説明

熱分析装置

【課題】室温以下の冷却域での測定をせず、加熱炉を室温以下に冷却する必要がない熱分析装置においても、簡単な構成で新たな試料の分析を始めるまでの時間を短縮することができる熱分析装置を提供する。
【解決手段】測定対象となる物質を収納する加熱炉34と、加熱炉34内を加熱させる加熱手段56とを備える熱分析装置30において、加熱炉34へパージガスを導入するパージガス導入管39が設けられ、加熱炉34内を分析開始時の温度にまで冷却するための冷却装置70が設けられ、冷却装置70は、加熱炉34に導入されるパージガスを冷却することによって加熱炉34内を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料を加熱して物理特性や化学特性を分析する熱分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の物理特性や化学特性を分析する熱分析装置の一例として、特許文献1および特許文献2に記載された構成の装置が挙げられる。
これらの文献に記載された熱分析装置では、試料を配置して加熱する加熱炉が設けられているが、試料を室温以下に冷却して測定を行うために加熱炉を加熱する加熱装置だけではなく、加熱炉を冷却する冷却装置も設けられている。
【0003】
特許文献1および特許文献2に開示された冷却装置においては、冷却装置として液体窒素等の冷媒を用いる点や、ヒートシンクにファンによって強制的に空気をあてて空冷する点が開示されている。
【0004】
ところで、特許文献3および特許文献4に示すような熱分析装置では、試料を室温以下の冷却域で測定することはなく、あくまで加熱のみを行うようにしている。したがって、特に特許文献1や特許文献2に示されるような冷却装置は設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−32441号公報
【特許文献2】特開平11−174009号公報
【特許文献3】特開2008−107328号公報
【特許文献4】特開2009−14404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1や特許文献2に開示された熱分析装置では、室温以下の温度においても熱分析を実行するために、加熱炉を積極的に冷却する必要があり、冷却装置が設けられていた。
【0007】
一方、加熱時の熱分析のみを実行する特許文献3や特許文献4に示すような熱分析装置においては、積極的に加熱炉を冷却する冷却装置は必要ではない。
しかし、所定の試料の熱分析が終了した後、次の試料の熱分析を実行しようとする場合に自然に室温まで冷却するのを待っていたのでは時間がかかりすぎてしまい、分析の効率が上がらない。
【0008】
ところが、加熱時の熱分析のみを実行する特許文献3や特許文献4の熱分析装置に、特許文献1や特許文献2の冷却装置を採用したとしても装置が大がかりになりすぎてしまう。すなわち、単に加熱炉の温度を室温程度に戻す際の時間短縮を図るために大がかりな冷却装置を採用してしまうと、装置の性能に見合わない大型化やコストアップにつながるという課題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、室温以下の冷却域での測定をせず、加熱炉を室温以下に冷却する必要がない熱分析装置においても、簡単な構成で新たな試料の分析を始めるまでの時間を短縮することができる熱分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成すべく、以下の構成を備える。
すなわち、本発明にかかる熱分析装置によれば、測定対象となる物質を収納する加熱炉と、該加熱炉内を加熱させる加熱手段とを備える熱分析装置において、前記加熱炉へパージガスを導入するパージガス導入管が設けられ、前記加熱炉内を分析開始時の温度にまで冷却するための冷却装置が設けられ、該冷却装置は、加熱炉に導入されるパージガスを冷却することによって加熱炉内を冷却することを特徴としている。
この構成を採用することによって、ある試料の熱分析が終了したのち、次の試料を熱分析するまでに加熱炉内を熱分析開始時の温度にまで短時間で下げることができる。また、熱分析終了後の加熱炉内の冷却は、熱分析中に用いられるパージガスを冷却して利用することとしたため、大がかりな構成とならず、装置の大型化やコストアップにつながらないようにすることができる。
【0011】
さらに、前記冷却装置は、前記パージガス導入管から分岐した分岐管に設けられ、ボルテックスの原理を利用してパージガスから冷風および温風を生成するボルテックスチューブであり、該ボルテックスチューブで生成された冷風を前記加熱炉内に導入させる冷風導入管が設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、特に駆動部品が必要でないボルテックスチューブを用いるので、消費エネルギーの削減を果たすことができ、またボルテックスチューブがコンパクトな構成なので装置全体が大型化しないようにすることができる。
