説明

熱処理装置

ヒト(3)の頭髪(2)用熱処理装置(1)であって、第1の放熱器(11)及び第2の放熱器(12)を1つずつ備えており、前記第1の放熱器(11)及び前記第2の放熱器(12)は、左側ラジエータ(4)及び右側ラジエータ(5)として頭髪側面(7)に熱(6)をもたらすために、互いに向かい合う構成及び配置になっており、前記左側ラジエータ(4)は、第1の外殻リング型反射器(22)を1つ備えた第1のリング型赤外線ラジエータ(21)を1つ有し、前記右側ラジエータ(5)は、第2の外殻リング型反射器(22.1)を1つ備えた第2のリング型赤外線ラジエータ(21.1)を1つ有し、残りの頭髪の熱処理のために第3の放熱器(13)が少なくとも1つ設けられており、前記頭髪(2)の制限のない処置及び観察と熱処理中のヒト(3)に対する幅広い視覚的自由度とを提供するために、全ての放熱器(11、12、13)がいわゆる開放型デザインで配置された装置において、この種の前記第1の外殻リング型反射器(22)が、第1赤外線スクリーン(31)を少なくとも1つ有すると共に、前記第2の外殻リング型反射器(22.1)が、対称的な鏡像として放射側上に配置された第2の赤外線スクリーン(32)を少なくとも1つ有することと、平均的な生え際の輪郭(36)領域内の放射強度(35)が、前記ヒト(3)の顔面(37)の方向へ向かって緩やかに減少すること(図4)を特徴とする装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の一般名称に従う、ヒトの頭髪の熱処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなタイプの熱を利用して頭髪を処理するための装置は、例えば、EP0372443A2号、EP0156984A1号、EP0072994A1号、及びEP0105785A号により周知なもののように、いわゆる一般的デザインによる非常に多様な実施形態があることで知られており、ヘアサロンで使用されている。
【0003】
US−D477,111−S号による装置では、いわゆるラジエータポットが5つ使われている。このラジエータポットには、赤外線を発生させるための石英チューブが備わっており、またアルミニウム製の反射器が備わっている。ラジエータポット間の位置修正とともに、これらの特色によって、染色、パーマネントウェーブ、及びコンディショニングトリートメントに必要な熱分配を確保する。顧客が可能な限り自由に動くことができ、熱処理装置下で開放感が得られるように、サイドアーム内の両ラジエータポット間の間隔は約457mm(18in)になっている。更に、ネック領域にポットを1つ、顧客の後頭部の上方に背面上方のポットを1つ、及び顧客の前頭部上方に前面上方のポットを1つ有する。
【0004】
これらの装置の短所は、処置を受けているヒトの顔面の少なくとも一部分に、熱放射による望ましくない影響を与えること、及び/又は、製品を加熱することに加え、処置を受けている人の顔面の大部分も熱せられることであると思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的はこの短所がない概ね同等の装置を得ること、及び/又は、本発明の目的は、顧客の頭髪及び毛髪上の製品を可能な限り均一に加熱し、同時に顔面領域への熱放射が回避されるサロン用の専門的熱処理装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その際、以下の一般的な技術的条件が必要になる。
1.熱処理装置は、1つ以上のラジエータ部品で構成させる。
2.ラジエータ部品は、実質的に1つ以上の石英ガラス性ラジエータチューブ、及び1つの反射器から構成させる。
3.頭部の右側及び左側に位置するラジエータ部品は、コスト的な理由により同一のものとし、逆向きの鏡像として取り付ける。従って、対称的な鏡像として設計しなくてはならない。
4.最適化パラメータとなる可能性があるのは、ラジエータ部品の形状、その配置、及びその性能である。
【0007】
これらの一般条件によって、ある放射分布を最適化するための選択肢が大きく制限される。4項目のパラメータに記載したような完全な最適化では、満足する結果には至らない。これは、代表的な放射部品の放射挙動が、原理的には拡散しすぎて満足する輪郭を形成できないという事実による。このため、望ましい方法における放射分布に対して影響を及ぼす、更なる対策が必要である。
【0008】
