スプールが消磁位置および第2励磁位置に位置する状態では第1の実施形態と同じであるが、スプールが第1励磁位置にあるときの各通路の関係が第1の実施形態と異なる。
図4は第2の実施形態に係る熱交換装置40を示し、その構成のうち、第1の実施形態の熱交換装置10と同一の要素については第1の実施形態の説明を援用して共通の符号を用いる。
【0053】
図4に示す熱交換装置40は、第1ペルチェユニット11、第2ペルチェユニット15、第1熱交換器19、第2熱交換器20、第3熱交換器21、第1通路22、第2通路23、第3通路24、通路切換弁41、第1蓄熱器31および第2蓄熱器32を備えている。
通路切換弁41は、第1ソレノイド43、第2ソレノイド44およびスプール42を備えた10ポート3位置電磁弁であり、通路切換弁41のスプール42は消磁位置、第1励磁位置および第2励磁位置の3位置に変位可能である。
通路切換弁41は、状態切換手段であって蓄熱器切換手段に相当する。
スプール42が消磁位置および第2励磁位置に位置する状態では、第1の実施形態と同じ通路の状態となる。
【0054】
図4に示す熱交換装置40では、スプール42が第1励磁位置に位置しており、この状態では、第1通路22と第3通路24が直列に接続される直列接続状態となるほか、第1通路22および第3通路24は第4通路25と連通される。
つまり、第1熱交換器19、第3熱交換器21および第1蓄熱器31を通る熱媒体の循環回路が構成される。
さらに、第2通路23と第5通路26が連通され、第2熱交換器20と第2蓄熱器32との間を熱媒体が循環する循環回路が構成される。
【0055】
次に、通路切換弁41のスプール42を第1励磁位置に切り換えた状態での熱交換装置40の運転について説明する。
図4に示すように、スプール42が第1励磁位置にあるとき、コントローラ35は、第1ポンプ33および第2ポンプ34を作動させるとともに、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15に直流電流を供給するように電源を制御する。
第1ポンプ33の作動により、第1蓄熱器31から出た熱媒体は、通路切換弁41を介して第1熱交換器19を通り、第1熱交換器19の通過後は、通路切換弁41を介して第3熱交換器21を通る。
第3熱交換器21を通過した熱媒体は、通路切換弁41を介して第1蓄熱器31へ戻る。
一方、第2ポンプ34の作動により、第2蓄熱器32から出た熱媒体は第2熱交換器20を通り第2蓄熱器32へ戻る。
つまり、熱交換装置40は、第1通路22〜第3通路24における熱媒体を移動可能とする状態であって、第1通路22および第3通路24に対して第2通路23との間を互いに非連通とする状態にあり、第1通路22と第3通路24を直列に接続する直列接続状態である。
さらに言うと、熱交換装置40は、第1蓄熱器31が第1通路22および第3通路24に連通されるとともに、第2蓄熱器32が第2通路23に連通される第1連通状態にある。
この実施形態の通路切換弁41は、第1通電状態のときに第1通路22と第3通路24を並列に接続する並列接続状態とするとともに第1通路22および第3通路24に対して第2通路23を非連通にする状態と、第2通電状態のときに第1通路22と第3通路24を直列に接続する直列接続状態するとともに第1通路22および第3通路24に対して第2通路23を非連通にする状態で切り換える状態切換手段に相当する。
【0056】
電源は第1ペルチェユニット11が第2通路23を熱移動先とする熱移動を行うとともに、第2ペルチェユニット15が、第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う第2通電状態となるように直流電流を供給する。
第2通電状態では、逆通電の第1ペルチェユニット11において第1熱面部13から第2熱面部14への熱移動が行われ、第1熱交換器19は冷却され、第2熱交換器20は加熱される。
また、第2通電状態では、正通電の第2ペルチェユニット15において第2熱面部18から第1熱面部17への熱移動が行われ、第1熱交換器19から第2熱交換器20へ移動された熱は第3熱交換器21へ移動される。
このため、第1通路22を通る熱媒体は冷却され、第2通路23を通る熱媒体は第1通路22よりも温度が高く、第3通路24は第2通路23を通る熱媒体よりも温度が高くなる。
第1熱交換器19を低温部とし第3熱交換器21が高温部とすると、第2熱交換器20が低温部と高温部との中間の温度となる中温部となる。
【0057】
第1熱交換器19から第2熱交換器20への熱の移動と、第2熱交換器20から第3熱交換器21への熱移動との2段階の同じ方向への熱移動が行われ、これにより第3熱交換器21では消磁位置における第1熱交換器19および第3熱交換器21における温度よりも高い温度となる。