【0012】
なお、前記加熱炉内には湿度計が設けられ、前記ボルテックスチューブで生成された温風を前記加熱炉内に導入させる温風導入管が設けられ、前記冷風導入管には、前記加熱炉内に導入させる冷風の流量を制御する第1の制御バルブが設けられ、前記温風導入管には、前記加熱炉内に導入させる温風の流量を制御する第2の制御バルブが設けられ、前記湿度計で測定された加熱炉内の湿度に基づいて、前記第1の制御バルブの開度と前記第2の制御バルブの開度とをそれぞれ制御して、加熱炉内に導入されるエアの温度が所定温度となるようにミキシングして加熱炉内の結露を防止するための制御手段が設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、ボルテックスチューブによって発生された温風も利用して加熱炉内の結露を防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる熱分析装置によれば、新たな試料の分析を始めるまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態にかかる熱分析装置の構成を示す説明図である。
【図2】冷却装置の一例としてのボルテックスチューブの断面図である。
【図3】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態にかかる熱分析装置の構成を示す説明図である。
【図5】第3の実施形態においてオイルミスト量の測定方法を説明するフローチャートである。
【図6】示差熱分析について説明するフローチャートである。
【図7】DTA曲線の例を示すグラフである。
【図8】DTA曲線のピーク部の面積算出方法について説明する説明図である。
【図9】DTA曲線のピーク部の面積とオイル量との関係を示すグラフである。
【図10】第3の実施形態のオイルミスト濃度測定装置の構成を示す構成図である。
【図11】収納部の構成を示す説明図である。
【図12】図11の収納部について、濾紙部分を開放したところを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の熱分析装置として、試料の特性を分析する示差熱分析装置を例に挙げる。図1に熱分析装置30の構成を示す。なお、図1では、気体が流通する管路を実線で図示し、電気信号の接続ラインは破線で図示している。
【0016】
熱分析装置30は、熱的に安定した標準物質Aと、測定対象となる試料Bを一定速度で加熱したときの両者の温度差の変化を測定して試料の特性を分析するものである。
【0017】
熱分析装置30は、示差熱分析を行うための加熱炉34を備えている。加熱炉34内には測定対象となる試料Bを収納する収納部66と、標準物質Aを収納する収納部68とが設けられている。
なお、示差熱分析中においては、標準物質Aと試料Bとを入れた加熱炉34内にパージガスを導入し、熱分析を実行するようにしている。
【0018】
熱分析装置30には、標準物質Aと試料Bを載置する試料台53と、試料台53に連結された電子天秤51とを有する熱質量分析部57が設けられている。
熱質量分析部57では、加熱炉34内の温度変化または加熱開始からの時間経過に基づいて、標準物質Aと試料Bの質量変化を測定する。
【0019】
パージガスを加熱炉34内に導入させるパージガス導入管39の一端側は、エアコンプレッサ等のガス供給源に接続する導入口35が設けられている。導入口35の下流側には制御バルブ38が設けられており、パージガス導入管39の開閉制御をしている。
また、パージガス導入管39の制御バルブ38の下流側には、フィルタ40、流量制御バルブ42および逆止弁44が設けられている。流量制御バルブ42としては、マスフロメータやオリフィスなどを用いることができる。
パージガス導入管39は、逆止弁44の下流側で加熱炉34に接続されている。
【0020】
パージガス導入管39のフィルタ40の下流側には、分岐管69が接続されている。分岐管69には、パージガスを冷却するための冷却装置70が設けられている。冷却装置70とフィルタ40のとの間には分岐管69を開閉制御する制御バルブ72が設けられている。制御バルブ72が開のときは、パージガス導入管39から分岐管69へパージガスが導入され、制御バルブ72が閉のときは、分岐管69へはパージガスが導入されない。
分岐管69は、冷却装置70の冷風が吐出される部位に接続されている冷風導入管80を介して加熱炉34に接続されている。
【0021】
加熱炉34には、加熱炉34内に導入されたパージガスを排出するためのパージガス排出管52が接続されている。パージガス排出管52には、制御バルブ54が設けられており、パージガス排出管52の開閉制御をしている。
【0022】
加熱炉34内には加熱手段であるヒータ56が設けられている。ヒータ56は、加熱炉34内を所定温度(数百℃程度)まで加熱可能な性能を有しており、制御装置32によって制御される。