この課題は、平均的な生え際の輪郭領域内の放射強度が、顔面方向へ向かって緩やかに減少することができる、請求項1に示した部分の特色により解決する。技術的理由との関連で、輪郭領域内における急激な移行により、処置を受けているヒトの動きの自由度はかなり大幅に制限されるであろう。請求項1に記載した本発明の更に有益な利点は、下位クレームに起因している。
【0009】
実施形態例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
【0010】
図1には、第1のリング型赤外線ラジエータ(21)を1つ備えた第1の外殻リング型デフレクター(22)を1つ備えた左側ラジエータ(4)を一望可能な状態で、装置1の透視側面図を示す。第1の外殻リング型反射器(22)には、第1の赤外線スクリーン(31)を1つ、第3のスクリーン(33)を1つ有する。左側ラジエータ(4)及び右側ラジエータ、(5)は、支持アーム(10)が支えている。
【0011】
図2には、放射側上に第1の赤外線スクリーン(31)を1つ、第3のスクリーン(33)を1つ備えた第1のリング型赤外線ラジエータ(21)を1つ備えた単一の左側外殻リング型反射器(22)の平面図が記載されている。
【0012】
図3には、図2のII−IIで切断した外殻リング型反射器(22)を示す。
【0013】
図4には、右側ラジエータ(5)を一望可能な状態で、図1による装置1の反対側透視側面図を示す。
【0014】
図5には、図4による右側外殻リング型反射器(5)の透視詳細表現図を示す。第2赤外線スクリーン(32)(又は第1赤外線スクリーン(31))及び第4赤外線スクリーン(34)(又は第3赤外線スクリーン(33))のを搭載するために、前記スクリーンの各々は、橋部(18)を介して、クランプ(19)を使用して、内側縁部(8)及び第2外殻リング型反射器(22.1)(又は第1外殻リング型反射器(22)の外側縁部(9)に接続している。
【0015】
図6には、ヒト(3)とともに装置1の側面図を示してあり、平均的な生え際の輪郭(36)(点線)(図6、9)領域内の放射強度(35)(図8)は、ヒト(3)の顔面(37)方向へ向かって緩やかに減少している。各放熱器(11〜15)(図6、8)は、カバー(38)を利用して接触を防いでいる。
【0016】
図7には、図6による図を示すが、よりわかりやすくするために、左側ラジエータ(4)及びアーム(10)を取り除き、ヒト(3)を図示しない。
【0017】
図8には、図6による装置1の正面図を示す。
【0018】
これらの図には、ヒト(3)(図6、8)の頭髪(2)の熱処理装置1を示してあり、前記装置は、頭髪側面(7)へ熱(6)をもたらす左側ラジエータ(4)及び右側ラジエータ5(が)互いに向かい合うように形成及び配置された第1放熱器(11)及び第2放熱器(12)の各1つから構成されている(図8)。左側ラジエータ(4)には、第1の外殻リング型反射器(22)を1つ備えた第1のリング型赤外線ラジエータ(21)を1つ有し、右側ラジエータ(5)には、第2リング型赤外線ラジエータ(22.1)を1つ有し、残りの頭髪の熱処理のために、第3放熱器(13)が少なくとも1つ配置されている(図8)。全放熱器(11、12、13)は、頭髪(2)の制限のない処置及び観察と、熱処理中の前記ヒト(3)に対する幅広い視覚的自由度とを提供するために、いわゆる開放型デザインで配置されている。従って、第1の外殻リング型反射器(22)には、第1の赤外線スクリーン(31)(図1)を少なくとも1つ有し、第2の外殻リング型反射器(22.1)には、第2の赤外線スクリーン(32)(図4)を少なくとも1つ有し、第2の赤外線スクリーン(32)(図4)は、平均的な生え際の輪郭(36)(点線)(図6、9)領域内の放射強度(35)(図8)が、前記ヒト(3)の顔面(37)の方向へ向かって緩やかに減少するように、対称的な鏡像として放射側上に配置されている。
【0019】
左側ラジエータ(4)の第1の赤外線スクリーン(31)は、垂直線Sから時計回りに、約20度(α1)から始まり約55度(α2)まで続く(図2)右上側40度の角度要素を有し、右側ラジエータ(5)の第2赤外線スクリーン(32)は、対称的な鏡像で配置されている(図4)。
【0020】
第1の外殻リング型反射器(22)(図2)は第3の赤外線スクリーン(33)を1つ有し、第2の外殻リング型反射器(22.1)(図5)は、対称的な鏡像として放射側上に配置されている第4赤外線スクリーン(34)を有する。
【0021】