例えば、素子性能としては温度差50℃を作り出すことができる場合であって、第1熱交換器19を出た熱媒体の温度が−10℃となるとき、第3熱交換器21を出る熱媒体の温度は90℃となる。
つまり、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15により第1熱交換器19を出る熱媒体と100℃の温度差が生み出される。
【0058】
第3熱交換器21を出た熱媒体は第1蓄熱器31において蓄熱材Wと熱交換を行い、第1蓄熱器31では蓄熱が行われる。
一方、第2熱交換器20において中温となった熱媒体は第2蓄熱器32において蓄熱材Wと熱交換を行い、第2蓄熱器32では中温の蓄熱が行われる。
【0059】
この実施形態によれば、通路切換弁41のスプール42が第1励磁位置にあり、第2通電状態とする運転では、冷却された熱媒体をペルチェ素子の素子性能に依存する温度差以上となるように加熱することができる。
このため、第1熱交換器19と第3熱交換器21との温度差は大きくなり、特に高い温度の熱媒体を得ることができる。
なお、第1蓄熱器31における蓄熱や第2蓄熱器32における蓄冷は、それぞれ熱交換器などを通して、車両室内の空気調和用の温度調節や給水および給湯器等の熱源として利用することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る熱交換装置50について説明する。
第3の実施形態の熱交換装置は、3つの蓄熱器を備える点、通路切換弁のスプールが2位置に変位される点で第1の実施形態と異なる。
スプールが消磁位置に位置する状態では第1の実施形態と同じであるが、スプールが励磁位置にあるときの各通路の関係が第1の実施形態と異なる。
図5は第3の実施形態に係る熱交換装置50を示し、その構成のうち、第1の実施形態の熱交換装置10と同一の要素については第1の実施形態の説明を援用して共通の符号を用いる。
【0061】
図5に示す熱交換装置50は、第1ペルチェユニット11、第2ペルチェユニット15、第1〜第3熱交換器19〜21、第1〜第6通路22〜26、55、通路切換弁51、第1〜第3蓄熱器31、32、56、第1〜第3ポンプ33、34、57を備えている。
通路切換弁51は、スプール52、第1ソレノイド53、復帰用ばね54を備えた12ポート2位置電磁弁であり、通路切換弁51のスプール52は消磁位置、励磁位置の2位置に変位可能である。
【0062】
第1通路22の一端は通路切換弁51の第1ポートP1と接続されており、他端は第6ポートP6に接続されている。
第2通路23の一端は通路切換弁51の第2ポートP2と接続されており、他端は第5ポートP5に接続されている。
第3通路24の一端は通路切換弁51の第3ポートP3と接続されており、他端は第4ポートP4に接続されている。
【0063】
通路切換弁51の第7ポートP7は第1蓄熱器31を通る熱媒体の第4通路25の一端が接続され、第4通路25の他端は第8ポートP8と接続されている。
第1蓄熱器31の内部には第4通路25における熱媒体と熱交換可能であって、蓄熱可能な蓄熱材Wが収容されている。
第4通路25における第7ポートP7と第1蓄熱器31との間には第1ポンプ33が設けられ、第1ポンプ33は作動により第4通路25の熱媒体を第7ポートP7へ向けて移送する。
【0064】
通路切換弁51の第9ポートP9は第3蓄熱器56を通る熱媒体の第6通路55の一端が接続され、第6通路55の他端は第10ポートP10と接続されている。
第3蓄熱器56の内部には第6通路55における熱媒体と熱交換可能であって、蓄熱可能な第3蓄熱材としての蓄熱材Wが収容されている。
第3蓄熱器56の蓄熱材の温度を検出する温度センサS9を備えている。
第6通路55における第9ポートP9と第3蓄熱器56との間には第3ポンプ57が設けられ、第3ポンプ57は作動により第6通路55の熱媒体を第9ポートP9へ向けて移送する。
【0065】
通路切換弁51の第11ポートP11は第2蓄熱器32を通る熱媒体の第5通路26の一端が接続され、第5通路26の他端は第12ポートP12と接続されている。
第2蓄熱器32の内部には第5通路26における熱媒体と熱交換可能であって、蓄熱可能な第2蓄熱材としての蓄熱材Wが収容されている。
第5通路26における第11ポートP11と第2蓄熱器32との間には第2ポンプ34が設けられており、第2ポンプ34は作動により第5通路26の熱媒体を第11ポートP11へ向けて移送する。
第1蓄熱器31、第2蓄熱器32および第3蓄熱器56に蓄えられた蓄熱(又は蓄冷)は、空気調和等に利用される。
【0066】
この実施の形態では、通路切換弁51のスプール52が消磁位置にあるとき、第1通路22と第3通路24が並列に接続される並列接続状態となるほか、第1通路22と第3通路24は第5通路26と連通する。