また、試料Bの収納部66と、標準物質Aの収納部68には、それぞれの温度を検出するための温度センサ60,62が設けられている。両温度センサ60,62は、制御装置32に接続されており、制御装置32では検出された各温度を取り込んで示差熱分析に用いることができる。
【0023】
続いて冷却装置70の具体例を図2に示す。
本実施形態では、パージガスの冷却装置70としてボルテックスの原理を利用してパージガスから冷風および温風を生成するボルテックスチューブを採用している。
ボルテックスチューブ70は、パージガス(圧縮空気)を導入する導入口74と、温風を排出する温風排出口75と、冷風を排出する冷風排出口76とが形成された筒状の部材77で構成されている。
また、筒状の部材77の内径側には、螺旋状の溝などによって通過するガスを旋回させる旋回チューブ79が形成されている。
【0024】
筒状の部材77の一端が温風排出口75であり、他端が冷風排出口76である。温風排出口75の内部には、バルブ78が設けられている。また、導入口74は、筒状の部材77の側面の冷風排出口76寄りの位置に設けられている。バルブ78の開度を調整することによって、温風と冷風の吹き出す割合を調整することができる。
冷風排出口76には冷風導入管80の一端が接続されており、冷風導入管80の他端は、加熱炉34に接続されている。
【0025】
以下、ボルテックスチューブ70の動作について説明する。
ボルテックスチューブ70には、圧縮空気であるパージガスが導入口74から導入される。導入されたパージガスは、温風排出口75に連通している旋回チューブ79内で旋回しつつ温風排出口75方向に向かう。このときのパージガスの速度はほぼ音速に近い速度となっている。
旋回チューブ79内では、導入されたパージガスが旋回チューブ79の内壁面に沿って旋回している。温風排出口75の手前に設けられたバルブ78によって旋回チューブ79の中心付近のパージガスの流れは反転し、旋回チューブ79の中心付近を反対方向に向けて旋回して流れる。バルブ78の外側の流れは、温風排出口75から排出される。
【0026】
旋回チューブ79内の外側で旋回するパージガスは、内側で反対方向に向かうパージガスを強制的に回転させており、双方とも同じ方向、角速度で回転している。
このとき、外側で回転するパージガスと、内側で回転するパージガスとでは、同じ角速度で回転しているので、外側で回転しているパージガスの方が内側で回転しているパージガスよりも運動エネルギーが大きくなる。
【0027】
このように、温風排出口75方向に向かう流れは運動エネルギーが大きくなるので高温であり、冷風排出口76方向に向かう流れは運動エネルギーが小さくなるので低温になる。
こうして、ボルテックスチューブ70にパージガスを導入すると、導入されたパージガスは温風と冷風とに分離してそれぞれ吐出される。
本実施形態では、ボルテックスチューブ70の冷風排出口76が冷風導入管80を介して加熱炉34に接続され、冷却されたパージガスが加熱炉34に導入される。
【0028】
図3に、制御装置32のブロック図を示す。制御装置32が特許請求の範囲でいう制御手段に該当する。
制御装置32は、制御バルブ38、制御バルブ54および制御バルブ72の開閉動作を制御する制御信号を出力してバルブ制御ができる。また制御装置32はヒータ56の制御を実行すべくヒータ56へ制御信号を出力することができる。さらに制御装置32には、温度センサ60、62によって検出された温度データが入力され、ROM22やRAM24に記憶させておくことができる。
【0029】
制御装置32は、制御動作を実行するCPU20、ROM22およびRAM24から構成されるメモリ、ハードディスク等の記憶装置23を備えており、ROM22やハードディスク23などに予め記憶させておいた制御プログラム27をCPU20が読み出して実行することにより、熱分析装置30全体の動作を制御することができる。
【0030】
熱分析装置30が、熱分析を実行する際には、まず作業者が加熱炉34内の収納部66に試料Bを配置し、収納部68に標準物質Aを配置する。
そして、制御装置32は、ヒータ56を導通して加熱炉34を加熱し、温度センサ60、62によって温度測定を実行する。この温度測定の実行中は制御バルブ38を開いてパージガスをパージガス導入管39から加熱炉34内に導入する。なお、温度測定の実行中は、制御バルブ72は閉じておき、冷却されたパージガスが加熱炉34内に導入されないようにしておく。同様に、温度測定の実行中は制御バルブ54も閉じておき、加熱炉34内の温度変化が生じ無いようにしておく。
【0031】
温度測定が終了し、ヒータ56による加熱も終了すると、制御装置32は、制御バルブ72を開き、パージガスを分岐管69へも流すようにする。すると、分岐管69を流れるパージガスは冷却装置70によって冷却され、加熱炉34内に導入される。この冷却されたパージガス(冷風)によって加熱炉34内が冷却される。
