説明

熱分解法により製造された酸化アルミニウムをベースとする顆粒、その製造方法およびその使用

【課題】酸化アルミニウムをベースとする新規の顆粒、および該顆粒の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化アルミニウムをベースとする顆粒であって、次の特性:平均粒径:5.0〜150μm、タップ密度:300〜1200g/lを有する。該顆粒は、酸化アルミニウムを水中に分散させ、噴霧乾燥させ、場合により熱処理および/またはシラン化することにより製造される。シラン化された形で該顆粒は次の特性を有する:平均粒径:5〜160μm、タップ密度:300〜1200g/l、炭素含有率:0.3〜12.0質量%。
【効果】該顆粒は特に触媒担体として、および化粧品、トナー粉末、塗料およびラッカー中で、研磨材およびポリッシング剤として、またはガラスおよびセラミックスの製造における原料として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱分解法により製造された酸化アルミニウムをベースとする顆粒、その製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
AlClから高温または火炎加水分解(flame hydrolysis)によって熱分解法酸化アルミニウムを製造することは公知である(Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie、第4版、第21巻、第464頁(1982))。
【0003】
熱分解法酸化アルミニウムは、極めて微細な、相応して高い比表面積(BET)、極めて高い純度、球形の粒子形状および細孔が存在しないことによって識別される。これらの特性に基づいて熱分解法により製造された酸化アルミニウムは触媒のための担体としてますます関心が寄せられている(D. Koth等、Chem. Ing. Techn. 52, 628(1980))。この適用のためには、熱分解法により製造された酸化アルミニウムを、たとえばタブレット成形機により機械的に成形する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie、第4版、第21巻、第464頁(1982)
【非特許文献2】D. Koth等、Chem. Ing. Techn. 52, 628(1980)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、触媒担体として使用することができる、熱分解法により製造された酸化アルミニウムの噴霧顆粒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱分解法により製造された酸化アルミニウムをベースとし、次の物理化学的特性:
平均粒径:5.0〜150μm
タップ密度:300〜1200g/l
を有する顆粒を提供する。
【0007】
本発明の有利な実施態様では、該顆粒は5.0〜45μmの平均粒径および300〜550g/lのタップ密度を有する。
【0008】
本発明による顆粒は熱分解法により製造された酸化アルミニウムを水中に分散させ、噴霧乾燥させ、かつ得られた顆粒を場合により1〜8時間、150〜1100℃の温度で熱処理することにより製造することができる。
【0009】
使用することができるエダクトはUllmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie、第4版、第21巻、第464頁(1982)に記載された酸化アルミニウムからなっていてもよい。使用することができる別のエダクトは、熱分解法により製造され、115m/gより大きいBET比表面積を示す高い表面積を有し、かつシアーズ値(Sears value)が8ml/2gより大きい酸化アルミニウムである。
【0010】
試料質量16gで測定した場合、この酸化アルミニウム粉末のジブチルフタレート吸収量は測定不可能(検出可能な最終点は存在しない)であった。
【0011】
この熱分解法により製造された酸化アルミニウムは、火炎酸化または有利には火炎加水分解法を使用して製造することができ、その際、使用される原料は揮発性アルミニウム化合物、有利には塩化物である。この酸化アルミニウムはDE19943291に記載されている。
【0012】
本発明はまた、熱分解法により製造された酸化アルミニウムをベースとし、次の物理化学的特性:
平均粒径:5〜160μm
タップ密度:300〜1200g/l、有利には300〜600g/l、
炭素含有率:0.3〜12.0質量%、有利には1.0〜6.0質量%、
を有する顆粒を提供する。
【0013】
本発明による顆粒は、熱分解法により製造された酸化アルミニウムを水中に分散させ、噴霧乾燥させ、得られた顆粒を場合により1〜8時間、150〜1100℃の温度で熱処理し、かつ次いでシラン化することにより製造することができる。
【0014】
シラン化はハロゲンシラン、アルコキシシラン、シラザンおよび/またはシロキサンを使用して実施することができる。
【0015】
次の物質を特にハロゲンシランとして使用することができる:
(a)(RO)Si(C2n+1)および(RO)Si(C2n−1)のタイプのオルガノシラン
R=アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル、
n=1〜20。
【0016】
(b)R′(RO)Si(C2n+1)および(RO)Si(C2n+1)のタイプのオルガノシラン
R=アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル、