つまり、第1熱交換器19、第3熱交換器21および第2蓄熱器32を通る熱媒体の循環回路が構成される。
また、消磁位置では、第2通路23と第6通路55が連通され、第2熱交換器20および第3蓄熱器56を循環する熱媒体の循環回路が構成される。
因みに、通路切換弁51のスプール52が消磁位置にあるとき、第1蓄熱器31および第4通路25は、第1〜第3通路22〜24のいずれとも連通しない。
【0067】
通路切換弁51のスプール52が消磁位置にあるとき、コントローラ35は、第2、第3ポンプ34、57を作動させるとともに、第1ペルチェユニット11および第2ペルチェユニット15が夫々第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う第1通電状態となるように電源を制御する。
このため、第1通路22および第3通路24を通る熱媒体は第1熱交換器19および第3熱交換器21において加熱される。
加熱された熱媒体は第6通路55を通り第3蓄熱器56において蓄熱材Wと熱交換を行い、第3蓄熱器56では蓄熱が行われる。
一方、第2通路23を通る熱媒体は第2熱交換器20において冷却され、冷却された熱媒体は第5通路26を通り、第2蓄熱器32において蓄熱材Wと熱交換を行い、第2蓄熱器32では蓄冷が行われる。
従って、この場合は第1の実施形態においてスプール28が消磁位置で第1通電状態の場合と実質的に同じである。
【0068】
図5に示すように、通路切換弁51のスプール52が、励磁位置にあるとき、第1通路22と第4通路25が連通され、第1熱交換器19と第1蓄熱器31を循環する循環回路が構成される。
スプール52が第1励磁位置とき、第2通路23と第5通路26が連通され、第2熱交換器20と第2蓄熱器32を循環する循環回路が構成される。
さらに、第3通路24と第6通路55が連通され、第3熱交換器21と第3蓄熱器56を循環する循環回路が構成される。
つまり、熱交換装置50は、励磁位置にあるとき第1通路22〜第3通路24における熱媒体を移動可能とする状態であって、第1通路22〜第3通路24との間を互いに非連通とする状態である。
さらに言うと、熱交換装置50は、第1蓄熱器31が第1通路22に連通されるとともに第2蓄熱器32が第2通路23に接続され、さらに第3蓄熱器56が第3通路24に連通される第3連通状態にある。
【0069】
図5に示すように、通路切換弁51のスプール52が励磁位置にあるとき、コントローラ35は、第1〜第3ポンプ33、34、57を作動させるとともに、第1ペルチェユニット11が第2通路23を熱移動先とする熱移動を行うとともに、第2ペルチェユニット15が、第2通路23を熱移動元とする熱移動を行う第2通電状態となるように電源を制御する。
第1ポンプ33の作動により、第1蓄熱器31から出た熱媒体は、通路切換弁51を介して第1熱交換器19を通り、第1熱交換器19を通過後は、通路切換弁51を介して第1蓄熱器31へ戻る。
一方、第2ポンプ34の作動により、第2蓄熱器32から出た熱媒体は第2熱交換器20を通り第2蓄熱器32へ戻る。
一方、第3ポンプ57の作動により、第3蓄熱器56から出た熱媒体は第3熱交換器21を通り第3蓄熱器56へ戻る。
【0070】
第2通電状態では、逆通電により第1ペルチェユニット11において第1熱面部13から第2熱面部14への熱移動が行われ、第1熱交換器19は冷却され、第2熱交換器20は加熱される。
また、第2通電状態では、正通電により第2ペルチェユニット15において第2熱面部18から第1熱面部17への熱移動が行われ、第1熱交換器19から第2熱交換器20へ移動された熱は第3熱交換器21へ移動される。
このため、第1通路22を通る熱媒体は冷却され、第2通路23を通る熱媒体は第1通路22よりも温度が高く、第3通路24は第2通路23を通る熱媒体よりも温度が高くなる。
第1熱交換器19を低温部とし第3熱交換器21が高温部とすると、第2熱交換器20が低温部と高温部との中間の温度となる中温部となる。
【0071】
第1熱交換器19から第2熱交換器20への熱の移動と、第2熱交換器20から第3熱交換器21への熱移動との2段階の同じ方向への熱移動が行われ、これにより第3熱交換器21では消磁位置における第1熱交換器19および第3熱交換器21における温度よりも高い温度となる。
例えば、ペルチェ素子の素子性能としては温度差50℃を作り出すことができる場合であって、第1熱交換器19を出た熱媒体の温度が−10℃となるとき、第2熱交換器20を出た熱媒体の温度は40℃となり、第3熱交換器21を出た熱媒体の温度は90℃となる。
【0072】
第1熱交換器19を出た熱媒体は第1蓄熱器31において蓄熱材Wと熱交換を行い、第1蓄熱器31では蓄熱が行われる。