なお、冷却装置70によって加熱炉34内に導入された、冷却されたパージガスは、パージガス排出管52から排出される。
【0032】
温度センサ60,62によって、加熱炉34内の温度が示差熱分析の開始時の温度に到達したと制御装置32が判断した場合には、制御装置32は、制御バルブ72を閉じ、冷風の加熱炉34内への導入を終了する。
【0033】
例えば、ヒータ56による加熱終了時に加熱炉34内の温度が400℃程度であったとする。従来の自然冷却によっての冷却方法では、400℃を室温である20℃に下げるには、90分〜120分の時間が必要であった。
しかし、上述したように冷却装置70によって冷却されたパージガスを加熱炉34内に導入する場合には、400℃の加熱炉34が20℃になるまでの時間は約20分であった。
したがって、本実施形態では、簡単な構成でありながら、熱分析が終了してから次の熱分析を実行するまでの時間を短縮することができ、分析効率の向上を図ることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、ボルテックスチューブから吹き出す温風を利用した結露防止機能を有する実施形態の熱分析装置について、図4に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
本実施形態では、冷却装置であるボルテックスチューブ70の冷風排出口76に設けられた冷風導入管80は、制御バルブ82を介して加熱炉34に接続されている。このため制御バルブ82の開度を調整することによって、加熱炉34内に導入される冷風の量を調整できる。
【0035】
また、ボルテックスチューブ70の温風排出口75には、加熱炉34に温風を導入するための温風導入管84が接続されている。また、温風導入管84には、制御バルブ86が設けられている。
【0036】
なお、ボルテックスチューブ70は、構造上、発生させる冷風の流量と発生させる温風の流量との和が一定となるものである。したがって、制御バルブ82の開度を調整して加熱炉34内に導入される冷風の量を調整した場合、その調整した分だけ温風の流量が増減してしまう。
そこで、温風導入管84の制御バルブ86は、温風を排気する排気回路を設け、排気回路の排気孔89からボルテックスチューブ70の温風排出口75から吐出された温風を排気して、温風の流量を制御している。また、温風導入管84の制御バルブ86の制御は開度調整によって行うのではなく、排気孔89の開閉のオン−オフの頻度によって実行している。
【0037】
加熱炉34内には、湿度計91が設けられている。湿度計91が検出した湿度は、制御装置32に入力される。
制御装置32は、熱分析が終了したのち、室温程度にまで加熱炉34内を冷却する際に、冷却によって加熱炉34内が結露してしまうことを防止すべく、湿度計91の湿度に基づいて、ボルテックスチューブ70から導入されるパージエアの温度を制御する。
【0038】
以下、結露を防止するための制御装置32の制御動作について説明する。
温度測定が終了し、ヒータ56による加熱も終了すると、制御装置32は、制御バルブ72を開き、パージガスを分岐管69へも流すようにする。すると、分岐管69を流れるパージガスは冷却装置70によって冷却され、加熱炉34内に導入される。この冷却されたパージガスによって加熱炉34内が冷却される。
制御装置32は、冷却中の加熱炉34内の湿度を湿度計91によって常時検出している。
【0039】
加熱炉34内が急激に冷却されると加熱炉34内の湿度が上昇し、加熱炉34内で結露が生じてしまうおそれがある。
そこで、制御装置32は、湿度計91によって検出される加熱炉34内の湿度を常時検出し、湿度計91で検出した湿度に基づいて冷風導入管80から導入される冷風と温風導入管84から導入される温風とをミキシングし、急激な温度の低下を防止するように冷風導入管80の制御バルブ82の開度を制御するとともに、温風導入管84の制御バルブ86の排気孔89の開閉頻度を調整している。
【0040】
例えば、冷却開始当初は、制御装置32は、温風導入管84の制御バルブ86の排気孔89が常時開いているように制御して温風が加熱炉34内に導入されないようにし、且つ冷風導入管80の制御バルブ82を開き、冷風のみが加熱炉34内に導入するようにする。
そして、制御装置32は、湿度計91が検出する加熱炉34内の湿度に基づいて、結露が生じるおそれのある湿度になったときは、温風導入管84の制御バルブ86の排気孔89の開閉を繰り返し、温風も加熱炉34内に導入するようにして加熱炉34内の温度低下を防止することで湿度の上昇を防ぎ、結露が発生しないようにする。また、制御装置32は、このとき温風導入管84の制御バルブ86の排気孔89を閉じて温風を全て加熱炉34に導入するとともに、冷風導入管80の制御バルブ82を閉じる方向に制御してもよい。
【0041】
制御装置32は、湿度計91が検出する加熱炉34内の湿度に基づいて、結露が生じるおそれがなくなったと判断したときには、温風導入管84の制御バルブ86の排気孔89を閉じて冷風導入管80からの冷風のみが加熱炉34に導入されるように制御する。