R′=アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル、
R′=シクロアルキル、
n=1〜20、
x+y=3、
x=1.2、
y=1.2。
【0017】
(c)XSi(C2n+1)およびXSi(C2n−1)のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br、
n=1〜20。
【0018】
(d)X(R′)Si(C2n+1)およびX(R′)Si(C2n−1)のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br、
R′=アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル、
R′=シクロアルキル、
n=1〜20。
【0019】
(e)X(R′)Si(C2n+1)およびX(R′)Si(C2n−1)のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br、
R′=アルキル、たとえばメチル、エチル、
R′=シクロアルキル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル、
n=1〜20。
【0020】
(f)(RO)Si(CH−R′のタイプのオルガノシラン
R=アルキル、たとえばメチル、エチル、プロピル
m=0.1〜20、
R′=メチル、アリール(たとえばC、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF、−NH、−N、−SCN、−CH=CH、−NH−CH−CH−NH、−N−(CH−CH−NH、−OOC(CH)C=CH、−OCH−CH(O)CH、−NH−CO−N−CO−(CH、−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)、−S−(CHSi(OR)、−SH、−NR′R″R″′(R′=アルキル、アリール;R″=H、アルキル、アリール;R″′=H、アルキル、アリール、ベンジル、CNR″″、R″″′、その際、R″″=A、アルキルおよびR″″′=H、アルキル)。
【0021】
(g)(R″)(RO)Si(CH−R′のタイプのオルガノシラン
R″=アルキル x+y=2
=シクロアルキル x=1.2、
y=1.2、
m=0.1〜20、
R′=メチル、アリール(たとえばC、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF、−NH、−N、−SCN、−CH=CH、−NH−CH−CH−NH、−N−(CH−CH−NH、−OOC(CH)C=CH、−OCH−CH(O)CH、−NH−CO−N−CO−(CH、−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)、−S−(CHSi(OR)、−SH、−NR′R″R″′(R′=アルキル、アリール;R″=H、アルキル、アリール;R″′=H、アルキル、アリール、ベンジル、CNR″″、R″″′、その際、R″″=A、アルキルおよびR″″′=H、アルキル)。
【0022】
(h)XSi(CH−R′のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br、
m=0.1〜20、
R′=メチル、アリール(たとえばC、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF、−NH、−N、−SCN、−CH=CH、−NH−CH−CH−NH、−N−(CH−CH−NH、−OOC(CH)C=CH、−OCH−CH(O)CH、−NH−CO−N−CO−(CH、−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)、−S−(CHSi(OR)、−SH。
【0023】
(i)(R)XSi(CH−R′のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br、
R=アルキル、たとえばメチル、エチル、プロピル、
m=0.1〜20、
R′=メチル、アリール(たとえばC、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF、−NH、−N、−SCN、−CH=CH、−NH−CH−CH−NH、−N−(CH−CH−NH、−OOC(CH)C=CH、−OCH−CH(O)CH、−NH−CO−N−CO−(CH、−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)、その際、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルであってよく、−S−(CHSi(OR)(その際、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルであってよい)、−SH。
【0024】
(j)(R)XSi(CH−R′のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br、
R=アルキル、
m=0.1〜20、
R′=メチル、アリール(たとえばC、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF、−NH、−N、−SCN、−CH=CH、−NH−CH−CH−NH、−N−(CH−CH−NH、−OOC(CH)C=CH、−OCH−CH(O)CH、−NH−CO−N−CO−(CH、−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)、−S−(CHSi(OR)、−SH。
【0025】
(k)
【化1】