一方、第2熱交換器20において中温となった熱媒体は第2蓄熱器32において蓄熱材Wと熱交換を行い、第2蓄熱器32では中温の蓄熱が行われる。
第3熱交換器21において高温となった熱媒体は第3蓄熱器56において蓄熱材Wと熱交換を行い、第3蓄熱器56では高温の蓄熱が行われる。
【0073】
この実施形態によれば、通路切換弁51のスプール52を第1励磁位置とし、第2通電状態とする運転では、冷却された熱媒体をペルチェ素子の素子性能に依存する温度差以上となるように加熱することができ、また、3つの蓄熱器31、32、56が備えられていることから低温、中温、高温の蓄熱を行うことができる。
なお、蓄熱又は蓄冷された第1〜第3蓄熱器31、32、56は、それぞれ熱交換器などを通して、車両室内の空気調和用の温度調節や給水および給湯器等の熱源として利用することができる。
【0074】
なお、上記の各実施形態に係る熱交換装置は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、下記のように発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。
○ 上記の第1〜第3の実施形態では、状態切換手段としての通路切換弁は、電磁力を利用して通路切換弁のスプールを変位させて熱媒体の回路を切り換えたが、状態切換手段はこの通路切換弁に限定されない。例えば、各通路を互に連通する連通路をそれぞれ設け、各通路および連通路の開閉を行う開閉弁をそれぞれ設置した状態切換手段としてもよい。この場合、開閉弁の開閉を個別に制御することにより、通路切換弁の切り換えによる熱媒体の循環回路と同じ熱媒体の循環回路を実現することが可能である。
○ 上記の第1〜第3の実施形態では、状態切換手段としてソレノイドを備えた通路切換弁とし、電磁力を利用して通路切換弁のスプールを変位させて熱媒体の回路を切り換えたが、例えば、流体圧シリンダなどソレノイド以外のアクチュエータの作動あるいは手動操作によりスプールを変位させてもよい。
○ 上記の第1〜第3の実施形態では、互いに同じ構成の蓄熱器が複数個設けられたが、蓄熱器は互いに蓄熱材の種類・量や蓄熱能力が異なるようにしてもよい。蓄熱器の数についても複数以上であれば特に限定されない。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、第4通路、第5通路に蓄熱器を接続し、第3の実施形態では、第4通路および第5通路に加えて第6通路に蓄熱器を接続するとしたが、これらの通路に蓄熱器を接続することに限定する趣旨ではない。これらの通路には、例えば、空調や温水のための熱交換装置を接続してもよく、あるいは熱交換装置と蓄熱器を接続して両者を混在させてもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、通路切換弁を、図1に示す第1連通状態および図2に示す第2連通状態のほか、図3に示す連通状態への切り換えが可能な3位置切換弁としたが、通路切換弁は3位置切換弁に限定されない、例えば、通路切換弁は、図1に示す第1連通状態と図2に示す第2連通状態との切り換えのみを行う2位置切換弁であってもよいし、あるいは、図1に示す第1連通状態と図3に示す連通状態との切り換えのみを行う2位置切換弁であってもよい。
○ 上記の第1〜第3の実施形態では、第1ペルチェユニットと第2ペルチェユニットとの2層構造により、各通路の位置関係は、第1通路と第3通路との間に第2通路を挟む積層構造としたが、第1ペルチェユニットと第2ペルチェユニットは2層構造に限定されない。例えば、第2通路における第1ペルチェユニットの下流側に第2ペルチェユニットを設けるようにしてもよい。
○ 上記の第1〜第3実施形態では、第1通路〜第3通路を設け、各通路に対応する熱交換器を設けるようにしたが、通路および熱交換器は3つに限定されず、例えば、通路および熱交換器が3つ以上であってもよい。
○ 上記の第1〜第3の実施形態では、第1通路〜第3通路を設け、これらの各通路が第1蓄熱器又は第2蓄熱器に接続されるとしたが、例えば、第1通路および第2通路のみを設けるようにしてもよい。この場合、第1通路と第1蓄熱器を連結して熱媒体を流し、第2通路と第2蓄熱器を連通して熱媒体を流し、第2通路から第1通路に熱移動する状態と、第1通路と第1蓄熱器を連結して熱媒体を流し、第2通路には熱媒体の流通を停止し、第2通路から第1通路へ熱移動を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10、40、50 熱交換装置
11 第1ペルチェユニット
13、17 第1熱面部
14、18 第2熱面部
15 第2ペルチェユニット
19 第1熱交換器
20 第2熱交換器
21 第3熱交換器