【0042】
このように、制御装置32は、湿度計91が検出する湿度に基づいて、温風導入管84の制御バルブ86の排気孔89の開閉および冷風導入管80の制御バルブ82の開閉(開度)を制御することで、加熱炉34内の冷却時の結露を防止しつつ、加熱炉34内の冷却時間を短縮することができる。
【0043】
温度センサ60,62によって、加熱炉34内の温度が示差熱分析の開始時の温度に到達したと制御装置32が判断した場合には、制御装置32は、制御バルブ72を閉じ、冷風の加熱炉34内への導入を終了する。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、本発明の熱分析装置を、気体中のオイルミストの含有量を測定するオイルミスト濃度測定装置に適用させた実施形態について説明する。
本実施形態のオイルミスト濃度測定装置は、工作機械を作動させている工場内の空気や、エアーコンプレッサーが供給する圧縮空気など、オイルミストが含まれる可能性がある気体について、オイルミスト濃度を測定するものである。
【0045】
まず、オイルミスト濃度の測定方法の工程を説明する概略の説明図を図5に示す。
まず、オイルミスト濃度の測定対象となる気体に対して耐熱性濾紙を設置し、所定時間オイルミストを捕集する(ステップS100)。また、オイルミストの捕集時間における気体の流量も同時に測定しておく。
次に、捕集したオイルミストを示差熱分析にかける(ステップS102)。示差熱分析の具体的内容については後述するが、示差熱分析とは、熱的に安定した標準物質と、測定対象となる試料を一定速度で加熱したときの両者の温度差の変化を測定するものである。
なお、本実施形態において標準物質としては、酸化アルミニウムを採用している。
この示差熱分析を実行するのが、本発明の熱分析装置である。
【0046】
そして、示差熱分析によって得られたDTA曲線のピーク部の面積を測定する(ステップS104)。ここで、DTA(differential thermal analysis)曲線とは、縦軸にオイルミストの温度と標準物質との温度差をとり、横軸に加熱温度をとったものを指している。加熱温度は加熱時間と比例するように一定速度で加熱するように設定している。
【0047】
なお、DTA曲線のピーク部の面積とオイルミスト量との関係については予め測定しておく。実験によると、DTA曲線のピーク部の面積とオイルミスト量とはほぼ比例関係にあることが確認できた。
そこで、ステップS104において得られた実際のDTA曲線のピーク部の面積を、予め測定しておいたDTA曲線のピーク部の面積とオイルミスト量との関係式に代入し、オイルミスト量を算出する(ステップS106)。
【0048】
上述してきた示差熱分析法によってオイルミスト量が算出されると、算出されたオイルミスト量をステップS101で測定しておいた捕集時間中に流れた気体流量で除算する(ステップS108)。これにより、測定対象となった気体のオイルミスト濃度が算出される。
【0049】
次に、図6に基づいて、示差熱分析の具体的な内容について説明する。
オイルミストを捕集した耐熱性濾紙と、標準物質とを加熱炉に収納する(ステップS200)。耐熱性濾紙としては、示差熱分析による加熱に対して耐熱性のあるバインダーフリーのガラス繊維を採用する。また、標準物質としては上記のように熱的に安定している酸化アルミニウムを用いる。
【0050】
加熱炉内に、パージガスを導入しながら、一定時間で加熱温度を一定温度ずつ上昇させて加熱を行う(ステップS202)。パージガスとしては、酸素が含有されている気体を用いる。本実施形態では、通常の大気をパージガスとして用いるが、酸素が含有されていればパージガスとして通常の大気に限定するものではない。酸素を含有したパージガスを導入することで、オイルミストは所定温度に達したときに酸素と結合して燃焼し、DTA曲線において大きなピーク部を形成することができる。
加熱中は、オイルミストと標準物質の双方の温度を測定する(ステップS204)。ただし、オイルミストや標準物質の温度は、耐熱性濾紙および標準物質を載置した皿に、温度センサである熱電対を取り付け、熱電対の出力電流を測定することによって得られる。
【0051】
続いて、オイルミストの温度と標準物質の温度差を算出する(ステップS206)。
そして、縦軸にオイルミストの温度と標準物質との温度差をとり、横軸に加熱温度をとったDTA曲線を作成する(ステップS208)。
【0052】
図7に、DTA曲線について示す。
このDTA曲線は、横軸に加熱容器内の温度(℃)をとり、縦軸にオイルミストと標準物質の温度差を表した熱電対の出力電圧(μV)をとったものについて示している。
また、ここではDTA曲線と同時に試料であるオイルミストの質量の変化であるTGA(Thermo Gravimetry Analysis)曲線についても示している。