のタイプのシラザン
R=アルキル、
R′=アルキル、ビニル。
【0026】
(l)D3、D4、D5のタイプの環式ポリシロキサン、その際、D3、D4およびD5は、−O−Si(CH−のユニットを3つ、4つまたは5つ有する環式ポリシロキサンを意味する。たとえばオクタメチルシクロテトラシロキサン=D4である
【化2】

【0027】
(m)
【化3】

のタイプのポリシロキサンまたはシリコーン油
R=アルキル、たとえばC2n+1、その際、nは1〜20、
アリール、たとえばフェニルおよび置換されたフェニル基、(CH−NH、H、
R′=アルキル、たとえばC2n+1、その際、nは1〜20、
アリール、たとえばフェニルおよび置換されたフェニル基、(CH−NH、H、
R″=アルキル、たとえばC2n+1、その際、nは1〜20、
アリール、たとえばフェニルおよび置換されたフェニル基、(CH−NH、H、
R″′=アルキル、たとえばC2n+1、その際、nは1〜20、
アリール、たとえばフェニルおよび置換されたフェニル基、(CH−NH、H。
【0028】
水中の分散液は3〜25質量%の酸化アルミニウムの濃度を有していてもよい。
【0029】
分散液の安定性を高め、かつ噴霧乾燥後の粒子の形態を改善するために有機助剤を添加することができる。
【0030】
たとえば次の助剤を使用することができる:
ポリアルコール、ポリエーテル、フルオロカーボンベースの界面活性剤、アルコール。
【0031】
噴霧乾燥はディスク形噴霧器またはノズル形噴霧器、たとえば1流体ノズルまたは2流体ノズルを使用して200〜600℃の温度で実施することができる。
【0032】
顆粒の熱処理は固定床、たとえばチャンバーキルン中でも、移動床、たとえば回転管式乾燥器中でも実施することができる。
【0033】
シラン化は上記に記載したものと同一のハロゲンシラン、アルコキシシラン、シラザンおよび/またはシロキサンを用いて実施することができ、その際、シラン化剤は場合により有機溶剤、たとえばエタノール中に溶解していてもよい。
【0034】
シランであるトリメトキシオクチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルポリシロキサン、ヘキサデシルトリメトキシシランおよび3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを有利にシラン化剤として使用することができる。
【0035】
シラン化は顆粒をシラン化剤と共に室温で噴霧し、かつ次いで該混合物を105〜400℃の温度で1〜6時間熱処理することにより実施することができる。
【0036】
あるいは顆粒を蒸気の形のシラン化剤により処理し、かつ次いで該混合物を200〜800℃の温度で0.5〜6時間熱処理することにより顆粒のシラン化を実施することもできる。
【0037】
熱処理は保護ガス下で、たとえば窒素下で実施することができる。
【0038】
シラン化は連続式またはバッチ式で加熱可能なミキサーおよび噴霧器を有する乾燥器中で実施することができる。適切な装置はたとえば次のものである:プラウバーミキサー、ディスク形乾燥器、流動床または乱流床形乾燥器。
【0039】
供給原料、噴霧の間の条件、熱処理およびシラン化を変更することにより、顆粒の物理化学的な特性、たとえば比表面積、粒径分布、タップ密度およびpH値を上記の範囲内で変更することが可能である。
【0040】
本発明による酸化アルミニウム顆粒は次の利点を有する:
噴霧乾燥されていない酸化アルミニウムよりも流動性が良好である。
有機系への配合がより容易である。
分散がより簡単である。
造粒のために付加的な助剤は不要である。
噴霧乾燥されておらず、かつ規定の凝集物サイズを有していない酸化アルミニウムと比較して、本発明による酸化アルミニウム顆粒は定義された粒径を有する。
本発明による酸化アルミニウム顆粒により粉立ちのない取り扱いが可能である。
高いタップ密度により輸送、包装コストが低減される。
本発明による酸化アルミニウム顆粒は触媒担体として使用することができる。噴霧乾燥されていない酸化アルミニウムは、たとえば流動床から連行されるので、この目的のために適切ではない。
【0041】
本発明による顆粒は触媒のための担体として、および化粧品、トナー粉末、塗料およびラッカー中で、研磨材およびポリッシング剤として、およびガラスおよびセラミックスの製造における原料として使用することができる。
【0042】
該顆粒は種々の方法で修飾することができる。
【0043】
修飾の例は次のものである:
●カチオン、たとえばH、Cs、希土類金属または貴金属のカチオンの導入、
●適切な前駆物質分子、たとえばTiCl、TiBr、Ti(Oet)、TiCpCl(Cp=シクロペンタジエニル)、Mn(CO)10、Fe(CO)との反応による材料または金属酸化物の導入、
●金属塩または貴金属塩の溶液を用いた含浸による貴金属酸化物または金属酸化物の導入。
【0044】
本発明による顆粒は触媒および触媒担体として、たとえば次の触媒反応のために使用することができる:
炭化水素のオキシ官能化、過酸化水素、アルキルもしくはアリールヒドロペルオキシド、たとえばt−ブチルヒドロペルオキシドまたはフェニルエチルヒドロペルオキシド(CCHCHOOH)および/または酸素を用いてエポキシドを得るためのオレフィンの酸化、芳香族化合物のアルキル化、水素添加、脱水素、水和、脱水和、異性化、付加および脱離反応、求核置換および求電子置換反応、芳香族化合物及びヘテロ芳香族化合物のヒドロキシル化、エポキシ/アルデヒド転位、アミノ化、アンモオキシム化、重合反応、エステル化およびエーテル化反応、ならびに触媒反応による窒素酸化物の除去。
【0045】
本発明による顆粒はさらに染料、香料および活性物質のための担体として適切である。
【実施例】
【0046】
例1
公知の設計のバーナー中で、予め気化した三塩化アルミニウム(AlCl)320kg/hを水素100Nm/hおよび空気450Nm/hと共に燃焼させた。
【0047】
炎色反応の後で、高められた表面積を有する微細に分散した酸化アルミニウムを、フィルターまたはサイクロン中で同時に製造された塩酸ガスから分離し、その際、残留する痕跡量のHClを高めた温度で給湿空気による処理によって除去する。
【0048】
合成された、高い表面積を有する熱分解法酸化アルミニウムは第1表に記載されている物理化学的特性を有する。第1表は、比較によりDegussa−Huels社(フランクフルト)から市販の熱分解法酸化アルミニウムに関するデータも示している(商品名Aluminium oxide C)。
【0049】
【表1】