22 第1通路
23 第2通路
24 第3通路
25 第4通路
26 第5通路
27、41、51 通路切換弁
28、42、52 スプール
31 第1蓄熱器
32 第2蓄熱器
55 第6通路
56 第3蓄熱器
P1〜P12 ポート
S1〜S8 温度センサ
W 蓄熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体を通す第1通路と、
熱媒体を通す第2通路と、
熱媒体を通す第3通路と、
前記第1通路と前記第2通路との間にて熱交換可能な第1ペルチェユニットと、
前記第2通路と前記第3通路との間にて熱交換可能な第2ペルチェユニットと、
前記第1ペルチェユニットおよび前記第2ペルチェユニットが共に前記第2通路を熱移動元とする熱移動または前記第2通路を熱移動先とする熱移動のいずれか一方の熱移動を行う第1通電状態と、
前記第1ペルチェユニットおよび前記第2ペルチェユニットの一方が、前記第2通路を熱移動元とする熱移動を行うとともに、他方が前記第2通路を熱移動先とする熱移動を行う第2通電状態と、を切り換える通電切換手段と、を備えたことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記第1通電状態のときに前記第1通路および第3通路に対して第2通路との間を互いに非連通とする状態と、前記第2通電状態のときに前記第2通路と前記第3通路とを連通するとともに、前記第2通路および前記第3通路に対して前記第1通路を非連通にする状態と、を切り換える状態切換手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第1通電状態のときに前記第1通路と前記第3通路を並列に接続する並列接続状態とするとともに前記第1通路および前記第3通路に対して前記第2通路を非連通にする状態と、前記第2通電状態のときに前記第1通路と前記第3通路を直列に接続する直列接続状態とするとともに前記第1通路および第3通路に対して前記第2通路を非連通にする状態と、を切り換える状態切換手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記熱媒体の温度を検出する温度センサを備え、前記熱媒体の温度が第1設定温度に達したとき、前記状態切換手段が前記各状態の切り換えを行うことを特徴とする請求項2又は3記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記熱媒体と熱交換する第1蓄熱材を備えた第1蓄熱器と、
前記熱媒体と熱交換する第2蓄熱材を備えた第2蓄熱器と、
前記第1通電状態のときに前記第1蓄熱器が前記第1通路および前記第3通路に連通されるとともに、前記第2蓄熱器が前記第2通路に連通される第1連通状態と、
前記第2通電状態のときに前記第1蓄熱器が前記第2通路および前記第3通路と連通されるとともに、前記第2蓄熱器が前記第1通路と連通される第2連通状態と、を切り換える蓄熱器切換手段と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記熱媒体と熱交換する第1蓄熱材を備えた第1蓄熱器と、
前記熱媒体と熱交換する第2蓄熱材を備えた第2蓄熱器と、
前記熱媒体と熱交換する第3蓄熱材を備えた第3蓄熱器と、
前記第1通電状態のときに前記第1蓄熱器が前記第1通路および前記第3通路に連通されるとともに、前記第2蓄熱器が前記第2通路に連通される第1連通状態と、
前記第2通電状態のときに前記第1通路が前記第1蓄熱器と連通されるとともに、前記第2通路が前記第2蓄熱器に連通され、かつ前記第3通路が前記第3蓄熱器に連通される第3連通状態と、を切り換える蓄熱器切換手段と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換装置。
【請求項7】
熱媒体を通す第1通路と、
熱媒体を通す第2通路と、
ペルチェ素子を備え、前記第1通路と前記第2通路との間に設けたペルチェユニットと、
前記ペルチェユニットにより加熱された前記第1通路の熱媒体および前記ペルチェユニットにより冷却された前記第2通路の熱媒体をそれぞれ移動させる状態と、前記第1通路の熱媒体を移動させるとともに第2通路の熱媒体の移動を停止させる状態との切り換えを行う状態切換手段と、を備えたことを特徴とする熱交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−185574(P2011−185574A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53461(P2010−53461)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】