【0053】
図7を見ると、DTA曲線の250℃付近までは温度差がマイナスになっている。これは標準物質の方がオイルミストよりも温度が上昇していることを示している。その後、DTA曲線は、プラス側に上昇して山型のピークをつくっている。そして300℃の手前で再び温度差がマイナスになり、標準物質の方が温度が高くなっている。
【0054】
TGA曲線を見ると、1.4mgで移行していたオイルミストの質量が、温度が250℃付近で急激に下降し、最終的にほぼ0mgまで移行している。このように、TGA曲線の立ち下がり時は、DTA曲線のピーク時とほぼ一致する。
したがって、これらの内容から勘案すると、オイルミストは所定の温度に到達した時点でパージガスの酸素と結合して燃焼を起こし、温度が急激に上昇してDTA曲線のピークをつくるとともに、燃焼によって質量が急激に減少するものと考えられる。
【0055】
続いて、図8に基づいて、DTA曲線におけるピーク部の面積の算出方法について説明する。
DTA曲線のピーク部の面積Sは、ピーク前の最小値DTAmin1と、ピーク後の最小値DTAmin2との間のDTA曲線に囲まれた部分の面積を算出してもよいが、ピーク部を境にしてDTA曲線に囲まれた部分の前半部分だけの面積S’をピーク部の面積としてもよい。
このピーク部の前半部分だけをピーク部の面積として用いる場合、ピーク値DTAmaxと、ピーク前の最小値DTAmin1との間の面積S’を算出する。
【0056】
このピーク部の面積SまたはS’の算出には、加熱温度と温度差(熱電対の出力電圧)の関数を算出し、この関数に基づく積分によって算出することもできるが、積分による算出は、関数の算出に手間がかかる。
そこで、ピーク部の温度差(熱電対の出力電圧)を所定間隔おきに抽出し、この抽出した温度差の値を加算していくことで求めると好適である。
【0057】
図9に、ピーク部の面積とオイルミスト量の関係とについて示す。
図9のグラフでは、横軸にDTA曲線のピーク部の面積をとり、縦軸にオイルミスト量(mg)をとっている。なお、ここでのピーク部の面積は、上述したように、ピーク値DTAmaxと、ピーク前の最小値DTAmin1との間の面積S’のことである。
図9のグラフで示されたように、オイルミスト量は、ピーク部の面積S’にほぼ比例し、ピーク部の面積S’に関する一次関数(y=ax+b)で表すことができる。したがって、ピーク部の面積S’の算出ができれば、オイルミスト量は極めて容易に算出することができる。
【0058】
次に、上述したオイルミスト濃度の測定方法を実行する熱分析装置の構成について、図10に基づいて説明する。
ただし、第1の実施形態および第2の実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0059】
熱分析装置(以下、オイルミスト濃度測定装置と称する)30は、オイルミストを捕集するオイルミスト捕集装置と、捕集されたオイルミストの濃度測定を示差熱分析で行う示差熱分析装置が1つの装置に一体となっている構成を採用した。このため、コンパクトな構成となり、しかも手間をかけずに測定ができる。さらに、本実施形態のオイルミスト濃度測定装置30は、オイルミストを含む気体を吐出する機器に直接接続してオイルミスト濃度の測定が可能である。したがって、当該機器が設置されている現場にオイルミスト濃度測定装置30を運搬して現場での測定が可能となった。
【0060】
オイルミスト濃度測定装置30の具体的な構成について説明する。
オイルミスト濃度測定装置30は、示差熱分析を行うための加熱炉34を備え、加熱炉34には測定対象となるオイルミストを含む気体(以下、サンプルエアと称する場合がある)を流入させる流入管36が接続されている。流入管36の先端部には、サンプルエアを吐出する機器の配管に接続可能な導入口35が設けられている。このため、例えば、エアーコンプレッサーのオイルミスト量の測定をしようとする場合、エアーコンプレッサーの吐出管に導入口35を接続させることで、サンプルエアを容易に加熱炉34内に流入させることができる。
【0061】
流入管36は、制御バルブ38が設けられており、制御バルブ38によってサンプルエアとして導入するか、パージガスとして導入するかが切り換えられる。すなわち、本実施形態では、サンプルエアとパージガスの発生源としては同一のものを使用しており、例えばエアーコンプレッサーから吐出されるエアをサンプルエアとして使用し、また示差熱分析時にはエアーコンプレッサーから吐出されるエアをパージガスとしても用いる。
【0062】
制御バルブ38には、流入管36から流入してきたエアをサンプルエアとして加熱炉34内(後述する収納部66内)に導入するためのサンプルエア導入管47と、流入管36から流入してきたエアをパージガスとして加熱炉34内に導入するパージガス導入管39が接続されている。
【0063】