【0050】
シアーズ値の測定はEP0717088に記載されている。
【0051】
例2
次の物理化学的特性を有する酸化アルミニウムを熱分解法により製造された酸化アルミニウムとして使用する。これはpigments publication series、第56号、"Highly disperse metal oxides from the Aerosil process"、第4版、1989年2月、Degussa社から公知である。
【0052】
【表2】

【0053】
酸化アルミニウムは揮発性アルミニウム化合物を水素と空気とからなる爆鳴気火炎中に噴霧することにより製造される。多くの場合、三塩化アルミニウムを使用する。この物質は爆鳴気反応において生じる水の作用下で加水分解して酸化アルミニウムおよび塩酸を生じる。火炎を離れた後、酸化アルミニウムはいわゆる凝集帯域に入り、その中で酸化アルミニウムの一次粒子および一次凝集物が凝集する。この段階で一種のエーロゾルの形の生成物を、サイクロン中で気体状の随伴物質から分離し、かつ次いで湿潤熱風により後処理する。
【0054】
この方法で得られた酸化アルミニウムの粒径は、反応条件、たとえば火炎温度、水素または酸素の含有率、三塩化アルミニウムの品質、火炎中での滞留時間または凝集帯域の長さによって変更することができる。
【0055】
次の測定方法を使用して物理化学的特性を決定する:
BET表面積はDIN66131に従って窒素を用いて測定する。
【0056】
タップ密度はDIN ISO 787/XIに従って測定する。
【0057】
タップ密度の測定の基礎
タップ密度(以前のタップ体積)は、振動する体積測定装置中で規定の条件下に粉末をタッピングした後の質量および体積の商である。DIN ISO 787/XIによればタップ密度はg/cmで記載される。しかし、熱分解法酸化物の極めて低いタップ密度に基づいて、この値をg/lで記載する。乾燥およびふるい分けならびにタッピング操作の繰り返しも省略する。
【0058】
タップ密度を測定するための装置
振動体積計、
メスシリンダー、
実験室用てんびん(精度0.01g)。
【0059】
タップ密度の測定の実施
顆粒200±10mlを、空間が残らず、かつ表面が水平になるように、振動体積計のメスシリンダー中に充てんする。装入した試料の質量を0.01gの精度で秤量する。試料を含有するメスシリンダーを振動体積計のホルダーに設置し、かつ1250回タッピングする。
【0060】
タップ密度の測定の評価
【数1】

【0061】
pH値は4%の水性分散液中で測定し、疎水性の触媒の場合には1:1の水:メタノール中で測定する。
【0062】
pH値測定のための試薬
蒸留水または脱イオン水、pH>5.5、
メタノール、分析用グレード、
緩衝液、pH7.00pH4.66。
【0063】
pH値測定用の装置
実験室用てんびん(精度0.1g)、
ガラスビーカー、250ml、
電磁撹拌機
電磁攪拌棒、長さ4cm、
組み合わせpH電極、
pH測定装置、
軽量分配ボトル、100ml。
【0064】
pH値を測定するための操作手順
測定はDIN/ISO787/IXに従って実施する。
較正:pH値を測定する前に緩衝液を用いてメーターを較正した。複数の測定を連続的に実施する場合、1回の較正で十分である。
【0065】
疎水性顆粒4gを250mlのガラスビーカー中でメタノール48g(61ml)を用いてペーストにし、かつ該懸濁液を水48g(48ml)により希釈し、かつ、pH電極を浸漬したまま、電磁撹拌機を用いて5分間撹拌した(回転速度約1000分−1)。撹拌機が停止したら1分放置した後にpH値を読みとる。結果を小数点第1位まで記載する。
【0066】
乾燥損失の測定
DIN ISO787IIに記載されている質量10gの試料分散で乾燥損失を質量1gの試料を使用して測定した。
【0067】
冷却の前にふたをする。乾燥は2回実施しない。
【0068】
粉立ちを回避しながら試料約1gを0.1mgの精度で、105℃で乾燥させた、すりあわせ蓋を有する秤量皿に秤量し、かつ試料を乾燥室中、105℃で2時間乾燥させる。蓋をしたままデシケーター中で青色シリカゲル上で冷却した後、秤量を再度実施する。
【0069】
【数2】