左側ラジエータ(4)の第3の赤外線スクリーン(33)は、垂直線Sから時計方向に、約175度(β1)から始まり約205度(β2)まで続く(図2)左側30度角度部分を有する。
【0022】
第1赤外線スクリーン(31)又は第2の赤外線スクリーン(32)は、第1外殻リング型反射器(22)又は第2の外殻リング型反射器(22.1)の内側縁部(8)から、ほぼ第1リング型赤外線ラジエータ(21)又は第2リング型赤外線ラジエータ(21.1)まで延びる幅(E)を有する(図2)。
【0023】
第3赤外線スクリーン(33)又は第4赤外線スクリーン(34)は、第1外殻リング型反射器(22)又は第2外殻リング型反射器(22.1)の内側縁部(8)から、ほぼ第1リング型赤外線ラジエータ(21)又は第2リング型赤外線ラジエータ(21.1)と第1外殻リング型反射器(22)又は第2外殻リング型反射器(22.1)の外側縁部(9)の間まで延びる幅(F)を有する(図2)。
【0024】
各放熱器(11〜15)はラウンドポット(20)のデザインを有し、前記ラウンドポット(20)の直径(D)(図4、8)は、約250mm(9.8in)である。
【0025】
各放熱器(11〜15)にはファン(23)を有する。
【0026】
左側ラジエータ(4)及び右側ラジエータ(5)は、2つの赤外線ラジエータ半円部(24、25)を有し、赤外線ラジエータ半円部(24、25)の半円軸(B)は、対称的な鏡像として、水平線(W)に対して約25度の角度(γ)で回転する(図2)。
【0027】
赤外線ラジエータ半円部(24、25)は互いに独立して電気エネルギーで調節でき、装置1の通常動作において、電気的接続部(16、17)により上方の赤外線ラジエータ半円部(24)を125ワットの約70%で作動させ、下方の赤外線ラジエータ半円部(25)を125ワットの約30%で作動させ、それにより、処置を受けているヒト(3)の顔面(37)方向中の生え際領域において、より弱い赤外線密度で放射が緩やかに減少する(図9)よう維持させる。
【0028】
本発明の効果
1.設計手法のおかげで、製品による影響を受ける領域(頭髪2)に対して、処置を受けているヒト(3)の顔面領域(37)における放射強度(35)が極めて低下する(図9)。
2.外殻リング型反射器(22、22.1)の特殊な形状により、赤外線ラジエータ(21、21.1)の力でラジエータ(11〜15)の所要放射分布を得られる。
3.各外殻リング型反射器(22、22.1)前方の少なくとも1つのスクリーン(31、32)により、左右両側のラジエータ(4、5)での緩やかな放射減少を得られる。
4.処置を受けているヒト(3)の顔面(37)の方向に向かって、生え際領域における放射強度(35)の低下が緩やかに起こる(図9)。
5.異なる赤外線密度で作動する2つの赤外線ラジエータ(21、21.1)が、各側面ラジエータ(4、5)に装備されており、処置を受けているヒト(3)の顔面(37)方向に向かって、生え際領域におけるより弱い赤外線密度の放射が緩やかに減少する(図9)ことが維持される。
【0029】
【表1】

【0030】
以下について図示する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】左側の側面ラジエータを一望可能な状態で、装置の透視側面図。
【図2】リング型赤外線ラジエータを1つ、並びに第1及び第3の赤外線スクリーンを1つずつ備えた、左側ラジエータの左側外殻リング型反射器の平面図。
【図3】図2のII−IIで切断した外殻リング型反射器。
【図4】右側ラジエータの図を一望可能な状態で、図1による装置の反対側透視側面図。
【図5】図4による右側外殻リング型反射器の透視詳細表現図。
【図6】ヒトとともに、前記装置の側面図。
【図7】図6による図を示すが、左側ラジエータ及びアームを取り除き、ヒト(3)は記載していない。
【図8】図6による装置の正面図。
【図9】頭部と放射分布の側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト(3)の頭髪(2)用熱処理装置(1)であって、第1の放熱器(11)及び第2の放熱器(12)を1つずつ備えており、前記第1の放熱器(11)及び前記第2の放熱器(12)は、左側ラジエータ(4)及び右側ラジエータ(5)として頭髪側面(7)に熱(6)をもたらすために、互いに向かい合う構成及び配置になっており、前記左側ラジエータ(4)は、第1の外殻リング型反射器(22)を1つ備えた第1のリング型赤外線ラジエータ(21)を1つ有し、前記右側ラジエータ(5)は、第2の外殻リング型反射器(22.1)を1つ備えた第2のリング型赤外線ラジエータ(21.1)を1つ有し、残りの頭髪の熱処理のために第3の放熱器(13)が少なくとも1つ設けられており、前記頭髪(2)の制限のない処置及び観察と熱処理中の前記ヒト(3)に対する幅広い視覚的自由度とを提供するために、全ての前記放熱器(11、12、13)がいわゆる開放型デザインで配置された装置において、