パージガス導入管39は、フィルタ40、流量制御バルブ42および逆止弁44を介して加熱炉34に接続される。本実施形態のオイルミスト濃度測定装置30では、流量制御バルブ42によって、パージガスの流量が20ml/minとなるように制御されている。流量制御バルブ42としては、マスフロメータやオリフィスなどを用いることができる。
さらに、加熱炉34には、加熱炉34内に導入されたパージガスを排出するためのパージガス排出管52が接続されている。パージガス排出管52には、制御バルブ54が設けられており、パージガス排出管52の開閉制御をしている。
【0064】
サンプルエア導入管47は、流量計49を介して、加熱炉34内の耐熱性濾紙64を収納した収納部66に接続されている。耐熱性濾紙64を通過してオイルミストが捕集されたサンプルエアは、サンプルエア排出管46を通って機外へ排出される。サンプルエア排出管46には、サンプルエア排出管46の開閉動作を行う制御バルブ48と、サンプルエアの排出流量を制御する流量制御バルブ50とが設けられている。
【0065】
加熱炉34内にはヒータ56が設けられている。ヒータ56は、加熱炉34内を所定温度(500℃程度)まで加熱可能な性能を有しており、制御装置32によって制御される。
また、収納部66内の耐熱性濾紙64と、標準物質を載置する皿状の収納部68には、それぞれの温度を検出するための温度センサ60,62が設けられている。両温度センサ60,62は、制御装置32に接続されており、制御装置32では検出された各温度を取り込んで示差熱分析に用いることができる。
【0066】
パージガス導入管39のフィルタ40の下流側には、分岐管69が接続されている。分岐管69には、パージガスを冷却するための冷却装置70が設けられている。冷却装置70とフィルタ40のとの間には分岐管69を開閉制御する制御バルブ72が設けられている。制御バルブ72が開のときは、パージガス導入管39から分岐管69へパージガスが導入され、制御バルブ72が閉のときは、分岐管69へはパージガスが導入されない。
分岐管69は、冷却装置70の冷風が吐出される部位に接続されている冷風導入管80を介して加熱炉34に接続されている。
なお、冷却装置70としては、図2に示したボルテックスチューブを用いるとよい。
【0067】
制御装置32内の構成については、図3を参照しつつ説明する。
また、制御装置32内のROM22やハードディスク23には、示差熱分析を実行してDTA曲線を作成する示差熱分析実行機能、得られたDTA曲線のピーク部の面積を測定するピーク面積測定機能、測定したピーク部の面積に基づいてオイルミスト量を算出する機能および算出されたオイルミスト量とサンプルエアの流量からオイルミスト濃度を算出する機能をCPU20に実現させるためのオイルミスト濃度算出プログラムが記憶されている。また、制御装置32のROM22やハードディスク23には、示差熱分析の際に用いるDTA曲線のピーク部の面積とオイルミスト量との関係式が予め記憶されている。
このような制御装置32としては、通常のパーソナルコンピュータを用いることができる。
【0068】
続いて、加熱炉34内の構成について説明する。
加熱炉34内には、オイルミストを捕集する耐熱性濾紙64と、耐熱性濾紙64を収納する収納部66と、標準物質を収納する収納部68とを備えている。耐熱性濾紙64は、難燃性のガラス繊維を採用すると好適であり、またバインダーフリーであるとよい。
収納部66は、サンプルエア導入管47とサンプルエア排出管46が接続されて内部をサンプルエアが通過可能に設けられており、収納部66内を通過するサンプルエア内のオイルミストを耐熱性濾紙64によって捕集するように形成されている。
収納部66は、サンプルエアの流入時には、サンプルエアが収納部66内のみを通過して加熱炉34内の他の個所には流入しないように設けられている。また、収納部66は、示差熱分析時には、耐熱性濾紙64を加熱炉34内に露出させて標準物質と同じ雰囲気下にあるように動作することができる。
【0069】
収納部の具体例を図11〜図12に示す。
収納部66は、サンプルエア導入管47が接続された円錐状の第1のホルダ部90と、サンプルエア排出管46が接続された円錐状の第2のホルダ部92とを備えており、第1のホルダ部90の大径側90aと第2のホルダ部92の大径側92aとが当接するように設けられている。
第1のホルダ部90または第2のホルダ部92のいずれかには、耐熱性濾紙64が取り付けられるように設けられている。
【0070】
第1のホルダ部90の大径側90aと第2のホルダ部92の大径側92aが接続されたときには、第1のホルダ部90と第2のホルダ部92とが密着し、サンプルエアを収納部66の外部へ流出させないような構造となっている。
また、オイルミストの捕集後に示差熱分析を行う際には、第1のホルダ部90と第2のホルダ部92とは離間して耐熱性濾紙64が加熱炉34内に露出するように設けられる。
第1のホルダ部90と第2のホルダ部92との接続は、互いの大径側90a,92aを挟み込むクランプ部材94によって行い、第1のホルダ部90と第2のホルダ部92との離間はクランプ部材94がクランプを解除することによって行うことができる。