【0070】
結果を小数点第1位まで示す。
【0071】
強熱損失(1000℃で2時間、乾燥(105℃で2時間)した材料に対する)の測定
強熱損失の測定の基礎
強熱損失を1000℃で測定した。この温度で化学的に結合している水を物理的に結合している水と共に除去した。
【0072】
強熱損失を測定するための装置
磁器製るつぼ、るつぼ蓋を有する、
マッフル炉、
分析用てんびん(精度0.1mg)、
デシケーター。
【0073】
強熱損失の測定の実施
DIN55921による分散で、予備乾燥していない材料0.3〜1gを0.1mgの精度で予めか焼した、るつぼ蓋を有する磁器製るつぼに秤量し、かつ1000℃で2時間、マッフル炉中でか焼した。粉立ちを回避するための配慮が必要である。秤量した試料をまだ冷たいうちにマッフル炉中に設置することが有利であることが判明した。炉をゆっくり加熱して磁器製るつぼ中での比較的激しい空気の乱流を回避する。温度が1000℃に達したら、か焼をさらに2時間継続する。次いで試料をるつぼ蓋でふたをして、るつぼをデシケーター中、青色シリカゲル上に設置し、質量の損失を秤量する。
【0074】
強熱損失の測定の評価
強熱損失は105℃で2時間乾燥した試料に対して測定したものであるので、次の計算式が得られる:
【数3】

【0075】
=試料の質量(g)
DL=乾燥損失(%)
=か焼した試料の質量(g)
結果を小数点第一位まで示す。
【0076】
本発明による顆粒の製造
熱分解法により製造した酸化アルミニウムを、ローター/ステーターの原理により運転される分散装置を使用して脱イオン水中に分散させる。得られる分散液を噴霧乾燥させる。完成した製品をフィルターまたはサイクロンにより分離する。
【0077】
噴霧顆粒をマッフル炉中で熱処理する。
【0078】
噴霧乾燥および場合により熱処理した顆粒をシラン化のためにミキサー中に装入し、かつ強力に撹拌しながら、場合により最初は水、および次いでシラン化剤を噴霧する。噴霧が完了したら、混合をさらに15〜30分間継続し、かつ次いで熱処理を100〜400℃で1〜4時間実施する。
【0079】
使用される水を酸、たとえば塩酸によりpH値7〜1の酸性にしてもよい。使用されるシラン化剤を溶剤、たとえばエタノール中に溶解してもよい。
【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解法により製造された酸化アルミニウムをベースとし、次の物理化学的特性:
平均粒径:5.0〜150μm
タップ密度:300〜1200g/l
を有する顆粒。
【請求項2】
請求項1に記載の顆粒の製造方法において、熱分解法により製造された酸化アルミニウムを水中に分散させ、噴霧乾燥させ、かつ得られた顆粒を場合により1〜8時間、150〜1100℃の温度で熱処理することを特徴とする、請求項1に記載の顆粒の製造方法。
【請求項3】
熱分解法により製造された酸化アルミニウムをベースとし、次の物理化学的特性:
平均粒径:5〜160μm
タップ密度:300〜1200g/l
炭素含有率:0.3〜12.0質量%
を有する顆粒。
【請求項4】
請求項3に記載の顆粒の製造方法において、熱分解法により製造された酸化アルミニウムを水中に分散させ、噴霧乾燥させ、かつ得られた顆粒を場合により1〜8時間、150〜1100℃の温度で熱処理し、かつ次いでシラン化することを特徴とする、請求項3に記載の顆粒の製造方法。
【請求項5】
触媒担体として、および化粧品、トナー粉末、塗料およびラッカー中で、研磨材およびポリッシング剤として、およびガラスおよびセラミックスの製造における原料としての、請求項1および3に記載の顆粒の使用。

【公開番号】特開2012−224542(P2012−224542A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158051(P2012−158051)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2003−518981(P2003−518981)の分割
【原出願日】平成14年4月20日(2002.4.20)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】