この種の前記第1の外殻リング型反射器(22)が第1赤外線スクリーン(31)を少なくとも1つ有すると共に、前記第2の外殻リング型反射器(22.1)が対称的な鏡像として放射側上に配置された第2の赤外線スクリーン(32)を少なくとも1つ有することと、
平均的な生え際の輪郭(36)領域内の放射強度(35)が、前記ヒト(3)の顔面(37)の方向へ向かって緩やかに減少することと
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記左側ラジエータ(4)の前記第1の赤外線スクリーン(31)は、垂直線(S)から時計方向に約20度(α1)から始まり約55度(α2)まで続く右上側40度の角度要素を有し、
前記第1の外殻リング型反射器(22)は、第3赤外線スクリーン(33)を1つ有し、
前記左側ラジエータ(4)の前記第3赤外線スクリーン(33)は、垂直線(S)から時計方向に約175度(β1)から始まり約205度(β2)まで続く左下側30度の角度部分を有し、
前記右側ラジエータ(5)は、前記第2の赤外線スクリーン(32)及び第4の赤外線スクリーン(34)とともに、対称的な鏡像として、前記左側ラジエータ(4)に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の赤外線スクリーン(31)又は前記第2の赤外線スクリーン(32)は、前記第1の外殻リング型反射器(22)又は前記第2の外殻リング型反射器(22.1)の内側縁部(8)から、ほぼ前記第1のリング型赤外線ラジエータ(21)又は前記第2のリング型赤外線ラジエータ(21.1)まで延びる幅(E)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
第3の赤外線スクリーン(33)又は第4の赤外線スクリーン(34)は、前記第1の外殻リング型反射器(22)又は前記第2の外殻リング型反射器(22.1)の内側縁部(8)から、ほぼ前記第1のリング型赤外線ラジエータ(21)又は前記第2のリング型赤外線ラジエータ(21.1)と前記第1の外殻リング型反射器(22)又は前記第2の外殻リング型反射器(22.1)の外側縁部(9)との間まで延びる幅(F)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
各放熱器(11〜15)は、ラウンドポット(20)のデザインを有しており、好ましくは約250mm(9.8in)の直径(D)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
各放熱器(11〜15)は、ファン(23)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記左側ラジエータ(4)及び前記右側ラジエータ(5)は、2つの赤外線ラジエータ半円部(24、25)を有し、
前記赤外線ラジエータ半円部(24、25)の1つの半円軸(B)は、対称的な鏡像として、水平線(W)に対して約25度の角度(γ)で回転し、
任意に、前記赤外線ラジエータ半円部(24、25)は、互いに独立して電気エネルギーで調節できるようになっており、
任意に、上方の前記赤外線ラジエータ半円部(24)を125ワットの約70%で作動させ、下方の前記赤外線ラジエータ半円部(25)を125ワットの約30%で作動させる、請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−531106(P2008−531106A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556695(P2007−556695)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050503
【国際公開番号】WO2006/090306
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】