【0071】
このようなオイルミスト濃度測定装置において、所定のオイルミスト濃度の測定後、制御装置32は、制御バルブ72を開き、パージガスを分岐管69へも流すようにする。すると、分岐管69を流れるパージガスは冷却装置70によって冷却され、加熱炉34内に導入される。この冷却されたパージガス(冷風)によって加熱炉34内が冷却される。なお、冷却装置70によって加熱炉34内に導入された、冷却されたパージガスは、パージガス排出管52から排出される。
【0072】
温度センサ60,62によって、加熱炉34内の温度が示差熱分析の開始時の温度に到達したと制御装置32が判断した場合には、制御装置32は、制御バルブ72を閉じ、冷風の加熱炉34内への導入を終了する。
【0073】
このように、オイルミスト濃度測定装置において、所定のオイルミスト濃度の測定後、冷却装置70によって冷却されたパージガスを加熱炉34内に導入して、加熱炉34内を示差熱分析開始時の温度にまで冷却するので、次のオイルミストを測定するまでの時間を短縮することができる。
【0074】
なお、上述してきたオイルミスト濃度測定装置30においても、第2の実施形態で説明したように(図4参照)、加熱炉34内に湿度計91を設け、ボルテックスチューブ70の温風排出口75を加熱炉34に接続し、ボルテックスチューブ70で生じる冷風と温風をミキシングして加熱炉34に導入するようにしてもよい。
このような構成によれば、制御装置32は、湿度計91で検出される湿度に基づいて冷風導入管80の制御バルブ82の開度と、温風導入管84の制御バルブ86の排気孔89の開閉頻度を調整して加熱炉34内の湿度の上昇を防ぎ、結露の防止を図ることができる。
【0075】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【符号の説明】
【0076】
20 CPU
22 ROM
23 記憶装置
24 RAM
27 制御プログラム
30 熱分析装置
32 制御装置
34 加熱炉
35 導入口
36 流入管
38,48,54,72 制御バルブ
39 パージガス導入管
40 フィルタ
42 流量制御バルブ
44 逆止弁
46 サンプルエア排出管
47 サンプルエア導入管
49 流量計
50 流量制御バルブ
52 パージガス排出管
56 ヒータ
60,62 温度センサ
64 耐熱性濾紙
66,68 収納部
69 分岐管
70 冷却装置
74 導入口
75 温風排出口
76 冷風排出口
77 筒状の部材
78 バルブ
79 旋回チューブ
80 冷風導入管
82 制御バルブ
84 温風導入管
86 制御バルブ
89 排気孔
91 湿度計
90 ホルダ部
90a 大径側
92a 大径側
94 クランプ部材
A 標準物質
B 試料
DTAmax ピーク値
DTAmin1 最小値
DTAmin2 最小値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる物質を収納する加熱炉と、
該加熱炉内を加熱させる加熱手段とを備える熱分析装置において、
前記加熱炉へパージガスを導入するパージガス導入管が設けられ、
前記加熱炉内を分析開始時の温度にまで冷却するための冷却装置が設けられ、
該冷却装置は、加熱炉に導入されるパージガスを冷却することによって加熱炉内を冷却することを特徴とする熱分析装置。
【請求項2】
前記冷却装置は、前記パージガス導入管から分岐した分岐管に設けられ、ボルテックスの原理を利用してパージガスから冷風および温風を生成するボルテックスチューブであり、
該ボルテックスチューブで生成された冷風を前記加熱炉内に導入させる冷風導入管が設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱分析装置。
【請求項3】
前記加熱炉内には湿度計が設けられ、
前記ボルテックスチューブで生成された温風を前記加熱炉内に導入させる温風導入管が設けられ、
前記冷風導入管には、前記加熱炉内に導入させる冷風の流量を制御する第1の制御バルブが設けられ、
前記温風導入管には、前記加熱炉内に導入させる温風の流量を制御する第2の制御バルブが設けられ、
前記湿度計で測定された加熱炉内の湿度に基づいて、前記第1の制御バルブの開度と前記第2の制御バルブの開度とをそれぞれ制御して、加熱炉内に導入されるエアの温度が所定温度となるようにミキシングして加熱炉内の結露を防止するための制御手段が設けられていることを特徴とする請求項2記載の熱分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−256265(P2010−256265A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108764(P2009−108764)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】